1 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/06(火) 23:06:27.64 y0skAzj10 1/37

「そちらの会社の方で作っていただきたいのです」
技師「そんなことはわかる」
「ではこちらの図面の通り、お願いできますね?」
技師「・・・待て」
「はい?」

技師「・・・俺らに、ヤバい仕事・・・振ってるわけじゃねえよな」
「ははは、何をおっしゃいますか」

「この平和な国がそんな、あるはずないじゃないですか」
技師「・・・」



元スレ
技師「あん?なんだこの図面は・・・」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1254837987/

2 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/06(火) 23:09:25.87 y0skAzj10 2/37

技師「・・・」パラッ

技師「・・・」パラッ、パラッ


青年「社長、どうかしました?」
技師「ん、ああ」

青年「おおおっ、新しい仕事が入ったんですね?」
技師「・・・ああ、そうだ」
青年「いやぁ、ははは、最近は機械に仕事取られてますからねぇ、僕の腕を鈍らせずにすみますよ」
技師「・・・」
青年「なんていったって2カ月ぶり・・・」

技師「・・・おい」
青年「?」
技師「・・・お前は、作らなくて良い」
青年「・・・え?」
技師「俺がやる」


3 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/06(火) 23:11:36.49 y0skAzj10 3/37

青年「で、でも社長、それ結構サイズありますよ」
技師「そうだな、骨が折れそうだ」
青年「僕も手伝いますよ、ほら、この前挟んじゃった腕も治りましたし」

ギッギッ・・・ギギギ・・・

青年「・・・まだ関節部分がぎこちないですけど、ほら、ちゃんと」
技師「そういう意味じゃねえよ」
青年「・・・じゃあどういう」

技師「・・・」

バタン

青年「あ」
青年「・・・どうしたんだ?社長・・・」


6 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/06(火) 23:13:47.27 y0skAzj10 4/37

バタン

パサッ

技師「・・・」

“国家機密”

技師「・・・見たところ、何かの・・・ケース?装甲・・・のようだが」

技師「(・・・いや、これだけじゃ到底兵器にはなりえない・・・)」
技師「(考え過ぎか?だが国家機密・・・怪しすぎる)」

技師「(そもそもこの部品を何に使うのか・・・それも・・・)」


10 : 以下、名... - 2009/10/06(火) 23:18:48.93 y0skAzj10 5/37

ピッ

ヴォン

『被害者が5万人にも達し、行方不明者1万人が未だ発見されていない“ノイドデバイス管理棟事件”から2年・・・』

青年「・・・んー・・・またこのニュースか・・・朝も見たな」
青年「もっと面白い番組増やせっての・・・つまんねえ」

青年「・・・はぁ、仕事もらえないと暇だな・・・部品磨きだけっていうのもな・・・」
青年「それもこれも、全部機械に仕事を奪われて・・・」

ガチャ

技師「おい」
青年「あ・・・はい、なんでしょう社長」
技師「買って来て欲しい部品がある」
青年「(・・・またお遣いか・・・)」


12 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/06(火) 23:22:29.74 y0skAzj10 6/37

技師「ちょっと変わったリストだが、しっかり頼むぞ」
青年「はいはい・・・って、これ、こんな高級なパーツも使うんですか」
技師「そいつには斜線引いてあるだろ、それは受け取ったから別に良い」
青年「ああ、はぁ・・・」

技師「読み間違えて別の物買ってくんなよ」
青年「わかってますって」
技師「この前みたいなヘマしたらまた私物没収だぞ」
青年「あ、そういえば前のソフト返してもらってないじゃないっすか」
技師「いいから行け」
青年「・・・はいはい」

ウィィィン



14 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/06(火) 23:28:19.87 y0skAzj10 7/37

カッ、カッ、カッ

青年「(えーっと・・・うっわ、ほとんど聞いたことも無いパーツだ)」
青年「(実際に触ったことのないものも多い・・・うちでは取り扱い無いな?まぁ古い会社だし仕方ないけど・・・)」

