魔王「やだ」
スライム「結婚してよ!」
魔王「いやだ」
スライム「どうして?」
魔王「アンタが弱いからだ」
スライム「そんなぁ……」
魔王「アタシはさぁ。強い男にしか興味がないんだ」
スライム「……グスッ」
元スレ
スライム「魔王ちゃん。ボクと結婚してください」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341538107/
魔王「おい。泣くなよ」
スライム「だって……」グスッ
魔王「ほら。ポテチやるからさ」
スライム「うん。ありがとう……」パリッ
魔王「ふぅ……」パクッ
スライム「…………」パリポリ パクパク…
魔王「…………」(まさか、コイツにプロポーズされるとはなぁ)
スライム「……ねぇ。魔王ちゃん」
魔王「なんだよ」
スライム「どのくらい強くなればいいの?」
魔王「え?」
スライム「ボクがどのくらい強くなったら、お嫁さんになってくれるの?」
魔王「おいおい」
スライム「ボクが強くなったら、ボクの事を好きになってくれるんでしょ」
魔王「あのなぁ……」
スライム「ボク。絶対に強くなるから」
魔王「お前には無理だよ」
スライム「無理じゃないよ」
魔王「無理だよ」
スライム「無理じゃない!」
魔王「無理!」
スライム「愛に不可能は無いんだ!」
魔王「おい。魔王に向かって愛を説くなよ……」
メドゥーサ「あははっ。困ってるねぇ。魔王ちゃん」
魔王「おっ、メドゥーサか」
スライム「こんにちは。メドゥーサさん」
メドゥーサ「こんちは。スラちゃん」
魔王「今日は何をしに来たんだ?」
メドゥーサ「うん。いつもの暇潰し」
魔王「仕事しろよ」
メドゥーサ「やだ」
魔王「はぁ……」
メドゥーサ「ところでさぁ。魔王ちゃん」
魔王「何だ?」
メドゥーサ「スラちゃんと結婚すんの?」
スライム「そうだよ」
魔王「違う!」
メドゥーサ「おーっ。意見が別れた」
魔王「こいつが勝手に言ってるだけだ」
メドゥーサ「ふーん。あっ、ポテチもらうね」ポリパリ
スライム「でも、ボクが強くなったら……」
魔王「それはだなぁ……」
メドゥーサ「ねぇ。スラちゃんが強かったら、結婚してあげるの?」パリポリ
スライム「うん。そうだよ」
魔王「こら! お前が返事をするな」
メドゥーサ「ふーん……」パクッ
魔王「……?」
メドゥーサ「……むふっ」
魔王「……何を企んでる?」
メドゥーサ「よし。勝負だスラちゃん!」
スライム「え?」
魔王「おい。いきなり何を……」
メドゥーサ「魔王ちゃんが欲しくば、この私を倒してみよ!」
スライム「めっ、メドゥーサさん?」
魔王「バカかお前は」
メドゥーサ「バカじゃないよ。ちゃんと考えてるよ」
魔王「どうだか」
メドゥーサ「でも、魔王ちゃん言ってたよね? 私が男だったら婿にしたいって」
スライム「えっ? そうなの?」
魔王「あれは、お前の武功に対する誉め言葉だ。しかも酒の席だった」
メドゥーサ「ひどい! スラちゃん聞いた? この人結婚詐欺師だよ」
スライム「魔王ちゃん。ひどい!」
魔王「お前らなぁ……」
メドゥーサ「……と。冗談は置いといて」
魔王「ん?」
メドゥーサ「私に勝てるレベルの男の子なら、魔王ちゃんも文句は無いんじゃない?」
スライム「なるほど」
魔王「確かにな」
メドゥーサ「分かったかな? そんじゃ改めて、スラちゃん勝負だ!」
スライム「よっ、よーし」
魔王「こら! スライム。下手すりゃ死ぬぞ」
スライム「ボクは死にません! 貴女を愛しているから!」
