1 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 21:51:39.19 NE+stagK0 1/75

「はぁ~。今日もムギちゃんのケーキはおいしいねぇ。」

「先輩、食べすぎです。もう3つ目ですよ!」

ムギ「今日はいっぱいあるからドンドン食べてねっ」

「いや、練習しようよ・・・。」

「はぁう!」

「ん?どしたー?」

「ぉ・・・お腹が・・・いたい・・・」



元スレ
憂「S状結腸………ガン……?」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1298033499/

2 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 21:52:43.91 nfp6fwlH0 2/75

ムギ「あらぁ~?だいじょうぶ?」

「お前食べすぎなんだよww」

「もう、先輩たら。」

「ちょ、ちょとおトイレ」エヘヘ

「もー、また練習が遅れる。」


3 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 21:53:46.76 nfp6fwlH0 3/75

~20分経過~


「なあ、唯、ちょっとおそくないか?」

ムギ「何かあったのかしら、心配だわ」

「練習サボってるんじゃないでしょうか」プンスカ

「私、ちょっと見てくるよ。」


4 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 21:57:02.53 nfp6fwlH0 4/75

~トイレ~


「おーい、唯、ここか?」

「ぃ、ぃっちゃん・・・。」

「お、おい、本当にしんどそうだな。大丈夫か?」

「ごめんねぇ、ぉ腹、ちょっと・・・・ホン・・・ホント・・・・たいへんな感・・・感じw」汗

「大丈夫じゃないな。よし唯、カギ開けろ。」

「そんなぁ、恥うかしーょ・・・。」

「馬鹿っ。そんなこと言ってるようなしんどさじゃないだろ!ほら、早く!」

「ぅ、うん・・・・。」ガチャ


5 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 21:57:53.27 nfp6fwlH0 5/75

「よし、パンツ脱がせてやるから、立てる・・・?」

「うん、ありがと」ヌギヌギ///

「肩使って、保健室に行こう。」

「ふぅ・・・ふぅ・・・」大汗

「(立つだけで苦しがってるな・・・。)」

「よいしょっ」唯を立たせる

「あ。」(便器が血で真っ赤じゃねーか。)

「なあに?ぃったん(りっちゃん)」

「いや、なんでもない。よし、歩けるな。保健室行こう。」(唯、これはヤバいんじゃないか?)


8 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 22:06:32.44 nfp6fwlH0 6/75

~保健室~

先生「え・・・?血便・・・?」

「ハイ。唯にはまだ言ってないけど、ちょっとすごい量だよ。救急車呼ばないと?」

先生「そうね、じゃあちょっと電話するわ。

「」ソワソワ

先生「あ、田井中さんはえっと、この子妹いたわよね。平沢ぁ・・」

「憂です!」

先生「そう、呼んできて頂戴。」

「うん!」


「ぅーん・・・ぅーん・・・ぁ・・・(トイレ行きたいよぅ。)」


10 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 22:20:16.96 nfp6fwlH0 7/75

~部室~

「ってワケなんだ。」

「まさかっ。」

「血、血だって」ガクガク

ムギ「それで、憂ちゃんには?」

「まだ。みんな急いで探して。救急車来るまでに。憂ちゃんも乗っけるから。」

「わ、私も一緒に!」

「うん、でも、あとで先生の車で行こう。」

「唯先輩・・・。」


13 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 22:25:30.81 nfp6fwlH0 8/75

~教室~
ワイワイガヤガヤ

梓澪・ムギ「あ、見つけた」

「お~い憂ちゃん、たいへん!たいへんなの!」

「・・・?」

---------------------------------------------

「ええ!そんな!」

パーポーパーポー

「あ、きた。」

「憂ちゃん、急いでっ」

「は、はい!」

「こわい。こわいよぅ。」

ムギ「大丈夫だから。」ギュッ

「・・・ムギィ・・・。」グスッ

「先輩・・・・。」


14 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 22:31:34.38 nfp6fwlH0 9/75

~放課後 病院~

「憂ー!」

「唯は?どうなんだ??」

「う・・・うぐ・・・えぐ・・・」

「ちょ、え、どうしたんだ!」

「わかりません。ずっとお腹が痛いらしくって、もう何度もトイレとベッドを行ったり来たりしてます。」グスグス

「そか・・・。」

「今、唯先輩は?」

「おトイレです。」グジュグジュ


15 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 22:33:57.51 nfp6fwlH0 10/75

「うい~。肩かしてぇ~。あ、みんなぁ!」

「せんぱぁい!」

「大丈夫なのか?」

「ううん。お腹ゴロゴロしてて。でも・・・えと・・・便は出ないし・・・。血が出てるよぅ」ガクガク

「お姉ちゃん、今日はとりあえず検査で入院するみたいだよ。」

「えー、そんなぁ。おウチ帰りたいぃ」

「おねえちゃん・・・。」



16 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 22:38:37.59 nfp6fwlH0 11/75

「わがまま言わないの。ちゃんとしてたら何か欲しいものあったら買ってきてやるぞ。」

「お前はおかあさんか・・・。」

「本当!?」キラキラ

「それじゃあねえ、チョコアイスがいいなあ!」

全員「たべるの!?」

「え、えへへ。」

「食事はダメだそうです。あ、私も今日は泊まりますので、学校に言っておいてもらえますか?」

「ああ、まかせろ。」

「それじゃあ、大人数でいたら悪いから、一度戻るよ。唯、早く元気になれよ。」

「えー。あいすぅ~。」

「元気になってからなー。」

「(こーゆー時、律先輩って頼りになるなあ。)」゙


18 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 22:40:53.40 nfp6fwlH0 12/75

~1週間後 病院 診察室~

「えっと・・・?」

医師「はい。99パーセントの確率でガンでしょう。S状結腸と言いまして、大腸の云々かんぬん・・・」

「え・・・?え・・・?」

医師「ナントカカントカ云々かんぬん」

「な、え、」


21 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 22:43:12.68 nfp6fwlH0 13/75

「(S状結腸・・・ガン・・・?)


(ガン?ガンってなんなの?お姉ちゃんガンって死んじゃうの?そんな、うそよ。)

(だってさっきも元気そうだったし、1週間前はおどろいたけど、2日目には楽そうにしてたし)

(お姉ちゃんがガンなんてうそようそよあ、おね、、嘘嘘)」


医師「ご本人には・・・。」

「言わないで!!!」

医師「しかs」

「言わ・・・・ないで・・・・。(イワナイデイワナイデイワナイデイワナイデイワナイデ)」

医師「わかりました。では・・・」

「・・・ハイ・・・ハイ・・・。」


25 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 22:56:33.40 nfp6fwlH0 14/75

~病室~

「おねーちゃん!」

「あ、うい~」

「気分はどう?」

「うんー、大丈夫だよ。割と元気?」

「そっかぁ。」

「それで、私の病気なんて?」

「うん、あのね、腸閉塞ってゆーやつらしいの。」

「ちょーへーそく・・・?」

「私も詳しくはわからないんだけど・・・。手術で治るらしいよ!」

「本当!?ああ、ああ。よかったあ。私治らない病気、ガンとかだったら
「ドキッ
「どうしようってどうしようってこわくってこわくって」ウルウル

「ああ、よかったあ。よかったよう憂い~」ウルウルウル


27 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 22:58:32.89 nfp6fwlH0 15/75

「やだなあもう、お姉ちゃん。大丈夫だから。」

「眼、赤いよ?」

「あれ?そうかな?えへへ」

「疲れたんだね、ありがとう、ありがとう。」ナデナデ

「おね・・・ちゃん・・・」グス

「ああ、安心したら眠くなってきた。ちょっと疲れたのかな。」

「うん、私はここにいるから、おねーちゃんもう休もう。」

「ふぁあ。おやすみ。ぅぃ・・・ありg・・・」zzz


28 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 22:59:59.46 nfp6fwlH0 16/75

