20XX年――
地球は宇宙人の襲撃を受けた。
司令官「脆弱な種族に我らの力を思い知らせてやれ!」
宇宙人A「ヒャッハーッ! 逃げろ逃げろーっ!」
宇宙人B「ハンティングほど面白い娯楽はないな」
ウワァァァ… ギャァァァァ… タスケテクレー!
ドゴォォォォン! ズガァァァァン! バゴォォォォン!
元スレ
宇宙人「やっべえ地球人殺しまくっちゃったから、生き残った二匹を繁殖させないと……」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1618564039/
宇宙人A「ちょっと殺しすぎたな……」
宇宙人B「ああ、やりすぎた」
宇宙人A「何十億といるから、大丈夫だろと思ってたが……」
宇宙人B「リアクションが面白かったり、それなりに抵抗してくるしで、歯止めがきかなくなってしまった」
宇宙人A「司令官からも絶滅は後味が悪いから、なんとか保護してやれって通達が来てるぜ」
宇宙人B「となると、繁殖させなければならんな」
宇宙人A「生き残ってる地球人は?」
宇宙人B「ちょうどオスメスが一匹ずつだ。なんとか奴等を交尾させるしかない」
宇宙人A「ってわけだ!」
宇宙人B「お前たちは最後の地球人だ。絶滅したくなければ交尾して仲間を増やすしかない」
男「ぐへへへへぇ……思った通りの展開になったぜぇ……」
女「いやぁぁぁ!」
男「こんなかわい子ちゃんと子作りできるなんて最高だぜ!」ジュルリ
女「なんで生き残ってるのがこんなブサイクなのーっ!?」
男「チューしよ、チュー!」
女「こっち来ないで!」
男「だけど、俺ら最後の地球人なんだよ? しょうがないじゃないかぁ!」
女「いやぁぁぁぁぁ!」
宇宙人A「オスは積極的に求愛してるが、メスは拒んでやがる」
宇宙人A「どうする?」
宇宙人B「無理に交尾させたところで、ストレスでうまく妊娠しない可能性が高い」
宇宙人B「メスの希望を聞いてみるしかないな」
宇宙人A「おい、地球人のメス!」
女「なによ!」
宇宙人A「お前、あのオスのどこが嫌なんだ? 嫌なとこをいえば、なるべく修正してやる!」
女「どこって……」
男「うへへへへ……」ジロジロ
女「ひっ!」
女「目! あの目がキモイ! あのいやらしい目をどうにかしてよ!」
宇宙人B「仕方あるまい」
宇宙人A「こっち来い!」ガシッ
男「えっ、なにすんのさ!」
宇宙人A「整形すんのさ」
男「整形ぇ!?」
宇宙人B「貴様の目をあのメス好みに変えるのだ」
男「そ、そんな! やめてよぉ! お父さんお母さんにもらった大切な体なのに!」
宇宙人A「どっちももういねえだろが! さぁ来い!」
宇宙人A「どうだ?」
宇宙人B「綺麗な目になったろう」
男「……」キラキラ
女「すごい……ぱっちりして瞳が輝いてる」
男「さあ、やろう!」
女「だけど……まだダメぇ! とても体は許せない!」
宇宙人A「どこが嫌なんだ!?」
男「フヒヒ……」フンッフンッ
女「鼻! 鼻を直して!」
宇宙人A「どんな風にだ?」
女「まず、もっと高くして……」
女「あと鼻毛も切って! めっちゃはみ出てるもん!」
宇宙人B「たしかに……異星人である私でも気になるな」
宇宙人A「ちっ、鼻も直してやる!」
男「ひいいいいい!」
男「どうだい?」スラッ
女「うん、ずいぶんイケメンになった……けど」
宇宙人A「けど?」
宇宙人B「今度はなんだ?」
女「口が汚い。唇ガサガサだし、歯並び悪いし……」
宇宙人A「ったく、好みのうるせえメスだ!」
宇宙人B「まぁいい。すぐ直してやる」
男「フフフ、白い歯になったよ」キラッ
男「さあ、チューしてくれるね」
女「まだダメ!」
男「なんで!」
女「耳が嫌!」
宇宙人A「だそうだ」
宇宙人B「整形開始!」
男「どうだい、どっから見てもイケメンだろう!」
女「うーん」
男「まだダメなの!?」
女「頭髪がちょっと薄いかな……」
男「これはどうしようもないじゃないか! 我慢してよ!」
女「だってぇ……薄毛は遺伝するっていうし」