青年「・・・えっと、この系統のパーツはこっちの棟から・・・」


『よーし、引き揚げろー!』

青年「(・・・お、地上のコンテナ倉庫・・・なんかやってるな・・・)」
青年「どれどれ・・・」

『慎重に揚げろよ!これでも世界遺産だからな!』


青年「ああ・・・一週間前の・・・」
青年「なんだっけ・・・パル・・・?横倒しか・・・足もいくつかないし・・・」

青年「・・・嫌~な時代になったもんだ」

カッカッカッ・・・


16 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/06(火) 23:33:20.09 y0skAzj10 8/37

技師「・・・」

『そうですね、二週間前から続く“攻撃”により、我々の宝は壊滅的な被害を受けています』
『隣国からの“攻撃”に対して我々には何か対抗策は無いのでしょうか?』
『難しいですね、何せ機械の超大国・・・』

技師「・・・この図面・・・パーツ位置・・・」
技師「・・・作った事・・・いや、見たことも聞いたことも・・・」

ガチャ

青年「社長ー、パーツ買って・・・」
『対抗するためには我々も相応の武装強化をしなければならないでしょう』

青年「うっさ、社長、ラジオはもう少し音下げて・・・ただでさえ古ぼけた“デンパ”なんですから・・・」
技師「ん?あ、ああ・・・悪いな」


『国の対応はいまのところどうなのでしょうか?』
『そうですね、これから求められてくるのは・・・』


17 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/06(火) 23:37:05.97 y0skAzj10 9/37

技師「・・・よし、全て揃っている・・・番号も・・・」
青年「・・・」
技師「・・・ん?」
青年「えっ」

技師「・・・」
青年「・・・」

技師「合ってるな」
青年「・・・驚かせないでくださいよ」
技師「まさか完璧に買ってくるとは思ってもいなかったからな、はは」
青年「なんすかそれ」
技師「さあな」

ジャラララ・・・

技師「・・・後は俺がやる・・・お前は表でメンテでもしてろ」
青年「ええー・・・僕に何かできることは」
技師「ない、さっさと失せろ」
青年「そんな」
技師「いいからいけ、しっしっ」
青年「横暴な・・・」

バタン

技師「・・・」


18 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/06(火) 23:40:57.90 y0skAzj10 10/37

『継ぎ足しまであと何分だー!?』
『早く作業を進めろー!間に合わないぞー!』


青年「・・・」ボーッ

「やあ、どうも」
青年「!」

「・・・向こうの会社で働いている・・・方ですね?」
青年「え?あーはい・・・まぁ」
「休憩ですか?」
青年「・・・」
「・・・ははは、そんなに怪しまないでください、こういう者ですから」

スッ

青年「・・・?」
「国からの“遣い”です」
青年「・・・」
「良い天気ですね、少し向こうで話しましょうか」


19 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/06(火) 23:44:52.31 y0skAzj10 11/37

青年「・・・はぁ、あなたがうちの会社に・・・」
「ええ、・・・ですが、国家機密なので」
青年「ああはい、口外はしませんよ、大丈夫、慣れてますから」
「ははは、頼もしい・・・ありがたいです」

『次、引き揚げろー!』

ゴン・・・ゴゴゴゴゴン・・・


「・・・この国中の遺産が、この町に集められていますね」
青年「ええ、最近は三日間隔で色々な遺産が運ばれてきますよ・・・うるさいったらないです」
「ははは、間近で見れて、羨ましいです」
青年「大したことないですよ、あんなもの」

青年「・・・もう西暦何年だと思ってるんです、なのにあんな、くだらない石の塊なんか持ち寄って・・・」
「戦争ですからね、仕方ないです」
青年「守る価値がどこにあるんだか・・・」
「・・・」


20 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/06(火) 23:49:47.74 y0skAzj10 12/37

「・・・守る価値は、ありますよ」
青年「?」
「この時代だからこそ、なんですよ」
青年「んー・・・そうなんですかねぇ・・・」

青年「でも、ですよ」
「はい」

青年「・・・もう戦争、決まったようなものですよね?」
「・・・さあ、それはどうでしょう」
青年「wかりますよ、ニュースでも・・・ラジオでも・・・隠してはいるけど、伝わってきますよ」