~深夜 診察室~

医師「ガンの症状は第1期から5期まであります。お姉さんの症状は5期に極めて近い・・・4,5期というくらいです。すでに肝臓とリンパ球にまで転移しており、いつどの臓器に再発しても不思議ではありません。」

「あ・・・ぅ・・・。はい・・・。えっと、その、どのくらい・・・・」

医師「・・・。半年か・・・

「」頭をかかえてうずくまる

医師「・・・・・・1年くらい。」

「(イワナイデイワナイデイワナイデイワナイデイワナイデイワナイデ)」

医師「・・・さん・・・平沢さん!」

「!! は、はい!」

医師「希望は捨てないでください。ガンに打ち勝つには、何よりも家族やお友達の励まし、協力が必要で精神的なよりどころとして支えてあげることができれば良い方向に転ずるかもしれない。たぶん、お姉さんはこれからうんと頑張ります。あなたも頑張ってください。」

「・・・・はい。」


29 : 以下、名... - 2011/02/18(金) 23:02:26.21 nfp6fwlH0 17/75

みたいな感じで誰か続きplz

41 : 1が来るまで適当に - 2011/02/19(土) 00:02:29.09 rROdJHTo0 18/75

(これからどうすればいいんだろう・・・お姉ちゃん・・・)

(それに・・・ガンだって隠してよかったのかな・・・?)

(・・・お姉ちゃん心配だな・・・眠れないよ・・・)

~翌朝 平沢家~

(結局全然眠れなかった・・・学校行かずに病院に行こう)

ピンポーン

「(誰だろう・・・)はーい」ガチャ

「おはよう、憂ちゃん」

「律さん・・・それにみなさんも」

「憂・・・どうしたのその顔・・・目は真っ赤だし目の下にクマできてるし・・・」

「大丈夫・・・ですよ」ガタッ

「わっ、憂ちゃん!」

「すいません、ちょっと足がぐらついて・・・」

42 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 00:06:45.82 rROdJHTo0 19/75

「・・・とりあえず、憂ちゃんを休ませるのが先だな」

「いえ・・・お姉ちゃんのところに・・・行かないと」

「憂、落ち着いて。唯先輩を元気にしたいんだったら、まず憂が元気にならないと」

「そうよ。唯ちゃんのことは落ち着いてから聞くわ」

「みんな、今日は学校休むってことでいいか?」

「憂ちゃんをこのままほっといたら危険だし・・・何より唯のことも気になるからな」

「こういう時はやむを得ないわ」

「私も大丈夫です」

「ごめんなさい・・・みなさん」

44 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 00:12:40.81 rROdJHTo0 20/75

「いいから・・・とりあえず横になりなよ。全然寝てないんでしょ?」

「ほら、肩貸すから。歩ける?」

「はい・・・ありがとうございます・・・」

~憂の部屋~

「あたし達は下にいるから、ゆっくり休んでて」

「なにかあったら呼んでね」

「はい・・・」

~リビング~

「憂ちゃんのあの様子・・・唯はあたし達が思ってる以上に深刻な病気なのかもな・・・」

「そうでしょうね・・・多分、憂ちゃん昨日一睡もしてないわ。憂ちゃんがそこまで思い詰めるなんて・・・」

48 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 00:30:15.94 rROdJHTo0 21/75

「もしかして、ガンとかなのかな・・・」

「そんな!唯先輩がどうして・・・」

「まだそう決まったわけじゃない。憂ちゃんの話を聞いてみないと」

(もし唯ちゃんがガンだとしたら、私の知ってる優秀な医者を動員しても治せるか分からないわ)

(・・・唯ちゃん)

~昼過ぎ リビング~

「みなさん、心配おかけしました」

「ちょっとは顔色良くなったけど・・・まだ辛そうだな」

「憂ちゃん、単刀直入に聞くよ?唯はどんな病気なんだ?」

「それは・・・」

「憂、辛いとは思うけど、正直に話して。私たちは本当のことを知りたいの」

「・・・お姉ちゃんは・・・99パーセントの確立でガンだそうです・・・」

「!!!」

50 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 00:39:52.80 rROdJHTo0 22/75

「・・・それで、唯にはなんて?」

「ガンだって言えませんでした・・・治療で治る病気だって・・・私、お姉ちゃんに本当のこと言うのが怖くて・・・」グスッ

「憂・・・」ナデナデ

「・・・とりあえず、唯のお見舞い行こうぜ。一人にしてちゃかわいそうだ」

「それで・・・唯に本当のこと話すのか?」

「・・・どっちが正しいのか、唯のためになるのかは分からない。でも憂ちゃんが言えなかったことをあたし達が言っちゃいけないと思う。憂ちゃんが決断するまで、あたしは本当のことは言わないほうがいいと思う。みんなは?」

「こればっかりは私も分からない・・・でも私はりっちゃんの考えに賛成よ」

「そうだな。いつ本当のことを話すか・・・またみんなで相談して決めよう」

「私も賛成です・・・」

「それじゃ、行こう。みんな、くれぐれも唯の前で暗い顔しないようにな」

51 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 00:54:39.86 rROdJHTo0 23/75

(唯・・・まさかこんな身近な人がガンになるなんて・・・私は何もしてあげられないのか? このまま唯が死ぬなんて・・・絶対嫌だ!)

(軽音部の部長も、こんな状況でみんなをまとめる自信はない。でもみんな同じぐらい不安なんだ。自信なんかなくても、私がみんなをまとめなきゃな・・・)

(唯ちゃんは絶対死なせないわ・・・琴吹家の財力も技術力も全て使ってあの病院を援助しないと)

(・・・唯先輩、あなたがいなくなったら軽音部はどうなるんですか?憂はどう生きていくんですか? このまま死ぬなんて許しません・・・絶対に)

(私だけがお姉ちゃんを好きなんじゃない。私だけが悲しんでちゃいけない。私達の励ましで治療が好転する可能性があるなら・・・私はあきらめない。お姉ちゃんを心配してくれる仲間がいるんだから)

~病院~

「あっみんな~学校休んで来てくれたの?」

「部員のピンチをあたしがほっとくと思ったか~?」

「思ったより元気そうだな。よかった」

「えへへ。でもしばらく病院出れそうにないや。あずにゃーん、しばらくギター練習できないんだ・・・ごめんね」

「・・・今は治すことだけ考えて下さい。復帰したらビシビシいくんで覚悟しといてください!」

「わーんあずにゃんがこわいよー」

52 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 00:56:40.09 rROdJHTo0 24/75

「ふふ、こんな時でも二人は変わらないわね」

「えへへ。あっ、憂。私憂の料理早く食べたいよー。病院の料理美味しくないんだもん」

「わがままいっちゃ駄目。退院したらいっぱい食べさせてあげるからね」

「あ~今から楽しみだな~」

「それじゃ、私お医者さんと話してくるからね」

「あっ、じゃあ私も行くよ」

「それじゃ私達はここで待ってるから」

54 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 01:23:14.38 rROdJHTo0 25/75

~診察室~

医者「そちらの方は?」

「姉の後輩で、私の友人です。彼女にはガンのことも話してあります。信頼できる人物なので同席してもらいました」

医者「それなら結構です。それで平沢唯さんの様態ですが・・・昨日も伝えた通り、完治の可能性は限りなく低いでしょう。可能性がある以上、我々も全力は尽くしますが、まずそのことをご了承下さい」

「はい・・・」

医者「加えて昨日言った通り、何より重要なのはご家族とご友人の励ましです。出来る限り、面会に来てあげて下さい」

「それが私たちに出来ることなら・・・」

「毎日でも来ます・・・唯先輩の為に」

77 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 11:08:10.96 1m4+3dQkO 26/75

