ザアアァァ....
さやか「うわー、凄い雨になってるよ…」
さやか「夕方には止むって言ってたのになぁ…」
さやか「あーあ。まどか達と一緒に帰ればよかった…」
ほむら「何をしているの?」
さやか「ほむら?今帰り?」
ほむら「えぇ、まぁ」
ほむら「それよりさやか、そんな所で何をしているのよ?」
さやか「いや、傘忘れちゃってさ…」
ほむら「……なら、一緒に帰る?」
さやか「え?」
元スレ
さやか「何でだろう…最近転校生の事ばっかり考えちゃってる…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326711841/
ザアアァァ....
さやか「いやー、悪いね。助かったよ、ほむら」
ほむら「別に。貴女の家、通り道だし」
さやか「私の家、知ってんの?」
ほむら「………まどかが教えてくれたのよ」
さやか「あー…なるほど」
ほむら「ダメだったかしら?」
さやか「いやいや。ほむらなら大丈夫だと思うし」
ほむら「そう?なら、いいのだけれど」
さやか「ははは…」
ザアアァァ...
ピシャッ ピシャッ ピシャッ
ほむら「雨、強くなってきたわね」
さやか「ほら、もっと中入りなよっ。肩濡れてんじゃん」
ほむら「平気よ、これくらい」
さやか「ダメだって」グイッ
ほむら「ちょ……」
さやか「ほら、これなら大丈夫」
ほむら「………近すぎでしょ」ボソッ
さやか「ん?」
ほむら「もう……恥ずかしいから、さっと行くわよ」ギュッ
さやか「へいへーい」
カチャ、カチャ、ガチャッ
さやか「はー、ようやくの我が家」
ほむら「……それじゃ、私はこれで」
さやか「まぁまぁ。そんなに急がなくてもいいでしょ?」
さやか「上がってお茶していきなよ」
ほむら「………」
さやか「そ、そりゃ、マミさんみたいに小洒落たもんはないけどさ…」
ほむら「………はぁ」
ほむら「それじゃ、お言葉に甘えるわ」
さやか「えへへ。いらっしゃい、ほむら!」
さやか「じゃーん!ここがさやかちゃんのスウィートルームだよ!」
ほむら「へぇ…」
ほむら「意外と整頓できてるのね」
さやか「意外とは何だね、意外とは」
ほむら「…………意外よね」
さやか「まじまじと見ながら言わないでよ」
さやか「とりあえず、お茶いれてくるから、そこの座布団にでも座って待っててよ」
ほむら「えぇ。お願いするわ」
さやか「ふふーん。さやかちゃんの実力を見て驚かないでよー?」
さやか「茶柱だって立てちゃうんだから!」
タッタッタッタ....
ほむら「…………茶柱に実力ってあるのかしら」
さやか「おまたせ~」
カチャン
ほむら「………」
さやか「どよ?」
ほむら「………見事な茶柱で」
さやか「でしょー?最近コツ掴んだんだー」ニコニコ
ほむら「…………」
ズズズ...
ほむら「ふむ、美味しいわ」
さやか「お茶菓子ポテチしかなかったけど、別にいいよね?」
ほむら「………」
ほむら(お煎餅がよかったな…)
――――
―――
――
さやか「でさぁ、そこで恭介がね…」
ほむら「そう…。貴女、本当に彼の事が好きなのね」
さやか「ん………まぁね」
さやか「でも、前程じゃないかな?」
さやか「結局、私はあいつと付き合う所まではいかなくて、あんなに恋慕していたのが今では夢見てたみたいな感じなんだよね」
さやか「なんだろう?何て言ったらいいか……。ほむら、わかる?」
ほむら「……さぁ。私、まだ恋なんてした事ないし」
さやか「えー?嘘だー」
ほむら「本当よ。まぁ、強いて言えば、まどかへの想いなんかは恋みたいなモノだったかも知れないわ」
さやか「えぇっ?それってまさか…」
ほむら「みたいな、よ。恋とは違うわ」
さやか「なーんだ。私はてっきり、ほむらも女の子が好きな人なのかと思ったよ」
ほむら「ありえないわ」
ほむら「…………も?」
さやか「ん?何?」
ほむら「その言い方だと、他に女の子が好きな女子がいるの?」
さやか「え?あ……!」
さやか「ま、まぁ、親戚に、ちょっとね?」
ほむら「ふぅん…」
ほむら「ねぇ、さやか。その人の話……」
さやか「あ、そろそろ雨止んできてない?」
ほむら「あら、本当ね」
さやか「でも、だいぶ暗くなってきたし…送ってくよ、ほむら」
ほむら「ん……そうね…」
ピシィーーーーッ!!!
