1 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 19:28:48.81 tqI4l47V0 1/115

「なんで、こんなことに・・・」



―2日前―

ジリリリリリ・・・ジリリリリ・・・

「ん・・・朝か・・・」

「ふあ・・・」

「あー昨日飲みすぎたかな。だりい」

「男ーもう起きないと遅刻するわよー」

「あいよー」




元スレ
男「世界はひとつだった 昨日までひとつだった」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1251455328/

3 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 19:31:35.30 tqI4l47V0 2/115

「ほら、珈琲」コト

「ありがと」

「・・・ねえ、男」

「ん??」

「昨日、あんな遅くまでどこ行ってたの??」

「あ、ああ。連れの家だよ。みんなで飲みにさ」

「もう・・・あんまり心配かけないでよ。電話出ないし」

「ごめんって。気付かなかったんだよ」



6 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 19:34:46.69 tqI4l47V0 3/115

「もう子どもじゃないんだから、大丈夫だって」

「なーにが。まだのんびり学生してるくせに」

「社会の厳しさを知ってから偉そうな口聞きなさいよね」

「へいへい」

「あんたが立派な社会人になるまで見届けないと、死んだ父さんと母さんに申し訳が立たないからね」

「へいへい。そのセリフは死ぬほど聞いたよ」

「で、女ちゃんは??今日も迎えに来てくれるの??」

「そのはず」

ピンポーン

「お、来た」



7 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 19:37:55.07 tqI4l47V0 4/115

「ほら、急いで行ってあげな」

「あい。行ってきます」

「行ってらっしゃいー」

ガチャ

「おはよ」

「おはよー♪今日もいい天気だねー」

「なんで朝からそんな元気かな・・・」



9 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 19:44:25.23 tqI4l47V0 5/115

ゴトンゴトン

「昨日はちゃんと帰れた??」

「ああ。まあなんとか・・・」

「そのままベッドに直行!!とかじゃなかったでしょうね」

「いや、ちゃんと着替えてたみたいだし大丈夫だった」

「みたいって・・・覚えてないの??」

「んー頭ボーっとしてたからな」

「もー。しっかりしてよね」



11 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 19:48:00.01 tqI4l47V0 6/115

「あ、そういや今日の2限休講になってたね」

「マジで!?ラッキ」

「3限元々ないし、時間空いちゃうね」

「ちょっと街のほう出てみようかな」

「えーあたしも行きたい」

「別に買い物行くんじゃねえんだぞ」

「ちょっとだけちょっとだけ」

「しゃーねえなー」



12 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 19:51:45.61 tqI4l47V0 7/115

ガラガラ

「おー男、おはよう」

「おはよっす」

「女ちゃんも、おはよう」

「おはよー♪」

「朝からまた、仲のよろしいことで」

「そんなんじゃねえって」

「幼馴染のよしみってやつよ」

「しかし大学まで一緒ってのは珍しいよな」

「まーな」



13 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 19:55:36.11 tqI4l47V0 8/115

「しかし、それにしても家まで迎えに来てくれる幼馴染がいるなんて・・・」

「某巨大掲示板の人たちが知ったらフルボッコだなあw」

「フル??なんだって??」

「ああ、いやこっちの話」

「勃起??」

「ちょ、お前何言ってんの!?」

「ぶふぉあ!!」



14 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 19:58:34.49 tqI4l47V0 9/115

「ま、まあとにかく、男、お前昨日ちゃんと帰れたか??」

「なんだよ、お前まで心配してんのか」

「お前ベロベロだったしな」

「本当ならシャキッとして、あたしを無事に送り届けるくらいはしてほしかったんだけどね」

「あ、そういやお前どうやって帰ったの」

「そこから記憶ないの??」

「う、うん。全然」

「ったくもー」




15 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:01:43.16 tqI4l47V0 10/115

「そういやお前、今日はつけてないんだな」

「え??」

「ほら、お前の気に入ってた、黒革のさ」

「・・・ああ。あのブレスレットか」

「あ、本当だ。昨日落としちゃったとか??」

「どこやったんだろ」

「覚えてないの??」

「・・・やっぱ昨日、飲ませすぎたか」




18 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:06:06.16 tqI4l47V0 11/115

ガヤガヤ

教授「出席票を配るぞー」

「おっともう始まる時間か」

「あ、そうだ友。今日2~3限空いてるから、どっか出かけないか」

「あーおれはいいや。邪魔だろうしな」

「え??」

「女ちゃんも行くんだろ??」

「え、あ、そうだけど・・・」

「そんな気回さなくっていいって」

「まあ、どっちにしろ今日は遠慮しとくわ」

「・・・」




19 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:09:23.62 tqI4l47V0 12/115

ゴソゴソ

「ん??なんだこれ」

「どした??」

「あ、いやなんでも」

「(なんだこれ・・・ナイフ??何で鞄にこんなもんが入ってんだよ)」

「(いや、それ以前に・・・こんなもん持ってたっけ)」

「(危ねーな・・・とりあえず隠しとこう)」




20 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:12:43.98 tqI4l47V0 13/115

「ねえ!!」

「うおっ!!な、何??」

「今日どうする??」

「え??空き時間のこと??」

「うんうん」

「あ、ああ。とりあえずバスでちょっと街出るか」

「あ、じゃああたしあの店行きたい!!」

「またかよ」

「平日の真昼間からデートとは羨ましい限りですな」

「そんなんじゃねえってば」

「・・・」




21 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:15:15.08 tqI4l47V0 14/115

