1 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 01:26:03 sxS 1/13


・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです
・概ねアニメ寄りの世界線ですが、その他のコンテンツの要素や独自の解釈を含むことがあります



-----事務所-----

ガチャ
智絵里「お、おはようございます」

「おはよー」

かな子「誰もいない……みんな、お仕事なのかな?」

元スレ
キャンディアイランドのより一層毒にも薬にもならないおしゃべり
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1545409563/

2 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 01:30:01 sxS 2/13

智絵里「私たちは、今日はみっちりレッスンだね」

かな子「そうだよっ。ライブも近いし、気合い入れなきゃねっ」フンス

智絵里「かな子ちゃん、すごく張り切ってる……。私も、頑張らなきゃ……!」

「……」ウーン

智絵里(……ねぇねぇ、かな子ちゃん。杏ちゃん、どうしたんだろう……?)ヒソヒソ

かな子(うん……さっきからずっと真面目な顔で、何か考え込んでるような……)ヒソヒソ

智絵里(悩みごとかな?)ヒソヒソ

かな子(もしかして、この後のレッスン、どうやってサボるか、作戦を立ててる、とか……?)ヒソヒソ

智絵里(ま、まさか……)ヒソヒソ

かな子(とにかく、気になるし……聞いてみようか)ヒソヒソ

智絵里(う、うん)ヒソ

3 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 01:31:25 sxS 3/13

「……」

かな子「あ、あの! 杏ちゃん……?」

「んー? どしたの、そんな大きな声出して」

かな子「もしかして、何か悩んでたり、する?」

智絵里「おせっかいかもしれないけど……でも、私たち、杏ちゃんが困ってるなら、力になるよ」

「あー……うん。なら、かな子ちゃんに聞きたいことが」

かな子「私? うん、いいよ」ゴクリ

「……パフェとかのスイーツにたまに乗ってる、銀色のつぶつぶ、あるじゃん? 小さい真珠みたいなの」

かな子「アラザンのこと?」

「……」

かな子智絵里「……?」クビカシゲ

4 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 01:33:19 sxS 4/13

「……そう! それだよ! アラザンかぁ。いやぁ、あれの名前がどうしても出てこなくて、ずっと思い出そうとしててさ。これですっきりしたよ。ありがとっ」

かな子「ど、どういたしまして……。深刻な悩みとかじゃなかったんだね。よかったぁ」

「ほんと、こういうのって一度気になりだすと、もうドツボだよね」

智絵里「あれって、アラザンっていうんだ。私、初めて知りました……」

かな子「私ね、昔お菓子の材料売り場で見かけた時に、『アザラシ』と見間違えて、びっくりしちゃって……それで覚えたんだ」エヘヘ

智絵里「確かに、文字にすると似てますね」

「そりゃ、パフェの生クリームからアザラシが顔出してたら、びっくりどころの騒ぎじゃないよ」

智絵里「……でも、想像すると、ちょっと可愛いかも」

5 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 01:35:31 sxS 5/13

かな子「でも、どうして急にアラザンが気になっちゃったの?」

「二人と合流する前に、きらりからパフェの写真が送られてきてさ。それに乗ってたから。ほら」

かな子「あっ、ほんとだ! 美味しそう……いいなぁ」

「凸レーションとプロデューサーとで、『はぴはぴ☆ティータイムちゅう♪』なんだってさ」

智絵里「じゃあ私たちも、レッスンが終わったら、三人で……って、言いたいところですけど」

「そっか。かな子ちゃん、ライブまでスイーツ控えてるんだっけ」

かな子「そうなの~! 今回は大きなライブだし、ファンの人たちに最高のパフォーマンスを届けたくて、頑張ってるんだ!」

かな子「頑張ってる……んだけど……」シュン

「あ、若干心が折れそうになってる」

智絵里「かな子ちゃん! わ、私たちも応援するから……ねっ」

「そうそう。今ガマンしたぶん、ライブ終わったらプロデューサーに言って、どーんと打ち上げしようよ」

かな子「うん……私、負けない!」

6 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 02:18:24 sxS 6/13

「ライブって、名古屋でしょ? なんか名物の美味しいものでも食べてさ」

智絵里「名古屋名物っていえば……きしめん、とか?」

「ひつまぶしとか」

かな子「あとは、お味噌の印象もあるよね。味噌煮込みうどんとか、味噌おでんとか!」

「あー、いいねぇ。これからの寒くなってくる季節、そういうあったかいものが食べたくなるよね」

智絵里「それ、わかりますっ。冬っていえば、鍋料理の季節ですよねっ」

かな子「……でも、そのラインナップだと、スイーツ成分が足りないような……」

「じゃあ、マカロンやらパンケーキやら投入してみる? 鍋に」

智絵里「えぇ……それじゃあ闇鍋になっちゃうよ」

「闇鍋に、飲まれよっ!」ドヤァ

かな子「……す、スイーツは、普通に美味しく食べるのが一番だと思うよ」

「ま、そうだけどさ」

7 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 02:19:36 sxS 7/13

智絵里「じゃあ、美味しいスイーツを満喫するために、まずは目の前のライブに集中しようっ」

かな子「おー!」

「うぅ、働くのは嫌だけど、甘いものとかな子ちゃんの笑顔のためなら仕方ないかぁ」

かな子「ふふ、ありがとう。そんな杏ちゃんには……」ガサゴソ

