あかり「え?」
結衣「何?」
あかり「いや、重大なことをあっさり聞き流したな、って……」
結衣「重大なのかよ」
あかり「結衣ちゃん、あかりのこと大好きだよね?」
結衣「うん……。まだ面と向かって言うのは恥ずかしいけどね……」
あかり「その大好きなあかりのイメチェン宣言だよぉ!?」
結衣「悪い子になるのがイメチェンとな」
元スレ
あかり「悪い子を目指すよぉ」 結衣「はいはい」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1349881541/
あかり「結衣ちゃん、あかりの新しい魅力を発見したくない?」
結衣「いや別に。私はあかりの良い子さにゾッコンです」
あかり「結衣ちゃんってあかりのことを『良い子だから好き』としか言わないよね?」
結衣「それくらい惚れ込んでるってこと」
あかり「でも……、ちなつちゃんは京子ちゃんの良いところを延々と……」
あかり「今日も二人で何処かに遊びに行っちゃったし……」
結衣「あの二人はバカップルというか、私達と真逆というか……」
結衣「私達だって落ち着いていて、微笑ましいカップルだと思うけど……」
あかり「むぅ……」プー
結衣「あかりがほっぺた膨らませても……、可愛いだけだよ?」ツンツン
あかり「むにゅっ、こ、子供扱いしないでよぉ!///」
結衣「子供扱いなんてしてないって」
あかり「でも……、あかりの良い子以外の新しい魅力を見せて結衣ちゃんをさらにあかりにベッタリにしないと……」
結衣「私の気持ちは変わらないって……」
あかり「女ったらしの結衣ちゃんはいつ鼻の下伸ばしてフラフラ歩いていくか……」
結衣「だから……、私はあかり一筋だってば」
あかり「うう……、でも……」
結衣「ああもう……、仕方ないな……」
結衣「天使でも小悪魔でも受け止めてあげるから好きにしなよ……」
あかり「え? いいの?」パアァ
結衣「悪い子になるのに許可が必要なのか」クスッ
あかり「よーし、まずは結衣ちゃんが他の女の人のところに行かないように……」
結衣「だから、ありえないって……」
あかり「結衣ちゃんの足を攻撃だよぉ!」
結衣「!?」
結衣「こ、攻撃って……」
あかり「それは……、えーいっ!」ポフッ
結衣「わっ……、って膝枕じゃないか」
あかり「これなら身動きは出来ないでしょ?」ニコッ
結衣「甘えたいなら素直に甘えればいいのに……」
あかり「素直に甘えない感じがあかりの魅力を引き立てて……」
結衣「ない」キッパリ
あかり「むぅ……、頬を擦り寄せてさらに攻撃だよぉ!」スリスリ
結衣「あぁ……、疲れが吹っ飛ぶ……」
あかり「……」ウツラウツラ
結衣「よっぽど気持ちいいみたいだね……」ナデナデ
あかり「はっ……、べっ別にちょっと目を閉じただけなんだから……」
結衣「言葉の最初に別に、を付ければいいってもんじゃない」
あかり「むむっ、ツンデレさん作戦はイマイチかぁ……」
結衣「大好きな子には素直に甘えてもらうのが一番です」
あかり「えーと、えーと、次は……」ウツラウツラ
結衣「眠いみたいだね……」
あかり「ちょ、ちょっと目を閉じればすぐにアイディアが……」
結衣「あー、はいはい」ゴロン
あかり「?」
結衣「悪い子のあかりの魅力を知りたいから、もっと好きにしてください」
あかり「よーし、無防備な結衣ちゃんを拘束だよぉ!」ギュッ
あかり「こ、これは次の作戦を思い付くまでの繋ぎだもん!///」ギューッ
結衣「はいはい」ナデナデ
あかり「結衣ちゃんが他の女の人のところに行かないように全身にダメージを……」ギューッ
結衣「はいはい、お互いに抱き合っていれば何処にも行きようがないね」ギュッ
あかり「……///」ギューッ
結衣「……」クスッ
あかり「……」スースー
結衣「全く、京子が何か吹き込んだのか……?」
あかり「……。結衣ちゃん……、行かないで……」スースー
結衣「私は何処にも行かないってば……」ギューッ
結衣「……」
結衣「京子とちなつちゃんが付き合い始めて……」
結衣「それから私とあかりもこういう関係になって……」
結衣「別にごらく部がぎくしゃくしてるわけじゃないけど……」
結衣「あかりには何か引っかかるところがあるのかな……」
結衣「……」スースー
あかり「……」スースー
ガラッ
