1 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします - 2014/09/22 22:09:58.04 OLqoNqbk0 1/172※ちょっと長いです
※キャラ崩壊注意です
※題材が題材なので流血表現があります
※流血表現以外にもグロテスクな表現があります
元スレ
モバP「洋子に刺されたい」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1411391388/
ちひろ「…はい?」
P「刺されたいんですよ」
ちひろ「どういう意味ですか?」
P「そのままの意味です」
ちひろ「刺されるって…あの、包丁とかで刺されるアレですか?」
P「アレです。刺されたいんです、洋子に」
ちひろ「…今、救急車呼びますからね。大人しく座っていてください」
P「呼ばないでいいです!俺はマトモです!」
ちひろ「刺されたいっていう人間のどこがマトモなんですか!」
P「…。確かにそうですね、すいません」
ちひろ「本当に変になっちゃっているんですか?ハッキリしてください。対応に困ります」
P「ひどい」
ちひろ「当然じゃないですか!ホントに、急にどうしたんですか」
P「結構本気の悩みなんですよ。内にしまうのも限界になってきまして、そこで相談することに」
ちひろ「出来れば内にしまって置いてほしかったんですけどね…はぁ。
なんでまた、刺されたいって思うようになったんですか?」
P「おお!聞いてくれますか!」
ちひろ「ええ、聞いてみないことには始まらなさそうなので。面倒ですけど。後でスタドリ買ってくださいね」
P「ありがとうございます!買います!」
ちひろ「どうして刺されたい、何て思うようになっちゃったんですか?」
P「この前、プロデューサーとアイドルが題材のドラマを見たんですよ。2時間のスペシャルドラマ。事務所のアイドルが一人のプロデューサーを取りあうという内容です。最終的にはもつれこんでアイドルの一人がプロデューサーを刺しちゃうんですけど…」
ちひろ「ですけど?」
P「プロデューサーを刺したときの、アイドルの満ち足りた表情がすごいよかったんです」
ちひろ「はい。…はい?」
P「他にも、ライバルのアイドル刺しに行ったらプロデューサーが庇いに行くんですけど、刺してしまったアイドルの絶望に満ちた表情もとてもよかったんです」
ちひろ「はい」
P「なので、俺も洋子に刺されて、あの表情を見てみたいと!いつも元気な洋子が、あんな表情になったらそのギャップはすごいだろうなあ!と!」
ちひろ「やっぱり救急ですね」
P「そんな!」
ちひろ「普通の笑顔を見てみたいとかそういう発想は無いんですか!」
P「ありますよ!洋子のあのナチュラルな眩しい笑顔!お酒の席でのあの積極さ!どんな時でも前向きなあの心!今日も頑張ろうと思わせてくれるあの明るい性格!洋子の笑顔に何度癒されたことか!」
ちひろ「本人の前で言ってほしい台詞ですね」
P「…ですが…あのドラマを見てから俺の心は刺されることに支配されてしまってッ!このままじゃ仕事が手に尽きません」
ちひろ「それはいけませんね。でも、洋子さんにプロデューサーを刺したい!っていう感情を抱かせるってことですよね?もしその感情を引きずったらどうするんですか」
P「いえ、感情とかはまあ置いておいて…まず一回刺されてみたいんですよね。洋子どんな表情になるのかすごい気になってるんです。包丁辺りを持ってもらっていることはあるので、チャンスを狙ってみることはあるんですが」
ちひろ「…。もしかして、毎日洋子さんにリンゴ剝いてもらってるのってそういう理由ですか」
P「はい」
ちひろ「はいじゃないです!やけにリンゴ剝いてる洋子さんの視線が熱いと思ったらそういうことですか!」
P「ラッキースケベみたいにグサっと!っていうのを考えていたんですが、どうもチャンスが無いですね」
ちひろ「そもそも、アイドルに刺されたいって言うこと自体が間違ってるでしょう!」
P「まあそうなんですけどそれ言ったらおしまいですよ」
ちひろ「それにですね、プロデューサーは心構え出来てるからいいでしょうけど、洋子さんはその歪んだ欲望を知らないんですよ!もし刺されたプロデューサーさんが大けがをして、洋子さんが気にするようなことになったらどうするんですか!」
P「それを考えて特注の防刃チョッキを毎日着ています」
ちひろ「なんですかその無駄な用意の良さは」
P「これなら刺されちゃってもドッキリだよ大丈夫!って言えます」
ちひろ「何のドッキリか意味不明ですけどね」
モバP「あとは刺されるだけなんですけど、なかなか機会を作るのが難しくて…なので、ちひろさんの力を借りたいと!一緒にドッキリだよ!って言ってもらえればそこまで引きずらないと思うので」
ちひろ「そこまで考えているなら妄想で終わらせてくださいよ!なんですかその情熱は」
P「刺されてみたいんです!」
ちひろ「もういいですわかりました。協力します」
P「さすがちひろさん!」
ちひろ「うーん、しかし頭が痛いなぁ…」
P「こんなこともあろうかと、もう一人呼んでおきました」
ちひろ「何これ以上巻きこもうとしてるんですか」
ガチャッ
???「むふふ、時間通りに来ましたよ~」
日菜子「夢にまで見た、日菜子ですよ~。おはようございます~」
ちひろ(日菜子ちゃんでしたか)
P「おはよう日菜子」
ちひろ「おはようございます」
日菜子「こんな朝早くに呼び出されるなんて…プロデューサーさんは何をする気なんですかね~」
P「ああ、それなんだがな…洋子に刺されたいんだ」
日菜子「むふふ~…。…えっ?」
モバP「洋子に刺されたいんだ」
日菜子「…」
ちひろ「…。日菜子ちゃん固まっちゃいましたね」
P「どうした日菜子!間顔だぞ!」
日菜子「な、なんでまたそんな…」
P「それはかくかくしかじかこういうわけでな…」
日菜子「そ、そういうのは日菜子わからないです…」
P「なぬ!?」
日菜子「刺されたら絶対に痛いじゃないですか…」
P「ん、まあ、その、それは、そうなんだけどな…あれ」
ちひろ「わかりました。プロデューサーさんと違って日菜子ちゃんの妄想ってピュアなんですよ。白馬の王子様に憧れてるんですから」
P「…。そう言えばそうですね、んー」
日菜子「それに…痛いのは初めの夜だけで十分って言うか…むふふ」
P「何言ってるんだ日菜子!?」
日菜子「む…むふふ」
ちひろ「顔を赤らめながら言わなくてもいいのよ日菜子ちゃん!」
日菜子「好きな人に刺されたら絶対痛くて悲しいですよ」
P「でもな日菜子、俺はその姿を見てみたいっていうか…とにかく見たいんだ!日菜子だって、王子様が自分のことをとにかく心配してくれたら嬉しいだろう?」
日菜子「それは…嬉しいですねぇ~むふふ」
P「それと同じことなんだ!」
日菜子「ふむふむ…むふふ」
ちひろ(違うと思うなぁ)
日菜子「でもやっぱり、痛いと思いますよ」
P「それは大丈夫。見てくれこの防刃チョッキを」
日菜子「…用意良いですねえ」サスサス
P「これでわかっただろう日菜子、あとは刺されるだけなんだ!」
日菜子「よくわからない強烈な情熱がとても伝わってきます~」
ちひろ(まあそうなりますよね)
P「良いシチュエーションとか思いつかないか?」
日菜子「うーん…ダメですねぇ、ごめんなさい。王子様に助けられる妄想になっちゃいます」
ちひろ「日菜子ちゃんとってもピュアね」
日菜子「Pさんの妄想って、やっぱり怪しいんですねぇ~むふふ。じっくり話したいので、今度二人っきりで、お話しましょう~」
P「ああ、上手く洋子に刺されたらな!」
日菜子「屋形舟でお願いしますね~二人っきりで!むふふ、日菜子がんばっちゃいます~」
P「ああ、まかせろ!洋子へのフォローとか頼むな!」
ちひろ「もう好きにしてください」
P「リンゴ剝いているところを驚かせるっていうのも考えたんですが、刃物持ってる洋子を驚かせて、もし何かあったら大変ですからね」
日菜子「やっぱり気を遣ってるんですねぇ~」
ちひろ「偶然を装うしかないんでしょうか。他に方法とかは考えてないんですか?」
P「そうですね、日菜子を頼っていたところもあったので。洋子にはあと一時間後に来てほしいって言ってあるから…どうしようかな。またリンゴでも剥いてもらうか」
ガチャッ
ちひろ「あれ?誰か来ましたね」
モバP「!?まだ一時間以上も…って、芽衣子!?」
芽衣子「おはよープロデューサーさん!」
ちひろ「あ、芽衣子さん。おはようございます」
日菜子「おはようございます~今日も元気一杯です~」
P「おはよう芽衣子。今日はオフのはずじゃあ」
芽衣子「暇だったから来ちゃった!…って、日菜子ちゃんもいるんだね!どうしたの?」
日菜子「その、えーっとですねぇ…プロデューサーさん、言ってもいいんでしょうか」
P「…よし、芽衣子!俺に協力してくれ!」
ちひろ「え、プロデューサーさん?」
P「文殊の知恵もナントヤラです!ここまで来たらガンガン行きましょう!」
芽衣子「お、何の話?いいよ!楽しみだなー」
芽衣子「…プロデューサーの視線が洋子ちゃんに対して熱いのは気が付いてたけど…びっくりだよ!」
P「気付かれてたのか…」
ちひろ「そりゃジロジロ見てたり辺りウロウロしてたら誰だって気になりますよ」
芽衣子「刺されたいって思ってたんだ…リンゴをむく後ろ姿に見とれてたものだと思ってたよ」
日菜子「洋子さんの家庭的な姿は魅力的でしたね~むふふ」
P「そう!その洋子に刺されてみたいんだ!」
芽衣子「…でもちょっと聞いていいかな?」
P「ん?なんだ?」
芽衣子「えーっと、変な意味はないからね!何で洋子ちゃんなの?」
P「ああ、そのドラマは事務所で見てたんだけど、たまたま一緒に見てたのが洋子だったんだ」
芽衣子「洋子ちゃんと見てたの?」
P「そうだな、仕事が遅くなったときに二人で一回事務所帰ったら、ちひろさんもいなかったときがあって…そのときにドラマ見たんだ」
芽衣子「ふ、ふーん…」
P「そのドラマが本当によかったんだ。主演の人の演技慣れしてない感じとアイドルのマジ演技っぷりがマッチしてて。それでまあ、ふと横を見たら洋子。喜んでる顔も泣いてる顔も酔っぱらってる顔も見てきたけど、刺した後の表情は見たことないなーって」
芽衣子「私もそんな表情見せたことないと思うんだけどなぁ、ちょっと妬けちゃうよ」
日菜子「でも日菜子の王子様は一人ですから大丈夫ですよ~むふふ」
P「しかしあのドラマは本当によかった…何としても刺されなければ…」
ちひろ「なんだか都合よく一人の世界に入ってますね」
日菜子「むふふ」
P「というわけでだな!何としても刺されたい!よければ協力してくれ!」
芽衣子「いいよ!」
P「おお、ありがとう!」
芽衣子「洋子ちゃんに視線が集中するのも気になってたからね」ボソッ
P「…あれ、どうした芽衣子、気難しい表情して」
芽衣子「…ん?あっ、何も言ってないよ!終わったら私も一緒にドラマ見たいなぁ、ってだけ」
P「ああいいぞ!見ような!」
ちひろ「芽衣子さんはこのクレイジーなプロデューサーさんが刺されるためには、どうすればいいと思いますか?」
芽衣子「そうだねー、とにかく刺されたらいいんだよね?じゃあ刺されるような格好してきたらいいんじゃないかな?」
ちひろ「刺されるような格好?」
芽衣子「うん、マトがあったら何か当ててみたいのと一緒で、包丁があったら刺してみたい!みたいな格好になればいいんじゃないかな?」
モバP「包丁があったら刺してみたい格好か…その発想はなかったな」
日菜子「豆腐とかでしょうか」
芽衣子「豆腐のコスプレだね!」
ちひろ「何メートルもある豆腐に会ったら刺したいの前に怖いが来ると思いますよ」
芽衣子「じゃあパンかな?」
日菜子「むふふ、かわいらしいですねえ」
ちひろ(そういう問題かしら)
P「…!ひらめいた!」
ちひろ「?…どうしたんですかプロデューサーさん」
P「わかったんですよ…洋子に刺されるような格好が!」
芽衣子「おお!さすがプロデューサー!」
P「洋子はもうちょっとしたら来ると思うから、例のごとくリンゴをむくように言っておいてくれ!俺はお店に行って服装用の材料を買って準備するから後は任せた!」
芽衣子「あ、ちょっと待ってプロデューサー!…行っちゃった」
ちひろ「どんな服装するか言ってませんでしたが、大丈夫でしょうかね」
日菜子「マグロのコスプレだったりして、むふふ」
芽衣子「ありえるね!」
ちひろ「ありえますかね?」
ガチャッ
洋子「おはようございまーす!」
ちひろ「おはようございます」
日菜子「おはようございます~」
芽衣子「おはよう洋子ちゃん!」
洋子「皆さんも早いですね!…あれ、プロデューサーは?ちょっと呼ばれていたんですけど…」
芽衣子「そのことなんだけど、プロデューサー今ちょっと遅れてて…来るまでにまたリンゴむいておいてほしいって言ってたよ」
洋子「わかりました!」
ちひろ(まずは洋子さんを包丁がある流し場へと自然に誘導、ここまでは完璧)
日菜子(あとはプロデューサーさんが、洋子さんに包丁で刺されるような格好で接近するだけですが…マグロのコスプレで大丈夫でしょうか)
芽衣子(マグロのコスプレだと人魚みたいになっちゃうね)
ちひろ(何のコスプレするつもりなのかしら)
洋子「プロデューサー最近リンゴ好きだなぁ、今日はウサギさんに挑戦してみようかな?」
P「カサカサカサッ(裏声)」
洋子「あれ?どうし…た…んで……す………」
P(黒光りするGのコスプレ中)「ゴキゴッキー(裏声)」
洋子「」
P(ククク…即興で材料を買い仕上げたにしてはこの完璧な黒くてキモいGのコスプレ)
P(G特有の全身のテカリも全身に油を塗りしっかりと再現)
P(それが二本脚でなおかつ人間のサイズで現れたからには、もう刺したくてたまらんだろう)
P(さあ来い洋子!まな板の上にあるその包丁で、俺の胸を刺すのだ!)
