少女「……眼、真っ赤だよ?」
少年「は?これちげーし。一晩中ゲームしてただけだし」
少女「……そのわりには、ノートびっしりだね」
少年「は?ちげーし。急いで友達のコピーしただけだし」
少女「手書きに見えるけど……」
少年「だからちげーし!徹夜でテスト勉強とかやってねーし!」
少女「……」
少年「あーやべー。マジやべーわー」
元スレ
少年「え、今日テスト?やべー全然勉強してねーわー(赤目)」
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1350123043/
~ 一週間後 ~
少女「……学年一位取ってるし」ボソッ
少年「は?そんなのたまたまだし。勘で答えたら当たっただけだし」
少女「……やけに嬉しそうだね」
少年「は? べ、別に嬉しくねーし!」
少女「……そう」
少女「……わたしだって、頑張ってるのにな……」
~ 二週間後 ~
少年「あー、マラソン大会とかマジだるいわー」
少女「どうしたの?そのテーピング」
少年「は?何でもねーし」
少女「サポーターまで付けて。怪我してるなら休めば……」
少年「だから怪我なんてしてねーし!こっそり走り込みとかしてねーし!」
少女「……」
少年「あーやべー。マジだるいわー」
~ 一時間後 ~
少女「……校内一位取ってるし」ボソッ
少年「は……?そ、そんなの……たまたま……だし……」ゼェハァ
少女「……息切れてるよ?」
少年「は……?そんなこと……ねぇし……」ゼェハァ
少女「……そう」
少女「……すごいな……くんは……」
少女「……それに比べて私は……」
~ 二週間後 ~
少女「うぐっ……ひっく……」
少年「……」
少女「うぇえっ……うぇぇぇ……」
少年「……」
少女「……! ……くん!?」
少年「げっ……」
少女「ど、どうしたの、こんな所に」ゴシゴシ
少年「は?夕飯のおつかい頼まれただけだし」
少女「……こんなスタジアムに?」
少年「は?ち、ちげーし!買い物の帰りだし!」
少女「そのわりには、袋の中身が小さいような……」
少年「だ、だからそんなんじゃねーし!お前の試合見に来たとかじゃねーし!」
少女「……!」
少女「……そっか……見に来てくれたんだ……」
少年「だからちげーし!勝手に納得すんなし!」
少女「そっか……じゃあ、カッコ悪いところ見せちゃったね……」
少年「だ、だから……」
少女「……ごめんね……せっかく……見に来てくれたのに……」
少年「……」
少年「ん」
少女「へっ……?」
少年「ん」
少女「何これ……?」
少年「アイスだし」
少女「……くれるの?わたしに?」
少年「は?他に何の意味があるんだし」
少女「で、でも……これっておつかいのなんじゃ……」
少年「~~~~~~~~っ!」
バサッ!
少女「わっ!」
タッタッタッタッタッ…
少年「……」
少女「ちょ、ちょっと!……くん!?」
タッタッタッタッタッ…
少年「……」
少女「ね、ねぇ!待ってってば!」
タッタッタッタッタッ…
クルッ
少年「おい!!」
少女「え……?」
少年「……ぁ……」
少女「……?」
少年「……ぁ……あし……」
少年「明日は笑って学校に来いよ!!」
少女「……!!」
少年「へへっ……じゃあな!」
~ 一週間後 ~
少年「……」
少女「あっ、いたいた……くーん!」パタパタ
少年「ぉ……」
少女「ごめん、まさかこんなに早く来てるとは思わなくて……」
少年「は?今日はたまたま早起きしただけだし」
少女「そっか……って!すごいクマだよ!大丈夫?」
少年「は?マンガ読んでて夜更かししただけだし」
少女「よくそれで早起きできたね……」
少年「べ、別に! 今日が楽しみすぎて眠れなかったとかじゃねーし!」
少女「ぇ……」
少女「……そ、そうなの?」モジモジ
少年「だ、だからちげーし!ヘンな勘違いすんなし!」
少女「……そっか、ふーん……」
少年「おい!だから勝手に納得すんなし!」
少女「……」
少年「お、おい……」
少女「……今日はごめんね、急に誘ったりして」
少年「……は?」
少女「このあいだのね、お礼をしようと思ったの。あのアイスの……」
