1 : 以下、名... - 2012/10/16(火) 23:18:31.39 UXxGrO7X0 1/88

「すいませーん……誰かいますか?」

「いらっしゃ……あれ? プロデューサー?」

「凛じゃないか。 バイトか?」

「ううん。 ここは私の家だよ」

「そうだったのか。 いやー、実家が花屋だなんて知らなかったわ」

「言ってなかったからね」

「まあ、言う必要も無いからな」

「うん」




※悲しくなるからネタバレはしないでね



元スレ
モバマスP「今日は花屋に行く日だった」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1350397111/

2 : 以下、名... - 2012/10/16(火) 23:22:44.38 UXxGrO7X0 2/88

「参ったな……」

「私じゃマズいのかな」

「んー、今までもここ利用してたけど、知ってる人となったらね」

「秘密はバラさないよ」

「秘密ってほどでもないんだけど、買いにくいというか」

「……そんな花なんてあった?」

「誰にも言わないでくれよ?」

「……わかった」


3 : 以下、名... - 2012/10/16(火) 23:26:08.18 UXxGrO7X0 3/88

「それじゃあ、紫苑と女郎花、あと蛇結茨」

「それって…………わかった。 誰にも言わないよ」

「俺用に頼んであったはずだから、予約品に無いかな?」

「ちょっと探してみる……あったよ」

「ありがとう、凛」

「ううん……はい。 1600円ね」

「ありがとう。 それじゃ、また明日な!」

「うん」


6 : 以下、名... - 2012/10/16(火) 23:30:05.25 UXxGrO7X0 4/88

加蓮「お客さんだったの?」

「うん。 プロデューサーだった」

奈緒「へー、あのプロデューサーが花ねー?」

「…………」

加蓮「凛?」

「……うん、何でもないよ?」

奈緒「じゃあハナコちゃん貸して!」

「……ねえ、2人とも」

加蓮「何?」

「調べないといけないことが出来たから、手伝って」


8 : 以下、名... - 2012/10/16(火) 23:34:29.41 UXxGrO7X0 5/88







アイドルマスター シンデレラガールズSS



        『kaleidoscope』




.


11 : 以下、名... - 2012/10/16(火) 23:38:45.97 UXxGrO7X0 6/88

ちひろ「プロデューサーさんの履歴書?」

「うん。 見ることって出来ないかな」

ちひろ「重要書類だし、ちょっと難しいかも知れないよ?」

「そっか……ごめんなさい」

ちひろ「プロデューサーさんに許可取ってみる?」

「うーん……ちょっとそれはいいかな……」

ちひろ「あれ? プロデューサーさん、どうしたんですか?」

「え?」


12 : 以下、名... - 2012/10/16(火) 23:42:11.58 UXxGrO7X0 7/88

「え?」

「ごめんなさいちひろさん、明日の引継ぎをしておこうと思いまして」

ちひろ「今からですか? 大丈夫ですよ」

「凛? どうしたんだ?」

「ううん。 プロデュサーって明日オフだよね?」

「我侭言って取らせてもらったんだ」

「そっか……」

ちひろ「プロデューサーさん? じゃあ始めましょうか」


13 : 以下、名... - 2012/10/16(火) 23:46:17.76 UXxGrO7X0 8/88

「わかりました。 というわけで凛、また後でな」

「うん」


――――――

―――




「明日なんだけどさ」

奈緒「何だ藪から棒に」

「予定何かある?」

加蓮「明日はオフだよ」

奈緒「アタシも」


16 : 以下、名... - 2012/10/16(火) 23:50:54.43 UXxGrO7X0 9/88

「じゃあ、9時に○○駅前集合ね」

加蓮「調べることの件?」

「うん。 プロデューサーを尾けるよ」

奈緒「はあ?」

「乗る?」

加蓮「うーん……気にならないって訳でもないし……」

奈緒「乗った!」

加蓮「えー……じゃあ、私も行くかな」

「わかった。 お金は多めに用意しておいてね」


17 : 以下、名... - 2012/10/16(火) 23:53:47.35 UXxGrO7X0 10/88

奈緒「ところで、プロデューサーの家わかってるのか?」

「エナドリ10で手を打ったよ」

加蓮「えっ」


つぎのひ


「おはよう」

加蓮「おはよー」

奈緒「おっす」

「じゃあ、行こうか」


19 : 以下、名... - 2012/10/16(火) 23:58:22.13 UXxGrO7X0 11/88

加蓮「探偵ごっこみたいだね」

奈緒「そんな高尚なもんじゃないと思うけどなー?」

「いいから。 行くよ」

加蓮「うん」


――――――

――――

――

「ここだよ」

奈緒「ふっつーのマンションだな」


20 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:01:08.23 gWDvd4SR0 12/88

加蓮「まだそんなに事務所も大きいわけじゃないし、仕方ないんじゃない?」

「そろそろ出てくると思う」

加蓮「何でそんなことわかるの?」

「勘」

奈緒「勘ってねぇ……」



「…………」



加蓮「あ、本当に出てきた」

奈緒「嘘っ! 手に持ってるのは……花束?」


24 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:05:15.70 gWDvd4SR0 13/88

