1 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 03:58:36.91 C0xDSq+Y0 1/16

黒猫「なにしてんの?」

白猫「は?」

黒猫「だからなにしてんのって」

白猫「見たらわかるだろう?」

黒猫「あぁ、悪い。覗き見の最中だったか」

白猫「猫聞きの悪いことを言うな。僕は人間のメスには興味ない」

黒猫「その横のメス猫には興味あるんだな」

白猫「その通り!」



元スレ
黒猫「なにしてんの?」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1283194716/

2 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:00:06.91 C0xDSq+Y0 2/16

黒猫「あのメス猫が好きなのか?それともメス猫なら誰でもいいのか」

白猫「いやいや、さっきのは冗談。覗きとかしてないから」

黒猫「じゃあその細めた目は何なんだ」

白猫「これはほら、遠くを見る時ってよく目を細めちゃうだろ?」

黒猫「あぁ、遠くに居るメス猫を見る時とかね」

白猫「その通り!」


4 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:02:53.78 C0xDSq+Y0 3/16

白猫「君こそ何故こんな木の上まで登ってきたんだい?…ハッ!まさかこの僕の美しさに見とれて…」

黒猫「違うわい」

白猫「照れなくてもいいんですよ。まぁ申し訳ないが返事はノーだけどね」

黒猫「照れてない。って言うか何の返事なんだ」

白猫「言わせんな恥ずかしい」

黒猫「お前は一体何の話をしてるんだ」



5 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:06:45.33 C0xDSq+Y0 4/16

黒猫「お前、体中傷だらけだな。喧嘩でもしたのか?」

白猫「まさか。僕はいつだって紳士な猫だからね。喧嘩なんてしないよ」

黒猫「人間にやられたのか?」

白猫「違うわい」

黒猫「おい真似すんな。人間にやられたんだろう?」

白猫「違うわい」

黒猫「………」

白猫「…違うわい」


6 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:09:11.31 C0xDSq+Y0 5/16

黒猫「一緒に仕返しに行ってやろうか?」

白猫「へぇ?どんなことをするんだい?」

黒猫「そうだなぁ…喧嘩初心者は猫パンチってやつが多いんだけど、俺レベルのなると光速引っ掻きだな」

白猫「それって猫パンチのほうがすごいんじゃ…」

黒猫「いーや、お前はわかってないね。マジやべぇから。俺の光速引っ掻き」

白猫「そうか…そんなにすごいのか……へぇ…」

黒猫「どうせすごいなんで思ってないんだろ」

白猫「その通り!」

黒猫「………」

白猫「でもいいね。僕にもそんな技が使えたらよかったのかもしれないなぁ」


7 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:12:08.10 C0xDSq+Y0 6/16

黒猫「じゃあ今から行こうぜ」

白猫「いや、気持ちだけ貰っておくよ」

黒猫「なんで」

白猫「だってそんなの人数だって覚えてないし。もちろん顔も」

黒猫「そんなにやられたのか?」

白猫「僕は元々体が弱くてね。威嚇すらまともに出来ないから格好の餌食だったんだろう」

黒猫「人間なんてクソくらえだな」

白猫「その通り」



9 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:16:02.92 C0xDSq+Y0 7/16

白猫「飼い猫なら、と考えていたんだよ」

黒猫「さっきの覗き見か?」

白猫「だから……まぁいい。でも、考えたことはないか?」

黒猫「どうだろう。いつもその日の飯の確保で頭がいっぱいだからな」

白猫「同じく」

黒猫「まぁ俺ら野良猫だからな」

白猫「飼われていた過去が無いだけ、まだいいのかもしれませんね」

黒猫「そうだな」

白猫「でも僕は最近、もし自分が飼い猫あったらって思うんです」


10 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:20:36.77 C0xDSq+Y0 8/16

白猫「温かい部屋とおいしいご飯と優しいご主人様」

黒猫「フン。人間に媚売るなんて俺は嫌だね」

白猫「僕も人間は苦手だよ。でも撫でられるのは嫌いじゃないだろ?」

黒猫「まぁ…嫌いではない」

白猫「雨や嵐の日に震えて眠ることも、熱いアスファルトの上を歩くこともない」

