男「なんで、こんなことに・・・」
―2日前―
ジリリリリリ・・・ジリリリリ・・・
男「ん・・・朝か・・・」
男「ふあ・・・」
男「あー昨日飲みすぎたかな。だりい」
姉「男ーもう起きないと遅刻するわよー」
男「あいよー」
元スレ
男「世界はひとつだった 昨日までひとつだった」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1251455328/
姉「ほら、珈琲」コト
男「ありがと」
姉「・・・ねえ、男」
男「ん??」
姉「昨日、あんな遅くまでどこ行ってたの??」
男「あ、ああ。連れの家だよ。みんなで飲みにさ」
姉「もう・・・あんまり心配かけないでよ。電話出ないし」
男「ごめんって。気付かなかったんだよ」
男「もう子どもじゃないんだから、大丈夫だって」
姉「なーにが。まだのんびり学生してるくせに」
姉「社会の厳しさを知ってから偉そうな口聞きなさいよね」
男「へいへい」
姉「あんたが立派な社会人になるまで見届けないと、死んだ父さんと母さんに申し訳が立たないからね」
男「へいへい。そのセリフは死ぬほど聞いたよ」
姉「で、女ちゃんは??今日も迎えに来てくれるの??」
男「そのはず」
ピンポーン
男「お、来た」
姉「ほら、急いで行ってあげな」
男「あい。行ってきます」
姉「行ってらっしゃいー」
ガチャ
男「おはよ」
女「おはよー♪今日もいい天気だねー」
男「なんで朝からそんな元気かな・・・」
ゴトンゴトン
女「昨日はちゃんと帰れた??」
男「ああ。まあなんとか・・・」
女「そのままベッドに直行!!とかじゃなかったでしょうね」
男「いや、ちゃんと着替えてたみたいだし大丈夫だった」
女「みたいって・・・覚えてないの??」
男「んー頭ボーっとしてたからな」
女「もー。しっかりしてよね」
女「あ、そういや今日の2限休講になってたね」
男「マジで!?ラッキ」
女「3限元々ないし、時間空いちゃうね」
男「ちょっと街のほう出てみようかな」
女「えーあたしも行きたい」
男「別に買い物行くんじゃねえんだぞ」
女「ちょっとだけちょっとだけ」
男「しゃーねえなー」
ガラガラ
友「おー男、おはよう」
男「おはよっす」
友「女ちゃんも、おはよう」
女「おはよー♪」
友「朝からまた、仲のよろしいことで」
男「そんなんじゃねえって」
女「幼馴染のよしみってやつよ」
友「しかし大学まで一緒ってのは珍しいよな」
男「まーな」
友「しかし、それにしても家まで迎えに来てくれる幼馴染がいるなんて・・・」
友「某巨大掲示板の人たちが知ったらフルボッコだなあw」
男「フル??なんだって??」
友「ああ、いやこっちの話」
女「勃起??」
男「ちょ、お前何言ってんの!?」
友「ぶふぉあ!!」
友「ま、まあとにかく、男、お前昨日ちゃんと帰れたか??」
男「なんだよ、お前まで心配してんのか」
友「お前ベロベロだったしな」
女「本当ならシャキッとして、あたしを無事に送り届けるくらいはしてほしかったんだけどね」
男「あ、そういやお前どうやって帰ったの」
女「そこから記憶ないの??」
男「う、うん。全然」
女「ったくもー」
友「そういやお前、今日はつけてないんだな」
男「え??」
友「ほら、お前の気に入ってた、黒革のさ」
男「・・・ああ。あのブレスレットか」
女「あ、本当だ。昨日落としちゃったとか??」
男「どこやったんだろ」
女「覚えてないの??」
友「・・・やっぱ昨日、飲ませすぎたか」
ガヤガヤ
教授「出席票を配るぞー」
男「おっともう始まる時間か」
男「あ、そうだ友。今日2~3限空いてるから、どっか出かけないか」
友「あーおれはいいや。邪魔だろうしな」
男「え??」
友「女ちゃんも行くんだろ??」
女「え、あ、そうだけど・・・」
男「そんな気回さなくっていいって」
友「まあ、どっちにしろ今日は遠慮しとくわ」
女「・・・」
ゴソゴソ
男「ん??なんだこれ」
友「どした??」
男「あ、いやなんでも」
男「(なんだこれ・・・ナイフ??何で鞄にこんなもんが入ってんだよ)」
男「(いや、それ以前に・・・こんなもん持ってたっけ)」
男「(危ねーな・・・とりあえず隠しとこう)」
女「ねえ!!」
男「うおっ!!な、何??」
女「今日どうする??」
男「え??空き時間のこと??」
女「うんうん」