「そうだと思う。 うちで買ったやつだよ」

加蓮「じゃあ凛は何の花を買ったか知ってるんだ?」

「うん。 でも、それはいいじゃない」

奈緒「まあいいか。 見失っちまうぞ?」

「急ごう」








26 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:09:10.91 gWDvd4SR0 14/88

「駅?」

奈緒「電車かー、切符をよく見てないと買うの間違えたら大変だぞ」

加蓮「でも今の時間なら××行きと環状線しかないよ?」

「多分××行きだと思う。 環状線で行ける範囲なら一日休みいらないと思うし」

奈緒「××って……」

「乗り換え、か」


「…………」


奈緒「あまり近くに座らないほうがいいよな」

「そうだね」


27 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:12:53.36 gWDvd4SR0 15/88

加蓮「ちょっと目的地に着いたら起こしてね……」

奈緒「おいい?」

「ちょっと私も寝るね、降りそうになったら起こして」

奈緒「凛まで……ったく」




『終点××~ ××です。 △△線へのお乗換えは3番ホームです』

奈緒「起きろって! もう!」

「ごめん……」

加蓮「……Pさんは?」

奈緒「もう降りたよ! 早く追うぞ」


29 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:18:20.40 gWDvd4SR0 16/88

「うん……」

加蓮「乗り換えて……」

「やっぱり△△に行くんだ……」

加蓮「やっぱり?」

「うん、プロデューサーの履歴書見たらさ、出身地が××だったんだよ。 だから、その先の△△って可能性もあるんだ」

奈緒「あれ? でも△△って」

「そうなんだよね」

奈緒「調べてみたけど、とっくに廃村になってるよな?」

加蓮「廃村?」


30 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:21:20.36 gWDvd4SR0 17/88

「うん。 私も調べてみたんだけどね、15年前に廃村というか、ダムの下になってるんだ」

奈緒「てことは……プロデューサーはダムを見に行ったのか?」

「そうじゃないと思う」

加蓮「とりあえず△△駅はこの路線の終点だから、ゆっくり出来るね」

奈緒「それもそうだな、じゃあ寝るぞ」

加蓮「お菓子でも食べようか」

「そうだね」

奈緒「アタシも食べる」

「寝ないの?」

奈緒「食べる」


31 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:24:25.86 gWDvd4SR0 18/88

『終点△△~ △△~』

「着いた」

奈緒「空気がおいしいなー、流石田舎は違う」

加蓮「療養で来たことある所に似てる雰囲気だなぁ」


「…………」


奈緒「無人駅を出て、ダムの方か?」

「うん、あっちのほうが△△村の方みたい」

加蓮「ねえ、凛?」

「何?」

加蓮「もしかして、結構歩く?」


33 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:28:12.74 gWDvd4SR0 19/88

奈緒「あー……加蓮はまだ体力が充分じゃないからな……」

加蓮「いざとなったら休むから大丈夫だよ」

「辛くなる前に言ってよ?」

加蓮「うん……よし、行こう」







加蓮「△△霊園?」

「やっぱり……」

奈緒「墓参りか?」

「そうみたいだね」


36 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:32:11.00 gWDvd4SR0 20/88

加蓮「これは邪魔したらだめでしょ……」

奈緒「同じく」

「出来る限り近くまで行くよ」

奈緒「本気か!?」

「うん」

加蓮「どうしてそこまでするのさ?」

「プロデューサーさ、去年も同じ日に休みを取ってるんだ」

奈緒「だから?」

「もしかしたら、とても大事な日なのかもしれないと思って」


38 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:35:33.76 gWDvd4SR0 21/88

奈緒「や、だからってさ」

加蓮「ああ……そうこういってる間に着いちゃった……」


「…………」


「花を添えた……」

加蓮「何しゃべってるのかな……聞き取れないや」

奈緒「押すな押すな頼むから」

ぱき

「!?」

奈緒「あ」

加蓮「~~~!」

「はぁ……」


39 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:39:14.94 gWDvd4SR0 22/88

「お前ら……こんなところで何してる……いやわかるけども」

「ごめん、プロデューサー」

「尾けてきたか……」

奈緒「こんなことだとは思わなかったよ」

加蓮「なんというか……ごめん」

「まぁいいや……さ、帰ろう」

「もういいの?」

「ああ……いいんだ」

「プロデューサー……」

「さ、駅に戻ろう。 次を逃すと3時間後だぞ?」

加蓮「え」


40 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:42:36.15 gWDvd4SR0 23/88

奈緒「3時間は勘弁! さっさと戻ろう」

「…………」

奈緒「りーんー?」

「ごめん、すぐ行くよ」







「ねえ、プロデューサー」

「なんだ?」

「あの花は、誰に向けたものなの?」


41 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:46:04.21 gWDvd4SR0 24/88

加蓮「凛!」

奈緒「お前何馬鹿聞いてんだ!」

「…………」

「私は花屋の娘だよ? 花言葉くらい知ってる」

「…………はぁ……」

加蓮「いや、言わなくていいからね?」

奈緒「そうだぞ? いくら凛に聞かれたからって、言う必要は」

「あるよ」


43 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:49:52.15 gWDvd4SR0 25/88

