テレビ「富山では現在、全域に大雨洪水注意報が―――」
ピッ
結衣「すごい雨だな…バケツをひっくり返したみたい」
ザァー
結衣(…音が気になって眠れない)
結衣(今日は京子も泊まりに来てないし)
結衣「久々に雨の散歩でもしようかな」
こういう雨の夜、私はたまに散歩をする
普段溜めこんでしまったストレスを発散するために―――
ザァー
結衣(外に出てしまった…)
結衣「レインコートにサンダル、鍵はブレスレットに…よし問題ないな」
結衣「マンション入り口までに誰にも会わなかったし大丈夫」
結衣「レインコートはここで脱いでポストに入れておこう」
ガサ
結衣「これでよし!」
結衣「はぁ~気持ちいい~」
ザァー
結衣「深夜だから人っ子一人いない」
結衣「私だけの時間…」
結衣(全裸で出歩くのはこれが初めて…以前はレインコートの下に何も着ないで出歩くだけだった)
結衣「街灯の下に行ってみようかな…」
結衣「いや、でも誰かが外みてたら…」
結衣「深夜だしこの雨だ、きっと大丈夫」
パシャパシャ
結衣「はぁ…来ちゃった…でもどこの家も電気消えてるし大丈夫そうだな」
結衣「ハァ…ハァ…」
結衣「すごい興奮してきた、ここで寝そべってしたら…気持ちいいかな…」
結衣「雨で視界も悪いし今日ならできる気がする」
結衣「いいよね誰も見てないし」ドキドキ
結衣「よし!2年5組船見結衣!行きます!」クチュクチュクチュ
結衣「あぁぁぁぁ!!!すごい!ここで見つかったら言い訳できないのにぃぃ!!」クチュクチュクチュ
結衣「あぁぁぁぁぁ!いくぅ!!!頭変になっちゃうぅぅぅ!!!」ビクンビクン
ザァー
結衣「あはぁ~…」グッタリ
結衣「夏の雨ってなんかぬるくて気持ちいいなぁ~」
結衣「そろそろもどっろかなぁ…いや、これだけ視界も悪くて音もすごいならもう少し遠くへ行っても大丈夫かも」
結衣「この恰好でマンションから離れれば離れるほど危険度が増す…」
結衣「見つかるリスクが高くなる…」ゾクゾク
結衣「行くしかない…」
ザァー
結衣「あぁ、もうマンションの入り口がほとんど見えなくなってる…」
結衣「ハァ…ハァ…こ、今度はちょっとスキップしてみようかな」
パシャン パシャン
結衣「ハァ…ハァ…すごい…私、雨の夜に裸で通りをスキップしてる」
ザァー
結衣「もう突き当りの手前まで来ちゃった…ハァ…ハァ」
結衣「あそこを曲がれば家の前の通りでなくなる…そろそろ引き返さないと…」
結衣「でももし、もしこの恰好のまま向こうの通りに行ったらどうなるだろ…」ゾクゾク
結衣「曲がってすぐに戻れば大丈夫だよね?」
結衣「これで、あそこの角曲がったら引き返すから…だから…」
ザァー
結衣「…いいよね」
結衣「ハァ…ハァ…ど、どうせならラストは派手に行こう」
結衣「雨に濡れてちょうどトイレに行きたかったし」
結衣「ここからおしっこ漏らしながらダッシュであの角曲がろう」
結衣「絶対に気持ちいいはずだ!」
結衣「2年5組船見結衣!行きます!」
バチャバチャバチャ ジョバジョバジョバジョバ
結衣「あぁぁ!すっごい気持ちいい~!!!」
ガッ
「うわっ」
結衣「!!?」
ゴロゴロ…ズテッ
結衣「いっ痛…」
結衣(え!?何で私こけたの?人の声?見つかった?)