男「あ、ああ。とりあえずバスでちょっと街出るか」
女「あ、じゃああたしあの店行きたい!!」
男「またかよ」
友「平日の真昼間からデートとは羨ましい限りですな」
男「そんなんじゃねえってば」
女「・・・」
ガヤガヤ
男「さ、行くかー」
女「おうっ」
友「いてらー」
友「あ、余裕あったらさ、あの新刊多分出てるから買ってきてくれよ」
男「へいへい了解」
女「行くよー」
ザワザワ
男「平日だってのになんでこんなに混んでんだよ」
女「ほんとだねー」
男「しかもカップルばっかだし」
女「あ、外人さんだ」
男「外人ですらカップルだし」
女「・・・」
女「あ、あれあれ!!あの店!!」
男「はいはい」
男「なんで女ってのは、こういう雑多な店が好きかな」
女「雑多って言うな」
男「で、何買うの」
女「それをこれから考えるの♪」
女「♪」
男「(ご機嫌だなこいつ)」
女「あ、これも可愛い♪」
男「(さ、おれも友になんか買って行ってやるかなー)」ウロウロ
男「お、なんだこのきもいのは」
男「・・・」
男「これにしよう」
女「はー良かった」
男「あれ、全然買ってないじゃん」
女「だってああいうのは見るのがメインだもん」
男「ふーん(よくわかんね)」
女「あれ、男はなにか買ったの??」
男「ああ、友にお土産」
女「ふーん」
男「本屋見たい」
女「おう」
男「すぐ終わるし」
ウイーン
男「新刊コーナーっと・・・」
女「・・・んー」
男「お、出てる出てる」
女「それ買うの??」
男「友が集めてんだよ」
女「どういう話??」
男「んーまあ簡単に言えば『なん・・・だと・・・??』の繰り返しかな」
女「なにそれ」
男「ひたすらシーソーゲームだよ」
女「よくわかんないや」
男「まあおれにもよくわかんないから」
男「!!」
男「うおおおおおおおおおおおっ!!」
女「ちょ、うるさい。どしたの??」
男「こ・・・これ・・・」
女「ん??この漫画がどうしたの」
男「いいか、この作者が新刊を出すということは、例えば自動販売機のお釣りのところを覗いてみたらセミの死骸が入ってるってことよりも珍しいことなんだ」
女「はあ??」
男「ていうか・・・再開してたんだ・・・♪」ニヤニヤ
男「死んでなかったんだぁ・・・♪」ニヤニヤ
女「ああ・・・男がどこか遠くへ行ってしまう・・・」
女「え。ていうかお釣りのところにセミってよく入れたよね??子どものころ」
ウイーン
店員「ありがとうございましたー」
男「ふぅ・・・いい買い物した」
女「ね、大丈夫??」
男「おう、今のおれは超機嫌いいぜ」
女「マジで!?じゃさ、クレープおごってよ」
男「え、えええ」
女「機嫌いいんでしょー??」
男「しゃあねえなー半分くれよ??」
女「おうおう」
店員「しゃーせー」
男「どれする??」
女「せっかくだから一番高いやつ!!」
店員「はいよー」
男「え、おいちょっと」
女「トッピングスペシャルてんこ盛りで!!」
店員「はいよー」
男「お、おいおい」
女「♪」
男「ったく・・・どんだけでかいんだよ」
女「あは、幸せ」ハムハム
男「おい、前見て歩けよ」
ドン ベチャ
男「お、おい・・・」
女「あ・・・」
怖いお兄さん「・・・オイ」ギロリ
女「あっ・・・ご、ごめんなさい」
怖兄「ごめんなさいで済むかい!!このシャツ新品やぞゴルァ!!」
男「(や、やばい。ここは男らしく、助けなければ)」
女「ご、ごm」
怖兄「ゥオラアアアアアアアガアアアアアアアア」
男「(やばいやばい!!ど、どうしよう)」
怖兄「ゴルァァアアアアアアアア」
女「お、男ぉ・・・」グス
男「(お、おい、おれの後ろに隠れんな)」
怖兄「ゴラァ逃げんなぁ!!」
女「ひっ」
怖兄「それともこの兄ちゃんが替わりに殴られてくれるんかい!!おお??」
男「(え、ちょ、いつから殴られる話になってんの)」
怖兄「まあええ、女の子殴るよりは気持ちも晴れるやろ」パキポキ
男「ひいいいいい」
女「・・・」ブルブル
男「(ああ・・・こんな時のために筋トレとかしておけばよかった・・・)」
男「(痛いんだろうな・・・)」
男「(痛いのやだなあ・・・)」
男「(あ、そういえばさっきの・・・)」
男「・・・」ゴソゴソ
男「(この・・・ナイフで)」
男「(いや、でもむしろ火に油か??)」
怖兄「ゴルァァアアアアアアアア」
男「(でも、ちょっとでもひるんでくれたら・・・その間に逃げたらいい)」