「いやーそれにしても唯が入院なんてなー。世の中なにが起きるか分からないぜ」

「本当だよ。昨日まであんなに元気だったのに」

「お菓子の食べすぎかなー。当分ティータイムお預けだと思うと悲しいなあ」

「お菓子は駄目でも毎日お話しに来るから、心配しないで」

「ありがとう、ムギちゃん」

「・・・」

78 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 11:20:13.03 1m4+3dQkO 27/75

「ただいまお姉ちゃん」ガチャ

「おかえり憂、あずにゃん」

「さて、それじゃそろそろ私達は行くか」

「そうだな。それじゃ唯、また明日な」

「・・・待って、みんな」

一同「?」

「・・・私って、ガンか何かなんだよね?」

一同「!!!!」

「やっぱそうなんだね・・・」

80 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 11:31:13.26 1m4+3dQkO 28/75

「お姉ちゃん・・・どうして、どうしてそんなこと!?」

「昨日の憂の様子がもうおかしかったもん。憂が笑顔がいつもと全然違った。私には分かるんだよ。それに今日のみんなも私を気遣ってる気持ちは伝わってくるけど、どこかよそよそしかった。それでみんなは何か隠してるんじゃないかってね」

「そんな・・・ごめんねお姉ちゃん・・・」

「謝るのは私の方だよ。みんなの気遣いを無駄にして。でもみんなにこれ以上、作り笑いなんかして欲しくなかったの」

81 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 11:39:13.52 1m4+3dQkO 29/75

「・・・唯・・・先輩・・・」グスッ

「ねえみんな、憂とあずにゃんだけじゃなくてみんな集まって。みんなであったかあったかしようよ」

「唯・・・唯っ!」ダキッ

「唯ぃ・・・なんでこんなことだけそんなに鋭いんだよぉ・・・」ギュッ

「唯ちゃん・・・あったかいわ」ギュ

「えへへ。私いますごく幸せだよ。もうすぐ和ちゃんもお見舞いに来てくれるし」

83 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 12:15:01.11 1m4+3dQkO 30/75

「和ちゃんが?」

「失礼します」ガチャ

「あっ和ちゃーん!」

「・・・みんなの様子を見る限り、もう話したのね、唯」

「和も知ってたのか?」

「学校に行ったらあんた達だけいないんだもの。それで唯に連絡したら入院してるって聞いて驚いたわ。しかも『憂は嘘を言ってる。もしかしたらガンとかかもしれない』って言うんだもの。唯なら憂の嘘は確実に見破れるだろうし、憂が嘘をつくなら唯のためを思ってのこと。それを聞いた時、私は唯が重い病気なんだって確信したわ」

「お姉ちゃんは・・・ガンみたいなの・・・」

87 : お待たせしました - 2011/02/19(土) 13:29:20.92 rROdJHTo0 31/75

「・・・そう」

「和ちゃんもこっちおいでよ、あったかいよ~」

「みんなそんなに泣きしゃぐって・・・みんな肝心なこと忘れてない?」

「どういう・・・こと?」

「唯はガンでも、まだ生きてるのよ。まだ死ぬって決まったわけじゃない。例え少ないとしても可能性はあるんだから、みんなもうっちょっと元気出したらどうかしら?」

「でも・・・完治の可能性は・・・」

「少ないかもしれないわね。でもさっきも言ったとおり、ガンでも完治するケースもあるはずよ。ならその望みにかけて、それぞれ出来ることをやるべきじゃない?」

「そうだ・・・さっきも決意したとこだったのに・・・お姉ちゃんを励まし続けるって・・・」

「私も・・・唯先輩が気づいてたのがショックですっかり忘れてた・・・」

「和・・・お前は強いな・・・私ももうすっかり弱気になってたよ」

88 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 13:49:04.78 rROdJHTo0 32/75

「強くなんかないわ。私だってここに来るまでにどれだけ悩んだか。唯の病気が治らないものならどうしようって・・・でも、『最初から余命を一緒に楽しもうね』なんてことは言いたくなかった。ガンだって聞いて、思ってたことが的中したのはショックだったけど・・・それでもまだ助かるかもしれないって思ったわ。だから、今は唯が助かるために出来ることをするしかない。何をすればいいのか・・・それはみんなで話し合えばいいんじゃない?」

「そうだな。今は泣いてる場合なんかじゃない。唯のために出来ることがあるならやるしかない」

「和ちゃん、ありがとね。でも私が完治なんて、それこそ奇跡みたいなものなんじゃないの?」

「かもね。でも、あんたなら出来るんじゃないかしら。あんたに憂みたいな妹がいて、軽音部っていう夢中になれるものがあって、あなたのことを心配してここまで来た人がこれだけいるなんて、それこそ私には奇跡としか思えないもの」

「そうですよ。私達を悲しませたくないなら精一杯生きるために努力して下さい」

「私達も精一杯手伝うわ」

「お姉ちゃん・・・和ちゃんの言うとおりだよ。私またお姉ちゃん達の演奏が聞きたいよ」

「みんな・・・ありがとう。私もあきらめるなんて絶対言わないよ」

「お姉ちゃん・・・」

「憂、家は私がいつ帰ってもいいようにしておいてね。私、あの家でまた憂と暮らしたい。それに、私は憂の世話になりっぱなしだもん。このままじゃ死んでも死に切れないよ」

「そんなこと・・・」

89 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 13:56:00.86 rROdJHTo0 33/75

ナース「失礼します。平沢唯さん、診察のお時間です」

「よし、みんな行こう。唯、明日も来るからな」

「りっちゃん、私のお見舞いだけじゃなくて軽音部の練習もしっかりね」

「お前には言われたくねーよっ!それじゃな」

「何かあったらいつでも連絡してくれよ?」

「欲しいものとかあったあらすぐに言ってね?」

「復帰にそなえて音楽用語とコードをしっかり覚えててください」

「唯・・・辛いかもしれないけど頑張って。私達も出来ることはするけど、最終的にはやっぱりあなたの気の持ち方しだいよ」

「お姉ちゃん、私ちゃんと待ってるから。いつでも戻ってきて」

「うん。また明日ね、みんな」

92 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 14:03:50.63 rROdJHTo0 34/75

~夕方 帰り道~

「あっ純からメールが・・・『なんで二人とも休んでるの!?私をのけ者にしてサボり!?』だって」

「私にも似たようなメールが・・・純ちゃんにも言おうか」

「そうだね。純もきっと一緒にお見舞いに来てくれるよ」

「和、さっきはありがとう。和がこなかったらみんなもうあきらめてたかもしれない」

「助けになれてよかったわ。でも律、自分が部長だからって一人で何でも背負わないでよ?」

「そうだぞ。こういう時こそお互いに支えあわないと・・・」

「そうだな・・・」

「明日から部活の時にみんなで話し合いましょう?憂ちゃんと和ちゃんも来てくれる?」

「生徒会の仕事も今はそれほど忙しくないし、大丈夫よ」

「私も大丈夫です」

94 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 14:10:35.25 rROdJHTo0 35/75

「憂、今日憂の家に泊まりに行っていい?」

「え?別にいいけど・・・どうして?」

「憂の家、今日一人だけでしょ?今憂を一人になんて出来ないよ」

「そんな・・・ごめんね梓ちゃん」

「澪先輩も言ったでしょ?こういう時こそ支えあわないと駄目なの。私も一人だとちょっと心細いし・・・なんなら純も呼ぼ?」

「うん・・・ありがとう、梓ちゃん」

「なあ、憂ちゃんとこのご両親、帰ってこれないの?いくらなんでも毎日泊まるわけには・・・」

「お姉ちゃんのこと連絡したら、帰ってくるって言ってくれました。多分明日には付くと思います」

「そうか・・・なら良かった」

「じゃあ私達はここで」

「ああ、気をつけてな」

95 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 14:27:35.73 rROdJHTo0 36/75

