和「おはよう唯」
唯「あ、和ちゃんおはよー」
唯「今日も和ちゃんはかっこかわいいねぇ」
和「なによそれ。喜んでいいわけ?」
唯「誇るべきだよ!」
和「ふぅん。あ、それより……」
唯「うんうん……ん?」
唯「はっ!?」
唯(うう、和ちゃんの肩にちぢれ毛が乗っていらっしゃるよ……)
元スレ
唯「ちぢれ毛と和ちゃんと私と」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1298727821/
和「それでね、うちの弟たちってば」
唯(本人はまったく気づいてないみたい……)
唯(もしプライドの高い和ちゃんが肩にそんなものが乗っていると知ってしまったら)
和「おかしいわよね~」クスクス
唯(間違いなく、破滅する……)
唯「きっと、明日明後日を気丈に振る舞って過していけないはずだよ」
和「え……? そ、そこまで変なこと?」
唯「変というか……恥というか……」
和「恥!?」
和「そ、そこまでおかしいことだったの? でも、まだ小さな子供なんだし……」
唯(ここはやんわりと教えてあげるか、それともタイミングを見計らって肩に手をのばしてちぢれ毛をはらうか)
和「唯……?」
唯(今だ、このタイミング!)
ポン
和「え……」
唯(さぁ、私! がんばるんだよ! がんばって和ちゃんから穢れという名のちぢれ毛をはらうんだ!)
和(肩に手がっ、唯から同情された……!?)
唯「……」
唯(なかなか取れない……けっこう制服に絡みついてるんだね)
和「ゆ、ゆ……」
唯「だ、大丈夫だよ、和ちゃん。心配しないで」
和「そ、そんなっ!」
和(やだ! なんでそんなに目を逸らしてそんなこと言うのよ!)
唯(な、なんだか和ちゃんがうろたえてる……まさか気づいた?)
唯「ほほほ、ほんとに大丈夫だよっ! 和ちゃんは悪くないんだからっ」
和(えぇ!? なんかそんな言い方だと私が悪いみたいじゃないのっ)
バッ
唯「え、あ!? の、和ちゃん!?」
和「……同情なんていらないわ!」
唯(やっちまったよ!)
唯(ほんとに気づいちゃったんだ、このうろたえ方は普通じゃないもん!)
唯「どっ、同情なんかじゃないよ! 私はただ良心で……」
和(良心で私をここまでじわじわと精神的に痛ぶってるの? 腹黒いとかそういうレベルじゃない!)
和(唯……昔はこんな子じゃなかったのに)
和「……どこで道を踏み外しちゃったのかしら」
唯(うわああああっ。これ完全に自分責めだし始めちゃってるよ! なんか今までの人生否定しようとしてる!)
唯「落ち着いて! 和ちゃん!」
唯「自殺なんて考えちゃ絶対ダメだからね!?」ギュッ
和(やぁー! 遠回しに死ねって言ってるっ!)
和「うわああぁぁんっ」タタタ…
唯「ああ!! 待って、和ちゃんっ!」
和「……」ドンヨリ
澪「ど、どうしたの、和?」
和「……は?」
澪「!?」
澪(あの真面目で優しい和が「は?」だって!?)
澪(しかもなんか目が怖い! これ完全に堕ちた目だよ)
和「ああ、澪……。なんだか私疲れててね……」
澪(疲れ……ああ、いつでも真面目で生徒会長な和だってそりゃあ疲れるよね……人の子なんだし……)
和「あー……死ねとか、ふふっ……」
澪「し、死ね!?」
澪(な、なんなんだ!? 和は不良になっちゃった上にいきなり私に因縁つけようとしているのか!?)
和「ねぇ、澪……もし、律が突然変わっちゃってたらどう思う……?」
澪(まさかの律非行フラグ!? 和は律も巻き込んだというのか!)
