ちひろ「はい♪ とは言っても番組企画ですけどね」
P「もしあのアイドルが結婚したら……ですか。不吉な企画ですね」
ちひろ「まあそれなりに需要はあると思いますよ?」
P「はあ。まあいいですけど。それで、俺がなんで呼ばれたんですか?」
ちひろ「夫役を演じてもらうためですよ♪」
P「……は?」
元スレ
モバP「新婚ですか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1365326270/
ちひろ「夫役にある程度仲の良い男性を選んでおいてくれと先方から頼まれてまして。プロデューサーさんなら3人全員と仲が良いですから最適かなと。あ、顔は映らないようにしてくれるらしいですからご心配なく♪」
P「いやいやいやなんでもうそこまで話進んでるんですか。しかも3人?」
ちひろ「はい♪ 今回はクール3姉妹こと凛ちゃん、加蓮ちゃん、奈緒ちゃんの3人が出演します!」
P「……俺仲良い訳じゃないんですが」
ちひろ「……はい?」
P「いや、凛は見ての通り俺に興味無いですし、加蓮からは過保護でウザがれてますし、奈緒はほら。俺の事嫌ってるみたいだし……」
ちひろ「……」
P「だからもっと適役がいると思うんですが」
ちひろ「つべこべ言わずに引き受けろよこの鈍感野郎スタエナダースで買わすぞ」
P「」
ちひろ「……はっ。まあ今のは忘れて引き受けて下さいね♪ アイドルと新婚気分になれるなんて役得じゃないですか」
P「そ、そうですね。お引受けします……」
ちひろ「じゃあ当日までアイドル達には夫役なのを黙ってて下さい。そっちのほうが楽しいですし」
P「本音が漏れてますよ」
ちひろ「今のも内緒で」
P「はい……」
撮影当日
凛「今回は完全にアドリブらしいね」
加蓮「そっちのほうが素の反応が見えるからいいらしいよ?」
奈緒「で、このくじ引きみたいなのなんだ?」
スタッフ「それにシチュエーションを書いてますので引いて下さい」
凛「シチュエーション?」
奈緒「なんか嫌な予感しかしないんだけど……」
加蓮「偶然だね。アタシもだよ」
スタッフ「あまり無茶なのは入れてないんでどうぞ」
凛「まあそんなの入れられたら困るんだけどねっ……と」ガサガサ
【休日の過ごし方】
凛「あ、ホントに普通だ」
加蓮「じゃあ安心出来たところで次はアタシが」ガサガサ
【夫が仕事から帰宅】
加蓮「まあ普通?」
奈緒「じゃあ最後はあたしが」ガサガサ
【初夜の過ごし方】
奈緒「」
凛「……ちょっと?」
スタッフ「……じゃあ準備が出来たら順番に呼びますんで、それまで楽屋で待機してて下さい。では!」バタン
加蓮「逃げ足早いねあの人」
奈緒「」
凛「奈緒がフリーズしたまま動かないんだけど……」
加蓮「まあ本番始まったらなるようになるでしょ」
凛「それもそう……かな? 頑張ってね奈緒」
奈緒「」
シブヤサンオネガイシマース
凛「ん。じゃあ行ってくる」
加蓮「行ってらっしゃい。ほら奈緒。待ってる間に台詞考えとこ?」
奈緒「」
ナレーション「では渋谷凛さんの登場です。シチュエーションは休日の過ごし方!」
凛(あんまり考える時間無かったけど、流れに任せたらなんとかなる……よね?)
ナレーション「まずは寝てる夫をお越しに行ってもらいます」
凛「すぅー……。よし。あなた、休日だからっていつまで寝てるの」ガチャ
P「ん……。ごめん。もう起きるから……」モゾモゾ
凛「」
P「……凛?」
凛(は? なんでプロデューサーが? え、もしかして夫役ってプロデューサー? え、え。そりゃ何回も想像したけど。こんなシチュエーションも想像したけど。え、え?)
