~203号室~
兄「あー妹? 姉ちゃん今いねぇけど俺ならいるぞー!」
妹「何故お姉ちゃんの部屋に兄さんがいるんですか? 一人で」
兄「それはお前、姉ちゃんが買い物に行ったからに決まってんだろ」
妹「……入ってもいいですか?」
兄「いんじゃね?」
妹「失礼します…………お久しぶりです」
兄「おう!……合格おめっと!」
妹「どうも」
兄「まぁ座れよ」
妹「何故お姉ちゃんの部屋で兄さんが我が者顔をしているんですか?」
兄「そりゃ家族だし、部屋隣だし、構造一緒だし、俺男だし」
妹「最後が意味不明ですけど」
兄「まぁまぁいいではないかぁ」
妹「……ま、怒られはしないでしょうからいいとしますか」
元スレ
妹「お姉ちゃん、兄さん、いますか?」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1232018108/
兄「さてと……改めまして!」
妹「え?」
ガシッ
妹「わっ!」
兄「妹! 大学合格おめでとう! ぱーん! ひゅーどろどろどろ!」
妹「……なんですか後につけた効果音は」
兄「クラッカーとかねぇから」
妹「ああ……はいはい」
兄「そ、そんな目で俺を見るでない……ぅぅ」
妹「いやぁ、一年ぶりですから兄さんも少しは変わってるのかな? と期待してたんですけど……全然変わってないので落胆……あ、いえ……安心しました(ニッコリ)」
兄「……変な安心のされ方だな…………」
妹「それでさっそくですが……お姉ちゃんはどこですか?」
兄「だからー、さっきも言った様に姉ちゃんは買い物に行った」
妹「ああ……さっきのは本当だったんですか」
兄「おいおい、そこは信じろよ」
妹「てっきり兄さんが変態の本質をさらけ出してどこかに監禁してるのではないかと」
兄「おま……」
妹「冗談ですよ」
兄「冗談じゃなかったら逆に困るレベルですけど何か?」
妹「あははっ、ですよね……それで何を買いに行ったんでしょう?」
兄「お前の引っ越し祝いに鍋するみたいだからそれの材料だろ」
妹「! 鍋をするんですね!?」
兄「うん」
妹「これはこうしてはいられません!」
兄「どうすんの?」
妹「急いで私の部屋の荷物を整理するんです! お腹いっぱい食べた後では、やる気が起きないと思いますから」
兄「あ、んじゃ俺手伝う」
妹「え?」
兄「え?」
妹「……今なんと?」
兄「いや……手伝おう……って」
妹「……あなたはホントに兄さんですか? あの何をするのにも自分の事しかしない兄さんですか!?」
兄「そんなイメージ持たれちゃってるって……お兄ちゃんショック」
妹「……ホントに手伝ってくれるんですか?」
兄「重い荷物とかあんだろ、持つべ」
妹「驚きです……それでは一緒に来て下さい」
兄「りょーかい」
~201号室~
妹「どうぞ」
兄「お邪魔!……うん、やっぱ当然だけど俺の部屋や姉ちゃんの部屋と構造一緒」
妹「当たり前です……さぁ! やりますよ?」
兄「おっけー」
妹「食器等はさっきざっと棚等に入れましたけど、衣類はまだなのでまず衣類を……そうですね…………このタンスに入れましょう」
兄「おし! やるか!……春夏秋冬であるけど」
妹「兄さんは冬物を入れていってください。私は他のものを」
兄「へいへい……ん? この何も書いてないのは?」
妹「ああそれはしt……いえ、何でもないです。貸してください」
兄「ああ下着ね……開けるぞー」
妹「待ってください!」
兄「別に妹の下着見ても何にも思わねぇから。安心しろ……嘘だけど(ボソッ)」
妹「最後に何か本心が聞こえたようですので、これは私が整理します」
兄「ああー」
妹「まったく……油断も隙もないですね……兄さんはさっさとそっちの衣類を移す作業に移って下さい」
兄「……妹ちゃんのケチ」
妹「なにか?」
兄「さって……やるかぁ!」
兄「大体終わったな」
妹「ですね……今日はこれぐらいにしておきましょう」
兄「でもまだベッドの上とかは色々あるから……今日ここで寝るのは無理っぽいな」
妹「まぁ、お姉ちゃんに頼んでみます」
兄「姉ちゃんが駄目だったら俺んとこ来いよ。布団なるから。……まぁ大丈夫だろうけど」
妹「いえ……それは遠慮します」
兄「なんで?」
妹「恥ずかしいからです」
兄「別に恥ずかしがる事ないがな」
妹「急に関西弁喋られても恥ずかしいものは恥ずかしいです。私も年頃の女ですよ?」
兄「んじゃ断られたらどうすんの?」
妹「それはないと思いますから考えなくてもノープロブレムという奴で」
兄「そっか」
妹「はい」
兄「おおそだ。姉ちゃんそろそろ帰ってるんじゃね? 行こうぜ」
妹「そうですね……まったく……急に変な提案を……(ブツブツ)」
兄「?」
~203号室~
ガチャッ
兄「おーい! 姉ちゃゴホォォ!??」
姉「兄! あんたどこ行ってたのよ! もうすぐ妹が!……って」
妹「……お久しぶりですお姉ちゃん」
姉「……やーん! 妹ー♪」タタタ ギュウウウ
妹「苦しいですお姉ちゃん」
姉「再会のほ・う・よ・う♪」
妹「分かりましたって……相変わらずですね」
姉「一年ぶりだねー! うーん……髪も伸びちゃって、ますます大人びてきちゃって!」
兄「確かに! 姉ちゃんよりも全然ゴファ!??」
姉「ささ! お鍋するから座っててね!」
妹「ふふっ、はい」
兄「……痛い」
姉「そんなとこで嘆いてないで兄は手伝ってよ!」
兄「俺はさっきまで労働してたんだぞー?」
姉「は? 労働? てかあんたどこ行ってたの! せっかく妹が引っ越してくるって時に……どっか行かない様にここで留守番してなって言ったでしょ!?」
兄「だーかーらー!」
妹「あ、お姉ちゃん? 兄さんはさっきまでですね、私の部屋で衣類の整理とかを手伝ってくれてたんですよ」
姉「へ?……マジ?」
妹「マジです」
兄「…………」
姉「…………」ジーッ
兄「…………」
姉「…………マジ?」
妹「ええ」
兄「どんだけ信じられないんだよ!!」
姉「そんなこんなで鍋登場ー! 妹の好きなキムチ鍋にしてみましたー」
妹「うわぁ!……美味しそうですね……」
姉「たっぷり食べて♪」
妹「はい!……ところであれはどうしますか?」
姉「ああ、あれ?……ほっといていいんじゃない?」
妹「ですよね!」
兄「おいい!」
姉「あ、復活?」
妹「なんですか? 私は早くこの鍋を食べたいんですけど」
兄「あまりに俺は駄目に思われまくりってので落ち込んでたのに……全然慰めなしですか?」
姉・妹「自業自得でしょ」
兄「……ハモった……ガクッ」
姉「ささ! 食べるよ!」
妹「いただきます!」
兄「お、俺にも食わせろ!」
姉「ふぅ~! 食べた食べた!」
妹「美味しかったです」
兄「ごっそーさん!……しっかし改めてすごいよな!」
妹「え?」
姉「まぁね……だって医学部でしょ?」
妹「い、医学部と言っても一番簡単な看護科ですし」
兄「うんにゃ! 十分すげぇって! 将来安泰だ!」
姉「だよねー……やっぱ私とは頭の出来が違うねぇ!」
妹「兄さんはともかくお姉ちゃんは頭いいじゃないですか」
兄「おい……俺もそれなりには」
姉「まぁ確かに兄よりはね」
兄「おい」
妹「経済学部ですよね?」
姉「そうそう。 序に言うとこいつは工学部」
妹「まぁそれはどうでもいいんですけど」
姉「だよね! あははっ!」
兄「……そろそろ泣くぞ?」
姉「泣くんなら部屋帰ってからよろしく!」
妹「はい。 その方がいいと思います」
兄「ちったぁ止めろよお前ら」
姉「まぁとにかく……よかったよかった……入学式はし明後日だっけ?」
妹「はい。 それまではうちの周りを色々と探索してみようかと」
姉「うん! そうしなそうしな!……意外と色々あるからねぇここら辺」
妹「それで……お姉ちゃん、案内お願いできますか?」
姉「いいよ! 丁度私も空いてるし! 明日にでも」
妹「はい!」
兄「んじゃ俺そろそろ帰るわ」
妹「え? ……帰るんですか?」
兄「お!? なに? 悲しんでくれるの?」
妹「いえ……ただ帰るのかぁと思っただけですけど」
兄「……」
姉「こいつは202号室だからね……まぁ色々ムカついてストレス発散したい時には行けばいいよ」
兄「姉ちゃんマジでストレス発散しに……ってか俺にマッサージさせに来るから困る」
姉「妹も経験してみな? 意外とこいつ上手いの!」
妹「はぁ……考えておきます」
兄「んじゃー俺帰るぞ?……妹は今日姉ちゃんとこに泊まるんだろ?」
妹「あ、そうでした……お姉ちゃん、私まだベッドが使えなくて」
姉「了解! 友達が泊まりに来る時用に布団あるから、それ使わせてあげる♪」
妹「ありがとうございます」
兄「じゃなー……俺やる事あるから」
姉「はいはい、明日もあれ?」
兄「そうそう」
妹「……あれって何ですか?」
兄「あ……えっと秘密で」
妹「気になります」