少年「は?あんなのメッチャ安いやつだし」
少女「ううん、そうじゃなくて……」
少年「……?」
少女「……な、なんでもない」
少年「……?」
少女「だからその……迷惑じゃなかった? わたしなんかに誘われて……」
少年「は?お前バカかし」
少女「えっ……」
少年「本当に迷惑なら、はじめっから来てねーし」
少女「……!」
少女「……ふふっ」
少年「な……何だし」
少女「じゃあ行こっ!」ギュッ
少年「お、おい!勝手に手つなぐんじゃねーし!」
少女「へへ……今日はいっぱい楽しもうね!」
~ 七時間後 ~
少女「ふわぁ~~……いっぱい遊んだねぇ!」
少年「……も、もう限界だし……」
少女「うわ!すごい、もうこんな時間だよ!」
少年「だから、さっきからそう言ってるし……お前はしゃぎすぎだし」
少女「えー、だって楽しかったんだもん……」
少年「……」
少女「あ、そっか……くん、寝不足だったんだっけ?」
少年「……」
少女「……ごめん、やっぱり楽しくなかった?」
少年「……そ、そんなこと一言も……」
少女「あっ!見てほら!夕陽!」
少年「…………人の話を聞けし」
少女「わぁ……きれい……」
少年「ん……まぁ、悪くはねーし……」
少女「……」
少年「……」
少女「……」
少年「……」
少年・少女「「あ、あのっ……!」」
少女「あ……」
少年「……! な、何だし……」
少女「……くんこそ、何?」
少年「お……オレはあとでいいから、お前が先に言えし」
少女「わ、わたしの方こそ、あとでいいからさ!」
少年「……」
少女「……聞かせて」
少年「……じゃあ、言うし」
少女「うん……」
少年「……」
少女「……」
少年「あ、あの……」
少女「……うん」
少年「オレ……オレさ……」
少女「……」ゴクリ
少年「オレ……」
少年「オレ…………引っ越すことになったんだ」
少女「……………………え?」
少年「な……何だし」
少女「ひ、引っ越す……って……くんが!?」
少年「は?だからそう言ってるし」
少女「な、なんで!? 聞いてないよ!」
少年「……だって今言ったし」
少女「……そ、そんな……」
少年「……」
少女「…………いつ、引っ越すの?」
少年「来週の日曜にはもう……」
少女「ええっ!?急すぎるよ!」
少年「べ、別に急じゃねーし!前々から先生や友だちには言ってあるし!」
少女「ぇ……」
少年「……な、何だし」
少女「……じゃあなんで……わたしには言ってくれなかったの……」
少年「……そ、それは……」
少女「……」
少年「……なんで、お前に言わなきゃいけないんだし」
少女「……っ!」
バッ!
少年「おわっ!?」
ダッダッダッダッダッ…
少年「お、おい!ちょっと待てし!」
ダッダッダッダッダッ…
少年「おい!さっきお前は何を言いかけたんだし!」
少女「知らないッ!」
ダッダッダッダッダッ…
少女「……くんなんか……くんなんか……」
少女「……くんなんか、どこへでも行っちゃえ!」
~ 一週間後 ~
少年「……」
姉「……こんな所にいたか」
少年「……!」
姉「電車、そろそろ出るよ」
少年「……まだ十分以上あるし」
姉「父さんと母さんも待ってる」
少年「……」
姉「……」
姉「……あんた」
少年「……」
姉「もしかして、まだ例の子のこと……」
少年「……」
姉「……まぁいいけどさ」
少年「……」
姉「五分前には、ちゃんと来るんだよ」
~ 五分後 ~
少年「……」
少年「……」
『……くんなんか、どこへでも行っちゃえ!』
少年「……」
少年「……」
ー○○行きの電車が、まもなく出発しますー
ーご乗車の方は、一番ホームへお急ぎくださいー
少年「……」
少年「……」
少年「……あのバカ」
少女「……くん!!」
少年「……!!」
少女「はぁ……はぁ……」
少女「……ま、間に合ったよ……」
少年「お、お前……」
少女「……へへっ」
少女「ん」
少年「……へ?」
少女「ん」
少年「い、いきなり何だし……」
少女「アイスだし」
少年「は……?」
少女「あげる。メッチャ安いやつだけど」
少年「で、でも……お前……」
少女「……」
バサッ!