加蓮「凛……一体どうしたのさ……」

「誰に当てたものなの? 家族?」

「わかったわかった……仕方ないな……」

奈緒「Pさん、いいのか?」

「いいよ……」

「…………」

「ふう……じゃあ、少し昔話をしようか」


44 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:53:03.85 gWDvd4SR0 26/88

~15年前 1月25日~


「え? おひっこし?」

「そうなのよ。 国の方針でね、村が無くなっちゃうの」

「えー? ぼく、ここすきだよ?」

「パパもこの村は好きだよ。 でも決まっちゃったことなんだ」

「ねーねー、おひっこしするのはわかったけど、ここにはいつまでいるの?」

「ギリギリまでいるさ、そうだな……3月20日までかな」

「さんがつはつかだね! わかった!」

「うんうん、いい子だな」

「にへへー」


45 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 00:57:32.36 gWDvd4SR0 27/88

~△△公園~

「……おひっこしかぁ……」

「…………」

「××村におひっこししたら、おともだちいっぱいできるかな……」

「…………」

「あれ?」

「……なに……?」

「こんにちは!」

「……こんにちは……」


49 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:02:21.54 gWDvd4SR0 28/88

「あそんでるの?」

「……ううん……」

「じゃあ、何をしてるの?」

「……そらを……みてるの……」

「おそら?」

「……うん……」

「うわぁ! きれいだね!」

「……そうね……」

「ぼくはpっていうんだ! きみは?」

「……わたしは……―――……」


51 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:06:44.66 gWDvd4SR0 29/88







「じゃあぼく、きょうはかえるね!」

「……ええ……」

「あしたもここにいる?」

「……いるわよ……」

「あしたもくるから、いっしょにあそぼうね!」

「……いいわ……」

「じゃあね!」

「……さようなら……」


53 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:10:27.49 gWDvd4SR0 30/88

~1月31日~

「…………」

「こんにちは!」

「……こんにちは……」

「きょうもさむいね!」

「……ふふ……そうね……」

「なにしてあそぶ?」

「……おそらを……みましょう……」

「うん!」


55 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:13:48.98 gWDvd4SR0 31/88







「じゃあまたね!」

「……ええ……」

「こんどはあさってにくるね!」

「……わかった……」

「ばいばい!」

「……さようなら……」


56 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:18:11.45 gWDvd4SR0 32/88

~2月10日~

「――ちゃんは、どうしておそらをみてるの?」

「……ほんとうは……おほしさまをみるのがすき……」

「おほしさまはよるじゃないとみられないよ?」

「……だから……おひるは……おそらをみてるの……ほら……」

「あ! うっすらおつきさまがみえる!」

「……うん……」

「おひるにおほしさまをみるにはどうしたらいいのかな?」

「……あるわよ……」

「ふぇ?」

「……こんど……もってくるわ……」


58 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:22:05.92 gWDvd4SR0 33/88

~2月12日~

「なにそれ?」

「……やくそく……」

「あ! おほしさまがみられるやつ?」

「……はい……」

「うわぁ! きれい!」

「……ふふ……」

「おほしさまみたい!」

「……よかった……ふふ……」

「これ、なんていうの?」

「……万華鏡……よ……」


59 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:25:34.27 gWDvd4SR0 34/88

「まんげきょう?」

「……そう……よ……」

「こんなきれいなのしってるなんて――ちゃんすごいね!」

「……ふふ……」







「じゃあ、またね!」

「……さよなら……」


60 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:31:19.34 gWDvd4SR0 35/88

~3月1日~

「え、さきにおひっこししちゃうの?」

「……ええ……」

「そっかぁ……さみしいなぁ……」

「……わたしも……さみしい……」

「じゃあ、こんどあったときにたからものをこうかんしよう!」

「……いいわ……」

「またあした!」

「……ばい、ばい……」


62 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:34:59.78 gWDvd4SR0 36/88

~3月3日~

「はい! これ!」

「……これは……?」

「えっとね、『すてんどぐらす』っていうんだ!」

「……?」

「たいようさんに、すかしてみて!」

「……きれい……」

「せろはんを、いろんなかたちにきりとってペタペタはるんだよ!」

「……ありがとう……だいじに……するね……」

「うん!」

「……わたしからは……これ……」

「あ! まんげきょうだ!」

「……うん……あげる……」

「ありがとう!――ちゃん!」


63 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:38:57.92 gWDvd4SR0 37/88

~3月9日~

「――ちゃん、あしたおひっこしなの?」

「……うん……あした……」

「いっしょにあそぶのはさいごなんだね……」

「……うん……」

「きょうはなにをしてあそぼう?」

「……いっしょに……おそらをみましょう……」

「うん!」








64 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:42:01.64 gWDvd4SR0 38/88

「ねえ、――ちゃんのたんじょうびっていつ?」

「……3がつ25にち……」

「そっかぁ」

「……ねえ……たんじょうびのおはながあるの……しってる……?」

「たんじょうびのおはな?」

「……うん……いちにちいちにちに……それぞれおはながあるの……」

「へぇ! ――ちゃんのおはなは?」

「……じゃけついばら……」


66 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:47:30.54 gWDvd4SR0 39/88