ほむら「ひゃっ!」ギュッ
さやか「へっ?」フラッ
ドサッ
ゴロ、ゴロゴロ....
ほむら「………」
さやか「た、ただの雷だよ?ほむら、ビビり過ぎだって……!」
ほむら「………」ギュッ
さやか「ちょ、ちょっと、ほむら?」
ドクン、ドクン、ドクン...
ほむら「………さやかだって、心臓が早鐘打ってるじゃない」
さやか「あははは、ばれたか…」
ほむら「……」
ほむら「………さっきの」
さやか「ん?」
ほむら「女の子が好きな親戚の話」
さやか「あ、あれは、その…」
ほむら「それ、ちょっと聞かせて貰えるかしら」
さやか「えと、その、私もよく知らなくて…」
ほむら「……そう」
さやか「ほ、ほら。雷も静まったし、そろそろどいてよ」
ほむら「………私の親戚にも」
さやか「えっ?」
ほむら「私の親戚にも、女の子が好きな子がいるって言ったら」
ほむら「さやかはどうする?」
さやか「え………と………」
ほむら「………」
さやか「………っと、それはつまり―――」
ほむら「なーんてね」
さやか「へ?」
ほむら「冗談よ。私にそんな親戚はいないわ」
さやか「え?あ、うん?」
ほむら「それに、そんな見ず知らずの相手の事、なんでさやかが真剣に考えるの?」
ほむら「意味がわからないわね」ニヤニヤ
さやか「ん?あれ?えーと、これはつまり…」
さやか「あ、あはははは……なんでかな?」
ほむら「さぁ?これくらい、自分で考えなさい」
ほむら「さて、と」
スクッ
さやか「あれ?どこいくの、ほむら」
ほむら「雨も雷も止んだみたいだし、そろそろお暇するわ」
さやか「あ、そっか。そんな話だったっけ…」
ほむら「えぇ」
ほむら「お茶、美味しかったわ。ありがとう、さやか」
さやか「いえいえ、どういたしまして」
ほむら「それじゃ」
さやか「あ、待って。私も行くから」
ほむら「別に、私は一人だって大丈夫よ?」
さやか「まぁまぁ。レディをエスコートするのも紳士の嗜みってね」
ほむら「ふふ。どこに紳士なんているの?」ニヤニヤ
さやか「目の前だよっ!イッツミー!」
ピチャ、ピチャ、ピチャ...
さやか「すっかり暗くなっちゃったね…」
ほむら「流石に寒いわね…」
さやか「ふふーん。そうだろうと思いましたっ!」
ほむら「?」
さやか「なんと、さやかちゃんのマフラーはロングマフラーだったのです!」
ほむら「知ってたわ」
さやか「あれ?」
ほむら「一人だけ随分暖かそうだったものね?」
さやか「ご、ごめんなさい…」
ほむら「ほら、半分貸しなさいよ」
さやか「あ、うん」
スルスル...
ほむら「………」
さやか「あはは、ちょっと短かったかな…」
ほむら「………別にいいわ」ギュッ
さやか「ほむら?」
ほむら「手、冷たいでしょ?」
さやか「………うん、そだね」ギュッ
ザアアァァ...!!
ほむら「はぁ…はぁ…!」
さやか「はっ…はっ…」
ビシャン!ビシャン!ビシャン!ビシャン!