ギュ
男「(・・・よし!!)」
怖兄「!!」
怖兄「・・・」クルリ
スタスタ・・・
男「・・・」
女「・・・」
男「・・・え??」
女「行っちゃった・・・」
男「(まだ、ナイフ見せたわけじゃないのに・・・)」
女「よ、良かった~」
男「なんでだ??」
女「なにが??」
男「なんでいきなり興味なくしたみたいに、どっか行っちまうんだよ」
女「わかんないよ。我に返って、大したことじゃないって思ったからじゃない??」
男「いや、それにしても・・・」
女「とにかく、無事でよかったじゃない。ね??」
男「ってなことがあってな」
友「おいおい・・・危ねえな」
女「男が守ってくれたんだよね♪」
男「いや、おれは本当に何も・・・」
友「まあ無事でよかったな。クレープ以外」
男「もう一個奢らされた」
友「そ、そうか」
男「あ、これお土産」
友「おお、サンキュー。やっぱ出てたか。ほい金」チャリン
男「あいよ」
友「これは??」
男「それもお土産だ。家で開けろ」
友「おお、サンキュー」
男「なんなんだろうな」
女「なにが??ほら、もう帰るよ」
男「・・・あの怖い人のこと」
女「まあ不思議といえば不思議だったけど・・・」
女「もういいじゃん」
男「うん・・・そうだな」
女「考えすぎると禿げるよ」
男「それはいやだわ」
ゴトンゴトン
女「でさー」
男「(あのナイフ・・・なんか不思議な力でも持ってんのかな)」
女「それでねー」
男「(いつから入ってた??)」
女「でー」
男「(酔っぱらってあんまり覚えてないとき、拾ったりしたのか??)」
女「・・・」
女「聞いてる??」
男「え、ああ・・・」
女「ほら、聞いてない」
男「ごめん」
女「・・・あのさ、今日時間ある??」
男「この後??あるけど」
女「じゃさ・・・ちょっと話したいことがあるんだけど」
男「ん??いいよ」
女「あそこの公園行こう」
男「おう」
女「もう結構暗いね」
男「そだなー」
女「ね、今日の買い物さ、あたし邪魔だったかな」
男「は??何言ってんの??」
女「いや・・・男本当は一人で行きたかったのかなーとか」
女「あたしいなかったらトラブルもなかったしなーとか。そういうこと考えちゃって」
男「ああ・・・そんなこと思ってないよ。気にすんな」
女「そっか・・・良かった」
男「うん」
女「・・・」
男「・・・なあ、今日ちょっとお前変じゃね??」
女「え??そ、そうかな」
男「なんかいつもと違う」
女「・・・」
男「悩み事か??相談なら乗るぞ」
女「悩み事って言えば・・・まあ悩み事かな」
男「そっか。聞くぞ」
女「あのさ・・・」
男「・・・」
女「お、男はさ、あたしのこと、どう思ってる??」
男「・・・」
男「・・・は??」
男「(それって・・・それってやっぱ、そういう意味か??)」
男「え、えっと」
女「・・・」
男「お、幼馴染で、親友で・・・(いや、これじゃあ答えじゃない)」
女「・・・うん」
男「えっと・・・大切な・・・存在かな」
女「・・・」
女「そっか」
男「えっと」
女「あたしはね、好きだよ。男のこと」
男「・・・(マジで??)」
女「ずっと前から、ただの幼馴染じゃないって思ってた」
男「・・・(それマジで言ってんのか??)」
女「男は、あたしのこと好きじゃない??」
男「好きだよ。好きだけど・・・」
女「・・・」
男「そういうのとは、違う気がする」
女「やっぱり異性としては見れない??」
男「そこまでは言わないけど・・・ちょっと今」
女「うん」
男「混乱してるってか、ちょっと・・・いや、ごめんなんか」
女「いつか、答え聞かせてくれる??」
男「え・・・うん」
女「それまで、今までどおりにふるまってくれていいからね」
女「ていうか、あたしが振られても、今までどおりいてほしいな」
男「・・・」
女「ダメかな」
男「いや、わかったよ」
女「ありがとう」
男「おう」
女「したかった話は、これでおしまい」
男「送ってくよ」
女「いい」
男「え」
女「今日はいい」
男「そうか??」
女「うん、聞いてくれてありがとう。また明日ね」
男「お、おう」
ボフッ
男「今まで通り・・・か」
男「無理だよ、そんなの」
男「なんで・・・」
男「なんで言うかな・・・女・・・」
男「何も考えらんねー」
男「・・・くそっ」
姉「男ー」コンコン
