美希(サボってばかりのミキをプロデュースする人がいるはずない)
美希(変な人だとは思ってたけどマジでおかしいの)
美希(ま…まずい、動揺するななの。もし本当にPだったら…)
美希(とにかくここは星井美希として自然な行動を取らないと)
美希「えっとプロデューサーって何?」
P「簡単に言えば俺が君をアイドルとして売り出す」
P「名乗ったのは君をプロデュースしたいからです」
P(星井美希、トップアイドルになる可能性は5%未満…)
P(しかしあの10人の中では一番何かを感じさせた…おまえは天才すぎる)
元スレ
P「俺はPです」 美希(ま…まさか…何を言ってるのこの人)
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1346857425/
美希(まさか親睦目的といった遊びのスマブラでミキの性格がトップアイドル向きか分析する気も無い筈なの)
P(これはあくまでも親睦のスマブラ。トップアイドルになれるかどうかの判断材料にはなり得ない)
P(しかしトップアイドルになるには負けん気が必要)カチャカチャ
美希「……」ポカーン
P「残りストック4」
美希「あはっ、いきなり本気なの?」
P「先手必勝だ」
美希(ああ、そう……)
P(安心しろ美希、トップアイドルでなくてもゲームには勝ちたいと思うのが大多数だ)カチャカチャ
美希(ムキになって勝ちにいくとトップアイドルに向いてる……だからといってわざと負ければ……)カチャカチャ
美希(ムキになって勝ちにいくとトップアイドル向けっぽいと思われるからわざと負ける所がまたトップアイドルっぽい……だよね?)カチャカチャ
美希(結局同じ事!)カチャカチャ
美希(この人もこのゲームでアイドルの資質を考慮なんてする訳が無い。このゲームの目的は他にあるの)カチャカチャ
美希(だからゲームでもミキは勝つ)カチャカチャカチャ
P(ほら…勝ちにきた…)
P(知り合って間もないのにいきなり腹を割って話すのもおかしい)カチャカチャ
美希(こんなゲームで親睦が深まるはずがないの。これはお互いが『深まった』と了承しあう為の儀式)カチャカチャ
P(このゲームをしたことでお前は俺がまた一歩踏み込む準備をしたと考える)カチャカチャ
美希(このゲームが終わると同時にこの人はミキのプロデュースに触れてくる)カチャカチャ
P(お前はプロデュースの話をするのなら先に自分をまず信用させろと言ってくるだろう)カチャカチャ
P「流石美希、負けたよ」
美希「ミキも久しぶりに本気出したの。すごいよ」
美希「ちょっと疲れたし、頼みたい事もあるからこの後喫茶店にでも行かない?」
P「ゲームに負けた事だし、聞ける事なら聞くよ」
P「でも、その話を聞く前に俺も1つ言っておくべき事がある」
美希「何?」
P「俺は本当に美希はトップアイドルになれると思ってる。それでも聞ける事なら何でも聞くよ」
美希「……」
美希「この喫茶店、ミキのお気に入りなんだ。ここに座ったら誰にも会話も聞かれないの」
P「良い場所だ。じゃあ失礼だとは思うが美希のアイドル力をテストして良いか?」
美希「うん、良いよ。面白そう」
美希(アイドル力のテストと言っておいて"ミキが才能を持つ者しか考えない事を言わないかテスト"なの)
美希(口走るのを怖がってダンマリでも、それもまた才能を持ってるっぽい……か)
美希(現状ではミキがトップアイドルの原石だと言う証拠もミキがそうでないと証明する方法も無い)
P「俺がPだと名乗り出たことから何が分かる?」
美希「ん、そうだね。ミキがトップアイドルになれるって期待してる事、それから」
P「素晴らしい。アイドル力100だ。やっぱり美希はトップアイドルになれる」
美希「適当ぶっこかないでほしいの」
美希「あ、ネコちゃんだー。道路の向こう側にいるの」
P「そうだな」
美希(ここで道路に飛び出ればPの気持ちが分かる)サッ
P「なっ……」
美希(さあ、どうするの?ここで助けないとミキが危ないよ)
美希(ミキの事本当に考えてくれてるなら危険を顧みず飛び込むはず)
美希(かといって助けたらプロデューサーさん自身が無茶苦茶になっちゃうの)
P(と美希は考えているだろう。そして俺が助けに入らないと予想している)
P「美希いいいいいいいいい!!危ないいいいいいぃぃ!」