和「澪も、気をつけたほうがいいわよ……幼馴染の変化に」フッ
澪「り、律ぅ……!」タタタ…
唯「うー……和ちゃんってば足速いよぉ」
梓「あ、唯先輩。おはようございます」
唯「ん、あずにゃん? ねぇ、和ちゃん見かけなかった?」
梓「はい? 和さんですか? いえ、見かけてませんけど……どうかしたんですか?」
唯「和ちゃんが一大事なんだよ! このままだと和ちゃんが……」
唯「和ちゃんが……死んじゃうよおぉぉっ、わああぁぁ~んっ!」
梓「え!? 死んじゃうって……一体何があったんですか!」
唯「わああぁぁんっっ、和ちゃんがっ、ちぢれ毛ぇっ!」ビエーン
梓「お、落ち着いてくださいよっ。和さんはちぢれ毛じゃないですっ」アセアセ
唯「ちぢれ毛……たった一本、のせい、でっ、和ちゃんが死んじゃ……うぅ……」グスンッ
梓「そ、それって、和さんがちぢれ毛に殺されてしまうということですか……?」
唯「どうしよう、あずにゃん! きっと私のせいだよ!」
梓「???」
梓(つまり、唯先輩のちぢれ毛が和さんを殺しにかかっている? んん?)
紬「……なんだか凄いこと聞いちゃった」コソコソ
紬「和ちゃん、ちぢれ毛、そして死」
紬「この3つのワードが示すのは一体なに……?」←一部単語しか聞き取れてなかった
紬「唯ちゃんも泣いていたし、これはただごとではないはず」
紬「……ちぢれ毛。つまり陰毛ね。陰毛は基本的に恥部に生えてくるもの」
紬「!!」
紬「わかったわ! きっと和ちゃんの恥部に陰毛が生えてきたのね」
紬「あれ、でもそれって普通だよね? じゃあ陰毛が一本残らず抜けた……とか!?」
律「おー、ムギ。どうしたの? そんなとこで一人で」
紬「陰毛がなくなった……どういうことなの……?」ブツブツ
律「!?」
律(陰毛がなくなったって言ったか今!? む、ムギ……いったいなにが)
紬「あ、りっちゃん! おはよう」
律「おっ、おう!?」
紬「?」
紬「ねぇ、りっちゃん」
律「はい!?」
紬「もし、りっちゃんの大事な部分から大事な毛が全部なくなってたらどう思う?」
律(そらきた!)
律「え、えっと……たっ、大変だよな! そりゃ一大事だ!」
律(わーん! 私のバカバカ! 全然フォローになってないじゃんか!)
紬「そうよね」
律「ああ……」
紬「でも、そうだとしてりっちゃんはそのせいで死んじゃったりする?」
律「はぁ!?」
律(む、ムギ! 陰毛がなくなったことがよっぽどショックなんだな……)
律(しかもこいつ、死ぬ気だよ……!)
律「い、陰毛がなんだってんだ!」
紬「りっちゃん?」
律「……む、ムギ。その、陰毛はなくなっても恥ずかしいことじゃないぞ?」
紬「そう?」
律「ああ!」
律(ここはムギの為に恥を捨てるっ)
律「……ムギ。じ、実は私、陰毛が生えてないんだ」
紬「え」
律(こんなことぐらいでしか励ましにならないだろうけど……死なないで、ムギ!)
紬「そ、それは本当!?」
律「ああ、生まれてこのかた生えたことがない。パイパンガールさ」
紬「そんな……!」
紬(まさかの新事実発覚! なんて日なのかしら! 今日という日は)
タタタ…
澪(律……律はいつまでも優しい律でいてく……ん?)
律「だから死ぬな! ムギ!」ガシッ
紬「え、ええぇー!?」
ユサユサ
澪「ひ、ひぃっ!」
澪(律がムギを脅している!?)
澪「やめろぉー!!」
律「へ?」
ドン!
律「あいたっ!? み、澪! いきなりなにすんのさ!?」
紬「澪ちゃん?」
澪「み、みそこ……見損なったぞ、律っ!」
律「なに!?」
律「意味分かんないよ! なんだってんだ!」
澪「そんな乱暴に話す女の子だったか! お前は!」
紬(別にいつも通りじゃないかな?)
澪「制服だってこんなに着崩して……ええいっ、ブレザーの前を締めろ!」ガシッ
律「い、いたいよ! なにすんだ! や、やめろよっ」ドン!
澪「い、いたっ……!」
紬「りっちゃん!」
律「こいつが悪いんだろ。いきなり変なことしだすから……」
澪「うわあぁ、暴力! 暴力まで振るったな!?」
律「ちょっと押しただけだろ!」
澪「律の……律のばかぁっ」ウルウル
澪「くっ……!」タタタ…
紬(澪ちゃん、泣いてた……これがいわゆる修羅場なのね)
律「ったく、ほんとなんなんだよ……」
紬(そして、その裏で巡るキーワード。和ちゃん、ちぢれ毛、死、そしてパイパン!)