男「!!」
姉「ねえ、いるの??」
男「・・・うん」
姉「晩御飯いらないのー??」
男「いらない」
姉「なによー食べなきゃ体に悪いわよ」
男「いいんだよ」
姉「食べてきたの??」
男「もういいって、ほっといてくれよ!!」
姉「・・・」
姉「もう知らない」
男「・・・」
姉「もう知らないわよ」
パタパタ
男「はあ・・・」
男「明日学校行きたくね・・・」
男「もう寝よ」
男「あ、ナイフどうしよ」
男「・・・とりあえず鞄からは出しとくか、危ないし」
ゴソゴソ
男「・・・やっぱ変な形」コトン
男「・・・寝よ」
ピンポーン
チュンチュン
男「・・・」
男「全然眠れなかった・・・」
姉「男ー」
男「はいはーい」
姉「女ちゃんもう来てるわよー」
男「え、うそ。チャイム鳴ったっけ」
姉「早く下りてきなさい」
男「・・・(いつもどおり、か)」
男「・・・(姉ちゃんはちょっと怒ってる気味だけど)」
男「なんか、会いたくねえ・・・」ゴソゴソ
ゴトン
男「うわ、あぶね」
男「そういやナイフここに置いたんだっけ」
男「とりあえず机にでもしまっとこ」ゴソゴソ
姉「早くしなさいよー」
男「わーってるよー」
男「行ってきます・・・」
姉「行ってらっしゃいー」
ガチャ
男「・・・」
男「あれ??」
男「え、誰もいないじゃん」
男「??」
男「先行っちゃったかな」
男「??」
男「なんだよ・・・くそ。わけわかんねー」
友「おう、おはよ」
男「おはよ」
友「どうしたんだよ。今日は一緒じゃねえの」
男「んーよくわからん」
男「迎えに来てくれてたと思ったんだけど、先に行かれたみたいで」
友「あそこに座ってるぞ。喧嘩でもしたのか??」
男「喧嘩??」
友「ああ。だって、お前のこと聞いたら一切反応しなくなったんだから」
男「反応しないって??」
友「お前の名前出したとたん、無表情になったってか、無反応になった」
男「なんだよそれ・・・おれなんも気に障ることしてないぞ」
友「直接聞いてみろよ」
男「・・・なんか怖いな」
友「はら、見ててやるから」
男「・・・おう」
女「・・・」
男「(怒ってる様子はなさそうだな)」
男「女、おはよ」
女「・・・」
男「(・・・こっちも向かない)」
男「女、なんか怒ってるのか??(なら正面に)」
女「・・・」
男「なあ、おん・・・」
女「・・・」
男「な、なんだよその目・・・」
男「おれのこと・・・見てないのか??」
男「それとも見えてないのか??」
女「・・・」
男「おい」
女「・・・」
男「おいって!!」
男「(なんだよ・・・死んだ魚みたいな目で、どこ見てんだよ)」
友「どうだった??お前が一方的にしゃべってるように見えたけど」
男「あいつ・・・おれのこと見ない」
友「見ない??」
男「見ないっていうか・・・見えてないみたいだった」
友「は??なにそれ。徹底的なシカトか??」
男「わかんねー。でも怒ってる風じゃなかった」
友「おれにはお前が見えてるけどなあ。足もちゃんとあるし」
男「・・・怖いこと言うなよ」
男「女、飯食おうぜ」
女「・・・」
友「・・・飯行かない??」
女「あ、うん」
男「・・・んだよこれ」
友「なあ、女ちゃん、男と何があったんだよ??」
女「・・・」
男「(そこで無反応になるのかよ)」
男「・・・」
女「あ、これおいしい♪」
友「あ、そ、そう??」
男「(おれのほう、絶対見ないな)」
女「それで~」
男「(おれが何したってんだよ・・・)」
友「へ、へぇ~」チラ
男「いいよ、気にすんな。おまえは悪くない」イライラ
女「でね~」
男「・・・」イライラ
女「友くん、一緒に帰ろう??」
友「え??」
女「ちょっと行きたいところあんの♪」
友「・・・」
男「・・・」イライラ
女「ねえねえ」
友「あ、ああ・・・でも・・・」
男「いーよ、行って来いよ。おれに気を使う必要ないだろ??」イライラ
バタバタバタ バン
男「ああっくそ!!意味わかんねー!!」ドカッ
男「なんだよ。おれがなんかしたか!!」ドカッ
男「いきなり告白しといて次の日には完全シカトか!!」
男「今までどおりでいたいとか言っといてそれか!!」
姉「ちょっと男!!帰ってくるなりどうしたのよ!!」
男「うるせえ!!入ってくんな!!」
ガンッ
姉「きゃっ」
姉「一体なにしてんのよ!!」
男「うるせえって言ってんだろ!!」
ブン ザクッ
