雷鳴轟く荒れ地にそびえ立つ魔王城──
ここに足を踏み入れた命知らずは、まず三つのエリアを越えなければならない。
炎と溶岩で構成された、灼熱のエリア。
暴風が全てを切り裂く、竜巻のエリア。
冷気と吹雪で覆われた、極寒のエリア。
これらを越えると、いよいよ魔王のエリアである。
暗黒の瘴気に包まれた長い長い廊下を駆け抜けると──
魔王の部屋はもう目の前だ。
元スレ
側近「勇者が来ました!」魔王「バカ、オ○ニー中だ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326803506/
魔王の部屋のドアを、側近があわただしく叩く。
ドンドンッ
側近「魔王様、大変でございます!」
ドンドンッ!
側近「魔王様、大変でございます!」
ドンドンッ!
側近「まったく反応がない……。中で何をしているんだか……」
側近「──入りますよっ!」
ガチャッ
側近「魔王様!」
側近「勇者が来ました!」
魔王「バカ、オ○ニー中だ!」
魔王は下半身丸出しで、AVを観賞していた。
しかも側近のノックにすら気づかないほど熱中していた。
テレビの中では、ガーゴイルがサキュバスの陰部を舐め回している。
サキュバス『や、やめてぇ……』
ガーゴイル『へっへへ、こんなに濡れてるくせによくいうぜ……んん~?』ピチャピチャ
魔王「ふっ……ふっ……で、なんだって?」シコシコ
側近「勇者が城に迫っていると、斥候から連絡が入りました」
魔王「ふっ……ふっ……」シコシコ
魔王「ふっ……ふっ……。ついに来たか、勇者め」シコシコ
側近「やめましょうよ!」
魔王「え? ふっ……ふっ……」シコシコ
側近「こんな緊急事態にオ○ニーなんてやめましょうよ!」
魔王「緊急事態だからこそ、オ○ニーだろうが!」シコシコ
魔王「ここで抜いておかないと、絶対に後悔する!」シコシコ
側近「分かりました……。じゃあオ○ニーは続けたままでいいです」
魔王「うむ。ふっ……ふっ……」シコシコ
ガーゴイル『へへへ、ここが気持ちいいのか……え?』ヌルッ
サキュバス『や、やめ……んあっ!』
魔王「ほっ……ほっ……」シコシコ
側近(にしてもガーサキュか……。魔王様もなかなか目の付けどころがいいじゃないか)
側近(ん? ちょっと待てよ)
側近「魔王様、これ私のビデオじゃないですか!」
魔王「ん、ああ、借りた。部屋から無断で。ふっ……ふっ……」シコシコ
魔王「あんな目立つところに置いておく方が悪い」シコシコ
側近(ったく、この人は……! ん?)
側近「でも魔王様、さっきから全然勃っていませんね」
側近「ナニが萎んだままですよ」
側近「よろしければ、もっとオススメのヤツを持って来ましょうか?」
魔王「バカ! これがワシのMAXサイズだ!」シコシコ
側近(ちっさ!)
魔王「あぁ~、キサマの失言のせいでちょっと萎んだじゃないか!」シコシコ
側近「す、すいません……」
側近「しかし魔王様、勇者が来てるってのは本当ですからね」
魔王「ふっ……ふっ……。対処はキサマに任す、好きにせい」シコシコ
側近「分かりました。しかし万一ということもあります」
側近「魔王様もオ○ニーは早々に切り上げて下さいよ」
魔王「分かっておる。ふっ……ふっ……」シコシコ
側近「オ○ニーでの体力消費はもちろん、テレビやビデオ再生にも魔力が消費されますから」
この世界には電気が存在しないので、
テレビやビデオデッキを動かすには魔力が必要となる。
魔王「大丈夫だ。まだ半分ほどしか魔力は使っておらん」シコシコ
側近(半分も!?)
魔王「ふおっ……ふおっ……」シコシコ
側近「あの……」
魔王「おふっ……おふっ……」シコシコ
側近「じゃあ私は部下に指示を──」
魔王「ほっ……ほっ……」シコシコ
側近(聞いちゃいねえ)
魔王「ふっ……ふっ……」シコシコ
側近「……ポークビッツ」ボソッ
魔王「キサマ、だれがポークビッツか!」シコシコ
側近「魔王様、部下に改めて守りを指示しますので、失礼します」
魔王「おっ……おっ……」シコシコ
斥候の情報では、魔王はあと一時間もすればこの城に着くという。
側近は魔王城の各エリアを統括する、恐るべき3大ボスを集めた。
灼熱エリアを統括する、火魔神!
