1 : ◆Vysj.4B9aySt - 18/10/31(水) 12:58:43 E82 1/40

――一人の少女と一人の女性が向い合う

――そして……

「たあぁぁぁぁぁっ!」

タッ

――少女が仕掛け

「ふっ……」

――女性がバックステップでかわす

――その刹那、少女の手に握られていたナイフが中を切り裂き

「っ!」

――間一髪、女性はかわす

「なるほど。投げると見せかけずに投げられるようになったか……」

「はいっ!」

――少女が微笑む

――それはプロデューサーに褒められたアイドルのように

――しかし

「ではこちらも」

「っ!グレイシー?違……間に合わなっ?!」





――勝負は一瞬でついた

――もう片方の手に仕込んであったナイフを使う前に、少女は大地に沈んでいた

――まるで、その刃物が邪魔な存在であるかのような、腕の動きを見せたまま……

元スレ
【モバマス】仲直りの涙は海老の味
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1540958323/

2 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/10/31(水) 13:00:13 E82 2/40

本当は七海の誕生日用に考えていましたが……今日は何日と?



こちら、独自の設定がありますので、よろしくお願いいたします

3 : ↓名無し... - 18/10/31(水) 13:13:21 E82 3/40

「ふわぁ……」



みく「すごいにゃ!」

かな子「もう……智絵里ちゃんも危ないことは……」

智絵里「大丈夫です……よっ……」

真奈美「さすがに手加減できる相手ではないからね」

智絵里「残念です……チャクラムを持っているから、てっきり中距離で仕掛けてくると思ったのに……」

真奈美「いや……君がレンジに入って来たからこの対応をしたまでさ。それに今回のナイフ投げは、見事としか表現できないぐらいさ」

智絵里「えへへ……ありがとうございます」



みく「会話だけなら、褒められて喜んだ女の子のそれなんだけどにゃ……」

「所詮、杏達には関係ない世界だからね」

4 : ↓名無し... - 18/10/31(水) 13:17:25 E82 4/40

かな子「それじゃあ、片付けておやつの時間にしましょうね」

真奈美「おっ、事務所で一、二位を誇る腕の持ち主の手作りスイーツのご相伴に預かれるとは」

かな子「そんな……真奈美さんも……」テレテレ



智絵里「照れてるかな子ちゃん可愛い」パシャパシャ

「Twitt○rにあげとくね」パシャパシャ

かな子「もおーっ!」

5 : ↓名無し... - 18/10/31(水) 13:27:02 E82 5/40

…………
……

かな子「今日は、モンブランのクリームと生クリームのミックスなシュークリームです」

真奈美「(パリッ)うむ……また腕を上げたな」

「ほんと、ほんと。唯ちゃんが生きてたら、泣いて喜ぶのに」パクパク

智絵里「あはは……生まれ変わったんだけど」

みく「まだたくさんあるけど、あとは誰か来るかにゃ?」

真奈美「レッスン室にはたしか」

智絵里「七海ちゃんと愛海ちゃんと法子ちゃん。それから佐藤さんが」

「あー、また本名で言っちゃって……呼び出しフラグになr」



『海の藻屑になるといいのれすーっ!!』

ガタン パタパタパタパタ

『……』



みく「今のって……」

かな子「七海ちゃんの声?で、後から聞こえたのは誰だろう?」

真奈美「……行ってみようか」

智絵里「はい……」





「絶対に、面倒なことに巻き込まれるだろうなぁ……」

6 : ↓名無し... - 18/10/31(水) 13:42:17 E82 6/40

タタタタッ

バタン

みく「どうしたにゃ?」

ムギュ

みく「えっ?な、なんか踏んだにゃ?」

真奈美「これは…綿か……?」



「そう、綿さ……縫いぐるみのな」

かな子「心さん?」



――そして佐藤の指差す方向を見ると

「はぁとな☆」

――はぁとさんの指差す方向を見ると



愛海「ぐすっ……ごめん……ごめんなさい」メソメソ

法子「愛海ちゃん……どうしよう」オロオロ

――二人のうなだれる少女と



智絵里「あれって……七海ちゃんの」

「うわぁ……どうやったらあんなに破れるわけ?」



――サバオリくんの残骸であった

7 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/10/31(水) 13:43:42 E82 7/40