京子「様子が気になってちょっと戻ってきてみれば……」
ちなつ「はい、とっても落ち着いて素敵なカップルですよね」クスッ
京子「全く、このヘタレは私が後押ししなきゃあかりに告白できなかったんだから……」
ちなつ「私達が付き合い始めてすぐでしたよね。それって」
京子「うん……、あまり表には出さないけど結衣があかりをずっと大切に思っていたのは知ってたし……」
京子「あかりも学年が違うことで私と結衣、そして自分の関係で変に悩んでる部分があったから……」
ちなつ「そうですね……」
京子「二人とも私の大事な人だから……」
京子「特にあかりはいつか歪んじゃいそうで……、それが怖くて……」
ちなつ「はい……」
京子「あ、別に二人の為に私は身を引いたとかじゃなくって……」
京子「私のちなつちゃんに対する気持ちは本当だから……」
ちなつ「知ってますよ。そうでなかったら、オーケーなんてしませんって」クスッ
ちなつ「けど……、あかりちゃん、きっとまだモヤモヤしてる部分がありますよね」
京子「うん……。でも、ここから先はきっと結衣がなんとかしなきゃいけないと思うから……」
ちなつ「そうですよね……。ま、二人を暖かく見守るとしましょうよ」
京子「うん……」
ちなつ「さて、そろそろ帰りましょっか」
京子「ふっふっふ。結衣、あかり。私達は一足先に待ってるからな。追いついてこいよ!」
ちなつ「どこの噛ませ役のセリフですかそれ……」
………
……
…
結衣「う……。もうこんな時間か……。そろそろ帰らないと……」
あかり「んん……。あかりは悪い子だから時間ギリギリまで結衣ちゃんを困らせちゃうよぉ……」ギュッ
結衣「はいはい。可愛い可愛い天然ジゴロさん」ギュッ
あかり「……///」ギューッ
~帰り道~
あかり「さて、悪い子のあかりは勝手に結衣ちゃんのお家にお泊りして……」
結衣「気持ちは嬉しいけど……、お家の人が心配するってば」
あかり「……」
あかり「あ、あかりは悪い子だから許可なんていらないもん!」
結衣「あかり……、ちょっとセリフを考える間があったね?」クスッ
あかり「うっ……」ギクッ
結衣「悪い子のあかりのことだから……、例えば今日はお家に一人で寂しいとか素直に言えないのかな?」
あかり「うう……///」ギューッ
結衣「ふふっ、そんな悪い子は私が面倒見てあげなきゃだね」ギュッ
結衣「さて、悪い子のあかりはきっと私の愛情たっぷりのオムライスじゃなきゃ
嫌って駄々こねちゃうかな?」
あかり「うっ……///」カアァ
結衣「お、ちょっと恥ずかしくなった?」
あかり「ま、まだ悪い子は継続中だよぉ!///」
結衣「はいはい、それじゃ買い物に行こっか」
~スーパー~
結衣「さて、これで買い物終了っと……」
あかり「結衣ちゃん! うすしお味のいもチップスは常備しといてね!」
あかり「あかりは悪い子だから結衣ちゃんのお家を自分のお家みたいに扱っちゃうんだから!」
結衣「お、いっそのこと船見あかりを名乗ってみる?」クスッ
あかり「う……///」カアァ
結衣「ふふっ、あかりの言いたいことなんて先回りしちゃうからね」
結衣(しかし今日のあかりはやけに私の気を惹きたがるというか……)
結衣(いもチップスをねだる辺りはまるで京子がラムレーズンをねだってた時みたいな……)
結衣(ん……? もしかして……?)
~結衣宅~
あかり「うん……、まあまあの味だったかなぁ……」ニコニコ
結衣「満面の笑みでその感想……。これは確かに悪い子だな……」
あかり「えへへ。精進してね? 結衣ちゃん♪」ニコッ
結衣「はいはい、いくら我が儘になっても足りないくらい可愛いお姫様のお願いならいくらでも頑張ります」
結衣(口移しじゃなきゃ食べない、くらいを言い出すかなと思ったけど……)
結衣(やっぱりまだそういうのは照れ臭いか)クスッ
結衣(……って、何を期待してるんだ私は……///)カアァ
あかり「さぁて、悪い子のあかりは結衣ちゃんと一緒にお風呂に入ってあげません!」
結衣「そっか……、それじゃ一人で入ってきな」
あかり「む……」
結衣「……」クスッ
~お風呂~
あかり「そこは……、ムキになって、一緒にって……」ショボン
~お風呂の外~
結衣「さて、私を振り回したがる悪い子にちょっとお仕置きをしてみるかな」
パチッ
キャーッ!