ガヤガヤ

「さ、行くかー」

「おうっ」

「いてらー」

「あ、余裕あったらさ、あの新刊多分出てるから買ってきてくれよ」

「へいへい了解」

「行くよー」




22 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:18:20.74 tqI4l47V0 15/115

ザワザワ

「平日だってのになんでこんなに混んでんだよ」

「ほんとだねー」

「しかもカップルばっかだし」

「あ、外人さんだ」

「外人ですらカップルだし」

「・・・」




23 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:22:13.43 tqI4l47V0 16/115

「あ、あれあれ!!あの店!!」

「はいはい」

「なんで女ってのは、こういう雑多な店が好きかな」

「雑多って言うな」

「で、何買うの」

「それをこれから考えるの♪」




24 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:25:07.85 tqI4l47V0 17/115

「♪」

「(ご機嫌だなこいつ)」

「あ、これも可愛い♪」

「(さ、おれも友になんか買って行ってやるかなー)」ウロウロ

「お、なんだこのきもいのは」

「・・・」

「これにしよう」




25 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:28:22.63 tqI4l47V0 18/115

「はー良かった」

「あれ、全然買ってないじゃん」

「だってああいうのは見るのがメインだもん」

「ふーん(よくわかんね)」

「あれ、男はなにか買ったの??」

「ああ、友にお土産」

「ふーん」




26 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:32:18.52 tqI4l47V0 19/115

「本屋見たい」

「おう」

「すぐ終わるし」

ウイーン

「新刊コーナーっと・・・」

「・・・んー」

「お、出てる出てる」

「それ買うの??」

「友が集めてんだよ」




27 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:35:26.84 tqI4l47V0 20/115

「どういう話??」

「んーまあ簡単に言えば『なん・・・だと・・・??』の繰り返しかな」

「なにそれ」

「ひたすらシーソーゲームだよ」

「よくわかんないや」

「まあおれにもよくわかんないから」




28 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:38:25.17 tqI4l47V0 21/115

「!!」

「うおおおおおおおおおおおっ!!」

「ちょ、うるさい。どしたの??」

「こ・・・これ・・・」

「ん??この漫画がどうしたの」

「いいか、この作者が新刊を出すということは、例えば自動販売機のお釣りのところを覗いてみたらセミの死骸が入ってるってことよりも珍しいことなんだ」

「はあ??」

「ていうか・・・再開してたんだ・・・♪」ニヤニヤ

「死んでなかったんだぁ・・・♪」ニヤニヤ

「ああ・・・男がどこか遠くへ行ってしまう・・・」

「え。ていうかお釣りのところにセミってよく入れたよね??子どものころ」




29 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:41:40.13 tqI4l47V0 22/115

ウイーン

店員「ありがとうございましたー」

「ふぅ・・・いい買い物した」

「ね、大丈夫??」

「おう、今のおれは超機嫌いいぜ」

「マジで!?じゃさ、クレープおごってよ」

「え、えええ」

「機嫌いいんでしょー??」

「しゃあねえなー半分くれよ??」

「おうおう」




30 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:46:35.79 tqI4l47V0 23/115

店員「しゃーせー」

「どれする??」

「せっかくだから一番高いやつ!!」

店員「はいよー」

「え、おいちょっと」

「トッピングスペシャルてんこ盛りで!!」

店員「はいよー」

「お、おいおい」




31 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:49:26.58 tqI4l47V0 24/115

「♪」

「ったく・・・どんだけでかいんだよ」

「あは、幸せ」ハムハム

「おい、前見て歩けよ」

ドン ベチャ

「お、おい・・・」

「あ・・・」




32 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:53:11.72 tqI4l47V0 25/115

怖いお兄さん「・・・オイ」ギロリ

「あっ・・・ご、ごめんなさい」

怖兄「ごめんなさいで済むかい!!このシャツ新品やぞゴルァ!!」

「(や、やばい。ここは男らしく、助けなければ)」

「ご、ごm」

怖兄「ゥオラアアアアアアアガアアアアアアアア」

「(やばいやばい!!ど、どうしよう)」

怖兄「ゴルァァアアアアアアアア」

「お、男ぉ・・・」グス

「(お、おい、おれの後ろに隠れんな)」




33 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 20:57:18.24 tqI4l47V0 26/115

怖兄「ゴラァ逃げんなぁ!!」

「ひっ」

怖兄「それともこの兄ちゃんが替わりに殴られてくれるんかい!!おお??」

「(え、ちょ、いつから殴られる話になってんの)」

怖兄「まあええ、女の子殴るよりは気持ちも晴れるやろ」パキポキ

「ひいいいいい」

「・・・」ブルブル




34 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:01:46.26 tqI4l47V0 27/115

「(ああ・・・こんな時のために筋トレとかしておけばよかった・・・)」

「(痛いんだろうな・・・)」

「(痛いのやだなあ・・・)」

「(あ、そういえばさっきの・・・)」

「・・・」ゴソゴソ

「(この・・・ナイフで)」

「(いや、でもむしろ火に油か??)」

怖兄「ゴルァァアアアアアアアア」

「(でも、ちょっとでもひるんでくれたら・・・その間に逃げたらいい)」

ギュ

「(・・・よし!!)」




35 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:05:58.59 tqI4l47V0 28/115