兄「忘れろ。 姉ちゃんも言うなよ?……んじゃお邪魔しまんた」ガチャッ バタンッ
妹「……教えてください」
姉「今回は兄の味方をさせてもらおう! へへっ」
妹「お姉ちゃんまで兄さんの味方とは……ま、ますます気になるじゃないですか」
姉「まぁ明日……教えてあげるよ♪」
妹「うむむ……」
姉「それよりお風呂! 入っちゃいな! パンツ持って来た?」
妹「あ、はい……じゃあ入りますね?」
姉「一緒に入る?」
妹「いいですけど狭くないですか?」
姉「まぁまぁ♪……って言いたいけど確かにめちゃ狭かった……諦めよう」
妹「ですよね……ふふっ」
妹「いいお湯でした」
姉「お!おおー!女になっちゃってまぁ!」
妹「そんなにジロジロ見ないで下さいよ」
姉「……妹」
妹「……なんですか?」
姉「……何カップ?」
妹「ご想像にお任せします」
姉「ええー?……絶対それ私のより大きいよー」
妹「自分のを揉みながら言わないで下さい!」
姉「ぶー……教えてくれないとお姉ちゃん拗ねちゃうぞ?」
妹「……はぁ」
姉「ん? なになに?」
妹 ボソボソッ
姉「……いい乳してますのぅ♪」
妹「お姉ちゃんはここら辺のノリは兄さんと一緒だから、言いたくなかったんですよ」
姉「まぁまぁいいではないか♪ んじゃ私入ってくる」
妹「はい……」
妹「そういえば……何してるんでしょう?」
~202号室~
コンコンッ
兄「?」
妹「私です」
兄「どしたー? 夜這いか?」
妹「変な事言ってないで開けてください」
兄「あははっ」
ガチャッ
妹「入っていいですか?」
兄「その為に開けたんだっての……どぞどぞ」
妹「お邪魔します……汚いですね」
兄「姉ちゃんの部屋と比べんなよ。 勝ち目ねぇだろ」
妹「それにしてもですよ……衣類が散乱してますし」
兄「男の一人暮らしってのを考慮しろって。 綺麗な方だぞ」
妹「まぁ……いいですけど」
兄「んで?……どったの?夜這い?」
ドカッ
兄「い、痛い……一年前よりも確実に威力が増している……だと!?……」
妹「はぁ……兄さんはエロエロな事しか頭にないんですか?」
兄「冗談だっての」
妹「ただなんとなく……何をしてるのかな? と思って来ただけですけど」
兄「あっそう」
妹「……あんまり喜んでませんね?」
兄「喜ぶべき?」
妹「目をキラキラさせながら夜這い?って聞いていた15秒前の兄さんはどこへ?」
兄「死んだ」
妹「ご愁傷様です」
兄「どうも……んじゃまぁちょっと待ってろよ。もうすぐレポート終わるから」
妹「……ベッドへ座っても?」
兄「いいよ」
兄「…………」カリカリ
妹「…………」
兄「…………」カリカリ
妹「…………」
兄「…………」ピタッ
妹「?」
兄「……なんか喋れよ」
妹「邪魔しては悪いかなぁと思いまして」
兄「別に……これ前に講義中にノートにやったのをレポートに書き写してるだけだし」
妹「そうですか」
兄「……そういえば姉ちゃんは?」
妹「今お風呂です」
兄「そっか……」
兄「まぁそれはいいとして……一年間お疲れ」
妹「どうも」
兄「何気に俺も姉ちゃんも、色々心配してたわけだよ」
妹「お姉ちゃんは分かりますが、兄さんもですか?」
兄「俺はそんなに薄情に見えますか?」
妹「見えます」
兄「ふっ……時に即答という行為は、思いのほか人にダメージを与える。ソースは俺」
妹「ふふっ」
兄「……髪伸びたな。そういや」
妹「切ってませんでしたから」
兄「似合うよ」
妹「…………」
兄「どした?」
妹「何か……変わりました?」
兄「俺?」
妹 コクッ
兄「どこが?」
妹「前は私とこういう話をしている時絶対からかってましたよ」
兄「そうだっけ?」
妹「そうですよ」
兄「……照れてんの?」
妹「違いますよ!//」
兄「ふーん? まぁ俺も人間が少しは出来てきたって事だろ」
妹「エロい所は変わりませんけどね」
兄「まぁな」
妹「どうせベッドの下に何か隠してるんでしょう?」ゴソゴソ
兄「だぁぁ! それは見ちゃだめだろう!?」
妹「何故ですか?」
兄「それはだなぁ……何といいますか」
妹「なんですか?」
兄「……エロ本とAVがあるからだ」
妹「は、はっきり言われると……何か調子が狂いますね」
兄「あのなぁ……」
妹「だって……」
兄「まぁいいじゃないか! お前の兄は立派に成長したというわけだよ!」
妹「まぁ……そういう事にしときますか」
兄「うし! レポート終わり!」
妹「……何のレポートだったんですか?」
兄「ん? 構造力学だけど」
妹「ああ物理ですか」
兄「物理て……まぁそうだけどさ」
妹「ちょっと見せてください」
兄「……お前が見ても分かんないだろうに」
妹「……結構複雑ですね」
兄「まぁな……そういえばお前風呂入ったんだな」
妹「え?」
兄「髪がいい匂いがする! ゴハァ!?……な、何故殴る?」
妹「何となくです……兄さんはお風呂まだですか?」
兄「ああ……今から入る」スルスル
妹「ちょ! い、いきなり脱ぎ始めないで下さい!」
兄「でもなぁ……さっさと入らないと。俺の好きなテレビ番組始まっちまうし」
妹「わ、わかりました! で、では! 私はこれで失礼します!」
兄「え? 帰るの? 一緒に見ようぜ?」
妹「けっこうです! おやすみなさい!」
兄「あ、ああ……」
バタンッ
兄「……久々に兄妹でテレビ見れると思ったのになぁ」
妹「……何考えてるんですか……まったく///」
~203号室~
ガチャッ
妹「はぁ……」
姉「お! 帰ってきたね♪」
妹「!? ふ、服を着てください!」
姉「えー?」
妹「えー?」
姉「だって私普段裸族だし」
妹「今日だけでいいですから! ……というか……あれ?」
姉「ん? どったの?」
妹「私は何かを謝らなければと、さっきまで思ってたんですが……あれ?」
姉「んんー? 引っ越して早速何かやっちゃった? ふふっ」
妹「いえ、そういう類では……ああそうです!」
姉「どうしたのよ?」
妹「お姉ちゃんはなんで怒らないんですか?」
姉「何をだい?」
妹「私が何の断りもなく部屋を出て行った事に対してですけど」
姉「ああそゆこと……ふふっ」
妹「?」
姉「妹……ちょっとこっちの壁に耳当ててみて?」
妹「はぁ……」ピトッ
『あっはっはっは! こ、これは……受けるぶわっっはっはっは!!!』
姉「丸聞こえ♪」
妹「……なるほど」
姉「だからオ○ニーする時の声も……むっふっふっふっふ」
妹「!?///」
姉「そんなに照れなくても……ふふっ、そりゃあいつもするわよ。男だし」
妹「ま、まぁそうですけど……」
姉「なーんちゃって♪」
妹「え?」
姉「流石に向こうも分かってるみたい。だからやってる時は静かにしてるっぽいよ、ふふっ」
妹「はぁ……」
姉「妹もする時は注意だよ?」
妹「な!///」
姉「うーむ。流石ちょっと前まで高校生! 可愛いのう♪」ギュゥゥ
妹「お、お姉ちゃん! もう!」
姉「あれ? でも私が高校の頃はすでにこんなの余裕だったけどなぁ」
妹「お姉ちゃんは兄さんとそういうレベルは基本的に一緒なんです!」
姉「あー……言われてみればそうかも!」
妹「……もう寝ていいですか?」
姉「あははっそだね。寝よっか?」
妹「うわぁ……ふかふかで気持ちいい」
姉「でしょ! 洗濯はちゃんとやってるからね。……さって私もベッドの中へっと……ふぃ~」
妹「ふぃ~ってお姉ちゃん」
姉「だってなんかホントにほぉっとした時ってさぁ……」
妹「親父臭いのでやめましょう」
姉「……ですね。封印します」
妹「ふふっ…………お姉ちゃん」
姉「んー?」
妹「明日は何時から外に出ますか?」
姉「んーそだねぇ……朝は妹の部屋の片付けを一緒にしようって思ってるから……お昼から?」
妹「分かりました。ありがとう、お姉ちゃん」
姉「なんのなんの……まぁ兄は残念ながら朝から出かけるだろうけどね」
妹「え?」
姉「うん」
妹「……どこへ?」
姉「多分大学でしょ。なんなら色々見に行った後連れて行ったげようか?」
妹「……はい。興味あります」
姉「よし! 決まり!……んじゃ今日はもうマジで寝ちゃおっか。電気消すよ?」
妹「はい」 姉「よっし」パチッ
妹「お姉ちゃん」
姉「ん?」
妹「……おやすみなさい」
姉「うん。おやすみ」
妹「ん……ムニャッ……」
姉「妹……起きて」ユサユサ
妹「……ん……お姉ちゃん?」
姉「そうですよー」
妹「あれ? なんで?……お姉ちゃん~」ゴロゴロ
姉「寝ボケてんの?」
妹「えー? なにが……! お、おはようございます!」
姉「おはよ!……相変わらず可愛いねあんた」
妹「ね、寝ボケてただけです!」
姉「うんうん。分かってますとも!……んじゃ」
妹「え?」
姉「起こすか……もう一人」
妹「ああ、兄さんですか?」
姉「そうそう。……よいしょ!」ドンドンドンドンドン!!!!!!
