マッチ売りの少女「おばあちゃん!死んだはずじゃ?」
マッチ売りの少女の父親「げっ!おふくろ!あの世から戻って来たのか?」
マッチ売りの少女の祖母「久しぶりに戻って来たらなんだい?この体たらくは!」
マッチ売りの少女の父親「だって…仕事クビになっちゃって…」
マッチ売りの少女の祖母「だからって孫に働かせることはないじゃないか」
マッチ売りの少女の父親「すみません…」
元スレ
マッチ売りの少女の祖母「こら!」マッチ売りの少女の父親「げっ!おふくろ!?」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1626485420/
マッチ売りの少女の父親「これからどうしたらいいんだろう?」
マッチ売りの少女の祖母「そりゃあんたが働けばいいだけの話だろう?」
マッチ売りの少女の父親「そっかぁ…そうするしかないか…でもオレにできるかなあ?」
マッチ売りの少女「子供の私にもできるんだからお父さんにもきっとできるよ」
マッチ売りの少女の父親「わかった…これからは心を入れ替えて頑張るよ…今まですまなかったな」
マッチ売りの少女の父親「え~、マッチ!マッチはいらんかね~」
通行人「…」すたすた
マッチ売りの少女の父親「あっ、そこのお兄さん…マッチはいらないですか?タバコを吸う時便利ですよ」
通行人「急いでるんで…」
マッチ売りの少女の父親「はぁ…今日も全然売れない…」
マッチ売りの少女の父親「ただいま~」
マッチ売りの少女「もう!お父さん!マッチが売れるまで帰って来たらダメって言ったでしょう!」
マッチ売りの少女の祖母「もう…私の息子なのにだらしないねえ」
マッチ売りの少女の父親「おふくろ~いい加減成仏してくれよ~」
マッチ売りの少女の祖母「あんたが心配でねえ…成仏なんてできやしないよ」
マッチ売りの少女の父親「すみません」
町にて
マッチ売りの少女の父親「はぁ…追い出されちゃった…こりゃあ何が何でも今日中に全部売らなきゃ許してもらえないだろうな」
男「すみません、ちょっといいですか?」
マッチ売りの少女の父親「はい…なんでしょうか?」
男「マッチ売ってるんですよね?」
マッチ売りの少女の父親「はい、そうですが」
男「マッチ、売ってもらえませんかねえ?」
マッチ売りの少女の父親「ありがとうございます!それで…どれくらいですか?」
男「あるだけ全部くれたまえ」
マッチ売りの少女の父親「本当ですか!毎度ありい!」
男「そんなにうれしいですか?」
マッチ売りの少女の父親「嬉しいですよ!だってあなたが初めてのお客さんですから!」
男「ははは…それはどうも」
マッチ売りの少女の父親「ところで、そのマッチを一体何に使われるんです?」
男「いや…何…ちょっと仕事でね…」
マッチ売りの少女の父親「お仕事…ですか?どんなお仕事か、差し支えなければ教えてくれませんか?」
男「失敬な!」
マッチ売りの少女の父親「す、すみません…」
男「いや…何、企業秘密でね」
父親「はぁ…それはどうも…」
男「いや…いいんだ…じゃあな」
父親「はい、毎度あり…」
岐路にて
父親「しかし、変な人だったなあ…まあいいか…これで家に帰れる…」
父親「そうだ!金も入ったことだし、一つ娘に何かうまいものでも買っていくとするかな」
肉屋
父親「こんにちわ~」
肉屋「おう!お前さんが店に来るなんて珍しいな」
父親「ああ!実は金が入ったもんでな、ちょっと娘に美味いもんでも食わせてやろうと思ってな」
肉屋「へえ…飲んだくれのお前さんがねえ…雨でも降るんじゃねえか」
父親「俺だって真面目に働くときは働くんでえ!」
肉屋「あいよ!肉のうまいとこ多めにしといたぜ!」
父親「すまねえな」
肉屋「いいってことよ!娘ちゃんに栄養つけてもらわねえといけねえからな」
父親「それもそうだな…」
肉屋「おめえさんが酒ばっかり飲んで、娘ちゃんの食べ物はあまり買ってやらなかったからな」