怖兄「!!」

怖兄「・・・」クルリ

スタスタ・・・

「・・・」

「・・・」

「・・・え??」

「行っちゃった・・・」




37 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:09:18.00 tqI4l47V0 29/115

「(まだ、ナイフ見せたわけじゃないのに・・・)」

「よ、良かった~」

「なんでだ??」

「なにが??」

「なんでいきなり興味なくしたみたいに、どっか行っちまうんだよ」

「わかんないよ。我に返って、大したことじゃないって思ったからじゃない??」

「いや、それにしても・・・」

「とにかく、無事でよかったじゃない。ね??」




39 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:12:44.40 tqI4l47V0 30/115

「ってなことがあってな」

「おいおい・・・危ねえな」

「男が守ってくれたんだよね♪」

「いや、おれは本当に何も・・・」

「まあ無事でよかったな。クレープ以外」

「もう一個奢らされた」

「そ、そうか」




41 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:16:30.82 tqI4l47V0 31/115

「あ、これお土産」

「おお、サンキュー。やっぱ出てたか。ほい金」チャリン

「あいよ」

「これは??」

「それもお土産だ。家で開けろ」

「おお、サンキュー」




42 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:20:15.58 tqI4l47V0 32/115

「なんなんだろうな」

「なにが??ほら、もう帰るよ」

「・・・あの怖い人のこと」

「まあ不思議といえば不思議だったけど・・・」

「もういいじゃん」

「うん・・・そうだな」

「考えすぎると禿げるよ」

「それはいやだわ」




43 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:23:15.81 tqI4l47V0 33/115

ゴトンゴトン

「でさー」

「(あのナイフ・・・なんか不思議な力でも持ってんのかな)」

「それでねー」

「(いつから入ってた??)」

「でー」

「(酔っぱらってあんまり覚えてないとき、拾ったりしたのか??)」

「・・・」




44 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:26:23.48 tqI4l47V0 34/115

「聞いてる??」

「え、ああ・・・」

「ほら、聞いてない」

「ごめん」

「・・・あのさ、今日時間ある??」

「この後??あるけど」

「じゃさ・・・ちょっと話したいことがあるんだけど」

「ん??いいよ」




45 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:29:44.84 tqI4l47V0 35/115

「あそこの公園行こう」

「おう」

「もう結構暗いね」

「そだなー」

「ね、今日の買い物さ、あたし邪魔だったかな」

「は??何言ってんの??」

「いや・・・男本当は一人で行きたかったのかなーとか」

「あたしいなかったらトラブルもなかったしなーとか。そういうこと考えちゃって」

「ああ・・・そんなこと思ってないよ。気にすんな」




46 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:33:18.21 tqI4l47V0 36/115

「そっか・・・良かった」

「うん」

「・・・」

「・・・なあ、今日ちょっとお前変じゃね??」

「え??そ、そうかな」

「なんかいつもと違う」

「・・・」

「悩み事か??相談なら乗るぞ」




47 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:36:28.74 tqI4l47V0 37/115

「悩み事って言えば・・・まあ悩み事かな」

「そっか。聞くぞ」

「あのさ・・・」

「・・・」

「お、男はさ、あたしのこと、どう思ってる??」

「・・・」

「・・・は??」




48 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:40:09.63 tqI4l47V0 38/115

「(それって・・・それってやっぱ、そういう意味か??)」

「え、えっと」

「・・・」

「お、幼馴染で、親友で・・・(いや、これじゃあ答えじゃない)」

「・・・うん」

「えっと・・・大切な・・・存在かな」

「・・・」




49 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:43:45.97 tqI4l47V0 39/115

「そっか」

「えっと」

「あたしはね、好きだよ。男のこと」

「・・・(マジで??)」

「ずっと前から、ただの幼馴染じゃないって思ってた」

「・・・(それマジで言ってんのか??)」

「男は、あたしのこと好きじゃない??」




50 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:47:04.44 tqI4l47V0 40/115

「好きだよ。好きだけど・・・」

「・・・」

「そういうのとは、違う気がする」

「やっぱり異性としては見れない??」

「そこまでは言わないけど・・・ちょっと今」

「うん」

「混乱してるってか、ちょっと・・・いや、ごめんなんか」

「いつか、答え聞かせてくれる??」

「え・・・うん」




51 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:52:31.25 tqI4l47V0 41/115

「それまで、今までどおりにふるまってくれていいからね」

「ていうか、あたしが振られても、今までどおりいてほしいな」

「・・・」

「ダメかな」

「いや、わかったよ」

「ありがとう」

「おう」




52 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:55:09.77 tqI4l47V0 42/115

「したかった話は、これでおしまい」

「送ってくよ」

「いい」

「え」

「今日はいい」

「そうか??」

「うん、聞いてくれてありがとう。また明日ね」

「お、おう」




53 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 21:58:17.87 tqI4l47V0 43/115

ボフッ

「今まで通り・・・か」

「無理だよ、そんなの」

「なんで・・・」

「なんで言うかな・・・女・・・」

「何も考えらんねー」

「・・・くそっ」

「男ー」コンコン

「!!」

「ねえ、いるの??」




54 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 22:04:35.55 tqI4l47V0 44/115

「・・・うん」

「晩御飯いらないのー??」

「いらない」

「なによー食べなきゃ体に悪いわよ」

「いいんだよ」

「食べてきたの??」

「もういいって、ほっといてくれよ!!」

「・・・」




55 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 22:09:24.74 tqI4l47V0 45/115