梓「うーん」
憂「どうしたの、梓ちゃん。なにか悩み事?」
梓「あ、憂。実はね」
梓「唯先輩のちぢれ毛が和さんを殺しにくるらしいんだ」
憂「へぇー」
憂「へぇ!?」
憂「ちょっと、さっき言ったことよく思い出して! どう考えても意味不明だよ!」
梓「うん、わかってる。でも唯先輩がそう言ってて……しかもすごく悩んでるみたいで」
憂「えー……」
憂「ていうか! そもそもお姉ちゃんにはちぢれ毛なんて一切ないよっ」
梓「……え?」
憂「私、知ってるもん! 本当だもん!」><
梓「で、でも合宿行ったときのお風呂で私生えてるとこちゃんと見たよっ」
憂「生えてないよ!! ちょっと補正かかってそう見えてただけ!」
憂(だって……私、いつも剃ってあげてるし……)
梓(憂も唯先輩も今日はどうかしてる……)
純「おーっす、二人でなに話してんの?」
憂「純ちゃん……」
梓「純……」
純「いやぁ、今日は髪の手入れにとまどっちゃっててさぁ」モフモフ
梓「あいかわらず……ん?」
梓(ちぢれ毛に和さんが殺される? ……まさか!)
梓「っ!」キッ
純「ん、どったの梓?」
梓(こいつか!!)
ガシッ
梓「じゅ、純! ダメだよ!」
純「え!?」
憂「ど、どうしたの? 梓ちゃん」
梓「人を殺すことは罪が重いんだよ!? ダメ!」
純「ころっ……!?」
憂「あ、梓ちゃん。落ち着いて……」
梓「友達が人を殺そうとしているのに落ち着いていられる!?」ブンブンッ
純「あうっ、あうっ、ゆ、ゆさぶんなぁ~っ」
純「ていうか誰が誰をころ」
梓「すぐに和さんと唯先輩のところにいこう。そして謝ろうっ」
グイッ
純「う、憂~! 助けてぇっ」ズリズリ
憂「わけわかんないよぉ……」
唯「はぁ……」トボトボ
さわ子「あら、唯ちゃん。どうしたの? なんだか元気なさそう」
唯「ああ、さわちゃん……」
唯「私ね、大事な親友を救えなかったよ……っ」
さわ子「なにかあったの? 私でよければ相談に乗るわよ?」
唯「うん……あのね、今日和ちゃんの肩にちぢれ毛が乗ってたんだ」
さわ子「ち、ちぢれ……」
唯「で、なんとか和ちゃんが気づかないように取ってあげようとしたんだけど、途中で気づかれちゃって」
唯「そしたら予想通り和ちゃんがショックを受けて自殺を図ろうとしてるの……」
さわ子「ちぢれ毛で自殺……?」
唯「ほら、和ちゃんってプライド高そうだから……そんな和ちゃんの肩にちぢれ毛なんてこの世の汚物の塊のような穢れが乗っているなんて許されないことでしょ?」
さわ子「この世の穢れかよくわからないけど。まぁ、ちぢれ毛が肩に乗ってるのはあんまり嬉しくないわよねぇ」
唯「和ちゃん、まだ死んでないといいんだけれど……」
さわ子「大丈夫よ。和ちゃんは死なないから」
唯「不死身なの?」
さわ子(唯ちゃんだし、ここは元気出させるために)
さわ子「そうよ」ニコニコ
唯「えぇー! びっくりだよぉ~!」
さわ子「だから殺しても死なないし、自殺しても死なないはず!」
唯「でもどうして?」
さわ子「あー……えっと、ほら! あの子生徒会長じゃない! だからよ!」
唯「生徒会長は死なない……!?」ハッ
紬「りっちゃんはその……パイパンなのよね?」
律(お、ちょっとは元気になってくれたかな)
律「そうだぞー。立派な、それはまたご立派なパイパンだぁ」
律(パイパンであってたまるか、一応ちゃんと茂ってるよ)
紬(事件の鍵を握るのはりっちゃんなの……!?)