「え? じゃけつ……?」

「……じゃけつ……いばら……」

「じゃけついばら? むずかしいおなまえだね」

「……おぼえててね……おねがいだから……」

「うん!」

「……もう……かえらなきゃ……」

「そっかぁ……また! あおうね!」

「……うん……また……ね……」


68 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:52:35.88 gWDvd4SR0 40/88

~現在~

「こんな感じかな……」

「……」

「それから毎年、蛇結茨を花屋さんに無理言って取り寄せて貰っては、あそこに手向けてたんだよ」

「いつか、会えるように?」

「それもあるけど、約束を覚えててくれたらいいなって」

奈緒「会えなくても、いいのか?」

「うーん……会えるなら会いたいけど。 名前覚えてないんだよなぁ……」

加蓮「それ大失態だよね……」

「言うなよ……」

奈緒「またどうしてお墓なんだ? もっと解りやすいところないか?」


73 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 01:58:58.92 gWDvd4SR0 41/88

「元村にいた人間が、一番用事があるのはお墓だと思ってね」

加蓮「なるほど……じゃあ、あれは誰のお墓なの?」

「あれは、記念碑だよ?」

「そっか……だから手も合わせてなかったんだね」

「そういうことだ。 うちは墓も引っ越しちゃったからね」

「……プロデューサー」

「何だ?」

「会えるよ、きっと」

「……だと、いいよな」


78 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:03:33.09 gWDvd4SR0 42/88

――――――

――――

――


~同日夜 △△霊園~

「……あった……」

「ふふ……今年も……よかった……」

「……名前は……やっぱり思い出せないわね」

「でも……今年は……蛇結茨だけじゃない」

「……この花は……?」

「……帰ったら……調べましょう」

「……いつか……会えるかしら」


83 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:10:06.08 gWDvd4SR0 43/88

数日後


「只今もどりましたー」

ちひろ「お帰りなさい」

「今日は大収穫ですよ!」

ちひろ「ティンとくる子がいましたか!」

「はい! 明日皆に紹介します!」

「新しい人?」

「ああ! お前らよりは年上だけどな」


85 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:13:46.00 gWDvd4SR0 44/88

奈緒「先輩なのに年下って……不思議な感じだな」

「美人さんだぞー?」

加蓮「美人じゃなくて悪かったねー」

「いやいや! お前らは可愛いし!」

「そういうことにしといてあげるよ」

「信用されてねぇ!」

奈緒「あはははは!」


86 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:19:05.38 gWDvd4SR0 45/88

~次の日~

「おはよいーす」

「朝の挨拶くらいちゃんとしようよ……おはよう」

加蓮「おはよう」

奈緒「おはよう、Pさん」

「早速だが、今日から所属のアイドル候補生を紹介する!」

「来たね」

加蓮「さてどんな人が来るのかな」

奈緒「検討がつかないな……」

「どうぞ」

「…………」


87 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:22:35.82 gWDvd4SR0 46/88

加蓮「うわ何あの人……めっちゃ美人……」

「強敵が……」

奈緒「すごい雰囲気の人が来たな……」

「あ、自己紹介お願いします」

のあ「……高峯のあよ……よろしくね……」

「私は渋谷凛。 よろしく、高峯……さん?」

加蓮「私は北条加蓮」

奈緒「神谷奈緒。 よろしく」

のあ「……私の事は……名前呼びで構わないわ……敬語も必要ない」

「というわけで、高峯のあさんだ。 仲良くしろよ?」


92 : 画像貼れる人はお願いします、何せ貼り方を知らないもんで。 - 2012/10/17(水) 02:27:10.45 gWDvd4SR0 47/88

奈緒「言われなくても仲良くするって」

のあ「……ふふ……楽しそうな人たちね……P?」

「はい。 いい子達ばかりなんですよ」

のあ「……あなたが……スカウトしたの?」

「そうですね、シンデレラガールズプロジェクトがそういう企画なので。 他薦も可能ですよ」

のあ「……そう……それで、私はどうしたら」

「さすがに初日からレッスンというわけにもいきません。 凛達のレッスン見学します?」

奈緒「んな!?」

「いやちょっとプロデューサー……私達まだ見せられるレベルじゃないけど?」

「いいんだって、ただ見てもらうだけなんだから」

加蓮「えー」

「えーじゃない。 んじゃ移動ー」


94 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:31:09.20 gWDvd4SR0 48/88







「うーん……動きが合わない……」

奈緒「加蓮、足が逆だよ。 右足から下がるんだ」

加蓮「うわ、ごめん」

トレーナー「それじゃ、もう一回通してみましょうか」


「今日はダンスレッスンですね。 グループでのダンス指導です」

のあ「……ハードね……」

「いきなりこのレベルはさせませんよ? まずは柔軟や体操から、基本ステップですね」

のあ「……足を引っ張るつもりは無いわ」

「頼もしいです」


96 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:34:55.90 gWDvd4SR0 49/88