「もう知らない」

「・・・」

「もう知らないわよ」

パタパタ

「はあ・・・」

「明日学校行きたくね・・・」

「もう寝よ」




56 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 22:14:13.10 tqI4l47V0 46/115

「あ、ナイフどうしよ」

「・・・とりあえず鞄からは出しとくか、危ないし」

ゴソゴソ

「・・・やっぱ変な形」コトン

「・・・寝よ」




57 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 22:27:04.38 tqI4l47V0 47/115

ピンポーン

チュンチュン

「・・・」

「全然眠れなかった・・・」

「男ー」

「はいはーい」

「女ちゃんもう来てるわよー」

「え、うそ。チャイム鳴ったっけ」

「早く下りてきなさい」

「・・・(いつもどおり、か)」

「・・・(姉ちゃんはちょっと怒ってる気味だけど)」

「なんか、会いたくねえ・・・」ゴソゴソ




58 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 22:31:17.36 tqI4l47V0 48/115

ゴトン

「うわ、あぶね」

「そういやナイフここに置いたんだっけ」

「とりあえず机にでもしまっとこ」ゴソゴソ

「早くしなさいよー」

「わーってるよー」




60 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 22:36:09.69 tqI4l47V0 49/115

「行ってきます・・・」

「行ってらっしゃいー」

ガチャ

「・・・」

「あれ??」

「え、誰もいないじゃん」

「??」

「先行っちゃったかな」

「??」

「なんだよ・・・くそ。わけわかんねー」




61 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 22:40:12.88 tqI4l47V0 50/115

「おう、おはよ」

「おはよ」

「どうしたんだよ。今日は一緒じゃねえの」

「んーよくわからん」

「迎えに来てくれてたと思ったんだけど、先に行かれたみたいで」

「あそこに座ってるぞ。喧嘩でもしたのか??」

「喧嘩??」

「ああ。だって、お前のこと聞いたら一切反応しなくなったんだから」




62 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 22:43:21.33 tqI4l47V0 51/115

「反応しないって??」

「お前の名前出したとたん、無表情になったってか、無反応になった」

「なんだよそれ・・・おれなんも気に障ることしてないぞ」

「直接聞いてみろよ」

「・・・なんか怖いな」

「はら、見ててやるから」

「・・・おう」




64 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 22:47:01.87 tqI4l47V0 52/115

「・・・」

「(怒ってる様子はなさそうだな)」

「女、おはよ」

「・・・」

「(・・・こっちも向かない)」

「女、なんか怒ってるのか??(なら正面に)」

「・・・」

「なあ、おん・・・」




66 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 22:51:00.25 tqI4l47V0 53/115

「・・・」

「な、なんだよその目・・・」

「おれのこと・・・見てないのか??」

「それとも見えてないのか??」

「・・・」

「おい」

「・・・」

「おいって!!」

「(なんだよ・・・死んだ魚みたいな目で、どこ見てんだよ)」




68 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 22:54:11.13 tqI4l47V0 54/115

「どうだった??お前が一方的にしゃべってるように見えたけど」

「あいつ・・・おれのこと見ない」

「見ない??」

「見ないっていうか・・・見えてないみたいだった」

「は??なにそれ。徹底的なシカトか??」

「わかんねー。でも怒ってる風じゃなかった」

「おれにはお前が見えてるけどなあ。足もちゃんとあるし」

「・・・怖いこと言うなよ」




69 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 22:58:02.14 tqI4l47V0 55/115

「女、飯食おうぜ」

「・・・」

「・・・飯行かない??」

「あ、うん」

「・・・んだよこれ」

「なあ、女ちゃん、男と何があったんだよ??」

「・・・」

「(そこで無反応になるのかよ)」




70 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 23:03:31.77 tqI4l47V0 56/115

「・・・」

「あ、これおいしい♪」

「あ、そ、そう??」

「(おれのほう、絶対見ないな)」

「それで~」

「(おれが何したってんだよ・・・)」

「へ、へぇ~」チラ

「いいよ、気にすんな。おまえは悪くない」イライラ

「でね~」

「・・・」イライラ




71 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 23:08:52.32 tqI4l47V0 57/115

「友くん、一緒に帰ろう??」

「え??」

「ちょっと行きたいところあんの♪」

「・・・」

「・・・」イライラ

「ねえねえ」

「あ、ああ・・・でも・・・」

「いーよ、行って来いよ。おれに気を使う必要ないだろ??」イライラ




73 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 23:14:48.97 tqI4l47V0 58/115

バタバタバタ バン

「ああっくそ!!意味わかんねー!!」ドカッ

「なんだよ。おれがなんかしたか!!」ドカッ

「いきなり告白しといて次の日には完全シカトか!!」

「今までどおりでいたいとか言っといてそれか!!」

「ちょっと男!!帰ってくるなりどうしたのよ!!」

「うるせえ!!入ってくんな!!」

ガンッ

「きゃっ」




74 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 23:19:30.16 tqI4l47V0 59/115

「一体なにしてんのよ!!」

「うるせえって言ってんだろ!!」

ブン ザクッ

「ほっといてくれ!!」

「あーくそ・・・もう・・・あーくそ!!」

「・・・」




75 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 23:23:16.23 tqI4l47V0 60/115