父親「反省してる…」
肉屋「じゃあ娘ちゃんによろしくな!」
父親「ああ…またな」
肉屋「ところで、肉はお前が焼くのか?」
父親「そうだよ、妻もおふくろも死んじまったからな」
父親(ばあさんが幽霊になって戻って来たなんて言っても信じてもらえないだろうなあ…)
肉屋「肉を焼くときは火事にだけは気を付けろよ?」
父親「え?火事?」
肉屋「最近多いだろ…火事」
父親「ああ…そういえば最近火事が多いな。でも冬だから空気が乾燥しているから当然だろう?」
肉屋「それもそうなんだが…」
父親「第一、あれは料理中の火じゃなくて放火だって噂だぜ…気を付けようがないだろ」
肉屋「ああ…確かに…」
肉屋「じゃあ、気を付けてな」
父親「おう!」
父親(火事か…まあ気を付けるに越したことはないわな)
家
父親「ただいま~」
少女「お帰りなさい!マッチは全部売れた?」
父親「ああ…売れたよ!完売だ!」
祖母「へえ…あんたにしてはやるじゃなあい、見直したよ!」
父親「というわけで今日はステーキでお祝いだ!」
少女「わぁい!」
父親「こうやって、酒をフライパンにぶちまけて…と!」
少女「凄い!これがフランベって奴!?まるで料理の達人じゃない!」
父親「すげええええ!炎が天井まで達してる!」
少女「ちょっと流石にヤバくない?」
父親「うおっ!こりゃあヤバい!水だ水!」
祖母「もう!あんた何やってるのよ!?」
祖母「もう!あんたは昔からおっちょこちょいなんだから!」
父親「ごめんなさい」
少女「あ~あ…ステーキが黒焦げだよ~」
父親「一人分おじゃんになっちまった…」
祖母「アンタの分よ!」
父親「そ…そんな!」
少女「残りは私達がいただきま~す」
少女「でもおばあちゃん凄い!さっきはどうやって火を消したの?」
祖母「それはね…霊力を使って火を消したのよ」
少女「すっご~い」
祖母「これでも幽霊ですからね」
父親「それだ!」
祖母「なんだい?あんたいきなり声をあげたりして」
父親「おふくろ!それだよ!霊力を使って俺の商売を助けてくれ!」
祖母「私の霊力で?」
父親「そうだよ!周りの人が俺のマッチを買うように催眠術をかけてほしいんだよ」
少女「お父さん、それずっるーい」
父親「馬鹿なことを言うな!世の中はな…ずるくても儲けた者が勝ちなんだよ」
祖母「あいにくそれはできないねえ」
父親「え~どうしてだよ!」
祖母「霊力を使うのにはね…掟があって私利私欲のために使ってはいけないって神様に言われてるのよ」
父親「神様も硬いな~」
祖母「それにね…私は水の霊力しか使えないの」
少女「霊力にも専門があるんだね、なるほど…おばあちゃんは水の霊力の使い手なんだね」
父親「なんだかしちめんどくせえ話は苦手だが要するに霊力を商売に使うのはいけないってことか」
祖母「それにね…お腹が空いてると力もでないし、体力も消耗しちゃうんだよ」
少女「体力を全部使いきっちゃったらどうなるの?」
祖母「霊体が消えてしまうのよ」
少女「ということは?」
祖母「今度こそ本当に死んでしまうわね」
少女「そんな!おばあちゃんがまた死んじゃうなんていや!」
父親「わかったよ…真面目に商売します…」
祖母「だから体力を回復するためにステーキは多めにしてね!」
父親「ふざけんなクソババア」
1時間後
少女「ふぅ~ごちそうさま!しばらくぶりにお肉食べた!流石国産牛!美味しかったなあ」
祖母「ほんとにねえ」
父親「ちきしょう…俺はフランスパンしかもらえなかった…」
少女「だってお父さんが肉を黒焦げにした上に火事にしかけたんだもん!罰だよ!」
祖母「そうそう」
父親「ぐぬぬ…」
少女「じゃあお皿洗ってくるね」
祖母「いい子ねえ」
父親「ああ…妻が死んでから家事は全部あいつに任せっきりだった…」
祖母「そういえばあの人が死んでからねえ、あんたが酒浸りになったのは…」
父親「おふくろ知っていたのか?」