美希(ここでプロデューサーさんにとって最も良い手は助けるそぶりを見せて自身は無傷、これが理想)
P(でも、それじゃ美希の信頼は得られない。ならやってやるよ)ドンッ
美希「!!……っ」
キキィー ドォン
P「……」
小鳥「プロデューサーさん、美希ちゃん生放送ですね」
P「はい」
美希『ミキはプロデューサー……ううん、ハニーと結婚したい』
P(ば……馬鹿かこいつ…生放送で……)
美希『ミキの事好きな人たくさんいると思う』
美希『でも今はミキの幸せを願ってほしいの、ハニーと進む未来を』
P(駄目だこいつ…早く何とかしないと…)
P「何故あんな事を言った、美希の人気が地の底に落ちてたらトップアイドルの夢も終わってた」
美希「大丈夫…ミキの人気は落ちてないし、これからハニーの言う通りにすればトップアイドル。そうだよね?」
P(こいつ……ぬけぬけと。最初はトップアイドルになる気なんて更々無かった癖に)
美希「ミキ、トップアイドルになれるように、ハニーのために頑張る。だから…」
P「?だから…?」
美希「彼女にしてください」
P(こいつを下手に扱うと俺が干される可能性がある……だが)
P「無理だ。大体あんな事を言って既に疑われてるのにその2人が接近したら…」
P「今俺の家でこうしてる事すらまずいんだ。それぐらい分かってくれ」
美希「じゃあ、ミキアイドルやめるよ?」
P「なっ…」
美希(こう言えば、ハニーはミキに従うしか無くなるの)
美希「ミキはハニーの側に入れるだけで良いの。あの時ミキを助けてくれたハニーに」
P「……でも、美希はファンの気持ちを踏みにじってるぞ」
美希「でも、でも、ミキにはああするしか思いつかなかった…」
美希「どうしてもミキはハニーと……」
P(この間の無理なやり方はどうやっても俺を物にするため…か)
P(打ち砕かれたファン達への対応は最低限の事もすらしていない、思ったより馬鹿だが)
P(これからは俺の言う事を素直に聞いてくれるはず)
P「分かった、彼氏にはなれないが振りなら考える。俺のためにあそこまでしてくれたお前はきっとトップアイドルになれる」
美希「嬉しいの。ミキ、ハニーに好きになってもらえるようがんばるね」
P(とりあえずはこれで満足だろう)
美希(これでミキがとりあえず満足してると思ってそうだけどまあ、良いよ)
P(こいつをトップアイドルにして、しばらくし経って引退。こいつと付き合うのはその後だ)
P(そうとも、こいつはトップアイドルの原石。それを捨てるなんてとんでもない)
美希「振りかぁー、最初はそれでも良いよ。いつか本当に好きになって貰える自信あるから」
P「てかずっと言おうと思ってたんだが『ハニー』ってなんだ…」
美希「ハニーはハニーだよ?『ダーリン』が良い?ミキにとって救世主だから『メシア』とか?」
P「……いや、『ハニー』で良いよ」
P「大事な事を言うぞ。もし取材に捕まったら……取材じゃ無くてもだが」
P「これは俺とお前どちらもだ、絶対互いの事は喋らない。これを誓えるか?」
美希「誓います。じゃあこれで彼氏と彼女の契約は成立なの」
P「まあ……そうなるけど」
美希「じゃあこっちの条件。デートは最低でも週1回」
P(やっぱりわかってないこいつ)
P「無理だよ」
美希「な、なんでー?」
P(分かっている事を一々確認するように…)
P「俺は既にパパラッチに狙われてる」
美希「へー、す、すごいんだね……そういう人って。そんなことまで知ってるんだ」
P「あの生放送で分からなかったら無能すぎるだろ」
美希「だからデート出来ないって事?見つかる可能性があるから」
P「違う。トップアイドルになるためにはお前との交流は大事だ」
美希「よかった」
P「だから美希に会う事が目立たないように他のアイドルとも沢山会うようにする」
美希「えっ、何それ。他の女の事もデートします?」
P「そう言う事に」
美希「そんなの、や!!」
美希「ハニーが他のアイドルとデートするなんて我慢出来ない。そんな所見たらその子殺しちゃうよ」
P「……」
美希(本気にはされないだろうけど、牽制程度にはなるはず)
P「なあ、美希ちゃん。遊びじゃないんだ、2人でトップアイドルなるんだろ?」
美希「そうだけど、ミキはトップアイドルよりハニーに愛される方が大事」
P(…………)
P「じゃあ俺が好きなら俺に従えるな」
美希「でも他のアイドルとデートするのは許せないの」