「んだよあの態度!!」

「あの目!!」

「・・・くそ」

「・・・」

「・・・なにやってんだおれ・・・」

「全然関係ない姉ちゃんにまで当たって」

「ドアにナイフ投げて・・・おれはなんつーことを・・・」

「刺さっちゃってるし。最悪」グィ




76 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 23:29:16.83 tqI4l47V0 61/115

「謝ろう」

「うん、謝ろう。どう考えてもおれが悪い」

ガチャ パタパタパタ

「姉ちゃん、ゴメン」

「・・・」

「姉ちゃん、ゴメン。おれが悪かった」

「ひどいこと言った。もう、落ち着いたから」

「・・・」




77 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 23:33:30.40 tqI4l47V0 62/115

「ね、姉ちゃん・・・」

「・・・」

「ね・・・」

「!!」

「(これは・・・今日の女と、同じ目・・・)」

「ね、姉ちゃん、おれのこと見える??おれの声聞こえる??」

「・・・」




78 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 23:38:52.76 tqI4l47V0 63/115

「おれのこと・・・見てよ。ゴメンって!!謝るからさ!!」

「・・・ご飯、作らなきゃ」

「姉ちゃん!!」

「・・・適当で、いいか」

「姉ちゃん!!」

「・・・」




79 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 23:43:37.95 tqI4l47V0 64/115

「(おれのこと・・・見てくれなかった)」

「(今日の女と、反応が全く一緒だった)」

「(ご飯にも呼んでくれない)」

「(いや、多分・・・おれの分はないだろうな)」

「(なんだよ、何が悪いんだよ)」

「(意味、わかんねー)」




80 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 23:48:51.24 tqI4l47V0 65/115

「女」

「姉ちゃん」

「なんだったんだよ」

「おれはどうしたらいんだよ」

「・・・」

「・・・」

「・・・ナイフだ」




81 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 23:54:15.19 tqI4l47V0 66/115

「あれがいつの間にか鞄に入ってた」

「そこから・・・何か、おかしくなった」

「あの・・・変なナイフが」チラッ

ごとり

「(・・・なんか、不自然に重いな)」

ぷつ

「(普通に、切れるな)」

つー

「・・・いてえ」




83 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/28(金) 23:59:52.66 tqI4l47V0 67/115

―ミ

「どこで、どうやって手に入れたんだろう。覚えてねーや」

― ツ

「・・・とりあえず、友に相談してみよう」

―  ケ

「明日、これ見せてみよう。なんか知ってるかもな」

―   タ

「・・・指いてえ」




84 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 00:06:23.88 kIjQaYPe0 68/115

チュンチュン

「・・・目覚まし、忘れた」

「静かだな」

「姉ちゃんはやっぱり起こしてくれない、か」

「とりあえずキッチン行こう」

ガチャリ

「・・・」

「!!」




87 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 00:13:53.38 kIjQaYPe0 69/115

「お、おはよう姉ちゃん」

「・・・」スタスタ

「やっぱ反応してくれない、か」

「女も、来てくれないんだろうな、やっぱり」

「昨日まで、普通だったじゃん」

「世界はひとつだった。昨日までひとつだった」

「なんでこんなことに・・・」




88 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 00:17:55.27 kIjQaYPe0 70/115

「・・・行ってきます」

「・・・」

「・・・飯はコンビニで買うか。なんか、勝手に冷蔵庫開けるのためらったもんな・・・」

「てか、昨日から食ってないから腹減ったな・・・」

少女「おはようございます♪」

「うお!!」




89 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 00:21:25.22 kIjQaYPe0 71/115

「お、おはよう(誰??)」

少女「ふーやっと見つけた」

「見つけた??」

少女「ええ、あなたを」

「おれを??」

少女「突然ですみません。今、話せますか??」




90 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 00:26:27.67 kIjQaYPe0 72/115

「君はおれのことを知ってるようだけど・・・君のことを思い出せない」

少女「ええ、会うのは初めまして、ですね」

「君は誰??」

少女「(人間に自分から名乗ることはできない・・・)」

少女「(けどまあ、それさえ守ればいいんだから、緩いルールよね)」

少女「あたしは、まあこういうものです」

「ん??(輪っか・・・)」

「まさか今日一日だけ生き返らせてもらった悟k」

少女「違います」




91 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 00:33:25.55 kIjQaYPe0 73/115

「あの、だから占いババに頼んで一日だけ・・・」

少女「違うってば」

「ということは、天使??」

少女「はい、御名答」

「いかん、これはまだ夢だったか」

少女「現実ですよ」

「夢が覚めたら、女も姉ちゃんもいつも通りの世界が」

少女「残念ながら、それも現実です」




93 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 00:38:12.81 kIjQaYPe0 74/115

「え・・・今なんて」

少女「あなたと、そのお二人との関係が『切れて』しまったのも、現実です」

「なんで・・・それを知ってるんだ??」

少女「天使ですから」

「意味、わかんねー」

少女「まあ簡単に言うと、あなたの持っているナイフ、あたしのなんです」

「え??」

少女「えへへ」




94 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 00:43:33.67 kIjQaYPe0 75/115

少女「この間ちょっとした手違いで地上に落としてしまって」

少女「それをあなたが拾ったのを、昨日発見したわけです」

少女「拾い主の特定は難しかったんですけど、使ったかどうかは遠くにいてもわかるので」

「はー」

少女「何回か使っちゃってますよね」

「えーと」

少女「お困りのようですね」

「ていうか・・・いきなりそんなこと色々言われても、簡単には信じられないな」

「大体、使うってなんだよ」




95 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 00:47:45.34 kIjQaYPe0 76/115