竜巻エリアを統括する、風邪!
極寒エリアを統括する、氷鬼!
側近「暇人、カゼ、コオリオニ、いよいよキサマらの出番だ」
火魔神「字が違います!」
風邪「私の名前は風邪(ふうじゃ)です!」
氷鬼「私も氷鬼(ひょうき)です! 子供の遊びじゃないんですから!」
側近「ごめん。ちょっとイライラしてて、わざと間違えた」
側近「おそらくあと一時間足らずで勇者はこの城にやってくる」
側近「しかし、魔王様は今非常に消耗してしまっており、とても戦える状態ではない」
側近「だから、勇者は絶対に食い止めねばならない! いいな?」
火魔神「ははっ! 絶対に勇者を倒してみせます!」
氷鬼「しかし、魔王様ほどの方が消耗とは、いったいなにをされたのですか?」
側近「ナニをしていただと? え、えぇと……マ、マス……」
風邪「マス?」
側近「マスターなんちゃら、というか、自慰行為というか……」
火魔神「マスター!?」
風邪「示威!?」
氷鬼「つまりマスターという強者と戦い、勝ち、示威行為をしたと!?」
側近「うん、もうそれでいいや」
3大ボスに警備強化を命じたが、側近の不安は拭えない。
側近(勇者は強い……あの三人でも厳しい戦いになりそうだ)
側近(魔王様のオ○ニーもそろそろ終わった頃だろう)
側近「魔王様、入りますよ」
ガチャッ
魔王「ほっ……ほっ……」シコシコ
側近「まだやってたんですか!?」
側近「それとももう何発か出したとか?」
魔王「い、いや……まだ一発も……」シコシコ
魔王「なんか知らんが、出ないのだ……なかなか……」シコシコ
魔王「そ、そうだ、キサマが勇者が来たとかいうからだ!」シコシコ
魔王「緊張してしまって出んのだよ!」シコシコ
側近(えぇ~……)
側近「とりあえず、火魔神、風邪、氷鬼に警備の強化を伝えてきました」
魔王「うむ、ご苦労」シコシコ
側近「これまでのデータの勇者なら、あの三人で倒せるでしょう」
側近「しかし、勇者の成長スピードは──」
魔王「ふ~む……」シコシコ
側近「どうしました?」
魔王「もっとエロくしゃべってくれんか?」シコシコ
側近「おっしゃる意味が分かりかねますが……」
魔王「お前の無機質なしゃべり方は、どうしてもワシを現実に引き戻す」シコシコ
魔王「これではいつまでたってもフィニッシュできん」シコシコ
魔王「もっとエロくしゃべるのだ」シコシコ
側近「………」
側近「わ、分かりました。やってみましょう」
側近「ああっ……ま、魔王様……ゆ、勇者……が……」
側近「もうすぐ勇者が来ちゃうよおおおっ! らめええぇぇぇぇぇ!」ビクンビクン
側近「お城に、お城に突っ込んでくるぅ! いやぁぁ!」
側近「そんなに激しく突っ込まれたら、魔王様危ないよぉぉぉぉ!」
側近「だから、ね……」ハァハァ
側近「私のとっておきの……部下に……命じちゃったのぉ……!」
側近「ゆ、勇者を……倒せ……って……はぁはぁ……」ピクッ
側近「ひぐっ……でも、勇者倒せるかは微妙なのぉ……」
側近「だって……勇者早いんだもん……成長早いんだもん!」ビクンビクン
魔王「やめろ」シコシコ
側近「え?」
魔王「ワシのポークビッツがみるみる萎えてきた」シコッ
側近「……すいません」
魔王「やはり、キサマは普通にしゃべったほうがよい」シコシコ
側近「はい」
側近「我々の持っている勇者の最新データは一週間前のものです」
側近「一週間前の勇者なら、あの三人で十分倒せる強さです」
側近「しかし、勇者は一週間前よりずっとレベルアップしたと思われます」
側近「ですから、あの三人でも勇者を倒せるかは微妙です」
側近「私の見立てでは、五分五分といったところでしょうか」
魔王「ふむ。それで?」シコシコ