P(今日会った事はまだ誰にも気付かれていない。しかしこのまま続けていけば)
P(やっぱり会うのはまずいと言ってもあの性格では)
P(それどころか何を言い出すか分からない。手荒には扱えない)
P(くそ、どうすれば)
雪歩「プロデューサー、今日はデートなんですよね」
P「ん?ああ、みたいなものだな」
雪歩「なのにプロデューサは少しも楽しそう嬉しそうという雰囲気はなく上の空です」
P「そんなこと無いよ、ただこんな美人だと俺と不釣り合いなんじゃないかって」
雪歩「そんな事考えないで下さい……私の方が貧相でちんちくりんで……」テレテレ
P(なんだ、この女まんざらでもないんだ)
P(クソッ……やはり常に周囲を気にしなければ)
P(日に日に視線が増えてる気がする)
P(これじゃますます美希に会うのは危険だ)
美希「ハニーっ!」
P「!!」
美希「どうしても待てなくて。今ハニーの家に行こうとしてたところ!」
P(…………お…女を殴りたいと本気で思ったのは生まれて初めてだ…)
美希「ど…どうしても会いたくて…」
P(…………)
P「もう帰れよ」
美希「え!?何?まだ7時だよ?恋人の時間はこれからなの」
P「……」
美希「2人でご飯食べに行ったりしてその後がいよいよ本番ってカンジ……」
P「美希」
美希「ん?」
チュッ
美希(キスぐらいでミキが満足できると思ってるのかな。お子ちゃまなの)
P「いいな今日は帰るんだ」
美希「はい」
美希「……」
千早「うわっ……」
真「は、春香…これは」
春香「プロデューサーさんの彼女疑惑があるんだよ。目隠しして身体を縛るぐらい当たり前でしょ?」
響「確かに…あの生放送、それに事務所でのハニー呼び。普段のあの態度」
伊織「そこまで証拠があれば間違いないと思うわ」
春香「うん、間違いないと思う。後は……どうモノにしたか」
春香「あずささん、多少理不尽なやり方でも構いません。吐かせて下さい」
あずさ「分かったわ」
春香「それと今プロデューサーさんには本部の出入りを禁止してるけど…」
千早「今度は彼氏としての重要参考人で呼ぶ事になるわね」
数日後――――
あずさ『春香ちゃん、美希ちゃんが言葉を』
春香「何っ!?早く映像と音声を」
美希『もう…我慢出来ない。殺して』
真美「もう三日も水も飲んでないって言ってたよね」
貴音「…もう極限なのですね」
春香「それは多くの証拠を挙げられプロデューサーさんの彼女と認めるしかないと諦めたという事だよね?
美希『ちがう…ハニーの彼女なんて知らない…もう我慢出来ない殺して』
美希『どうせミキはあの時死ぬはずだった』
真美「あの時って車に轢かれかけた時かな」
美希『早く殺してよおおおおお!殺してくれないなら……』
春香「まずい。あずささん、舌を噛まないように」
あずさ『はい』
美希『ストーカーさん、これ犯罪だから止めなさい。今止めれば誰にも言わないし許してあげるの』
千早「一度気を失ってからずっとこのパターンね」
亜美「全くこんなのでトボけられると思ってるのかな」
美希「じゃあ分かったの。とりあえず目隠しだけでも取って。ストーカーさんの顔見たいなー」
春香「……美希を確保する時『プロデューサーの彼女容疑で』って言ったよね?」
伊織「当然よ。言われた通り目と口を押さえて美希に聞こえるように」
美希『サインもしてあげるし握手も…そうだホッペにチューしてあげるから、ね?ミキ逃げないから』
春香(あれだけプロデューサーさんの彼女として話を進めてきたのになぜ今更ストーカー……)
春香『星井美希』
美希「!ストーカーさん何?放す気になった?」
春香『今までほとんど黙秘し『殺せ』とまで言っておきながら何故今更悪あがきを?』
美希「何言ってるの?ミキを眠らせて連れて来たのストーカーさんでしょ?」
美希「……何?『星井美希、取り調べちゃうぞ』とかそういうのがしたいの?」
春香『あなたは今何故そこに縛られていますか?』
美希「はっ?何故って…ミキがアイドルだから?でもここまでしてくれたストーカーさんはあなたが初めてなの」
真『……ふざけるのもいい加減にしろ!!』
美希「ひっ…」
美希「こ…怖い…な、なんなの…もうこんなの嫌…放してよ」
美希「そ…そうだまたトイレ、トイレ行きたい」
春香『さっきトイレに行ってから1時間12分しか経ってません。我慢して』
