-101号室-
男「花子、今日の夕飯何がいい?」
幼女「ハンバーグ!」
男「また?わかった、作ってやるよ」
幼女「やったー!」
男「全く可愛い奴だな」
幼女「えへへー、パパの子だもん」
男「…」
ピンポーン
男「うおぉ!?」
男「だ、誰だ…?」
元スレ
大家「あの部屋の下は空室のはず…異臭なんてありえないわね。ほっとこ」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1578230038/
男「俺の家に来客…?」
男「ちょっと隠れてて」
幼女「はーい」
男「…」ガチャッ
中年「あ、どうも」
男「こんにちはー…」
中年「昨日から隣に越してきた者ですけど、これつまらないものですが…」
男「あー、ありがとうございます…」
中年「今後ともよろしくお願いします」
男(この人の顔どこかで見覚えが…)
男「…あ」
中年「どうしたんです?」
男「あなたもしかして…ニュースの…」
中年「!!」
男「あれ?テレビでやってましたよね?医療ミスの隠蔽がバレて絶賛夜逃げ中の…」
中年「ち、違っ…」
男「あ、人違いでしたか。どうもすみません」
中年「…いえいえ」
男「もしかしたらうちの子が騒いだりするかもしれないのでご迷惑をおかけしたらすみません」
中年「だ、大丈夫です…」
男「では何か困ったことがあればいつでも」
中年「は、はい…」
男「では」バタンッ
幼女「誰からー?」
男「隣人だよ。引っ越してきたんだって」
幼女「何それー?」
男「ああ、さっき貰ったんだ」
男「んーと…洗剤かな?」パカッ
幼女「おいしそー」
男「食べちゃダメだからね!」
-102号室-
中年「ここまで逃げればもう大丈夫だろう…」
中年「はぁ…ワシとしたことか医療ミスの隠蔽がバレるとはな…もうあの町にはいられない…」
中年「これからはこの町の住人に悟られないようひっそりと暮らすんだ…」
中年「…引越しの挨拶にでも行ってくるか」ガチャッ
中年「101号室はすぐ隣だな…」
中年「堂々としてないと怪しまれる…穏やかに穏やかに…」
中年「どんな人が住んでるんだろ…優しい人だと良いな…」
ピンポーン
中年「あ、どうも」
男「こんにちはー…」
中年「昨日から隣に越してきた者ですけど、これつまらないものですが…」
男「あー、ありがとうございます…」
中年「今後ともよろしくお願いします」
男「…あ」
中年「どうしたんです?」
男「あなたもしかして…ニュースの…」
中年「!!」
中年(なっ…ここまで情報が行き届いてるなんて…)
男「あれ?テレビでやってましたよね?医療ミスの隠蔽がバレて絶賛夜逃げ中の…」
中年「ち、違っ…」
男「あ、人違いでしたか。どうもすみません」
中年「…いえいえ」
中年(危なっ…単純な人で良かった…)
男「もしかしたらうちの子が騒いだりするかもしれないのでご迷惑をおかけしたらすみません」
中年「だ、大丈夫です…」
中年(だいぶ若そうな見た目してる割にはもう子持ちなのか…最近の若いもんは早いな…)
男「では何か困ったことがあればいつでも」
中年「は、はい…」
男「では」バタンッ
中年「世間に俺の顔が広まってる…少し気をつけないと…」
中年「次、103号室はここか…ん?」
中年「ドアに張り紙が…何か書かれてあるな…」
中年「"犯罪者の家"…?」
中年「誰かのイタズラか?陰湿だな…」
ピンポーン
中年「…」
中年「…」
中年「…」
中年「…留守か?」
ピンポーン
母親「しつこいですね!何なんですか!」ガチャッ
中年「え…!?」
中年「いや、あの…隣に越してきた者ですけど…挨拶に…」
母親「…あらやだごめんなさい…てっきり…」
中年「え?」
母親「ああ何でもないです…」
中年「これ、つまらないものですが…」
母親「ああ、ありがとうございます…」
中年(見た所主婦っぽいな…ここも子持ちか…?)