側近「つまりですね……」
側近「最悪の場合、勇者が魔王様にたどり着くこともありえるかと──」
魔王「ふむふむ、で?」シコシコ
側近「……えぇ、なので」
側近「さっさとオ○ニーやめて、勇者との戦いに備えろってことですよっ!!!」
魔王「ど、怒鳴るなよぉ……」シコシコ
側近「すいません、つい……」
魔王「分かっておる……ワシとて今すぐオ○ニーをやめたいという気持ちはある」シコシコ
魔王「しかし、やはりワシとて魔王である以前に、一人の男!」シコシコ
魔王「たとえ準備が不十分で、勇者に倒され、逝くことになってしまっても──」シコシコ
魔王「このオ○ニーだけはやり遂げ、イキたいのだ!」シコシコ
側近「………」
魔王「ワシの最後のワガママだ……。分かってくれ、側近……」シコシコ
側近「分かりました。それほどのご覚悟ならば、もうなにも申しません」
ガーゴイル『声が出てないんじゃないか、あぁ~ん?』グッグッ
ガーゴイル『バテてんじゃねぇぞ! もっと激しくするか? あぁ?』グッグッ
サキュバス『ふぅふぅ……あたし、もう……ダメ……』
側近(ん、この会話シーン、見覚えがあるぞ……)
側近(たしか、この後ガーゴイルの魔技・猛烈ピストンが始まるはず)
側近(あれはスゴかった。あれなら、いくら魔王様が緊張してても抜けるだろう)
側近「では、邪魔になると思いますので、私は部屋から出ていましょう」
魔王「分かった」シコシコ
ガチャッ バタン
側近「───!」ピクッ
側近(む……火魔神の魔力が膨れ上がった!)
側近(ついに勇者が城内に入ったようだな……)
側近(いかに勇者といえど、あの三人はたやすく倒せまい)
側近(最悪、魔王様がフィニッシュして、体調をベストを戻すくらいの時間は稼げるはず!)
側近(──にしても、私はなんであのビデオを目立つところに置いておいたんだ……?)
側近(AVコレクションは絶対に見つからないようにしていたはずなのだが……)
側近(………)
側近(……あ、マズイ)
魔王「おおっ……おおっ……」シコシコ
ガーゴイル『さぁ、味わうがいいぜ。俺の魔技・猛烈ピストンをなぁ!』
サキュバス『やめてぇぇぇっ!』
魔王「猛烈ピストンだとぉ……!? おおっ……!」シコシコ
魔王「おおおっ……おおおっ……」シコシコシコシコ
魔王の股間には、かつてない興奮と快感の予兆が集まっていた。
緊張で射精が遅れたことが、かえってオ○ニーの爆発力を高める結果となった。
魔王は小さい小さいミサイル発射台を握りしめ、こう直感した。
これが生涯最後のオ○ニーになるかもしれない……。
しかし……。
生涯最高のオ○ニーになると!
魔王「ふううっ……ふおあっ……!(よし、出すぞ……!)」シコシコシコシコ
ガーゴイル『さぁいくぞ!』グンッ
サキュバス『あぁっダメ──』
プツッ──
行事『のこった! のこった!』
ゴーレム『どすこーい、どすこーい!』グッ グッ
ミノタウロス『うおおー! うおおー!』グイ グイ
実況『横綱同士の対決、この大一番、どっちも譲りません!』
魔王「……え?」シコ…
突如ガーゴイルとサキュバスは消え、
土俵で押し合うゴーレムとミノタウロスが目の前に現れた。
魔王はすぐに射精を止めなければ、と判断した。
生涯最後で最高のオ○ニーのオカズが、マワシ姿のゴーレムとミノタウロスだなんて
──イヤすぎる!
魔王(止まれ、止まれ、止まれぇぇぇぇぇっ!)
魔王(こんなのあんまりだ! 止まれ、止まれ、頼むっ!)
魔王(止まってくれぇぇぇぇぇっ!)
魔王はミサイル発射口を手で押さえ、残る魔力の1/3を使い、
どうにか我慢汁だけで抑えることができた。
魔王(止まったぁ……よかった……!)