紬(澪ちゃんがあのとき突然りっちゃんを襲ったこと、そして和ちゃんの恥部から陰毛が一本残らず抜け消えたこと)
紬「きっとこの二つの事件はリンクしているわ!」
律「え?」
紬「りっちゃんごめんなさい! 私、ちょっと聞き込みに行ってくる!」タタタ…
律「え、あっ、ちょっとー!」
律「行っちゃった……けど、なんとか元気になってもらえたな。よかった、よかった」
律(にしても澪はなんだったんだ? 様子おかしかったし)
梓「あ、律先輩!」
律「ん?」
純「はなせー! はなせー!」ジタバタ
律「……なにしてんの?」
梓「今から和さんのところへ行ってこいつ……純を謝らせようかと」
律「謝る? なんか悪いことでもしたのか?」
純「私はなんにもしてなーい!」
律「って言ってるけど」
梓「ウソだよ! 純は和さんを殺そうとしてたんでしょ!? 唯先輩がそう言ってたんだからね!」
純・律「は!?」
律「お、おい……マジ?」
純「マジなはずありませんよ!? なんで私が生徒会長を殺さなきゃいけないんですか!?」
律「さ、さぁ?」
純「し、信じてくださいよぉ……」
梓「とにかく教室向かうよ。律先輩も一緒に純を引っ張っていってくれませんか」
律「あ……うん」
ズリズリ
純「冤罪だぁー! だれか私に弁護士をぉー!!」
澪「律、どうしてだよ……」シュン
ガチャリ
紬「あ、いたいた! 澪ちゃんったら屋上にいたんだ。でもどうしてこんなところに?」
澪「ムギ……」
澪「ねぇ、ムギ。私って律にとって何だったのかな」
紬「え」
紬(まさかの昼ドラ展開!? そっか、りっちゃんに浮気相手ができて澪ちゃんは……)
紬「だからりっちゃんを突然襲った……なるほど」
澪「は?」
紬「あ、なんでもないの! それより聞きたいことがあるんだけれど」
紬「りっちゃんの相手(浮気)は誰なの?」
澪「……は?」
澪「あの、さっきからなにを」
紬(おそらく、りっちゃんが浮気したことで澪ちゃんが怒って……)
紬「!!」
紬(となると和ちゃんが浮気相手!? そしてりっちゃんに澪ちゃんという恋人がいたことにショックを受け、陰毛が抜け落ちた!)
紬「つ、つながりました!」ガシッ
澪「えぇ!?」
紬(ううん、でも待って。りっちゃんはパイパン。だからそんな彼女に気遣って陰毛を剃り落としたのかも)
紬(だけどそんなりっちゃんは澪ちゃんに気持ちが揺らいでて……せっかく大事な陰毛を剃り落としたのにって、ショックを受けて自殺をはかっている!?)
紬「謎は……深まるばかりです……」グヌヌ…
澪「む、ムギ?」
紬「澪ちゃん」ギュッ
澪「は、はい!?」
紬「愛に間違いなんてない。それだけは違いないわ!」
澪「うん!?」
紬「でもここはやっぱりりっちゃんにガツンと言うべきよ。話しあうべき」
澪「ムギ……」
澪(そうか、ムギも律が非行に走ったことを心配して……)
澪「そ、そうだよな。うん、そうだ!」
澪「ありがとう、ムギ。私、頑張って元の律を取り戻すよ」
紬(強奪宣言!? 和ちゃんを出し抜こうというのかしら……ああ、どちらを応援したら)
ガチャリ
唯「和ちゃん!」
和「ひ、ひいぃっ! 唯っ」
唯「ああ、よかったぁ……さわちゃんの言うとおり、本当に無事だったんだぁ」ギュゥ
和「ちょ、ちょっと……」
唯「和ちゃん。さっきも言ったけど、なにも気にすることなんてないんだよ」
唯「恥ずかしいことでもないし、ショックを受けることでもない……はず」
唯「確かにちぢれ毛は邪悪の化身だよ? でも私は和ちゃんのことは絶対に嫌いにならない。幼馴染で親友だもん!」
和「唯……」
和(途中の話がよくわからなかったけど、唯はやっぱり唯のままだったのね……ああ、私ったら誤解してた)
和「唯、私もあやまらな」
唯「あ! ところで和ちゃん。一回死んでみてよ!」
和「きゃいけな……」
和「……」
ス
和「お望み通り死んでやるわよおおおおぉぉぉっわあああああぁぁぁんっ!!」タタタ…
ガチャリ
唯「ちょ、ちょっと待ってよ! どこ行くのー!」
律「あれ、唯? ていうか和どうしたんだあれ……」ズリズリ
梓「なんか泣き叫んでましたね?」ズリズリ
純「ぐすんっ……」
唯「わかんないよぉ。私が一回死んでみてって言ったら急に教室飛び出しちゃって」
律・梓「ぶっ!?」
律「そりゃ当たり前だろうが! なに言ってんだお前!?」
梓「み、見損ないましたよ! 唯先輩!」
唯「え? え?」
梓「朝はあんなに和さんの身を案じていたのに……ほら、犯人も捕まえてきたんですよ!」
純「いっそ私を殺して……」
唯「……犯人?」
梓「ほら、言ってたじゃないですか。ちぢれ毛が和さんを殺すって」
唯「えっと、まぁ……そうなんだけど」
梓「ほら証言が出たよ! 純!」
純「ちぢれ毛でごめんなさい……」シクシク
ガチャリ!