結衣(ど、どうしよう!?顔だけでも隠して…ってここ街灯の下!?最悪だ…)
「結衣?」
結衣「もう走って逃げ帰るしか…えっ!?」
京子「やっぱり結衣だ!」
結衣「京…子?」
ザァー
京子「も~いきなり走ってきて危ないじゃんか~…てか何で裸なの?」
結衣「えっ!?」
京子「いや、だって結衣服着てないじゃん?」
結衣「え…あ…これは…雨で濡れたから脱いだ…」
京子「そっか~濡れちゃったらしょうがないもんねぇ…っていやいやいやおかしいでしょ!?」
京子「なんで外で脱いでんの!?ちゃんと家で服脱げよ!」
結衣「い、いやちゃんと家で脱いだよ…服は…」
京子「じゃあなんで今裸なのさ!?」
結衣「だ、だから雨で濡れたから…」
京子「いやいやいや」
結衣「京子!」
京子「何?」
結衣「うちラムレーズン買ってあるんだ、よかったらこれから―――」
京子「いやいや苦しいよ!?その持っていき方苦しいよ?」
結衣「京子、もういいじゃないか家に行ってラムレーズン食べよう?」
京子「いやいや、そもそも何でこんな夜中に裸でうろついてんの?おかしいでしょ!?」
結衣「おかしくないよ」
京子「いやおかしいよ!」
結衣「そんなこと言ったらお前だっておかしいだろ!!」
結衣「こんな時間に何してたんだよ!?」
京子「えっ!?…さ、散歩だよ…」
結衣「ミラクるんのコスプレしてか?」
京子「こ、これは…その…」
結衣「しかも何でスカートもパンツも穿いてないの?」
京子「……」
結衣「しかもこんな道の真ん中にしゃがんで!危ないじゃないか!?」
京子「ひ、人が来るなんて思わなかったんだもん…」
結衣「私だったからよかったけど、これ他の人だったら大事だぞ!?」
京子「で、でもここ街灯の下で明るいしさ…」
結衣「現に私が躓いて転んだだろ!」
京子「う…」
京子「うるさいうるさい!結衣だってお漏らししながら万歳して走ってきたじゃないか!!」
結衣「お、お前見えてたのか!?」
京子「顔はわからないけど漏らしながら曲がってきたのはわかったよ」
結衣「て、てゆーかわかってたならどけよ!危ないだろ?」
京子「うんこしてる途中でどけるわけないだろ!」
結衣「え…」
ブリブリブリ
京子「//////」
結衣「いやいや、何照れてんだよ!?おかしいだろ!!なんでうんこしてんだよ!?」
京子「いやいやおかしくないって!人間誰しもうんこするもんでしょ?」
結衣「じゃあわかったうんこはいいよ!けど京子何で首輪付けて下半身裸なんだよ!?」
京子「これはあれだよ、アクセだよアクセ」
結衣「どうみてもそれ犬用だろ!」
京子「人間が犬の首輪したらダメって法律なんてないだろ!!」
結衣「じゃあ首輪はいいよ、何で下半身裸なの?」
京子「これはその…せ、洗濯してまだ乾いてなかったから穿いてこれなかったんだよ!」
結衣「いやいやいやおかしいよね、結局上の服も今濡れてるよね!?」
京子「また洗濯したらいいだろ!?ほっといてよ!」
京子「てか、結衣何か全部着てないじゃん!そっちのがおかしいだろ!?」
結衣「だから雨に濡れたから脱いだって言っただろ!」
京子「じゃあ私のスカートも雨に濡れたから脱いだんだよ」
結衣「はあ?なにそれさっき洗濯っていってたじゃん」
結衣「私のこと馬鹿にしてんの!?」
京子「してないって!」
結衣「してる!」
京子「してない!」
ブロロロロロ ガチャ
配達員「……」
結衣「……」
京子「……」
ブロロロロロ―――
京子「結衣……」
結衣「……何?」
京子「ラムレーズン食べに行ってもいいかな」
結衣「ああ…いいよ」
パシャパシャ
京子「結衣…」
結衣「何?…」
京子「何でお漏らししながら走ってたの?…」
結衣「……気持ちいいから」
京子「……そう」
結衣「京子…」
京子「ん?…」
結衣「何でミラクるんの恰好してうんこしてたの?」
京子「調教されたミラクるんごっこ」
結衣「……そう」
京子「…夏休みだしさ、きっと大丈夫だよ」
結衣「何が?」
京子「…さ、さぁ?」
結衣・京子「……」
結衣「ごめん」
京子「いや、私のほうこそごめん」
京子「……なんかさこの恰好でもどうでもよくなったね」
結衣「今日はなんかもう色々どうでもいいや、ほらもうすぐ家だよ」
京子「うん、ラムレーズン食べて忘れよう」
ザァー
結衣「あ、誰かいる」
ちなつ「はぁぁぁん!結衣先輩の家の前でこんなはしたない事して気持ちいいぃぃぃ!!!」ビクンビクン
結衣・京子「……」
糸冬