P「とんでもない。っていうか今日はオフじゃなかったか?」
千早「いつも使ってるスタジオがすでに予約されてたので。今日は事務所にいようかと」
P「わざわざこなくてもいいのに……せっかくのオフなんだから仕事の空気から離れたくならない?」
千早「気が抜けて体がなまる方が嫌ですから」
P「真面目だな」
千早「どうも」
元スレ
P「事務所には千早しかいないのか」千早「嫌なんですか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1362491924/
P「みんな仕事に出払ってるとさびしいもんだな。っていうか小鳥さんも今日いないからな」
千早「なぜです?」
P「仕事と趣味を両立させようとしたら無理が祟ったんだと。あの人も若くないんだからなぁ……」
千早「音無さんの前で言ったら怒られますよ」
P「だから今言ってんだよ」
千早「最低ですね」
P「そんなに?」
千早「いえ別に」
P「でしょう」
千早「早く仕事したらどうですか」
P「せっかく二人きりなんだししゃべってもいいじゃん。まぁ仕事はするけど」カタカタ……
千早「……」
P「サァイッパイ タベヨオッ ヨ ハヤオッキデッキタゴホ オ ビ♪」
千早「なんですかいきなり」
P「千早のマネ」
千早「全然似てません」
P「えー! 自信あるんだけどな」
千早「似てません!」
P「ミルク ッハカッルシウム ッガ」
千早「」バンッ!
P「すみません」
P「千早は最近どう?」
千早「どうって、何がですか?」
P「何がって……仕事とか、人生とか」
千早「突飛ですね……別に、いつもと変わりませんけど」
P「この前久しぶりにグラビア撮影にのってくれたじゃん?」
千早「あ、あれはみんながやってるから私も仕方なく……!」
P「楽しかった?」
千早「別に、楽しいも何もありません。意味ないですあんなの」
P「少なくとも俺は千早に興奮したが……」
千早「……この変態」
P「なんでだよ……魅力ある女性に興奮したら変態なのかよ。言いたいことも言えないこんな世の中じゃ……♪」
千早「……む」
P「?」
千早「いまのところ、半音ズレてます。言いたいことも言えないこんな世の中じゃ~♪」
P「POISON」
千早「です」
P「流石。ていうかけっこう古い曲知ってんのな」
千早「そこまで古くはありませんよ。ひと世代くらいしか」
P「お前こそ小鳥さんの前でそれ言うなよ……」
千早「私にそういう意図はありませんので」
P「ほう。どういう意図かねキミィ?」
千早「仕事してください」
P「はい」
……グゥ~
千早「ッ!」バッ
P「ん? 腹の虫」
千早「……気のせいじゃないですか」
P「そうかな?」
千早「そうです。っていうか、プロデューサーのお腹じゃないんですか?」
P「ああ……よく見たらもう昼過ぎてんのな。ってそうだ、真とやよいスタジオまで送ってこなくちゃ」
千早「もう……早くいってあげてください」
P「て言っても、収録長いだろうから一回帰ってくるけどな。ついでに何か買ってこようか」
千早「お好きに」
P「なんか要る? 俺がいる以上カロリーメイトだけってのは禁止するからな」
千早「くっ……」
千早「まぁ、なんでもいいですけれど」
P「本当に何でもいいんだな? 俺の財布にやさしいものしか買わんぞ」
千早「ごちそうしてくださるんでしたらなんでも構いません」
P「へいへい。じゃあちょっと留守番しといてな」
千早「ええ」
バタン……
千早「……」
千早「(何買ってきてくれるのかしら……でも買ってくるものといったらサンドイットとかお弁当とかよね……)」
千早「(別にプロデューサーにそこまで期待してないけど。あの人の食事見てたら大体想像できるわね)」
千早「(……牛丼、ってところかしら)」
千早「(それで満足できてしまうあたり、私は女っ気がないのかも)」
――数十分後
ガチャ
P「ただいまー」
千早「おかえりなさい。何を買ってきたんです?」
P「牛丼」
千早「はぁ……」
P「……嫌だった?」
千早「いえ……予想はしてましたけど、プロデューサーの財布事情が哀れで」
P「言うなよ。それなら売れっ子の千早が俺にごちそうしてくれよ」
千早「高校生におごられて平気なんですか?」
P「……俺のプライドが許さない」
千早「でしょう。別に私はこれで構いませんから」
P「ごめんな」
千早「謝られることなんかないですから」
P「千早ってそういうところに執着しないからありがたいよ」
千早「嫌味ですか?」
P「え? なんで?」