メドゥーサ「おぉ! カッコイイかも……」
魔王「アホか……」
メドゥーサ「アホじゃないよ。さぁ、魔王ちゃんが欲しくば、この私を倒してみよ!」
スライム「うん!」
魔王「やめとけ。スライムがメドゥーサに勝てるわけが……」
スライム「とりゃー。すらいむあたーっく」
ぴょこぴょこぴょこぴょこ ぴょーん どーん
メドゥーサ「ぐわーっ。ヤーラーレーター!」ばたんきゅー
スライム「えっ? 勝った!? 勝ったよ魔王ちゃん!」
魔王「馬鹿蛇女! 見え見えの八百長すんな。無効だ無効!」
メドゥーサ「むむっ? 何故バレた?」
魔王「あのなぁ……」
スライム「えっ? わざと負けたの?」
魔王「気づけよ。バカたれ」
メドゥーサ「あははっ」
スライム「メドゥーサさん……」
メドゥーサ「ごめんねスラちゃん。失敗しちゃった」
スライム「うん。でも、ありがとう」
魔王「バカども……」
…………………………
………………
……
──数日後──
メドゥーサ「やっほー。魔王ちゃん」
魔王「よう。メドゥーサ」
メドゥーサ「暇潰しにきたよー」
魔王「仕事しろよ」
メドゥーサ「いいじゃん。たまには息抜きも大事だよ」
魔王「毎日息抜きしてるだろ」
メドゥーサ「あらら。知ってた?」
魔王「何を今さら」
メドゥーサ「あはははっ」
魔王「まぁいいよ。座れ」
メドゥーサ「うん。クッキーもらうね」パクッ
魔王「…………」モグモグ
メドゥーサ「おぉ。美味しいねぇ」アムアム
魔王「そうだな」モグモグ
メドゥーサ「……えーと。スラちゃんの事なんだけど」
魔王「ん?」
メドゥーサ「なかなか頑張ってるみたいだよ」
魔王「……そうか」
メドゥーサ「うん。さっき見てきたけど……」
…………………………
サイクロプス「ラスト10回だ! 気合い入れろ!」
スライム「はいっ!」
ブン 10 ブン 9 ブン 8 ……
サイクロプス「もっと強く!」
スライム「はいっ。コーチ!」
ブン 7 ブンッ 6 ブンッ 5 ……
サイクロプス「もっと速くだ!」
…………………………
メドゥーサ「……みたいな感じで、サイクロプスちゃんの横で素振りしてた」
魔王「あいつ。こん棒なんて装備出来たのか?」
メドゥーサ「甘いよ魔王ちゃん。男の子の成長は早いんだよ」
魔王「ふぅん……」
メドゥーサ「案外その内に、マジで私より強くなるかも?」
魔王「それはない」
メドゥーサ「魔王ちゃん。愛の力を嘗めちゃダメだよ」
魔王「だから、魔王に向かって愛を説くなよ」
…………………………
………………
メドゥーサ「……まぁ、スラちゃんの最新情報はこれくらい」
魔王「了解だ」
メドゥーサ「後は、ついでに……」
魔王「ん?」
メドゥーサ「ちょっとだけ仕事のお話」
魔王「おい。そっちが先だろ」
メドゥーサ「まぁまぁ」
魔王「……それで?」
メドゥーサ「うん。人間さん達が、勇者を募集してるらしいよ」
魔王「勇者?」
メドゥーサ「うん。勇者」
魔王「勇者って、募集するもんなのか?」
メドゥーサ「さぁ? でも実際に募集してるよ」
魔王「ほぉ」
メドゥーサ「ちなみに、先着30名様に銅の剣をプレゼントだとか」
魔王「……なんなんだ。そのノリは?」
メドゥーサ「魔王ちゃん。応募する?」
魔王「…………」
メドゥーサ「魔王ちゃん?」
魔王「……確実に落ちる自信があるな」
メドゥーサ「なんで? 筆記試験とかは無さそうだよ?」
魔王「見た目ですぐにバレるだろ。人間じゃない事くらい」