中年(はぁ…幸せな家庭に挟まれるこの感覚…つらい…)
中年(俺はどこで道を踏み外したのかなぁ…)
母親「うう…グスッ…」
中年「ど、どうしたんですか!?」
母親「いえ…ごめんなさい…」バタンッ
中年「…?」
中年「タバコでも吸うか…」
中年「ベランダ行こ…」ガララッ
中年「おぉ…すげー雨降ってるな…」
ガシャンッ
中年「うお!何か降ってきた!」
若者「やべ…」
中年「危ないだろうがテメェ!気をつけろ!」
若者「あ…ご…ごめんなさ…」
中年「野郎…3階からこんなもの落としやがって…ケガしたらどうすんだ…」
中年「何だこれ…釣竿…?」
-103号室-
母親「嘘おっしゃい。何なのその傷」
息子「チッ…転んだだけだって…」
母親「またいじめられたんでしょ。正直に言いなさい!」
息子「うるっせぇババア!!」
母親「…」
息子「こっちの気も知らないで…!何であんな奴と結婚したんだ!」
母親「たかし、わかって。父さんは…」
息子「わかってるよ!こっちだって信じたいけど…もう我慢できねえ!」
息子「あんなクソ親父どうにでもなれ!」
母親「たかし、夕飯ここに置いとくから…」
母親「…」
母親「あ、また窓に生卵投げつけられてる…」
母親「台所に雑巾あったっけ…」
ピンポーン
母親「…!」ビクッ
母親「…またあの人達かしら…」
ピンポーン
母親「しつこいですね!何なんですか!」ガチャッ
中年「え…!?」
中年「いや、あの…隣に越してきた者ですけど…挨拶に…」
母親「…あらやだごめんなさい…てっきり…」
中年「え?」
母親「ああ何でもないです…」
中年「これ、つまらないものですが…」
母親「ああ、ありがとうございます…」
母親(何かしら…洗剤?)
母親(こんなもの貰っていいのかしら…)
母親「うう…グスッ…」
中年「ど、どうしたんですか!?」
母親「いえ…ごめんなさい…」バタンッ
母親(こんなに良い人が近くにいるなんて…)
母親(そうよ、近所からの嫌がらせなんて拘置所の生活に比べたら大したことないわ…)
母親(あなたの方がずっと苦労してるはず…私も頑張らないと…)
母親(あなたの無実、信じてるから…)
-104号室-
女「おら!喰らえ!」ビチャッ
夫「おいおいもうやめろって」
女「あんたは同じ亭主として恥ずかしいと思わないの?犯罪者には犯罪者らしく制裁を受けさせるべきよ」
夫「食べ物粗末にすんな!」
女「もー…」
夫「向こうの亭主が何したか知らねえけどあの家族には何の関係もないだろ」
女「…」
夫「中はいれ。雨降ってんだから風邪ひくぞ」
女「あんたって優しすぎるのよね」
夫「当たり前だろこんなん」
女「あなたのそういう所に惹かれるのよね…」
夫「…そろそろあいつが帰ってくる頃だからお前ももう戻れ」
女「わかった。じゃあまたね」
夫「気をつけて帰れよ」
女「…愛してる」
夫「…俺も」
妻「ただいま」
夫「おう、お帰り」
妻「何してたの?」
夫「うん?ずっとテレビ見てたよ」
妻「そう。今から夕飯作るから待ってて」パカッ
妻「…あれ?生卵は?」
夫「あー…ちょっと小腹が空いたから食ったよ」
妻「そう…」
妻(最近、夫の態度が妙に怪しいのよね…)
妻(…ダメよね、浮気を疑うなんて)
夫「そういえば今日の昼間、上の階がずっとうるさくてさー」
妻「え…?」
夫「ドタバタ足音が聞こえるんだよ。何してるのかなーと思ってさぁ」
夫「ちょっと注意してくるか」
妻「ちょっとやめてよ。上の階の人、先月亡くなったじゃない」
夫「は?」
-201号室-