「・・・確かに、劣勢ではありますが・・・」
青年「相手はあの超大国です、技術に関して言えばもう、この国とは何千年もの開きがあるでしょうよ」
「・・・ふむ」
青年「遺産なんて守ってる場合じゃないっすよ、本当に」


23 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/06(火) 23:53:21.33 y0skAzj10 13/37

ガチャ

青年「ふー、話してたら遅くなってしまった・・・」
技師「よう」
青年「あ、社長どうも・・・仕事は進みましたか?」
技師「ああ、遅くとも明後日・・・早ければ明日にでも終わる」
青年「早っ」
技師「大至急、との御達しだからな」

青年「・・・国からの?」
技師「・・・ああ」
青年「ふぅーん・・・大丈夫なんですか、この仕事」
技師「・・・多分・・・な」
青年「多分て・・・もし兵器の部品とかだったらどうするんです、最悪ばれたら敵国にこの町、というかこの会社ピンポイントで狙われますよ」
技師「・・・大丈夫だ、心配するな」
青年「・・・まぁ、今さら身の危険なんて感じませんけどね・・・」


24 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:01:43.90 /2/UWuXh0 14/37

技師「これだ」

ガチャ

青年「・・・これは・・・デバイス・・・?の、ロック、ですかね・・・?」
技師「近いな、デバイスを保護する鎧とでも言うか・・・」

青年「・・・うん、確かに・・・人が乗り込めそうなほど大きいですけど・・・確かにデバイスロック・・・ですね」
技師「・・・どうかな」
青年「どうかなって・・・これそうですよ、デバイスロックです」
技師「・・・形はな、だがお前・・・」

技師「・・・通常のデバイスは人の脳と同じ程度のサイズだろう」
青年「・・・そこは・・・ほら、発注ミスですよ」
技師「こいつは、誰の脳みそを入れるケースなんだ?」
青年「・・・さあ・・・いるんじゃないんですか、そんな人が・・・」
技師「バカ言え」

技師「・・・まぁ、デバイスに似た・・・何かを保護する部品なんだろうな」
青年「うーん・・・」
技師「・・・どうせ国家機密だ、そう思っておけ」
青年「まぁ・・・はい」


25 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:05:57.67 /2/UWuXh0 15/37

「はい・・・はい、確かに、はい・・・」

「・・・ええ、しっかりと作業を進めて・・・はい、口も固いです」

「・・・ああ、大丈夫です、一社だけです・・・ええ、消しておきました」

「・・・ええ、すみません・・・ええ」

「・・・そうですね、早急に・・・急がせましょうか、はい、追加の料金を・・・」

「いえいえ、当然のことです、はい・・・早急に・・・はい」

「・・・?デバイスのですか?・・・ええ・・・ああ、わかりました・・・」

「・・・大丈夫です、すぐに完成させるよう・・・はい、はい・・・では、はい・・・」



「・・・さて」


26 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:10:35.95 /2/UWuXh0 16/37

『以前続く大陸間からの攻撃に、国内からも・・・』


青年「・・・今日もですか・・・」
技師「そりゃそうだ、俺の仕事ですからな」
青年「これで僕、本当にお給料もらえるんでしょうね」
技師「ああ、きっちりくれてやるからさっさと行け、どこへでもな」
青年「なんですかそれ・・・なんだかなぁ」

バタン

青年「・・・確かに、作業に集中したい気持ちはわかるけどさ・・・」
青年「もうちょっと、部下の扱い方ってもんがあるでしょうが・・・ねぇ?」

『明朝4時、“攻撃”によって3つの国と都市が壊滅し・・・』

青年「・・・はぁ」

青年「(また、広場に・・・行くかぁ・・・)」

タッタッタッタッ・・・


27 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:13:57.98 /2/UWuXh0 17/37

