あやめ速報-SSまとめ-

エミリー「特別企画、山頂将棋名人戦！」

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

エミリー「司会を務めさせていただきます、エミリースチュアートです」

エミリー「対局者は、こちらのお二方」

北上麗花「はいは～い！　登山ならお任せ、北上麗花です！」

宮尾美也「将棋なら負けませんよ～。宮尾美也です～」

エミリー「はい、それでは今回の規則を説明します」

エミリー「これから、お二人には、一般女性で約2時間の登山道を歩いてもらいます」

エミリー「どちらかが山頂に着いたら対局開始です」

エミリー「着いていない方の指し手は、私が5分おきに飛車を1つ横にずらすのと、戻すのを繰り返します」

エミリー「両者が揃うまでは、王手と飛車を取るのは禁止です」

エミリー「あとは本将棋の規則通りです。当然、二歩等は即反則負けになりますので、気をつけてください」

エミリー「ここまでで何か質問はありますか？」

麗花「はいはい！　エミリーちゃんより先に着いたらどうするの？」

エミリー「ご安心ください。私は架空索道で先に山頂に着いて待っておきます」

麗花「わぁ、カクーサクドーって、すごい近道なんだね！」

美也「おお～、すごいですな～」

※架空索道＝ロープウェー

エミリー「それでは振り駒をします。歩が多ければ美也さんの先手です」

エミリー「」ｼｬｶｼｬｶｼｬｶ　ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ

エミリー「……と金が4枚なので、麗花さんの先手です」

麗花「はーい！　お願いします！」

美也「お願いします～」

エミリー「それでは、山頂将棋名人戦、開始です！」

麗花「よーいどん！　じゃあ、お先に行ってきます！」

美也「はい～、いってらっしゃい～」

エミリー「え？」

麗花「」ﾜｰｲﾜｰｲ

美也「おお～速いですな～」

エミリー「あの……美也さんは出発しないのですか？」

美也「おや～？……後手だったので、後から行くと思ってましたが、違うみたいですね～」

エミリー「出発しても大丈夫ですよ」

美也「わかりました～。スタッフさん、行きましょう」

……

(エミリーinロープウェー)

エミリー「あ、美也さんいました！　麗花さんは……」

エミリー「えっ、もうあんな所に！」

エミリー「麗花さん、速いですね。流石です！」

エミリー「……あれ？　でも、お一人？」

(麗花side)

ﾊｧﾊｧ

※前方遥か先にいるのが北上麗花さんです

麗花「」ﾜｰｲﾜｰｲ

※体力自慢のカメラマンが置いていかれました

麗花「」ﾊｯ

麗花「」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

※こちらに手を振ってます

麗花「」ｻｷﾆｲｯﾃｲｲﾃﾞｽｶｰ?

※どうぞ……

麗花「」ﾜｰｲﾜｰｲ

ﾏｼﾞｶﾖ……

(美也side)

美也「ん～、気持ちいい、絶好のピクニック日和ですな～」

※ところで、何分差以内で着きたいですか？

美也「う～ん、今回のルールは、考えたことないですね～」

美也「面白そうですし、ちょっと歩きながら考えてみます～」

……

美也「いろいろ考えたんですけど、飛車先をどんどん伸ばされるのが、やっぱり一番厳しいかもしれませんね～」

美也「▲2六歩△9二飛▲2五歩△8二飛▲2四歩、のように」

美也「その後、歩を成られて、角を取られて、銀を取られて、飛車で桂馬を取られたら……」

美也「流石に勝てなさそうですね～」

美也「でも、最後の一手を防げたら、ギリギリですけど、まだ戦えると思います～」

美也「だから、麗花さんの棋力によりますけど、30分差なら、何とかなるかもしれません」

美也「実際は、こんなに一直線の最善手は来ないと思うので、もう少し遅く到着しても大丈夫かもしれませんね～」

美也「でも、エミリーちゃんやエレナちゃんよりも、麗花さんの方が強かったら、その手前でも無理ですね～」

美也「……む～ん、急ぎましょう～！」

……

(しばらくして)

エミリー「さて、こちら山頂です」

エミリー「このように対局の準備は整っております」

エミリー「圧倒的な速さを見せている麗花さんは、果たして何手の優位を得ることが出来るのでしょうか？」

麗花「」ﾔｯﾎｰ

エミリー「え？」

エミリー「今、麗花さんの姿が見えました！」

エミリー「架空索道に乗って、駒を並べて、そんなに経ってないのに……」

エミリー「すごいでしゅ！」

……

麗花「とうちゃ～く！　気持ちよかった！」

エミリー「お疲れ様です。あの、撮影者さまは？」

麗花「んー、真ん中くらいで離れたから、多分、もうちょっとしたら来るよ！」

エミリー「そ、そうですか……まだ遠くにもお姿は確認できませんが……」

麗花「あっ、そうだ！　将棋はどこ？」

エミリー「あ、失礼しました。こちらです」

麗花「わぁ、ズラッと並んでるね。きちっとしてる！」

エミリー「それでは、麗花さんの先手で始めてください」

麗花「よ～し、それぇっ！」ﾊﾟﾁﾝ

▲7六桂

エミリー「……まで、1手にて美也さんの勝ちでございます」

麗花「わぁ、美也ちゃんおめでとう！」

おわり