妹「!?」
『わあああああ!!!』
姉「兄ー! 朝だぞー! 起きろ―!」ドンドンドンドン!!
『起きた起きた起きたからもうやめてえええ!!』
妹「…………」
姉「……よし! 朝御飯の準備しましょ! あいつも着替えたら来るだろうし」
妹「あ……は、はい(ビ、ビックリした……)」
ガチャッ
兄「……毎回毎回なんとかならねぇの? この起こし方」
姉「あんたが最初にやってくれって言い出したんでしょ」
兄「それは、そうだけどさぁ……」
妹「兄さん、おはようございます」
兄「お、妹。おはy…」
妹「目覚まし時計じゃ駄目なんですか?」
兄「え?……ああ、うーんとだな」
姉「最初は目覚ましで起きようとしたんだよねー? 兄ー? あははっ!」
妹「?」
兄「その……目覚ましかけるんだけどさ、すぐ無意識で止めて……また寝ちゃうわけ」
妹「……マジですか?」
兄「おう」
姉「だから私が毎日こうやるのが日課になっちゃったんだよね?」
妹「なるほど……というか……」
兄「ん?」
姉「どしたの?」
妹「……近所迷惑だと思うん…ですけど」
兄「……いやぁ」
姉「……でももうこれ1年ずっとやってるよ?」
妹「あ……そ、そうですか(何と言えばいいのかな?)」
兄「まぁそれは置いといて!……おかげで姉ちゃんが寝坊した時は俺も例外なく寝坊ってのが弱点なんだよなぁ、これの」
妹「そ、それは……まずいですね」
姉「でも大体はちゃんと起きるから大丈夫!……ささっ、とにかく朝ご飯食べよ!」
兄「朝飯なに?」
姉「ん? 目玉焼き」
兄「いいね!腹減ってきた。早くしてくれ!」
姉「大人しく座って待ってなさい!」
兄「へいへい。妹ここ座れ」
妹「はい。……お兄ちゃん達いっつも朝はふたりで?」
兄「おう。俺朝別にいらないんだけどな」
姉「何言ってんの! 朝食べないと生活のリズムが崩れるの!」
兄「というわけで毎朝ゴチになってるわけだ。自分で朝飯作るのはめんどいし」
姉「まぁ姉弟だしね! ふふっ」
妹「……いいですね」
兄「いいですねって。今日からお前もだからな?」
妹「え?」
兄「当然だろ。な?」
姉「そうそう♪ 妹が来てくれるんならお姉ちゃん毎日ごちそう作ってあげる!」
妹「あ……はい! ふふっ」
姉「……だから羨ましいなんて思わないでOK(ボソッ)」
妹「!」
兄「ん? なに?」
姉「ううん。なんでもー、ね?」
妹「は、はい」
兄「?……ってうわっ! そろそろ時間だ!
妹「え?」
姉「ああもう行くの?」
兄「今日はちょっとな。んじゃ」バクバクバク
妹「そ、そんなに急いだら喉に詰まりますよ?」
兄「大丈夫だいじょ……!」ドンドンドン
妹「あっ! ほら!」
姉「兄! 何か飲んで!」
兄「……!」
妹「あ(私のコップ……)」
兄 ゴクゴクゴク「……プハッ! 妹すまん! んじゃ行ってくるわ!」ダダダダバタンッ
姉「…………」
妹「…………」
姉「…………コップ…替える?」
妹「…………え?」
姉「ん?」
妹「……っ!/// あ、ああ当たり前でしょう!?」
姉「はいはい♪」
妹「…………」
~201号室~
姉「妹ー! この本はー?」
妹「それはそこの後ろの棚に」
姉「了解!」
妹「……結構片付きましたね」
姉「だね! ……そろそろ町探索行っちゃおっか?」
妹「あ、そうですね……はい! 行きましょう」
姉「おっけー♪」
姉「ここがスーパーね! いっつもここで食材を買う事になると思う」
妹「結構大きいですね」
姉「そだね。まぁここら辺学生住みまくってるから、需要はあるわけ」
妹「なるほど……」
姉「だからここでバイトしてる子も大学の子が多いよ……あっ!おーい!」
「いらっしゃいm……お!姉じゃん!」
姉「やっほー!精が出ますのぅ♪」
「これで時給750だぞ? もうちょっと上げてほしいぜ」
姉「あははっ、まぁここ都会ってわけでもないしね。しょうがないって!」
「だから我慢してやってんだよ!」
姉「はいはい。頑張って下さいな」
「ははっ……ところでそこの子は?」
姉「この子は私の妹!」
「妹!?」
妹「ど、どうも」
姉「今年度から医学部看護科の一年生なの! 昨日私のアパートに引っ越してきたから、今色々案内してるってわけ♪」
「うっわぁぁ……これはミスコン出れるんじゃね? 姉に似てなくて可愛いなぁ」
妹「え?……あ、えと……ありがとう、ございます」
姉「さりげなく毒を吐きますなぁ、一昨年のミスユニバースのこの私を」
「あ、そうでしたそうでした! これは失礼をば!」
姉「あははっ、じゃね!……行くよー妹ー」
「おう! じゃあまたラボでな!……妹ちゃんもまたね!」
妹「あ、はい」
姉「……とまぁこうして知り合いに遭遇するってわけ」
妹「今の人は……彼氏ですか?」
姉「え?……あはっ! 違う違う、あれは私の研究室の仲間よ」
妹「あ、なるほど……とても親しげだったので」
姉「まぁ毎日一緒に勉強してるしね。……さぁて♪ 次はあそこの喫茶店!」
妹「はーい……というかお姉ちゃん……ミスユニバースって……」
姉「あれはジョークジョーク♪ まぁミスコン出たのはホントだけどね」
姉「よーっし! これで大体案内し終わったかな?」
妹「スーパー、喫茶店、ゲームセンター、デパート、映画館まで……ここって充実しすぎじゃないですか?」
姉「あとまさかの水族館もあるよ♪」
妹「……すごすぎですって」
姉「まぁ実家は何もないからなぁ周りに……まだ田んぼだらけでしょ?」
妹「まぁ……あ、でもこの間ドンキホーテができましたよ?」
姉「おお!……って……びみょー」
妹「あははっ」
姉「よっし! んじゃそろそろ行く? 大学!」
妹「!……はい! 行きましょう」
~大学~
姉「着いた着いた!」
妹「二次試験で来た時以来ですね、やっぱり大きい」
姉「でもこれ大学の中じゃ小さい方だと思うよ?」
妹「え? そうなんですか?」
姉「うん……さて! じゃあとりあえず……あ、今何時?」
妹「……えっと……3時すぎですけど」
姉「ふむ……多分まだやってるわね」
妹「え?」
姉「体育館行きましょ?」
妹「は、はぁ……あの……兄さんは、そこに?」
姉「多分ね」
~体育館~
ガララッ
姉「さってと~♪……あれー?」
「あっ! 兄の姉さんだ!」
姉「おっすー! 頑張ってるかい?」
「そりゃそっすよ! なんせ明後日ですからね!」
妹「……お姉ちゃん。この人達は?」
「兄のサークルの仲間だよ!……お姉ちゃんって…………君……」
姉「この子は私の妹♪」
「な!?」
「い、妹!? 姉さんの!?」
姉「そうよん♪……まぁ当然兄の妹でもあるんだけど」
「な……なんという事だ……」
「今度あいつに何か奢らせようぜ?」
「賛成だ」
妹「……あ、あの……兄さんは?」
「くぅぅ!! 兄さんだってよ!! う、羨ましいぜあのバカ」
「まったくだ……俺なんか男兄弟しかいねぇってのに……くぅ、泣ける」
姉「あんたたちもういいから! 兄はどこ? 練習は終わったの?」
「練習はさっき終わったんすよ。兄は……多分ピロティーの方かな? 食堂の前の」
妹(練習?)