美希「そう言わなきゃずっとこのままじゃない!!またミキのおしっこしてるところ見れるよ?楽しくない?」
美希「この…変態!!」
春香(…………私が…変態…)
春香「美希、眠ってしまう前の話の続きを真面目にしよ。何故プロデューサーさんに近づいた」
春香「数回にわたり彼と会ってる事は事実知らないで通す気?」
美希『えっ?自分のプロデューサーさん知らない訳ないの。会うのは当然でしょ』
春香(あれだけ会ってる事を否定していたのに今度はあっさり認めた……)
ワタシマーメイ♪
春香「!もしもし、やよい?うん……うん……」
春香「分かった、ここは例の部屋だよ」
千早「高槻さんとプロデューサーがここへ来るの?」
春香「うん」
やよい「お待たせしましたー」
P「春香…電話でも言ったけど…俺が美希の彼氏かもしれない」
響「ば…そんな何を言ってるんだプロデューサー!!」
貴音「正気ですか!?馬鹿な事を言うのは止して下さい!!」
亜美「どうしたっていうんだよ、兄ちゃん!!」
春香(美希は彼氏の事どころかプロデューサーさんの疑いに対しても何も喋ろうとしない)
春香(けど…ここで『俺が美希の彼氏かもしれない』…?)
春香(演技だ。あなたは彼氏かもではなく彼氏だ。一体何を考えている?)
P「皆、春香が俺を彼氏と決めつけているならきっと俺が彼氏なんだ」
伊織「そ…そこは否定しなさいよ。私たち認めたくないのに」
春香「はい、皆もそう思ってる筈です。私の中で九分九厘プロデューサーさんが彼氏です」
春香「だから近々事情聴取する事になるかも」
春香「プロデューサーさんは鋭い洞察力がありますから。だから私の考えが分かったんですよね」
春香(そうじゃない…私が彼氏だと決めつけてると考えられるのはあなたが彼氏だからだ)
春香(でも…何をする気…?)
P「美希のプロデューサー、事故から助けた人物、オフに美希が遊ぶ相手」
P「そしてハニーと呼ぶ相手…全て俺だ」
P「俺が春香の立場でも俺を彼氏だと推理する」
P「これは…俺に自覚が無いだけで俺が彼氏かもしれないって事だ…」
春香(なるほど…自覚が無い…か…)
P「例えば自覚が無くてももう一人の俺が過ちを犯しているのかもしれない」
春香「それはありませんでした」
P「どう言う意味だ春香」
春香「実はプロデューサーさんの部屋に五日間ほど監視カメラを」
P「カメラ?そ、そこまでしてたのか」
春香「はい、プロデューサーさんは美希に何もせず熱心に仕事について話していました」
P「じゃあその五日間に俺に彼氏の行動は無かったって事か?」
春香「はい。彼女と部屋で2人っきりなのに何もしないなんてまずありえないと思ってます」
春香「『彼氏ではない』という判断ではなくカメラを付けていても『彼氏としてのボロは出さない』と判断しました」
春香(まあ、そもそも部屋で会ってるだけでアウトですけど)
P「『彼氏としてのボロは出さない』か……実際そうなのかもしれない」
P「一体どうなって…いや、どうすればいいんだ…」
P「俺はやっぱり彼氏なのか?俺なりの推理をしても可能性は高く思える」
千早「な、何言ってるんですか…プロデューサーも私たちも諦めたらそこで試合終了です」
P「正直に言うが俺はアイドルでも可愛い娘と付き合いたいと思っている」
P「こういう考えを持つ人間なら誰でも彼氏になり得ると思う」
真「プロデューサー……」
P「この人と付き合いたいと思う人間は俺の中にたくさん存在しているんだ」
真美「兄ちゃん、それは真美だって同じだよ。この人かっこいいと思う事なんてしょっちゅうあるよ」
亜美「結構誰でもそうなんじゃない?でもだからって本当に付き合ったりはしない。そうだよね」
やよい「それにプロデューサーが彼氏じゃない事は監視カメラが証明してくれたんですよね」
伊織「五日間も見たんだもの。絶対彼氏じゃないわ。あんな状況で何もしないなんて」
千早「い、いえ…あの時は在宅時しか観ていない…24時間監視してたわけじゃ…」
千早「自由に外出できたし…万が一カメラに気付いていたとしたら家じゃなく他の場所で…」
春香(……まさか、こうなる事を…)
春香(でも…美希の様にプロデューサーさんをこれから長期に渡って拘束したとして……)
春香(彼氏と名乗り出るものが現れたら……プロデューサーさんは彼氏であってもその時はもう彼氏じゃ無い……か?)