祖母「ええ…あの世から見ていたわ」
父親「しかし…おふくろが帰ってきてよかった…何年ぶりだろう…おふくろから叱られたのは…」
祖母「あんたは子供の頃から叱られてばっかりだったからね…いたずらばっかりでどうしようもない子だった…」
父親「ほんと…オレはどうしようもないろくでなしだ…酒浸りで今まで仕事もろくにせず…」
祖母「そんなことないさね…今のアンタは真面目に働いてる…それでいいじゃないか」
父親「そっか…」
祖母「私にとっちゃ…あんたは立派な自慢の息子だよ…」
父親「おふくろ…ありがとう」
少女「きゃああああああああああああっ!」
父親「あの声は娘!いったい何があったんだ?」
祖母「台所のほうから聞こえてきたようだよ!」
父親「これはただ事じゃない!急げ!」
台所
男「顔を見られたからには仕方ない、お前には死んでもらう」
少女「あ…ああ…」
父親「娘!どうした!何があった!?」
少女「外で物音がするから何かと思ったらこのおじさんが庭でごそごそしていて…」
父親「誰だお前は!そして何してる!?」
男「誰だお前とはご挨拶だな…今日俺とあんたは会ったはずだが?」
父親「え?今日会ったっけ?」
男「覚えてないのか?お前はほんと頭が悪いなあ」
回想
男「すみません、ちょっといいですか?」
マッチ売りの少女の父親「はい…なんでしょうか?」
男「マッチ売ってるんですよね?」
マッチ売りの少女の父親「はい、そうですが」
男「マッチ、売ってもらえませんかねえ?」
父親「あああああああっ!!お前は俺からマッチを買った男!」
男「くくく…ようやく思い出したか?実に頭が悪い男だな」
父親「大量のマッチに不法侵入…ということはまさか!お前は放火犯だったのか!」
男「ふふふ…そうさ、最近この町で起こってる放火事件の犯人はこの俺さ」
父親「ちきしょう!仕事でマッチがいると言っていたのは放火に使うためだったのか!」
男「ふふふ…その通り、頭の悪い癖には察しがいいな」
父親「よくも俺のマッチで放火を!許さねえ」ブン!
男「おっと!いいのか?俺を殴ろうとしても?」
少女「お父さん…」
男「こっちには人質がいるんだぜ?」
父親「くそう!」
男「さて…大人しく縛られてもらおうか?」
少女「お父さん…私達これからどうなるの?」
父親「大丈夫だ!俺がなんとかしてやる!」
男「さて…と、二人とも縛り上げたわけだが…顔を見られた以上仕方がないな…」どぼどぼ
少女「あっ!おじさん!なんで床に液体なんかまいてるの?私がせっかく掃除したのに!」
父親「この液体臭え!まさかこれは?」
男「その通り、これは油さ…これから火をつけてお前たちを焼き殺すのさ」
少女「いやあああああああ、熱いのいやだよお」
父親「ちくしょう!生きたまま火葬だなんてごめんだぜ!」
男「俺たちはキリスト教だからな、火葬は仏教だからな」
少女「うええええん」
父親「最後に聞きたい!どうしてお前は放火をするんだ?」
男「聞きたいか?」
男「俺は元々は建築家だったんだ」
父親「建築家とは家を作る仕事ではないのか?どうしてお前は放火なんて真逆なことを?」
男「仕事がないからだよ」
父親「なんだって?」
男「最近不景気で家を作る仕事が減ったからな…女房子供にも逃げられて俺は人生のどん底さ」
少女「そうか!家を建てる人がいないから家を建てざるを得ないように仕向ける!だから町中に放火をしていたのね?」
父親「そのために町中に放火を!?なんて悪い奴だ!」
男「そうだ…だがそれだけじゃねえさ」
父親「どういうことだ?」
男「俺はなあ、楽しそうな家庭を見るとむかつくんだ、壊してやりたくなるんだよ」
父親「なんて自分勝手なんだ!」
男「今日たまたま通りがかった家が楽しそうにしてたから火をつけることに決めたんだ、それがお前の家だったというわけさ」
父親「くそう!」
男「おしゃべりは終わりだ!そろそろ死んでもらおうか」シュッ!ボオオオオ!