洋子「」
P(さあ顔面蒼白になった洋子が!)
P(包丁を…包丁を手に取らず?)
P(包丁ではなく…履いているスリッパを手に持ち?)
P(あれ、スリッパ?)
洋子「キ…」
モバP(キ?)
洋子「キャアアアアアアアアアアア!!!」スリッパブンブンブンブン
モバP「あだっ!あいたっ!痛い!スリッパ痛っ!」パシーンパシーン
洋子「嫌アアアアアアア!!」スリッパブンブンブンブン
モバP「痛い痛い痛い!ちょっと!」パシーンパシーン
キャアアアアアア イタイヨー
ちひろ「何だか流し台の様子がおかしいですね」
日菜子「洋子さんの悲鳴がすごいことに」
芽衣子「見に行ってみよう!」
バーン
洋子「嫌アアアアア!」スリッパブンブンブンブン
P(黒光りするGのコスプレ中)「洋子!俺!俺!俺だって!」パシーンパシーン
ちひろ「巨大なGと洋子さんが戦ってる!?」
日菜子「」フラッ
芽衣子「日菜子ちゃん!」ガシッ
日菜子「お…大きい…嫌…」
芽衣子「日菜子ちゃん!しっかりして!」
洋子「みんな逃げて!こんな大きいの見たことない!」
ちひろ「洋子さん!」
P「ちひろさん俺です!説明してください!」
ちひろ「加勢するわ!」
洋子「ちひろさん!助かります!スリッパ一つじゃ不安で…」
P「ちひろさん!?洋子!俺!俺だって!」
ちひろ「巨大Gにはホウキで力一杯頭をひっぱたくのよ!」
洋子「はい!一生懸命いきます!」
P「あだっ!あだだっ!」
ちひろ「動きが鈍ってきたら体中を踏みつけるのよ!」
洋子「はい!すごいぬめぬめします!」
P「ひぎぃ!うぐぅ!」
ちひろ「ダメ押しに殺虫剤を思いっきり拭きつけるのよ!」
洋子「はい!力いっぱいですね!」
P「ぴぎゃあああああああああああ」
ちひろ「トドメには事務所に偶然置いてあったスタンガンを思いっきり押しつけるのよ!」
洋子「はい!電源はここですね!」
P「んほおおおおおおおおおおおおおお」
芽衣子「待って二人とも!その黒いのはプロデューサーだよ!プロデューサー!」
洋子「え…えっ!?」
P「あばばばばばばばばば」
芽衣子「スタンガンの電源切ってー!」
P「…」ボロッ
洋子「…ご、ごめんなさいプロデューサー、気がつかなくって…」
P「いや、洋子が謝る必要はないよ…思い切り驚かせたのは俺だ」
日菜子「この世の終わりかと思いました…」グスッ
P「…その、何のコスプレをするかを言い忘れたのは非常に申し訳ない」
ちひろ「いやーあまりにもリアルすぎて気が付きませんでしたよー」
P「ホントですかちひろさん。棒読み感がすごいんですけど」
ちひろ「いい薬にはなったんじゃないですかね」
洋子「でも、なんでプロデューサーはこんなことをしたんですか?下手したら…スリッパじゃなくて…ほ、包丁で…ぷ、プロデューサーを!」
モバP「…。それは俺の配慮が足りなかったから…気にすることじゃない」
芽衣子(…あれ?)
P「ちょっと驚かせたかっただけなんだ、ごめんよ」
洋子「…。わかりました!すごい驚いたんですからね!もう!」
日菜子「夢に出てきそうです…」
ちひろ「じゃあプロデューサーさんのおごりで、ご飯にでも行きましょう」
P「何っ!…まあ、いいか!ドッキリのお詫びだ!ご飯行くぞ!」
日菜子「何頼んでもいいんですか?」
P「いいぞ!」
日菜子「むふふ、楽しみです~」
洋子「じゃあ、行きましょう!」
芽衣子(うーん…)
数日後
P「今日もまた集まってくれてありがとう。では洋子に刺されるための作戦会議を始めます!」
ちひろ「また呼ばれるとは思ってませんでした」
日菜子「てっきり前の一件で終わったものだと思ってました~」
芽衣子「うん、一つ聞きたかったことがあるんだよね」
P「何だ?芽衣子」
芽衣子「あの時、プロデューサーはなんでドッキリの本当の理由を話さなかったの?ショックを受けるから…とか、そういう理由で?」
P「いや、もう一回やりたかったからだ」
ちひろ「えっ」
P「叩かれたりスタンガンだったりと刺されるに匹敵するかもしれない刺激があり、非常によかった!」
日菜子(気持ちはよかったんですねぇ~)
P「それに、謝る洋子の表情はすごい良かった!あれで刺されていたら、どうなっていたんだろう!と…!」
ちひろ「なんでさらに上を求めていってるんですか!」
P「しょうがないでしょう!よかったんですから!絶対にもっとよくなると思ったんです!あそこで終わらせるのはもったいないです!」
芽衣子「通りで、洋子ちゃんに向ける視線が今まで以上に熱いと思ってたよ…」
P「なので第二弾の作戦会議を行いたく、皆のスケジュールを調整して事務所に集まってもらったわけだ」
ちひろ「仕事手につかないとボヤくわりにこういうところだけ完璧なんですよね…」
日菜子「でも日菜子…もうあの、黒いのは嫌です…」
P「それは俺も思ってる。ちょっとリアルすぎたからな。というわけ新たな知恵を借りるために、助っ人アイドルを今日も呼んできた」
ちひろ「何してるんですか!」
P「そろそろ来ると思います」
ガチャッ
麗奈「アーッハッハ!わざわざアタシに話とは感心するわ!どんな悪事を働くつもりかしら!」
ちひろ(麗奈ちゃんでしたか)
日菜子「おはようございます~」
芽衣子「おはよう麗奈ちゃん!」
ちひろ「おはようございます」
麗奈「…あ、アレ?どういうことよアンタ!何で他の人もいるのよ!」
P「おはよう麗奈!よく来てくれた!」
麗奈「…おはよう。どういうことよ!二人で話すんじゃなかったの!」
P「まあかくかくじかじかでな…」
麗奈「…何それ、意味わかんないんだけど」
P「しょうがないだろう!刺されたいんだもの!」
麗奈「…。目が血走ってたと思ってたけど、これが理由だったのね…」
芽衣子「プロデューサーさんずっとこんな調子なんだ、お願い!知恵を貸して!」
日菜子「麗奈ちゃんのいたずらの技術でなんとかなりませんか?」
麗奈「そうは言うけど、刺すっていたずらのレベルを超えてるわよ。そもそもアンタの身に何かあったらどうすんのよ!その防刃チョッキ効き目あるの!」
P「ああ、それなら大丈夫だ。特注品だし」
麗奈「ホントかしら」ボコッ
モバP「あっ、ちょっと叩いちゃマズイ…」
麗奈「え?」
血液ブシャアアアア
日菜子「プロデューサーさんの胸から大量の血が!」フラッ
麗奈「血…血…血がっ!」バタッ
芽衣子「ああっ!二人とも大丈夫!?」
P「き、気絶したっ!?大丈夫か!」
ちひろ「なんで麗奈ちゃんが叩いただけで血が噴出するんですか!」
P「ですから特注品なんです、この防刃チョッキ。少しの衝撃で血のりが噴出するようになっています。触るぐらいは大丈夫なので、普段の生活に支障は出ません!」
ちひろ「無駄な情熱をそういうところに注ぎ込むのはやめてください!」
P「でも叩いただけでこうなるのはマズイな…調整しないと」
芽衣子「タオル持ってくるね!」
麗奈「…酷い目にあったわ」グスッ
日菜子「目を覚ました時にもう泣き者になっていたらどうしようと…」グスッ
P「説明してなかったな…ごめん。…。」
麗奈「どうしたのよ、急に黙って」
P「いや…麗奈が血にまみれて、びっくりした表情よかったなぁーって思ってた」
ちひろ「何言ってるんですか」
麗奈「ほ、ホント?ククク…やっぱりアタシはすごいのね!」
ちひろ(あれ、いいの?)