ガラッ バタバタバタ
あかり「ゆ、結衣ちゃん! いきなり電気消さないでよぉ!」ダキッ
結衣「仕返し成功♪」
結衣「さて……、これはさすがに視覚的にヤバいな……。さっ、早く戻りな」
あかり「うう……///」モジモジ
結衣「一緒に入りたい?」
あかり「……///」コクッ
結衣「全く、怖がりな悪い子だな……」
あかり「い、いや、とっておきの悪いことを思い付いちゃったんだから!」アタフタ
結衣「ふーん?」
あかり「結衣ちゃんを熱湯攻めにして、薬品を塗りたくって、それから……」
結衣「あかり……、普通に入ろうね?」
結衣(それに私はネコじゃない)
あかり「こ、これは、なもペディアで仕入れたとっておきの悪い事で……」
結衣「ああ……、あれには色々載ってるからね……」
結衣(私の気を惹く手段はネットから拾ってきたのか……)
結衣(素直に甘えてくれたらイチコロなのに)クスッ
※結局お風呂は普通に入って終了でした
あかり「さて……、お風呂上がりの一番くつろげるひと時を……」
結衣「はいはい」
あかり「そんな時間まで結衣ちゃんを拘束しちゃうよぉ!」ギューッ
結衣「うわ、これは極悪だー」ギューッ
あかり「これで結衣ちゃんのハートは独占だよぉ!」ギューッ
結衣「もうとっくにそうだってば……」
あかり「ほんとに……?」
結衣「本当。絶対にあかりを離さないよ」ギューッ
あかり「……///」
結衣「あー、悪い子のあかりにちょっと言っておきたいことがあったかな」
あかり「え?」
結衣「私はあかりを……」
結衣「京子の代わりだなんて、一切思ってないからね?」
あかり「!」
あかり「……」ギューッ
結衣「やっぱりか……」
結衣「今日のあかりはやたらに私の気持ちを聞きたがるから、もしかして、と思ったけど……」
あかり「うん……、結衣ちゃんに仕方なく選ばれたんじゃないかって怖くて……」
あかり「だから……」ギュッ
結衣「確かに京子とちなつちゃんが付き合い始めて、寂しいって気持ちがなかったと言えば嘘になるし……」
結衣「ごらく部の空気が変わってしまうんじゃ、って怖かったけど……」
あかり「……」
結衣「京子はすぐに私達二人を心配してくれたんだよ」
あかり「え?」
結衣「私に、早くあかりに告白しろ、って」
あかり「そ、それって……」
結衣「うん。私は周りに気付かれちゃうくらい。ずっとずっとあかりが好きだった」
結衣「今までは恥ずかしさもあって中々二人きりで過ごせなかったけど」
結衣「これからはあかりとの二人きりの時間を大切にしたい」
結衣「確か……、告白はこんな感じだったかな……」
あかり「うん……」
結衣「何度も後押ししてもらったのに、たったこれだけの言葉を言うのにすごく緊張して……」
結衣「途切れ途切れで、ハッキリしない感じになっちゃったから……、誤解させちゃったのかな……」
結衣「でも、あかりは私の顔をじっと見て、一言一言にしっかり頷いて……」
あかり「うん……」
結衣「言い終わった時は、目をキラキラさせて、跳びはねるみたいに喜んで……」
結衣「私は恥ずかしさもあって、なんて言っちゃったけど……」
結衣「あかりはきっと、学年が違うこともあって、私と京子のことでずっとモヤモヤしてたんだよね?」
あかり「うん……」ギューッ
あかり「あの時は良い子しか取り柄のないあかりを選んでくれたのが嬉しくて……」
あかり「でも、いつか結衣ちゃんが離れていっちゃうんじゃ、って怖くて……」
あかり「だから、結衣ちゃんの気を惹きたくて……」
結衣「そっか……」
あかり「優しくて、かっこよくて、皆の先頭に立って。そんな結衣ちゃんにあかりは釣り合わない気がしたから……」
結衣「それは全部、あかりが私にくれたものだと思うけどなぁ……」
あかり「え?」