~琴吹家~

「斉藤、お父様の知り合いにガン治療が出来る優秀な医者はいるかしら?」

斉藤「はっ、先代がお世話になられた名医がおりますが・・・ガンとなると完治の保証はおそらく出来ないかと」

「優秀ならそれでいいわ。その方をすぐ○○病院に手配して。それと詳しいことは私は知らないけど、治療に必要なお薬とかそれに必要な材料とかがあるなら全て必要なだけ買い集めるように伝えて。資金は私が全て支払うわ」

斉藤「畏まりました。お嬢様のご友人のため、私も及ばずながら力添えをさせて頂きます」

「頼りにしてるわ、斉藤」

~平沢家~

「まさか・・・憂のお姉ちゃんがガンだなんて・・・」

「うん・・・早ければ半年ぐらいで・・・」

「そんな!どうにかならないの?」

「落ち着いて純。完治は確かに難しいかもしれないけど、今は少ない可能性に賭けようってみんなで決めたの。だから純も協力して」

112 : 保守ありがとうございます - 2011/02/19(土) 19:43:47.79 rROdJHTo0 37/75

「それはいいけど・・・あたしに出来ることって何かあるの?」

「うーん、今のところはお見舞い行ってお話するぐらいかな」

「でもそれが一番の薬になるってお医者さんも言ってたし、やっぱり純ちゃんにも来て欲しいな」

「分かった・・・力になれるかは分かんないけどね」

「ありがとう、純ちゃん」

「それじゃ、今日はもう遅いし寝ようよ」

「そだね。おやすみー」

「お休み」

~深夜 病室~

(みんな・・・明日も会いに来てくれるんだろうな。それは嬉しいんだけど、やっぱりみんなと別れる日が来るって、そう実感させられるようで、ちょっと不安だ。みんなはああ言ってるけど、やっぱり私はもう・・・ううん、みんながあれだけ信じてくれたんだもん!私が治るって信じてなきゃ!)

114 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 19:52:12.31 rROdJHTo0 38/75

~翌日 放課後~

「おじゃましまーす」

「おっす」

「二人の分の紅茶も入れるわね」

「ごめんね、わざわざ」

「ありがとうございます。あ、純ちゃんも部活終わったら来てくれるみたいです。大体5時ぐらいかな?」

「じゃあそのころに出発だな」

「それにしても・・・これだけの人数がいて私たちが出来るのがお見舞いだけだなんて・・・ちょっと心苦しいな」

「そうね・・・でも」

「ああ分かってる。出来ることからやるしかない」

「私が変わってあげられたらな・・・」

115 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 20:09:05.48 rROdJHTo0 39/75

「憂、そんなこと言わないで。憂が思い病気になっても悲しむ人は大勢いるんだよ?もちろん私も。自分だけの命だなんて思わないでよ」

「・・・ごめん梓ちゃん。また私だけこんなこと言って」

「気にしないで。気持ちは分かってるつもりだよ」

「いい友達を持ったわね、憂」

「鈴木さんが来るまでだいたい30分か・・・せっかくだしちょっと練習しようぜ」

「律から練習って言い出すなんて・・・どうしたんだ?」

「明日は雪ですね」

「お前らなあ・・・まあいいや。唯が言ってただろ?「練習はちゃんとしろ」って。ここでティータイムだけやってお見舞い言ってたら唯に合わす顔がねえよ」

「りっちゃん素敵!かっこいいわ!」

「さすが部長ね」

「そこまで褒められるとちょっと調子狂うけど・・・ってかほら、早くやろうぜ!」

(やっぱりなんだかんだで律先輩は頼りになるな・・・こういう時は)

「よし・・・それじゃ、やるか!」

118 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 20:23:22.25 rROdJHTo0 40/75

(やっぱりみんな格好いいな。お姉ちゃん、こんな人たちと毎日演奏してるんだね)

「ねえ憂、どうしてあんたは軽音部に入らないの?唯もあんたのこと誘ったって言ってたわよ?」

「えっと・・・一番の理由は家事とかで忙しいからかな。頑張れば両立も出来たと思うけど、部活が中途半端になったらみなさんに申し訳ないし。ただ、新入部員が誰も入らなかったら考えたかもしれないけど・・・でも梓ちゃんが新歓ライブに感動して入部してくれるって言ってくれたから、もう大丈夫だなって思って。実際、梓ちゃんが入ってから部活の雰囲気も良くなったし、団結力も強くなったと思う。何よりお姉ちゃんが喜んでたし・・・私が中途半端に部活するより、ずっと良かったと思うよ。今のこの演奏だって、このメンバーだからこそ出来るものだと思うし」

「そう。でもたまにはみんなではしゃいだりしたくないの?」

「部活には入ってなくても、澪さん達がよく家に来てくれるし・・・梓ちゃんや純ちゃんともよく遊ぶし、私はそれで十分幸せだよ」

「本当にあんたはよく出来た妹ね。唯と生まれてくる順番間違えたんじゃないの?」

「もう!それいうの何回目なの、和ちゃん」

119 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 20:29:53.76 rROdJHTo0 41/75

「さて、そろそろ鈴木さん来るだろうし、この辺にしとこうぜ」

「久しぶりに本格的に練習したな。なんか充実してたって感じだ」

「あとは唯ちゃんが帰ってきてくれれば・・・」

「帰って来たら毎日このペースでしごき倒してやるです!」

「それはちょっとご勘弁だな」

「もう!せっかく部長らしくなってたと思ったのに・・・」

「まあまあ。私も一緒に練習するから、また頑張ろうな、梓」

「はい!(やっぱり普段の練習で頼りになるのは澪先輩だなあ)」

「失礼しまーす」ガチャ

「いらっしゃーい!」

「やあ鈴木さん」

「澪先輩!・・・とみなさん、こんにちは」

「よし、それじゃ行くか。鈴木さん、今すぐ出発していい?」

「大丈夫です!早く行ってあげましょう!」


120 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 20:41:47.54 rROdJHTo0 42/75


~夕方 病院~

「みんな、私ちょっとお手洗いに行ってくるから、先に行ってて」

「待ってようか?」

「ううん。早く行ってあげて。私もすぐ行くから!」

「分かった。それじゃまたあとで」



「すいません、琴吹ですが・・・」

受付「ああ、あなたが。先生から話は聞いています。ご案内いたしましょう」

「ありがとうございます」

~診察室~

「失礼します」

医者「あなたが、医者の増員と資金、薬物等の援助を申し出て下さった琴吹家の方ですね?」

「はい・・・」




121 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 20:45:25.37 rROdJHTo0 43/75

医者「まず、それについてのお礼を言わせて下さい。ありがとうございます。しかし、通常一患者のためにこのような処置をとることはありません。この件に関しては口外しないようお願いします。」

「はい」

医者「それともう一つ。ガンの治療は、人材と資金が贅沢だから完治するという単純なものではありません。根本的な治療法が確立されていない今、あなたの援助が完治の可能性を高めるとは断言出来ません。そのことをご了承下さい」

「・・・分かってます。でも、もし助けになれる可能性があるなら、と思っただけですから」

医者「私が言いたいのはそれだけです。それでは、面会に行ってあげて下さい。6時には検診をするのでよろしくお願いします」

「はい。失礼します」

~唯の病室~

「お待たせしました~」

「あ、ムギちゃん!これで全員揃ったね~」

「ごめんね遅れちゃって。調子はどうなの?」

122 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 20:58:15.15 rROdJHTo0 44/75