P「…。ああ…洋子に刺されたい…」ボソッ
麗奈「!な、なんでそこで洋子の名前が出るのよ!このバカ!このバカ!」ゲシッゲシッ
P「あ痛い痛い!スネを集中的に蹴るな!」
芽衣子「麗奈ちゃん、ちょっといい?」
麗奈「ん、何よ」
芽衣子「プロデューサー、洋子ちゃんに刺されたいことで頭がいっぱいで、ずっとあの調子なんだ」
麗奈「…どうりでイタズラに引っかかってもリアクションが薄いと思ってたわ」
芽衣子「だから、何か良いアイデア無いかな?このままだと色々問題があるよ」
麗奈「ううん…なんとかはしたいけど、刺しちゃうのよね?要は」
芽衣子「ドッキリという体で押し通すみたいだから、なんとかなるとは思うけど…」
麗奈「…。ひらめいたわ!」
P「何、本当か麗奈!」
麗奈「このレイナサマの頭脳を持ってすれば楽勝よ!アーッハッハッハ!ゴホッゴホッ」
芽衣子「さすが麗奈ちゃん!」
日菜子「それで、作戦は~?」
麗奈「アンタの防刃チョッキの構造なら、別に刺すのに包丁等の道具は必要ないわ、もっと別のを利用するのよ!」
モバP「ふむ、その、別のとは?」
麗奈「洋子のアホ毛よ!」
P「アホ毛!?」
ちひろ「アホ毛っ!?」
芽衣子「あのピンってはねてる…」
日菜子「かわいらしいですよねぇ~」
麗奈「そう、アホ毛よ!あのピーンって立っている毛を利用して、アンタの胸にうまく持っていけば…防刃チョッキから血が吹き出るわ!」
P「そうか!常に洋子に常備されているアホ毛なら、包丁からスリッパに変わるような間違いはない!」
日菜子「でも、髪の毛は髪の毛ですよね?触らせてもらったことありますけど、刺せるほど硬くはありませんよ」
麗奈「ククク…そこも考えてあるわ。ハードワックスとスプレーで固めてやればいいのよ!これならある程度の強度になるわ!」
日菜子「でも、いつ固めるんでしょう~?髪に触るチャンスがあるのは、メイクさんぐらいですよ。それに固めても、気付かれたら水で溶かされちゃいます」
麗奈「そこらへんも考えてあるわ。深夜にコッソリと洋子の部屋に入って、まずはアホ毛を固めるの。そして朝早くにプロデューサーが緊急の用事を作り上げて呼び出す。なるべく必死にね、そうすれば顔を洗う暇もなく飛び出してくるわ!」
芽衣子「事務所と私たちのいる女子寮は近いから、気付かれることもなさそうだね!」
麗奈「そして事務所に飛び込んできた洋子の足をヒモで引っ掛けて、洋子を転ばせる!転んだ先にはプロデューサー!その洋子のアホ毛を上手い具合にプロデューサーの胸に付き刺す!こういう作戦よ!」
日菜子「すごいです~!むふふ、さすが麗奈ちゃんです!」
芽衣子「とても現実的だよ!」
ちひろ「上手くいきますかね?」
P「うおおおお!さすが麗奈だ!完璧な作戦だ!これで洋子に刺されるうううううううううううううううう!」
麗奈「アーッハッハ!もっと褒めなさい!ハーッハッハゴホゴホッ!」
ちひろ「もうノリノリですね。でも一つ問題がありますよ?」
P「ん?」
麗奈「何よ」
ちひろ「どうやって洋子さんの部屋に侵入するんですか?」
P「あっ」
麗奈「あっ」
ちひろ「…考えてなかったんですか!」
P「えーっと、誰かが一緒に部屋でご飯食べて侵入して、寝ているところでアホ毛を固めるとか!」
ちひろ「今日に限って、夜の時間帯オフの子いませんよ」
P「ホントですか!?」
ちひろ「はい」
P「うーん、合鍵で侵入するのが一番楽か、でも…」
芽衣子「基本的に他の子の鍵って持ってないもんね…」
日菜子「女子寮の管理人さんって」
ちひろ「私ですね」
P「…」
ちひろ「どうしたんですか?プロデューサーさん?」
P「ちひろさん、少しお話が…」
ちひろ「はーい、いいですよ!では向こうの方で…」
P「ちひろさん、お願いします!洋子の部屋の合鍵を貸してください!」
ちひろ「やっぱりそうなりますよね」
P「お願いします!」
ちひろ「麗奈ちゃんだけに貸すと約束するならいいですけど、タダで貸してもらえると思っているわけではないですよね?」
P「ぐ、ぐぬぬ…いくらでしょう?」
ちひろ「そういう聞き方をしないでください。女子寮管理人が金銭で鍵を貸したとなると非常に世間体が悪いんです、わかりますね?プロデューサーさん」
P「…はい。今月は多めにスタドリを買いたいんですけど、どれぐらい買ったらちひろさんは嬉しくなるでしょう…」
ちひろ「やっぱりまあ、これぐらいですかね」電卓パチパチ
P「!?…あ…あへほ…」
ちひろ「あれ?ひょっとして貸してほしくないんですか?合い鍵」
P「ぐっ!…か、買います!スタドリ!」
ちひろ「ありがとうございます!それとは別の話ですが、洋子さんの部屋の合鍵がちょうどここにあったので、貸してあげますね」
P「ありがとうございますうううううううううう!やっほおおおおお!」
ちひろ「一日だけですよ貸すの」
P「麗奈ー!鍵貸してもらったぞー!」ダダダダダ
ちひろ(目の前の欲望に溺れている人って何でこんなにチョロイのかしら)
麗奈「これが洋子の部屋の合鍵ね」
P「じゃあ今日の夜に侵入してもらって」
日菜子「明日の朝また事務所に集合ですね~むふふ」
芽衣子「頑張ろうね!怪我無くいこう!」
麗奈「このレイナサマの手を借りられるなんて光栄なことよ、見返りとして終わったら買い物付き合いなさいよ」
P「ああ、いいぞ!」
ちひろ(今月はだいぶ潤ったわね)
夜。
ガチャッ
麗奈「ここが洋子の部屋ね」
麗奈「やっぱりアタシの部屋とは雰囲気が違うわね」
麗奈「…綺麗な部屋ね」
麗奈「洋子発見」
麗奈「スヤスヤと寝てるわね」
麗奈「明日にはプロデューサー刺しちゃうことも知らないで。まあドッキリみたいなもんだけど」
麗奈「じゃあさっそくアホ毛を固めちゃおうかしら」
麗奈「…」
麗奈「寝巻がちょっと崩れてるわね」
麗奈「…見えそう」
麗奈「…」
麗奈「…いや、こんなことをやっている場合じゃないわ」
麗奈「…」
洋子「んっ」
麗奈「!?」ビクッ
洋子「…」
麗奈「…可愛い声ね」
麗奈「エロい声とでも言うのかしら」
麗奈「気付かれてない?」
麗奈「…」
早朝
麗奈「おはよう」フラフラ
P「ど、どうした麗奈!すごいテカテカしてるぞ!目も充血してるし!何があった!」
麗奈「…何もなかったわよ」
P「そ、それで、ちゃんとアホ毛は固められたのか?」
麗奈「…それは間違いなくやったわ」
P「おお。ホントか!ならいいんだが…」
麗奈「大丈夫よ、作戦に影響はさせないわ…」
日菜子「麗奈ちゃん、テカテカです~」
麗奈「日菜子、昨日はすごい…美肌を見たわ。思い出すだけで…まだ私には早かったのかもしれないわ…」
日菜子「むふふ、日菜子もちょっとだけ行ってみたいですねぇ~また鍵を貸してもらいましょう~」
P「えっ、あっ、ちょっと!そんなに何度も鍵を貸すのは…まずいと思う!ねえ、ちひろさん!」
ちひろ「ん?何か言いました?」電卓パチパチ
P「何でもないです」
芽衣子「おはようー!」
P「おはよう芽衣子!よし、これで全員揃ったな!本格的に準備を始める!」
芽衣子「洋子ちゃんを転ばせる用のヒモとかを用意するんだね」
P「それもあるが、後はどう転んでもいいように辺りにマットを設置する」
芽衣子「徹底してるね」
P「何かあっても嫌だからな」
ちひろ(じゃあ刺されるのやめてくださいよって言いたいけど聞かないんだろうなあ)
日菜子「机とかも移動させちゃうんですねえ」
P「角に当たったら危険だからな、入口周りからは机を全部退ける」
麗奈「ヒモの用意出来たわよ」
P「よし、これで後はベストタイミングで麗奈がヒモを引っ張るだけだ!」
芽衣子「麗奈ちゃんすごいテカテカ」
ちひろ「周りにマットも敷いたしこれで用意はできましたね、あとはプロデューサーさんが電話して洋子さんを起こすだけです」
日菜子「このために、皆で早起きして準備しました~」
P「よし、洋子を呼ぶぞ!」
洋子「スヤスヤ」
~♪
洋子「ん、何だろうこんな朝早くから…あ、プロデューサーだ。はい、洋子です」
P「洋子おおおおおおおおおおおお!うおおおおおおおおおおおおお!まずいことになったんだあああああああああああ!うおおおおおおおおおお!洋子おおおおおおおおお!」
洋子「!?…ぷ、プロデューサー!どうしたんですか!?」
P「洋子おおおおおおおおおおおおお!助けに来てくれえええええええええ!事務所に来てくれええええええええええええ!うおおおおおおおおおおおおお!」
洋子「わ、わかりました!落ち着いてください!今から行きます!」
プツッ プー プー
洋子「プロデューサーの身に何かが!すぐ行かないと…!」
P「我ながら完璧な演技でした。これで洋子は顔も洗わずにすぐ来ます」
日菜子「むふふ、情熱的でした」
芽衣子「すごかったよプロデューサー」
麗奈「なかなかやるじゃない」
ちひろ「やりすぎじゃないですか?」
麗奈「アタシはヒモ持ってスタンバイしてるわ」
P「頼む」
P(階段を大急ぎで駆け上がってくる音が聞こえる…来る、洋子が…来る!)
ガチャッ
洋子「プロデューサー!」
P(来た!アホ毛はカチコチ…ここはOK!後は麗奈が最高のタイミングでヒモを引っ張るだけ!)
麗奈「そらっ!」グイッ
洋子「えっ、わっ!」
P(転んだ!後は、洋子のアホ毛が俺の胸に突き刺さればいい!)
洋子「きゃっ、転ぶー!」
P「さあ洋子!俺の胸に飛び込んで来い!」
洋子「なんのー!」
芽衣子「ああっ!洋子ちゃん持ち前の運動神経で転ばない!」
日菜子「そして洋子さんのアホ毛だけがしなる!」
ちひろ「しなったアホ毛はプロデューサーさんの!」
麗奈「目に直撃したわ!」
P「あびゃああああああああああああああああああ」
洋子「何でこんなことろにヒモが…?」
P「目が、目があああああああああああああああああああ」
洋子「あれ、プロデューサー!どうしたんですか!」
モバP「ハードワックスが目に染みていてええええええええええよおおおおおおおおおお」
洋子「プロデューサーがマットの上で悶え苦しんでる!大丈夫ですか!」
P「マットの上ふかふかで気持ちいいいよおおおおおおおお目が痛てえよおおおおおおおおおおおおお」
洋子「…あれ、私のアホ毛カチコチ!?なんで!?えっ、事務所にマット?なんで!?」
麗奈「…失敗ね」
洋子「?あれ、麗奈ちゃん?皆どうしてこんな朝早くから?」
P「薬液が目に染みわたるわああああああああああああああ」
洋子「プロデューサー!?すごい転がりまわっていますけど大丈夫ですか!」
芽衣子「プロデューサー!水とタオル持ってきたよ!洗って!」
日菜子「この状況どうしましょう」
ちひろ「プロデューサーさんが回復したらしっかりと説明してもらいましょう」
洋子「…。要は私のバランス感覚を見たかったんですか?」