結衣「私は小さい頃からしっかりしてたなんて言われるけど……」
結衣「転んだ時とか、迷子になった時なんかは自分だって怖くて泣きたい時もあったし……」
結衣「そんな時でもあかりは笑顔で励ましてくれて……」
結衣「あの頃は自分は年上だから、なんて意地を張っちゃったんだろうけど……」
結衣「あかりは小さい頃からずっとずっと私なんかよりも強かったと思う……」
結衣「きっと、京子もあかりのそういう部分を見て今みたいになったと思うから……」
結衣「あかりは良い子しか取り柄がない、なんて気にしてるけど……」
あかり「うん……」
結衣「あかりの良い子は他の人を変えちゃうくらいすごい」
結衣「だから……、今でも誰にでも優しくて、いつもニコニコしてるあかりは私にとって憧れの存在で……」
結衣「それしか取り柄がないなんて思わないで、ずっと憧れの良い子でいてほしいし、胸を張ってほしいって思う……」
結衣「そんなあかりと付き合えていることを私は誇りに思うよ……」
結衣「まあ私は京子やちなつちゃんみたいに女の子らしくないし、あかりを喜ばせる自信もないから……」
あかり「そ、そんなこと……」
結衣「あかりに情けないと思われるのが怖くて、つい今みたいなことも中々言い出せなかったり……」
結衣「だから、落ち着いてるなんて言葉に逃げていたのかも……」
あかり「あかりは……、結衣ちゃんと一緒にいられるだけで……」ギュッ
結衣「うん……、私も頑張るから、ずっと一緒にいてほしい」ギュッ
結衣「さて……、これで悪い子になりたかったあかりのモヤモヤは晴れたかな?」
あかり「うん……」コクッ
結衣「そっか、良かった」ナデナデ
あかり「……///」ギューッ
結衣「どうしたの?」
あかり「いや、改めて告白されたみたいだな、って……///」
結衣「うん。ここでガツンと言わないと悪い子のあかりはいつ私に愛想を尽かしちゃうか……」
あかり「あ、あかりは結衣ちゃん一筋だよぉ!」
結衣「うん……、私を好きになってくれてありがとう、あかり」
あかり「ええっと……、悪い子になったのは成功だったのかなぁ……」
結衣「結果的にはそうなるのかな……」
あかり「でも結衣ちゃんを振り回すの楽しかったなぁ……」
結衣「むっ……」
あかり「このまま結衣ちゃんをあかりのお尻に敷いちゃうのも……」
結衣「むむっ……」
あかり「結衣ちゃんも満更じゃなさそうだったし……」
結衣「これは……、悪い子が再発しないようにお仕置きが必要かな」
あかり「お、お仕置きって……」
結衣「そうだな……」
結衣「そんな生意気なことを言っちゃう可愛いお口を塞いじゃうとか?」ニコッ
あかり「どっ、どこであかりのお口を塞いじゃうのかなぁ……?///」カアァ
結衣「……」ジトーッ
あかり「結衣ちゃん……?///」
結衣「あかり……、今、『何で』じゃなくて『どこで』って……」
あかり「あ……///」カオマッカ
結衣「あかり……、お口の両端が吊り上がってるよ?」ツンツン
あかり「むにゅっ……///」
結衣「あかりが大好きで大好きで仕方ない私があかりのお口を塞ぐのは……」
グイッ
あかり「あっ……///」
結衣「ここしかないよね」スーッ
チュッ
あかり「えへへ……///」
結衣「さて……、これで私を振り回そうとする悪い子はいなくなったかな?」ニコッ
あかり「……」
あかり「えいっ!」グイッ
結衣「わっ!? はひふふほ? あひゃり? (何するの? あかり?)」
あかり「えっとね、笑顔の練習!」
結衣「?」
あかり「結衣ちゃんの笑ったお顔、すごく素敵だから!」
あかり「手で押さえてあげるから、今のお顔を絶対に忘れないでね!」
結衣「うん……///」
あかり「ずっとずっと二人でニコニコして、もっともっと素敵なカップルさんになろうね! 結衣ちゃん!」
おしまい!