1 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 21:34:53.47 XIu3g2HX0 1/15

「私達、春から大学生だぜ」

「そうっすねー。じゃあ、別れる?」

「なんでだよ」

「レズって、色々とイキグルシそうだし。ほら、今までは女子校だったから抵抗なかったけどさ」

「お前は別れたいの?」

「いや、全然」

「なんじゃそりゃ」

私達はスターバックスのテラスにて、さらさらその気も無いクセに、ちょっとした別れ話の真似事をしていた。

後々の為の予行演習になるかもしれないなあ。と思いながら。



元スレ
女子校生「もうすぐ大学生」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1358944493/

4 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 21:41:03.82 XIu3g2HX0 2/15

「私は全然そんなつもりないんだけどさ、あんたはどう思ってるのかなって」

「別に、大学生になるからって、私とお前は何も変わんないだろ」

「そーやって言ってもらえると、うれしい」

「うれしい要素なんてあったか?」

「うーん、じゃあ安心、かな」

大学もなにも、結局は女子大。

今までとなんら変わらない筈だ。なにをそんなに、不安がることがあるのだろうか。


5 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 21:47:59.93 XIu3g2HX0 3/15

私がレズになって5年。こいつと付き合い始めてから、もうじき三年がたつ。

高校一年の春。同じクラス、隣の席。

自然に話すようになって、すぐに、お互いの事を「友達」として認識し始めた。

波長が合う、というのか。

一緒に登下校するようになるには、一週間とかからなかった。


6 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 21:54:38.92 XIu3g2HX0 4/15

夕暮れの帰り道にて、私は告白された。

「好きです」だとか「付き合ってください」とか、所謂、愛の告白っていうわけじゃない。

「私、レズなんだよねー。まじで」と私の顔を見ないまま、適当に、投げやりにそう言った。

ポロリと口をこぼすっていうのは、まさしくこういう事なんだろうなと思った。

なるほど、反りが合うわけだ。


7 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 22:00:15.51 XIu3g2HX0 5/15

なんの臆面もなく、余裕をぶっかましてそんなことを言うものだから

私もなんとなく「そういえば、私もレズだったぜ」と対抗してみた。

今思えば「そういえば」だなんてとんでもない。

あの頃は、生き物として間違っているのだろうか。欠陥品なのだろうか。

などと四六時中、暇さえあれば自問自答を繰り返していたのだから、一時でも、自分がレズであることを、忘れやしなかった。


9 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 22:08:34.42 XIu3g2HX0 6/15

だから、共通の欠陥のある仲間と、寄り添っていたかったのかもしれない。

「チョウチンアンコウの雄と雌みたく、出会いなんてそうそう無いだろうからさ、いっそ付き合っちゃおうよ」

そんな、目茶苦茶な口説き文句に応じてしまったのも、その所為だろう。

とにかく、私の事を分かってくれる奴と、一緒にいたかった。

広い世界に、自分の味方を見つけたような気がして、一瞬で好きになってしまった。


10 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 22:14:18.84 XIu3g2HX0 7/15

こういうのを、依存というのだろう。

数ある愛の形の中でも、最も歪んでいるものだと、噂には聞く。

我ながら低俗だと思ったけれど、この際そんなことはどうだっていい。

目の前に、一筋の光明が見えたのだ。

とりあえず、一人でうじうじと悩んでいるよりかは、ずっと都合がいい。


11 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 22:21:02.41 XIu3g2HX0 8/15

それから今まで、デートやセッ○ス。喧嘩と、普通の恋人同士がするようなことを、ほとんど一通りやってきた。

私もあくまでレズビアンとして、大人になっていった。

昔みたいに、どうでもいいことで思い悩んだりはしなくなった。

割り切った恋愛観だとか、人生観だとか、呼び方はどうだっていいが、そういうモノの見方をするようになった。


13 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 22:30:03.06 XIu3g2HX0 9/15

所詮、同性愛なんていうものは認められなくて当然である。

それは、有性生物としての基本的な価値観で、常に存在するものだ。

つまり、レズビアンである私たちにとって、恒久的な敵であって、水と油のように反発しあうものなのだ。

そんなものにいちいち反抗するのは、無駄な労力である。

だから私は、世間体という圧力を右から左へ聞き流すように、飄々と構えることにしている。


16 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 22:34:49.29 XIu3g2HX0 10/15

生物として間違っているということが必ずしも、致命的とはなりえない。

正しくあるということが、勝れているということでもない。

物事には優劣があるが、勝敗というのはどこまでも二次的で、時として敗北は、優れた結果を齎す。

つまり、正しい生命というのは、間違った生命が無価値なのと同じで、またそれも無価値なのである。


17 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 22:41:34.34 XIu3g2HX0 11/15

だから私たちは、なにも気にすることがない。

レズがどうこう言われたって「へいへい、そうですか。そりゃよござんしたね」と、適当に流してしまえばいい。

二人で、生きたいように生き、死にたいように死ねばいいのだ。

そうするために、大学ではルームシェアをして事実上同居するつもりでいる。

私を育てた家族だって、この一面では味方ではないのだ。

寄り添っていられるのはこいつだけ。

なら、そんな大概な生き方だって、許されるだろう。


18 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 22:47:55.03 XIu3g2HX0 12/15

「今更、不安がることなんてないだろ」

「ほら、世間体とかあるじゃん」

お前が言うか。と私は思った。

そもそも、私をそういうしがらみから解放してくれたのは、こいつ自身だ。


20 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 22:55:19.26 XIu3g2HX0 13/15

「私を助けてくれたのは、お前だろ?」

「だから、そうじゃないって」

「さっきも言ったろ。今までと変わらないって」

「ホントに、そうなのかな?」

「そうだよ。私達の障害になるものがあったって、私はお前のことを離したりしない」


21 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 23:00:21.83 XIu3g2HX0 14/15

「じゃあさ」

「うん」

「ここで、キスしてよ」

「人前だぞ?」

「人前だからだよ」

「なるほど、いいんだな?」

私達は見せ付けるようにキスをした。


22 : 以下、名... - 2013/01/23(水) 23:01:02.79 XIu3g2HX0 15/15

おしまい


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