加蓮「流石に……体力が持たない……」

「加蓮はここから休憩な。 凛と奈緒は引き続き頼みます」

トレーナー「わかりました」

「いいな、私も休憩したい」

奈緒「同じく」

トレーナー「はいはい! 愚痴は終わってからね!」

奈緒「やるしかないかー」

「うん」


99 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:39:16.91 gWDvd4SR0 50/88

加蓮「ぜー……はー……」

「お疲れ」

加蓮「うーん……中々思う通りにはいかないね……」

「仕方ないだろ? これでも先月より持つようになってるよ」

加蓮「そっか……よかった……ふぅ……」

のあ「……ねえ……」

加蓮「……はー……はい?」

のあ「……あなたは……体力が無いの……?」

加蓮「うぐ……ずばりくるね……」

「加蓮は元々からだが弱いんですよ。 なので基礎体力が低いのは仕方ないんです」

のあ「……そう……」

加蓮「だから足引っ張っちゃうんだよね……悔しいな……」


105 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:43:04.09 gWDvd4SR0 51/88

「でも柔軟性と研究力は一番ですね」

加蓮「体を激しく動かすことは出来ないから、映像を見ていることが多くて。 ベッドの上でなら柔軟くらいは出来るから」

のあ「……あなたは……」

加蓮「はい?」

のあ「……強いわね」

加蓮「……は?」

のあ「……ハンディキャップにも真正面から立ち向かう……そういう子は好きよ」

加蓮「……あはは……」

「褒められたんだから素直に受け取っておけよー?」

加蓮「真正面から褒められるのは慣れないよ……」


109 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:46:15.80 gWDvd4SR0 52/88

のあ「……ふふ……」

「……え……?」

のあ「……何?」

『……ふふ……』

「いえ……」

のあ「……そう」

「……」

トレーナー「凛ちゃん! 余所見しない!」

「……ごめんなさい」

加蓮「……凛……?」


110 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:50:02.54 gWDvd4SR0 53/88







「只今戻りましたー」

奈緒「やっと座れるー」

「三人ともお疲れ様」

奈緒「今日はちょっとハードじゃなかったか?」

「厳しくするように頼んでおいたからなー」

奈緒「うわー……」

「ほらほら、後輩の前でヘタるのかー?」

奈緒「後輩ったってさー、年上じゃんか」

「だから何だってんだ?」

奈緒「ぐ……」


111 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:53:50.93 gWDvd4SR0 54/88

「…………」

加蓮「凛?」

「…………」

加蓮「凛ってば!」

「……ごめん、聞いてなかった」

加蓮「別に何の話もしてないけどね」

「そう……」

加蓮「どうしたんさー、レッスンも途中から集中してなかったでしょ」

「うん……」

加蓮「プロデューサーばかり見ちゃって……」

「っ……そういうのじゃ、ないから」

加蓮「そういうのって?」


112 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 02:58:17.95 gWDvd4SR0 55/88

「……なんでもない」

加蓮「ふーん」

「何?」

加蓮「悩んでるなら、相談してね?」

奈緒「そうだぞー? アタシらは友達じゃんか」

「奈緒? プロデューサーと話てたんじゃ?」

奈緒「Pさんなら、のあさんと話してるよ」

「……!……?」

のあ「……。……」

「……そっか」

奈緒「本当にどうしたんだー? らしくないぞ?」

「大丈夫、何でもない……うん……」


114 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 03:02:15.92 gWDvd4SR0 56/88

それから少しして

加蓮「のあさーん」

のあ「……何?」

加蓮「これから凛奈緒とお茶しに行くんだけど、のあさんもどう?」

のあ「…………」

加蓮「あ、予定があるなら別にいいんだ」

のあ「……無いわ、一緒させてもらうわ」

加蓮「んじゃ、行こう」

のあ「……ええ」








115 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 03:06:27.66 gWDvd4SR0 57/88

加蓮「のあさんの誕生日って3月25日なんだ?」

(3月25日の誕生花って……)

のあ「……ええ……過ぎたばかりね……」

「もうちょっと前に会ってたら、事務所でパーティーでも出来たのにね」

のあ「……そんなことまでするのね」

加蓮「あの事務所は本当にアイドルを大切にしてくれるよ」

奈緒「無理してる時もある気がするけどなー」

のあ「……Pは、いつも遅くまで?」

「うん……無理して欲しくは無いんだけどな……」

のあ「そう……」

奈緒「のあさんって、オフの日とか何をしてすごしてるの?」

のあ「……家にいることが多いわ」


116 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 03:10:47.96 gWDvd4SR0 58/88

奈緒「そっかー」

のあ「……後は、星を見るのが好きね」

「星?」

のあ「……ええ……夜に、星を眺めるのが好き」

「へぇ……」

のあ「……昼でも……星は見えるのだけど」

「……どういうことか良くわからないのだけど……」

のあ「……陽の光に負けているだけという話よ」

「ああ……そういう……」

のあ「今度……あなた達にも見せてあげるわ」

加蓮「へ? 何を?」

のあ「……ふふ……」

(蛇結茨? まさかね……)


117 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 03:14:43.11 gWDvd4SR0 59/88

