伊織「ねえプロデューサー、今日の仕事のことなんだけど……」
P「おおおおう、伊織! 仕事のことなら俺より律子に聞いた方がいいんじゃないかな、うん!」ソソクサ
伊織「別に竜宮小町の仕事じゃないんだけど……まあいいわ」
伊織「ちょっと律子、今日の仕事……」
律子「今日のことね。一時半から雑誌の取材で、それは一時間程度で終わるらしいからその後すぐに番組収録よ。あ、ちゃんと休憩はあるから安心してちょうだい。着替えの時間も別に用意されてるからね。じゃ、私はこれで」ハヤクチ
伊織「これで、って……はあ………あんたもなの、律子」
元スレ
伊織「隠し事が下手すぎるのよあんたたち……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1336142334/
翌日
伊織(今日はみんな事務所に集まってるわけだけど)
ワイワイガヤガヤ
伊織(会話は多少してくれるものの、誰一人私と目を合わせようとしない)
伊織(……ちょっと意地悪してみようかしら)
伊織「」ジー
美希「ち、千早さん。このお菓子とっても美味しいの」(ひーん、でこちゃんが熱い視線を送ってきてるの! 助けて!)
千早「ええ、ホントね。春香も食べてみたら?」(落ち着いて美希。自然に振る舞えば大丈夫よ)
春香「う、うん! ホントだ美味しいね! 甘味があるね、天海だけにね!」(自然に、自然に……)
伊織(あの三人はダメそうね、色々と……)
伊織「」ジー
やよい「わあ、この雑誌に乗ってるお洋服かわいいですー!」(うう、伊織ちゃんがこっちを見てる気がします……)
あずさ「あらあら、こっちのお洋服の方がやよいちゃんに似合ってると思うわよ?」(伊織ちゃん、ちょっと目が怖いわ~)
亜美「やよいっちにはやっぱりオレンジが似合うね!」(とりあえず会話に加わっとこ)
真美「……」(あ、まずい。何も話すことがない。とりあえずあずさお姉ちゃんの後ろに隠れとこ)
伊織(あの三人はあずさに守られてるわね……)チッ
一同(今舌打ちしなかった?)
伊織「」ジー
響「この前オフの日に貴音のオススメのラーメン屋さんに行ってきてさー」(うわ……ついにこっちを睨んできたぞ)
貴音「ふふ、あの店は私のとっておきなのです。なかなかに美味だったでしょう?」(ああ、思い出しただけで涎が垂れてしまいそうです……ちゃーしゅー、濃厚なスープ、ほどよく味の馴染んだ麺……)ゴクリ
雪歩「へ、へぇぇ、私も行ってみたいなぁ……」(あぁ……伊織ちゃんがまるで養豚場の豚を見るような目つきでこっちを……そうだ私は豚なんだ。いや、モグラかな……私なんてしょせん日の当たらないところで一生を過ごすモグラだよ……)
真「雪歩は小食だからなぁ。貴音の行きつけはツラいんじゃないかなぁ」(バレてるよね? これ絶対バレてるよね?)