黒猫「俺らからすりゃ夢のような話だな」

白猫「その通り!」



18 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:37:41.88 C0xDSq+Y0 9/16

白猫「同じ猫なのに、どうしてこんなに違うのだろう?」

白猫「あの柔らかそうなベッドの上に寝そべる猫と僕と、どう違うのだろう?」

白猫「顔?毛並み?瞳の色?鳴き声?」

白猫「僕もあの猫のような姿なら、人間に愛されたのだろうか?」

白猫「叩かれるばかりじゃなくて、撫でてもらえたのだろうか?」

白猫「そんなことばかり考えてしまうんだよ」

黒猫「…くだらんな」

白猫「その通り!」


19 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:39:57.58 C0xDSq+Y0 10/16

黒猫「ん?向こうの木の上に灰色の猫が居るぞ」

白猫「あぁ、あの猫は神様とやらの使いだそうだ」

黒猫「なんだそれ」

白猫「僕を迎えにきたんだよ」

黒猫「なんだと?お前死んでるのか?」

白猫「らしいよ。昨日歩道橋の下で涼んでいたんだけど、いつの間にかね」

黒猫「あの猫はお前を連れて行くのか?」

白猫「天国へ連れて行ってくれるらしい。で、次に生まれ変わるなら何になりたいか決めろって」



20 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:41:46.92 C0xDSq+Y0 11/16

黒猫「そうか。もう決めたのか?」

白猫「うん。さっきまで悩んでいたんだけどね。決めたよ」

黒猫「さっき?あの家を見てたのはそのせいか」

白猫「その通り!」


21 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:44:07.89 C0xDSq+Y0 12/16

白猫「人間は嫌いだよ。逃げる力がない僕を殴ったり、叩いたりするし、変なもの食べさせられたりもした」

白猫「怖かった。すごく怖かった。鳴いたって誰も助けてくれなかった」

白猫「ずっとずっと孤独だった」

白猫「でも、少しだけど、優しい人間も居た」


22 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:47:58.13 C0xDSq+Y0 13/16

白猫「ごめんね、ウチじゃ飼えないんだけどって、一度だけ優しく撫でてくれた」

白猫「僕は人間が憎くて憎くてたまらない。だけど、あの一度がどうしても忘れられないんだ」

黒猫「まさか」

白猫「その通り!」


白猫「僕は生まれ変わったら人間になろうと思う」


23 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:50:32.08 C0xDSq+Y0 14/16

黒猫「全く理解できないな。せめて飼い猫になりたいとかにしろよ」

白猫「あはは。まぁまぁ。でもいいだろ?」

白猫「僕のような猫にも優しくしてくれるような人間が、一人ぐらい増えたって」

黒猫「……」

白猫「じゃあそろそろ行くよ」



24 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:52:08.11 C0xDSq+Y0 15/16

黒猫「ちょっと待て!やっぱり俺には理解できない!」

黒猫「何で人間なんかになりたがるんだ!人間なんか大嫌いだ!」

黒猫「人間なんて意地悪してくる奴ばっかだ!俺の事を汚いって、あっち行けって!」

黒猫「優しい奴なんか信用できない!俺は一人でも平気だ!」

黒猫「飼い猫を羨ましがったりもしない!」

黒猫「喚いたって嘆いたって、俺は俺でしかないのだから!」


25 : 以下、名... - 2010/08/31(火) 04:54:18.50 C0xDSq+Y0 16/16

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「何だ?歩道橋の下に黒い物体が……猫か?」

「おい、お前どうしたんだよ。暑さにやられたのか?つか、生きてる?」

「…いたっ!おい!引っ掻くなよ!わかった、わかったから!」

「真っ黒だから余計に暑かったろうな…でも生きててよかった」

「ん?お前肉球も切れてんじゃん。とにかく病院だな」

「それにしても何で花なんか咥えてたんだよ。食ったって上手くねぇだろ?」

「まぁでもあの白い花キレイだったし、元気になったらまた見つけに行こうな」

「きっと黒いお前によく似合うよ」





(その通り!)


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