春香(いや……そんなのはただの自称彼氏。美希が名乗り出た人と付き合ってると確信出来るまでは……)
春香「良いでしょう。美希を解放してプロデューサさんを監禁します」
春香「その後美希が誰かと付き合ってる事が分かればプロデューサーさんは白です」
貴音「そんな……何もそこまで」
P「良いよ貴音」
貴音「あなた様…」
P「俺もこのまま自分が彼氏ではないのかと心のどこかで悩むのは辛い。ここではっきりさせたい」
響「でも活動はどうするの……?」
P「少しの間なら律子に頼めば問題ない。どうせ短期間で白だって証明できる」
雪歩「プロデューサーはどこいっちゃったんですかぁぁ!?」
伊織「ど、どうしたのよ……風邪だって言ってるじゃない」
雪歩「でも……でも……プロデューサーの部屋に行っても誰も……」
千早「何で萩原さんが…プロデューサーの部屋に入れるの…?」
雪歩「彼女だから」
響「えっ……どういう事?」
春香「雪歩が彼女……?」
P(雪歩には事前に合いかぎを渡しておいた。これで俺が美希の彼氏ではない事が証明できる)
P(こいつらのピュアな脳では二股などという発想がまず思い浮かばないだろう)
P(これでようやく疑いが晴れる。簡単なものだ)
春香「じゃあ結局のところアイドルと付き合ってるんですね」
P「あ」
P「ここまでする必要あるのか?春香…」
春香「私だってしたくてしてる訳じゃありません」
美希「24時間行動を共にするって手錠を……そういうことなの?」
美希「ちょっと怖いよ。春香ってそういう趣味あるの?」
春香「私だってしたくてしてる訳じゃないよ」
美希「でもプロデューサーさんはミキのプロデューサーさんだし」
美希「大体24時間って活動とか営業とかどうするの?」
春香「そういう時は必然的に3人になるかな」
P「却下。それにお前監視じゃ無くて目的別にあるだろ」
春香「てへっ」
P「ふぅ…やっと騒動も落ち着いたな。長かった」
美希「そうだね、プロデューサーさん」
P「別に2人の時はハニーって呼んでも問題ない」
美希「ハニー…?何の話?ミキ誰かをそんな風に呼んだ事ないよ」
P「おいおい、いつまで言ってるんだ。お前の記憶を失った演技は凄いがもう良いよ」
美希「え……ほんとに何言ってるのプロデューサーさん」
P「じょ、冗談だよな。美希」
美希「なにが冗談なの?レッスンしないの?プロデューサーさん」
P「ぶぁかやろぅぅぅぅ!!なぁにを言ってるぅぅ!?ふざけるなぁぁぁぁ!!!」
P「演技なら俺以外の人間にやれ!!何をしてるんだぁぁ!?」
P(一過性の記憶喪失……ここ最近の記憶が無くなってる……それも俺との思い出が)
冬馬「お、俺天ヶ瀬冬馬」
P(あの極限状態で美希なりの防衛本能が働いたのか……)
冬馬「略してあまとう」
翔太「冬馬君そればっか」
P(くそっ、せっかくトップアイドルにまで上り詰めたのに…活動は問題ないと言っても…)
冬馬「え、あ…う…その…お茶でも…」
P(ラストライブも迫ってるのにどうすれば…)
あずさ「困ります」
冬馬「はうぁっ!」
北斗「冬馬にナンパはやっぱり無理か」
P(もっと静かな場所で考えよう)
美希「ねえ、プロデューサーさん、何で悲しい顔してるの?」
美希「見てて可愛そうになっちゃうの。ミキなら大丈夫だよ?」
P(落ち着け、顔に出すな。あくまで俺は冷静にならないと)
美希「別にミキ思いだせないだけで苦しくもなんともないよ?だからそんな顔しないでほしいな」
P(…………とにかく今はライブだ。こいつの記憶はその後だ)
P「今日のメイン曲、忘れてないよな。歌詞完璧か?」
美希「うん、ミキの大切な歌だもん。relations…歌ってみようか?」
美希「この歌…なんとなく懐かしい気分になるの」
P「ん」
美希「事務所で口ずさんだ時もミキの側で優しい笑顔で拍手してくれた…誰か」
P「ああ、そんな事も」
美希「その人はミキをいつもいつも守ってくれて、車道にまで飛び出しちゃって」