モバP「ああ、アホ毛をカチコチにしてもバランス感覚は大丈夫かなって思ってな!」
麗奈「あれ、アンタ最初と言ってることが違…むぐ」
モバP「バランス感覚も大丈夫みたいで一安心だ!」
洋子「一安心じゃないですよ!もう!最近こういうイタズラ多いですよ…びっくりしちゃいます」
P「ははは、ごめん!」
ちひろ「またご飯ですね」
洋子「…そういえば、私ご飯も食べずに来たんでした」
P「そういや皆ご飯食べてないな」
ちひろ「じゃあまた行きますか」
洋子「このカチコチのアホ毛も直したいし着替えたいので、ちょっと一回寮に戻りますね」
P「ああ、また後でな」
洋子「はーい」
タッタッタッ
麗奈「…ねえ、何で本当のこと言わなかったの?」
芽衣子「…また、満足出来なかったんだね」
麗奈「え?満足?」
P「しかし目にトニックというのも刺激的でよかったな…これで刺されたらどうなっているやら…」ブツブツ
麗奈「大丈夫?アンタ、大丈夫なの?」
モバP「もう一度スケジュール調整して、また新たな作戦を考えるぞ!」
麗奈「ねえ、ちょっと聞いてる!おーい!コラー!」
日菜子「どうしましょう、悪化してます」
芽衣子「えーっと、プロデューサーさん!洋子ちゃんにもう打ち明けてさ、優しく刺してもらうってのはどうかな!」
P「ダメだ。知らない洋子に刺されるのとどうなるかを期待しているのに、知ってしまった洋子に刺されてしまっては違う!」
ちひろ(なんかわからないですけど色々と矛盾している気がします)
数日後
P「というわけで今日も集まってもらった」
日菜子「またやるんですねえ~」
P「次はもっとイケそうな気がするんだ!」
麗奈「もう全面的に協力することにするわ」
芽衣子「今度こそ成功させようね」
ちひろ「それで、今日はどうするんですか?」
P「コスプレ作戦もアホ毛作戦を再びやる、というのも考えましたが…警戒されそうで、成功のビジョンが見えませんでした。なのでまた考えようかと。洋子が来るのは昼からですし、それまでには何とか考えたいですね」
麗奈「うーん、でもアホ毛作戦以上となると…難しいわね。アンタが段ボールに入って、何も知らない洋子にアンタが入った段ボール刺してもらうよう頼むってのは?」
芽衣子「それで段ボール開けたら、その中には血まみれのプロデューサーさん」
日菜子「こわいです」
麗奈「ホラーになっちゃうからダメね。というかアンタの考え方が何かヤバいのよ」
P「そこをなんとか自然に…」
ガチャッ
P「あれ、洋子…。じゃない?」
輝子「…。あ、あれ、みんな…事務所にいっぱい…」
芽衣子「おはよう輝子ちゃん!」
麗奈「おはよう輝子」
日菜子「おはようございます~」
ちひろ「おはようございます輝子ちゃん」
輝子「お、おはようございます…フヒヒ」
P「おはよう輝子。今日はこの時間帯レッスンのはずじゃあ」
輝子「トレーナーさんの都合でお休みに、なった…」
P「そうなのか、それで事務所に来たのか」
輝子「う、うん、それで机の下のキノコ達の様子を…見に、フヒ」
P「…ふむ、なるほど」
ちひろ「この流れ前も見たことある気がしますね」
芽衣子「私の時と一緒だね」
日菜子「そうですねぇ~」
麗奈「大丈夫なの?」
輝子「え、みんな…どうしたの」
P「輝子!俺に協力してくれ!」
輝子「協力!?…よ、よし…トモダチのお願いを断るわけにはいかない…トモダチだからな!フヒ、なんでも来い…フヒヒ」
輝子「…」
P「というわけだ」
輝子「…そ、そういうのもあるのか…よくわからない…」
P「…。うん、そんな気がした」
輝子「ご、ごめん…」
P「あ、いや!謝ることは無い!」
輝子「だって痛いし…悲しいと思うし…」
P「確かにそうだとは思うが…その先にあるのを、俺はちょっと見てみたいんだ!」
ちひろ「見ても大丈夫なのかしら」
輝子「でも…毎日何かに悩んでるのはわかってた…トモダチだからな、フヒヒ…。一生懸命、考えるよ」
P「おお、ありがとう!」
ちひろ(あらやだ純粋)
芽衣子「そんな難しくなくてもいいと思うよ、ドッキリ…みたいなものだし」
麗奈「よかったら、このレイナサマが参考までに今までの作戦を教えてあげるわ」
日菜子「むふふ、輝子ちゃんかわいいです~」
輝子「フ、フヒ…あ、ありがとう」
P「なんて美しい光景」
ちひろ(内容はアレですけど)
輝子「…。思いついた!ハロウィン!」
P「!?」
輝子「あ、大声、ごめんなさい…その、思いついた」
芽衣子「ハロウィン?」
輝子「う、うん、ハロウィン。衣装…ある?」
芽衣子「衣装…ああ!前のイベントの衣装だね!吸血鬼をモチーフにした衣装」
輝子「はい…フヒ」
ちひろ「ちゃんと保存してありますよ、持ってきますね」
輝子「さ…刺されても良さそうな、格好作戦で思いついた。聞いたことある…ドラキュラは、胸をクイで刺さないと…死なないって」
日菜子「日菜子も聞いたことあります~」
麗奈「そのドラキュラがどうかしたの?」
輝子「うん、ドラキュラ…。事務所を…ハロウィン、会場にするんだ」
P「ハロウィン会場?」
輝子「うん、会場…その会場に、洋子さんを迎え入れて、おもてなしするんだ…フヒヒ。最後には…えーっと、イベントの一つとして…ドラキュラ姿のプロデューサーを、胸のクイで刺す…。そういう、イベントをするんだ」
芽衣子「なるほど…最初の作戦より自然だね」
輝子「なら…し、自然に刺せると思う…フ、フヒ」
麗奈「でもハロウィンって言っても…まだ先よ」
輝子「あ、そうだった…ごめん」
麗奈「何も謝ることないわ、ちょっとした予行演習とかって言って誤魔化せばいいのよ」
輝子「!…さすが、麗奈ちゃん、フヒヒ」
日菜子「でもパーティ中に流血騒動は…ちょっと刺激が強そうです」
芽衣子「パーティじゃなくて、アトラクションにすればいいんだよ。学校でやるようなオバケ屋敷みたいにして、ゴールにはプロデューサー!刺せばクリア!でも刺したら血が!…これもこれで衝撃的だけどね」
輝子「し、自然!…すごい、芽衣子さん…フヒヒ…。でもちょっと、怖いけど…」
ちひろ「持ってきましたよー衣装。これでいいんですね?」
輝子「う、うん、ありがとうちひろさん。こういう衣装を皆で来て…洋子さんを迎える、そして、出口には、プロデューサー…だね」
芽衣子「いい感じだね!どうかな、プロデューサー」
P「事務所内の机は全て移動させるとして…部屋を暗くする用の暗幕もいるな…壁に使う段ボールも必要だな…今から衣装を集めるとして…」
芽衣子「すでにやる気だったよ!」
麗奈「アタシにも手伝わせなさい!ここをこうして…」
P「おお、そうだ!ここをこうすれば…。…後は…事務所の内装か…」
ちひろ「事務所内の簡易的な模様替えとなると…私を通してくれると嬉しいですね」
P「…ちひろさん、ちょっと向こうでお話したいことが」
ちひろ「はーい!いいですよ!」
日菜子「いっつも何のお話してるんでしょうね~むふふ」
芽衣子「うーん、気になるね」
昼
洋子「プロデューサーに昼から来てくれって言われたはいいけど…入口前に暗幕が貼ってあるし、それに…」
棺桶「…」
洋子「棺桶が置いてあるんだよね。何だろうこれ、どこがで見たことあるような気がするんだけど…。開けてみていいのかな、えいっ」
バーン
輝子「ジャック・オ・キノコー!エリンギプレゼントー!」
洋子「キャー!…あ、輝子ちゃん!どうしたの!」
輝子「え、エリンギプレゼントー!」
洋子「あ、ありがとう…
輝子「えーっと、ゴホン。勇者よ!よくぞ来た!この事務所は今!悪のプロデューサー伯爵に襲われてしまい、闇の空間へと化してしまった!」
洋子「!?輝子ちゃん!?」
輝子「娘である私の説得の声も!耳には入らなかったんだ…」
洋子「む、娘?」
輝子「私はひっそりと闇の世界で生きていきたかったのだが!プロデューサー伯爵はそうはいかなかった!何としても闇の勢力を広げたかった!」
洋子「う、うん!」
輝子「プロデューサー伯爵…お父さんは!私を外のひつぎにと封印してしまった!だが!勇者たる貴女が封印を解いてくれた!」
洋子「ちょっと触っただけなんだけどね…」
輝子「頼む勇者よ!お父さんの…目を!覚ましてやってほしいんだ!このクイで!」
洋子「く、クイ?先っぽとがってないね…安全でいいね。えーと、でも、お父さんだよね?ドラキュラってクイで刺しちゃうと死んじゃうってどこかで…」
輝子「フハハハハ!お父さんは一度刺された程度じゃ死なない!明日には都合よく悪いことを忘れて蘇ってる!」
洋子「す、すごいね…」
輝子「さあ勇者よ!我と一緒に…この事務所を救ってくれ!」
洋子「よし!なんとなくわかったし、いいよ!またプロデューサーのドッキリか…今回は手が込んでるなぁ」
輝子「…あ、ちなみに、案内役のキノコドラキュラです、よろしく、フヒヒ」
洋子「キノコドラキュラって言うんだ、よろしくね!」
輝子「フヒヒ…では早速、行きましょう…闇の事務所に」
闇の事務所内
輝子「く、暗い…」
洋子「それに、怖い音楽もかかってるね」
輝子「か、かかか、かぼちゃのライトが一杯…」
洋子「…。全部血の涙を流してるね…」
輝子「ちょ、ちょっと頑張りすぎたかも…」ガタガタ
洋子「大丈夫よ!私がいるから!早く元の事務所に戻しましょ!」
輝子「…うん、ありがとう」
輝子「あっ…忘れてた。はい、闇の事務所の地図とライトです」
洋子「ありがとう。どれどれ…曲がりくねってる一本道なのね」
輝子「はい、そうです、フヒヒ。二か所カーブがあるけど…そこにはドラキュラの手下が一人ずついるんだ…フヒ」
洋子「うーん、クイ一本で大丈夫かなぁ…」
輝子「…!く、クイは…使っちゃだめ、プロデューサーに使って!手下には…最初に渡したエリンギを見せれば、撃退できるから」
洋子「あ、ごめんね。わかったよ大丈夫!」
輝子「お願いします」
洋子「じゃあ進もうか!」
輝子「はい…フヒヒ」
輝子「…最初の道は特に何も無いので、安心して…」
カチッ
洋子「カチッ?」
輝子「…何か、踏んだ…?」
ヌルッ ヌルッ
輝子「ヒッ、ヒィッ!背中に!背中に…ぬるって!怖い!」
洋子「きゃっ、何コレ!?…こんにゃく?」
輝子「い、異生物の襲来…」
洋子「大丈夫よ輝子ちゃん!こんにゃくよ!…知らなかったの?」
輝子「う、うん…最初の打ち合わせと違う…何でだろう」
輝子「勇者よ!ここが最初の手下がいる場所だ!さあ、撃退して、私に勇者のすごさを見せてくれ!」
洋子「うん!ゴホン、さあ勇者が来たわよ!私が来たからには、もう好きなようにはさせないわ!さあ来なさい手下さん!勇者の力を見せてあげるわ!」
輝子(…洋子さん結構ノリノリ…)
???「…ふふふ…」
洋子「さあ!来なさい!…って、ミイラ!?」
芽衣子(包帯まみれ)「…ミイラじゃないよー」
輝子(あれ、雰囲気が打ち合わせと違う?)