姉「了解!んじゃ私達行くね?」
「えー!? もっとお話していきましょうよー! 俺達と!」
「そうそう」
「まったくだ!」
姉「だめだめ! 今日は用事があるの! この後も……じゃね♪」
妹「……で、では」ペコッ
「…………かわええ」
「……天使だ」
「……じゃあ姉さんは俺が」
「「「いやその理屈はおかしい」」」
妹「お、お姉ちゃん……その……まだ今日用事ありましたっけ?」
姉「ん? ああ……あいつらああでも言わないとさ、めちゃくちゃ引き留めてくるから♪」
妹「なるほど……」
姉「あいつらよく兄の部屋に麻雀しに来てるし……妹も顔なじみになると思うよ、ふふっ」
妹「へー。兄さん麻雀するんですか」
姉「うん。大学入ってからあいつらに教えられたみたい」
妹「なるほど」
姉「んじゃ……ピロティーはっと……あっちね!」
~ピロティー~
妹「ここですか?」
姉「そうそう♪……んーと……お!」
妹「え?……あ!」
~~♪
兄「…………」
姉「……やってますなぁ」
妹「……なんで兄さんが踊ってるんですか?」
姉「それは今度披露するからでしょうね」
妹「はぁ……なるほど…………」
兄「…………ハァ…ハァ……ちょいきゅうけー」ペタンッ
姉「…………」
妹「…………」
姉「…………」
妹「…………ええ!!?」
兄「え?…………姉ちゃん!? 妹!?」
~食堂~
兄「ゴクゴクゴク……プハッ!あー! 生き返るー」
姉「ほんと美味しそうに飲むわね、グルメレポーターなれるかもよ、ふふっ」
兄「奢られる食べもの飲み物ほど美味いもんはねぇ!……てかまさか姉ちゃんが奢ってくれるとは」
姉「感謝しなさいよねー、今月結構ピンチなのに奢ってあげてんだから」
兄「へいへい……てかどうして来たの?……妹連れてさぁ……」
姉「まぁいいじゃん! どうせバレるだろうし」
兄「いやだからぁ、それをバレない様に隠そうと思ってた所だったのに……はぁ」
妹「……なんで兄さんが踊ってるんですか?」
兄「話せば長くなる」
妹「だったら話してくださいよ」
兄「……まぁ」
姉「ゲロっちゃいなって♪」
兄「……もともと俺が踊るつもりじゃなかったんだよ」
妹「え? そうなんですか?」
兄「ああ……そこの醤油とって妹」
妹「はい」
兄「さんきゅ。俺ダンスサークルの連中と前からよくつるんでてさ、最近やっと正式に入ったんだよサークルに」
妹「なるほど。それがさっきの人達ですか」
兄「え?」
姉「ここに来る前に体育館行ったのよ」
兄「ああ、さっきまで体育館で練習してたから」
妹「それで? 踊るつもりじゃなかったって……そもそもなんで踊るんですか?」
兄「入学式にお前ら新入生に見せて勧誘すんだよ」
姉「毎年どこのサークルもやってるのよ。最初に入れとかないと中々追加で入らないから」
妹「ああ……それでダンスサークルではダンスを披露するって事ですか」
兄「そうそう、んで俺はまぁホントにやるつもりはなかったんだ。裏方でいいと思って」
妹「じゃあやらなきゃいいじゃないですか」
兄「いやぁ……まぁそうなんだけどさ」
妹「?」
姉「ああー! もうじれったいな!……妹、私が説明したげる」
妹「お願いします」
姉「こいつは確かに元々出る予定じゃなかったんだけどね?」
妹「はい」
兄「……このから揚げうめぇ」バクバク
姉「2週間位前に踊る予定だったメンバーの一人が、事故っちゃってね」
妹「え!?」
姉「足の骨折っちゃって出れなくなったの」
兄「……姉ちゃん、ドレッシング」
姉「自分でとりなさいよこれぐらい、はい」
兄「さんきゅ」バクバク
妹「それで……兄さんが代役を?」
姉「そそっ……まぁ元々兄はサークル入ったのもつるむ為だし、全然踊れないんだけどね」
妹「え?…でも、さっきすごく」
兄「それは2週間毎日死ぬほどやったからな」バクバク
妹「……なんで隠そうとしてたんですか」
姉「妹に踊ってるの見られると恥ずかしいんだって♪」
兄「ブッ!!……ゲホッゲホッ」
妹「恥ずかしいんですか?」
兄「姉ちゃん!」
姉「あら? 言っちゃいけなかった?」
妹「…………(そ、そそそれは……お、女として見てくれて?///)」
兄「はぁ……だってさ、一年ぶりに再会してしょっぱなに下手なダンス踊ってんの見られるのは
流石になぁ、抵抗あるって」
妹「べ、別に兄妹ですし……それにさっきの感じを見れば、そんなにひどい見映えにはならなそうですけど」
兄「お前がさっき体育館で会ったイケメン共が皆。半端ねぇのよ……レベルが」
姉「その中で兄が踊ると兄が下手すぎ浮きすぎってね! あははっ」
妹「……お姉ちゃん?」
姉「ん?」
妹「なんでそんなに詳しいんですか?」
姉「私あそこのサークルたまに覗いてるから……かっこいい子多いし♪」
兄「あいつらのどれかに手出されるとなんか気まずいからやめてな、姉ちゃん」
姉「了解~(てか……あんた見に行ってるだけだから……とは言えない言えない♪……ふふっ)」
兄「はぁ……」
妹「まぁ……兄さん」
兄「……なんだよ」
妹「頑張って下さいね? 見に行きますから」
兄「だからー、本番中にお前とか姉ちゃんににやにや見られてるって思うと失敗しそうでさ」
姉「大丈夫だって♪ あんたここ2週間はちゃんとやってるんだし!……自信持ちな」
兄「……うーむ」
姉「それじゃあ帰ろ? あんたも一緒にさ!」
兄「……まぁもうメシ食っちまったし動けねェか……帰るか」
妹「兄さん」ギュッ
兄「!どした?」
妹「た、たた……」
兄「たた?」
妹「楽しみに…しといてあげます///」
兄「お前貶す気満々じゃねぇか!」
妹「な!……もういいです!」スタスタスタ
姉「……この朴念仁(ボソッ)」スタスタスタ
兄「え?おい!……?」
~203号室~
姉「よーっし!できた!」
妹「今日の晩ご飯はなんですか?お姉ちゃん」
姉「んー?……この匂いで分かるであろう?」
妹「カレーですね」
姉「カレー……いや?」
妹「ふふっ、大好きです」
姉「うんうん♪ んじゃ兄呼んできて~」
妹「え?……さっき食堂であんなに食べてたのに?」
姉「もうあれから2時間。あいつの体甘く見ちゃダメだって!……絶対もう腹空かしてるよ」
妹「……まぁあれだけ動いてましたしね」
姉「そゆことそゆこと。……呼んできてくれる?」
妹「はーい」
~202号室~
コンコン
妹「………?」
コンコン…コンコン
妹「……兄さん?入りますよ?」
ガチャッ
妹「……あ!」
兄「…………」
妹(CDを聞きながら……多分イメトレですかね……ふふっ……そーっとそーっと)
兄「…………」
妹「…………えい!」
兄「うわぁぁ!!……って……妹?」
妹「兄さん、ごはんですよ」
兄「……ああ……もうそんな時間か」
妹「お姉ちゃんがどうせ兄はもうお腹減ってるでしょ、って言ってたので呼びにきました」
兄「うん、腹減った」
妹「マジですか?」
兄「そりゃもうマジだ」
妹「……実家にいた頃よりかなり大食漢になっている様ですね、兄さんは」
兄「確かにな……まぁあの頃もかなり食ってたけど」
妹「それにしては……体の方は…引き締まってますか?」
兄「……そうか?」
妹「ええ、なんとなくですが」
兄「……ふーん……別に変わってないと思うけど」ペラッ
妹「や、やめてください!なななに脱いでるんですか!……って」
兄「あはは、悪い」
妹「……どうしたんですか!?」
兄「どうしたんですかって何が?」
妹「その湿布の数ですよ!」
兄「ああこれ?……まぁ激しい運動をした後はさ、色々ケアが必要なんですってお嬢さん」
妹「そ、それは分かりますが!それはケアというレベルではない様な」
兄「……まぁ最近毎日限界までやってるから、体が限界来てるってこった」
妹「!……」
兄「ま、まぁ!大丈夫!明後日が終わればもう当分踊らないし!」
ギュッ
兄「へ?」
妹「……ちょっと横になってください。湿布はまだありますか?」
兄「へ?」
妹「湿布はまだありますか?と聞いたんです」
兄「あるけどさ」
妹「じっどしてて下さいね」ペリッ
兄「ちょ!もういいって、今貼ってるので」
妹「こんなに乱雑に重ねて貼ったら効くものも効きません」
兄「そうなの?」
妹「そうです……こうやって、ピッタリ貼らないと」
兄「おお、さんきゅ」
妹「!(お、思いっきり色々触ってしまっている///)」
兄「妹?」
妹「い、いえ……あ、あの!どうしてそんなに必死なんですか?」
兄「え?」