「今のところは元気だよ!ガンにだって打ち勝てそうなぐらい!」

「うふふ。唯ちゃんなら勝てるわ」

「えへへ、ありがと。あ、純ちゃん、今日はわざわざ来てくれてありがとう!」

「はい!先輩がピンチだって聞いて・・・昨日からずっと心配してました」

「鈴木さんは部活もちょっと早めに切り上げてきてくれてるんだからな。感謝しろよ唯!」

「ごめんね純ちゃん!すぐに退院するから!」

「あせらなくていいですよ!あたしが好きで来てるんですから」

「あんた、ほんとにいろんな子に愛されてるわね」

「私って幸せもの~?」

(お姉ちゃん、昨日より元気そう)

「あ、ういー、明日ここに持って来て欲しいものがあるんだ~」

「なに?なんでも言ってよ」

「ちょっと重いとは思うけど・・・ギー太持って来て欲しいんだ~」

「ギー太を?」

126 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 21:21:52.10 rROdJHTo0 45/75

「唯、何も病院に入ってまで練習しなくても・・・っていうかそんなの病院が許してくれるか?」

「ギー太は弾くためだけのものじゃないよ!いつも私を見守ってくれてるんだから」フンス

「ああ、お守りとして持ち込むってことか・・・」

「それに、お昼にちょっと練習するぐらいなら隣の部屋の人にも迷惑かからないと思うし、大丈夫だと思う。この2日ギー太を見てないから寂しいんだよ~」

「分かった。一応病院の人にも聞いてみて、いいって言ってくれたら持ってくるね」

「ありがとねういー」

「病院に入ってまでギー太ですか」

「ありゃりゃ、あずにゃんまた嫉妬~?あずにゃんもギー太と同じぐらい大事に思ってるよ~」

「なっ、そんなんじゃありません!練習もいいけどちゃんと休養しないと退院出来ないって言ってるんです!」

「あずにゃん、ありがとう」

「さて、そろそろ6時だし・・・そろそろ行くか」

「そうだな。じゃあ唯、また明日」

「みんなばいばーい、憂、ギー太はよろしくね」

「はーい」

127 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 21:34:28.16 rROdJHTo0 46/75

その後、昼から夕方の間しか弾かないという約束の上でギターの持ち込みを許可された私は、みんなと一緒にギターを届けにいった。
お姉ちゃんはとても喜んで、病院にいるにも関わらず学校ではしゃいでいる時と同じように振る舞っていた。

それからは、日によって誰かが抜けたりすることもあったけど、軽音部のみなさん、純ちゃん、それと山中先生と一緒にお姉ちゃんのお見舞いに行く毎日。
病院にいながら毎日仲のいい人たちと騒いでいるお姉ちゃんはとても幸せそうだった。私たちもまた、同じように幸せだったと思う。

お姉ちゃんが元気そうなのと、転移こそしているが今のところ再発してはいないという医者の言葉が、私たちを安心させていた。

でもそれは、あくまで一時的な安心。

お姉ちゃんが入院してから3ヶ月、学校が夏休みに入ってしばらくたった8月半ば、私たちの安心は打ち砕かれた。

~8月13日 午後 平沢家~
prrrr
「ん?この番号は・・・登録してないけど、確か病院・・・!」
「もしもし、平沢です!・・・えっ、お姉ちゃんが!?」


131 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 22:19:30.80 rROdJHTo0 47/75

~20分後 病院~

「はあっ、はあっ・・・お姉ちゃんは!?」

医者「落ち着いて下さい!唯さんは、以前と同じ症状です」

「同じ?それって・・・」

医者「血便・・・それも、かなりの量です」

「そんな・・・もしかして・・・」

医者「現在検査中ですが・・・おそらく、再発かと思われます」

(そんな・・・嘘嘘嘘・・・あれからずっと元気だったのに・・・)

医者「それで・・・みなさんの励ましや協力の結果、精神面では全く問題ありませんでした。そのおかげで、しばらく症状は安定していたのですが・・・」
   
「それで・・・・お姉ちゃんはどうなるんですか・・・・?」

医者「まだ良い方向へ向かう可能性もありますが・・・早ければ・・・あと3ヶ月で」

「(嫌・・・どうしてそんなことになるの?あんなに元気だったのに・・・ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテ)」
   
医者「・・・さん!平沢さん!」


137 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 22:31:16.31 rROdJHTo0 48/75

「失礼します!・・・って憂!?どうしたの!?憂!!」

医者「離れて!平沢さんは冷静さを失っています。私が落ち着かせるので、少し外で待っていて下さい」

「大丈夫です!・・・憂、落ち着いて。私だよ」

「あずさ・・・ちゃん・・・?」ブルブル

医者「(医者のどんな言葉も、友人の優しさには勝てないか)」

「ごめんなさい・・・以前よりも取り乱してしまいました・・・」

医者「いえ、状況が状況ですので。お気になさらず」

「それで憂・・・あのメールのことなんだけど・・・」

「(メール?・・・あぁそうか、私さっき走りながらみんなにメールしたんだった。お姉ちゃんに何かあったみたいだから、来れる人は至急病院に来て下さいって・・・)

「梓ちゃん、お姉ちゃんは・・・」

医者「待って下さい。それは関係者の方が到着してからみなさんにお話しましょう」

「・・・分かりました」


145 : 以下、名... - 2011/02/19(土) 22:53:06.23 rROdJHTo0 49/75

それから約30分ほどで軽音部のみなさん、純ちゃん、山中先生、和ちゃんが到着した。
あれから何回かお見舞いに来てくれた私達の両親は、今日は外せない仕事のため来られないそうだ。

医者「みなさん、落ち着いて聞いて下さい。平沢唯さんの容態が悪化しました。ガンの症状が再発したものと思われます。最悪の場合、余命は3ヶ月と予想されます」

「そんな・・・あれからずっと元気だったのに・・・」

「・・・・」

「それで・・・助かる確率は・・・?」

医者「検査報告がまだなので確実なことは言えませんが・・・あの様子からみて、かなり低いと予想されます」

「なんでよ・・・私たちも唯先輩もずっと頑張ってたじゃない!どうして!!」

さわ子「落ち着きなさい純ちゃん!」

「唯・・・」

「(憂の様子からみて間違いなく悪い方向に進んだんだとは思ってたけど・・・こんなことって・・・)」



155 : お待たせしました - 2011/02/20(日) 00:10:59.82 fJVRkn9y0 50/75

「これから・・・私たちはどうすればいいんですか・・・」

医者「今出来ることは、唯さんを信じて支え続けることだけです」

「(結局それしかないのかよ・・・くそ!)」

「ちょっと待って、もしかして3ヶ月後って・・・」

「・・・唯先輩にとって最後の学園祭・・・」

「そんな・・・そんなことって・・・」

「・・・私に提案があるわ」

「なに?唯を助けられるの?」

「いえ・・・科学的根拠なんてなんにもない・・・でも確実に唯のためになることよ」

「なんなんだ?唯のためになるなら・・・」

「学校のみんな・・・いえ、唯を愛する全ての人みんなで唯のために千羽鶴を織るのよ」

「千羽鶴・・・折り紙で鶴を千匹作るっていうアレですか?」

「おかしなことだとは思うけどね。でも、みんなの気持ちを一つにして何か出来ることがあるとするなら、それしか私には思いつかないわ。みんなはどう思う?」


157 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 00:22:19.13 fJVRkn9y0 51/75