洋子「み、ミイラじゃなかったら…何なの?」
芽衣子「けが人よー…。もし、勇者なら…」
洋子「勇者なら?」
芽衣子「この全身の血を止めてぇ~」ブシャー
輝子「め、めめめ芽衣子さんの全身から血がっ」バタッ
洋子「ああっ、輝子ちゃん!」
芽衣子「止めて~…って、輝子ちゃん!大丈夫…」
洋子「き…キャー!エリンギー!」ポイー
芽衣子「痛いっ!…あ、洋子ちゃん!エリンギ投げちゃだめだよ!」
洋子「輝子ちゃん逃げよう!」
輝子「」フラフラ
洋子「輝子ちゃんしっかり!」
洋子「輝子ちゃん大丈夫?」
ツルッ
洋子「きゃ、転んじゃった…足元に何か…。…ち、血っ!?…血のり…だろうけど…量が多いな…」
輝子「……ち、血のり地獄」
洋子「輝子ちゃん!しっかり!」
輝子「こ、この先にも…ドラキュラの手下が…います…」
洋子「…あっ、どうしよう…エリンギが…」
輝子「!?…そ、そんな…」
???「ふふふ…」
輝子「!?」
洋子「つ…次は誰?」
日菜子(死神)「死神の…日菜子ですよ~」
洋子「ひ、日菜子ちゃん」
輝子(よかった変わってない)
日菜子「光っちゃいますよぉ~」ボヤァー
洋子「!?キャアアアア!」
輝子「キャアアアア!」
日菜子「…あれ、洋子さん、輝子ちゃん?」
洋子「オバケー!」
日菜子「ブラックライトで光ってるだけですよぉ~怖くないですよぉ~」
洋子「こ、この先がゴールね!」
輝子「う、うん!クイを…ドラキュラの胸にお願い!」
洋子「もう!文句の一つぐらい言ってやるんだから!」
輝子「この暗幕の先に、いるから!お願い!」
洋子「わかったよ!覚悟!ドラキュラプロデューサー!」
シャッ
P(六本腕で肌が緑色でツノが3本生えているドラキュラ)「ヒャアアアアアアアアアアアアアアアよく来たアアアア勇者アアア!!!!さあ俺にクイを打ちこんでこい!!」
洋子「キャー!!!」ボカッ
P「あだっ!肩にクイがっ!」
洋子「今までで一番派手だし怖いしー!」ブンッブンッ
P「違うよ肩じゃないよ!あだっ!腕でもないよ!振りまわしたら危ないって!」
洋子「キャー!」ブンッ
P「危ない危ないって…あでっ、つまずいたー!」ズルッ
ゴンッ 血液ブシャアアアアアアアアア
洋子「えっ」
輝子「ひっ」
バタバタッ
P「あたた…。あれ、二人とも気絶してる!?」
麗奈「何?何?どうしたの?すごいことになってたみたいだけど」
P「いや、それが…刺される前に俺が転んじゃって、チョッキから血のりが出て…」
洋子「」
輝子「」
P「気絶してる!?オマケに血のりまみれで!」
麗奈「んー…ちょっと外見に気合い入れすぎたわね、見てみるとすごいわよアンタ」
P「え、そんなにすごいのか?」
麗奈「我ながらすごいものが出来たと思うわ、血のりもすごいことになってるし…。はい鏡」
P「」バタッ
麗奈「何気絶してんのよ!…しかしホントにすごい外見ね。自分の才能が怖いわ」
タタタッ
芽衣子「二人とも大丈夫!?あれ、プロデューサーまで倒れてる!」
ちひろ「すごい状況ですね」
麗奈「気合い入れすぎたわ…皆気絶しちゃった。さすがに輝子に何も言わずに事務所内をパワーアップさせたのは失敗だったわね」
ちひろ(面白そうだと思ったんですけどやりすぎちゃいましたね)
日菜子「六本腕で血まみれの怪物が目の前に」フラッ
芽衣子「ああっ!日菜子ちゃんまで!」
洋子「…もう、やりすぎですよ!」
P「はい」ビリビリ
麗奈「正座つらい」ビリビリ
洋子「最後本当に怖かったんですからね!」
麗奈「アトラクションとしては大成功ね」ビリビリ
P「めげないな」ビリビリ
輝子「よ、洋子さん…そのへんで、自分の提案だから。…それに、とっても楽しかった…フヒ」
洋子「輝子ちゃん、いいの?」
輝子「うん、文化祭みたいで楽しかった…フヒヒ」
日菜子「驚かす方は驚かす方で、新しい体験でしたね~」
輝子「こんどは驚かす方もやってみたいな…フヒ」
P「輝子…」ビリビリ
麗奈「足がつらい」ビリビリ
洋子「じゃあ、もういいですよ。実を言うと私も楽しかったですよ、ふふ」
P「ああああ足がああああ」ゴロゴロ
麗奈「しびれるううううう」ゴロゴロ
ちひろ「聞けてないみたいですね」
洋子「うーん、でも何でこんなにドッキリされるんでしょう…」
芽衣子「プロデューサーの足さすさすー」
P「ちょほおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
麗奈「アハハハ!アンタ面白い反応するわね!ほーれさすさす」
P「ひゅへえええええええええええええ」
芽衣子「麗奈ちゃんにも」
麗奈「ひゃああああああああああああ」
数日後
P「今日も集まってくれてありがとう!」
芽衣子「そんな気はしてたよ!」
日菜子「私もです~」
麗奈「アンタも懲りないわね」
輝子「呼ばれちゃった…フヒ」
ちひろ「どんどん増えていきますね」
P「さすがにこれだけの人数のオフを調整するのは大変だった」
ちひろ「最近ずっと目が血走って仕事してますもんね」
P「それだけ前回のやつは惜しかったんですよ!血にまみれた俺を見て失神する洋子は本当によかった!輝子もよかった!でも、足を痺れさせながらも洋子に説教されるのは非常によかった!」
ちひろ(こういうことをこの子たちの前で言っていいのかしら)
輝子(フ…フヒヒ)
芽衣子(むー)
日菜子(どんどん情熱的になっていきますねぇ…)
麗奈(単純にいじめられたいだけじゃないのかしら。言ってくれればいいのに)
P「最近はかなり惜しくなってきているので、今日は作戦会議に費やす」
芽衣子「作戦なんだけどね」
P「何だ?芽衣子」
芽衣子「ちょっと力を借りたい人がいて…」
日菜子「はい。話したら、是非!と言うことで」
P「おお、ホントか!」
芽衣子「もう少しで来ると思うよ」
バーン
裕子「話は聞かせてもらいました。プロデューサーの悩み、このエスパーユッコが解決してあげます!」
P「おお、裕子か」
裕子「最近のプロデューサーはちょっとアヤシイですからね!大丈夫です、全て私にお任せください!」
P「アヤシイ?別に変なことないと思うけどな…」
ちひろ(自覚ないんですね。最初の方に比べて結構危ないですよ)
裕子「ふふふ!大丈夫ですよ!任せてください!」
P「おお!」
裕子「…」
P「…」
裕子「…」
P「…。なんだこの間は!?」
裕子「いえ、その…さいきっく心理読みが…上手くいかなくて…あはは、どんな悩みなんでしょう?」
P「あれ、知ってはいなかったのか」
芽衣子「だって悩み聞く前に『任せてください!』って言って走りだしちゃったんだもん」
日菜子「むふふ」
裕子「えーっと…その、洋子…さん、絡みなことはなんとなくわかってるのですが…」
P「おお!よくわかったな!その通りだ!」
裕子「えっ」
P「実はな…」
裕子「…視線が熱いのはわかってましたが…。もう、びっくりです!何でですか!」
P「本当に見てみたいんだ!」
裕子「ぐ…ぐぬぬ…どうしましょう…」
芽衣子「今までこのメンバーで三回ぐらいやってるんだけど…プロデューサーさん満足してなくて」
日菜子「何かないでしょうか」
裕子「うーん、刺されたように見せて、洋子さんを何も傷つけずに、Pさんを刺す、うーん、うーん、うーん…」
輝子「む、難しいよね…」
麗奈「やっぱりいたずら路線でいくのがいいのよ」
芽衣子「また怒られちゃうよ?」
麗奈「くっ…正座が怖くて悪事は出来ないわ!」
裕子「でも、プロデューサーはそれでいいんですか?何か…違うような」
P「エゴなのはわかっているが…どうしてもなんだ!」
裕子「うーん…よくわかりません」
ちひろ「わからなくてもいいと思うわよ」
裕子「!…ひらめきました!えーっと、とにかく刺されたらいいんですね!」
P「ああ、そうだな。刺されたい」
裕子「でしたら、コレです!」
P「?…事務所に置いてあったペーパーナイフ?」
裕子「はい!これを洋子さんとプロデューサーの側に置いておくんです。そしてこのペーパーナイフを、私がさいきっくで動かして、プロデューサーの胸に!」
裕子「プロデューサーはペーパーナイフが当たった瞬間にオーバーな演技を!そして洋子さんは驚くと思いますので、これで完璧です!」
裕子「人を傷つけるようなさいきっくはしたくないんですが…最小限の力で動かすので安心してください!」
P「なるほど裕子!素晴らしいアイデアだ!」
裕子「えへへ」
P「だが一つ問題がある」
裕子「何でしょう」
P「ちゃんとバッチリなタイミングで動かせるのか?」
裕子「……………」
P「あ、いや、不安ならいいんだぞ!」
裕子「う、疑ってますね!今から動かして見せますよ!見ててください!ムムムーン!」
数分後
裕子「ムムムーン!」
P「…」ジー
芽衣子「…」ドキドキ
裕子「ムムーン!」
日菜子「…」ワクワク
麗奈「…」ジー
裕子「ムーン!」
輝子「…」ソワソワ
裕子「ムンッ!」
ちひろ「…」ジロジロ
裕子「さいきっく全開!」
ちひろ「?」
裕子「とりゃー!」ドンッ
ちひろ「ああっ!裕子ちゃん思い切り机を叩いてペーパーナイフを無理やり中へと浮かせた!そしてその勢いでペーパーナイフはプロデューサーさんの胸に!」
裕子「えっ?」
ちひろ「グサッと!」
P「あれ?結構勢いよく刺さったな」血液ブシャアアアアアア
裕子「?!?!?プロデューサー?!」
P「えっ?わっ!?」
裕子「ご、ごめんなさい!本当にごめんなさい!私…こんなことになるとは思わなくて!ペーパーナイフだから、先も丸いし…何もならないと思ってたんです!ごめんなさい!今止血を…」
P「まて裕子!落ち着け!」
裕子「無理です!」
芽衣子「大丈夫!血のりなの!」
裕子「…。…えっ、血のり?」
P「ああ、特注なんだ…この防刃チョッキ。ちょっとの衝撃で血のりが吹き出るようになってる」
裕子「…。プロデューサーのバカー!本当に…ち、血が…出たものだと」グスッ
P「…」
裕子「…プロデューサー?」
P「良い」
裕子「えっ?」
ドサッ
裕子「わっ!?プロデューサー!」
芽衣子「倒れちゃった!?」
日菜子「…いい笑顔で失神してますねえ、むふふ」
麗奈「何かうわごと言ってるわよ」
P「悪くない…」
輝子「!?」
裕子「…。…な、何て言うんでしょうか…その…えーっと…」
P「…洋子…」
裕子「…!?…もう!なんで洋子さんの名前が出てくるんですか!」
輝子「…こ、こういうのがいいのかな…?」
P「アヒアヒ」
ちひろ(大丈夫かしらこの人)
日菜子「事務所のあちこちにペーパーナイフがあります~」
芽衣子「引き出しの中にも!」
裕子「宅配便でペーパーナイフの山が届いています!」
麗奈「壁をペーパーナイフでデコレーションしたの誰よ!」
輝子「…フヒヒ、とてもバイオレンスな風景」
ちひろ「何やってるんですか!」
P「…」
洋子「…?」
ちひろ「プロデューサーさん!最近本当に怪しいですけど今日はライブですよ!大丈夫なんですか!?」
P「ああ、大丈夫ですよ。手配は完璧です」
ちひろ「…ならいいですけど」
P「…ライブ…偶然を装い…刺されるには…」ブツブツ
ちひろ(やっぱダメだぁ!)