続ける前に、今回の話は過去捏造ネタや作者のシリーズネタが含まれます。

ご容赦を

8 : ↓名無し... - 18/10/31(水) 13:50:25 E82 8/40

カチャカチャ

コトッ

かな子「はい。お口に合うかわからないけど、甘いものを食べてからでいいんで、お話を聞かせてくれるかな?」

愛海「……」

法子「愛海ちゃん……」



「いいよ。はぁとから説明するよ」

「二人ともそれでいいよな?」

愛海「」コクリ

法子「う……うん」

「……こないだの七海の誕生日に、あいつが実家に帰らなかったのを知ってるか?」

「あぁ……たしか、故郷の親父さんがまだ漁に出てるから帰っても仕方がないって言ってたね」

みく「口では強がっていたけど、かなり寂しそうだったにゃ」

真奈美「とすると、寂しさに加えて、父親から貰った縫いぐるみがこんな風になってしまい」

智絵里「欝憤が爆発しちゃったんですね……でもここまでなんで?」

「まぁ……いつもの愛海ダイブというヤツだ……これがな」

9 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/10/31(水) 13:53:31 E82 9/40

〜〜ホワンホワンホワン

愛海『うへへ、七海ちゃんのお山をゲットするぜ☆』

七海『なんのサバオリくんバリアなのれす☆』

パキパキパッキーン

愛海『登山には失敗したが、サバオリくんの破壊には成功したぜ☆』

法子『なんと☆光子○研究所みたいにパリンと割れるバリアだったのか☆』

七海『うわーん☆サバオリくんが☆』

10 : ↓名無し... - 18/10/31(水) 13:58:25 E82 10/40

「という事があったのさ」

みく「はぁとチャン……もしかして人に説明するのって下手かにゃ?」

「……て、照れるな☆」

みく「褒めてないにゃ!」





真奈美「とにかく、サバオリくんか?これを修復して彼女に届けないとな」

「あ、それならはぁとにお任せだぞ☆」

かな子「なら手分けして七海ちゃんを……」

真奈美「……と言いたいが、次のレッスンがあるから」

かな子「あ……」



「あー、こういう時ぐらいサボらせてくれればいいのになぁ……」

智絵里「…………」

ピコーン

智絵里「それ、いいアイディアですよ!」

「え?」



「い、いやだ」



「杏は……杏は……」

11 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/10/31(水) 19:55:14 E82 11/40

…………
……

「ええっ?七海ちゃん帰っちゃったの!?」

ちひろ「はい。レッスンも終わったからと」

「むむむ……しょうがないなぁ。寮に行くかぁ」

ちひろ「で、杏ちゃん」

「ん?何?飴くれるの?」





ちひろ「あなたのレッスンはどうしましたか?」ニッコリ

「――っ!」ゾクリ

(ヤバッ!これ絶対にヤバいやつだ!)

「えっと……い、今から行こうかな……って」チラリ

ちひろ「そうですか。それなら頑張ってくださいね」

(ほっ……)

「それじゃあ……」



ちひろ「次はありませんよ。『双葉』さん」

「」ヒヤアセダラダラ

12 : ↓名無し... - 18/10/31(水) 20:01:19 E82 12/40

…………
……

チクチクチク

「寮に……か」

「杏、死ぬかと思ったよ……飴くれないと、もうやらないからね」

智絵里「はい、あーん」

「ぱくっ……んー、黄粉パウダーの味だ!」

かな子「でも、帰っちゃうぐらいって」

みく「まぁ、みくも一緒に謝るのを手伝ってあげるから、元気を出すにゃ」

愛海「うん……」グスッ

法子「で、直りそうなの?」ドナツパクパク

「んー、元々生地が痛んでいたせいか、まるごと総取り替えした方が早いぐらいだな」

「まぁ何とかしてやるよ」チクチクチク

智絵里「こういう時に、お裁縫が上手だといいですね」

「まぁな☆もっと褒めていいんだぞ☆」

13 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/10/31(水) 20:07:07 E82 13/40