少女「普通のナイフとしても使えるんですけど」

少女「あのナイフの使い道は、まあ『縁切り』とでも言うのかな」

「縁切り??」

少女「そう、あのナイフに触れて、心に念じるんです」

少女「対面している対象と縁を切りたい、と」

少女「そうすると、相手との関わりが無くなるんです。つまり縁を切ったわけですね」

「でもおれ、縁を切りたいなんて思ってないぞ」

少女「他の言葉でもいいんですよ。例えば、『会いたくない』とか『消えろ』とか」

「あ・・・」




96 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 00:52:47.30 kIjQaYPe0 77/115

少女「理解していただけました??」

「ああ・・・それで、納得したよ」

「確かにおれは、一瞬でも『会いたくない』『関わりたくない』と思ってた」

少女「そして、その人との縁が切れた、と」

「やっぱりナイフが、原因だったのか」

少女「そうです」

「二人が態度を変えたのは、縁が切れてしまったからなのか」

少女「そうです。あなたの問いかけにも全く反応しなかったでしょう??」




97 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 00:56:30.77 kIjQaYPe0 78/115

「うん。あのぞっとする感覚は思い出したくない」

少女「あなたのことが見えない。あなたの声も聞こえない。あなたに関することはわからない」

「別の友達がおれの話を持ちかけた時も、反応しなかったしな」

少女「それが、まあ『縁を切る』ということなんですよ」

少女「で、まあそんなわけで、あのナイフを返してもらえるとありがたいんですけど」

少女「本来地上にあってはいけないものだし」

「いや・・・ちょっと待て。肝心なことを聞いていない」

少女「なんですか??」




98 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:01:47.46 kIjQaYPe0 79/115

「切った縁は、もとに戻るのか??」

少女「・・・」

「おれ、その、友達と姉ちゃんに向かって使っちまったんだよ」

「カッとなったっていうか、勢いで、さ」

「今はもちろん後悔してるよ。まだたった1日だけど、とても耐えられない」

「もとに、戻したいんだ」

少女「方法は、あります」




99 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:06:28.59 kIjQaYPe0 80/115

「マジで!!」

少女「ただし」

「魂を、取るのか」

少女「そんなことしませんよ。それは死神の仕事です」

少女「ていうか死神は魂を取るっていうか、命を吸い取るんですけど」

少女「まあそんな話は置いといて、縁を結びなおす方法ですね」

「ああ。あるのなら、教えてくれ」




100 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:09:51.42 kIjQaYPe0 81/115

少女「例えば切れたひもをまた繋ぐとしたら、ボンドでひっつけるか、結びますよね」

「??・・・ああ、そうだな」

少女「縁の場合は両方する必要があるんです」

「ん??」

少女「つまり、ひっつけるボンドが必要で、かつ結ぶ必要もあるわけです」

「・・・よくわからん」

少女「まあ、あたしも先輩の受け売りを言ってるだけなんですけども」




102 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:16:35.76 kIjQaYPe0 82/115

少女「人の縁に置き換えると、ボンドの代わりになるのは髪の毛と血です」

「は??」

少女「つまり、縁を結びなおした二人は髪の毛が少し短くなり、低血圧になるんです」

「なんだそれは」

少女「まあ命を吸い取るよりはましでしょ」

「まあそれはそうだけど」




104 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:21:47.93 kIjQaYPe0 83/115

「結ぶってのは、どうなるんだ??」

少女「切れたひもを結ぶと、少し短くなりますよね」

「ああ」

少女「縁を結びなおした二人の関係が、より『近く』『濃く』なるんです」

少女「仲が良くなる、というか」

少女「親近感が増す、というか。まあ人それぞれですけど」

「それメリットじゃないか」

少女「まあそういう風に考えるのが普通ですよね」




105 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:26:01.27 kIjQaYPe0 84/115

少女「それで、ですね」

「うん」

少女「たまたまこの近くで、『ナイフに縁を切られた』痕跡のあるブレスレットを見つけたんですが」

「え??」

少女「これです」

「・・・あ、これ、おれのじゃん」

少女「あなたが最初に縁を切ったのは、このブレスレットなんですよ」

「??」




108 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:31:37.74 kIjQaYPe0 85/115

「おれ多分その時、かなり酔ってたから」

「ナイフ拾って、ブレスレットなくした、ってのはわかるんだけど」

少女「なにか気に入らなくなったんでしょうね」

少女「ナイフを手にして、このブレスレットと縁を切っているんです」

「物でも縁切れるのか」

少女「はい。その証拠に、これは絶対にあなたの腕には付けられません」




109 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:36:51.07 kIjQaYPe0 86/115

「・・・」グィ

「本当だ」

少女「嫌がってるでしょう??」

「気持ち悪いな。勝手に反るブレスレットってのは」

少女「ちなみに、なんで気に入らなくなったかの答えはおそらく・・・」

「??」

「そんなことまでわかるのか??」




112 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:40:41.00 kIjQaYPe0 87/115

少女「あなたがその時、とっても酔っていたことが理由じゃないでしょうか」

「・・・」

「あー」

少女「つまりあなたがブレスレットにゲr」

「言わなくていい」

少女「かけちゃっt」

「言わなくていいから」

少女「ほらまだちょっと付いて」

「うるせえ!!」




113 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:44:55.75 kIjQaYPe0 88/115