強面「いるのはわかってんだぞゴラァ!」
青年「ひっ…」
強面「チッ…明日までに払えなかったらどうなるかわかってるよなぁ!?」
強面「今のうちに遺書でも書いてろ!」スタスタ
青年「…」
青年(行ったか…)
青年(…もうダメだ…何とかして金稼がないと死ぬ…)
青年(…誰もいないな…?)ガチャッ
青年(どこの家でもいい…大金が眠ってればそれで…)バタンッカチャリ
青年(よし、今のうちに…)ソローリ
OL「どうされました?」
青年「!!?」ビクッ
OL「そ、そんなに驚かなくても…」
青年「す、すみません…」
OL「どちらに?」バタンッ
青年「…久しぶりに散歩でもしようかなと…」
OL「へー、健康的ですね」
青年「そちらこそどちらに…?」
OL「あー…うん…えっと…」
OL「私も散歩しに行こうかなーって…」
青年「そ、そうですか…」
OL「はは、それじゃ…」スタスタ
青年(何か避けられた…?まあいいか…)
青年(…あの人、鍵閉めてったっけ…?)
青年「…」
青年「…」ニヤ
-202号室-
OL「やっちゃった…」
OL「はぁ…どうしよ…これただじゃ済まされないよね…」
OL「だって仕方ないじゃん…雨の中ダンボールの中で寒そうに閉じこもってるの見たら誰だって…」
OL「…強制退去だけは何としてでも避けないと…」
OL「誰かにバレたら一巻の終わり…」
OL「とりあえず押し入れの中に保護しておこ…」
OL「暗いけど我慢してもらおう…」
OL「…そういえば隣に住んでる子、最近は泣きわめくこともなくなってきたわね…」
OL「先月辺りからおとなしくなったような…何かあったのかしら…」
カシャッ
OL「?」
OL(ベランダから音が…気のせいかな?)
OL(さてと、そんなこと気にしてる場合じゃないか…)
OL(ペットショップ行けばだいたいの物は売ってるよね…)ガチャッ
青年「…」ソローリ
OL「…?」
OL(何してんだあの人…)
OL「どうされました?」
青年「!!?」ビクッ
OL「そ、そんなに驚かなくても…」
青年「す、すみません…」
OL「どちらに?」バタンッ
青年「…久しぶりに散歩でもしようかなと…」
OL「へー、健康的ですね」
青年「そちらこそどちらに…?」
OL「あー…うん…えっと…」
OL「私も散歩しに行こうかなーって…」
青年「そ、そうですか…」
OL(偶然ですね!一緒に行きませんか?なんて言われたら面倒ね…早く立ち去ろう…)
OL「はは、それじゃ…」スタスタ
-203号室-
義父「これ、今週の分だ…」
学生「チッ…これだけかよ」
学生「まあいい。来週も用意しとけよ」バタンッ
義父「…」
ドタン…
義父「!!」
義父「やめろ…もう成仏してくれ…」
ドタバタ…
義父「何度も謝ってるだろ!他に何を望んでるんだ!!」
子供「…」
子供(あれから父が手をあげることはなくなった…)
子供(こちらとしてはありがたいものだが…隣の人、やっぱりちょっと恨んでるのかな…)
子供(誰もいないはずの空室から物音がするってことは…やっぱり…)
ギャァァァァァァァァァァ…
義父「!!」
義父「…幽霊の叫び声まで聞こえるようになってきた…」
義父「ダメだ…殺される…」
ドタバタ…デテケー…
義父「許してくれえええええ!!」
-204号室-
老爺「ワシだって婆さん…」
老婆「誰よ!ここは私の家よ!出て行け!」
老爺「なあ婆さん…落ち着いてくれ…物音を立てたらこの部屋使ってるのがバレちまうから…」
ピンポーン
老爺「!」
老爺(まさかバレた…!?)