妹「だ、だってですね。そんなにボロボロになってまで踊りを完璧にしなくても……代理なんでしょ?」
兄「あははっ……言われてみればそうかもな」
妹「でしたら」
兄「ま、でもあいつの為にもちゃんと形にしたいしな」
妹「あいつって」
兄「事故った奴。完全に被害者なんだよ、いきなり赤なのにバイクがつっこんできてさ、渡ってるあいつにどん」
妹「ひどいですね」
兄「まったくだ……それに……」
妹「え?」
兄「ま、まぁそういう事だ!メシ行こう?」
妹「は、はい」
兄「……俺のせいだしな(ボソッ)」
妹「え?」
兄「さってめしめし!」
~203号室~
兄「ふぃ~! ごっそさん!」
姉「お粗末様! しっかし綺麗に平らげたわね」
妹「とてもではないですが、さっきから揚げ定食を完食したとは思いませんね」
兄「いやぁ姉ちゃんのカレーは絶品だ!」
姉「きいてないし……ま、どうもどうも//」
妹「ですね……(今度私も作ろうかな……)」
兄「ふ、ふわぁぁ……眠くなってきた」
姉「あははっ、分かりやすい構造してんのねあんたの体って」
兄「確かに。というわけで寝るわ俺…明日も今日と同じ位に起こしてくれるか?」
姉「りょうかい♪」
兄「よっし……んじゃおやすみ、姉ちゃん、妹」
姉「帰る途中で寝んなよ?」
兄「廊下で寝るバカはいねぇよ!」
妹「おやすみなさい、兄さん」
兄「おう」
バタンッ
妹「……お姉ちゃん」
姉「ん? どったの? 辛すぎた?」
妹「あの、ですね」
姉「真剣な……話?」
妹「いいえ、そういう話ではないんですけど」
姉「ああ、そういう事……」
妹「兄さんは何か……ホントに実家にいた時には考えられない位の真剣な態度で今回の練習をしてるんだと思います」
姉「……そうね」
妹「体中痣だらけですよ?兄さん」
姉「見たの?」
妹「!……す、すこし//」
姉「ふふっ……兄に聞いてみた?」
妹「事故で足を折ってしまった人の為にもちゃんと形にしたいって」
姉「そう……」
妹「それで納得は、出来るんですけど……やっぱり納得できません」
姉「あははっ言ってる事おかしいよ?」
妹「わ、わかってますけど……」
姉「まぁ、それだけじゃあ説明不足だよねぇ、あいつの態度の」
妹「は、はい」
姉「あいつ…兄友って言うんだけどね? 事故にあったの」
妹「はい」
姉「兄友は兄をね、ダンスサークルの奴らと最初に会わせた奴なのよ」
妹「はぁ…」
姉「兄と兄友自体は大学入って、すぐ仲よくなったみたいなんだけどさ。兄って実はちょっと……人見知りでしょ?」
妹「ええ、確かに」
姉「私と妹に最初に会った時もさぁ。兄ってあんま喋ってくれなかったもんね、あははっ」
妹「思い出しました……そうでしたね」
姉「うん……それでさ。兄って大学の前期はあんまり、友達いなかったんだ」
妹「え!?」
姉「うん。それでその兄とダンスサークルの連中との仲を取り持ってくれたのが、兄友ってわけ」
妹「……よかったですね、兄さん」
姉「うん♪だからあいつは後期からは友達沢山増えたんだよ。全部兄友のおかげってわけ」
姉「それでさ、兄はすごい兄友に感謝してるわけだよ」
妹「それは分かりましたけど」
姉「うん。んで兄友は今ダンスサークルの部長なわけね」
妹「あ、そうなんですか?」
姉「そうそう。それで、毎年新入生の歓迎の催しはサークルの部長が決める事になってる」
妹「ふむふむ」
姉「だから今回の選曲も、振り付けも、全部兄友が考えたの」
妹「すごいですね」
姉「かなりね。それで兄もダンスサークル自体は入ってなかったんだけど、結構頻繁に兄友達の準備を手伝ってたのよ。友達の助けをするのは当たり前だって」
妹「そういう所は変わらないんですね、兄さん」
姉「昔からね。ふふっ」
妹「それで……ここまでは分かりましたけど、本題がまだですよ?」
姉「うん。ここからが本題、なんで兄がこんなに必死になってるかって言うと」
妹「今、まだ兄さんはサークルに入ってなかったって言いましたよね?」
姉「うん。私もさ!兄に頼まれてたまに行ってたのよ。サークルの手伝いに……そして」
妹「はい」
~2週間前・体育館~
兄友「おーい!兄!」
兄「んぁ~?」
兄友「お前も出ろって!今度の奴!」
兄「いやいやいや!俺はムリだっての!お前らみたいに技術が完璧じゃねぇし」
兄友「ええー?出来るってお前なら……なぁ!?」
「今から練習すりゃ出来るんじゃね?」
「兄何気に運動神経いいだろ!」
兄「ったく好き勝手言いやがって……俺は裏方手伝わせてもらうって。第一サークル入ってねぇ奴が参加ておかしいだろうが!」
兄友「だから入れっつってんのに、前から」
兄「うーむ」
姉「やっほー♪やってるかね諸君?」
兄友「お、姉さん!こないだは晩飯ゴチでした!」
「ゴチでした!」
「うまかったっす!」
姉「ああ大丈夫大丈夫、あれの材料費はこいつ持ちだから」
兄「えええ!?聞いてねェぞ!?」
兄友「いいじゃねぇか。お前あの日麻雀一人勝ちだったろ?」
兄「テン0.1じゃたかがしれてるじゃねぇかアホ!」
兄友「とにかくまぁまぁ……さっきの話だけどさ」
兄「入らねぇ」
兄友「強情な奴め」
兄「迷惑かけたくないんだって」
兄友「はぁ……まぁいいや、おっし!練習始めるぞー!」
「「「はい!」」」
妹「聞いている感じでは、別に何もないですね」
姉「まぁね。それで、兄は兄友達が練習してる間の曲の変更や、飲み物とかの調達とかやってたの。私と一緒に」
妹「はぁ」
姉「でもその日は、兄も私もずっと練習見てたから、飲み物用意するの忘れちゃってて」
~~
兄友「練習やめ!……ちょい休憩するかー!」
「さんせいだぁ~」
「もうしばらく動けん、兄ー! アクエリぷりーず」
兄「え? あ! やべっ!買ってきてねぇ!」
「ばっきゃろー!」
「お前麻雀勝ったからっていい気になってんじゃねぇぞ?ははっ」
兄「わりぃわりぃ」
兄友「いやいや、真剣に見てた兄と姉さんのおかげで練習に熱が入ったと思うぜ!俺は!」
兄「ナイスフォロー兄友!」
兄友「んじゃそうだな、まだ俺動けるしちょっとたまには行ってくるかな! 部長が部下の為に動かねば!」
兄「ははっ、なんだそりゃ!」
「おう行って来いぶちょー!あははっ」
妹「それで……」
姉「そゆこと……兄友はその途中に事故に遭ったってわけ」
妹「…………兄さんは」
姉「うん」
~~
ガララッ
「おい!お前らちょっと来い!」
「あれ?教授?どうしたんすか?」
兄「あ、こんちは」
「どうしたんじゃない!兄友がそこで事故に!」
「え!?」ガタッ
「な!?」
兄「!!?」
~病院~
兄「兄友!!」
兄友「……よぉ、来たのか」
兄「お、お前……!…・…足が?」
兄友「ああ……複雑骨折だってよ……しばらく大学は休学だなこりゃ」
兄「だ、だっておま…え……今度の」
兄友「…………しょうがねぇだろ」
兄「で、でも…だな……」
兄友「しょうがねぇだろ!!!」
兄友「…………ごめん」
兄「………」
兄友「ははっ……ったくよぉ……頑張って俺なりに準備してきたつもり、だったんだけどなぁ……こんなオチとは」
兄「…………」
兄友「ほんと笑える……ははっ」
兄「…………俺がやる」
兄友「え?」
兄「……チャンスくれ…………俺のせいだ」
兄友「お前のせいなわけねぇだろ。悪いのは相手のバイクの奴だ。あの野郎……」
兄「俺が悪いんだ!」
兄友「……お、大声でどうした?」
兄「……どうやったらサークルに入れる?」
兄友「え?……俺の承認で」
兄「入れてくれ」
姉「それから兄は兄友以外のメンバー全員に入れてくれって頼んで必死こいて練習して、2週間が経ちましたとさ♪」
妹「…………」
姉「……あいつ。自分に非があるって思っちゃうと、とことん誠心誠意その非を無くそうって努力する。そういう奴だもん」
妹「…………兄さんらしいですね」
姉「私……見直したんだー。……実家にいた時よりも自分という一人の人間で責任を背負姿勢、……っていうの?」
妹「そうですね。すごいと思います」
姉「妹知ってた? あいつ仕送りもらってないんだよ?……何故か私には秘密にしようとしてるみたいなんだけどね」
妹「え!?」
姉「学費も全部自分でバイトして、あと奨学金。……自立したいから、ってお父さんに言ったみたい」
妹「全然……知らなかったです」
姉「……まぁ食費だけでも少しはって事で。母さんから私への仕送りの中に、兄の食費分お金入ってるんだけどね♪」
妹「………」