かな子「はいっ。チョコあげちゃう♪」

「おー、ありがと。あむっ」モグモグ

智絵里「……スイーツ断ちしてるはずのかな子ちゃんのバッグから、どうしてチョコレートが……?」

かな子「……!」ハッ

「……かな子ちゃん……」

8 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 02:32:30 sxS 8/13

かな子「ち、違うよっ!? これは、その……念のため! 念のために……ね?」ワタワタ

智絵里「う、うん……念のためなら、仕方ない……かなぁ?」

「念のためっていうか、こうして杏のためになったから、まぁセーフということで」

智絵里「備えあれば憂い無しって、言うもんね」

「もしも、食事する間もなく仕事し過ぎて、空腹でその辺に倒れてるプロデューサーとかを見つけた時、手元に食べるものがあれば助けられるしね」

かな子「そ、そこまでは想定してないよぉ……」

智絵里「だよね……そんな大変な状況なら、チョコ一粒なんかじゃ、全然足りないと思うな……」

かな子「智絵里ちゃん、そういう問題じゃなくてね?」

「でも確かチョコって、バテた時のエネルギー補給には向いてるんじゃなかったっけ」

智絵里「そうなの?」

9 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 02:33:55 sxS 9/13

「うん。だから、登山する人なんかはよく持っていってるらしいよ」

かな子「へぇ……杏ちゃん、詳しいね。登山なんて、苦手そうっていうか、興味無さそうなのに」

「いや、これは確か、前に幸子ちゃんが言ってた」

かな子「さ、幸子ちゃん……」

智絵里「行ってるんですね……登山」

「きっとまた、無茶振り系のロケだったんだろうね……」

かな子「私だったら、山登りに挑戦! よりは、山盛りパフェに挑戦! のほうがいいなぁ……♪」

「そりゃあ、得意分野だもんねぇ」

智絵里「わ、私も、まだそっちのほうがいいかも」

智絵里「……あっ。でもやっぱり山盛りは、それはそれで、あんまり自信無いですけど……」

かな子「大丈夫だよ、美味しいから♪」

「え、何? 倒置法バージョンもあるの、それ」

10 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 02:36:07 sxS 10/13

智絵里「あっ。だったら、パフェを食べるお仕事じゃなくて、作るお仕事なんて、どうかな?」

「手作りってこと?」

かな子「なるほど~! それもいいかもっ」

智絵里「生クリームやフルーツを、自分で選んで、トッピングして……ふふっ、なんだか楽しそう」

かな子「ケーキやマカロンなんかも、どーんと乗せちゃったりして♪」

「チョコソースをかけて、アザラシ……じゃなくて、アラザンを乗っけて、ってね」

かな子「えへへ……想像しただけで、なんだか甘いニオイが漂ってくる気がするよ~」

「杏、基本的には食べるの専門で、作るのは面倒だけど、こういうのなら悪くないね」

智絵里「なら、いっそのこと、パフェを盛る器も自分たちで作ってみるとか……江戸切子でっ」

かな子「智絵里ちゃん! それ、グッドアイディアだよ!」

「えー、そこまでいくと、面倒くささのほうが上回っちゃいそうなんだけど……。二人は経験者だからいいけど、杏は素人なんだからさ」

智絵里「あ、そっか……でも、杏ちゃんは器用だから、切子作りもきっと上手に出来るんじゃないかな?」

「そうかなー? それを言ったら、この中で一番器用なのはかな子ちゃんじゃないの?」

かな子「わ、私?」

11 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 02:37:50 sxS 11/13

「だってさ、お菓子のデコレーションとか、いつも丁寧で、凝ってるじゃん。あれは職人技だよ」

かな子「えへへ……お菓子って食べるだけじゃなくて、見た目でも楽しめるものだと思うから。手作りするときはそういうのも意識したいなって」

智絵里「うぅ……そう考えると、私は二人みたいに器用じゃないかな……。最近、四つ葉のクローバーもあんまり見つけられてないし……」

「クローバー探しって、器用とか不器用とか、そういう問題?」

かな子「どっちかっていうと、運の問題なような……」

智絵里「だ、だよね。じゃあ、運気を上げるために、あとで中庭へクローバーを……」

智絵里「あっ、でも運が足りてないから、きっと四つ葉は見つけられなくて……あ、あれ?」

「ち、智絵里ちゃんが無限ループに陥りかけてる……」

かな子「あわわ、落ち込まないで、智絵里ちゃんっ。前向きに、だよ!」

「そうそう。ほら、なんか前向きなこと言ってみなよ」

智絵里「えっと……きゅ、急に言われても……」

「前向きな人のモノマネとかでもいいからさ。形から入るってことで」

かな子「なるほどー。うん、そういうのも、大事だと思う!」コクコク

智絵里「えぇっ……!? 前向きな人……じゃ、じゃあ」

12 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 02:38:43 sxS 12/13




ガチャ
卯月「おはようございますっ!」



智絵里「し、島村卯月ですっ! 今日も一日、頑張りますっ!」ブイッ

卯月「ええぇぇっ!? 島村卯月は私なんですけど……っ!?」



おわり

13 : 名無しさ... - 18/12/22(土) 02:39:24 sxS 13/13


以上、お付き合いありがとうございました。
相変わらず変わり映えのしないシリーズですが、来年もまったりゆるーく書いていけたらと思います。
皆様良いお年をお迎えください。

前回
キャンディアイランドのどうにも毒にも薬にもならないおしゃべり
https://ayamevip.com/archives/55998770.html

も、よろしければどうぞ。

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