老爺「はい…」ガチャッ
妻「ひゃ!?幽霊!?」
夫「おま…失礼だろうが、そんな訳ないだろ」
妻「だってここの人…」
老爺「…」
妻「…あれ?ここに住んでた人もう少し若かったような…」
夫「だから言っただろ、何かの間違いだって」
夫「臭っ…ゴミ屋敷じゃないですか…何でこんな…」
老爺「いや、あの…」
老爺「私実はここの住人じゃないんです…」
夫妻「え?」
老爺「その…奥さんが重度の認知症で…前のアパートの家賃が払えなくなったんです…」
老爺「それで一時的にこの部屋を借りようと…」
妻「あー、そうだったんですか」
老爺「何かご迷惑をおかけしたのならごめんなさい…あの、他の人には黙っておいてください…」
老爺「新しい人が越してきたら私達も立ち退きますから…」
妻「…安心して、当分この部屋に越してくる人なんかいないわよ」
老爺「え?」
-301号室-
学生「はぁ…クソ…切れた…」
学生「また調達してくるか…」
学生「もう金借りられるような奴いないからな…どうしよ…」
学生「また203の奴から金たかってくるか…」ガチャッ
彼女「痛っ…!」ガンッ
学生「あっ…」
彼女「あ、ご、ごめんなさい…」
学生「いや何でそっちが謝るんですか…すみません…」
彼女「いえ…大丈夫です…気にしないでください…」スタスタ
学生(いっつも顔中アザだらけだなあの人…)
強面「いるのはわかってんだぞゴラァ!」
学生「!!」
強面「チッ…明日までに払えなかったらどうなるかわかってるよなぁ!?」
強面「今のうちに遺書でも書いてろ!」スタスタ
学生(びっくりした…借金取りかと思った…)
学生(いやこの人も借金取りには代わりないと思うけど…)
強面「…あ?何見てんだコラ」
学生「え!?あ…ど、どうかしたのかなーって…」
学生(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ…)
強面「ここの住人が金借りといて返してくれねえんだわ」
学生「へ、へー…」
強面「ギャンブラーだか何だか知らないけど卑怯な奴だよなぁ…」
学生「そ、そうですね…」
強面「そうだ、お前ここの住人の弱点何か知ってるか?」
学生「え…?」
学生「そうですね…動物が大の苦手らしいですけど…」
強面「ふん、今度空腹のデケェ犬でも連れてくるか」
学生「いやここペット禁止…」
強面「知ったことかんなこと!」
学生(ギャンブル中毒か…)
学生(ふん、俺のと比べたら可愛いもんだ…)
ピンポーン
義父「はい…」ガチャッ
学生「よお」
義父「またお前か…」
学生「金は用意できてんだろうな?」
義父「ぐっ…」
義父「若造のくせに…こんなに金をたかって何に使う気だ…普通に生活するだけならこんなにいらないだろ…」
学生「おいおい親からの仕送りとバイト代だけで生活できる訳ねえだろうがよ」
義父「なあ…もう1ヶ月だぞ…俺はいつまでお前に口止め料払い続けなければいけないんだ…」
学生「あ?ずっとに決まってんだろ」
学生「いいのか?お前が児相に通報しようとした隣人を殺したことバラしても」
義父「そ、それだけは…」
学生「じゃあ早く寄越せよ」
義父「これ、今週の分だ…」
学生「チッ…これだけかよ」
学生「まあいい。来週も用意しとけよ」バタンッ
-302号室-
若者「…」カシャッ
若者「へへ…今日も良いのが撮れたぜ…」
若者「これも壁に貼っとこ…」
ピンポーン
若者「うおっ…」
若者「誰か来た…カーテンで壁隠さないと…」シャーッ
若者「どなた…?」ガチャッ
彼女「…こんにちは」
若者「あ、隣の…」