P「おーい?」
凛「……はっ。お、起きるんならいいんだよ、うん。わ、私朝食作ってるから先に行ってるね」
P「んー……、目覚めのキスはないの?」
凛「ば、馬鹿! 寝ぼけないでよ!」バタン
P(こんな感じでいいのかな。本気で演じないと後が怖いし……)
凛(やばいよ考えてた台詞全部忘れちゃった。なんでプロデューサーが夫役なんかしてるの。そんなの計算してる訳ないじゃん)
P「りーん」ギュッ
凛「わっ!? ちょ、ちょっと!?」
P「どうした? 抱き締めるなんていつもやってるじゃん」
凛「そ、そうだけど! 今は朝食作ってるからやめて! 危ないじゃん!」
P「それもそっか」
凛「……」ドキドキ
凛「はい、出来たよ」
P「おお、今日も美味しそうだな。いただきまーす」
凛「い、いただきます(なんでこんなにノリノリなんだろ……)」
P「ん。やっぱり凛の手料理は最高だな。美味しいよ」
凛「あ、当たり前じゃん。愛情たっぷり入ってるんだから……」
P「!? ごほっごほ!」
凛「ちょ、ちょっと。大丈夫?」
P「ごめんごめん。不意打ちだったからさ」
凛「もう。だらしないなあ」
P(照れ顔であんな事言われたらそりゃ咽せるっての)
凛「それよりさ」
P「ん?」
凛「せっかく休みなんだから今日はどこか行こっか。買い物とか普段行けないとことか」
P「そうだなー……。じゃあ花見でも行かないか? 桜も満開だろうし」
凛「いいね。それじゃお弁当作ってお昼から行こ?」
P「おう。最近忙しくて一緒に出掛けれなかったから楽しみだな」
凛「だ、だからさ」
P「?」
凛「お昼まで……その。時間あるからさ」
P「うん」
凛「それまで、いっぱい……甘えさせてね? あなた」
P「」
<カーット! Ok!
凛「よ、よかった終わった……」
P「あー。あのな、凛」
凛「なに?」ギロッ
P「に、睨むなよ。俺なんかが夫役じゃ不満だっただろうけどさ」
凛(不満がある訳……ないけどさ)
P「よかったら、ほら。帰りに花見行かないか? せっかくだしさ」
凛「……考えとく」
P「そっか。うん。お疲れ様」
凛「ぷ、プロデューサーこそ、その……お疲れ様……」
P「おう」
凛(本当にあんな新婚生活なら悪くないな……なんてね。絶対口には出さないけど。もしあれが現実になるなら)
凛「いっぱい甘えさせてよね、あなた」ボソッ
凛end
ナレーション「お次は北条加蓮さんで、夫が仕事から帰宅してからです」
ピンポーン
加蓮「はーい!」
P(パタパタ足音が聞こえる。なんかいいなこれ)
加蓮「お帰り、あなた」ガチャ
P「ただいま!」
加蓮「」
P「……ただいま!」
加蓮「あ、うん! お疲れ様! もうすぐ夕飯の用意出来るから先に着替えてて!」
加蓮(なんで夫役がプロデューサーなの!? 通りで凛が楽屋に帰ってきた時顔真っ赤にしてるはずだよ!)
P「いつもの言ってくれないのか?」
加蓮「へ!? い、いつもの?」
P「うん、いつもの」
あなた、ご飯にする? お風呂にする?
そ、それともアタシ?
P「てさ」
加蓮(だ、駄目だこの人。完全に悪乗りしてる!)
加蓮「あ、あはは。そんなの聞いても答え分かっちゃってるから、まずはご飯食べよ? ね? ね?」
P「恥ずかしがり屋だなー加蓮は」
加蓮「ま、まあねー」
加蓮「はい、出来たよ」
P「」
加蓮「食べないの?」
P「い、いやー。美味しそうだからどれから食べようか悩んじゃってな」
P(見事にジャンクフード一色だなおい。ピエロのハンバーガーにポテト、カー〇ルオジサンのチキンって……)
加蓮「おかわりもあるからどんどん食べてね」ドサッ
P(袋一杯のハンバーガー……だと……? 2人で食いきれるのかこれ)
P「う、うん。いただきまーす!」
加蓮「はい、召し上がれ♪」
P(美味しい……美味しいけど! 仕事から帰ってこれ出されたら絶対泣いちゃう!)
加蓮「……ごめんねあなた」
P「な、なにが?」
加蓮「ホントはさ。手料理のほうがいいよね。アタシ料理出来ないからこんなのに頼っちゃって……」
P「……」
加蓮「試しに玉子焼き作ってみたんだけどさ。ほら、こんなに焦げちゃって。こんなんじゃ奥さん失格だよね」
P「……そんな事ないよ」
加蓮「え……?」
P「いただきます」
加蓮「だ、駄目だって! こんなの体に悪いって!」
P「もぐもぐ……。うん、やっぱり美味しい」
加蓮「そんな訳ないよ……嘘吐き」
P「いや、本当に美味しいよ。加蓮が一生懸命作ってくれたんだから」
加蓮「あなた……」
P「ゆっくり覚えていけばいいんだよ。ずっとそばにいるんだから焦る必要ないさ」
加蓮「うん! ……ありがと」
<カーット! バクハツシトケ!