少女「あっ!お父さん!火がついちゃったよ!」
男「じゃあな、自分のマッチの火で死ねるなんて本望だな」バタン
父親「くそう!このままだと焼け死んじまう」
少女「うわあああああん」
祖母「あんたたち!大丈夫かい?」
父親「おふくろ!今までどこにいたんだ?」
祖母「さっきまであんたの横にいたけど」
少女「そっか…おばあちゃんは幽霊だから放火魔には見えなかったんだね」
父親「とにかく水の霊力で火を消してくれ!このままだと焼け死んじまう」
祖母「あいよ!」ジョバー
少女「ふぅ…助かった…おばあちゃんありがとう!」
祖母「しかし火を消すのは疲れるねえ…ちょっと霊力を消耗しちゃったよ」
父親「でも大変だ!あいつはまだマッチを大量に持ってる!」
少女「そっか!これからも放火を続けていくということなんだね」
父親「これ以上あいつに放火をされてたまるものか!あいつを追うぞ!」
祖母「わかったわ」
父親「俺とおふくろは男を追うからお前は警察に連絡を頼む!」
少女「うん!」
街の大聖堂
男「くくく…これで終わりだ」シュッ!ボオオオオ!
男「ここは町の中心部、ここに火をつければ大火事となり市街地に燃え移って町は焼け野原」
男「これで俺に仕事がたくさん舞い戻ってくるぞ!ふはははは」
?「果たしてそううまくいくかな?」
男「だ、誰だ?」
父親「俺さ」
男「ふふふ…マッチ屋、お前生きていたのか?」
父親「ああ、俺はそう簡単には死ねないぜ!可愛い娘がいるからな!」
男「ふっ…家族のためか?どこまでもむかつく奴だなお前は」
父親「お前だけは許せねえ!お前はマッチを犯罪に使った!」
父親「マッチはなあ!人の生活を幸せにするためのものなんだよ!」
父親「ご飯を作ったり!お風呂を焚いたり!暗い部屋を明るくしたり、寒い日に暖炉に火をつけたり!」
父親「そんな風に人の生活を幸せにしてくれるのがマッチなんだよ!」
父親「それを…人の家を焼くなんて酷いことをするなんて!」
父親「俺は絶対にお前を許さねえ!」
男「話なげえな…しかもつまらねえ」
父親「どうやらお前とは分かり合えないようだ」
男「また縛られた後で逃げられでもしたら困るから今度はナイフでしっかりとけりをつけるか…」チャキ
父親「望むところだぜ!」
男「そこらへんにあった棒きれで俺に勝てるつもりか?行くぞ!でやあ!」
父親「とう!」
男「せいや!」
父親「えいっ!」
男「なかなかやるじゃねえか」
父親「昔はマッチを作っていたからな、斧で毎日丸太を割っていたから棒切れを振り回すなんて朝飯前だぜ」
男「ふふふ…流石マッチ屋だ。だが、今度はどうかな?とう!」バギッ
父親「うわあっ!」
男「ふふふ…真っ二つに折れちまった…金属と木、どっちが強いかは明白だなあ」
父親「くそう…ここまでか」
男「遊びはここまでだ!死ねい!」
父親「くそう」
男「ぐわあ!」ドスッ
父親「男の手に氷の矢が!今だ!」
男「く…くそう…」
警察「そこまでだ!」
少女「お父さん!無事!?」
父親「ああ…なんとかな…」
男「畜生…畜生!」
警察「大人しくしろ!放火魔め!」
父親「ふう…とりあえずは助かった…ありがとうございます」
警察「ご協力!感謝します!では男を連行します」
男「くそぉ…」
警察「放火は重罪!これでお前も縛り首だな」
父親「しかし、あいつも哀れな奴だ…一歩間違えたら俺もあいつみたいになってたかもしれない」
少女「お父さん、どんな理由があろうと犯罪は犯罪、同情する必要なんてないよ」
父親「それもそうだな」
父親「あっ!それはそうと大聖堂についた火はどうした?おふくろが消しに行ったはずだが?」
少女「それなら大丈夫!無事消えたよ!」
父親「しかし…おふくろはどこへ消えたんだ?」
祖母「…ここだよ…」
父親「おふくろ!」
少女「おばあちゃん!大丈夫!」