ゴゥン・・・ゴゥン・・・

青年「(・・・ほわー・・・すげぇー・・・)」
青年「(トラック・・・?いやいや、そんなサイズじゃないなあの車・・・すげぇ、あんなに沢山・・・)」

青年「何運んでいるんだろう・・・コンクリかな・・・遺産の補強に使うのかな・・・」


「どうも、こんにちは」
青年「あ、こんにちは・・・どうも、また来たんですか」
「ええ、仕事の確認にですね」
青年「お疲れさまです」
「ははは、どうも」

青年「・・・」
「・・・あの、倉庫の近くに停まっている車両達ですか?」
青年「あ、わかりましたか」
「凝視していましたからね、地上を」


28 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:17:06.28 /2/UWuXh0 18/37

「あれは“金属”ですよ」
青年「金属・・・?」
「コンクリートでもなんでもありません、金属です・・・ドロドロに溶かしたね」
青年「ほわぁ・・・すげぇ・・・」

「・・・ほら、それにあそこの大きな貨物車両・・・」
青年「・・・え、ああ・・・あれですね、これまたひときわ大きな・・・」
「あれが“補強部品”を運んでいる車両です」
青年「・・・いやぁ、さすがに詳しいですね」
「ははは、いえいえ」

青年「・・・あんなにたくさんの車両が、あの遺産を直すために使われているんですね」
「ええ、そうです・・・素晴らしいことですよ」
青年「・・・んー、そうでしょうかねぇ」
「何をいいます、人間の遺産ですよ?」
青年「・・・まぁ・・・はい」


29 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:21:35.88 /2/UWuXh0 19/37

『よーし、部品を降ろせー!』


青年「・・・人間の遺産・・・とはいえですね、あっけないもんですよね」
「・・・」
青年「たった一発の砲弾で“あれ”なんですから」
「・・・」
青年「それなのに、直すのにはあんなに沢山の労力が必要なんですよ、非効率もいいところです」

青年「・・・どうせ壊されるものなんです、なら、最初からない方が良い・・・僕はそう思いますよ」
「・・・」
青年「・・・あ、すみません・・・・気にしないでください」
「・・・ははは、いえいえ、そんな」

「あなたの言う事は正しいですよ」
青年「え?」
「どうせ壊されるものなら、最初からない方が良い・・・」
青年「・・・」
「しかし裏を返せば」

「“壊れなければ”“存在し続けて良い”んですよ」


30 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:25:01.76 /2/UWuXh0 20/37

青年「・・・」
「・・・あはは、まぁ、気にしないでください」

「ところで、作業の方は進んでいますか?実はちょっと、もっと工期を縮めて欲しいのですが・・・」
青年「え?あ・・・ああ、はい・・・そうですねぇ、社長に聞けばなんとか・・・」
「できれば明日には完成させて欲しいのです」
青年「明日・・・明日・・・ああ、多分・・・大丈夫・・・?」
「本当ですか?いやぁ、ありがとうございます」
青年「いや、あはは・・・うちの社長、作業は早いですからね」

「・・・では、明日・・・早くに窺います・・・3時くらいに」
青年「あ・・・はーい、どうも・・・」

青年「(・・・って、3時かよ・・・早すぎるだろ)」


32 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:28:02.37 /2/UWuXh0 21/37

技師「・・・3時だ?」
青年「催促されたんですけど・・・」
技師「バカ言え、3時・・・」
青年「難しいですかね」
技師「いや、1時には終わらせる」
青年「・・・無茶じゃないですか?そんな・・・・」
技師「俺に不可能は無い」
青年「かっこいいなぁもう・・・本当に大丈夫なんですね?」
技師「お前がいると失敗の尻拭いで手間がかかるが、一人ならスムーズに終わるんだよ」
青年「・・・」
技師「冗談だ」
青年「・・・はい・・・あの、真顔で冗談はやめてください、ほんと、お願いですから」


『またもや隣国からの“攻撃”予告がなされ、明日午前2時には・・・』


34 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:32:01.34 /2/UWuXh0 22/37

ガチャガチャ、カチャ

技師「・・・ったく、3時か・・・徹夜させる気か?お国の方々はよ・・・」
技師「こっちの身にもなってほしいもんだね、こんな・・・何に使うのかわからん品物・・・」

技師「・・・」

“完成後、支給手当…1200万”