姉「あと知ってる?なんで仕送りを受け取らないかっていう……もう1つの理由」
兄「大学の中でも特に医学部ってさ、金かかるんだよな? 親父……俺仕送りいいから。……妹の為に、貯めといてやれって!あいつなら受かるから!」
妹「!!」
姉「……電話で去年の5月位に、そう言ったんだってさ」
妹「………………かっこつけ、ですね」
姉「ううん。絶対こういう事……直接私たちに言わないよ、あいつは。だからかっこつけじゃない、かっこつけって相手の事を窺いつつかっこいい事するって事でしょ?」
妹「……そうですね」
姉「今の話は母さんから偶然聞いたんだけど……きっとまだ私たちの為に色々、してくれてるんじゃないかな?あいつ」
妹「やっぱり、頼れる……お兄さんです。兄さんは」
姉「うん……そだね♪ 私あいつ、好きよ。自分では隠すから中々他人には理解されにくいけど……あいつ、優しいよ」
妹「…………はい……」
姉「ふふっ……泣く所じゃないよ? いい話なんだからこれ♪」
妹「…………」
姉「もう……今日は寝ちゃいなさい。明日起こしてあげる」
妹「はい……じゃあお姉ちゃん、おやすみなさい」
姉「うん」
バタンッ
妹「…………」 タタタ
姉「…………やっぱり、相変わらずだよね……兄は」
姉「自分で説明しといてなんだけど……好きだな///」
~201号室~
ガチャッ バタンッ
妹「…………」
妹「…………」ポフッ
妹(兄さん……私の為に……)
ピピピピ……ピピピピ……
妹「え?……何この音……兄さんの部屋から?」 ピトッ
ピピピピ……ピピピピ……
妹「?」
『……んぁ?……うるせぇな……もしもし?』
妹(寝てたんですね……)
『兄友!?』
妹「!」
『お前こんな時間に……病院だろ?……おう……ああ』
妹(………)
『……ああそんな事か。……大丈夫だって、何とかやってるから。湿布も妹に貼ってもらったりしたし』
妹(…………)
『妹って誰だって…俺の妹だよ。今年度からうちの大学入るんだ。看護科。
その妹に湿布とかも貼ってもらったりな、うん……本人の前じゃあんま言わないけど、めちゃ可愛いぞ。あははっ、今度紹介してやるよ』
妹(…………//)
『それで?……おう……ああ、大丈夫だ。必ず成功させる……大丈夫。任せとけ!
……だから、早く帰ってこいよな。待ってるぞ』 ピッ
妹「……」
『……もうちょいだけもてよ。俺の体よ』
妹「……」ギシッ タタタ ガチャッ
~202号室~
コンコン
兄「え?(……今何時だ?)」
妹「……私…です」
兄「妹? ちょっと待ってろ」
ガチャッ
兄「……どったの?」
妹「入って、いいですか?」
兄「……いいけど」
妹「…………」
兄「どうした?寝れないのか?」
妹「そうですね……少し」
兄「……ははーん。さてはホームシックだな?」
妹「え?」
兄「……俺もこっちに来た最初の日は結構寂しくてさ、地元からここに来る奴あんまいなかったから俺の年は」
妹「……」
兄「ははっ、お前も寂しいんだろ? よしよし!お兄ちゃんが慰めてあげますからね~(ニヤニヤ)」ナデナデ
妹「…………///」
兄「へっへっへ……って……あり?(いつもならこれで殴られて……どうしたんだ?こいつ)」
妹「………」ゴソゴソ
兄「あ!」
妹「……慰めてくれるんでしょ?」
兄「あ?……だ、だからって布団に入ってくんな!」
妹「今日は……ここで寝ます」
兄「はい!?……お、俺はどこで寝れば?」
妹「ベッドで、ここで寝ればいいじゃないですか」
兄「い、いや……その……え? どしたの? 妹」
妹「兄さんの言う通り、寂しいだけですが?」
兄「え、えっとだな……」
妹「………」
兄「……よ、夜這い?」
妹「な!?/// そ、そういう事をする為じゃないです! 兄妹でしょ!」
兄「あははっ、なんで真面目に反応してんだよ! 分かってるよ」
妹「……駄目ですか? 寝るの」
兄「いや、別にだめじゃないけどさ……狭くね?」
妹「大丈夫です……兄さんも寝ましょう?」
兄「いや……この時間だし寝るけどさ……マジか。何年ぶりだ?」
妹「わかりません」
兄「まぁいっか……消すぞ?電気」
妹「はい」
パチッ
兄「じゃあ入るけどさ」ゴソゴソ
妹「……」
兄「…………何か変な感じだな」
妹「……」ピトッ
兄「!?」
妹「……なんですか?//」
兄「どした?マジで……何か相談事?」
妹「……何にもないですよ」
兄「ならまぁ、いいんだけどさ」
妹「…………」ピトッ
兄「寒くないか?」
妹「寒いのでくっついています」
兄「ちょっと待ってろ、ほらっ」ファサ
妹「え?」
兄「掛け布団妹のとこだけもう一枚な」
妹「……兄さんは卑怯です(ボソッ)」
兄「へ?」
妹「なんでもないです、どうも」
兄「もう大丈夫か?寒かったら言えよ?」
妹「……優しいですね、兄さんは」
兄「お前が急に来るからだろうが……ってか昔もあったな」
妹「え?」
兄「覚えてないか? 姉ちゃんが大学受験の時に親父達と家開けてさ、俺とお前の二人になった時」
妹「ああ……ありましたね」
兄「あん時はこたつで二人でだべってたら寝ちゃってさ」
妹「そのまま寝ちゃって、風邪引いちゃったんですよね」
兄「その時の二の舞にならない様にさ、ちゃんと寒かったら俺に言う事!」
妹「ふふっ、はい」
兄「……ふわぁぁぁ」ゴソゴソ
妹「……!//」
兄「あ、わりぃ……(ん?何か柔らかいものに)」
妹「い、いえ……別に」
兄「……………」
妹「……………」
兄「……………」
妹「兄さん、起きてます?」
兄「ん?……ああ」
妹「……まだ体は、辛いですか?」
兄「いや、湿布貼ってもらったし……もう結構大丈夫」
妹「でも、明日もその体で朝から」
兄「まぁそしたら、明日の夜にまた湿布貼ればいいさ」
妹「…………」
兄「…………ま、正直ちょとだけキツイけどな」
妹「!」
兄「まぁ、何とかなるさ」
妹「私は……兄さんにそんなに体を酷使、してほしくないです」
兄「なぁに、男の体は女より丈夫に出来てるもんなんだって!大丈夫だ」
妹「でも……」
兄「心配ご無用。ありがとな」ポンポン
妹「あ……」
兄「お前は昔と変わらず優しくて、お兄ちゃんは安心したぜ」
妹「優しいのは兄さんです」
兄「ばーか。俺は唯のアホ野郎だ。優しさなんて欠片もない冷酷な人間なんだぜ?」
妹「信じませんよ」
兄「ま、どっちでもいいけどな」
妹「…………兄さんは、仕送りもらってますか?」
兄「なんだ?急に」
妹「答えてください」
兄「……そ、そりゃめっちゃもらってるよ!大抵飲み会とかで無くなるけどな!ははっ!」
妹「やっぱり……兄さんは(……言わないんですね)」ギュッ
兄「え?……寒いのか?」
妹「そうです」
兄「…………妹?」
妹「そうです……寒いんですよ」
兄「……泣いてる?」
妹「……ヒック………ぅぅ」
兄「どした?」ナデナデ
妹「……なんでも……ヒックッ……ない、です」
兄「………(どうしたんだろ……)」
妹「……あ、兄さん……」
兄「なんだ?」
妹「私……わ、わたし…ね?」
兄「おう」
妹「……」ギュゥ
妹「私は……」
兄「何か俺やっちゃった?」
妹「!……ふふっ……そうです、兄さんのせいで私、泣いてるんですよ?」
兄「マジ?……なんかやったかな?」
妹「私を泣かせた罪は、重いですよ」
兄「勘弁してくれよ、なんかしたんなら謝るからさ」
妹「いいえ、許しません」
兄「……困った困った」
妹「……兄さんが……隠すから」
兄「え?」
妹「とにかく……許して欲しいですか?」
兄「そらそうだろ」
妹「……朝まで、私をギュッとしてください、昔みたいに」
兄「ええ!?あ、朝まで…って?」
妹「兄さんが寝るまででいいです……お願いします」
兄「ギュっつったって……ガキの頃のあれだろ?」
妹「はい」
兄「お前今は色々出っ張る所出っ張っちゃってるからさ、やめとこうぜ?」
妹「いいえ」
兄「俺は男だしそりゃ別に悪い気はしねぇけどさ、けどお前は嫌だろ、唯の兄貴に抱きしめられるとか」
妹「いやだったら、自分で言ってませんよこんなの//」
兄「ん?そりゃそうか……うーむ」
妹「お願いします……そうしたら許しますから」
兄「……はぁ……今日だけだぞ?」
妹「……はい///」
兄「……ほらっ、こっちこいよ」
妹「……」ゴソゴソ
兄「てかさ、腕マクラって事でいいだろ?」
妹「え?」
兄「……流石にやっぱ、恥ずかしいんでな」
妹「……いいですよ」