~しばらくして~

「のあさん、雑誌のモデルのオファーが来てますよ」

のあ「……どんな?」

「なんでもヘッドホンのモデルだとか……どうします?」

のあ「……受けるわ」

「わかりました」

のあ「……P……」

「はい?」

のあ「……私は……Pの獲ってきた仕事なら信用するわ」

「あはは……じゃあ、のあさんに似合うような仕事も沢山取ってきます!」

のあ「……ふふ……」

ばたん

のあ(……P……貴方は……貴方は私の力を引き出し、アイドルとして完璧にプロデュースし、そして……そして私の心を……)


118 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 03:18:43.38 gWDvd4SR0 60/88

別の日

のあ「……今日の仕事は?」

「ひな祭りのモデルですよ……季節はずれですね」

のあ「……そうね。 でも、貴方の持ってきた仕事なら構わないわ」

「そうですか……? 助かります」

のあ「……衣装に着替えてくるわ」

「はい」

――――――

――――

――


119 : えっと、さるがこわいかなって - 2012/10/17(水) 03:23:33.81 gWDvd4SR0 61/88

のあ「……お待たせ」

「のあさんは相変わらずサイバーな雰囲気が似合いますね」

のあ「……サイバーとひな祭りはかけ離れていると思うけど」

「そこの違和感を無くすのが今回ののあさんの仕事です」

のあ「……私の事を買ってくれてるのね」

「これがオファー先からのあさんが指名された理由なんですよ」

のあ「……Pは、どう思うの?」

「俺は、のあさんなら出来ると思いますよ」

のあ「……Pがそういうなら良いわ……これは……?」

「さげもんっていうみたいですよ? 俺も詳しくは知らないですけど」

のあ「そう……知らなかったわ……地上にも美しい星があったみたい、なんてね……」


122 : 貼りきったら寝る - 2012/10/17(水) 03:28:10.84 gWDvd4SR0 62/88

「……詩人ですね」

のあ「……P……」

「はい?」

のあ「……例えば貴方が輝く星を手に入れたいのならば、私の力できっと叶えてみせるわ」

「のあさん……?」

のあ「……それが、私の……」

スタッフ「すいませーん! 高峯さんスタンバイお願いします!」

のあ「…………」

「あはは……」

のあ「……行ってくるわ」

「……はい」

――――――

――――

――


124 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 03:32:01.14 gWDvd4SR0 63/88

「来たよ、プロデューサー」

「待ってたぞ」

奈緒「あれ? のあさんは?」

「今前半の撮影終わって衣装替えだよ」

加蓮「あちゃー、タイミング悪かったかな」

「静かにしろよ?」

「わかってるよ」

奈緒「のあさんモデルの仕事多いなー、美人だもんなー……」

加蓮「それだけじゃないよ。 スタイルもいいし、誰にも真似出来ない雰囲気を出してる」

「相変わらず加蓮の観察眼はすごいな」

奈緒「アタシたちももっと頑張らないと、後輩に示しがつかないなー」

「そうだね……うん」

加蓮「あ、のあさんいた」


126 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 03:36:49.09 gWDvd4SR0 64/88

のあ「……凛、奈緒に加蓮……どうして?」

「こいつらも一緒に見学させてもらいますね」

のあ「……構わないわ」

奈緒「すごい格好……これって何?」

「さあ……? 着物ってことしかわからないけど」

「あれ、カラコンも入れてるんですね」

のあ「……ええ……衣装に合うでしょう?」

加蓮「センスがすごい……真似できないよこんなの。 のあさんにしか似合わない」

のあ「……ひな祭りには、虹色が合う」

「どうしてですか?」

のあ「……また今度話すわ……もう時間ね」

奈緒「のあさん、頑張って」

のあ「……ええ……」


129 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 03:40:49.87 gWDvd4SR0 65/88


「のあさん……綺麗だな……」

「いや、本当に凄いのはここからだ」

奈緒「……へ?」

カメラマン「それじゃ、一発で決めちゃおうか」

のあ「……はい……」

加蓮「……!?」

「何これ……すごい緊張感……」

「のあさんの凄い所は、周りを全て飲み込んでしまう所だ。 スタッフの人たちの表情見てみろ」

奈緒「アタシ達もそこまで余裕無いんだけど……」


131 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 03:45:31.55 gWDvd4SR0 66/88

加蓮「それ以上に雰囲気に飲まれちゃってるね」

「決して生半可な仕事は許さない……いや、許されない雰囲気っていうのかな」

加蓮「……そっか、だからのあさんはすごいんだ」

「ああ。 天性のルックス、周りを飲むほどの存在感、唯一無二の雰囲気……」

「……」

「のあさんにビジュアル方面で勝てる人なんて、そういないんじゃないかな」

加蓮「……そう思う」

奈緒「……凛? どした?」

「……勝てないよ……こんなの……」


133 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 03:51:06.51 gWDvd4SR0 67/88

それより後の日

がちゃ

「おはようプロデューサー……何してるの?」

「おはよう凛。 これだよこれ」

「万華鏡……」

「ああ。 こうすれば名前を思い出すかも知れないからな」

「……そっか」

「凛、見てみるか?」

「うん」

「どうよ?」

「すごい……本当に綺麗……」

「だろー? 虜になっちまうってもんだ」


134 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 03:55:31.37 gWDvd4SR0 68/88