疲労困憊ながらも、魔王は軽くガッツポーズをした。
扉が勢いよく開いた。
バンッ!
側近「魔王様! ご無事ですか!」
魔王「側近! なんだアレは! いきなり大相撲魔界場所が始まったぞ!」
ゴーレム『どすこーい!』グイ グイ
ミノタウロス『うおおー!』ブモッ ブモッ
魔王「あやうく石と牛で射精するところだったではないか!」
側近「申し訳ございません……!」
側近「あのビデオは、一番盛り上がるところに間違えて大相撲を上書き録画してしまい」
側近「私のコレクションから外したものだと、すっかり忘れておりました……」
魔王「くっ……なんということだ……!」
側近「しかし魔王様、ちょうどよかったではありませんか」
側近「ゴーレムとミノタウロスのせいで、ナニもすっかり萎えていますし」
側近「まだ勇者が来るまでに時間があります!」
側近「さぁ、準備を整えましょう!」
魔王「イ、イヤだ……!」
魔王「頼む……続けさせてくれ……」
魔王「これはある意味では、勇者を倒すことより大事なのだ!」
側近「ふぅ……。分かりました」
側近「あなたは魔王です。魔族の最高権力者です。なにも文句はいえません」
側近「あなたが自殺しろといえばしますし、自慰させてくれといえばさせましょう」
側近「今すぐ私のコレクションの中でも最高の一品を持って来ましょう!」
魔王「ありがとう!」
ガチャッ バタン
側近(あんなに必死な魔王様を見るのはいつぶりだろうか)
側近(昔を……昔を思い出すな)
500年前──
魔界では、いくつもの勢力が『魔王』となるべく覇権を競っていた。
世間には『魔界大戦』という名で知られた戦争である。
魔王は当時まだ“魔人”であり、側近は“副官”だった。
ある日、彼らは魔王有力候補である魔大臣の軍勢に囲まれ、絶体絶命の危機にあった。
魔人「大丈夫か、副官!?」
副官「ま、魔人様……どうかお逃げ下さい……」
魔人「バカをいうな」
副官「は、早くしないと、包囲が完了して逃げられなくなります……」
魔人「キサマ、もう悔いはないのか? ないのならば、ここに置いていく」
副官「ありませんよ……こうしてあなたにお仕えできただけで私は……」
魔人「──キサマ、最後にオ○ニーしたのは、いつだ」
副官「は?」
副官「最近は忙しくて全然コイてませんから……覚えてません」
魔人「バカ! キサマ、生涯最後のオ○ニーを覚えていないだと!?」
魔人「なんという情けない部下だ!」
魔人「こんなことでは、見捨てたオレにキサマの呪いがふりかかるかもしれん」
魔人「やはりキサマも連れていこう」グイッ
副官「は、はぁ……」
ビリッ ビリッ
魔人は羽織っていたマントで紐を作り、副官を落とさぬように背負った。
魔人「これでよし」
副官「何をする気ですか!?」
魔人「決まっているだろう。あの魔大臣の軍団を突破する」
魔人「足手まといアリで背を向けて逃げるくらいなら、いっそ戦った方が安全だ」
副官「ムチャです。私を背負いながら戦うなんて……!」
魔人「大丈夫だ、オレは死なぬ」
魔人「なぜなら、オレは昨日ふと魔が差して、マニアックなことをしたくなってな」
魔人「よりにもよって、ババア魔女のAVで抜いてしまった」
魔人「……しかも触手責めモノだった」
魔人「思い出しただけでも吐き気がする」
魔人「あんなものが、オレの生涯最後のオ○ニーになってたまるものか」
魔人「だからオレは死なぬ。死ぬはずがないのだ」
副官「わけが分かりませんよ。どういう理屈ですか」
魔人「分からぬのは、お前がまだ未熟だということだ」
魔人「行くぞっ! 落ちないように掴まっていろ!」
魔大臣陣営──
魔大臣「たった二人を倒すにも、ワタシは手を抜かぬ」
魔大臣「今頃500人の軍勢が魔人と副官を囲んでいることだろう」
部下A「まったく、あなた様は鬼畜でございますね」
魔大臣「ふははは、やはりワタシこそ魔王に相応しい」
魔大臣「しかしまぁ、これであの魔人と副官は片付いたな」
魔大臣「どうってことない弱小勢力ではあるが、ツブすに越したことはない」
魔大臣「しかし、この魔界大戦もいよいよ大詰めになってきた」
魔大臣「ワタシが魔王になるために障害となるのは──」
魔大臣「あとは魔将軍や魔首領、魔隊長の勢力といったところか」
部下A「しかし、どれも魔大臣様の敵ではありませぬよ」
この時、部下Bから伝令が入る。
部下B「大変です! 魔大臣様!」
魔大臣「騒がしいぞ、どうした?」
部下B「は、はいっ!」
部下B「魔人と副官を包囲していた部隊が──」
魔大臣「もしや逃がしたか? まぁいい、あんな奴ら逃したところで──」
部下B「全滅しました……!」
魔大臣「な、な、なにぃ!?」
部下B「しかも、魔人はすごい勢いでここに迫ってきております!」
魔大臣「ウ、ウソ……」
ザンッ!