ほむら「ほら、そこの家よ!」
さやか「う、うん…!」
ビシャン!ビシャン!ビシャン!ピシャッ
さやか「ふはぁ…着いたぁ…」
ほむら「はぁ…制服がびしょびしょ…」
さやか「ははははっ…まさか、途中からまた降り出すなんて、着いてないなぁ…」
ほむら「まったくよ…。傘は風でダメになってしまったし、今日は厄日だわ」
さやか「たはははっ…。なんでかなぁ…」
ガチャッ
さやか「………」
ほむら「何を突っ立っているのよ。早く入りなさい」
さやか「う、うん。お邪魔しまーす…」
ほむら「今、タオル持ってくるから」
さやか「うん、ありがと」
ほむら「軽く拭いたら上がってお風呂場に行っててちょうだい」
ほむら「突き当たって右にあるから」テッテッテ
さやか「はーい」
さやか「んー……」ゴシゴシ
ほむら「終わった?」
さやか「まぁ…。頭はなんとかなったけど、服がなぁ…」
ほむら「だったら取りあえず脱ぎなさい」
ほむら「それでお風呂入ってしまえば、問題ないでしょう」
さやか「でも、着替えないし…」
ほむら「………」
ほむら「その格好でいるよりマシよ!」
さやか「うぅ…」
さやか「………」ヌギヌギ
ほむら「……」ヌギヌギ
さやか「なんでほむらまで脱ぐのさ?」
ほむら「順番に入ってたら、後から入る人が風邪をひいてしまうでしょう?」
ほむら「だから、一緒に入るのよ」
さやか「そりゃ、そっちの方がいいだろうけど…」
ほむら「嫌?」
さやか「そ、そんな事は…」
ほむら「なら、さっさと入りましょう」ギュッ
さやか「は、はい…」ドキドキ
ゴシゴシ
さやか「ほむらって、綺麗な肌してるよね」
ほむら「そうかしら?」
さやか「真っ白だし、触ってて凄く気持ちいい」サワサワ
ほむら「ん…くすぐったいわ…」
さやか「あはは、ごめんごめん」
ゴシゴシ、ゴシゴシ...
さやか「はい、背中終わりー」
ほむら「ありがとう。さやかは私の身体を洗うの上手ね」
さやか「ん?それって褒め言葉?」
ほむら「もちろん」
クルッ
ほむら「だから、他の所も洗って貰えるかしら?」
さやか「そ、そうくるかー…」
チャプン..
ほむら「二人だと、うちの湯舟も流石に狭いわね」
さやか「そうかな?ちょうどいいと思うけど」
ほむら「いえ、やっぱり狭いと思うわ」
ほむら「……少し、そっちに寄ってもいいかしら?」
さやか「あ、うん……どぞ」チャプ..
ほむら「ふふ…」ススス..ピトッ
さやか「………やっぱり、少し狭いかも」
ほむら「でしょう?」
さやか「ん…でも、ちょうどいいのかも」ギュッ
ほむら「………ふふふ」
ブァ---……
さやか「髪長いと、頭洗うのも大変だよね」
スッ、スッ、スッ....