少女「縁を戻すと、すべての切った縁が戻ります」

少女「つまり、このブレスレットも付けられます」

「血も髪の毛もないぞ」

少女「これだと・・・そうですね」

少女「ちょっと色が薄くなって革がパサパサになりますね」

「なんだよそれ」




115 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:47:38.18 kIjQaYPe0 89/115

少女「さて、それじゃあ縁戻しますか??」

「ああ。こんな断ち切られたような関係は御免だ」

「昨日までの、みんなとひとつの世界に、戻してくれ」

少女「わかりました。じゃあその前に、ナイフを」

「うん」ゴソゴソ

少女「はい、確かに。では目を閉じてください」

「ん」




116 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:51:15.90 kIjQaYPe0 90/115

少女「最後に、言わせてください」

少女「あなたのような普通の人に拾われていて良かった」

少女「悪用しようと思えば、いくらでもできる代物ですから」

「まあ・・・特性もつかめないまま君に見つかったけどな」

少女「それでは、縁を結びなおしますよ」

「うん、ありがとう」

シュイーン

「・・・」




117 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 01:58:21.14 kIjQaYPe0 91/115

少女「世界がひとつだった、今日をやり直してくださいね」

「・・・」

少女「・・・大天使様、聞いてますか??」

大天使「・・・おう」

少女「取り戻しました」

大天使「ったく、トロくさいんだよ、テメーは」

少女「でも、スムーズでしたよ??」

大天使「トロくさくなけりゃー地上に落とすこともねーんだよ、ボケ」

少女「うう・・・」




120 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 02:01:51.54 kIjQaYPe0 92/115

少女「これで、天界に帰ってもいいんですよね」

大天使「ああ、帰って来い。山のような反省文が待ってるがな」

少女「ひいいい」

大天使「しかし敬語がうまくなったな。気持ち悪かったぞ」

少女「気持ち悪いは余計ですぅ」

大天使「そこだけ評価してやろう。オラ、さっさと帰って来い」

少女「はーい」

大天使「はいは短くだ、ボケ」

少女「・・・はい」




121 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 02:06:17.32 kIjQaYPe0 93/115

チュンチュン

「・・・目覚まし、忘れた」ボー

「静かだな」ボー

「姉ちゃんはやっぱり起こしてくれない、か」ボー

「とりあえずキッチン行こう」フラフラ

ガチャリ




122 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 02:09:42.03 kIjQaYPe0 94/115

「おっはよう!!男!!」

「!!」

「どうした??そんなに驚いた顔しちゃって」

「ね、姉ちゃ・・・」

「さ、今日は何が食べたい??愛する弟のために腕をふるってやるぞ♪」

「・・・嬉しいんだけど、姉ちゃんなんかキャラ変わってねーか」

「あんたがもうちょっと寝坊してたら、ちゅうして起こしてやるところだったのになー」

「ちょ」




124 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 02:14:02.37 kIjQaYPe0 95/115

「・・・」

「どうした??」

「・・・大きな声出したら・・・ちょっとクラっと」

「弱りすぎじゃね??」




125 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 02:17:10.64 kIjQaYPe0 96/115

「(髪、短くなってるな。おれも姉ちゃんも)」シャコシャコ

「(まあこの程度なら、たいして影響ねーだろ。坊主じゃなくて良かった)」シャコシャコ

「男!!卵にケチャップでハート書いていい??」

「(・・・姉ちゃん変わりすぎだろ)」シャコシャコ




126 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 02:21:50.23 kIjQaYPe0 97/115

「(あ、指のケガなくなってる)」シャコシャコ

「男!!朝からお姉ちゃんの裸エプロン見たくない??」

「(そういや部屋のドアの傷も、なくなってたような気が・・・)」シャコシャコ

「ちょっと待て!!そのセリフご近所に聞かれたらどーすんだ!!」

「・・・」

「(・・・クラっときてる)」




128 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 02:26:53.27 kIjQaYPe0 98/115

ピンポーン

「お、来た。じゃあ行ってきまーす」

「はーい、行ってらっしゃい♪」

「(ていうか姉ちゃんは髪の毛のこと気付いてないのかな)」

ガチャ

「おはよー」

「お、おう。おはよ(こいつもやっぱちょっと短くなってるな)」

「・・・元気ないね??」

「(お前もな)」




129 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 02:30:55.94 kIjQaYPe0 99/115

ガタンガタン

「・・・」

「・・・」

「一昨日のこと、ちょっとは考えてくれた??」

「・・・」

「あ、急いでるわけじゃないからね」

「・・・うん(昨日のことは、覚えてないのかな)」




130 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 02:35:43.46 kIjQaYPe0 100/115

「(ていうか・・・)」

「(・・・こいつ、いつもよりも可愛くないか??)」

「(・・・)」ドキドキ

「??」

「(あれ??なんだこの気持ち)」ドキドキ

「どした??しんどいの??」

「いや、大丈夫(顔近い顔近い)」




131 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 02:39:13.79 kIjQaYPe0 101/115

「変なのー」

「(おれどうしちゃったんだろ)」

「ほら、もうすぐ学校だよ。早く行こうよ」

「(早く・・・イこうよ、だと??)」

「(いかんいかん、何考えてるんだ)」プルプル

「もー」




132 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 02:44:30.95 kIjQaYPe0 102/115