宇宙人A「いや、俺らの技術なら体毛を遺伝子レベルで植えつけられるぜ」
宇宙人B「子供の頭髪も安心だ」
男「……」フッサリ
男「これで完璧だ! さあ、抱き合おう!」
女「たしかに完璧だね。首から上は」
男「下は?」
女「全然ダメ!」
女「手足ほっそいし、お腹はぶよぶよだし、あちこちたるんでるじゃん!」
女「こんなのに抱かれたくない!」
宇宙人A「じゃあスマートにしてやるか」
女「あ、私ゴリゴリのマッチョのが好み!」
宇宙人B「我々の科学力で筋肉質にしてやろう」
女「めいっぱいやっちゃって!」
男「どうだい!?」ムキッ
女「まぁ、ステキ!」
宇宙人A「そうだろそうだろ」
宇宙人B「徹底的に強化を施したからな」
女「じゃあテストね」
男「どんなテストでも構わないよ。なんだって壊してみせる」ムキムキッ
女「32×54は?」
男「え? えーと……」
女「はい、時間切れー! 私バカには興味ないの!」
宇宙人A「頭脳を改造したぞ!」
宇宙人B「知識量や計算力はもちろん、頭の回転もずいぶん早くなったはずだ」
女「まさに文武両道の男になったのね!」
男「その通りさ!」
宇宙人A「よし、交尾しろ!」
女「待って! 最後にもう一回だけ改造して!」
宇宙人A「いい加減にしろ! こっちはお前らなんか絶滅させたっていいんだ!」
宇宙人A「俺らの気まぐれで生かしてもらえてるのを忘れるなよ!」
女「本当にこれがラストだから!」
宇宙人B「ここまできたら最後まで付き合ってやる。いってみろ」
宇宙人A「ほら、希望通りに改造したぞ!」
宇宙人B「性格を勇猛果敢にしてやった!」
女「ありがとう!」
男「君のおかげでここまで立派な男になれたよ」
女「最高!」ダキッ
宇宙人A「おっ、メスから抱きついたぜ!」
宇宙人B「それはそうだ。強いオスに惹かれるというのは、メスの本能だからな」
女「お願いがあるの……」
男「なんだ? いってみたまえ」
女「みんなの……」ウルッ
男「ん?」
女「私のお父さん、お母さん……あなたの家族……地球のみんなの仇を……取って!!!」
男「いいだろう。任せておきたまえ」
男「……」ズンズン
宇宙人A「お? なんだ? こっち来たぞ」
男「……」
宇宙人A「なんだよ。さっさと交尾――」
男「むんっ!!!」
グシャッ!
宇宙人A「げばっ!?」
宇宙人B「貴様……なにを!」
男「ハァッ!」
ボゴッ!
宇宙人B「あ……がっ!」ドチャッ…
女「すごい……あっという間に二人を……」
男「ここで待っていてくれ。すぐ宇宙人どもを滅ぼしてくる」
宇宙人C「な、なんだ!? うぎゃああああああああ!!!」
宇宙人D「光線銃が効かな……ぐびゃっ!」
宇宙人E「お、応援を! 応援を! ぎゃああああっ!」
宇宙人F「肉体も知能も精神も全てが高水準……なんだこいつ――ごばっ!」
男「……」ズンズンズン
司令官「我が軍を……たった一人で壊滅させるなんて……。しかも素手で……」
男「残るはお前一人だ」
司令官「くっ、くそぉぉぉぉぉっ!!!」バッ
男「遅い」
ズバァッ!
ゴロン…
男「敵将の首、討ち取ったり!」
女「……あ!」
男「終わったよ」
女「よかった……」
男「作戦大成功。全部君のおかげだ」
女「ううん、この作戦を思いついたのはあなたじゃない」
女『私たち、どうなるのかな……』
男『き、きっと……俺らだけ生かしてあるのは意味があるんだよ……』
女『たとえば?』
男『支配者の余裕で、俺らを繁殖させよう、みたいな……』
男『だからもし、あいつらがそういうのを要求してきたら……俺を徹底的に嫌がってくれ……』
男『そして――』
男「もし狙いがバレてたら二人とも始末されてただろう。よくやってくれた」
女「あなたこそ、ほとんど別人にされちゃって……」
男「いや、なんの取り柄もない冴えない男だったし、むしろ嬉しいよ」
男「これから……どうしようか?」
女「また地球の歴史をやり直そうよ。私たち二人がアダムとイブになってさ」
男「そうだね。あの恐ろしい宇宙人どもを倒せたんだ……俺たちならきっとできる!」
END