メドゥーサ「そうかなぁ」
魔王「そうだよ」
メドゥーサ「魔王ちゃんなら、角と羽さえ隠せばイケるんじゃない?」
魔王「無理だろう」
メドゥーサ「ちょい性格キツめの踊り子さんとかに見えないかなぁ? 無理すれば」
魔王「どこから突っ込めばいい?」
メドゥーサ「ん? わりとマジメに言ったよ。今のは」
魔王「お前にとって、アタシはそんなイメージなのか?」
メドゥーサ「うん。そうだよ」
魔王「…………」
メドゥーサ「どうしたの?」
魔王「なんでもない」
メドゥーサ「ふぅん……」
魔王「でも、冗談は置いといて……」
メドゥーサ「んっ?」
魔王「一般公募とは言え、勇者を大量生産されるのはちょっと面倒だな」
メドゥーサ「まぁ、なんか対策くらいはしとかないとねぇ」
魔王「うーむ……」
メドゥーサ「…………」
魔王「うーむ……」
メドゥーサ「私。立候補してみようかなぁ?」
魔王「は?」
メドゥーサ「私が勇者に立候補するの」
魔王「…………」
メドゥーサ「どう思う?」
魔王「気は確かか?」
メドゥーサ「うん」
魔王「アタシを倒しに来る気か?」
メドゥーサ「あははっ。それもいいね」
魔王「おい。メドゥーサ」
メドゥーサ「冗談だよ。冗談」
…………………………
………………
……
──数日後──
メドゥーサ「勇者になっちゃった」
魔王「おい……」
メドゥーサ「いやー。冗談で応募したら当選しちゃった」
魔王「…………」
メドゥーサ「あっ。これが例の勇者の剣だよ」
魔王「先着30名にプレゼントの銅の剣か」
メドゥーサ「うん。思いっきり普通の銅の剣。ぶっちゃけ使えない」
魔王「何を考えてるんだか……」
メドゥーサ「だよね。人間って不思議」
魔王「つーか、何でバレなかったんだ? 人間じゃないって」
メドゥーサ「帽子で蛇を隠して変装したの」
魔王「おいおい……」
メドゥーサ「ちょっと顔色が悪いねって言われただけで、全然怪しまれなかったよ」
魔王「……そうか」
メドゥーサ「そんで、実技で軽く攻撃魔法見せたら一発合格。ブイ」
魔王「…………」
メドゥーサ「勇者専用の通行手形までもらっちゃった。これでスパイもやり放題だよ」
魔王「……なんだかんだで有能なんだよな。お前」
メドゥーサ「うむ。ほめて良いぞ」
魔王「はいはい。えらいえらい」
メドゥーサ「むふふっ。私が男の子だったら、お婿さんにしたい?」
魔王「あぁ。わりとマジでそう思うよ」
メドゥーサ「おぉ。愛の告白!」
魔王「違う……」
メドゥーサ「そっか。魔王ちゃんは、やっぱりスラちゃんの事が……」
魔王「それは無いから」
メドゥーサ「でも、スラちゃんだいぶ強くなったよ」
魔王「そうなのか?」
メドゥーサ「うん。もう初期ダンジョンの中ボスくらいなら務まるかもね」
魔王「冗談だろ?」
メドゥーサ「マジなんです」
魔王「へぇ。この短期間でそこまでねぇ……」
メドゥーサ「ちょっと見に行かない?」
魔王「まぁ、ちょっとくらいなら見てやってもいいかな……」
…………………………
………………
──人間の城の近くの草原──
勇者A「よーし。まずはスライムで勇者の剣(銅の剣)の試し切りだ」
スライム「あっ。君は勇者だね?」
勇者A「それっ! 勇者の攻撃!」
スライム「スライムはひらりと攻撃をかわした!」
勇者A「えっ? こいつ速い!?」
スライム「それーっ! すらいむあたーっく!」
ぴょこぴょこぴょこぴょこ どーん
勇者A「うわー!」
スライム「勇者を倒したぞ! レベルUPだ!」