さやか「なかなか梳き甲斐があるよ」
ほむら「そうね…。そろそろ切ろうかしら」
さやか「んー、私は長い方が好きだけどなぁ」
ほむら「そう。なら、まだ切らないでおくわ」
さやか「うん。それがいいよ」
ほむら「そのかわり、これからも私が髪を洗う時は手伝いなさい?」
さやか「マジか…」
さやか「嫌じゃないけどさ」
さやか「さて、と。着替え、どうしよっか」
ほむら「ショーツはまだ卸してない私のをあげるとして、上はサイズがないわね」
さやか「下もちょっとキツイです…」
ほむら「……まぁ、これじゃあね」ムニムニ
さやか「ちょ、お尻揉むなぁっ!」
ほむら「………」スリスリ
さやか「そして撫でるな……!」
ほむら「スキンシップよ」
ほむら「さやかだって、よく人の胸を揉むでしょう?」
さやか「それは、まぁ…」
ほむら「それと一緒でしょ?」ムニムニ
さやか「むぅ……ぅ?」
ほむら「冗談はさておいて。はい、これ」
さやか「セーター?」
ほむら「何も着ない訳にはいかないでしょう?」
ほむら「前に間違えて買った大きめのがあったから、あげるわ」
さやか「いやー、ありがとね、ほむら」
ほむら「下は…私のじゃ入らないし…」
さやか「こたつに入ってれば平気じゃない?」
ほむら「こたつで寝る気?」
さやか「えっ?」
ほむら「え?今日はうちに泊まるのでしょう?」
ほむら「貴女の服、まだまだ渇かないだろうし、どうやって帰るつもり?」
さやか「そうでした…」
さやか「………お世話になります」
ほむら「ええ。いらっしゃい」
さやか「スースーする…」
さやか「てか、めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど…」
ほむら「別に、下着を着てないぐらいであたふたしなくてもいいでしょ」
ほむら「この家には私達しかいないんだし」
さやか「でもさぁ、中途半端に服着てると、羞恥心が…」モジモジ
ほむら「……じゃあ、全部脱いでみる?」
さやか「いやいやいや…」
さやか「それじゃあさやかちゃん変態じゃん!」
ほむら「そうかしら…」
さやか「えー……」
ほむら「余り普段と変わらないと思うけど」
さやか「あんたは私を何だと思ってんだ…!」
ジュー....
さやか「何作ってるの?」
ほむら「青椒肉絲」
さやか「ほむらって中華が好きなんだ」
ほむら「特にそれでないとダメって訳じゃないけど」
さやか「ふーん。私は大好きだな」
さやか「特に、青椒肉絲が!」
ほむら「それは重畳」
ジャー、ジャー...!!
さやか「うわ、凄ッ!」
ほむら「ふふふ……」ニヤニヤ
カチャ、カチャ...
ほむら「それでね、その子が言うには―――」
さやか「えー?それはないでしょ?だってさぁ―――」
ほむら「――――そうね、さやかの言う通りだと思う」
さやか「そう?ありがと、ほむら」ニッ
ほむら「………ふふっ」スッ
ヒョイ、パクッ
さやか「ん?」
ほむら「ほっぺた、ご飯つぶついてたわ」
さやか「あちゃ…。お恥ずかしい」
ほむら「別に。それだけ夢中になってくれたんでしょう?」
さやか「えへへ、そうかもねっ」
ほむら「………さ、片付けましょうか」
さやか「お願いしまーす」
<コツンッ
ほむら「貴女も手伝うんでしょ?」
さやか「うぇー?仕方ないなぁー…」
ギュゥッ
さやか「えへへ、おぶってってよ。ほむらの家、よくわからないんで」
ほむら「…はぁ。………本当にばかね、貴女って」ギュッ
さやか「ふふん!楽できるなら、バカだっていいもん!」
ほむら「はいはい。………行くわよ?」
さやか「うーい」
ノッシ、ノッシ...
――――
―――
――
ほむら「そろそろ寝ましょうか」
さやか「ん?まだ早くない?」
ほむら「明日も学校よ?私はともかく、貴女は一度帰らないといけないんじゃない?」
さやか「う…そうであった…」
さやか「ほむらー、一緒に寝よー?」ギュッ
ほむら「はいはい…」
ジュー…
トン、トントントン...
ほむら「ん………」
ほむら「…誰……さやか……?」
さやか「あ、おはよー。ほむら」
ほむら「おはよ…。何してるの?」
さやか「朝ご飯作ってるんだよ!」
ほむら「………勝手に冷蔵庫を開けて?」
さやか「うぐ………」
ほむら「………ま、いいけど」
ほむら「そのかわり、とびきり美味しいのじゃないと、許さないから」ギュ-ッ
さやか「わっわっ、ちょっ、包丁持ってるんだよ!?」
ほむら「昨日のおかえし」
さやか「うー……」
ほむら「料理が完成したら離してあげる」
さやか「もう…。そんな事したら、一生離れられなくなるからね?」
―――
――
―
まどか「さやかちゃん、遅いなぁ…」
ほむら「じきに来るわ。もう少し待ちましょう」
まどか「うん…」
まどか(………あれ?)