彼女「あの…これ…作りすぎちゃったので良かったら…」
若者「ああ…どうも…」
彼女「辛いものは…お好きですか…?」
若者「まあ…」
彼女「良かった…あの、これ夜の11時までに食べてもらっていいですか…」
若者「え?あぁ…」
彼女「お願いします…」バタンッ
若者「…」
若者「11時過ぎると何かあるのか…?」
若者「何だこれ…カレーか?」ペロッ
若者「あぐっ…辛っ…何これ…」
若者「え…これわざとなやらないとここまで辛くならないだろ…」
若者「何で俺にこんなもの…」
若者「くっ…あとちょっとで届く…」
若者「…あっ」
ガシャンッ
若者「やべ…」
中年「危ないだろうがテメェ!気をつけろ!」
若者「あ…ご…ごめんなさ…」
若者「…はぁ…怒られた…」
若者「もうちょっとで下着盗れそうだったんだけどな…」
若者「階下の美人さんのパンティー…どうにかして取れないかな…」
若者「あの人忘れっぽい所あるからな…雨降ってるときくらい取り込めよ全く…」
若者「やっぱり俺が見てやらないとダメだな…いったい何してんだか…」チラッ
若者「…ん?誰だあいつ」
青年「…」ガサゴソ
若者「あの人…まさか男性がいたのか…!」
青年「押し入れの中とかに金目のものとかないか…」スァッ
猫「ニャァァァ!!」バッ
青年「ギャアアアアアアアアアア!!!」
───────────────
─────
─
若者「…」
若者「裏切りやがって…!クソ!」
若者「長くストーカーしてたのに何で今まで気づかなかったんだ…」
若者「ダメだ…立ち直れねぇ…」
ピンポーン
若者「…誰だよ」ガチャッ
彼女「…」
若者「あっ…」
彼女「あの…カレーは…」
若者「すみません容器洗うの忘れてました…」
彼女「あ、大丈夫ですからそんな…」
若者「いやいやそんな訳にはいかないでしょ」
若者「11時まででしたっけ…」
若者「あ、もう過ぎてる…」
若者「すみません、急いで洗いますので…」
彼女「いや…あの…」
彼氏「何してんの?」
彼女「!!」
若者「あ、カレーいただきまして…」
彼女「あっ…あっ…」
彼氏「それ返してもらえます?」
若者「いや、まだ洗って…」
彼氏「返してもらえます???」
若者「…あ、はい…」
若者(怖っ…)
-303号室-
彼氏「俺が帰ってくる前にこれ完食できたら殴るのだけはやめといてやるよ」
彼女「…」
彼氏「じゃキャバクラ行ってくるわ」ガチャッ
彼氏「あと酒も買っておけよ」バタンッ
彼女「…」
彼女「…」
彼女「…」ペロッ
彼女(おえ…辛っ…)
彼女(こんなの無理よ…)
若者「どなた…?」ガチャッ
彼女「…こんにちは」
若者「あ、隣の…」
彼女「あの…これ…作りすぎちゃったので良かったら…」
若者「ああ…どうも…」
彼女「辛いものは…お好きですか…?」
若者「まあ…」
彼女「良かった…あの、これ11時までに食べてもらっていいですか…」
若者「え?あぁ…」
彼女「お願いします…」バタンッ
彼女(はぁ…良かった…辛いの大丈夫な人が隣にいて…)
彼女(…ああいう人と同棲できたら毎日幸せなんだろうな…)
彼女(ひとまず助かった…)
彼女(…そうだ、酒も買ってこないと…)
彼女(私の貯金もそろそろ尽きそうね…どうしましょ…)
ガチャッ
彼女「痛っ…!」ガンッ
学生「あっ…」
彼女「あ、ご、ごめんなさい…」
学生「いや何でそっちが謝るんですか…すみません…」
彼女「いえ…大丈夫です…気にしないでください…」スタスタ
彼女(すぐに謝ってしまう私の悪い癖…)
彼女「…」チラッ
彼女(あの人、年中長袖着てるけど暑くないのかしら…)