加蓮「なんで教えてくれなかったの?」
P「いやその……。とあるドリンクの女神から口止めされてまして……」
加蓮「……ああ、なるほどね」
P「ごめんな?」
加蓮「なにが?」
P「俺なんかが夫役でさ」
加蓮「もう……。なにかと思えば。気にしなくていいよ」
P「そ、そっか?」
加蓮「それより、ふふっ。Pさん」
P「なんだ?」
加蓮「アタシが手料理上手になるまで、そばにいてよね?」
加蓮end
ナレーション「最後はこの人。私が書いたシチュエーションを引き当てた神谷奈緒さんですありがとう! お題は初夜の過ごし方です!」
奈緒「……」
P(寝室からスタートって……。奈緒は毛布に潜ってるし。いいのかこれ)
奈緒「な、なあ」
P「……」
奈緒「あたし、まだ実感なくて。昼間の披露宴とか全部夢だったんじゃないかってさ」
P「……」
奈緒「もしかしたらこの布団を剥いだ時に夢から覚めるんじゃないかって。そう思うと怖いんだ……」
P「……」
奈緒「幸せなのに、これが全部夢なら。……あたし、たぶん立ち直れない」
P「……夢じゃないよ」
奈緒「……へ?」布団捲り
P「ほら、夢じゃなかったろ?」
奈緒「ぷ、プロデ――ん!?」指ピト
P「プロデューサーじゃなくてあなただろ」ボソボソ
奈緒「ご、ごめん……」ボソボソ
P「こほん。なあ奈緒、約束覚えてるか?」
奈緒「約束?」
P「ああ。奈緒の不安は全部俺が取っ払ってやる。だから安心して俺のそばにいてくれ――ってさ」
奈緒「な、なぁ……」
P「だからそんな事言わないでくれよ。奈緒のそんな顔見ると、俺だって不安になるだろ?」
奈緒「――! じゃ、じゃあさ。約束してよ」
P「おう。なんでもこい」
奈緒「もっといっぱい、安心させてくれよ。いっぱい……愛してよ……あなた」上目遣い
P「」
奈緒「だから今日は……その。しょ、初夜だしさ、あの……。あなたでいっぱいにしてくれよな……?」
<カントクー!? イキヲシテー!!
P「お、お疲れ様。終わったから早く布団から出ろって」
奈緒「嫌だ」
P「杏かお前は……」
奈緒「……先に行ってろ、馬鹿。すぐに戻るからさ」
P「そうしたいけどスタッフさんも片付けがあるんだからさ……」
奈緒(こんなに顔が熱いのに、出られる訳ないじゃん。馬鹿……)
P「仕方ないなぁ……。ほら、布団捲るぞ」
奈緒「え? ちょ、きゃあ!?」
P「お姫様抱っこなんて久しぶごふっ。ちょ、殴んな」
奈緒「馬鹿! いきなりこんな事されたら殴るに決まってるだろ!」
P「ご、ごめん」
奈緒「ば、罰として……」
P「?」
奈緒「楽屋の前までちゃんと連れってよ、馬鹿プロデューサー……」
奈緒end
ちひろ「お疲れ様でしたー♪」
P「ええ本当に……」
ちひろ「随分お疲れみたいですね。そんな時はこれ! 100mcでスタドリ販売中ですよ!」
P「今は遠慮しときます」
ちひろ「チッ……。そういえばプロデューサーさん、3人は?」
P「ああ、これで今日の仕事終わりなんで直帰させました。というか早く帰りたいってみんなが……」
ちひろ「あらあら。いったい何をしたんですかねー?」
P「ちょ。何もしてませんよ! 真面目にお仕事してましたってば!」
ちひろ「早く放送が観たいですねー♪」
P「本当に何もしてませんよ? ちゃんと場に合った台詞だって考えましたし……」
ちひろ(つまり甘々な台詞ですかね? この人躊躇いなく言いそうだし)
P「お願いですからもうこんな企画勝手に持ち込まないで下さいよ……?」
ちひろ「さあ? それは視聴者次第ですからねー♪」
P「絶対やりませんからね!」
おわり