「・・・私はやります。唯先輩に気持ちを伝えるためなら・・・何匹だって織ってやります!」

「みんな、和の意見に反対する人は?」

全員「・・・・」

「よし・・・ならやるか!千羽鶴!」

さわ子「そうとなったら・・・夏休みだけど学校のみんなを集めないとね!」

「先生、私は生徒会を通して各クラスの代表委員にそれぞれ連絡させます。とりあえず余裕を持って明後日、全校登校日としてもらえますか?」

さわ子「まかしておきなさい。教師には全員、事情を話すわ」

「憂、唯のガンについて、生徒、教師全員が知ることになるわ。いいわね?」

「うん・・・それだけお姉ちゃんを想ってくれる人たちがいるなら・・・私はその人たちの力を借りたい」

「・・・なら、千枚の折り紙を用意しないとな。これからみんなで買いに行こう」

「そうね・・・明後日までに千枚用意して、みんなに配らないと」

「よし・・・なんかやる気出てきた!」

「よし!みんな!まずは折り紙の買い占めだ!」

全員「おーっ!」


160 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 00:35:11.01 fJVRkn9y0 52/75

-----私は、まだ生きているんだろうか?
昨日だったか、さっきだったか、いつ起こったのかすらあまり記憶できていない、激痛。
必死の思いでナースコールを鳴らしたはいいが、その先の記憶は残っていない。

再発。
いつか来るとは思っていたが、あまりに平和な日常の中で、その恐怖からは目を逸らし続けていたが、本当に来ると最早何も考えることが出来ない。
意識にあったのは、前の時よりも症状が悪化しているということだけだった。

-----私は、まだ生きているようだ
悪夢でも見ていたかのような得たいのしれない恐怖を味わい続けた私は、しばらくして現実に意識を戻すことができた。自分がどうなっていたとか、そんなことはしばらく考えられず、診察室の天井と思われる目の前の風景を呆然と眺めていた。

思考の復活。
私はこれからどうなるのだろう?助かる見込みは?死ぬとしたら余命は?私を想ってくれるみんなは?
意識が回復してくると、様々な疑問が浮かび上がり、あたらしい疑問に塗りつぶされていく。
私が意識を取り戻したことに気づいたのだろう、しばらくすると医者が数名、私の前に現れた。

現実。

私が助かる見込みは、かなり低いらしい。


161 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 00:43:15.10 fJVRkn9y0 53/75

~翌々日 桜ヶ丘校 体育館~

A「夏休みなのに全員集合って何事なのかしら?」

B「重大なことなのは間違いないだろうけど・・・」

C「悪いことじゃなきゃいいけど・・・」

校長「えー、みなさん。本日は夏季休校の中、登校してくれてありがとうございます。みなさんに集まってもらった理由についてですが・・・まあ、私よりも彼女らに話してもらった方が良いでしょう。では、お願いします。」

A「彼女らって・・・あれ放課後ティータイムじゃない?」

B「ホントだ。生徒会長とさわちゃんもいるけど・・・でもボーカルの唯ちゃん、髪型違うくない?」

C「あの子は唯ちゃんの妹よ。たしか憂ちゃんじゃなかったかしら」

「軽音部部長、田井中律です。みなさん、集まってくれてありがとうございます。今日は、私達からのお願いを聞いてもらうために集まってもらいました。」


163 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 00:52:07.54 fJVRkn9y0 54/75

ザワザワ ザワザワ
さわ子「静粛に!話は最後まで聞きなさい!」

「軽音部のギタリスト、平沢唯が今、ガンで入院しています」

ザワザワザワザワ ザワザワザワザワ
A「唯ちゃんがガン!?一体どうして?」

B「最近見ないような気はしたけど・・・」

C「それで唯ちゃんだけいなかったのか」

D「私唯ちゃん達と同じクラスだけど、ずっと休んでたわ。何かの病気だとは思ってたけど・・・」

E「事情が事情だから、本当のことはなかなか話せなかったってことかしらね」

「正直に話すと、唯が助かる可能性はかなり低いそうです。医療技術の詳しいことに関しては私は把握してはいませんが・・・。とにかく、今唯はかなり危険な状態です。私達に出来ることはないか・・・ずっと考えてきましたが、側にいて元気付けてやることしか出来ませんでした。そこで・・・桜ヶ丘のみなさん。私達は、平沢唯のために千羽鶴を織ろうと思っています。みなさんにも協力してもらおうと思い、集まってもらいました。」


166 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 01:01:22.38 fJVRkn9y0 55/75

「お願いします。唯を想う気持ちがあるのなら・・・みなさんの力を貸してください!」

A「千羽鶴か・・・生徒、先生を総動員してやっと作れるかってとこだけど・・・」

B「・・・私は作りたいわ。放課後ティータイムは桜高の華だもの。そのメインボーカルの唯ちゃんを死なせるわけにはいかないわ!」

C「私も。あの人たちの演奏、すごく感動するんだ。唯ちゃんのために出来ることがあるなら、やりたい」


D「もう、りっちゃん達も水臭いよね。もっと早く言ってくれればよかったのに」

E「まったく。私達には断る理由がないわ」


F「私、唯さんの演奏に勇気をもらってたの。最後の学際、唯さんの歌聞きたい!」

G「うん。それに私達梓ちゃんと憂ちゃんのクラスメイトだもんね。二人のためにもやらないと!」

「みんな・・・ありがとう」

「各クラスの代表委員、クラスの総意がまとまれば発言して下さい」

各代表「協力します!」


167 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 01:11:38.33 fJVRkn9y0 56/75

「全クラス、協力、か。流石ね、唯」

「みなさん・・・ありがとうございます・・・!」ウルウル

「ありがとうございます!!」

「では、1クラス60枚を目標として下さい。担任の先生方、配布をお願いします」

担任1「織った鶴はどうすればいいかしら?」

「音楽室に持ってきて下さい。そこで千羽まとめます」

担任1「分かったわ」

担任2「配り終えました」

「みなさん、唯のために協力してくれてありがとうございます。唯へのみなさんの気持ちは、私達が必ず届けます!」

「以上です。それではみなさん、唯への気持ちを込めて織ってください」

「(それから、各クラスの教室でみんなが必死に鶴を織り始めた。軽音部のみなさん、私、和ちゃん、純ちゃん、さわ子先生は、音楽室で作業を開始した)」


169 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 01:19:29.56 fJVRkn9y0 57/75

~音楽室~

「は~・・・みんな協力してくれて良かった」

「りっちゃん、すごくかっこよかったわよ!」

「まったくだ。いつもの律からは想像出来ないような誠実さを感じたよ」

「今日の律先輩は本当に部長って感じでした!」

「澪と梓は素直に褒められないのかよ・・・まあいいけどさ」

「律さん、今日はありがとうございました。律さんの真剣な言葉が届いたからこそ、みなさん協力してくれたんだと思います。すごく逞しくて、しっかりしてて、素敵でした!」

「(そこまで褒められると調子狂うな・・・まじめな憂ちゃんだけに)ありがとう、憂ちゃん。でもまだ始まったばっかりだ。これから頑張らないとな!」

「はい!」

「当然ながら、私達は多く織りますからね」

「そうね。私も折り紙なんていつ振りか分からないから、骨が折れそうだわ」


170 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 01:27:05.33 fJVRkn9y0 58/75

さわ子「教師もみんな協力してくれるっていうんだから、あんた達も頑張りなさいよ」

「私の両親も今日家にいるし、一緒に作るよう言っておきます」

「うん、お願い」

「私達は数多く織らないと駄目だけど、1羽1羽丁寧に気持ち込めて織らないとな」

「そうね。そうじゃなきゃ意味がないわ」

「全クラス分の鶴を回収したら、唯の様子を見に行きましょう」

さわ子「そうね」

~約30分後~

「これで全クラス分か」

「ざっと800羽ってとこか」

「残りは私達で織ってやるです!」

「それじゃ、病院に行きましょう」


171 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 01:33:51.26 fJVRkn9y0 59/75