兄「んじゃ、どうぞ」
妹「……はい」
兄「大丈夫か?」
妹「ええ」
兄「……おやすみ」
妹「……はい」
兄「泣き止んだな、よかった……な………んん……」スースー
妹「…………兄さん」
妹「私……あなたが心配なんですよ?……大切な…私のお兄ちゃんですから……はぁ……朴念仁なのも考えものです」 ピトッ
~入学式当日・朝~
姉「……よっ!」ドンドンドンドンドン
『ぎゃあああああああ!!!起きるから!起きるから!!』
姉「早くこっち来てー!」
『分かったから!』
~203号室~
兄「おはよー」
姉「おはよ!あれ?妹は?」
兄「あれは昨日だけだって」
姉「二人で寝るなんて……むふふふ」
兄「ただ寝ただっての!何もしてねぇって言っただろ?」
姉「ナニも……ねぇ♪」
兄「そっちでとんな!」
姉「あははっ」
ガチャッ
妹「おはようございます」
姉「おっ!噂をすれば♪」
妹「え?なんですか?」
兄「一昨日一緒に寝ただろ?それをまたネチネチ言ってるわけ」
妹「!/// あ、あれはですね!そ、その……」
兄「なんも無かったのになんでドモるんだよ!余計怪しいだろうが!」
妹「だ、だって……兄さんの(……そばが、よかったとは……言えないし)」
姉「んふふ~♪……可愛い妹と弟を持って私は幸せものですのぅ♪」
兄「とにかくメシ!妹ごはんついでくれ」
妹「は、はい」
姉「……羨ましかったんだぁ、私(ボソッ)」
妹「!?」
姉「ふふっ」
兄「え?なんだって?」
姉「なんでもなーい」
妹「……」
兄「?」
姉「それよりさ!いよいよ今日だね!」
兄「え?……ああ、うん。まぁな」
妹「何時からやるんですか?」
兄「2時からと3時から、体育館で」
妹「入学式が終わるのが1時半ですから、間に合いますね」
姉「私が妹迎えに行くよ!」
妹「ふふっ、お願いします」
兄「……お前らマジで来る気まんまんだな」
姉・妹「当然でしょ(う)?」
兄「ハモんなよ」
兄「ま……まぁいいや。練習はしてきたし、何とか見られてても頑張る」
姉「うんうん♪その意気だよ、兄は頑張ってたし大丈夫だって!」
妹「私もそう思います。たd…」
姉「ただ体が持てばいいけどね」
妹「!(……お姉ちゃんも、心配なんですね)」
兄「まぁ、大丈夫だろ。昨日も練習の後、妹に湿布貼ってもらったし」
妹「……むch…」
姉「無茶はしちゃダメだよ?」
兄「おう、大丈夫。ご心配どうも、姉ちゃん」
姉「それじゃ! 私は妹を晴れ着に着替えさせなきゃね」
妹「……あ、はい」
兄「姉ちゃんのお古着させんの?」
姉「お古って、全然新品同然だっての!失礼ね」
兄「あはは、じゃあ……ごっぞさん。 俺部屋戻ってCD聞きながらイメトレでもしとくわ!」 バタンッ
姉「……」
妹「……あ、あのお姉ちゃん」
姉「んっふっふ~♪ 妹が言おうとしてた事先に言っちゃってたね、ごめんごめん」
妹「い、いえ……やっぱり思う事は一緒なんですね」
姉「うんまぁ……そうなんだけど」
妹「え?」
姉「ごめんね?ちょっと……イジワルしたくなっちゃった」
妹「……」
姉「妹が言おうとしてる事、私が兄に言っちゃえ~って……言っちゃった」
妹「…………少しおかしいとは思いましたけど」
姉「あははっ……まぁまぁ、兄と一緒に寝る等という羨ましい事をしたんだからこれぐらいのイジワルは当然ですな♪」
妹「お姉ちゃんって……たまにイジワルしますよね」
姉「……兄に関する事はね♪」
妹「それって……」
姉「ささっ!さっさと着替えちゃおう♪」
~202号室~
コンコン
姉「……兄ー?」
コンコン
妹「多分今CD聞いてるから……気づいてないんでは?」
姉「あ、そっか。……じゃあいいや。おいで♪」
ガチャッ
妹「はい」
姉「そーっとそーっと」
妹「………」
姉「……兄!」ポンッ
兄「うわっ!ビ、ビックリした……!?」
妹「ど、どうですか?///」
姉「……綺麗でしょ?」
兄「ビ……ビックリした……」
姉「いいから感想を言ってよね?頑張って着付けたんだから」
兄「……ナンパには気を付けろ」
妹「え?」
兄「お前それ絶対ナンパされるぞ? 間違いない」
姉「翻訳すると「すっごくかわいいよ」って事、そうでしょ?」
兄「まぁそういう事だ」
妹「……私がナンパされたら、どうします?」
兄「困る、かな」
妹「ふふっ//」
姉「……(私の時は……何も言ってくれなかった様な……はぅぅ)」
妹「それでは私はそろそろ……行きますね?」
姉「一人で大丈夫?」
妹「ええ、場所は分かりますし、友達と待ち合わせしてるんで」
兄「男?」
妹「え?女ですけど」
兄「いってら!」
妹「は、はい?……はぁ、行ってきます」 バタンッ
兄「…………ほっ(いきなり彼氏宣言かと思った俺はバカであった)」
姉「な~に~か~な~?今の確認は~?」
兄「ちょ!頭をぽこぽこ叩くんじゃねぇ」
姉「ぶー……私の時は何にも言ってくれなかったじゃないのよ(ボソッ)」
兄「え?」
姉「ううん、なんでもない」
兄「ははっ、変な姉ちゃんだな……!……い…てっ」
姉「兄!?」
兄「い、いや……大丈夫」
姉「ちょっとこれ!……腫れてるじゃない!」
兄「あ、あはは……ありゃりゃ」
姉「ありゃりゃじゃないわよ!ど、どうすんのよ!今日が本番なのに……」
兄「だ、大丈夫だって、何とかやりきってみせるからさ」
姉「兄……」
兄「大丈夫。……そんな顔すんなよ」
姉「……もうぅぅ」ギュゥゥゥ
兄「!?」
姉「あんた……あんたは…もうぅ」ギュゥゥ
兄「ど、どうしたんだよ? 大丈夫だって言ってるだろ?」
姉「大丈夫なわけないでしょ!お姉ちゃんに嘘つかないで!」
兄「!」
姉「もっと……もっと私を頼って」
兄「……姉ちゃん」
姉「頼っていいんだよ……当てにしてくれてもいいのに……弱音吐いてくれもいいのに」
兄「……」
姉「なんで一人で全部しようとすんのよ!……うっ…ヒック……ふぇぇ」
兄「俺……姉ちゃんや妹を心配させたくないからさ、出来るだけ」
姉「私は心配したいのよ!」
兄「……ごめん」
姉「……わ、私……兄のそういう所……好きよ?大好き」
兄「……」
姉「でも……本当にヤバくなるまで黙っておくのは、優しさじゃないんだよ?」
兄「……悪かったよ」
姉「……氷ある?」
兄「冷蔵庫に」
姉「……あった。……これで少し冷してた方がいいよ」
兄「起きたらいきなり腫れてきてさ……」
姉「昨日ちゃんとマッサージした?」
兄「……忘れた」
姉「もう……」
兄「……ごめん」
姉「……もういい、それよりも……やるんでしょ?」
兄「!……ああ。今日の本番は絶対に、絶対にやり遂げる」
姉「なら私は……止められないのは分かってるから。せめて、今は足を」
兄「……姉ちゃん、ありがとな」
姉「べつに……当然でしょ?」
兄「……頑張るから!見ててくれよ」
姉「うん」
~1時半・入学式会場~
姉「妹~!!」
妹「あ、お姉ちゃん!兄さんは!?」
姉「今準備してるよ!行こっ?」
妹「はい!……そういえば…兄さんの言った通りでした」
姉「え?」
妹「……そ、その……ナンパを」 姉「されたんだ?」
妹「はい」
姉「うんうん♪ 私もよくされてるから気にしない方がいいよ?」
妹「び、びっくりしました……実家の方ではこんな事全然なかったので」
姉「あははっ……行こう?」 妹「はい」
~体育館・控え室~
姉「みんな~!妹連れてきたよ~♪」
「おおー!!妹ちゃんかわうぃうぃ~!!」
「もえー!」
「おめーらきめぇ!でも確かに可愛いな、はは」
妹「あ、あの……兄さんは」
兄「ここにいるぞー」バサァ
妹「!!」 姉「!……ひゅー♪//」
兄「まぁこれが衣装なんだが……どうだ?」
妹「あ、えっと///……あの///」 姉「かっこいいよ!」
兄「ははっ……んじゃそろそろ姉ちゃん達は客席行ってくれ」
姉「了解♪」 妹「……兄さん!が、がが頑張っ……て//」 兄「おう!」
姉「決まってたね!かなり」
妹「そ、そうですね……あれは反則ですよ//(ボソボソ)」
姉「ん?」
妹「い、いえ……」
~控え室~
兄「よっし……じゃあ円陣組むぞ!」
「おう!」 「ここまできたし…あとはまぁなる様になれ!」
「兄……大丈夫か?足」
兄「大丈夫!なんとか完璧にこなしてやるよ!……行くぞっ!」
「「「おうっ!!」」」
兄(絶対……成功させてやる……)
【はい。バンドサークルの演奏が終わった所で、次はダンスサークルのダンスを披露してもらいましょう!