祖母「どうやら…霊力を使いすぎたみたい…」
少女「さっきの火…そういえば大分大きかった…」
父親「それと…さっきの氷の矢…」
少女「ひょっとして氷を作るには大量の霊力がいるから…」
回想
少女「体力を全部使いきっちゃったらどうなるの?」
祖母「霊体が消えてしまうのよ」
少女「ということは?」
祖母「今度こそ本当に死んでしまうわね」
祖母「どうやら…今度こそ本当にお別れみたいねえ…苦しいわ…お腹のあたりが…」
父親「おふくろ!しっかりしろ~」
少女「おばあちゃん!」
父親「おふくろ!おふくろ!俺はおふくろがいないとダメなんだよ!また叱ってくれよ」
祖母「…いいえ…あなたはもう私がいなくてもやっていけるわ」
父親「そんな…」
祖母「さよ…なら…あり…がと…」フッ
父親「おふくろ~!」
少女「おばあちゃ~ん!」
数年後
父親(あれからおふくろはとうとう帰ってこなかった)
父親(俺は放火犯を捕まえたことで一躍時の人となった)
父親(そのおかげで俺の作ったマッチは飛ぶように売れ、今では大きな工場を持つにいたった)
父親(だが…おふくろはもういないんだ…)
刑務官「男、出房!出なさい」
男「ああ…今日か?」
~刑場~
刑務官「最後に何か一つ願いはあるか?」
男「煙草を吸ってもいいか?」
刑務官「ああ…」
男「ほう…マッチか…あの男が作ったマッチか」
男「人生最後に吸うタバコがあの男の作ったマッチとは皮肉なもんだ…」
男「しかし…うまいもんだ…」
刑務官「さあ、こっちだ…」
刑務官達「…」ボタンポチッ
男「ぐはっ…」
社長室
少女「あっ!お父さんまだサボってる!」
父親「いいじゃないか、会社は儲かってるんだからがつがつ働かなくてもいいだろう?」
少女「え~、何それ!ずっる~い!」
父親「そう言うお前も大学へ行く時間じゃないか?」
少女「あっ!いけない!」
父親「行っておいで、今日はお前の誕生日だから帰ったらお祝いだ」
少女「うん!楽しみに待ってる」
肉屋
肉屋「へい、らっしゃい!」
父親「こんちわ」
肉屋「いつものでいいな?」
父親「ああ!ステーキ大盛で頼むよ」
肉屋「ああ…今日は娘ちゃんの誕生日だもんな」
父親「そうだな…早いもんでもう大学生だよ」
肉屋「ほんと、時が経つのは早いよな~」
父親「そうだな」
家
父親「では、お誕生日おめでとう!」
少女「ありがとう!お父さん」
父親「ほら!ステーキ大盛だ!」
少女「わぁい!嬉しいなあ」
?「私も嬉しいよ」
祖母「ステーキは私の大好物だものね」
少女「おばあちゃん!死んだはずじゃ?」
父親「げっ!おふくろ!」
祖母「どうしたんだい?幽霊でも見たような顔をして…」
父親「おふくろは幽霊だろ!」
少女「でもどうして?おばあちゃんは霊力を使い果たして霊体が消滅したはずじゃ?」
祖母「ああ?あれ?あれはただ腹痛で一時霊体が消滅しかけただけよ
回想
祖母「どうやら…今度こそ本当にお別れみたいねえ…苦しいわ…お腹のあたりが…」
回想
祖母「だから体力を回復するためにステーキは多めにしてね!」
少女「そういえばあの時おばあちゃんはステーキを多めに食べてた…」
父親「だから言わんこっちゃないんだ!年寄りが肉をバクバク食べてもろくなことがねえ!」
少女「でも、結果的におばあちゃん生きてたんだし…それでいいんじゃない?」
父親「それはそうだが…どうしておふくろは戻って来たんだ?」
祖母「よくぞ聞いてくれた」
祖母「久しぶりに戻って来たらなんだい?この体たらくは!」
父親「だって…会社儲かってるし…」
祖母「だからって部下に仕事任せてサボることないじゃないか」
父親「すみません…」
祖母「もう…私の息子なのにだらしないねえ」
父親「おふくろ~いい加減成仏してくれよ~」
祖母「あんたが心配でねえ…成仏なんてできやしないよ」
おしまい