彼女(まさかバレてないと思ってる…?それで注射痕隠してるつもりなのかしら)
彼女(私もあの人みたいに薬に手を染めれば少しは楽になるのかな…)
彼女(…そんなもの買える金の余裕があればなぁ…)
彼女(はぁ…)
───────────────
─────
─
彼女「…」
彼女「…」
彼女「…来ない…」
彼女「やっぱりあの辛さは無理があったかな…」ガチャッ
彼女「そろそろ奴が帰ってくる…」
ピンポーン
若者「…誰だよ」ガチャッ
彼女「…」
若者「あっ…」
彼女「あの…カレーは…」
若者「すみません容器洗うの忘れてました…」
彼女「あ、大丈夫ですからそんな…」
若者「いやいやそんな訳にはいかないでしょ」
若者「11時まででしたっけ…あ、もう過ぎてる…」
若者「すみません、急いで洗いますのでで…」
彼女「いや…あの…」
彼氏「何してんの?」
彼女「!!」
若者「あ、カレーいただきまして…」
彼女「あっ…あっ…」
彼氏「それ返してもらえます?」
若者「いや、まだ洗って…」
彼氏「返してもらえます???」
若者「…あ、はい…」
彼氏「…」バタンッ
彼女「…」
彼氏「…テメェちょっとこっち来い」
彼女「…」バタンッ
彼氏「どういうこと?」
彼女「…」
彼氏「へー、他人に食わせて自分は楽しようと。そういうこと?」
彼女「ち、違っ…」
彼氏「何が違うのかな?」ガシッ
彼女「痛っ…やめて…」
彼氏「お仕置きな」
彼女「…!」
彼氏「オラ!」ブォンッ
彼女「きゃっ!」サッ
彼氏「おわっ…」
彼女「…」ダッ
彼氏「テメ、どこ行く気だ!」
彼女(殺される!)
彼女(誰か…!!)
-304号室-
人妻「下の方から異臭がするんです…」
人妻「はい…はい…お願いします…」ピッ
人妻「…はぁ…」
ピンポーン
人妻「…ん?」
ダンダンダンッ
ピンポーン
人妻「な、何よ…」ガチャッ
彼女「助けてください!殺される!」
人妻「え…?」
人妻「…」
彼女「…」
人妻「…」
彼女「行ったみたい…」
人妻「何かあったの…?」
彼女「いえ…大丈夫です…戻りますので…」
彼女「いきなりごめんなさい…ありがとうございました…」
人妻「待って」
人妻「あなたあの人からDV受けてるでしょ?」
彼女「いや…あの…」
人妻「正直に言って」
彼女「…はい」
人妻「やっぱり…警察に通報した方がいいわよ」
彼女「でも…」
人妻「そんなんじゃいつか死ぬよあんた!」
彼女「…」
彼女「何で私のためにそこまで…」
人妻「…ここだけの話だけどね、私もあんなクズみたいな人に襲われたの」
人妻「それで妊娠しちゃったんだけど…誰にも相談できなくて…」
人妻「…産んですぐ捨てたの」
彼女「え…!?」
人妻「さすがの私も罪の意識はあったけど…仕方なくて…」
彼女「その後どうなったんですか…?」
人妻「わからない」
人妻「あの後警察が来て捕まることもなかったし、ニュースにすらなってなかった」
人妻「おそらく誘拐犯にさらわれたんだと思うわ…」
人妻「"花子です、可愛がってください"って置き手紙を添えてすぐそこに置いてきたの…」
人妻「あれから何年か経つけど…あの時の出来事はよく覚えてるわ…」
彼女「花子…素敵な名前ですね…」
人妻「可愛がってもらえてるかな…」
彼女「きっと誰かと幸せに暮らしてますよ」
人妻「…そうね」
人妻(だといいんだけど…)
-おわり-
72 : 以下、5... - 2020/01/05(日) 23:25:25.356 eS9nsS6C0 57/57ちょっと読みづらくなりましたが許してください