少年「おわっ!」
タッタッタッタッタッ…
少女「……」
少年「お、おい!」
タッタッタッタッタッ…
少女「……」
少年「ちょっと待てし!なんで……」
タッタッタッタッタッ…
少年「なんで……お前……」
クルッ
少女「ねえ!!」
少年「え……?」
少女「…………すーっ、はーっ……」
少年「……?」
少女「……っ」
少女「ありがとう!!」
少年「……!!」
少女「あのとき慰めてくれて、ありがとう!」
少女「あの日は付き合ってくれて、ありがとう!」
少女「すっごく……すっごく嬉しかった!」
少年「……な……」
少女「わたし……わたしね!」
少女「……くんのこと、だーいすき!!」
プロロロロロロ……
少女「……だからね、さよならじゃないよ」
少年「……!」
少女「絶対……」
少女「絶対、また会おうね!」
少年「……」
少年「……」
少年「……おう!」
姉「……行くよ」
少年「……うん」
少女「……くん、約束だよ」
少年「絶対……絶対……」
少年・少女「「絶対……また会おう」」
~ 数年後 ~
少女「……」
少女「……」
少女「……」
少女「……」チラッ
少女「……」
少女「……そろそろかな」
少年「……よう」
少女「……!」
少年「……な、なんだし」
少女「ぁ……」
少年「……まるで幽霊でも見たような顔だし」
少女「そ……そんな顔してない!」
少年「……っていうかすごいクマだし」
少女「えっ……」
少年「どっちかっていうとお前が幽霊だし」
少女「……」
少女「……ふふっ」
少年「……な、なんだし」
少女「相変わらずだね……くんは」
少女「ちょっと安心したよ」
少年「……」
少女「ふふっ……それにその喋り方」
少女「もう大学生にもなるのに、ヘンなの」
少年「べ、別に!いつもこんな喋り方なわけじゃねーし!」
少女「ウソばっかり」
少年「ほ……本当だし!なに疑ってるんだし!」
少女「……ふふ」
少女「……」
少年「……」
少女「……今日はありがとね、来てくれて」
少年「は? 俺から行くって言ったんだし」
少女「うん、まぁそうなんだけど……」
少女「……ありがと」
少年「……」
少女「実はわたしね……」
少女「あの時……くんに、伝えきれなかったことがあるの」
少年「……」
少女「だから今日、伝えようと思って」
少女「新生活が始まる前に……」
少年「……奇遇だな、オレもだし」
少女「……そうなんだ」
少年「……」
少女「……じゃあ、ちょっと移動しよっか」
少女「それを伝えるのに……ふさわしい場所があるから」
~ 一時間後 ~
少年「……なぁ、まだ着かないのかし」
少女「もうちょっと」
少年「もう結構歩いたし……」
少女「あっ、もしかして疲れちゃった?」
少年「べ、別に……んなことねーし!」
少女「本当かなぁ~?」
少年「本当だし!」
少女「……ふふふっ」
少女「……」
少年「……」
少女「……あのさ」
少年「ん?」
少女「その場所に着く前に……聞いておきたいことがあるんだけど」
少年「は?何だし」
少女「うん……」
少年「……?」
少女「……くんが……」
少女「……くんがT大受けたのってさ」
少年「……?」
少女「その……わたしもT大を受けるって知ってたから?」
少年「は?んなわけねーし」
少女「……」
少年「っつーか、連絡をとったことすら数年ぶりだっていうのに」
少年「お前がどこの大学行くかなんて、知りようがねーし」
少女「……」
少女「……そっか」
少年「……?」
少年「それがどうしたし?」
少女「ううん……なんでもない」
少年「……」
少女「でも……」
少女「それを聞いて安心した」
少年「……?」
少女「その答えが聞きたかったの」
少年「は?」
少女「……ふふ」
少年「な、なに笑ってるんだし」
少女「なんでもなーい」
少年「おい、一体何を……」
少女「あっ!ほらあれ!見えてきたよ!」
少年「だ、だからお前は人の話を……」
少年「……!!」
少女「……ふふっ、思い出した?」
少年「えっ、あれって……」
少年「まさか……」
少女「そうだよ」
少女「わたしが……」
少女「……くんを初めて好きになった場所」
うおおおおおおおおおおおおおおおお!!