美希「その時からミキその人のためならなんでもしたいって…」
P「……」
P(ああ、それからか。俺たちが探り合う事が少なくなったのは…)
P(美希が変わって、アイドルとしてのランクも上がって、ハニーって呼び始めて)
P(あの騒動があって…そして)
P「美希、ステージだ。そこに俺たちの全てがある」
美希「そこで、全部思いだせるかな」
P「ああ、記憶を取り戻すんだ。もう一度俺達の絆を」
美希「うん、ミキ今なら分かるの。絶対忘れたらダメな気持ちがミキの中で眠ってるって」
美希「一緒に取り戻そうね。ミキ絶対に負けないから」
P「ああ」
P(思い通り…!このテンションならステージで失敗する事も無いだろう)
美希「みんな、今日まで応援してくれてありがとう」
美希「最後に一番大切な人が教えてくれた曲歌います。relations」
P(ば…馬鹿かこいつ…また同じ事を…)
P(余計な事は言うなと指示しておいただろうが……)
P(沈静化してきた所に最後の最後で……)
P(…いや、ここまできたら……やってしまえ)
P(…!!)
P(やはり…俺は…)
P(間違って…なかった…)
P(美希……トップアイドルに……)
P(が……ま……)
美希「ハニー、ハニーどこ!?」
P「ここだ、美希。素晴らしかったぞ。記憶は…どうなった」
美希「ごめんね、ハニーとの思い出忘れちゃうなんて…でももう全部全部思いだしたよ!」
P(だ、だめだ…まだ泣くな…堪えるんだ…し…しかし…)
美希「ねえ、ハニー壊れるぐらいにミキを抱きしめて!ぎゅってしてほしいの!」
P「……監視カメラも無いし誰も見てない。おいで」
美希「うんっ…うぅぅぅ…ハニー!!」
雪歩(ふ…ふふ、私も同じユニットなのに…ここにいるのに…私は見えないの…?)
雪歩(そ、そうだ…これは美希ちゃんが私を陥れる為に仕組んだ罠なんだ)
雪歩(だって私もステージにいたのに何も言ってくれないなんておかしいもん)
雪歩(それが罠だっていう証拠…)
P「美希、行こうか」
美希「うん」
雪歩「ち、違う…彼女は私で…こんなの有り得ない……」
雪歩「…………」ポロポロ
P「美希、いつまで抱き合っていれば良いんだ…ここ路上だし」
美希「えぇー、もう少しだけー」
P「もう何時間こうしてるんだ」
美希「ミキすっごくライブ頑張ったんだよ?ちょっとぐらいワガママしても良いって思うな」
P「ああ、ホントに最高のステージだった」
美希「でしょう?……ミキいまとっても幸せ。全部取り戻せて…忘れてた物がどれだけ大事かも分かったから」
P「俺がもう少し注意しておけばお前が記憶を失う事も…」
美希「ううん、ミキがあんなこと言ったのがいけないの」
美希「でも、これからはハニーの事絶対離さないよ」
P「ファンに聞かれたら……もう今更か」
美希「そうだね!それでファンの皆に何言われても良い。ミキの本当の気持ちだから」
美希「ねえ、ミキの事どのぐらい好き…?」
P「お前が俺を想う気持ちの何倍もだ」
美希「…トップアイドルになれた時よりも…もっと嬉しい」
美希「ハニーこれからもミキの側にずーっといてね」
P「ああ」
美希(計画通り…!)
美希(ハニー…笑いをこらえるのがこんなにこんなに大変だとは思わなかったの)
美希(ここまでミキの筋書き通りに動いてるなんて)
美希(春香、雪歩、ファンの目、邪魔者は全て消えた)
美希(そしてハニーはミキの事しか見えなくなっている)
美希(この状態からならハニーを支配するのも時間の問題。年齢の壁もあと数年の辛抱)
美希(ミキはハニーのお嫁さんになる)
??「やむを得ないですね、星井美希をさらってください」
「し、しかしお譲……それは…それに何故そこまであの男にこだわるんですか?」
??「プロデューサーが欲しいだけじゃ無いです」
??「美希ちゃんを…美希ちゃんに関わらず邪魔な者は消してプロデューサーの一番になるんです」
終