~病院~

「すいません、平沢唯に面会したいんですけど」

受付「ええと・・・平沢唯さんは、今睡眠しています」

「え・・・?」

医者「かまわないよ、入れてあげなさい。彼女らは唯さんの睡眠を邪魔したりはしないよ」

受付「分かりました。では、くれぐれも静かにお願いします」

~唯の病室~

「本当だ・・・お姉ちゃん寝てる・・・」

「昨日意識を失ってから・・・どうしたんだろう?」

「どんな辛い思いをしたんだろうか・・・唯・・・」

「みんな、唯が起きるまで外にいようぜ。やっぱりこれだけ人数がいる唯も目が覚めそうだ」

「そうですね・・・」


173 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 01:40:39.49 fJVRkn9y0 60/75

「・・・ふわぁぁ・・・私寝てたんだ・・・ん?手紙?」

お姉ちゃんへ
目が覚めたら、携帯に連絡して


「憂・・・みんな来てくれたんだね・・・」

「あ、お姉ちゃんからメール・・・お姉ちゃん、起きたみたいです」

「よし、行きましょう」

「みんな~、よく来てくれたね」

「お姉ちゃん、大丈夫なの・・・?」

「今のところはね、心配かけちゃってごめん」

「本当に心配したんですからね・・・!」

「それでみんな、私の容態のこと、どう聞いた?」


175 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 01:50:28.46 fJVRkn9y0 61/75

「お前には嘘は通じなそうだな。最悪、3ヶ月の余命ってこともありえるってさ・・・」

「そっか・・・でもそれは精密検査する前の話だね」

「え・・・それってどういう」

「はっきり言っておくから、みんな落ち着いて聞いてね。・・・私は、多分1ヶ月以内に死ぬ」

全員「!!!!」


それまで持ち続けていたささやかな希望も、お姉ちゃんを想う人々全ての気持ちも、全て
が音も立てず崩れ去ったような気がした。
少なくとも、私を支えてくれる人たちがいなければ、私は気を失っていただろう。
辛うじて自我を保っていた私は、私を支えてくれる人たちと共に、その場に力なくしゃがみこんだ

「待ってよ・・・何かの間違いじゃないの・・・・?」

「転移がどーとか、私にはよく分からなかったけどね。どうやら私のガンは急速に悪化したみたいなの。多分間違いないと思う」

「そんなことって・・・」


177 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 02:11:47.63 fJVRkn9y0 62/75

「先輩・・・先輩・・・うぅ」

「ひどい・・・ひどすぎるよ!どうしてこんなことに・・・!」

さわ子「この世には神様なんていないの!?どうして唯ちゃんがこんな目に・・・!」

「・・・・結局、私達がやってきたことって・・・・」

「りっちゃん!そんなこと言っちゃだめ!みんなが毎日来てくれなかったら、私は心細くてそれこそどうなってたか分かんないよ!入院してから今まで、みんなのおかげで楽しい時間を過ごすことができた!その努力だけは否定しちゃだめ!!」

「唯・・・」

「みんな、聞いて。これから1ヶ月・・・みんなにはやって欲しいことがあるの」

「・・・何ですか・・・?」

「・・・みんなには、それぞれの人生を楽しんで欲しいの」

「そんな・・・唯がそんな状態なのに、どう楽しめっていうんだよ!?」

「だからこそだよ!私のためにみんなが泣きっぱなしの一ヶ月なんて私絶対いやだ!!」


180 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 02:42:25.05 fJVRkn9y0 63/75

「ねえ・・・あと3ヶ月で学園祭なんだよ?だったらみんなのやることは決まってるでしょ? 放課後ティータイムとして、最後の学園祭に向けて練習すればいい。純ちゃんだってジャズ研の発表があるし、和ちゃんは生徒会長なんだから何かと忙しいでしょ」

「つまり、私達にはそれぞれやるべきことをやれ・・・ってことか?」

「でも、私達は唯ちゃんのお見舞いにだって来たいわ!」

「ありがとう。その気持ちは大切にしたいから、来れる時は来てね。でも、私のこと気にして、私といない間もみんな暗い気持ちで過ごすのは絶対駄目。」

「でも!みんなが唯先輩のことを考えないなんてこと、出来るはずが・・・」

「いえ、考えないわけじゃない。唯のことを考えるからこそ、唯の望みに応えるべきよ。唯は私達に「今」を楽しめって言ってるの。それに、お見舞いも私達のやるべきことも、両立は出来るはずよ」

「和ちゃん、私の言いたいこと分かってくれたんだね」

「でも唯、憂はどうなの?唯のために頑張ることを生きがいにしてた憂は・・・」

「憂が幸せだと言うなら、私に毎日会いに来てくれると嬉しいな。お弁当とか作ってきてくれたらもっと嬉しい!」

「そんなこと・・・いつもやってたことと同じじゃない・・・」


182 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 03:04:55.88 fJVRkn9y0 64/75

「同じだからこそだよ。憂が今までしてくれたことが憂にとっての幸せなら、これから一ヶ月も続けてくれればいい。それが私の望みだよ」

「お姉ちゃん・・・」

「憂、今は私達がやるべきことをやろう。唯先輩が望むなら・・・私は練習する。憂は唯先輩の世話。今まで通りのことをお互いにするんだよ。それが唯先輩の望みなんだから」

「・・・そうだね」

さわ子「・・・みんな、やることは決まったようね」

「ああ。これから1ヶ月・・・忙しくなりそうだな!」

「頑張ってね!みんな!」


それから・・・
軽音部のみなさんとは練習を早く切り上げた時だけお見舞いに行くようになった。梓ちゃんから聞いた話によると、かなり真剣に練習しているようだ。和ちゃんも生徒会の仕事をこなしながら、お見舞いにちょくちょく来ていた。純ちゃんは、ジャズ研がお休みの日に病院に来た。
時間帯はずれることが多いけど、時々さわ子先生も来てくれた。
私はというと・・・毎日病院には来ているけど、お姉ちゃんと面会できる時間は日に日に短くなっていった。
確実にその日が迫っているという現実と、お姉ちゃんに会えない辛さから、私は押しつぶされそうになっていた。
でも、お姉ちゃんは私達の幸せを望んでいた・・・だから私は、悲しんでなんかいられない・・・!


188 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 03:35:32.74 fJVRkn9y0 65/75

そして、9月半ば。お姉ちゃんとの短い面会時間がやってきた。
そして今日は、約1ヶ月前にみんなで作った千羽鶴を渡す日だった。
もっと早く渡したかったけど、お姉ちゃんの面会時間と、みんなが揃う日がなかなかなかったので遅くなってしまった。

「ういー・・・毎日来てくれて・・・ありがとうね・・・」

「だって・・・お姉ちゃんに会えるだけ私は幸せなんだから」

「憂・・・私、憂のお姉ちゃんでいられてよかった・・・和ちゃんと出会えてよかった・・・軽音部に入ってよかった・・・私、今でも・・・すごく幸せなんだよ」


「・・・今日は、みんなもうすぐお見舞いに来てくれるんだって。予定よりちょっと遅れてるけど・・・」

「そっか・・・良かった・・・」

「唯ー?」ガチャ

「みなさん!」

「みんなー・・・来てくれたんだね・・・」

(大分衰弱してる・・・これ以上渡すのが遅れてたらどうなってたことか・・・)

「唯先輩、今日はみんなから唯先輩に渡すものがあるんです」


190 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 03:43:18.87 fJVRkn9y0 66/75

「えー・・・何かなあ・・・」

「みんなで気持ちをこめて作りました」

「どうか、受け取って」

「これは私達の・・・桜高の生徒や、お前の両親、世話をしてくれたおばあちゃん達の  気持ちだ」

さわ子「教職員総動員したのも忘れないでよ」

「これが、唯先輩を愛する人たちの、愛の結晶です」

「唯が、いつか助かると信じて織ったんだ」

「みんな、唯のために心から願いを込めて織ったのよ」

「お姉ちゃん・・・これが私達の想いの結晶・・・千羽鶴だよ」

「すごい・・・千羽も私のために・・・・みんな・・・ありがとう・・・わたし・・すごく・・しあ・・わせ」

ナース「失礼します。すいません、今日の面会はここまでで」

「それじゃ、私達また来ますから」

「大事にしろよ、その千羽鶴」

「それじゃお姉ちゃん、また明日ね」

「うん・・・」


192 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 03:48:35.98 fJVRkn9y0 67/75