伊織(プロデューサーと律子は営業、小鳥は事務で忙しそうだし……まあ望み薄ね)
伊織「………はぁ、あんたたち」
一同「!」ビクゥッ
伊織「………なんでもない。ちょっと買い物行ってくるけど、30分くらいで帰ってくるわ」
ガチャッ バタン
一同「………」
春香「ふ、ふう、なんとかやり過ごせたね」
真「本気で言ってるのそれ!? 古畑任三郎かってくらい確信持って疑われてたよ!?」
美希「でもでこちゃん、何も言わずに出て行っちゃったし、何も心配ないって思うな。フルタチさん?もびっくりの完全犯罪なの」
真「ポジティブすぎるよ! 多分だけど、気を使って出て行ってくれたんだと思うよ!?」
雪歩「なーやんでもしーかたない……まあそんなときもあるさ……あしたはちがうさ……」
真「ああっ雪歩が現実逃避し始めた!」
貴音(炒飯……餃子……ましまし)ジュルリ
真「わぁぁ! 貴音涎が! 床に、床に!」
伊織「はぁ……やりにくいったらないわ」
伊織「ほとんど無視じゃない……いじめだと思われても仕方ないわよ」ブツブツ
伊織「まあ、みんな悪気はないんだろうけど……ってこれ、私の勘違いだったら相当恥ずかしいわね……」ブツブツ
伊織「………ほ、ホントにいじめだったらどうしよう……私、とんだピエロじゃない」ブツブツ
「伊織! 前、前! 信号赤だよ!」
伊織「えっ? きゃっ!」
ププー
伊織「」
伊織「あ、危なかったわ……心臓止まるかと思った」
真「もう! ひやひやさせないでよ!」プンスカ
伊織「あんたの声で心臓止まりそうになったのよ」
真「ええぇ……命の恩人を殺人未遂呼ばわりだよ……」
伊織「なんで真がここにいるのよ」
真「ええと、僕も買いものに行こうかなーなんて」(逃げてきたとは言えない)
伊織「あんたはいいの? 私をのけ者にしなくて」ジロリ
真「あ、あのねぇ、みんな伊織をのけ者にしてるわけじゃなくて……」
伊織「知ってるわよ」
真(コワイヨーイオリガコワイヨー)
伊織「やよいやあんたが申し訳なさそうに私の顔色をうかがうから、だいたい察しはついたわ」
真(あれ? もしかしてバレたの僕のせい?)
伊織「まあ私は大人だから、せいぜい土曜日まで孤独に過ごしてあげるわよ」フンッ
真「あちゃー、拗ねちゃったよ……」
伊織「拗ねてないわよ! いいから事務所に戻りなさい! 真が私にネタバレした、ってみんなに思われても知らないわよ?」
真「そんなこと言ってホントは寂しい癖にぃ」ニヤニヤ ツンツン
伊織「あんたホント後で覚えときなさいよ」
真「せっかくだから一緒に買い物行こうよー。プロデューサーと律子、遅くなるらしいからミーティングまで時間あるし、買いたいものもあるから」
伊織「…………しょうがないわね……買いたいものって何よ?」
真「えっと、トレーニング用のダンベル20kgくらい」
伊織「片手間に買うようなものじゃないじゃない! どうやって持って帰るつもりなのよ!」
土曜 水瀬邸
伊織「ふぁぁ……オフだからって寝過ぎたわ……」
伊織「? メールが来てる……?」
from:P
『本日6時、765プロに来られたし』
伊織「何で果たし状チックなのよ……」
伊織「だいたい今日仕事をいれてない時点でわかりやすいわよね、あいつも」
伊織「気づいてないフリも疲れたわ……みんなも隠すの必死で疲れただろうし……誰も得してないじゃない」
真「伊織、結構独り言多いよね」モグモグ
伊織「何であんたが私の部屋にいるのよぉぉぉ! しかも何食べてんのよ!」
真「これ? なんか執事さんが紅茶とお菓子くれたんだよ」モグモグ
伊織「そっちは別に重要な質問じゃないわよ! 何が面白くて寝起きに真の顔見なきゃいけないのよ!」ギュウウ
真「いひゃい、いひゃい。ほっぺつねるのやめて」
真「何かさ、響の近くにいるとだんだん動物と話せるようになってくるらしいんだよね」
伊織「…………急に何の話よ?」
真「それで僕もできるのか試してみたくなってさ。で、だれかペット飼ってる友達いないかなぁと思って……響は都合が悪かったから」
伊織「『伊織んちの犬で試そう』と。バカ! ウルトラバカ!」
真「そこまで言わなくても……」