男「ほっといてくれ!!」
男「あーくそ・・・もう・・・あーくそ!!」
姉「・・・」
男「んだよあの態度!!」
男「あの目!!」
男「・・・くそ」
男「・・・」
男「・・・なにやってんだおれ・・・」
男「全然関係ない姉ちゃんにまで当たって」
男「ドアにナイフ投げて・・・おれはなんつーことを・・・」
男「刺さっちゃってるし。最悪」グィ
男「謝ろう」
男「うん、謝ろう。どう考えてもおれが悪い」
ガチャ パタパタパタ
男「姉ちゃん、ゴメン」
姉「・・・」
男「姉ちゃん、ゴメン。おれが悪かった」
男「ひどいこと言った。もう、落ち着いたから」
姉「・・・」
男「ね、姉ちゃん・・・」
姉「・・・」
男「ね・・・」
男「!!」
男「(これは・・・今日の女と、同じ目・・・)」
男「ね、姉ちゃん、おれのこと見える??おれの声聞こえる??」
姉「・・・」
男「おれのこと・・・見てよ。ゴメンって!!謝るからさ!!」
姉「・・・ご飯、作らなきゃ」
男「姉ちゃん!!」
姉「・・・適当で、いいか」
男「姉ちゃん!!」
姉「・・・」
男「(おれのこと・・・見てくれなかった)」
男「(今日の女と、反応が全く一緒だった)」
男「(ご飯にも呼んでくれない)」
男「(いや、多分・・・おれの分はないだろうな)」
男「(なんだよ、何が悪いんだよ)」
男「(意味、わかんねー)」
男「女」
男「姉ちゃん」
男「なんだったんだよ」
男「おれはどうしたらいんだよ」
男「・・・」
男「・・・」
男「・・・ナイフだ」
男「あれがいつの間にか鞄に入ってた」
男「そこから・・・何か、おかしくなった」
男「あの・・・変なナイフが」チラッ
ごとり
男「(・・・なんか、不自然に重いな)」
ぷつ
男「(普通に、切れるな)」
つー
男「・・・いてえ」
―ミ
男「どこで、どうやって手に入れたんだろう。覚えてねーや」
― ツ
男「・・・とりあえず、友に相談してみよう」
― ケ
男「明日、これ見せてみよう。なんか知ってるかもな」
― タ
男「・・・指いてえ」
チュンチュン
男「・・・目覚まし、忘れた」
男「静かだな」
男「姉ちゃんはやっぱり起こしてくれない、か」
男「とりあえずキッチン行こう」
ガチャリ
姉「・・・」
男「!!」
男「お、おはよう姉ちゃん」
姉「・・・」スタスタ
男「やっぱ反応してくれない、か」
男「女も、来てくれないんだろうな、やっぱり」
男「昨日まで、普通だったじゃん」
男「世界はひとつだった。昨日までひとつだった」
男「なんでこんなことに・・・」
男「・・・行ってきます」
姉「・・・」
男「・・・飯はコンビニで買うか。なんか、勝手に冷蔵庫開けるのためらったもんな・・・」
男「てか、昨日から食ってないから腹減ったな・・・」
少女「おはようございます♪」
男「うお!!」
男「お、おはよう(誰??)」
少女「ふーやっと見つけた」
男「見つけた??」
少女「ええ、あなたを」
男「おれを??」
少女「突然ですみません。今、話せますか??」
男「君はおれのことを知ってるようだけど・・・君のことを思い出せない」
少女「ええ、会うのは初めまして、ですね」
男「君は誰??」
少女「(人間に自分から名乗ることはできない・・・)」
少女「(けどまあ、それさえ守ればいいんだから、緩いルールよね)」
少女「あたしは、まあこういうものです」
男「ん??(輪っか・・・)」
男「まさか今日一日だけ生き返らせてもらった悟k」
少女「違います」
男「あの、だから占いババに頼んで一日だけ・・・」
少女「違うってば」
男「ということは、天使??」
少女「はい、御名答」
男「いかん、これはまだ夢だったか」
少女「現実ですよ」
男「夢が覚めたら、女も姉ちゃんもいつも通りの世界が」
少女「残念ながら、それも現実です」
男「え・・・今なんて」
少女「あなたと、そのお二人との関係が『切れて』しまったのも、現実です」
男「なんで・・・それを知ってるんだ??」
少女「天使ですから」
男「意味、わかんねー」
少女「まあ簡単に言うと、あなたの持っているナイフ、あたしのなんです」
男「え??」
少女「えへへ」
少女「この間ちょっとした手違いで地上に落としてしまって」
少女「それをあなたが拾ったのを、昨日発見したわけです」
少女「拾い主の特定は難しかったんですけど、使ったかどうかは遠くにいてもわかるので」