千早「……なんでもないです」
P「??」
千早「どうせ私は甲斐性のない女っ気ゼロの仕事一筋な人間ですから」
P「それくらいきちんと考えてる人の方が付き合いやすいけどな俺は」
千早「つ、付き合うって……」
P「ん? 人間同士の付き合いってはっきりしてる方が好きだって意味だぞ」
千早「……ま、まぁなんでも」
P「いいですけれど。腹減ったから食べよう」ガサガサ
千早「……事務机で食べるんですか?」
P「え、ああ。すまん、いつも事務仕事しながら食ってるから」
千早「こういう時くらい一緒に食べればいいじゃないですか?」
P「だな。茶を……」
千早「私が淹れてきますから座っててください」スタスタ
P「おう。……お、これは千早の読んでた雑誌かな?」ペラ
P「(読んでたページのまま伏せてある……これは、美容体操の特集か)」
P「(ふむふむ……あ、このポーズとか効果ありそうだな)」
千早「――プロデューサー、湯呑み……何してるんですか」
P「え? 美容体操」
千早「その雑誌のですか? そんなのアテになりませんよ」
P「でも千早読んでたじゃん」
千早「……別に実践しようとしたわけじゃありませんから」
P「じゃあ俺が実践するわ。脚を開いて腰を曲げて……」クネクネ
千早「気持ち悪いですからやめて下さい」
P「ひっでえ。結構肩とか凝ってるから重要なんだぞこういうの」
千早「だったら私が後でもんであげますから」
P「ほう、どこを?」
千早「やかんから直接お茶を淹れてあげましょうか?」
P「牛丼うめぇ。茶もうめぇ」ガツガツ ズズーッ
千早「ジジ臭いですよ」
P「ジジイだし」
千早「まだまだそんな歳じゃないでしょう」
P「お前、老衰をなめんなよ……めちゃくちゃに働き続けてたら思いのほか体の老化は早くなるもんだ」
千早「……だったらそんな無理しないでください」
P「心配してくれるのかい」
千早「私のプロデュース中に倒れられても寝覚めが悪いですし」
P「俺だって倒れたくはないんだがなぁ。なにせ忙しいもんよ」
千早「……私に何か手伝えたら」
P「お前はアイドルやって売れろ」
P「ふぅ。やっぱ280円でこれは低所得者の味方だよな。さて続きしよう」
千早「プロデューサー」
P「ん?」
千早「座っててください。15分くらいしか休んでませんよ」
P「しかし……仕事……」
千早「そんなだから老化も早くなるんです。ほら、前向いて」
P「なんだよぉ……好きでオヤジになったわけじゃねェよォ……」
千早「いいから」グッ グッ
P「お……そういや肩揉んでくれるんだったか」
千早「くっ……なんでこんなに固いんですか……!」グッ グッ
P「そりゃ一日中動くか事務仕事してるかだからなぁ。腰も結構やばいぞ」
千早「もうっ……後で腰もやってあげますから」
P「すまんな千早……こんどかわいい服でも買ってあげよう」
千早「援助交際してるみたいなセリフ言わないでください!」
P「しかし千早って意外と力あるな。トレーニングしてるからか?」
千早「腹筋は確かに鍛えてますけど……それ以外は特に」モミモミ
P「そうなのか? 腕細いのに結構いい感じ……あー、そこいいね」
千早「本当にオヤジ臭いです」
P「オヤジ臭いのは嫌いかよ」
千早「別に……その人の性格に問題がなければ」
P「俺は?」
千早「……次、うつ伏せになってください」
P「へい」ゴロン
千早「(……考えてみたら、プロデューサーの上に私がのらなくちゃいけないのよね、この場合……)」
P「? どうした?」
千早「い、いえ……じゃあ、ちょっと失礼します」ヨイショ
P「うお……軽いな千早。ちゃんと食べてんのか?」
千早「最低限の食事はしてます」
P「ホントか? にしてはずいぶん肉感がないというか妙に堅いというか……」
千早「……」
P「貴音とかだったらとんでもなく重圧があったりしそうな気が――アダダダダダダ!! 千早さんイタイイタイたい!!!」
千早「そうですか? ちょっと『堅すぎた』のかもしれませんね」ギロリ
P「わ、悪かったって……俺は千早くらい引き締まってる体の方が好みだから……」
千早「今度はセクハラですか」ギュウウウ
P「イタタタタタタタタ本気でやばいってそれは!!」
千早「全く……冗談はほどほどにしてください」
P「女心とは、いったい……うごごごごご」
P「う……いっててて……」
千早「……あ、あの。大丈夫ですか?」
P「いや、大丈夫……うぎぎ」サスサス
千早「ご、ごめんなさい! ちょっと強くやりすぎました……!?」
P「大丈夫だ、問題な……いって!」ビリィッ!