…………………………
………………
スライム「あっ、今度は勇者の群れだ」
勇者B「うーっ。緊張するなぁ」
勇者C「早く戦いたいなぁ」
勇者D「モンスターさーん。出ておいでー」
スライム「とりゃー! 奇襲攻撃だー!」
勇者ズ「わー」「ぎゃー」「きゃー」
スライム「勇者の群れを倒したぞ! レベルUPだ!」
…………………………
──物陰──
メドゥーサ「ほらね。頑張ってるでしょ」
魔王「あぁ。相手は一般公募の駆け出し勇者だけどな」
…………………………
──数日後──
メドゥーサ「魔王ちゃん。ニュースです」
魔王「何があった?」
メドゥーサ「うん。勇者達が続々と廃業してるの」
魔王「廃業?」
メドゥーサ「うん。勇者やーめたって感じで」
魔王「何でそんな事に?」
メドゥーサ「お城の回りで、延々とスラちゃんに負け続けるのが辛かったみたい」
魔王「なるほど……」
メドゥーサ「偶然とはいえ良かったね。スタート地点に強敵配置の作戦は大当りだよ」
魔王「分からんもんだなぁ。世の中は……」
メドゥーサ「スラちゃんを誉めてあげないとねぇ」
魔王「そうだな。正直、そこまで使えるとは思わなかったよ」
メドゥーサ「えーと。じゃあ、そこの伝令さん」
伝令「はい」
メドゥーサ「ちょっとスラちゃん呼んできて」
伝令「はい。わかりました」
メドゥーサ「じゃあ、よろしくねー」
伝令「はーい」
メドゥーサ「むふふっ」
魔王「ん? 何を考えてる?」
メドゥーサ「さぁね?」
…………………………
………………
……
──しばらくして──
スライム「魔王ちゃーん」
魔王「おぅ。来たか」
スライム「何の用事? 結婚してくれるの?」
魔王「しない」
スライム「そんなぁ……」
魔王「でもまぁ、最近よく頑張ってるみたいだから……」
スライム「うん。頑張ってるよ」
魔王「……頭くらいなら撫でてやる」
スライム「えっ? 本当に!」
魔王「あぁ。こっちにこい」
スライム「わーい」
なでなで なでなで なでなで なでなで ……
スライム「幸せだなぁ。もう死んでもいいかな」
魔王「バカ。この程度で死ぬとか言うな」
スライム「うん」
魔王「お前には、もっと頑張ってもらうからな」
スライム「うん。ボク頑張るよ。魔王ちゃん」
魔王「ははっ……」
???「楽しそうだね。魔王ちゃん」
魔王「ん?」
スライム「……えっと。君は誰?」
勇者?「あははっ。私は勇者。魔王ちゃんを倒しに来たの」
スライム「なっ? なんだって!?」
魔王「……おい。お前メドゥーサだろ?」
勇者?「さぁスラちゃん。魔王ちゃんを守りたくば、この私を倒してみよ!」
スライム「よっ、よーし。負けないぞー!」
魔王「おい。お前らなぁ……」
勇者?「あははっ。さぁ来いスラちゃん」
スライム「とりゃー! すらいむあたーっく!」
ぴょこぴょこぴょこぴょこ どーん!
勇者?「ぐわーっ! ヤーラーレーター! わりとマジで……」ばたんきゅー
スライム「わーい。勝ったよ。レベルUPだ!」
メドゥーサ「……強くなったねぇスラちゃん。お婿さんにほしいくらいだよ///」
スライム「えっ? メドゥーサさんだったの!?」
魔王「馬鹿蛇女。八百長するなよ」
メドゥーサ「いや、わりとマジだったんだよ?」
スライム「……えっ?」
メドゥーサ「ほら。スラちゃん今だよ。私に勝ったら何するんだった?」
スライム「あっ! そうだった!」
魔王「だから無効だ! 八百長だ!」
スライム「魔王ちゃん。ボクと結婚してください!」
おわり