技師「・・・」
技師「・・・どうも・・・」ガチャガチャ

技師「くせぇ・・・油くせぇ・・・臭いが、するんだよな・・・」ガチャカチャ

ザザ・・・ザザ・・・

『着弾地点は不明ですが、予想によりますと・・・』
『ザザザ・・・のザザザ・・・庫ザザザ・・・』
『ピー・・・ザザザ・・・となるようです』

技師「さっさと作業進めっか・・・」


37 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:36:00.11 /2/UWuXh0 23/37

青年「ふわぁぁあ・・・やっと荷物整理がおわった・・・」

“1時46分”

青年「うっわ、もうこんな時間・・・」
青年「・・・また今夜も倉庫の作業音で眠れないんだろうな・・・」

青年「・・・?」
青年「・・・あれ・・・おかしいな、音が・・・今日はしないのか」
青年「・・・いつもはあんなに、遺産の復旧作業でうるさかったのに・・・」

青年「・・・」

ソロリソロリ

青年「(角度は悪いけど、窓からも一応倉庫の様子が・・・)」

青年「(・・・?)」
青年「・・・なんだ・・・」

青年「・・・地上が一面・・・煙で・・・何も・・・」


40 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:40:32.60 /2/UWuXh0 24/37

青年「・・・まぁいいや、社長は作業してるけど・・・出ちゃえ」

ウィィィン・・・

青年「(・・・さすがに外は静かだな・・・)」
青年「(とりあえず、地上の巨大倉庫が見えるところまで・・・)」

タッタッタッタッタッ・・・


カッ、カッ、カッ、カッ・・・

「(・・・さて・・・そろそろ作業は終わってもらわないと・・・困るな・・・)」
「(未完成でも、ね・・・急いで提出していただきますよ・・・)」

「・・・よし、入るぞ」
戦闘員「・・・」
戦闘員「・・・」
戦闘員「・・・」


ウィィィィン・・・

タッタッタッタッタッ・・・


41 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:44:44.26 /2/UWuXh0 25/37

ガチャ、ガチャ・・・

ウィィィィィ・・・ン・・・


『ザザザ・・・』

技師「・・・ふぅ、なんとか終わった・・・終わった・・・いやー、さすがに急いだが、なんとか手抜きはせずに完成はしたな・・・」
技師「初日に無理したのが良かったな・・・あれがなけりゃとても時間までには」

『ザザ・・・ザザザ・・・』

技師「・・・あとは、壊れっぱなしのこのオンボロラジオだな・・・こいつも寿命か」
技師「高けぇもんを買ったつもりだったが・・・うーむ」
ガンガンガン

ザザザ・・ザザ・・・

『・・・弾攻撃がザザザ・・・巨大倉庫群に向けられ・・・ザザザ』

技師「・・・」

技師「おい・・・ちょっと・・・」

バタンッ!

技師「・・・!」


43 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:49:09.41 /2/UWuXh0 26/37

「こんばんは、おじゃましますね」

戦闘員「・・・」チャキッ
戦闘員「動くな」チャキ


技師「・・・ああ、あんたは依頼した・・・国からの・・・」
「完成しましたか?」
技師「おいおい、そんなに急かさなくても」
ドウンッ!

技師「っ・・・ぐぁ・・・!ぁあああ!・・・!」

「おいおい、“脚”じゃない、“足”を狙ってやれ、聞き出す前に失血死するぞ」
戦闘員「は、申し訳ありません」

技師「・・・ぁ・・・はぁ・・・は・・・!」ドクドク・・・
「いや、すみませんね、歩け・・・ませんね?」
技師「お前・・・やっぱり・・・この、仕事・・・!」
「いやいや、危ない仕事ではないですよ?・・・・私が、ですけどね」
技師「・・・!」


44 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:53:08.99 /2/UWuXh0 27/37