さやか「おーーーーい!!」
まどか「あ、さやかちゃーん!」
ほむら「ようやく来たわね…」
さやか「ごめんごめん、遅くなっちゃったー!」
まどか「もー!もう少しで置いてっちゃう所だったんだからー!」
さやか「ははは、悪かったってば」
ほむら「ほら。来たのなら、早速行きましょう?」
さやか「おぅっ!」
まどか「あ、うん…」
まどか「さやかちゃ―――」
ほむら「随分遅かったわね、さやか」
さやか「ま、まぁね…」
ほむら「どうせ寝坊したんでしょ」
さやか「違うよぉっ。まったく失礼しちゃうなー」
まどか(あれ?…あれ?)
まどか「さやかちゃん…?」
さやか「なーに?まどか」
まどか「あ、ううん。呼んでみただけ…」
さやか「何だー?相変わらず可愛いなぁ、まどかは!」ワシャワシャ
まどか「きゃっ!も、もう、やめてよぉ…!」
ほむら「………」
ほむら「少し遅れそうね…」
ギュッ
ほむら「ちょっとだけ、走る?」
さやか「あ、うん」
まどか(………)
ギュッ
さやか「行こ?まどか」
まどか「………うん」
まどか「さやかちゃん」
さやか「ん?」
まどか「………何でもないよ」ギュッ!
さやか「?」
ほむら「………走るわよ」
さやか「おー!」
まどか「うん……いこっか!」
ガヤガヤ...
ザワザワ...
まどか「……ねぇ、ほむらちゃん」
ほむら「どうしたの、まどか」
まどか「さやかちゃんと何かあったの?」
ほむら「………」
ほむら「別に、特別な事はなかったと思うけど、……何故?」
まどか「ううん、ただ何となくなんだけど」
ほむら「そう」
ほむら「………大丈夫よ、まどか。喧嘩してるなんてことは、全くないから」
まどか「そういうんじゃなくて…、その、逆というか……」
ほむら「………」
キーンコーン...
ほむら「一限が始まるわ。席に戻りましょう」
まどか「うん…」
さやか「………」
まどか「さやかちゃん!」ギュッ!
さやか「わっ!ま、まどか!?」
まどか「どうしたの?ぼぅっとしてたよ?」
さやか「あ、いや…たいしたことじゃないんだ」
まどか「………ほむらちゃんの事?」
さやか「ん………かな?」
まどか「何かあったんだ?」
さやか「うーん……、何もなかったような、あったような…」
まどか「あははは、何それ?」
さやか「まぁ、なんと言いますか…」
さやか「とにかく、この頃変なんだよね…」
さやか「何でかな…。最近、ほむらの事ばかり考えてるみたいでさ…」
まどか「さやかちゃんが?」
さやか「うん、まぁ」
まどか「ふーん…」
さやか「変、なんだよね…」
まどか「恋、なんじゃないかな」
さやか「え………?」
さやか「はは、まっさかぁー…」
まどか「………」
さやか「別にほむらが女の子好きな訳じゃないし」
さやか「私だって、私が好きな訳じゃないし…」
まどか「………」
まどか「私は、好きだよ?」
キュッ
さやか「…まどか?」
まどか「さやかちゃんの事」
さやか「…なんだなんだー?私だってまどかの事、大好きだぞっ!!」ギュウ~
まどか「………そういうのとは、違うんだよね」ボソッ
さやか「うん?何て言ったの?」
まどか「何でもない…何でもないよ!」ギュウッ!