愛海「……」

愛海「……あのね。七海ちゃんが怒ったのは、これだけじゃないと思うの」

みく「え?どういうことにゃ?」

愛海「七海ちゃん……お父さんがいないからって、誕生日に青森に帰らなかったけど……」

かな子「それは聞いたけど」

愛海「そのお父さんがいない理由が、七海ちゃんに原因があるみたいで……」

「ちょい待って。すると、七海ちゃんは元々誕生日には家族全員でお祝いしていたわけ?それなのになんで?」

愛海「詳しくは聞きそびれたけど……」



愛海「七海ちゃんが……アイドルをしているから、それが理由って言ってた……」

14 : ↓名無し... - 18/10/31(水) 20:21:03 E82 14/40

みく「それって……」

ガラッ

真奈美「いわえる古い地方によくある、男尊女卑というヤツさ」

「あるねぇ……女は子どもを作って一人前ってアレでしょ」

愛海「だから七海ちゃんもご当地ソングとか歌いたいって言ってたけど……」

かな子「七海ちゃん……CDどころかユニットの歌もないから」

「痛いな……」



法子「とりあえず今はドーナツを食べて頑張ろう!」

かな子「うん、そうだね」

真奈美「こういう時、法子君みたいな存在はありがたいな」

法子「わー、真奈美さんに褒められちゃった!」

15 : ↓名無し... - 18/10/31(水) 20:24:59 E82 15/40

「とりあえずあとは明日にするか」

みく「寮で七海ちゃんを説得するにゃ」



――そう言って彼女らは寮に帰っていった

――が、その30分後



ちひろ「え?七海ちゃんがいないですって?」



――さらに30分後、346プロ全員に非常呼集がかけられた

17 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/01(木) 11:50:23 mUh 16/40

―1900

マキノ「駅の防犯カメラを見るかぎり、今のところ都内からは出てないみたいね」

「コンビニのカメラを辿ると、かつての築地の方へ向かっているみたい」

みく「築地?今は……」

「もしかすると、悪い人に連れられる可能性があるから、早苗ちゃんや真奈美ちゃんに出てもらってるから」

智絵里「そちらは安心といったところですね……」

「でも、今は帰って来ても、またふらりと行っちゃうかもね……」

みく「わかるのかにゃ?」

「杏も……そこまではないけど、ふと今さぼって外まで出掛けたらどうなるかな……とは思うしね」

愛海「……」

法子「愛海ちゃん……」

「とりあえず急ピッチでサバオリ君を直さないとな☆」

智絵里「それなら一人、援軍を頼んでますよ」

かな子「援軍?」

18 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/01(木) 11:54:37 mUh 17/40

………………
…………
……

「やれやれ、急に朋から来てって言われたと思ったら」

「ごめんね、おかーさん」

「だからウチは!……で、これか。作り直した方が早くないか?」

「そうは思ったが、やっぱり肉親からのプレゼントだからな☆」

「なるほど……なら背鰭と鱗は任せて」



ワイワイ

「こっちはなんとかなるかな?」

智絵里「あとは……」



愛海「……」グスッ

19 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/04(日) 01:19:03 bvJ 18/40

智絵里「ねぇ、愛海ちゃん……何か七海ちゃんのこと隠してないかな?」

愛海「……」

智絵里「何か不満を持っていたとか、聞いてないかなぁ?」

法子「不満?……ひょっとして」

愛海「法子ちゃん……それは」

智絵里「やっぱりあるんだ。何で言わないの?」

愛海「……ダメだよ。七海ちゃんだって」

智絵里「ふーん……なら」



みく「わわわっ、急に冷気が来たにゃ!」

「二人共!早く話しなよ!」

愛海「でも……七海ちゃんの我が儘かもしれないし……ううん、今日のは私が悪いんだから」



智絵里「忘れられがちだけど私も使えるんだよ」

20 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/04(日) 01:21:43 bvJ 19/40

智絵里「転移の術をね」

リップ

バン



ウィンクルエフェクト

愛海「うわ……あぁぁ!」

法子「え?えと、その」





みく「消えた……愛海チャンと法子チャンに」

みく「杏チャンまで連れていかなくても……」

21 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/04(日) 20:35:39 bvJ 20/40