ちひろ(最近ではもう刺されれば誰でもいいかなとか不穏なことを言うこともあります)
ちひろ(それでも、アイドルと話す時は若干普通になるため、横から見たら非常に怖いです)
ちひろ(当の洋子さんに打ち明けるのが一番なのでしょうけど、プロデューサーが洋子さんに知られずに刺されたいと言っている以上、なかなか打ち明けられない現状です)
ちひろ(あれから数日経ちましたがプロデューサーの悩みは解消されぬままです)
芽衣子「どうしようかなぁ」
日菜子「はい~」
裕子「はい!」
輝子「うん…」
麗奈「どうしたらいいのかしら」
芽衣子「正直なところ、ここまで引きずるとは思ってなかったよ!」
日菜子「難しいですねぇ~」
裕子「ううむ…皆さんが苦労するわけがわかりました!」
ガチャッ
夕美「みんな、ちょっといいかな?」
芽衣子「あ、夕美ちゃん。…みりあちゃんも」
みりあ「みんないるんだね」
裕子「どうかしたんですか?」
夕美「うん、みりあちゃんが変なこと聞いたって言うんだけど、私もよくわからなくて…相談してもいいかな?」
芽衣子「うん」
日菜子「もしかして…」
裕子「ピピーンときました…ムムム」
みりあ「その、みんなびっくりするかもしれないけど」
麗奈「多分みんな心当たりがあることよ。問題ないわ」
みりあ「えーっと、プロデューサーのことなんだけど…。プロデューサーが『胸にナイフ仕込んでおきながら抱きつかれたら上手く刺されるんじゃないか』って言ってるのを聞いちゃったの」
麗奈「何よそれー!」
日菜子「…デンジャラスです~」
みりあ「その後に『一番のチャンスはライブ終了後だ!』って叫んでたよ」
輝子「え、えぇ…びっくり…」
裕子「よりにもよってライブの終わり際ですか!?」
みりあ「その後すぐに『いや、やっぱダメだ!』とは言ってたんだけど。どういうことかわからなくって」
麗奈「そりゃわからないわね」
芽衣子「わからないよ!」
みりあ「何かあったの?」
夕美「プロデューサーさんに、何かあったのかな?私たちの知らない…」
日菜子「そうですねえ~」
裕子「大ありですね!」
輝子「うん…」
麗奈「今までのことの説明が必要ね」
芽衣子「うん、あのね、順を追って説明するとね…」
みりあ「…す、すごい悩み…殺されたいのかなって思ってたよ!」
芽衣子「それもそれで強烈だね」
夕美「…」
日菜子「プロデューサーさん、思いつめてます~」
裕子「ライブの終わりなんて一番褒めてほしい時なのに…」
日菜子「…。むふふ」
裕子「…。えっ、なんでもないです!ところで!えーっと…」
芽衣子「プロデューサーの欲望、どんどん大きくなってるね」
裕子「は、はい!そうです!その通り、です…うーん、どうすれば…」
麗奈「困ったわねホントに。もう洋子にも打ち明けるしかなさそう」
夕美「…」
芽衣子「そうだね。でも刺してもらうにしてもなぁ、うまくいかなかったらまたやり直しになっちゃう」
裕子「ムムム…刺すものを大きくして見るとか」
日菜子「いいアイデアですけど、包丁の次は日本刀だ!とか言い出したらコワイですねぇ~」
裕子「ム、ムム…最終的にビームサーベルとか言っちゃいそうですね。ビームはさすがにまだ出せません!」
麗奈「そういう問題かしら?」
輝子「フヒヒ、なんだか盛り上がってる…」
芽衣子「うーん、まいったなぁ」
みりあ「刺されたらすごいの?」
麗奈「よくわからないわ」
夕美「…」
ちひろ「…このスケジュール調整を見ると、またオフに作戦でも話し合おうとしてるのかしら。やっぱダメだわプロデューサーさん」
夕美「あの…ちひろさん?」
ちひろ「あら、夕美ちゃん。どうしたの?」
夕美「プロデューサーさんがダメって…何か知ってるの?」
ちひろ「…うーんとね、その…」
夕美「洋子さんに、刺されたいんだよね?」
ちひろ「!?…知ってたのね」
夕美「うん、聞いたの。それで…私作戦を考えたんだけど…」
ちひろ「…」
夕美「…」
ちひろ「…なるほどね、思いつめたわね」
夕美「…」
ちひろ「それなら、もっといい考えがあるわ」
数日後
P「あれからかなり経つが、未だに洋子から刺されたいということが離れない」
P「アイドルとは普通に接しているとは思うが、最近ヤバい」
P「とにかく洋子の見たことない顔を見てみたりしたい」
P「もういっそのこと嫌われてみちゃおうかね、うへへうへへ」
夕美「プロデューサーさんっ」
ちひろ「ちょっといいでしょうか」
P「うおぉ!?ちひろさん!と、夕美!どうしたんですか!?急に?」
ちひろ「声をかけただけなのになんでそんなに驚くんですか」
P「…確かにそうですね。なんでしょう」
夕美「聞いたよ、皆から。洋子さんに刺されたい、って」
P「!?…つくづく思うけど、そんなにわかりやすいのか…俺…」
夕美「大丈夫だよプロデューサーさん、ちゃんと考えてきたから」
P「え?何?作戦?」
ちひろ「はい。オフに集まれる機会もありませんでしたからね。皆でちょっと考えました」
P「おお!本当ですか!ありがたい!最近ずっと冷静になれなくて…」
夕美「…」
ちひろ「作戦ですが、かなり本格的にやります。洋子さん以外でプロデューサーさんの悩みを知っている人が全員仕掛け人です」
ちひろ「ちなみにみりあちゃんも知ってますので」
P「洋子以外?えーっと、芽衣子、夕美、日菜子、裕子、麗奈、輝子、みりあ、ちひろさん…あと、俺、ですか」
ちひろ「その通りです。プロデューサーさんは、近々ドラマのオーディションがあるのを知っていますか?」
P「いえ、何でしょう」
夕美(普段なら、どんなオーディションでもチェックしてるはずなのに)
ちひろ「…。このドラマです、プロデューサーさんは詳しいと思います」
P「…!?これって!」
ちひろ「はい、プロデューサーさんが洋子さんに刺されたいと思うようになったドラマです。第二弾をやるみたいですね、そのオーディションです」
P「なんと…見なくては!」
ちひろ「今回は、そのオーディションに参加する体でドッキリを行います」
P「?…具体的にはどういう」
ちひろ「まずは、オーディションの日付ですが嘘の日付を教えます。そして会場も誰も来ないような廃ビルに設定します。これももちろん嘘です。…まあ要は、私たちだけが廃ビルに行くんです」
P「ちょっと露骨すぎやしませんか?」
ちひろ「参加人数が多いから日程をずらしてオーディションを行う、とでも言っておきましょう」
P「…しかし廃ビル、ですか。何か密室でも作るんですか?」
ちひろ「察しがいいですね、その通りです。そしてその中で、皆の死体が発見されていくんです」
P「!?え、えっ!?」
ちひろ「大丈夫ですよ、ドッキリですから。そして最後には、プロデューサーさんと洋子さんだけ残るんです。そこでプロデューサーさんは『俺がやったんだ!』とでも言ってもらえれば、もうOKです」
P「…なるほど、洋子の感情をマイナスに向けまくるんですね。そしてそのマイナスの感情を俺に向ける…そうすれば洋子にほぼ刺される!いけるぞこれ!」
ちひろ「…。1~2名が犠牲になって、洋子さんの精神状態が危ない、と思ったら、その時点で自白すればいいんです」
P「ほうほう」
ちひろ「あのドラマのオーディションのためのドッキリ、と言えばそれっぽくなるでしょう。ですが、今までのようなイタズラとは違います。仮にでも人が死ぬような、本格的なドッキリになりますから…やるかどうかは、プロデューサーさんが決めてください」
P「やりますよ!」
ちひろ「…了解です、では、皆さんにも改めてドッキリの決行を伝えておきますね」
P「日付はいつになります?」
ちひろ「二週間後をメドには。皆にはオーディションのことをまだ伝えていない体ですので、プロデューサーさんがタイミングを見て発表してください」
P「わかりました!なんというか…テンション上がってきました!ヒャッホウ!じゃあちょっと、俺も出来る限りの用意はしてきます!」
バタン
ちひろ「即答だったわね」
夕美「…」
ちひろ「じゃあ、やりましょうか」
夕美「…」コクリ
P「近日中にドラマのオーディションが開催されるぞ!それも何と…」
夕方
オーディション(嘘)当日
廃ビル(四階建て)前
洋子「廃ビルですね…」
P「廃ビルだな」
P(あれから集まれる機会は結局一度も無く、メールのみの連絡になったが…打ち合わせは完ぺきである)
麗奈「廃ビルね」
日菜子「廃ビルです~」
P「俺らの他にももう一組来る予定だが…遅れているらしいな」
P(というのは嘘だ、そんな予定は無い)
P(正体不明の第三者を設定した方が、俺に疑いの目が来なくていいのだ)
芽衣子「思ってたより廃ビルだったよ」
輝子「廃ビル…フヒヒ」
P(中には何もない、本当にタダの廃ビルだ。少し木材やらちょっとした材料が置いてあるぐらいだ)
P(ちひろさんが業者に頼んで、ある程度の改造や用具の設置を行ってもらったらしい)
裕子「おお…廃ビルです!)
夕美「廃ビルだねっ」
P(段取りはこうだ。まず全員が廃ビルに入り、探索を始める。誰もいないねーと。そして少し時間が経てば、一人でうろついていたみりあの悲鳴が入る予定になっている。悲鳴の元に行くと、そこにはみりあの死体。だがもちろんドッキリのため死んだフリだ)
P(血のりも少量だがあらかじめ全員持っているため、演技は簡単だろう)
P(順番はみりあ→麗奈→日菜子→輝子→裕子→夕美→芽衣子だ。単純に年齢順)
P(嘘の死体現場を見つけた後は、俺が率先して脈を取りに行く。そして脈が無いと嘘をつく)
P(あちこちにわざとらしく置いてあるブルーシートを被せておけば、探られることもないだろう)
P(木材やらの材料が置いてあるのは、そのカモフラージュもある)
みりあ「廃ビルだよ~」
P(そして最終的には俺と洋子だけが残る。俺がやったんだ!って言ってしまえば、刺してはくれるだろう。非常に楽しみだ)
P(二人だけになる前に、早めに切り上げてしまってもいい。そこは考えつつやる)
P「じゃあ、入るか」
P(ちなみにちひろさんは留守番だ)
P「埃っぽいな…本当にこんなところでオーディションやるのか?」
芽衣子「大丈夫なの?プロデューサー。間違えてない?」
P「いや、ここで間違いはないんだが…。電気は通ってるみたいだし」
洋子「スタッフさんはどこにいるんでしょう」
P(さすがに怪しすぎる状況だが、仕掛け人の数は多い。なんとか誤魔化せるだろう)
輝子「キノコ生えてそう…フヒ」
日菜子「ドキドキですねぇ~むふふ」
裕子「…あれ、他の皆は?」
洋子「麗奈ちゃんが『探索しに行くって』走りだしちゃったから、夕美ちゃんとみりあちゃんが追いかけに行ったよ」
裕子「そうなんですか、いつの間に」
キャアアアア
洋子「!?」
P(来た!まずは一人目…ん、この声…)
芽衣子「麗奈…ちゃん、の悲鳴!?」
P(麗奈の悲鳴…いや、まあ、いたずらとアドリブ好きだしな…)
輝子「ライブのシャウトとも…違うね」
裕子「何かあったんですよ!」
P「…二階からだな、行くぞ!」
日菜子「はい!」
二階
P(全員で悲鳴の元に行くと、みりあと夕美が部屋の前で腰を抜かして倒れていた)
P(演技にしてはリアルだな、と視線の先を見ると)
P(打ち合わせとは全く違う血液の量を流し、麗奈が倒れていた)
P(左胸からは刺されたような痕跡があり、血液が流れていた)
芽衣子「え…嘘…」
P「嘘だろ…」
P(急いで駆け寄り脈を取るが、何も感じなく、異様に冷たかった)
P(一心不乱に揺さぶってみても、何も反応が無い)
P(揺さぶっている最中に、芽衣子に引きはがされた。かなり錯乱していたらしい)
P(部屋の外で放心していると、芽衣子がブルーシートを麗奈に掛けてあげるのを見て、我に帰った)
P「…そうだ、弔ってやらないと…。いや、違う!警察だ!警察!携帯で…」
…お客様の電話は、ただいま電波の繋がらない場所に…
P「繋がらない…何でだ!?ちょっと、誰か!変わりに警察に!」
洋子「…私の携帯も繋がりません」
芽衣子「私も…」
裕子「な、何で!?電波よ、わが手に…ムムム」
P(…何でだ!?)
輝子「…ぼ、ボッチ状態…」
みりあ「…」グスッ
夕美「みりあちゃん…」
日菜子「に、逃げましょう…。日菜子たち以外の誰かがいるんです…」ガタガタ
P「そうだ!確かにその通りだ…逃げるぞ!」
一階
P「何で、扉が開かないんだ!」ガンガン
洋子「おかしいですね!このこの!」ガンガン
P(来る時はスムーズに開いていた扉が開かない…何でだ!体当たりしてもびくともしない!)
P「…そうだ!窓だ!窓からなら…」
日菜子「ダメです、鉄格子が全部の窓にあって…」
P「!?何で…そんな!」
日菜子「…こわいです」
裕子「曲がれーっ!鉄格子よ曲がれー!」
芽衣子「刑務所の施設みたい…」
洋子「プロデューサー、そういえば…あと一組遅れてくるって言いましたよね?まさか…」
P「…」
P(洋子の視点で考えるとそうなるだろうが、そんな奴はいない…)
P(元はただのドッキリなんだ…)
P「…あれ、洋子、芽衣子、裕子、日菜子…あと三人いない!?し、輝子と夕美とみりあはどこに!?」
二階
P「どこだー!こんな時に離れたらまずいぞ!」
裕子「返事をしてくださーい!」
キャアアアア
洋子「!?…ひ…悲鳴…上の階で」
芽衣子「みりあちゃんの声だ…」
日菜子「ま、また悲鳴…」
三階
P(…声の元をたどると、そこには…みりあの死体があった)
P(前と同じく、打ち合わせとは全く違う…量の血液を流していた)
P(今回も刺された跡が残っていたため、同一犯だろうか)
P(誰が…何のために…)
洋子「プロデューサー?」
P「…?…洋子か…あれ、他の皆は!?」
洋子「それが…皆、脱出の手段がないか探しに…」
洋子「私もう…どうしたらいいかわからなくて…」グスッ
P「…」ヌギヌギ
洋子「プロデューサー!?なんで急に脱いで…って、チョッキ?」
P「洋子、これを着ておいてくれ」
洋子「!?…え、で、でも…」
P「ただのチョッキじゃない、防刃チョッキだ。着ておけば襲われても安心だろう。少しの衝撃で血ノリが吹き出る仕組みになってるから、びっくりするかもしれないけど」
洋子「だ、ダメです!プロデューサーが着ていてください!」
P「頼む!!」
洋子「…あ、ありがとうございます。えーっと…でも、なんで防刃チョッキ着てたんですか?」
P「細かいことは…終わったら話すよ。今はなんとか脱出しよう」
洋子「…はい!」
三階
P(この廃ビルは階段が二つ設置してある)
P(犯人が俺らに気付かれずにやり過ごすことも可能だろう)
P(それにある程度広い…前日から隠れることも可能だったのかもしれない)
P(下調べを怠った俺のミスだ…)
洋子「…ヒッ!」
P「どうした!?」
洋子「血…」
P(洋子が指さす先には、部屋からおびただしい量の血が流れていた)
P(血の後を辿り、部屋の中を見ると芽衣子がうつ伏せになり、倒れていた)
P(…もう、確認するまでもないだろうか)
P(誰かいないのか、という声を上げるのも精神的にも疲れてきた)
P(三階の確認を終え四階に上がろうとすると、四階に上がる階段で日菜子がうつ伏せになって倒れていた…血を流しながら)
P(吐きそうになるのをなんとかこらえ、別の階段から四階にと向かった)
四階
P「ここが四階…最上階だが、電気も付いてるな…」
洋子「…プロデューサー…」
P「…」
P(洋子が指さした先には、廊下で裕子と輝子のうつ伏せ死体があった)
P(手前には裕子、その奥には輝子だ)
P(死体の様子を確認すると、もみ合った様子も無く、胸を一突きだった。…もみ合った、様子が無い?)