男「はー」
少女「何回か使っちゃってますよね」
男「えーと」
少女「お困りのようですね」
男「ていうか・・・いきなりそんなこと色々言われても、簡単には信じられないな」
男「大体、使うってなんだよ」
少女「普通のナイフとしても使えるんですけど」
少女「あのナイフの使い道は、まあ『縁切り』とでも言うのかな」
男「縁切り??」
少女「そう、あのナイフに触れて、心に念じるんです」
少女「対面している対象と縁を切りたい、と」
少女「そうすると、相手との関わりが無くなるんです。つまり縁を切ったわけですね」
男「でもおれ、縁を切りたいなんて思ってないぞ」
少女「他の言葉でもいいんですよ。例えば、『会いたくない』とか『消えろ』とか」
男「あ・・・」
少女「理解していただけました??」
男「ああ・・・それで、納得したよ」
男「確かにおれは、一瞬でも『会いたくない』『関わりたくない』と思ってた」
少女「そして、その人との縁が切れた、と」
男「やっぱりナイフが、原因だったのか」
少女「そうです」
男「二人が態度を変えたのは、縁が切れてしまったからなのか」
少女「そうです。あなたの問いかけにも全く反応しなかったでしょう??」
男「うん。あのぞっとする感覚は思い出したくない」
少女「あなたのことが見えない。あなたの声も聞こえない。あなたに関することはわからない」
男「別の友達がおれの話を持ちかけた時も、反応しなかったしな」
少女「それが、まあ『縁を切る』ということなんですよ」
少女「で、まあそんなわけで、あのナイフを返してもらえるとありがたいんですけど」
少女「本来地上にあってはいけないものだし」
男「いや・・・ちょっと待て。肝心なことを聞いていない」
少女「なんですか??」
男「切った縁は、もとに戻るのか??」
少女「・・・」
男「おれ、その、友達と姉ちゃんに向かって使っちまったんだよ」
男「カッとなったっていうか、勢いで、さ」
男「今はもちろん後悔してるよ。まだたった1日だけど、とても耐えられない」
男「もとに、戻したいんだ」
少女「方法は、あります」
男「マジで!!」
少女「ただし」
男「魂を、取るのか」
少女「そんなことしませんよ。それは死神の仕事です」
少女「ていうか死神は魂を取るっていうか、命を吸い取るんですけど」
少女「まあそんな話は置いといて、縁を結びなおす方法ですね」
男「ああ。あるのなら、教えてくれ」
少女「例えば切れたひもをまた繋ぐとしたら、ボンドでひっつけるか、結びますよね」
男「??・・・ああ、そうだな」
少女「縁の場合は両方する必要があるんです」
男「ん??」
少女「つまり、ひっつけるボンドが必要で、かつ結ぶ必要もあるわけです」
男「・・・よくわからん」
少女「まあ、あたしも先輩の受け売りを言ってるだけなんですけども」
少女「人の縁に置き換えると、ボンドの代わりになるのは髪の毛と血です」
男「は??」
少女「つまり、縁を結びなおした二人は髪の毛が少し短くなり、低血圧になるんです」
男「なんだそれは」
少女「まあ命を吸い取るよりはましでしょ」
男「まあそれはそうだけど」
男「結ぶってのは、どうなるんだ??」
少女「切れたひもを結ぶと、少し短くなりますよね」
男「ああ」
少女「縁を結びなおした二人の関係が、より『近く』『濃く』なるんです」
少女「仲が良くなる、というか」
少女「親近感が増す、というか。まあ人それぞれですけど」
男「それメリットじゃないか」
少女「まあそういう風に考えるのが普通ですよね」
少女「それで、ですね」
男「うん」
少女「たまたまこの近くで、『ナイフに縁を切られた』痕跡のあるブレスレットを見つけたんですが」
男「え??」
少女「これです」
男「・・・あ、これ、おれのじゃん」
少女「あなたが最初に縁を切ったのは、このブレスレットなんですよ」
男「??」
男「おれ多分その時、かなり酔ってたから」
男「ナイフ拾って、ブレスレットなくした、ってのはわかるんだけど」
少女「なにか気に入らなくなったんでしょうね」
少女「ナイフを手にして、このブレスレットと縁を切っているんです」
男「物でも縁切れるのか」
少女「はい。その証拠に、これは絶対にあなたの腕には付けられません」
男「・・・」グィ
男「本当だ」
少女「嫌がってるでしょう??」
男「気持ち悪いな。勝手に反るブレスレットってのは」