「・・・おお、すばらしい・・・」
戦闘員「運び出しましょう」
「ああ、マニュアル・・・訓練通りに運べ、いいな」
戦闘員「はっ」

ガチャ、ガチャ・・・カチカチ・・・

技師「ま、待て・・・!そいつは・・・!」ドクッ、ドクッ・・・
「良い仕事をしてくれました、ありがとうございます」
技師「・・・(ギロッ」
「あはは、怒らないでくださいよ・・・仕方なかったんですから」
技師「なぜ・・・国がこんな・・・!平和は・・・!平和を謳い文句にしていた、この国の方針はどうした・・・!」
「平和・・・?ああ・・・平和ですよ?」
技師「・・・こんな、兵器など作っておきながら・・・!」
「・・・ククク・・・兵器・・・?」

「・・・まぁ、そうかもしれませんけどね・・・ククク・・・」
技師「・・・」


45 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:56:57.10 /2/UWuXh0 28/37

戦闘員「取り外し完了しました」
「倉庫まで運べ、スロープは用意してある」

技師「・・・」
「コストがですね、かかるんですよ」
技師「・・・?」
「国の機関で製造しては、周辺国家からの視線も厳しい・・・タダでもないし、時間もかかる・・・」

「だからこの都市が選ばれたんですよ、わかりますか?」
技師「・・・?」ドクドク・・・
「ああ・・・電波妨害や通信妨害がかかっていましたからね・・・そういえばあなたがた市民は知らないんでしたね」

「この都市が今日、もうすぐ攻撃されるということを・・・」


46 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 00:59:11.94 /2/UWuXh0 29/37

タッタッタッタッタッ・・・

青年「(うっわ、外は煙だらけ・・・なんて景色だ、周りが全然見えない)」
青年「(広場を見下ろせる所は・・・えっと、こっち方面だったかな・・・)」

タッタッタッタッ・・・

ガッ

青年「(うわっ!?)」
ドテッ

青年「(・・・いたたた・・・)」
青年「(おいおい、一体何が・・・・)」

死体「・・・」
青年「(・・・何が・・・)」


48 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 01:04:57.33 /2/UWuXh0 30/37

「普段から平和を謳っているとですね、なかなか反撃ができないのですよ」
「それなりに殴られ、犠牲を出され・・・そうでもなければ、こちらから動く事ができないんですよ、この国は」

「だから吉報でしたよ、隣国からの攻撃対象にこの都市が選ばれた事はね」
「ひとつの巨大都市が消えてしまえば、いくら平和ボケしたこの国でもアクションを起こすことができる」

「わかりますか?これはチャンスなんです、一世一代のね」

「・・・これに乗じて、国は決めたんですよ・・・この都市全体で兵器を製造し、かつその製造の証拠を隠滅する・・・」
「素晴らし計画です、なに、この都市が生贄となることは残念ではありますが、これで我々の国家は・・・」

技師「・・・」

「・・・って、もう死んでるか」
「・・・ふふふ、まぁ、お金は払えないので・・・申し訳ありませんね」

カッ、カッ、カッ、カッ・・・


『ザザザ・・・・ザザザー・・・ザザ・・・』


49 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 01:08:06.25 /2/UWuXh0 31/37

スッ、スッ、スッ、スッ・・・・

青年「(なんだなんだ・・・なんなんだ!何が起きているんだ!)」
青年「(遠くを見ても煙、煙、煙・・・!街全体が煙に包まれている!)」

青年「(それだけじゃない、なによりこの、道の上に転がる・・・死体の山・・・!)」

青年「(撃ち抜かれた跡がいくつもある・・・殺されている、間違いない!)」

青年「(一体誰が・・・何故、なんのために・・・こんな・・・!)」

タッタッタッタッ・・・



ドウンッ!!!