さやか「?」
まどか「ずっと、離れないでね?さやかちゃん」
さやか「あはははっ。今日のまどかは、なんだか甘えん坊だな~」
まどか「………」
さやか「この前話したチーズケーキのお店がさ―――」
ほむら「―――そうなの?流石は巴マミね」
さやか「ヤバイよねぇ―――」
まどか(どうしたのかな)
まどか(二人とも、凄く仲が良くなったみたい…)
まどか(別に、前から仲が悪かった訳じゃないけど―――)
まどか「………何考えてるんだろ、私」
さやか「どうしたの?まどか」
まどか「えっ?あ、その、なんでもないよ?」
ほむら「何か悩みでもあるのかしら?」
さやか「まさか………恋!?」
まどか「え、あ、うぅ…?」アタフタ
さやか「さっき私にあんな話をしたのは、まさか自分が恋してたからかぁー?」
ほむら「まどか、そうなの?」
まどか「あううぅ………」ドギマギ
――――
―――
――
美術教諭「それでは、二人一組になってお互いをデッサンしてみてください」
まどか(さやかちゃんと…)
仁美「鹿目さん、一緒に組みませんか?」
まどか「え?あ、えと…」
ほむら「さやか」
さやか「ん?私と組む?」
ほむら「ええ。差し支えなければ、だけど」
さやか「OKに決まってんじゃん!ほら、その椅子空いてるよー」
まどか「………お願いします」
仁美「えぇ。こちらこそ、ですわ」ニコッ
ほむら「………そのホームベースは何かしら?」
さやか「…………テヘッ」
ほむら「………」ポカンッ
さやか「あいたっ!」
ほむら「もっと真面目に描きなさい…!」
さやか「はーい…」
さやか(結構自信あったんだこど、黙っておこう…)
まどか(楽しそうだなぁ…)
――――
―――
――
さやか「ようやくお昼休みですよ!」
ほむら「貴女、お弁当は?」
さやか「………ないです」
まどか「珍しいね、さやかちゃん。何かあったの?」
さやか「いや、まぁ、寝坊的な…?」
まどか「ふぅーん…。じゃあ、私のお弁当、少し分けてあげるよ」
さやか「まどか…!流石私の嫁…!」
ほむら「待ちなさい」
まどか「?」
ほむら「まどかのお弁当を奪うなんて許さないわ」
まどか「奪うなんて、そんな…」
ほむら「貴女は、私の作ってきたので我慢なさい…」ズイッ
さやか「え?ほむらの分は?」
ほむら「………今日は余分に作って来てしまったのよ」プイッ
さやか「………」
さやか「ありがと、ほむら」ニコッ
ほむら「た、たいしたことないわよ、こんなの」テレテレ
まどか「………」ムッ
さやか「次は選択体育か…」
ほむら「私はバレーだけど、貴女達はバトミントンだったわよね?」
さやか「うん」
まどか「また後でね、ほむらちゃん」
ほむら「えぇ、そっちも気をつけて」
さやか「ほむらも怪我すんなよー」
ほむら「そんなにドジじゃないわ」フフン
まどか「それじゃ、行こうか、さやかちゃん」
さやか「オッケー」
<タッタッタ....
ほむら「……私もバトミントンにすればよかったな」
パコーン、パコーン...
まどか「ねぇ、さやかちゃん」
さやか「何ー?」
まどか「やっぱり、ほむらちゃんと何かあったんだよね」
まどか「今日だけお弁当作ってきてるなんて、おかしいよ」
さやか「んー……まぁ」
まどか「やっぱり、あったんだ」
さやか「でも、本当にたいした話じゃないんだよ?」
さやか「昨日、ほむらの家に泊まったってだけだし」
まどか「………なんで二人とも、内緒にしてたの?」
さやか「恥ずかしかったから、かなぁ」
まどか「でもそれって、恥ずかしがることじゃないよね?」
さやか「そうだねぇ…」
まどか「…………ねぇ、さやかちゃん」
まどか「ほむらちゃんの家で、何かしたの?」
さやか「………」
バレー教師「しっかり柔軟して戻れよー?解散ー」
ほむら「ふぅ…」
まどか「お疲れ様、ほむらちゃん」
ほむら「まどか?一体どうしたの?」
まどか「向こう、早く終わったから、来ちゃった」
ほむら「そう。……さやかはどうしたの?」
まどか「先に戻ったよ?」
ほむら「なら、私達も…」
ガシッ
まどか「待ってよ、ほむらちゃん」
ほむら「え?」
まどか「聞きたい事があるの」
ほむら「何かしら?私に答えられる事?」
まどか「答えて、絶対」
ほむら「………」
――――
―――
――
教師「気をつけて帰るように」
さやか「ふぃー。やっと終わった…」
さやか「帰ろうか、ほむら、まどか」
まどか「うん!」
ほむら「………」
さやか「ほむら?」
ほむら「ごめんなさい。私、今日は少しやらなきゃいけない事があって…」
さやか「どれくらいかかるの?私、待ってるよ」
ほむら「時間はわからないの。だから、悪いわ」
ほむら「私は大丈夫だから、先に帰っていて」
さやか「そう?」
ほむら「ええ、大丈夫よ。でも、ありがとう」
さやか「ん…。じゃ、またメールとかするから」
まどか「またね、ほむらちゃん!」
ほむら「………」
トボ、トボ...