まもなく、副官を背負った血みどろの魔人が魔大臣のいる陣に現れた。
部下A&B「う、うわぁぁぁっ!」タタタッ
魔界は、力のない者はあっさり見捨てられる世界である。
魔大臣「に、逃げるなぁっ! 戦え! 相手はもう瀕死だぞ!」
魔人「……やれやれ、“まだ”瀕死の間違いだろう?」
魔人「キサマに死と瀕死の一番の違いを教えてやろう」
魔大臣「な、なんだ!?」
魔人「死んだらオ○ニーはできないが、瀕死ならばまだできる」
魔大臣(で、できないだろ!)
魔人「さて魔大臣よ、キサマはもう詰まれた王将も同然だ」
魔人「オレも鬼ではない。最期のオ○ニーをする時間くらいくれてやるぞ」
魔大臣「ふ、ふざけるなっ!」
魔大臣「さっきからオ○ニー、オ○ニーと下賤なヤツめ!」
魔大臣「ワタシはオ○ニーなどという低俗なことはせん!」
魔大臣「毎晩毎晩、歴代のミス魔界を寝床に呼んでセッ○スしているわ!」
魔人「………」ブチッ
魔人「──爆発しろっ!」
ドッグワァァン!
魔大臣「ぐげぁっ!?」
魔人の怒りに触れた魔大臣は、爆発呪文によって粉々に粉砕された。
魔人「ふぅ……そろそろ降ろすぞ」スッ
副官「あ、ありがとうございます……!」
魔人「どうだ、オレもキサマも死ななかっただろう」
副官「ええ……。まさに鬼神の如き戦いぶりでした」
魔人「触手ババア魔女が生涯最後になったらたまらんからな……(本当によかった……!)」
魔人「これに懲りたら、キサマも自分が最後にしたオ○ニーくらい覚えておくようにしろ」
魔人「後悔したくなければな」
副官「は、はい……」
副官(しかし、魔人様の目にはうっすら涙が……やはり傷が深いのか……?)
魔人(……オ○ニーを低俗っていわれた、下賤っていわれた)
魔人(しかも毎日ミス魔界と、だとぉ~~~?)
魔人(ち、ちくしょう……!)
魔人の心は案外繊細だった。
魔王を目指す勢力の中でも有力とされた魔大臣を、
零細勢力である魔人が打ち倒したというニュースは瞬く間に広まった。
魔人のもとには大勢の部下が集まり、勢力をどんどん拡大していった。
そして、他の勢力を次々に打ち破り──ついに魔人は魔王となった。
魔界を統一した魔王は、祝賀会で「魔界統一を目指したきっかけは?」と聞かれた時、
「あちこちで戦争をやられると、おちおちオ○ニーもできぬからな」と答えた。
周囲は気のきいたジョークだと笑っていたが、副官から側近になった彼だけは
(いや、この人マジでいってるから……)と苦い顔をしていた。
側近の部屋──
側近(魔王様は本当に強かった)
側近(その後、魔王様は人間界に進出しようとしたが──)
側近(人間の中から現れたとびきりの戦士、勇者によって、こうして追い詰められている)
側近(やはり、上には上がいる、ということなのか……)
この時、側近は火魔神の魔力が消えたことを感じ取った。
側近(ついにやられたか……! やはり勇者は私の予想以上に強くなっている!)
側近(私も急いで、コレクションを持っていかねば!)