…………
……

愛海「ここは……?」

法子「ってか寒い!」



智絵里「ここはシベリアの大地……そして」

智絵里「愛海ちゃんが本当のことを言うまで、帰さないからね」





「つか、杏ってばとばっちり?」

22 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/04(日) 20:46:25 bvJ 21/40

愛海「言うよ!言います!」

愛海「七海ちゃんがあんなに機嫌が悪いのは……」

愛海「誕生日の日に、大好きな『海老のトマト煮』が食べられなくてすねてるの!!」



智絵里「え?海老の?」

「トマト煮?何それ?」

法子「七海ちゃんが言うには、昔から浅利家でお祝い事がある度に、お父さんが作ってくれるご馳走なんだって」

「そんな……年がら年中海産物を食べてる感じなのに」

法子「あー、えっと、私がいつもドーナツを食べてるけど」

法子「ちょっと高い……ゴデ○バのチョコを使ったのとか、和三盆とかのはそんなに食べられないのと一緒なの」

智絵里「でも……法子ちゃんや瞳子さんと合同の誕生会だったから、多少の贅沢は……」

愛海「……うちの寮に魚嫌いが一人いるよね」

智絵里「あ……」

法子「しかも結構ベテランさんで、七海ちゃんはまだ経験も浅いし……」

智絵里「でもみくちゃんだって、そこまでは……」

愛海「あとは……七海ちゃんって、その……」

愛海「プロデューサーとは、あまり深い仲ではないんだ」

23 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/04(日) 20:54:29 bvJ 22/40

愛海「うちの事務所って、基本プロデューサーと仲がいい人ばかりで……私も結構いい仲いってるとは思うよ」

愛海「そりゃ、法子ちゃんぐらいにラブラブになれればいいけどさ」

法子「……(///)」

愛海「で、七海ちゃんって、割と我が強くていろいろプロデューサーを無視して突っ切っちゃうじゃない」

「あー……あるねぇ」

愛海「……その分、寮の中ではあまり喋る人がいないみたいなの」

愛海「同じ青森出身でも……私ぐらいだし」

智絵里「……」

愛海「だから……不満がたまっていたと思うの」

愛海「それに、あの縫いぐるみは……七海ちゃんのお父さんからのプレゼントで、もうボロボロになるぐらいに……」



智絵里「うん……よかった」

智絵里「まだ……七海ちゃんは一人じゃなかったんだね」

「智絵里ちゃん……」

24 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/04(日) 20:58:50 bvJ 23/40

智絵里「じゃあ、戻ってまたパーティーのやり直しといこっか」

法子「さんせーい!」

愛海「あ、なら、杏さんのお山に登っていい?」モミモミ

「聞く前から揉んでるくせに」



智絵里「……我が名は緒方智絵里。国父倭の赤子にして、皇軍の兵士なり 勇戦奮闘でもって必ずや皇国の不朽を勝ち取らん」スチャ

法子「うわ……智絵里さんの右手が光って轟いてるよ」

「リミッター解除だね」

愛海「ごめんなさい、ごめんなさい。ころさないで」ペコペコ

25 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/04(日) 22:10:36 bvJ 24/40

…………
……

シュウウゥ

智絵里「到着っと!」

千枝「あ、お帰りなさい」

芳乃「お疲れ様でしてー」

智絵里「あ、二人とも。お願いが」

芳乃「七海殿の居場所ならわかりましてー」

千枝「海老とトマトなら冷蔵庫にありますよ」

智絵里「あははっ、わかっちゃった?」

「あと、縫いぐるみも直したぜ☆ほめろよ」

「かなり新品の皮になったけどな」



智絵里「あ、海さん。折り入ってご相談が」

「ん?アタシ?」

智絵里「実は……」

26 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/04(日) 22:14:45 bvJ 25/40

――回想

愛海『で、七海ちゃん、サバオリくんだと寝苦しいって。もっと頭のサイズに合った縫いぐるみを欲しがってたよ』

法子『だったら、ドーナツの縫いぐるみを』

『それは法子だけにしな。とりあえず愛海、七海ちゃんが好きそうな魚でサイズがぴったり合うのってあるのか?』

愛海『あー、こないだ、水族館でアンコウの縫いぐるみをじっと見てたなぁ』

『それだ。で、どこの水族館?』

愛海『それが……最近潰れてて』

『あちゃー』

27 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/04(日) 22:19:46 bvJ 26/40