いけーーーー!!
ワー!ワー!ワー!
少女「おー!やってるねー!」
少年「……なんでちゃっかり観客席に座ってるんだし」
少女「いいじゃんいいじゃん!せっかくだから見ていこうよ」
少年「話があるんじゃなかったのかし……」
少女「……あっ、ほら!今戦ってるのわたし達の母校だよ!」
少女「いけーー!おせー!!」
少年「……」
~ 十分後 ~
少女「……はぁ」
少年「……負けたし」
少女「惜しかったなー……いいところまでいったのに」
少年「……お前、泣いてるのかし?」
少女「だって悔しいじゃん!」
少女「あの子たちすごく頑張ったのに……」
少年「……」
少年「……なんか、あの日を思い出すし」
少女「えっ……」
少年「ほら、忘れたのかし」
少年「お前がここでボロ負けした試合」
少女「……!」
少年「試合のあと、お前はあいつらみたいに大泣きしてて……」
少年「……オレはそれを、ちょうどこの辺から見てたんだし」
少女「……」
少女「……くん」
少年「ん?」
少女「……あのさ……」
少年「……?」
少女「実はね……」
少女「あの時のわたし……」
少女「……そんなに一生懸命じゃなかったの」
少年「えっ……」
少女「……わたしってさ」
少女「勉強はそれなりにできるけど、スポーツは全然ダメで」
少女「それがかなりのコンプレックスだったんだ」
少年「……」
少女「あの部活に入ったのも」
少女「そんなコンプレックスを克服するためだったんだけど……」
少女「……でもやっぱりダメだった」
少女「みんなの足は引っ張るし、コーチからは怒鳴られるし……」
少女「……正直言って、全然楽しくなかったよ」
少年「……」
少女「人数が少なかったから、わたしもレギュラー入りできたんだけど……」
少女「……それでも練習は、ほとんど投げやりにやってた」
少年「……」
少女「……だからね」
少女「あの時泣いてたのは試合に負けたからじゃない」
少女「……自分の情けなさに、泣いてたんだ」
少女「……そんな時だよ」
少女「スタジアムの廊下で……くんを見かけたのは」
少年「……あの時のお前」
少年「メチャクチャ驚いてたし」
少女「うん、だって本当にビックリしたもん」
少年「……オレがお前の試合を見にきたのが」
少年「そんなに意外だったのかし……」
少女「うん、それもあるね」
少年「……?」
少年「じゃあお前にアイスをやったのが……」
少女「もちろんそれもあるよ」
少年「……?」
少女「でもね……」
少女「わたしが本当に驚いたのはそこじゃない」
少年「は……?」
少女「わたしはあの時の……くんを見て」
少女「世界が180度変わったんだよ」
少年「何言って……」
少女「……気付いてた?」
少女「あの時の……くんさ」
少女「……眼、真っ赤だったよ?」
少年「えっ……」
少女「目の下にすごいクマもできてた」
少女「テスト前でもないのに」
少年「……」
少女「それに……なぜか足のテーピングも増えてた」
少女「マラソン大会は終わったのに」
少女「……それを見たときね、思ったの」
少女「ああこの人は……わたしとは違う次元で生きてるんだなって」
少年「……」
少女「この人が頑張ってるのは、定期テストのためじゃない」
少女「マラソン大会のためでもない」
少女「もっと大切な何かのためだって……」
少年「……」
少女「……だからわたしね」
少女「……くんの後ろ姿を見ながら、誓ったの」
少女「今はまだ敵わないけど」
少女「いつか絶対に追いついてみせる」
少女「そしていつか必ず……」
少女「……くんと同じレベルで勝負してやるんだって」
少年「……」
少女「それからわたしは頑張った」
少女「……くんがいなくなったあとも」
少女「勉強、部活、オシャレや家の手伝い……」
少女「全てにおいて全力を尽くした」
少年「……」
少女「今回わたしが最難関のT大を選んだのも」
少女「そういうわけなの」
少女「……くんならそれくらいやるって思ったしね」
少年「……」
少女「……くんが自分の意志で選んだ大学に」
少女「わたしは自分の力でそこに入って」