側近「さて、どれにするか……」
側近は千を超えるAVコレクションの中から、三つ候補を挙げていた。
『冥土で潮吹き 魔ーメイド』 可愛い人魚マーメイちゃんが冥土でムフフ♪
『オレの職種は触手DEATH』 桃色触手が美女魔族を次々に犯しまくる!
『ガーゴイル&サキュバス ~淫乱神殿編~』 おなじみの二人が今度は神殿で……!?
側近(私の一番はマーメイちゃんだが、魔王様は人魚があまり好きじゃなかったはず)
側近(触手はエグイシーンも多いから、魔王様には少々キツイかもしれぬ)
側近(──となると、やはりガーサキュ最高傑作のコレか)
側近(よし、持っていこう!)
魔王の部屋──
側近「お待たせしました!」
魔王「おおっ、でかしたぞ!」
側近「ガーサキュシリーズの淫乱神殿、私のイチオシAVです」
側近「これならば、最高のオ○ニーに相応しいオカズになるかと!」
魔王「ありがとう、側近よ!」
魔王「キサマのような部下を持って、ワシは本当に嬉しいぞ!」
側近「魔王様に喜んでもらえて、なによりです!」
魔王「ところで側近よ、勇者はどうなっておるか?」
側近「火魔神を倒し、今は竜巻エリアの風邪と戦っているところです」
魔王「うむ、では急がねばならぬな」
側近「いえ、魔王様! 魔王様はオ○ニーに集中して下さい!」
側近「我々部下になど気を取られず、最高のオ○ニーをして下さい!」
魔王「? さっきまでとずいぶん態度が変わったな」
魔王「──まぁいい、ではそうさせてもらうぞ」ズルッ
魔王はビデオをセットし、再び下半身を露出させた。
<ガーゴイル&サキュバスシリーズ>
ファンの間では「ガーサキュ」と略されるAVシリーズ。
パターンは毎回同じで、まずガーゴイルとサキュバスが二人でどこかに出かける。
すると突然、ガーゴイルが「こんなところ来たらセッ○スしなきゃな!」といい、
嫌がるサキュバスを犯すというもの(サキュバスもまんざらでもなさそうではある)。
このムリヤリかつワンパターンな展開が、ファンには大ウケである。
ちなみに側近は神殿編が最高傑作といったが、私は迷いの森編の方が好きである。
ビデオを観賞しながら、ポークビッツを整える魔王。
ガーゴイル『ここが神殿か……』スタスタ
サキュバス『キレイね……。本当に神様が住んでそうだわ』スタスタ
ガーゴイル『こんなところ来たらセッ○スしなきゃな!』ガバッ
サキュバス『きゃあっ! ちょっ……待っ……』
ガーゴイル『口は塞ぐ! んぶちゅっ!』チュパチュパ
魔王「おおおっ! 始まった……!」シコシコ
魔王「おおおっ……! おおおっ……!」シコシコ
魔王「ふっ……! ふっ……! ふっ……! ふっ……!」シコシコ
側近は、外で部下の様子をうかがっていた。
側近(風邪の魔力も消えたか……残るは氷鬼のみ!)
側近(頼むぞ……時間を稼いでくれ!)
側近(魔王様にフィニッシュをさせてやってくれ!)
側近(魔王様に最高のオ○ニーをさせる……)
側近(それが魔人時代からあの方に仕えさせてもらった私にできる、最後の恩返し!)