少女「ちなみに、なんで気に入らなくなったかの答えはおそらく・・・」
男「??」
男「そんなことまでわかるのか??」
少女「あなたがその時、とっても酔っていたことが理由じゃないでしょうか」
男「・・・」
男「あー」
少女「つまりあなたがブレスレットにゲr」
男「言わなくていい」
少女「かけちゃっt」
男「言わなくていいから」
少女「ほらまだちょっと付いて」
男「うるせえ!!」
少女「縁を戻すと、すべての切った縁が戻ります」
少女「つまり、このブレスレットも付けられます」
男「血も髪の毛もないぞ」
少女「これだと・・・そうですね」
少女「ちょっと色が薄くなって革がパサパサになりますね」
男「なんだよそれ」
少女「さて、それじゃあ縁戻しますか??」
男「ああ。こんな断ち切られたような関係は御免だ」
男「昨日までの、みんなとひとつの世界に、戻してくれ」
少女「わかりました。じゃあその前に、ナイフを」
男「うん」ゴソゴソ
少女「はい、確かに。では目を閉じてください」
男「ん」
少女「最後に、言わせてください」
少女「あなたのような普通の人に拾われていて良かった」
少女「悪用しようと思えば、いくらでもできる代物ですから」
男「まあ・・・特性もつかめないまま君に見つかったけどな」
少女「それでは、縁を結びなおしますよ」
男「うん、ありがとう」
シュイーン
男「・・・」
少女「世界がひとつだった、今日をやり直してくださいね」
男「・・・」
少女「・・・大天使様、聞いてますか??」
大天使「・・・おう」
少女「取り戻しました」
大天使「ったく、トロくさいんだよ、テメーは」
少女「でも、スムーズでしたよ??」
大天使「トロくさくなけりゃー地上に落とすこともねーんだよ、ボケ」
少女「うう・・・」
少女「これで、天界に帰ってもいいんですよね」
大天使「ああ、帰って来い。山のような反省文が待ってるがな」
少女「ひいいい」
大天使「しかし敬語がうまくなったな。気持ち悪かったぞ」
少女「気持ち悪いは余計ですぅ」
大天使「そこだけ評価してやろう。オラ、さっさと帰って来い」
少女「はーい」
大天使「はいは短くだ、ボケ」
少女「・・・はい」
チュンチュン
男「・・・目覚まし、忘れた」ボー
男「静かだな」ボー
男「姉ちゃんはやっぱり起こしてくれない、か」ボー
男「とりあえずキッチン行こう」フラフラ
ガチャリ
姉「おっはよう!!男!!」
男「!!」
姉「どうした??そんなに驚いた顔しちゃって」
男「ね、姉ちゃ・・・」
姉「さ、今日は何が食べたい??愛する弟のために腕をふるってやるぞ♪」
男「・・・嬉しいんだけど、姉ちゃんなんかキャラ変わってねーか」
姉「あんたがもうちょっと寝坊してたら、ちゅうして起こしてやるところだったのになー」
男「ちょ」
姉「・・・」
男「どうした??」
姉「・・・大きな声出したら・・・ちょっとクラっと」
男「弱りすぎじゃね??」
男「(髪、短くなってるな。おれも姉ちゃんも)」シャコシャコ
男「(まあこの程度なら、たいして影響ねーだろ。坊主じゃなくて良かった)」シャコシャコ
姉「男!!卵にケチャップでハート書いていい??」
男「(・・・姉ちゃん変わりすぎだろ)」シャコシャコ
男「(あ、指のケガなくなってる)」シャコシャコ
姉「男!!朝からお姉ちゃんの裸エプロン見たくない??」
男「(そういや部屋のドアの傷も、なくなってたような気が・・・)」シャコシャコ
男「ちょっと待て!!そのセリフご近所に聞かれたらどーすんだ!!」
姉「・・・」
男「(・・・クラっときてる)」
ピンポーン
男「お、来た。じゃあ行ってきまーす」
姉「はーい、行ってらっしゃい♪」
男「(ていうか姉ちゃんは髪の毛のこと気付いてないのかな)」
ガチャ
女「おはよー」
男「お、おう。おはよ(こいつもやっぱちょっと短くなってるな)」
女「・・・元気ないね??」
男「(お前もな)」
ガタンガタン
女「・・・」
男「・・・」
女「一昨日のこと、ちょっとは考えてくれた??」
男「・・・」
女「あ、急いでるわけじゃないからね」
男「・・・うん(昨日のことは、覚えてないのかな)」
男「(ていうか・・・)」
男「(・・・こいつ、いつもよりも可愛くないか??)」
男「(・・・)」ドキドキ
女「??」
男「(あれ??なんだこの気持ち)」ドキドキ