青年「ぐ・・・ふァ・・・!?」

ドチャッ・・・


50 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 01:12:33.19 /2/UWuXh0 32/37

「・・・ふー・・・焦りましたよ、まさか外にいたなんて」
青年「ぁ・・・あぁ・・・が・・・・」

「大丈夫ですか?余裕がなかったもので・・・申し訳ないです、楽に殺してあげようと思ったのですが」
青年「な・・・んで・・・」
「なんで?」

「“壊れなければ”“存在し続けて良い”」

「・・・これから壊れる・・・そう決まっているものを守る人が、この世にいると思いますか?」
青年「・・・な・・・が・・・ぁ・・ああ・・・」
「・・・ふふ、納得いかない・・・という顔ですね?」
青年「ころ・・て・・・やる・・・!が・・・がはっ、げほっ・・・ぐぅう・・・!」

「見せてあげますよ・・・これから、あなたたちこの都市の全ての技術者が仕上げた、神の技術をね」


53 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 01:19:46.83 /2/UWuXh0 33/37

サァァァァァ・・・・


霧が晴れた。いや、これは煙である。
故意に張られた暗幕である。


神殿『・・・・・・』


数多もの倉庫が並ぶこの広大な広場に、一機の巨大な建造物が、

いや、巨大な腕と、2つの眼光を輝かせた“神殿”が、倉庫群の中に佇んでいた。

最後のパーツは頭部に備えられ、人工の意思を埋め込まれ、揺るぎない完璧な直立を見せていた。


目の前に聳える巨大な高層ビルほど高くはないが、しかしその金属質の威圧感は、何よりも重く、高く聳えるような印象があった。


「・・・見えますか?あれがかつて、この国の遺産であった建造物・・・神殿・・・」
「ふふ・・・そう、神です・・・まさに神なのです」

「神であり、兵器であり、城ですらある・・・知能を持ち、強固な装甲とシールドを持ち・・・この国を守り、戦い抜く」
「完成・・・ははは・・・完成だ・・・!」


55 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 01:26:41.43 /2/UWuXh0 34/37

青年「・・・」

「・・・“神殿”は、これから飛び立ち・・・国の首都へと向かう」
「見た目こそ美しいが、中身だってちゃんとある・・・防御能力は他の相手の兵器すら凌駕するでしょう」
「君が作ってくれたデバイスのロックも、ちゃんと活用されていますよ・・・ふふふ、まぁほんの一部にすぎませんが・・・」

「・・・この神殿が、これから未来永劫、防御兵器として国を守ることでしょう・・・ふふふ」
「誇らしいことでしょう?この都市はこれから攻撃を受け壊滅しますが・・・しかし、これからは・・・」

prrrrrrrr,prrrrrrr

「!おっと、通信だ・・・そうか、そろそろ首都に帰還する時間だな・・・早く屋上のポートにいかなければ・・・」
ピッ

「・・・はい、こちら・・・」
『ご苦労、確かに“機神”の起動を確認した・・・すぐに本体を遠隔操作し、帰還させる』
「ええ、では我々も・・・」
『いいや、貴様らはそこに残れ』
「・・・」

「・・・え?」


57 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 01:32:28.04 /2/UWuXh0 35/37

『国が予定を変えた』
「・・・予定?ああ、別の経路に変更と・・・」
『そうではない』
「・・・」

『・・・防衛目的で造られた“機神”だが・・・変更だ、攻撃用として活用することとなった』
「・・・」

「ははは・・・あはは、何を・・・」
『申し訳ないが、帰還は“機神”だけだ、貴様らはここで死ね』
「・・・」

「・・・我々のような“平和主義者”をこの作戦に割り振ったのはつまり、そういうことだというのか?」
『ああ、最初からそのつもりだった』
「・・・」
『我々も、いつまでも“穏健派”ではいたくないのでな』
「この・・・よくも・・・!」
『さらばだ、同胞と共に、その大地に深く眠るが良い・・・倉庫群に溜めこんだ、“念の為”の火薬何千トンと共にな』
「・・・!」

「く・・・くそぉおおおお!!」


58 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 01:36:13.57 /2/UWuXh0 36/37

一機の“神殿”が飛び立つとともに、巨大な均整都市は数十秒で灰塵に帰した。

やってきたひとつの弾影を見た男は、悔しさにゆがめた表情を最後にその一生を閉じる。


そして、やがて日はめぐり・・・戦火を増し・・・。

西暦はあっけなく、その生涯を閉じた。

皮肉なことに、人類が守り続けてきた数多くの宝によって。


59 : 1 ◆1pwI6k86kA - 2009/10/07(水) 01:37:32.70 /2/UWuXh0 37/37

おわり


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