いつも通り、お姉ちゃんと別れる。
とりあえず千羽鶴を渡せたということで、今日はみんなでご飯を食べにいった。
私は・・・もしかしたらみんなも、心になにか不安を抱えていたかもしれない。
そんな不安を紛らわせるためにも、私達はその食事を楽しんでいた。







同日、夜10時13分。

私の姉 平沢唯は、ガンによって命を散らした。


194 : エピローグ - 2011/02/20(日) 03:52:22.94 fJVRkn9y0 68/75

2ヵ月後


私、平沢憂は、舞台に立っている。

見慣れた舞台だが、自分が立つのは初めてだ。

側にいるのは、一緒に支えあって生きてきた人たち。

ここは桜ヶ丘高校体育館、私達は放課後ティータイム。

私達は、学園祭に出ているというわけだ。

ここは本来私がいるべき・・・いていい場所じゃない。

それでもわたしがここにいるのは・・・


197 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 03:58:10.99 fJVRkn9y0 69/75

唯の死去から、一週間後

~平沢家~

ピンポーン
平母「はーい・・・えっと、あなたたちは・・・?」

「唯と憂ちゃんの友達です。憂ちゃんと話がしたいんですけど、いいですか?」

平母「どうぞ入って。・・・あの子を救えるのは、友達だけだろうから」

「(助ける?そんな大層なことは出来ないけど・・・)お邪魔します」

~憂の部屋~

「憂、入るよ」ガチャ

「あ・・・梓ちゃんに純ちゃん・・・それにみなさんも・・・」

「憂ちゃん、私達は憂ちゃんに手紙を渡しに来たんだ」

「手紙・・・・?まさか・・・」

「そう。唯からよ」


198 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 04:01:41.43 fJVRkn9y0 70/75

「もし私が死んだら・・・憂が落ち着いたころに渡して欲しい・・・そういってたわ」

「私達はまだ中を見てない。見ていいのは憂ちゃんだけだ」

「今日はこれを渡しに来ただけだから、あたし達はこれで失礼するよ」

「憂、また学校でね。信じてるから」

「うん・・・それじゃみなさん、また」



「お姉ちゃんからの・・・手紙・・・」


200 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 04:12:03.41 fJVRkn9y0 71/75

--------憂へ

この手紙を読んでるってことは、私はもうこの世にいないと思う。
こんな書き出しで手紙を書く日が来るなんて思ってなかったよ憂。

憂、今はどんな言葉でも、憂の心の傷は癒えないと思う。
憂は頼りがいのある私の自慢の妹だけど、すごく寂しがりやさんでもあったからね。

でも、今回のことで分かったと思うけど、辛いのは憂だけじゃない。
私のことをこんなに思ってくれてる人が大勢いたのは嬉しいけど、その人たちをみんな傷つけちゃった。
そのことはすごく悲しいよ。

憂、私の後を追おうなんてことは絶対に思わないで。そんなのでこっちに来たって、私相手してあげないんだから!
憂にはこれから、梓ちゃんや純ちゃん、和ちゃん、そして軽音部のみんなと支えあいながら生きて。
そして、憂がやりたいことを見つけるの。
今までは私のために尽くすことを幸せだと思ってたなら、新しい幸せを探して欲しい。
それが私の幸せだから。

憂のやりたいことは自分で探して欲しいけど、私から一つプレゼント。
私の思い出が詰まった相棒、ギー太は、憂に持っていて欲しい。どう使うかは憂次第。
私はギー太を通して憂を見守ってるからね。




202 : 200の訂正「梓ちゃん」→「あずにゃん」 - 2011/02/20(日) 04:21:13.84 fJVRkn9y0 72/75

私の目には涙が溢れていた。でも、私はやるべきことは見つけた。
私はお姉ちゃんの部屋に足を踏み入れる。立てかけてある、お姉ちゃんの相棒に手を伸ばす。

「私・・・ちゃんと弾いてあげられるかな・・・?」

私はギー太を手に取った。何度か触らせてもらった時に覚えたフレーズを弾いてみる。
お姉ちゃんが奏でた音・・・私が出せるわけがない。それでも・・・

翌日、私は学校に行った。放課後、一目散に音楽室に駆け込む。

「失礼します」ガチャ

「おー憂ちゃん。どうしたの?」

「あの・・・私、軽音部に入りたいんです!」

「・・・憂なら、いつかそういうんじゃないかって思ってた。でも理由を聞かせて?」

「・・・お姉ちゃんは、私にギー太を残してくれた。だから私は、お姉ちゃんの意志を継ぎたい。お姉ちゃんは、私にやりたいことを見つけて欲しいって言ってくれた。お姉ちゃんのギー太を継いで、私を支えてくれた仲間と演奏する・・・それが、今の私のやりたいことなんです」


203 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 04:27:46.18 fJVRkn9y0 73/75

「そっか・・・なら、私は歓迎するよ。大切な友達が入部してくれるんだもん」

「私も歓迎するよ。憂ちゃんが決意したのなら」

「そうね。きっと唯ちゃんも喜ぶわ」

「憂ちゃん、入部届けは持ってきた?」

「・・・はい!」」

「よし、確かに受け取った。なら憂ちゃん、たった今から、君は放課後ティータイムの一員だ!」

「ありがとうございます!」

「憂、学園祭までそう時間はないよ。ビシビシいくから、覚悟しててね!」

「望むところだよ、梓ちゃん!」

「よし!なら早速練習だな!」

「その前にお茶飲みましょ?」

「(唯・・・憂ちゃんはやりたいことを見つけたぞ。だからお前は安心して憂ちゃんを・・・私達を見守っててくれ)」


204 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 04:40:20.59 fJVRkn9y0 74/75

------------

放課後ティータイムの演奏の素晴らしさは、個人の技術によるものじゃない。
5人のそれぞれの個性、そして絆によるものだ。あの5人だからこそ出来る演奏なんだ。
私は、ずっとそう考えてきた。純ちゃんや和ちゃんに話しても、二人とも同じ意見のようだった。

当たり前だけど、お姉ちゃんが抜け、私が入った放課後ティータイムは、かつての輝きを放つことなんて出来ないだろう。でも私は放課後ティータイムとして演奏することを決めた。
自分がやりたいと思ったことを、そう簡単に止めるわけにはいかない。
私はこのギー太で音を奏でる。お姉ちゃんがギー太を通して見守ってくれるなら、私はギー太を通してお姉ちゃんに音楽を聴かせる。

かつての輝きを失ったとしても、別の輝きを放ってみせる。
この人たちとなら、それが出来る気がする。

だからやるね、お姉ちゃん。

「続いては、みなさんおまちかね、放課後ティータイムによる演奏です。」

「みんな、やるぞ!」

「おーーーっ!!」


「みなさんこんにちは、放課後ティータイムです!」

おしまい


208 : 以下、名... - 2011/02/20(日) 04:46:09.47 fJVRkn9y0 75/75

呼んでくれた方、支援してくれた方、ありがとうございました。
何回も中断したせいですっかり早朝ですね・・・最後まで付き合って下さった方、ありがとうございます。
医療知識なしで勝手に続きを書いたため、矛盾する箇所も多いと思いますがお許し下さい。

ハッピーエンドも書こうと思ったのですが、BJ先生を出さなきゃ救いようがないので・・。


記事をツイートする 記事をはてブする