「…………」

「熱中しちゃったな……あ、おはようございます」

のあ「……おはよう」

「…………」

のあ「……万華鏡……?」

「ええ……のあさんもどうです?」

のあ「……奇遇ね……私も持ってきているのよ……」

「本当ですか? 綺麗ですよね」

のあ「……ええ……」

がちゃり

加蓮「眠い……」

奈緒「アタシだって眠いけど」

加蓮「はいはい、Pさんに会いたいから早起きだもんね」

奈緒「あのな……」


136 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 04:00:49.09 gWDvd4SR0 69/88

「おっすお前ら」

のあ「……おはよう……」

加蓮「おはよう、Pさん。 のあさん」

奈緒「おはよーす……凛?」

「……おはよう。 これ、ありがとうね」

「ああ、良かったろ?」

「うん、綺麗だった」

奈緒「何してたんだ?」

「万華鏡だよ。 お前らも見るか?」

のあ「……約束してたから……」

加蓮「ありがとう、のあさん」

奈緒「お? どれどれ」

「今の子って万華鏡見たこと無いんですかね?」


137 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 04:04:32.36 gWDvd4SR0 70/88

のあ「……年を取ったわ」

「ですよね……」

奈緒「おぅ!? 何これ……」

加蓮「すごい……」

のあ「……ふふ……」

「こうすれば、昼間も星が見られるからな」

のあ「……え?」

加蓮「……あ」

「……」

奈緒「……」

「何か、おかしい事言ったか?」

のあ「……今……何て……」


141 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 04:08:22.64 gWDvd4SR0 71/88

「はい?」

のあ「……先の台詞をもう一度言いなさい」

「え、あ? のあさん、どうしたですか?」

のあ「……もう一度」

「ええと……『昼間でも星がみられるから』……ですか?」

のあ「……」

「のあ……さん?」

のあ「……その万華鏡を見せて……」

加蓮「え? はい」

のあ「……これは……そう……そうだったの」

「えーと、のあさん?」

のあ「……P……」


143 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 04:13:36.14 gWDvd4SR0 72/88

「はい?」

のあ「明日はオフよね」

「ええ、のあさんもですね」

のあ「……蛇結茨を手向けていた……あの場所で待ってるわ」

「え……まさか」

のあ「……仕事に行くわ……直帰するから……」

「わかりました……」

「……」

加蓮「……」

奈緒「……」

「……嘘だろ……?」

「嘘じゃないよ」


146 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 04:17:29.62 gWDvd4SR0 73/88

「え?」

「のあさんが、Pさんの探してた人だよ」

「マジでか……」

「……明日……行くの?」

「ああ……」

「……そうだよね」

「凛?」

「ううん、なんでもない……さ、レッスン行こう?」

加蓮「う、うん」

奈緒「わかった……」

「……凛……」


147 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 04:21:16.80 gWDvd4SR0 74/88







奈緒「良かったのか?」

「うん、邪魔なんて出来ないし」

加蓮「そっか……よく我慢したね」

「うん……わかってたんだ」

奈緒「何が?」

「勝てない……って」

加蓮「凛……」

「さ、ビジュアルでは勝てないけど歌ならのあさんに勝てるよ、頑張ろう」

奈緒「そうだな、後輩に負けたまんまじゃ夢見が悪い!」

加蓮「うん、行こう!」

「プロデューサー……おめでとう……」


151 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 04:30:35.87 gWDvd4SR0 75/88

翌日

『終点△△~ △△~』

「ふぅ……来ちゃったよ……」

(蛇結茨の事を知ってたってことは、のあさんで確定だよな)

 (15年ぶりか……やっと、会える……会ってるから会えるってのは変か?)

 (どうにせよ、この先で結果は待ってる)

 (…………いた)

のあ「…………」

「やっぱり……のあさんだったんですね……」

のあ「……ええ……」

「いいや……違うか」

のあ「…………」

「15年振りだね、のあちゃん」

のあ「……15年振りね……P……」


152 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 04:34:13.65 gWDvd4SR0 76/88

――――――

――――

――

「え、毎年来てたの!?」

のあ「……夜に来てたから……会えなくても不思議ではないわ」

「俺だけ来てるの知らなかったってことじゃん……」

のあ「……毎年蛇結茨が添えてあったのは嬉しかったわ」

「それだけは、忘れてなかったんだよ」

のあ「……それが無ければ、ここに毎年来ることも無かったわ」

「でも、名前は忘れちゃってたんだ、ごめん」

のあ「私もよ……ごめんなさい」

「あはははは」

のあ「……ふふ……」


155 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 04:38:11.31 gWDvd4SR0 77/88