P(…それって…)
洋子「…」
P(洋子は限界が来たのか、座り込んでしまった)
P(俺も、もう…動きたくもない…でも、もうそんなことは言ってられない)
P「洋子…あの部屋に隠れて、待っていてくれないか」
洋子「え…?」
P「すぐ終わるから…俺がいい、って言うまで隠れててくれ」
洋子「…はい」
P「わかってるんだ!もう出てきてくれ!」
P「いるんだろう!夕美!」
トコトコ
夕美「…あ、プロデューサーさん」
P「…皆を刺したのは…夕美だな」
夕美「…ばれちゃったか。もう私と洋子さんとプロデューサーさんしか残ってないから、そうなるよね」
P「皆には一切抵抗の跡が見られなかったからな」
P「最初の方は急に刺してくるもんだから皆驚いて悲鳴を上げたんだろう」
P「最後の方には皆で犯人探ししているところに、急に事務所の仲間が刺してくるんだからな…悲鳴も少なくなる」
P「…なんで、こんなことをした!」
夕美「…それは、こっちの台詞だよプロデューサーさん」
夕美「なんで洋子さんだったの?」
P「な、なんでって…」
夕美「なんで洋子さんに刺されたかったの?」
夕美「洋子さんがプロデューサーさんのことを好きだから?違うよね?私の方がプロデューサーさんのことを…」
夕美「なのに、毎日視線を向けて気にかけてるのはおかしいよね?」
夕美「毎日刺されることを考えてるって聞いたときは、ちょっと悔しかったよ」
夕美「嫉妬しちゃったもん、私」
P「夕美…?おい…ちょ、ちょっと待ってくれ!刺されたいなんて!ちょっとした…ただの好奇心だったんだ!」
夕美「でも、嫌いじゃなかったらやらないよね?」
夕美「好きじゃなかったら、やらないよね?」
夕美「私、本当にあせっちゃって」
夕美「もっと早く、皆のドッキリに参加すればよかったの」
夕美「完璧なプランを思いつくことが出来たのに…」
P「…で、でもな…別に何も!全員…刺すなんてしなくてもよかっただろ!」
夕美「ダメだよ。二人っきりじゃないとダメみたい。他の子に夢中になられたら困るもん」
夕美「それにね、プロデューサーさん…」
チャキッ
夕美「刺されたいなら、いつでも刺してあげるんだよ?二人っきりで…」
P「包丁…!?お、おい、待ってくれ!」
夕美「大丈夫よ?どうせ着てるんでしょ?防刃チョッキ」
P「い、いや…違」
夕美「ちょっと眠っててねプロデューサーさん。洋子さんを始末したら、すぐにまた迎えに来てあげるね、いっぱい刺してあげるから!!!」ダッ
P「!」
ブンッ
夕美「ほらぁ!」
P「夕美!頼む!俺の話を…!」
ブンッ
P「…っ!こんな荷物の多いところで暴れるな!」
夕美「待たないよっ!」
ブンッ
P「危ないって!」
夕美「このっ!」
ブンッ
ブチッ
夕美「えっ?」
P(夕美が振りまわした包丁は…)
ガラガラ
P(立てかけてあった大量の木材を縛っていたヒモに当たった)
夕美「キャアアア!」
ガラガラ
P(そして…そのまま、夕美は木材の下敷きになった)
P(あまりにも…急すぎて、何も動けなかった)
P(今、呆然と目の前の風景を見ている)
P「…。俺が…俺が刺されたい…なんて思わなければこんなことに…いや…そもそも…」
洋子「…」
洋子「…」
P「洋子!?隠れてろって!」
洋子「夕美ちゃん…」
P「!?…み、見てたのか…」
洋子「夕美ちゃんですよね…その…死体…」
洋子「どういうこと…なんですか…」
洋子「…もう私…わからなくて…」ポロポロ
P「…」
P(事件の真相を話さなくては、と声が出かけたが、思わず止まった)
P(なぜならこれは、刺されるには絶好のシチュエーションだった)
P(俺が犯人だ!と言えば、洋子に刺されることは確実だ)
P(近くには、おあつらえ向きの工具も転がっている。俺を刺すための凶器には十分だろう)
P(洋子の絶対に見れることのない表情を見て、死ぬことが出来るだろう)
P(それに、事務所のアイドルの変化に気が付くことも出来ず、皆、死んでしまった…)
P(俺はもう、生きていてもしょうがない…)
P(そう思っていた)
P(…だが…)
P「…。部屋に隠れててくれ」
P「電話が通じるようになったら…警察に連絡して、ありのままを話すんだ」
P「そうすれば、疑われることなんてないだろう。全てが終わったら…洋子の好きなように暮らしてくれ、アイドル辞めてもいいし、実家に戻ってもいい」
P「最初は暮らしにくいと思うから、事務所の金庫のお金を使ってくれ」
P「緊急用の資金があるんだ、ちひろさんに言えばわかると思う」
P「それがあれば、当分は大丈夫だ」
洋子「…プロデューサー?」
P「…元は俺が、洋子に刺されたい、っていう軽い話だったんだ」
P「でも話が大きくなりすぎて…どんどんヒートアップして」
P「気が付けば自分だけの世界に入って…」
P「周りのことに何一つ気が付けなかった…」
P「本当に傷ついて、悲しんでいる洋子の姿すら想像も出来なかった…」
P「皆の姿も…」
P「気遣っているつもりでも…何も考えていなかった…」
P「…やっぱり笑顔が一番だな!気付くのが遅かった!」
P「最後のお願いだ!洋子だけでも生きていてくれ!」
洋子「え、最後…って?」
P「じゃあ、部屋に隠れているんだ…目を閉じて、耳をふさいでいてくれ」
洋子「…プロデューサー?その…何を?」
P「…何、すぐ終わるさ。皆にちょっと謝りに行くだけだ…」フラッ.
洋子「!」ダッ
洋子「待ってくださいプロデューサー!」ダキッ
P「止めるな!もう…俺は…これしか無いんだ!ほっといてくれ!」
洋子「違うんです!」
P「違わなくない!」
洋子「ドッキリなんです!」
P「離してくれ!もう何もかも手遅れ…えっ!?」
洋子「…ドッキリなんです、全部」
P「…ドッキリ?どこから?」
洋子「…廃ビルに入るところからです」
P「へっ?」
ゾロゾロ
ちひろ「ドッキリ大成功ー!」
日菜子「むふふ~熱演でした~」
裕子「ふふふ…私のさいきっくなアドリブは完璧でしたね」
輝子「死んだフリ面白い…フヒヒ」
芽衣子「夕美ちゃんすごかったよー」
夕美「ちょっと頑張りすぎちゃった」
麗奈「最初に脱落したから頑張る暇すらなかったわ!」
みりあ「えへへ…大成功ー!」
P「…えっ、えっ!?」
ちひろ「やーいやーい」
洋子「…というわけなんです!みんな無事なんですよ!だから思いつめることなんて…」
P「…」
洋子「プロデューサー?」
P「」バタッ
洋子「プロデューサー!?きゃーっ!プロデューサーが倒れた!」
ちひろ「まあびっくりしますよね」
ちひろ「というわけで、まさかの逆ドッキリでした!まさかのプロデューサーさん以外、全員が仕掛け人です!」
P「…いつぐらいから、ドッキリの計画を?」
ちひろ「夕美ちゃんが私に悩みを相談したときですね」
相談したとき詳細
夕美「それで私、作戦を考えたんだけど…。プロデューサーさんが変になったのってそのドラマのせいなんですよね?私考えたんです。だから、そのドラマを忠実に再現して、プロデューサーさんが刺される当事者になれば、プロデューサーさんも満足するんじゃないかな、って」
ちひろ「良いアイデアね。でも大掛かりになりそう…」
夕美「私、頑張ります。なんなら私が刺してあげて…」
ちひろ「ちょ、ちょっと落ち着いて!…なるほど、思いつめたわね」
夕美「…」
ちひろ「だったら、もっといい考えがあるわ。事務所の皆に協力してもらいましょう!」
相談風景
芽衣子「みんな集まってくれてありがとう」
ちひろ「正直あのプロデューサーさんはもう駄目です!内容はメールで送った通りです!プロデューサーさんの刺されたい悩みです!」
麗奈「最初は軽い感じかと思ったのに」
洋子「…皆、ごめんね」
日菜子「洋子さんが謝ることないですよ」
輝子「…うん、そうだと…思う」
みりあ「びっくりだよ」
芽衣子「洋子さんにも、夕美ちゃんにもみりあちゃんにも、もっと早く打ち明ければよかったよ、ごめんね」
夕美「大丈夫だよっ。教えてくれてありがとう!理由が知れて嬉しいよ」
芽衣子「でも、本当にどうしよう」
麗奈「いっそのこと、冗談でも刺してもらうしかないわよ」
日菜子「多分ダメだと思います」
麗奈「!?…何でよ!」
芽衣子「今までもそうだけど…叩かれてもまだやりたい、目にトニック入れられてもまだやりたい、正座させられてもまだやりたい…ペーパーナイフ刺されてもまだやりたい。今ではライブ終わりに刺されたいって。欲がどんどん大きくなっていくの」
洋子「…うーん」
麗奈「…確かにそうね」
裕子「…。何とか出来ないんでしょうか」
ちひろ「そこで私の出番です!ここまで来たら当人でもどうにかするのは、とても無理な話ですね」
ちひろ「人間の欲望は無限です。どこまで行こうがなにをしようが、これでいい、なんてことはありません。どうしても、次を追い求めてしまうんです」
ちひろ「それは、皆さんもわかっていることだと思います」
アイドル一同「…」
ちひろ「欲望を断ち切ることも出来るでしょうが、それは本人だけが決められることです。他の人が何を言ったって、何もならないでしょう」
夕美「何でですか?」
ちひろ「自分がそうしたいからです。それが、欲望に対して動かされると言うことです。たとえわかっていても、やめることはできないでしょう」
みりあ「じゃあ、ずっとプロデューサー…あのままなのかな?」
ちひろ「いえ、一つ方法があります。思い知らせることです。自分の愚かさに、自分で気付かせるんです!」
芽衣子「でも…出来るのかなあ」
ちひろ「夕美ちゃんが私に話してくれた作戦なら出来ます。最初に止められなかった私の責任もありますので、この件に関しては私が完全にバックアップします。では、皆で頑張ってプロデューサーさんの目を覚ましてあげましょう!」
アイドル一同「おー!」
ちひろ「…という感じです。まあ実際夕美ちゃんが言った作戦は、ドラマの再現をしてプロデューサーを刺せば、満足するんじゃないかな?というものでしたが…皆で完全オリジナルでやったほうがいいな、と思いまして。それで、廃ビルも借りたりして、皆で頑張りました」
P「…それで、ああいうシナリオになったんですか?俺を刺しに来るという…」
ちひろ「はい、そうです。刺されるという極限状態がいかに辛いかをわかってもらえれば!と」
P「とても思い知りましたよ…そんなに心配かけているとは思いもしませんでした」
ちひろ「まあ自覚なかったですもんね」
P「しかしドッキリにしても、所々で気になるところもあったんですよね…電波が通じなかったのは?」
ちひろ「プロデューサーさんの携帯だけコッソリ電波が通じない携帯に入れ替えておきました。データもコピーしてあります」
輝子「私たちのは、電波のところにシール貼ってあるだけ…フヒヒ」
P「…出口が開かなかったのは?」
ちひろ「出口は皆さんが入った瞬間に、大量の重りを設置しただけです」
みりあ「業者さんに頼んだんだって」
P「…あの、窓にあった鉄格子は?」
ちひろ「鉄格子は窓から脱出されたら台無しになるので、備え付けておきました」
裕子「とっても硬かったです!」
P「…皆の死体は?どういう原理で?」
ちひろ「脇に物をはさんでもらって、脈を弱めたんです。体も少し冷やしておけば、死んだフリ死体の完成です」
麗奈「めちゃくちゃ揺らすから焦ったわ」
芽衣子「思わずプロデューサーさんを止めに行ったよ」
P「…夕美の最後は?完全に押しつぶされていましたが」
ちひろ「それもこの廃ビルの仕掛けの一つです。一定の力をかけるとあらかじめ用意しておいた落とし穴に入れるようになっています。落とし穴の中には精巧な腕の模型もあるので、ちょっと頑張れば押しつぶされたようにも見えます。もちろん、あちこちに似たような仕掛けがありますよ」
夕美「いっぱい練習したよっ」
P「…万全すぎるでしょう」
ちひろ「ふふん、たくさん打ち合わせしましたからね!」
日菜子「むふふ」
P「それで、死体の順番や、俺を刺しに来る人を決めるのとかは…どうやって決めたんですか?」
ちひろ「最終的にはクジで決めました」
作戦会議風景
夕美「刺しに行くのは私が…ちょっとだけやってみたいなぁって」
芽衣子「私もやってみたい…かな」
洋子「だ、大丈夫ですよ二人とも…私のせいもあるんですから、私がやります!」
ちひろ「何ですかこの奪い合い」
日菜子「成長するから大丈夫ですよ~むふふ、頑張って死んだふりします~」
輝子「私は今回は見てることに…する、フヒヒ」
裕子(なんで私は止められたんでしょうか…演技できますよ!アドリブも!)