「おはよ」

「おはよー」

「おーっす」

「お、仲直りしたのか、よかったよかった」

「なんのこと??」

「ま、まあな・・・あはは」

「喧嘩なんかしてたっけ」

「なんでもねーよ」

「??」

「??」




136 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 03:00:51.64 kIjQaYPe0 103/115

チャリ

「あ、友、そのキーホルダー」

「おお、お前のお土産な。コレ気に入ったわ」

「え、マジで。それきもいじゃん。なんで??」

「可愛いだろうが、これ。ていうかきもいと思ったものなんで買ってくるんだよ」

「えーなにこれ、微妙」

「・・・あれ、女ちゃん髪切った??」

「!!」




138 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 03:05:09.09 kIjQaYPe0 104/115

「え、切ってないけど」

「嘘、ちょっと短くしてるじゃん」

「え、そうかな」

「(やべえ別の人でも気付くのか)」

「(ていうか女自身はどう思ってるんだろう)」

「まーいいんじゃない??」

「そうだな」

「(二人が馬鹿でよかった)」




139 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 03:08:22.61 kIjQaYPe0 105/115

「(でも、おれの髪には気づいてくれないんだね・・・)」

「ははは」

「ははは」

「・・・」

「なあ、このキーホルダーの色違いって売ってなかったか??」

「え??」

「色違い」

「売ってたと思うけど・・・」




140 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 03:12:17.20 kIjQaYPe0 106/115

「なに、自分で買うの。色違いコンプでもすんの、そのきもいの」

「きもいのって言うな」

「なになにー彼女におそろいのプレゼントとか??」

「え・・・あ、いや、別に、あはは」

「・・・」

「・・・」

「・・・(マジかよ)」

「・・・(マジかよ)」




141 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 03:16:54.11 kIjQaYPe0 107/115

「いいじゃん!!いつもお前らがベタベタしてるとこばっか見せられてんだから!!」

「ベタベタとかしてないし」

「でも男はいつも汗でベタベタしてるけど」

「そういう誤解を生む発言は控えなさい」

「ほら!!そういうとこ!!いいじゃんおれだって別に彼女くらい・・・」

「まあ、頑張れ。たとえ朝青龍のような彼女だったとしても」

「決めつけんな!!」




143 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 03:22:25.98 kIjQaYPe0 108/115

「というわけで、これ買った店連れてって♪」

「えー」

「いーじゃん、一緒に行こうよ」

「(一緒に・・・イこうよ、だと??)」

「(いかんいかん、何考えてるんだ)」プルプル

「はい、決まりー」

「え」




145 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 03:25:18.18 kIjQaYPe0 109/115

「あれ、授業は??」

「何言ってんの、もう終わったじゃん」

「え」

「さ、行こうぜー」

「え」

「ほら、早く行こうぜ」

「(早く・・・イ)いや、お前が言うんじゃない」

「え??」




147 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 03:28:46.91 kIjQaYPe0 110/115

ガヤガヤ

「えーと、この辺だったっけ」

「ほら、あの店」

「あ、ここだここだ」

「あ、じゃあおれ探してくるわ」

「場所わかるか??」

「いいんだよ、お前は女ちゃんとイチャイチャしてろ」

「うるせえ、早く行け!!」

「早く・・・イけって??ドSか」

「うるせえ」

「今のどういう意味??」

「知らなくていいから」




148 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 03:31:47.38 kIjQaYPe0 111/115

「・・・友、遅いな」

「気使ってくれてるのかな」

「・・・」

「ね、やっぱり人にこういう風に見られるのって、いや??」

「ん??」

「公認のカップルみたいに、さ」

「ああ。でもそれは前からよくあったし、今更・・・」

「あたしが告白してる状況でも??」

「ん・・・」




149 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 03:35:40.99 kIjQaYPe0 112/115

「変な状況だよね」

「周りは何も変わってないし、あたしも普通に受け流してられるのに」

「男のことは、あたしが引っかき回しちゃったなって」

「迷惑だったらさ、あれ、やっぱりなかったことに」

「ちょっと待てよ」

「え」

「なに勝手に決め付けてんの」




153 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 04:00:22.22 kIjQaYPe0 113/115

「確かに、いきなりでびっくりしたけど」

「そういう風には見れないって言ったけど」

「・・・気持ち変わったわ」

「!!」

「お前のこと、そういう風に見ようとしてなかっただけだった」

「・・・」

「お前が別のやつと付き合うとか、絶対考えたくないし」

「え」

「だから・・・」




154 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 04:06:04.73 kIjQaYPe0 114/115

「お待たせー」バタバタ

「・・・っ」

「なになに??邪魔しちゃった??」

「う、ううん、そんなことないよ(空気読めよ)」

「あ、ああ。目当てのもんはあったか??(空気読めよ)」

「おう、ありがと。見つかっ」

ドン

「あ」

「あ」

怖いお兄さん「ゴルァァアアアアアアアア」

「・・・忘れてた」


★おしまい★



156 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 04:12:15.89 kIjQaYPe0 115/115

さるさん食らいつつも何とか終わりました。
人いなさすぎはもう慣れっこですがさすがに心折れそうになりました。
見てくださった方は遅くまで本当にありがとうございました。

よければどうぞ。
http://hamham278.blog76.fc2.com/


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