どれもイケメン揃いのこのサークル!一見の価値ありです。それでは、曲は嵐の「truth」!……どうぞ!】
~~♪
姉「きたよきたよ♪」
妹「は、はい!……うわぁ……」
~~♪
兄「…………」
客「う、うっわぁ……全員レベルたっか……」
客「私真ん中の子タイプ」
客「……右の子もいいね」
客「目映りしちゃうけど……でもあの真ん中の子が一番だね」
客(チッ、イケメンしね)
客(でも……かっけぇな)
姉「……す、すごいね(ボソッ)」
妹「は……はい」
~~♪
~~♪
兄(い、いてぇ……うおおお!頑張れ俺の脚!!)
客「あんなに激しいって……すごいわよね」
客「嵐のオリジナルよりも激しいんじゃない?」
客(なんだよこいつら……かっこつけてさ……マジうぜ)
客(さっさと終われよ……まぁ真剣さは認めるけどさ)
客(必死に練習しなきゃできねぇな……これ)
姉「……(兄、ときどき辛そうな……やっぱり脚が……)」
妹「……兄さん?」
~~♪
客「うわっ、ここほんと激しい……あれ?一番後ろの子が……移動してる」
客「前の4人が……前の右と左に……」
~~♪
兄「ハッ!!」
ババッ
~~♪
客「う、うわ……後ろにいた子が出てきた……!!」
客「……この子が一番かっこいいんですけど//」
客(……ビ、ビックリした。)
~~♪
兄「シャッ!」
ババッ
姉(こ、こんなの練習中見なかった……私が見てない所で?)
妹(兄さん//……でもさっきから……辛そう)
~~♪
(おらぁ!あと少しで半分!)
(兄すげぇじゃん!脚大丈夫だったのか!?)
兄(くぅ……うおおおおお!!!)
~~♪
客「ダ、ダンスサークルって……こんなにすごいの!?」
客「見にきてよかったぁ……」
客(くそ……かっけぇし……あー俺は……畜生)
客(……ただの僻みだな。……すごいなこいつら)
姉「………」
妹「………」
~~♪
兄「はぁはぁ……はぁ……終わった……」
ワアアアアアアアアア―――――
~控え室~
「兄!すげぇよお前!完璧じゃねぇか!」
「これは兄友にちゃんと報告出来るって!いいねいいね!」
「次も頑張ろうぜ!」
兄「お、おう……そう…だな、ははっ」
「……兄?」
兄「……ははっ」 バタンッ
姉「みんな~♪おつかれ!……兄!?」
妹「え?……兄さん!?」
「お、おい兄!?どしたんだよ!」
「お、おい誰か!救急車!!」
妹「兄さん!!」
~病院~
兄「……ん?…………」
兄友「よっ」
兄「……!」ガバッ
兄友「まだ寝てろ」
兄「……ここは……」
兄友「病院だ。お前一回目のダンス終わった直後に倒れたらしいぞ、覚えてねェの?」
兄「まったく……じゃあ2回目は」 兄友「やらなかった」
兄「そ、そうか……ははっ、松葉杖のお前に向かえられるとはな」
兄友「……兄!」ガシッ 兄「ははっ悪かったよ。……一回しか出来無かったとか……しかもそんなに上手くできなk」
兄友「何言ってんだよ!大成功さ!」
兄「……へ?」
兄友「さっきあいつらから電話あってさ!一回目の奴みて30人ぐらいすでにサークル参加希望者が」
兄「……マジ?」
兄友「おう!しかも一回目の奴録画したのも大好評で見られてるって報告も!」
兄「は、はは……そっか……」 ガクッ 兄友「兄!?」
兄「……」ムクッ
姉「あ、起きた」
兄「……姉ちゃん?」
姉「無理したから……足が熱もっちゃって頭ふらふらして倒れちゃったんだってさ、あんた」
兄「……兄友は?」
姉「さっき帰ったわ、一緒にさっさと活動再開しようだってさ♪」
兄「……そ、そうか……」
姉「…………」
兄「……悪かったな、心配させて」
姉「…………ばーか//」ギュゥゥゥ
兄「ぬな!?……い、息できねェって!」
姉「あらら♪……ふふっ、ごめんごめん。それじゃあ私、バイトあるから……明日には退院出来るみたいだから、迎えに来てあげるね?」
兄「あ、ああ……そういや妹は?」
姉「もうすぐ来るわよ、じゃね」
兄「あ、ああ」 バタンッ 姉「…………あのまま襲いたかったけど……それはまずいって私///」
兄「……今日はここに入院か……」
タタタタ
妹「兄さん!!」
兄「え?おわぁ!!……妹!?」
妹「し、心配したんですからぁ!……ぇぇぇん」ギュゥゥ
兄「わ、わかった!悪かったからめちゃくちゃ泣きながらめちゃくちゃ抱き付くな!」
妹「……ぅ……ヒク……ぅぇ」
兄「もう大丈夫だからさ、悪かったって……」
妹「もう……無茶しないって約束してください!お姉ちゃんから聞きました!脚が腫れてたって……」
兄「……わ、わかったよ……もうこんな無茶しねぇから」
妹「……本当ですね」
兄「……約束するから」
妹「……兄さん」
兄「……なんだよ……え?」フワッ
妹「……ぅ……んはっ……ちゅっ……んん」
兄「!???」
妹「……はぁ」
兄「な、なんで……」
妹「ご、ご褒美です/// が、がが頑張ったから!///」
兄「……え、えっと///」
妹「これぐらいはいいです!……よね?//」
兄「……なんて言えばいいんだ俺……」
妹「と、とにかく!私はこれで帰ります!明日また迎えに来ますので!」
兄「あ、ああ……」
妹「で、では」 タタタタタ
兄「……き、兄妹でこれは……あ、でも血……ま……すんだもんはしょうがないか……」
妹「……わわわわっ///……やってしまった///……ど、どうしよう明日から//」
兄「……明日、どういう顔すべきか……」
妹「どうしよう///」
504 : 以下、名... - 2009/01/17(土) 20:09:11.61 6gXQNas/0 114/114さて、なんか最後が足早ですがとりあえずこれで終わり。
もし続けるとしたら病院から退院し、妹の大学生活でのあれこれやら
合宿やら学祭やらなんやらやろうと思えばできるんですよね~
ま、適当にいつかやるかも。
とりあえずこの話は終わりって考えてください。曲わかんなかった人は許せw
あと俺は基本姉でも妹でもどっちでも好きなので
次立てたら姉と兄をイチャイチャさせる可能性も大って事で。
姉スレも注意しててください?なんてwwwww
じゃ、乙!