――ホワホワホワ

智絵里「というわけでアンコウの縫いぐるみを作るのを手伝って欲しいんです」

「それは構わんが……時間はあるのか?」

智絵里「ちょっとゆるふわさんを呼んで、時間子に干渉してもらってきますね」タッタッタッ



「こりゃあ徹夜だな……」タメイキ

「私も手伝うよ」ニュッ

「朋にか?うーん……よし、お願いするか」

「任せて!」

28 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/04(日) 22:29:25 bvJ 27/40

千枝「それでは海老のトマト煮の作り方です」

千枝「今回は七海ちゃん一人用ということで一人前の量になります」

みく「誰に言ってるにゃ?」

千枝「材料は、大正海老2尾、玉葱みじん切りを1/4、人参みじん切りを1/4、トマト1個、トマトピューレ大さじ1ぱい、バターたっぷりと日本酒に片栗粉を小さじ1ぱい、塩胡椒にパセリとローリエ、タイムを適量です」
千枝「あと、ご飯を一杯分ですね」


千枝「まず、トマトを細かく刻んでおきます」トントン

千枝「鍋にバターを溶かして野菜を色が付くぐらい炒めて、海老を加え日本酒を入れさらに炒めます」ジュージュー

千枝「そこにきざみトマト、ピューレに塩胡椒とローリエ、タイムを入れて海老に火が通るまで煮込みます」コトコト

千枝「その海老を取り出して殻を剥いておきます」

千枝「煮込んだ鍋に片栗粉を水で溶いておいて回しかけて、とろみをつけます」

千枝「最後に海老を戻して温めて、ご飯に盛りつけてパセリで彩りをつけて完成です」

29 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/04(日) 22:30:58 bvJ 28/40

………………
…………
……

リップ

バン

ウィンクルエフェクト

智絵里「よっ……と」

芳乃「あちらでしてー」



七海「……」グスッグスッ



智絵里「……うん」

30 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/04(日) 22:44:33 bvJ 29/40

テクテクテク

智絵里「今晩は、七海ちゃん」

七海「っ!?……智絵里さん……?」

智絵里「もう夜も遅いよ。寮に帰らないの?」

七海「っ!」

七海「……」

七海「いいんれすよ……七海なんて、テレビに出てもお魚の知識を披露するぐらいしかできない存在れすから」

智絵里「あらら……なら、アイドルなんて」

智絵里「辞めちゃう?」

七海「……」

智絵里「今なら……ただの思い出で済ませられるよ」

智絵里「あまり深入りすると、芸能界の闇の部分まで見えちゃうしね」

七海「……」



智絵里「お父さんやお母さんにいつでも会いにいけるよ」

七海「っ!!」ビクッ

31 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/05(月) 21:00:47 I0j 30/40

七海「御父上……母上……」

智絵里(すっごい呼び方……)

七海「七海は……七海は……」グスッ

七海「弱い子です……」

七海「お二人に会えないだけで、友人に当たってしまい……ごらんの有様です」

七海「しかし……七海も……寂しいのです」



智絵里「……」

智絵里(まだ……14歳だもんね)



智絵里「バレなきゃいいんだよ」

七海「はい?」

32 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/05(月) 21:03:41 I0j 31/40

智絵里「今のことを聞いたのは私だけ。今回の騒動の……あと、本当の原因を知ってるのは愛海ちゃんと法子ちゃんぐらい」

智絵里「私は口は固い方だし……なんだったら二人ぐらい始末しちゃうけど?」

七海「それはダメなのです!」

七海「七海の……七海の大切な」



七海「お友達なのです!」

33 : ↓名無し... - 18/11/05(月) 21:07:37 I0j 32/40

智絵里「だってさ……どうする?」

七海「っ?!」

ガサササッ



愛海「七海ちゃん」

法子「一緒に帰ろう……ね」

七海「でも……」

愛海「今なら、私が縫いぐるみを壊したからで済む問題だから」

法子「ドーナツの神様に誓って、誰にも言わないから……ね」

七海「……」



七海「……馬鹿」

七海「……馬鹿です……馬鹿れすよ」

七海「二人とも、大馬鹿れす!!」

ダキッ

愛海「七海ちゃん……」

ダキッ



七海「あぅ……あぁ、うぐ、ごめんなさい……ごめんなさい……」

34 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/05(月) 21:09:24 I0j 33/40