澪・紬「!」
和「はぁ、はぁ……」
澪「の、和っ」
紬「きゃあ!」
紬(修羅場が……女の戦いが始まるわ……!)
澪「和、私は律をせっ」
和「……そこをどいて。澪」
澪「和?」
和「どいて! どきなさいっ!!」ドン!
澪「う、うわっ」
紬「あわわわわ……」
和「はぁ、はぁ……! 死んでやる、死んでやるっ……!」ヨジノボリーノ
澪「お、おい! フェンスに昇ったら危ないぞ!?」
紬(これって物凄くまずい展開! でもすごいわ!!)
和「私なんかが生きてちゃいけなかったのよ! 世の恥だったのよ!」
澪「そ、そんなことないよ! 生きていればいい事だってあるんだぞ!?」
和「あんたに何がわかるっていうの!?」
紬「澪ちゃんの言う通りよ! あきらめないでっ、和ちゃん!」
和「うるさぁいっ!」
澪「む、ムギ! 一緒に降ろすの手伝ってくれ!」グイグイ
紬「は、はいっ」
和「うわああんっ! 唯のばかああっ!」
紬(ゆ、唯ちゃん!?)
紬(ここでまさか唯ちゃんの名前! まさか、りっちゃんは唯ちゃんにも手を出していて!?)
紬「そしてついに澪ちゃんの知らないところで唯ちゃんがりっちゃんを和ちゃんの前で略奪……」
澪「わけわかんないこと言ってないで早く手伝えっ!!」グイグイ
紬「あ、うん!」グイグイ
和「離してぇっ」
ガチャリ!
梓「あ、いました!」
律「やっぱりここ……ってなっ!?」
澪「和っ!」グイグイ
紬「ふぬぬっ!」グイグイ
律「あ、あいつらぁぁっ!!」←和を押しているように見えた
唯「おおぅ……」
律「やめろバカぁ! 和を殺すなぁっ!」タタ…
ガシッ
唯「これは和ちゃんの不死身を見るチャンスだよ。りっちゃん!」
律「お前っ、こんなときまでなにバカ言ってんだ!! 離せっ!!」
紬「あ、あれは!」
紬(和ちゃんの自殺を止めようとするりっちゃん。でもそれを良しとしない唯ちゃんがりっちゃんを……なんて恐ろしい。女って何よりも怖い生き物だわ!)グイグイ…サ
和「ふんぬぬぬっ! 死んでやるぅっ!」ガシャ、ガシャ
澪「ムギぃぃっ!? 手を離すなぁ!!」
梓「純、唯先輩! 早く和さんに謝って。あなた達のせいで和さんは」
唯「でもぉ……」
純「ゴメンナサイ」ペコリ
律「マジでふっざけんなよっ!?」
バッ
唯「あ!」
律「わああああっ、和あああっ!!」ダダダ…
澪「り、律……!」
紬(愛、ね)
律「ふんっ!」グイッ
和「うっ……!」ボトッ…
律「はぁ、はぁ……」
和「どうして、どうして死なせてくれなかったのよ……」
和「唯に死ねなんて言われたら私もう生きて」
律「っ!」
パチィンッ
梓「り、律先輩が……和さんを叩いた」
和「!?」
律「はぁ、はぁ……っ」
和「何するのよ!」
律「お前は何しようとしてんだよ!!」
律「死ぬ死ぬなんて気安く言うなよ! バカじゃないのっ!?」
律「死ねなんて言われたぐらいがなんだ。そんなの……真に受けんなよなぁ……っ」グスンッ
澪「律……」
和「あ……」
律「よかった……和が死ななくて、よかったよぉ……!」ポロポロ
和「ごめんなさい……」
唯「ちょ、ちょっと待って!」
梓「唯先輩、ここで水を差すのは……」
唯「和ちゃんって……不死身なんじゃないの?」
「は?」
唯「だってさわちゃんが言ってたよ? 和ちゃんは生徒会長だから不死身だって」
澪「ゆ、唯……お前な……」
律「あの大バカ教師め……」
紬(あ、あれ……? あらら?)