さやか「ほむら、どうしたのかな…?」
まどか「さぁ…」
さやか「流れで先に来ちゃったけど、大丈夫かな?」
まどか「大丈夫じゃないかな?ほむらちゃん、しっかりしてるし」
さやか「そりゃそうだけど、んー…」
さやか「…一応、メールしてみる」
まどか「…………」
ピッ、ピッピッ....
まどか「さやかちゃん、今日は何か用事ある?」
さやか「いや、特には…」ピッピッ
まどか「じゃあさ、今からさやかちゃんの家、行ってもいいかな?」
さやか「うん、いいよ」ピピッ!
さやか「よし。送信、と」
まどか「………」
カチャカチャ、ガチャッ
さやか「たっだいまー!」
さやか「……って、誰もいないんですけどね」
まどか「えへへ、お邪魔しまーす」
さやか「いらっしゃい、お茶出すよー」タタタタッ
まどか「うん、ありがとう、さやかちゃん」
まどか「………」
―――
――
まどか「―――でね、たっくんが…」
さやか「嘘ー、超可愛いじゃん!」
まどか「でしょー!でもね、そのあとが凄くって―――」
さやか「………あ、ちょっと待って。天気予報が始まっちゃう!」
まどか「?さやかちゃん、天気予報なんて見てたっけ?」
さやか「んー。昨日は見てて、でも大外れでさー」
さやか「でもま、一応見とこうかな、って」
まどか「ふーん…」
予報士『本日は午後5時過ぎから雷雨を伴う雲が―――』
まどか「……そういえば」
さやか「うん?」
まどか「昨日は、ほむらちゃんと帰ったんだよね?」
さやか「うん、そうだよ」
まどか「それで雨に濡れて、ほむらちゃんの家に泊まったんだっけ」
さやか「そうそう。あれには参ったなー」
まどか「ほむらちゃんと一緒にお風呂入ったんだ?」
さやか「まぁ、恥じらうもんでもないっしょ?」
まどか「………」
まどか「さやかちゃんは、その…」
さやか「?」
まどか「ほむらちゃんの事、好きなの?」
さやか「そりゃあ―――」
まどか「友達としてじゃなくて」
さやか「――――」
さやか「そ、そっちかぁー」ポリポリ
まどか「えへへへ…」
まどか「…それで、どうなの?」
さやか「まぁ、何と言うか、嫌いじゃないと言うか…」
さやか「で、でも、女同士って、やっぱり変でしょ?だからさ―――」
まどか「変じゃないよ」
さやか「えっ………と」
まどか「女の子同士だって、好きになったりするもん」
さやか「まどか……?」
まどか「私………、私ね…」
まどか「さやかちゃんの事、好きだよ?」
まどか「………大好きだもん」
さやか「………」
――――
―――
――
シト、シト...