麗奈「私たち二人が強制的に死体役ってどういうことよ!」
みりあ「ちょっとさみしいなぁ…」
ちひろ「さすがにちょっと年齢が」
ちひろ「じゃあクジで決めましょう。さすがに最後のシメは洋子さんの方がいいと思いますので…夕美ちゃんと芽衣子さんでクジを引いてください」
夕美「あっ、私だ」
ちひろ「では、最後にヤンデレになってプロデューサーさんを刺しに行くのは夕美ちゃんということで」
芽衣子「夕美ちゃん頑張ってね、死体目線から応援するよ!」
夕美「はい!」
日菜子「私たちは頑張って死体します~むふふ」
みりあ「うん、驚かせようね」
麗奈「やるからには完璧な死体になるわよ!」
裕子「さいきっくを用いれば完璧な死体にもなれることを証明します!」
輝子「フヒ…」
洋子「じゃあ夕美ちゃん、よろしくね」
夕美「うんっ、頑張るよ」
ちひろ(結構皆やる気なのね)
ちひろ「…という感じで話し合いました」
P「…頑張りすぎですよ」
ちひろ「えへへ」
夕美「うふふ、いっぱい頑張ったよっ!」
P「夕美すごかったよ…。ホントに死ぬかと…しかし、最後の方で洋子と対面したときに、俺が洋子に刺してほしいって言ってたらどうするつもりだったんですか?最後は…俺が変な感じになっちゃいましたけど」
ちひろ「それなんですが、予定ではちゃんと洋子さんが憎しみをこめて刺しに行くことになっていました。でも洋子さんアドリブを入れたんです。何ででしょう?プロデューサーさんは防刃チョッキ着てるし、刺しても問題ないはずなんですが」
P「…。なるほど、そういうことか…」
洋子「…えへへ」
芽衣子「あれ、それって…プロデューサーの防刃チョッキだよね?」
洋子「うん…これ着てたら大丈夫だろうって」
ちひろ「ああ、だから刺しに行けなかったんですね」
麗奈「何よそれー!ずるいわ!」
夕美「むー」
芽衣子「いいなー」
輝子「うらやましい…」
日菜子「ジェラシーです~」
みりあ「なんかずるいよー」
裕子「むむっ!洋子さんにちょっと優しすぎますよ!」
P「え、ええ!?なんだこの雰囲気!?」
ちひろ「それで、今の気分はどうですか?」
P「ドッキリはめちゃビックリしましたけど…なんか、モヤモヤが取れた感じがします」
ちひろ「でしょうね。顔から濁りが消えてますよ」
P「ははは、ごめんな皆…もう大丈夫だ!」
みりあ「えへへー、やっといつものプロデューサーに戻ったね!」
日菜子「むふふ~最初の約束通り、ちゃんと屋形船連れてってくださいね~」
P「ああ!…。屋形船?」
日菜子「えっ、覚えてないんですか?ほら、最初に…解決したら連れてってくれるって」シュン
P「…。あ、ああ!思い出した!もちろん連れてってやるぞ!…でもアイドルと二人で行くのも…バレたらマズイし…うーむ」
日菜子「貸し切りにすればばれませんよぉ~むふふ」
P「貸し切りっ!?」
芽衣子「私との約束は覚えてるよね!一緒にドラマ見るって…」
P「…ああ、思い出したから覚えてる…気もする」
芽衣子「見終わったらドラマの舞台になったところに旅行に行こうね!」
P「旅行っ!?オフの調整しないと…」
麗奈「ちょっと!先に私との買い物に付き合うってのはどうなったの!」
P「買い物!?ああ、調整するけど…」
裕子「むっ、みんながそんな約束してたとは知りませんでした!私とも一緒に買い物に行きましょう!」
みりあ「私もお買いもの行きたーい!」
夕美「私も一緒に行きたいなっ!二人でね!」
輝子「プロデューサー、私とも…キノコの栽培をしよう、フヒヒ」
P「え、えーっと…その…オフの調整が…よ、洋子ー!」
洋子「プロデューサー!」
P「ちょっとお助け…」
洋子「今度フルマラソンの練習に付き合ってくださいね♪」
P「洋子おおおおおおおおおお!」
ちひろ「じゃあついでに、私もお願いがあるんですけど」
P「…いいですよ!何ですか?ここまで来たらもう何でもいいですけど…」
ちひろ「これ払っておいてください!今回のドッキリにかかった経費です」
P「…。…。!?…ぜ、ゼロの数がすごいことになってるんですけど!さ、さすがに…」
ちひろ「まあ元はプロデューサーさんのせいでこうなったんですから、ね♪」
P「いやあああああああああああああああああああああああああ」
数日後
車内
P「今日の収録も良かったよ」
洋子「ありがとうございます!」
P「フルマラソンの練習だけど…オフの調整が出来なくて…その、また先になりそうだ」
洋子「大丈夫ですよ!ゆっくりでいいですから」
P「お願い聞けたのも、まだ日菜子と麗奈だけだからなぁ、調整も大変だよ」
洋子「忙しいですもんね。…そういえばプロデューサー」
P「ん?」
洋子「なんで私に、刺されたい…なんて思っちゃったんですか?」
P「…んー。まあ…変わった顔を見てみたかったんだ。それだけだよ」
洋子「そうなんですか?本当に…」
P「ああ。無駄にエスカレートしちゃったから…なんかよくわかんないことになった」
洋子「シンプルだったんですね」
P「あとそういえば…最後の洋子のアドリブだけど、どうしてああいうことを言ったんだ?」
洋子「あのときは役柄になりきっていたんですよね。それで、ああいう台詞が出ました」
P「そうだったのか。でも、もし俺が『俺が犯人だ!』って言ったら、どうするつもりだったんだ?」
洋子「その時は…その、抱きつきにいこうかな、なんて。嘘です!そんなこと言わないでください!目を覚ましてください!とも言うつもりでした。実際やってないですもんね!」
P「…。なんか照れるな!あはは!そっちのルートでもよかったかも!」
洋子「ふふっ」
P「それにしても、廃ビルのドッキリは教訓になったよ。もっと皆のことを見てあげないとな」
洋子「これから気を付けてくれれば大丈夫ですよ」
P「ありがとう。…でも、一番びっくりしたのは、本当にあの件を練習にして、事務所の皆で例のドラマのオーディション受けに行くとは思わなかったよ。あのドラマのオーディションって、架空じゃなくて実際にあったんだな…」
洋子「結構皆ノリノリでしたよね」
P「ああ。しかし、刺されるのは当分こりごりだな…これっきりにしたい」
洋子「…。えっ?」
P「ん?どうかしたのか?」
洋子「…いえ、その」
P「よし、事務所に付いたぞ」
P「ただいま戻りましたー」
洋子「ただいまー!」
キャッキャッ
P「…あれ、皆どうしたんだ?集まって…」
ちひろ「おかえりなさいプロデューサーさん、洋子さん。それがですね、先日のオーディションの結果が届いたんですよ。あの例のドラマです、アイドルがプロデューサーを刺しに行くドラマ」
P「そうだったんですか。皆やけに楽しそうですけど…まさか受かったんですか?」
ちひろ「全員受かりましたよ」
P「えっ!?」
芽衣子「見て見てプロデューサー!合格通知!」
夕美「ちょっと自信あったんだっ!」
P「え、えっ!?」
裕子「エスパーユッコの新たなる境地をお見せしましょう…ふふふ」
日菜子「むふふ~楽しみにしていてくださいねぇ~」
P「ええっ!?」
輝子「フヒ…洋子さんも受かってたよ…フヒヒ」
洋子「え、ホント!?わーい!」
P「えっ、えっ!?」
麗奈「アタシの実力を持ってすればこんなものよ!」
みりあ「とっても嬉しいよー!」
P「その年齢で受かっちゃだめだろ!」
ちひろ「このとおり全員合格です」
P「みりあなんて小学生ですよ!大丈夫なんですか!」
ちひろ「採用する方も小さい子いたら面白いかなーって思ったみたいですね」
P「…と、唐突すぎて!どういうことですか!あのドラマの内容を…皆で…やるのか」
ちひろ「事務所の宣伝にもなりますね」
P「…そうだ!問題は相手役だ!そのことをすっかり忘れていた!変な人だったらどうすれば…ちひろさん、何か知ってますか!」
ちひろ「相手役はプロデューサーさんですよ、貴方です」
P「はい!?」
ちひろ「前見たドラマ、主演の人の演技がぎこちないって言いましたよね?あの人もアイドルのプロデューサーなんです」
P「はっ!?」
ちひろ「事務所の声とアイドルの要望もあり、ああなったみたいです」
ちひろ「私たちもダメ元で書類と先日の廃ビルの映像を見せたんですが、なんとOKサインを出してくれました」
P「何やってるんですか!」
夕美「えへへー、プロデューサーさんっ、今度はちゃんと出来るよ!」
P「出来るって何を!?どうした夕美!」
芽衣子「あのときのプロデューサーさんのさ、うろたえた表情皆でこっそり見てたんだ」
日菜子「すごくよかったです~むふふ」
裕子「普段では絶対に見られない表情でしたからね!」
輝子「うん…なんだか…かわいかった、フヒヒ」
みりあ「今度はみりあと一緒にやろうね!」
麗奈「ひっひっひ!本番が楽しみね!」
P「ちょーい!何!?何!?何この流れ!?」
洋子「えへへ…」
P「洋子?!えへへってどうした!何があった!」
洋子「実は…私もちょっとやってみたいかなって。刺す方も!」
P「洋子ーッ!嘘だろーッ!」
ちひろ「言うなれば『モバPさんを刺してみたい』って奴ですね」
P「別に言わなくていいです!」
芽衣子「一緒に収録するの楽しみだねプロデューサー!」
洋子「また違う私の顔を見せてあげますねプロデューサー!」
夕美「次は違う役をやりたいかもプロデューサーさんっ!」
裕子「私の違う一面も見せますよプロデューサー!」
日菜子「むふふ~一緒に収録できるってだけで日菜子楽しみです~」
輝子「フヒヒ…みんなで収録するの楽しみ、フヒ」
麗奈「何にしても主役はアタシよ!」
みりあ「えー!みりあもプロデューサーと一杯お話したいよ!」
P「か…堪忍してーッ!」ダッ
ちひろ「あっ、逃げた!」
P「目が覚めた直後になんでこうなるんだー!」ダダダダ
ちひろ「こらー!主演が逃げたら収録はどうなるんですか!」
完