あやめ速報-SSまとめ-

【はんぶん】

◇

透「……──」

円香「……──」

透「……──うーん……」

円香「……──はぁ」

透「ん。ありがと、寒かった」

円香「そりゃそうでしょ。こんな日なのに、帰ってきてから着替えもしないで書いてるんだから」

透「ん。……そっか」

円香「……着替える？」

透「……ううん。あとでいいや」

──────
────
──

透「んー、終わった」

円香「……いいかげん、着替えなって。……はいこれ」

透「ありがと。……ところでさ」

円香「……なに」

透「──私、アイドル楽しいよ」

円香「……そう。何、いきなり」

透「そうって。樋口はどうなの？　楽しくない？」

円香「楽しいとか、楽しくないとかってものじゃないでしょ。仕事なんだから、需要があればやるだけ。そうでないなら、汗水流して努力するか諦めるかするだけ。楽しさなんて、そこには関係ない」

透「え、そうかな。私結構楽しいよ。レッスンとか、仕事とか」

円香「……そう。なら、よかったんじゃない」

透「……──樋口も、結構楽しそうだよ」

円香「まさか。やめてよね、そんな」

透「ほら、今も」

透「────楽しくないって、言わないじゃん」

円香「……まぁ、今は小糸と雛菜たちも一緒にやらせてもらってるから。楽でしょ、一人であれもこれもやるより」

透「……樋口。手、出して」

円香「は？」

透「いえーい」

円香「……は？　何？」

透「だから、いえーい」

円香「……はあ。はいはい、いえーい」



透「……うん。いいじゃん。どうする？　今日、食べてく？」

円香「……今日はいい」

透「そう。じゃ、また」

円香「ん。……あとさ。足りないからって、書かないでよね、さっきの」

透「え、なんで」

円香「見られたくないから」

透「見れないじゃん。プロデューサー、今いないし」

円香「……とにかく、書かないでよね。──じゃ」

透「ん、わかった。じゃ」

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────
──

透「……ふふっ」

透「………………ふ、ふふっ。あははっ」

透「──はんぶん」

【はんぶんの、はんぶん】

◇

透「小糸ちゃん。やっほ」

小糸「ぴゃあ！？　と、透ちゃ──透先輩！？」

透「あは、何それ。いつもどおりでいいよ」

小糸「こ、ここは学校なんだからそんなわけにはいかないよ！　……行きませんよ」

透「真面目だね、小糸ちゃんは」

小糸「ぴゃああ……！　そ、それで透先輩、どうしたんですか？　わざわざ一年生の教室なんかきて……」

透「うん。今日雨でしょ？　プロデューサー、迎えにきてくれるって」

小糸「そ、そうなんですか……？」

透「さっき連絡きた。17時に校門集合だって」

小糸「わ、わかりました……え、えっと、それで……？」

透「……？　それでって……？」

小糸「え、他にはもうないの……？」

透「……？　ないよ？」

小糸「……透ちゃん、なんでわざわざクラスまできたの？」

透「え？　うーん……あまり理由はないんだけど、小糸ちゃんに会いたかったからかな」

小糸「ぴゃい！？　え、えっと……！？」

雛菜「あー、透先輩だ～～～やは～～～?」

円香「雛菜、時間ないから浅倉に抱きつかないで。五時間目体育だから着替えなの」

雛菜「ぶ～～～。じゃあ円香ちゃんだけ先に行けばいいじゃ～～ん」

透「おはよう雛菜。さっきプロデューサーから連絡きてさ……」

雛菜「知ってる～～迎えきてくれるんだよね～～」

透「あれ、雛菜に話したっけ。樋口？」

円香「……メールでしょ。全員に送信されてるんだから」

透「あっ、そっか」

小糸「……えっと、と、透先輩、わざわざ教えにきてくれて、ありがとうございました」

雛菜「あは～～～? 透先輩、もう用事終わった？　じゃあ雛菜と一緒におやつ買いにいこ～～？」

円香「……だから、遅れるから。ほら、浅倉はこっち」

雛菜「あ～～～！　円香先輩ばっかり透先輩独り占めしてずるい～～～！」

透「雛菜。掃除終わった後、近くのコンビニいこ」

雛菜「透先輩～～～?　やは～～～? 約束だからね～」

透「うん。じゃ、また後で。いこっか樋口」

円香「なんで私が待たせてるみたいな感じになってるわけ……！？」

──────
────
──

小糸「……雛菜ちゃん」

雛菜「なに～？」

小糸「えと……コンビニ……」

雛菜「？　うん。一緒にいこ～?」

小糸「……！　うん！　あっ、で、でも、その後レッスンだからあんまりお腹にたまる物買っちゃダメなんだからね！」

雛菜「え～～～。雛菜、肉まんとか買うつもりだったのに～～～」

小糸「だ、ダメだよ！　いっぱい食べてダンスしてたら、お腹痛くなっちゃうよ！」

雛菜「やは～。雛菜、ダンス好きだから大丈夫だもん～。それに肉まん一個くらい、大丈夫だよ～」

小糸「あ、えっと、その……じゃあせめて半分こ！　半分こなら！」

雛菜「む～。まあ、しょうがないかな～。じゃあひとつは、ピザまんにしよ～～～！」

小糸「ひ、ひとつってどういうこと！？」

雛菜「え～？　だって、雛菜と透先輩と、小糸ちゃんと、あと円香先輩の分」

小糸「──────。」

雛菜「あ、でも～、そうしたら、結局肉まんかピザまんか、どっちかしか食べられないのか～～～」


小糸「───じゃ、じゃあさ。半分こを、もう一度、半分こしない？」


小糸「そうしたら、四人ともみんな、どっちも食べられるから」

雛菜「…………やは～～～? 小糸ちゃんってば、食いしん坊～～～?」

小糸「ぴゃい！？　ち、違うよ！　私はあくまで……！　ぴゃあ！　雛菜ちゃん抱きつかないで……！」

雛菜「やは～～～? こ・い・と・ちゃ～ん?」

小糸「も、もう！　雛菜ちゃん！」

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────
──

透「……樋口」

円香「……なに」

透「……あんまん、食べたくない？」

円香「…………四分の一なら、ね」