千早「す、すみません! 湿布か何か持ってきますから!」ドタバタ
P「ああ……くそう、情けねぇなぁ。高校生の指圧で腰を痛めるとは」
千早「私がやりすぎたんです……ごめんなさい」
P「まぁまぁそんなに構えんなよ……湿布貼ってくれりゃいいよ」
千早「はい……あ」
P「?」
千早「あ、あの……服、脱げますか?」
P「待て……う、背中辺りが筋違えたのかな。腕が大きく動かせん」
千早「くっ……じゃ、じゃあ」
P「……まぁあんまり気にするな。おっさんの体だし」
千早「気になりますっ!」
P「そ、そんなにか?」
千早「な、なんでもいいでしょう! 脱がしますよ!」
P「待て待て、ゆっくり頼むよ」
千早「わ、わかってます」
千早「(……プロデューサーの生の背中が……)」
P「ほら、背中向けてるからいいだろ」
千早「は、はい……」
スルスル……
P「……言っとくけど別に変なことは考えてないからな」
千早「あ、当たり前です! 私だって別に――」
ガチャ
響「たっだいまー! 今日は自分頑張って一人で……」
P「あ、お帰り響」
千早「ば……いやあの、これは」
響「……じ、自分お邪魔だった……かな? あはは……」パタン……
P「え? おい響……」
千早「~~~ッ!! 我那覇さん! 誤解よ! 私は何も背後からプロデューサーを襲おうとしたりなんかしてないわ!」ダッ
P「なんだその具体的な言い訳……」
ガチャ
亜美「いえ~い竜宮小町のオカエリだよ→ん……って、千早おねーちゃん?」
律子「こら亜美走らない! あら、千早……と……プロデューサー殿?」
あずさ「まぁ……どうしてプロデューサーさん、上半身が裸なのかしら?」
千早「あ、いえあのこれは!!」
伊織「……もしかしてアンタら」
P「待て、これは俺の腰痛がだな」
伊織「けがらわしいわよーっ!!」
千早「水瀬さん誤解なの! けっして性欲を持て余したプロデューサーに私が襲われていたところを目撃されたとかではないの!」
P「だからその誤解を自ら招くような状況説明をやめろ」
――その夜
P「なんだか今日は一日千早にふりまわされていた気がする」
千早「あ、謝ったじゃないですか」
P「ていうかお前ももう帰れよ。ほかのみんなはほとんど直帰だからもう誰も事務所に来ないぞ」
千早「……別に、そこまで遅い時間じゃありませんから」
P「明日は仕事だろ。早く帰って寝なさい」
千早「そんなに私と一緒にいるのが嫌ですか?」
P「誰もんなこと言ってないじゃん……」
千早「でしたらここにいたっていいでしょう」
P「でもお前、たまのオフにずーっと事務所で俺と二人っきりってのもなぁ……」
千早「私は文句ありませんから。それに、腰を痛めたのは私の責任でもありますし」
P「そんなに深く考えんでも」
千早「私がそばにいたいからいるだけです。好きにさせてください」
P「へいへい……じゃあもうちょっと待っててな。小鳥さんの分も処理しとかにゃ」カタカタ……
チッチッチッ……
P「……んーと、よし。これで後は小鳥さんに任せよう。終わりましたよっと……」
千早「……」ウツラウツラ
P「……よく見たらもう日付かわるころだな……ほら、千早。帰ろう」トントン
千早「んぁ……」
P「仕事終わったから。帰ってから寝なさい」
千早「……」
ギュ……
千早「もうちょっとそばにいてください……」ギュウ
P「(……寝ぼけてんのかな)」
P「わかったわかった。とりあえず車まで行くよ。おぶっていけないから、立って」
千早「あ、はい……」
P「寄りかかってこられたら歩きづらいだろ……やれやれ」
P「千早、車乗って」
千早「……はい」
P「ほら、シートベルトつけて……完全に寝ぼけてるなお前」
千早「安心するので……」
P「?」
千早「あなたといると安心するので……眠くなります」
P「……じゃ、しばらく寝てなさい。家についたら起こすから」
千早「……プロデューサー」
P「なんだ」
千早「いなくなったりしませんよね」
P「……お前起きてんのか?」
千早「起きたら突然……いなくなったり……」
P「しない」
P「明日起きて、事務所にきたらまた会えるだろ」
千早「……そうですよね」
P「そうだ。いつでも会える。会いに行けるさ」
千早「……よかったです」
P「……行くぞ」
ブロロロロ……
P「(……しみったれた夜景も、エンジンの音も、横にこいつがいるだけで不思議と色が変わるもんだな)」
千早「Zzz……」
おしり