千枝『智絵里さん、聞こえますか?』

智絵里『もう……いいとこなのにぃ』

芳乃『準備はできたのでしてー』

智絵里『ん……なら頃合かな?』





智絵里「じゃあ、みんな。帰るよ」

智絵里「「「はいっ!」」」

35 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/05(月) 21:14:44 I0j 34/40

…………
……

智絵里「よっと」タンッ

芳乃「お疲れ様でしてー」

愛海「……七海ちゃん」

七海「その……ご、ごめんなさいれ……す」



「……まったく、パーティに遅れるとはとんだお姫様だな☆」

七海「パーティ……れす?」

みく「そっ、七海ちゃんの新しいお仲間誕生だにゃ」



「ほいっ」ポイッ

七海「えっ?わわわわっ」

キャッチ

七海「これは……?」

36 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/05(月) 21:17:38 I0j 35/40

「どっかの戦車アニメにちなんで鮟鱇の縫いぐるみさ」

「予想よりデフォルメしちゃったけどね」



七海「……」

「あれ?問題があったか?」

「幸運の青い鳥を参考にしたのが悪かったかな?」



七海「……さん」

七海「決めたのれす。今日からこれはアンキモさんなのれす!」

「アンキモ……」

「……さん?」

七海「なのれす!」

37 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/05(月) 21:22:00 I0j 36/40

「あとサバオリくんも直したからな。ちゃんと御礼を言えよ☆つか言え」

七海「わぁ……ありがとうれす!!」



千枝「じゃ、じゃあ、お食事にしましょうか」



カチャカチャ

七海「これって……」

千枝「海老のトマト煮ですよ。多分こんなのだと……」

七海「……」ポロッ

愛海「七海ちゃん?」

七海「な……なんでもないのれすよ」ポロポロッ

七海「……七海の……七海が悪いのに、こんなに」ボソッ



智絵里「だから」

智絵里「心配しなくても大丈夫だってね」

七海「……れす」グスッ

38 : ↓名無し... - 18/11/05(月) 21:23:31 I0j 37/40

みく「それじゃあ、手を合わせて」

みく『いただきます!』





七海(その日、久しぶりに食べたその料理は、今まで食べた中で一番おいしく)

七海(一番あたたかかった……です)

39 : ↓名無し... - 18/11/05(月) 21:32:13 I0j 38/40

――数日後

ガチャ

かな子「おはようございます」

智絵里「あ、かな子ちゃん」

ワイワイガヤガヤ

かな子「どうしたの?みんな騒がしいけど」

智絵里「実は、青森から親善大使が来て、ウチにPRの歌を歌って欲しいって話が来て」

かな子「ってことは……」

「そう。ようやく七海もアイドルとして一歩踏み出せるわけさ」

かな子「よかったぁ……」

智絵里「そうだね……うん。あとは七海ちゃんがプロデューサーさんに、もっと素直になればね」

かな子「あははは……」

40 : ↓名無し... - 18/11/05(月) 21:32:56 I0j 39/40

「でもね」

「よくないのは杏だよ!こないだ寒いとこに連れて行かれたせいで、お腹壊しちゃったよ!!」

智絵里「ご、ごめんなさい……」

かな子「そうだ!なら、焼きりんごを作ってくるね」

「焼きりんご!生クリームたっぷりね!」

かな子「はいはい……今から作れば、レッスンが終わったぐらいに出来上がるかな?」

「ならレッスンをサボれば」



かな子智絵里「なんでやねん!」

バシッ

「あいたっ!」



アハハハッ





(o・▽・o)&(●・▽・●)おわりだよー

41 : ↓◆Vysj.4B9aySt - 18/11/05(月) 21:34:52 I0j 40/40

はい、意外に難産になりました。……元ネタは某とらハ2のエピソードです

ではありがとうございました。焼きりんごの作り方は別の機会に

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