少女「そこで一緒に勝負する」
少女「……それがわたしの目標だったんだ」
少年「……」
少女「だからね……くん」
少女「わたし、負けないよ」
少年「……」
少女「……ちょっと長くなっちゃったけど」
少女「それがわたしの伝えたかったこと」
少年「……」
少年「……そうだったのかし」
少女「うん」
少年「……」
少女「……」
少年「……だったら」
少女「……?」
少年「だったら……お前は少し勘違いしてるし」
少女「えっ……」
少年「……オレはお前と違って」
少年「もともと勉強もスポーツも」
少年「どっちもダメだったんだし」
少女「……!」
少年「……でも」
少年「あの学校に入学して、初めてお前を見た時……」
少年「……オレは、頑張ろうって決めたんだし」
少女「……? どうして?」
少年「……お前に……」
少女「……?」
少年「お前に……」
少年「……振り向いてほしかったからだし」
少女「……!!」
少年「……お前は」
少年「成績トップクラスだったから」
少年「こんなバカ男……相手にされないと思ったんだし」
少女「……」
少年「だから頑張って……」
少年「頑張って頑張って……」
少年「初めてお前を追い抜いて……話しかけられた時」
少年「……オレは、飛び上がるほど嬉しかったんだし」
『……眼、真っ赤だよ?』
『……学年一位取ってるし』
『……やけに嬉しそうだね』
少女「……!」
少年「……だから」
少年「あの日誘ってくれたことも」
少年「大好きって言ってくれたのも」
少年「ぜんぶ……」
少年「ありがとうだし」
少女「……」
少年「……これが、オレの伝えたかったことだし」
~ 十分後 ~
少女「うわ……もうこんな時間なんだ」
少年「……結局、閉館時間で追い出されたし」
少女「はは……」
少年「……」
少女「あの話……」
少女「係のおじさんに聞かれちゃったかな?」
少年「……知らねーし」
少女「……」
少年「……」
少女「……!」
少年「……? どうしたし?」
少女「しっ」
少年「……?」
少女「見て……あれ」
女の子「ひっく……えっぐ……」
女の子「うえぇぇぇ……」
女の子「うえっ……ひっく……」
男の子「……おい」
女の子「!」
男の子「……」
女の子「……くん!?」
女の子「き……奇遇だねっ、こんな所で」ゴシゴシ
男の子「……別に」
男の子「奇遇じゃねーよ」
女の子「えっ……」
男の子「……」
男の子「……その……」
女の子「……?」
男の子「……見に、来たんだ」
男の子「お前の、試合」
女の子「ぇ……」
男の子「……っ」
女の子「……」
女の子「……そっか」
女の子「そうだったんだ……」
男の子「……」
女の子「……じゃあ私……」
女の子「……くんに……あんなカッコ悪いところ……」
男の子「ん」
女の子「えっ……?」
男の子「ん」
女の子「なに……?」
男の子「肉まん」
女の子「……?」
男の子「腹、減ったろ?」
女の子「え……」
男の子「……これ食べてさ」
男の子「早く、元気になれよな」
少年「……」
少女「……ふふっ」
少年「な、なんだし……」
少女「おかしいよね」
少年「……?」
少女「だってわたしたちってさ……」
少女「結局、全部相手のために頑張ってたんだもんね」
少女「……我ながら不器用だよ」
少年「……」
少女「……」
少女「……ねぇ」
少年「ん?」
ちゅっ
少年「!?」
少女「へへ……」
少年「なっ……!」
少年「お……おおおお前……」
少女「……続き」
少年「は!?」
少女「あの日の続きだよ」
少女「こんなに夕陽が綺麗なんだから」
少年「……」
少女「……わたしのファーストキス」
少女「この日のためにとっておいたんだからね」
女の子「……ありがとう……くん」
男の子「……おう」
少女「ありがと……くん」
少年「……!」
少女「帰ろ?」
少年「……」
少年「……おう」
152 : ◆JN2nHBtqjw - 2012/10/28(日) 16:25:23.24 h48O0hcBI 72/72おしまい
ここまで見てくれた方、ありがとう