伊織「もう、めんどくさいから不法侵入については不問とするわ」
真「合法進入だよ。伊織のパパさんもお兄さんも執事さんも喜んであがらせてくれたよ?」
伊織「ん? お父様とお兄様が仕事に行く前に来たの?」
真「うん、ランニングのついでだから朝5時頃かな」
伊織「娘の友達ってことを考慮してもお断りするレベルよそれ!」
真「ええー? ホントはもうちょっと早く来ても良かったくらいなんだけど」
伊織「あんた常識あるの? ないの? どっちなの?」
……………
伊織「真とバカなやり取りしてたらもう夕方じゃない……」
真「楽しい時間はあっという間って言うからね!」
伊織「………」
真「………」
伊織「…………じゃあ私、これから事務所行くから帰ってちょうだい」
真「おぉぉぉい! 僕も行くからね!? わかってると思うけど全員事務所にいるからね!」
伊織「ええ……ここまで来てネタバレしちゃうの? ちょっと引くわ……」
真「も、もう! 行くよ!」
伊織(……ホントは私を迎えに来てくれたんでしょうけど)
伊織(来た時間が非常識だからお礼は言わないわ、断じて)
765プロ前
真「さ、どうぞ扉をお開けください姫様」
伊織「やけにノリノリじゃない、王子様? そのポジションは不満じゃなかったの?」
真「まあね……そうだ! 僕の誕生日は伊織が王子様役やってよ」
伊織「私の王子様はあんたのお姫様くらい似合わないわ、残念ながら」
真「…………」ズーン
伊織「じゃ、開けるわよ? いいのね?」
ガチャッ
一同「たんじょーび、おめでとー!」パーン パーン
P「時間通りだな。念には念をと思って真に迎えを頼んで正解だったよ」
真美「いおりーん! おめでとー!」
亜美「びっくりした? びっくりした?」
あずさ「これで伊織ちゃんも一つ大人の階段を登ったのね~。感慨深いわ~」
やよい「うっうー! やっぱりお友達のお誕生日をお祝いするのはウキウキワクワクしますー!」
律子「準備が間に合って良かったわ。おめでとう、伊織」
響「留守番してるイヌ美たちも、おめでとうって言ってたぞ!」
貴音「ふふ、けーきもたくさん用意してありますよ。誠、楽しみです……いえ、楽しみにしていてください」
雪歩「し、四条さん本音が漏れてますぅ……」
美希「あふぅ……準備と待ち時間が長くてすっかり眠くなっちゃったの」
千早「ほら、本番はこれからなんだからしゃきっとして?」
春香「サプライズにするの、ホントに大変だったよー」
小鳥「でもみんなとっても楽しそうに準備してたわ、ふふっ」
社長「本当におめでとう、水瀬君。自分の娘のことのように嬉しく思うよ」
伊織(さて……)
伊織(いったいこの中の何人がバレてなかったと思ってるのかしら……)
一同「」←純粋な眼差し
伊織(えっ、まさか全員じゃないわよね?)
真(そのまさかだよ)
伊織(あんた……直接心の中に……!)
伊織「…………」
伊織「みんな、本当にありがとう! まさか自分のためにこんな会を開いてくれるなんて夢にも思わなかったわ!」グスッ
真(演技派だなぁ)
一同「」ウンウン
真(うわぁ……みんな満足そうな顔してるよ……)
真(よし、ここは僕も演出に一役買おうかな)
真「上手くサプライズできたでしょ? 自然すぎて伊織も今日誕生日だってこと忘れてたぐらいじゃないのー?」チラッ
伊織「自分の誕生日忘れるわけないでしょ、このアンポンタン」
真「」
貴音「さあ、早くこちらに。けーきが待ちくたびれてしまいます」ワクワク
やよい「プレゼントもすっごいのがあるからねー?」
伊織「はいはい。……ま、こういうところが765プロらしいっちゃらしいけど」
真「……ちゃんとサプライズに出来たら一番だったんだけどね」
伊織「……ううん、嬉しいことに変わりはないわ(さっき本気で泣きかけたのは内緒ね)」
伊織「でも、さすがにこれだけは言わせてちょうだい」
真「何?」
伊織「隠し事が下手すぎるのよ、あんたたち……」
おわれよ
48 : 以下、名... - 2012/05/05(土) 00:23:20.81 2RMMWHdp0 23/23終わったので解散していただいて結構です
ありがとうございました