さやか「………」
まどか「……雨降ってきちゃった」
さやか「うん…」
さやか「天気予報じゃ、強い雨はこっちまで来ないってさ」
まどか「そうなんだ、残念」
まどか「いっぱい降ってくれればいいのに…」
さやか「……送ってくよ、まどか」
まどか「ん………」
まどか「ううん、大丈夫」
さやか「………ごめんね」
まどか「何でさやかちゃんが謝るの?」
さやか「……ごめん」
まどか「もう、謝るくらいだったら……」
まどか「……だったら、嘘でもいいから、好きって言って欲しいな、って思ったり……」
さやか「………目つぶって、まどか」
まどか「?」
<…………チュ...
まどか「あ………」
まどか「………ずるいよ、さやかちゃん」
さやか「うん……」
まどか「………それじゃ、また明日ね!」
まどか「バイバイ!さやかちゃん!!」
タッタッタッタッ....!!
さやか「………」
ザアアァァァ....
さやか「天気予報、あてにならないや」
さやか「まどかはちゃんと帰れたかな?」
さやか「…………ほむら、もう帰ったかな」
さやか「………」
さやか「…ちょっと、コンビニでも行ってこようかな」
さやか「………傘は、一つでいっか」
ザアアァァァ...!
ほむら「……………」
ほむら「……………」
ほむら「………雨は止まない、か」
ほむら「帰ろうかしら、このまま」
ト、ト、ト....
ほむら「ぁ………」
さやか「おっす」
ほむら「……何してるのよ」
さやか「えーと、まぁ、その………散歩?」
さやか「いやぁーしかし、凄い雨ですなー」
ほむら「………」
さやか「時にお嬢さん、もしかして傘がなかったりしませんか?」
ほむら「そうね。誰かが貸してくれるとありがたいのだけれど」
さやか「残念ながら貸せる程の傘はありませんが…」
さやか「しかしどうです?相合い傘というのも乙な物ですよ?」
ほむら「はぁ…。そういう事、普通に言えないの?」
さやか「あははは、ちょっとふざけ過ぎちゃった」
ほむら「まったく………」
ズイッ
ほむら「ほら、行きましょ」ギュッ
さやか「はーい……」
ザアアァァァ...
ピチャ、ピチャ、ピチャ...
さやか「………さっき、さ」
ほむら「何?」
さやか「まどかに告白されちゃったんだよね…」
ほむら「!……そ、そう、なの」
さやか「いやー、まさか私が告白されるとは思ってなかったから、ビックリしたよー」
ほむら「それで?」
ほむら「貴女は、なんて?」
さやか「ん………」
さやか「……ごめんなさい、と」
ほむら「…………そう」
さやか「うん……」
ほむら「それは…」
ほむら「まどかが、同性だから…?」
さやか「……違う、かな」
さやか「私もまどかの事好きだけどさ」
さやか「たぶん、私の好きは、友達として、なんだ」
ほむら「そう」
ほむら「………」
さやか「………」
ザアアァァァ...!!!
ほむら「―――私の事は?」
さやか「………」
ほむら「……やっぱり、何でもな―――」
さやか「好きだよ」
ほむら「………それは、どっちの?」
さやか「たぶん………恋人として」
ほむら「…」
ザアアァァァ...
ほむら「………私は」
さやか「……あ」
さやか「私の家、着いちゃった」
ほむら「………」
さやか「い、意外と近かったのかな…ははっ」
ほむら「…ちょっと」
さやか「な、何?」
ほむら「聞かないの?私の返事」
さやか「えと、その、また今度とかで…」
ほむら「………もう」スッ
さやか「あ、ちょっと!?」
ザアアアァァァァ・・・・!!!
ほむら「………」グッショリ
さやか「ちょ、何してんのさ!」
さやか「ああもう、びしゃびしゃじゃん!」
ほむら「そうね。早く乾かさないと、風邪をひいてしまうかも知れないわ」
ほむら「ねぇ、さやか。近くに、誰か泊めてくれる家はないかしら?」
さやか「………あるよ」
ほむら「そう」
ほむら「じゃあ、行きましょう?」
ほむら「そこで教えてあげるわ、さやか」
ほむら「――――私の、本当の気持ちを、ね?」
おわり
尊い