「イメージ合うわけないよ、俺の知ってるのあちゃんは茶髪だったもの」

のあ「……あれは染めてたのよ、銀髪のままだと外出は許されなかったわ」

「道理で気付かないわけだ」

のあ「……貴方は」

「ん?」

のあ「……昔から、変わらない」

「そう言われると傷つくなぁ」

のあ「……褒めてるのよ」

「そう?」

のあ「……誰とも打ち解けられずに1人でいた私は、空を見てるしかなかったから」

「でも、楽しそうだったよ」

のあ「……今でも、空を見るのは好きよ」

「今でも、万華鏡を見るのが好きだよ」

のあ「……何も、変わってないのね」


157 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 04:44:25.23 gWDvd4SR0 78/88

「……うん」

のあ「……少し、変わったわ」

「あの時のステンドグラス……まだ持ってたんだ」

のあ「……ええ……ずっと、持ってたわ」

「俺も……のあちゃんから貰った万華鏡、ずっと持ってるよ」

のあ「……知ってるわ」

「昨日見てるもんね……」

のあ「……ふふ……」

「……ふぅ……」

のあ「……今も……そのステンドグラスから見る思い出は変わらないわ」

「万華鏡は、いつも違うよ」

のあ「……貴方は……このステンドグラスから何が見える?」

「15年振りか……どれどれ」


158 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 04:51:42.05 gWDvd4SR0 79/88

のあ「……P……」

「何? のあちゃん」

のあ「……ん……」

「……え」

のあ「……ふふ……」

「……のあちゃん?」

のあ「……Pの前では……メイクをを落として、カラコンも外して、衣装も脱いだ素の私で居られるわ」

「え? ちょっと?」

のあ「それを知るのは、貴方だけ……」


160 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 04:55:27.82 gWDvd4SR0 80/88

のあ「……その呼び方は……二人の時だけ……」

「……うん」

のあ「……さあ、帰るわよ……あの子達と一緒の場所へ」

「のあちゃん」

のあ「……何?」

「俺も、言っておかないといけない事があるんだ」


161 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 05:01:59.98 gWDvd4SR0 81/88

そのまた翌日

「おはようございます」

「おはよう、プロデューサー」

加蓮「おはよう、Pさん」

奈緒「おっす」

「……凛」

「なに?」

「一昨日は、済まなかった」

「なんで謝るの?」

「背中を押してもらってさ」

「それなら、普通お礼を言うんじゃないの?」

「……その内わかるよ……」


163 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 05:08:35.15 gWDvd4SR0 82/88

「……どういうこと?」

のあ「……おはよう……」

「おはようございます」

加蓮「おはようございます、のあさん」

奈緒「おはよう、のあさん」

「おはようございます、のあさん」

奈緒「……のあ」

加蓮「「さん」?」

「ちょっとプロデューサー」

「何だ何だ」

「付き合ってるのに「さん」付けってどういうこと?」

のあ「……付き合っている……?」

加蓮「え?」


164 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 05:12:23.78 gWDvd4SR0 83/88

奈緒「……嘘でしょPさん?」

「だから謝ったじゃないか……」

「付き合ってないの?」

「俺は、皆を立派なアイドルにするまでは誰とも付き合わないよ」

加蓮「え゛……」

奈緒「何それ? 何それ?」

「そう決めたんだよ、お互い私情で仕事に力が入らないとか馬鹿らしいじゃないか」

加蓮「あきれた……」

「……のあさんは、それでいいの?」

のあ「……凛は、それでよかったの?」

「……え?」

のあ「……ばればれよ」

「―――!!」


166 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 05:16:07.62 gWDvd4SR0 84/88

「あー、凛」

「な、何?」

「知ってた」

「……嘘でしょ……」

「凛に告白されてたとしても、同じ事を言ってたよ……ずるいだろうけどね」

「……じゃあ私は、1人で空回りしてたってこと?」

加蓮「折角いっぱい泣いて諦めたのにね?」

「そんなこと言わなくていい」

奈緒「あの時の凛はひどかったなー……全然泣き止まないの」

「奈緒……!」

のあ「……ふふ……」

奈緒「え……? 何?」


169 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 05:21:49.36 gWDvd4SR0 85/88

のあ「……貴女もなのね……」

奈緒「うぇ!? 違う違う!」

「そっかー、俺は奈緒に嫌われてるのか……」

奈緒「いや嫌ってないぞ!?」

「じゃあどうなんだ?」

奈緒「ふん!」

「あーあ……さ、仕事に行きましょうか、のあさん」

のあ「……ええ……P……」

「のあさん……」

のあ「……何?」

「今度さ……万華鏡の作り方、教えてくれない?」

のあ「……いいわよ」

「わ……私も昼に、星が見たいし……」

のあ「……ふふ……」


171 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 05:25:19.97 gWDvd4SR0 86/88



『万華鏡ってさ、絶対に同じ模様にならないんだよ』

『だから、見てて飽きないんだよなぁ』

『のあさんが教えてくれたってのもあるけどね』





『……虹色がひな祭りに合う理由?』

『……貴方がステンドグラスをくれた日だからよ』

『……私の、宝物だから……』


.


172 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 05:29:10.97 gWDvd4SR0 87/88




          『君を忘れない』


          『3月25日に』


          『約束を、守る』



.


175 : 以下、名... - 2012/10/17(水) 05:33:02.58 gWDvd4SR0 88/88







アイドルマスター シンデレラガールズSS



        『kaleidoscope』




                       end


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