サキュバス『こんなとこでしたら、神様にバチ当てられちゃうよぉ……』ハァハァ
ガーゴイル『大丈夫、俺はマゾっ気もある』ズチュッ
サキュバス『はうっ……だめだってぇ……』ハァン
魔王「おうふっ……おうふっ……」シコシコ
魔王(これはすごい……さすがは側近……!)シコシコ
魔王(大理石で建てられた美しい神殿の中で──)シコシコ
魔王(屈強なガーゴイルと妖艶なサキュバスが交わる……)シコシコ
魔王(なんともいえぬ退廃的な気分にさせてくれるっ……!)シコシコ
魔王(たまらん……たまらん……たまらぁん……!)シコシコ
魔王(ワシには分かる……)シコシコ
魔王(これはワシにとって最高のオ○ニーになると!)シコシコ
側近(氷鬼の魔力がどんどん減っている……)
側近(火魔神や風邪を倒して、勇者はさらにレベルアップをしたようだ)
側近(よくやってくれたが、ヤツももはやここまでか……)
側近(さて、私の力でどこまで勇者に喰らいつけるか……)
側近(魔王様のジャマはしたくはないが……)
側近(せめて最後のお別れを──)
ガチャッ
側近が魔王の部屋に入る。
ガーゴイル『オラオラァ!』ズチュズチュ
サキュバス『いや、あ、あ、あああっ……! 入っ……んぁぁっ……!』ビクビクン
魔王「おふっ……! おふっ……!」シコシコ
魔王「おお側近、この淫乱神殿は最高だ! すごいっ……!」シコシコ
側近「魔王様」
魔王「なんだ? おおおっ……いいっ……!」シコシコ
側近「まもなく氷鬼も倒されるでしょう」
魔王「なにいいっ……! いかんなぁ、勇者が来てしまううう」シコシコ
魔王「早く出さんとなあああっ! おふおふう……!」シコシコ
側近「急ぐ必要はありません。魔王様最高のフィニッシュまでの時間──」
側近「私が稼ぎます」
魔王「なに!?」ピタッ
魔王「どういうことだ」
側近「手を止めないで下さい」
魔王「どういうことだ」シコシコ
側近「まもなく勇者は極寒エリアを抜け、このエリアに入ってくるでしょう」
側近「私はなんとしても勇者を食い止めますから──」
側近「魔王様はなんとしてもフィニッシュを」
魔王「ならぬ」シコシコ
魔王「ワシも出撃しよう」シコシコ
魔王「キサマはワシにとって特別な部下だ。一人では死なせん」シコシコ
~魔界大戦時~
魔人(魔王)はある戦に敗れ、手下ほぼ全員に離反されてしまったことがあった。
魔族A「あんたについてっても、先はなさそうですし。さよなら」
魔族B「一生オナってろ、バーカ!」ペッ
魔族C「魔将軍様に誘われたんで、そっち行きますわ」
魔人「……ううっ」
魔人「キサマは行かんのか……?」
副官「私が仕えるのは魔人様だけです」
魔人「オレは多分、というかまちがいなく魔王にはなれないぞ……?」
副官「関係ありませんよ。ここであなたと別れたら、私はきっと後悔するでしょう」
副官「さっき、戦場でグラビア雑誌拾ったんで、どうぞオカズにして下さい」サッ
魔人「あ、ありがとう……」
魔人が魔大臣を倒し、その名を轟かせるのはもう少し後のことである。
~
側近「──ありましたねぇ、そんなことも」
魔王「キサマはワシの地位や強さについてきた者たちとはちがう」シコ…
魔王「いつだったか、忙しいからオ○ニーしてないといったキサマを叱ったこともあったが」
魔王「忙しいのはワシのためだったというのに、ムリをいった。謝らせてもらう」
魔王「すまなかった」
側近「魔王様っ……!」
魔王「キサマほどの男をオ○ニーバカの前座にするわけにはいかん」
魔王「オ○ニーは中断だ。ワシも出るぞ」ガタッ
側近「ダメですっ!!!」
魔王「!」
側近「魔王様は私にいいました。後悔しないように生きろ、と」
側近「ここであなたに最高のオ○ニーを提供できなきゃ──」
側近「これまでの私の人生なんかなかったも同然になってしまう!」
側近「あなたはオ○ニー大好き大バカ魔王なんですっ!」
側近「そして私もそんなバカにバカみたいについてった大バカなんですっ!」
側近「ここまできて、バカをやめるなんてありえないっ!」
側近「どうか私に後悔をさせないで下さいっ!」
側近「お願いしますっ!」
魔王「──キサマ、最後にオ○ニーしたのは、いつだ」
側近「昨夜11時15分、『冥土で潮吹き 魔ーメイド』でコキました」
側近「人魚のマーメイちゃんが、サメ人間にヤられたところがフィニッシュポイント」
側近「マーメイちゃんは私のアイドルです」
側近「マーメイちゃんで抜けたことを、誇りに思っています」
魔王「──悔いはないか」
側近「微塵も」
魔王「行け」
側近「行ってきます、魔王様」
側近は魔王の部屋から出て行った。
氷鬼を倒した勇者は、暗黒の瘴気がただよう廊下を歩いていた。
無限に続くかと錯覚させるほど長い廊下の真ん中に、敵が立っていた。
側近「よくここまでたどり着いたな。人間のくせに大したものだ」
勇者(この雰囲気……かなり手強い! おそらく魔王の腹心の部下だな……!)