唯「ち、違ったの?」
和「違うわよ、バカ」
唯「えぇ! バカって酷いよぉ!」
梓「ひ、酷いのはあなたですよ」
唯「でも本当なら和ちゃん死んじゃうところだった……ごめんなさい」
和「……ふふ、あんたのマヌケ具合見てたらどうでもよくなってきたわよ」
純「……あ」
梓「どうしたの、純?」
純「会長の肩にちぢれ毛くっついてるー!」テッテレー
「……」
和「ち、ちぢれ毛……?」
唯「あ! まだ取れてなかったんだね! 世の穢れめ!」パッパッ
唯「あー、やっと取れたよぉ。すっきり、すっきり」
和「……?」
和「あんた、まさかとは思うけど……朝のあの会話って」
唯「へ? ていうか和ちゃん! ショックじゃないの!? ちぢれ毛だよ!?」
和「え、ああ……別にそうでも」
唯「えー、なんだぁ……なんか心配してがっかり」
純「私の無実が証明されたー……」ハレルヤー
紬(なんだ、事件も何もなかったじゃない。私一人で勘違いしてたのね……)
和「あんた、私の話聞かないでずっとこの毛を取ろうしてたのね……どうりで話がかみ合わないわけよ……はぁ」
唯「?」
唯「だって和ちゃんのことだからショック受けるだろうと思って、こっそり排除しようと」
和「それくらい言ってくれればいいだけでしょ? たかが毛ぐらい」
唯「たかがじゃないよ! ちぢれ毛(陰毛)は邪悪の化身だ、穢れだって憂がよく言ってるんだよ?」
唯「だからいつもおまたの毛は憂が剃ってくれるんだー」
「……は?」
梓「マジでパイパンなんですか!?」
唯「そうなるかなぁ?」
澪「……///」
紬「ふふ、大丈夫。パイパンならもう1人いるわよ」
唯「へ?」
紬「ね、りっちゃん?」
律「ぶふぅっ!?」
梓「律先輩まで!?」
澪「律……///」
律「あ、ち、ちがっ……! あれはムギを励まそうとしてだな!?」
和「パイパン宣言して励ますってどこの変態よ……」
紬「……うん」
律「なっ……!」
律「違う! 私は生えてる!! パイパンなんかじゃない! 信じてっ!」
唯「仲間ぁー」ニコ
律「うわあああぁぁっ!! 死んでやる、死んでやるぅっ!!」ヨジノボリーノ
澪「待て律! 早まるなぁっ!?」グイグイ
律「はぁ、はぁ……」
梓「全く、焦らせないでくださいよ」
律「だって……」
澪「私は信じるよ、律」
澪(律は、律はいつもの律のままだったんだ。非行なんかに走ってなかったんだな……)
律「澪ぉっ」ギュッ
澪「こんな泣き虫が不良になるわけないもん」ヨシヨシ
紬(でもりっちゃんがパイパンじゃなかったとして、どうして私は励まされたのかしら)
紬(これが……最後の謎ね!)
純「いっぱい目立つことができてなによりです」
今日も桜高は平和です
唯「でもなんで和ちゃんにちぢれ毛がついてたんだろう?」
和「たぶん弟たちの仕業よ」
和「最近私に、どうして脇の下にはちぢれ毛が生えるのに上には生えないのって質問してきて……ね、おかしいでしょ」
唯「それで和ちゃんの肩の上(脇の上)に毛をからめたと?」
和「真実は……誰にもわからないわね」
・・・
さわ子「なんで私だけお茶抜きなのよー!!」ビィーッ
律「うるせぃっ」
・・・
憂「そろそろお姉ちゃんの穢れを取り除いてあげないと」
憂「お姉ちゃんにはあんなモジャモジャ必要ないもんね。ふふふっ」シャキーン
お~わり