側近「私は魔王様一のしもべ、側近! ここから先へは通さん!」ユラ…
勇者「お前たちを倒し、世界の平和を取り戻すっ!」チャキッ
剣を構える勇者。
両手に魔力を溜める側近。
戦いが始まった。
魔王は泣いていた。
泣きながら、自らのミサイル発射口を必死にいじっていた。
分かるのだ。
側近が劣勢であることが。
分かるのだ。
こうしてオ○ニーしている間にも、側近の命が縮んでいくのが。
しかし、涙でゆがむ視界で、側近が推薦してくれたビデオを観賞する。
側近がくれたこの時間を無駄にしないために。
フィニッシュをする!
しかも最高のフィニッシュを!
魔王「ああああああああああああああああっ」シコシコシコシコ
魔王「あふううぉえええぁぁぉおおぅうううう」シコシコシコシコ
魔王「ええぇいあんおおおおおおおおおおおあああ」シコシコシコシコ
言葉にならない叫びを上げ続ける魔王。
涙を流しながら、こする!
魔王「ほふううっ……! あおおおうっ……!」シコシコシコシコ
魔王「いんぎぇいぃ……! はっほおおおおおう!!」シコシコシコシコ
魔王「──んあっ!!!!!」
出た……!
魔王の精子は人間と違い、ドス黒い。
Darkness……。
漆黒の魔王の分身たちが、滝よりも過激に、大量に、部屋中に舞い上がった。
最高のフィニッシュであった。
魔王はまるで花火のように舞い散る黒い飛沫を全身に浴びながら、
側近に礼をいった。
「ありがとう」
礼をいうと同時に、側近の魔力が消えたのが分かった。
魔王は自分にかつてない力が宿っているのが分かった。
魔力は全快し、肉体も魔界大戦時のエネルギッシュさを取り戻している。
魔王「なんというすがすがしい気分だ……」
魔王「さて、勇者が来るのにこのままではいかんな」
魔王「片付けなくては」
魔王(最高のオ○ニーは終わった。あとは最高の戦いをするだけだ)
魔王が手を振るうと、テレビとビデオデッキとAVと散らばった精液が全てどこかへ消えた。
後に残ったのは、不気味な装飾に彩られた部屋と、威厳あふれる魔王だけ。
まもなく、魔王の部屋の扉は開かれた。
ギィィ……
魔王「待っていたぞ、勇者よ」
勇者「魔王よ、この剣に誓って、人間界侵攻などさせはしない!」
勇者(なんだ? この魔王の表情は……?)
勇者(とてもさわやかで、すこやかで、ほがらかで……)
勇者(なんというか、全てを出しきった感じの表情だ)
勇者(職業に例えるなら──そう、賢者が相応しい!)
魔王「ククク、勇者よ……。我が魔力で闇に葬り去ってくれるわ!」
これまで勇者が倒した魔族が赤子に思えるほど、とてつもない魔力の波動を発する魔王。
並の人間ではこの姿を見ただけで、戦意を喪失するだろう。
しかし、これに立ち向かうことができるからこそ、勇者は勇者と呼ばれる。
勇者「行くぞっ!」
魔王「来い!」
数日後──
打倒魔王の祝賀会にて、勇者は魔王について聞かれた時、こう答えたという。
勇者「ええ、想像していたような凶悪な感じはほとんどなかったです」
勇者「とても強く、そしてすがすがしい戦いぶりでした」
勇者「倒れた時も、恨みごとを吐くわけでも、復活をほのめかすこともなく」
勇者「出し切った、やり切った、といった表情でした」
勇者「こんなことをいうとアレかもしれませんが、ボクは彼に敬意すら覚えていました」
勇者「彼は倒すべき敵でしたが、ボクも倒れる時はあのように倒れたい、と……」
あなたは最後にいつオ○ニーをしたか、覚えていますか?
出来ることなら、生涯最後のオ○ニーは、ぜひ最高のオ○ニーを──
おわり