女「どした??しんどいの??」
男「いや、大丈夫(顔近い顔近い)」
女「変なのー」
男「(おれどうしちゃったんだろ)」
女「ほら、もうすぐ学校だよ。早く行こうよ」
男「(早く・・・イこうよ、だと??)」
男「(いかんいかん、何考えてるんだ)」プルプル
女「もー」
友「おはよ」
女「おはよー」
男「おーっす」
友「お、仲直りしたのか、よかったよかった」
女「なんのこと??」
男「ま、まあな・・・あはは」
女「喧嘩なんかしてたっけ」
男「なんでもねーよ」
友「??」
女「??」
チャリ
男「あ、友、そのキーホルダー」
友「おお、お前のお土産な。コレ気に入ったわ」
男「え、マジで。それきもいじゃん。なんで??」
友「可愛いだろうが、これ。ていうかきもいと思ったものなんで買ってくるんだよ」
女「えーなにこれ、微妙」
友「・・・あれ、女ちゃん髪切った??」
男「!!」
女「え、切ってないけど」
友「嘘、ちょっと短くしてるじゃん」
女「え、そうかな」
男「(やべえ別の人でも気付くのか)」
男「(ていうか女自身はどう思ってるんだろう)」
女「まーいいんじゃない??」
友「そうだな」
男「(二人が馬鹿でよかった)」
男「(でも、おれの髪には気づいてくれないんだね・・・)」
友「ははは」
女「ははは」
男「・・・」
友「なあ、このキーホルダーの色違いって売ってなかったか??」
男「え??」
友「色違い」
男「売ってたと思うけど・・・」
男「なに、自分で買うの。色違いコンプでもすんの、そのきもいの」
友「きもいのって言うな」
女「なになにー彼女におそろいのプレゼントとか??」
友「え・・・あ、いや、別に、あはは」
女「・・・」
男「・・・」
女「・・・(マジかよ)」
男「・・・(マジかよ)」
友「いいじゃん!!いつもお前らがベタベタしてるとこばっか見せられてんだから!!」
男「ベタベタとかしてないし」
女「でも男はいつも汗でベタベタしてるけど」
男「そういう誤解を生む発言は控えなさい」
友「ほら!!そういうとこ!!いいじゃんおれだって別に彼女くらい・・・」
男「まあ、頑張れ。たとえ朝青龍のような彼女だったとしても」
友「決めつけんな!!」
友「というわけで、これ買った店連れてって♪」
男「えー」
女「いーじゃん、一緒に行こうよ」
男「(一緒に・・・イこうよ、だと??)」
男「(いかんいかん、何考えてるんだ)」プルプル
女「はい、決まりー」
男「え」
男「あれ、授業は??」
女「何言ってんの、もう終わったじゃん」
男「え」
友「さ、行こうぜー」
男「え」
友「ほら、早く行こうぜ」
男「(早く・・・イ)いや、お前が言うんじゃない」
友「え??」
ガヤガヤ
男「えーと、この辺だったっけ」
女「ほら、あの店」
男「あ、ここだここだ」
友「あ、じゃあおれ探してくるわ」
男「場所わかるか??」
友「いいんだよ、お前は女ちゃんとイチャイチャしてろ」
男「うるせえ、早く行け!!」
友「早く・・・イけって??ドSか」
男「うるせえ」
女「今のどういう意味??」
男「知らなくていいから」
男「・・・友、遅いな」
女「気使ってくれてるのかな」
男「・・・」
女「ね、やっぱり人にこういう風に見られるのって、いや??」
男「ん??」
女「公認のカップルみたいに、さ」
男「ああ。でもそれは前からよくあったし、今更・・・」
女「あたしが告白してる状況でも??」
男「ん・・・」
女「変な状況だよね」
女「周りは何も変わってないし、あたしも普通に受け流してられるのに」
女「男のことは、あたしが引っかき回しちゃったなって」
女「迷惑だったらさ、あれ、やっぱりなかったことに」
男「ちょっと待てよ」
女「え」
男「なに勝手に決め付けてんの」
男「確かに、いきなりでびっくりしたけど」
男「そういう風には見れないって言ったけど」
男「・・・気持ち変わったわ」
女「!!」
男「お前のこと、そういう風に見ようとしてなかっただけだった」
女「・・・」
男「お前が別のやつと付き合うとか、絶対考えたくないし」
女「え」
男「だから・・・」
友「お待たせー」バタバタ
男「・・・っ」
友「なになに??邪魔しちゃった??」
女「う、ううん、そんなことないよ(空気読めよ)」
男「あ、ああ。目当てのもんはあったか??(空気読めよ)」
友「おう、ありがと。見つかっ」
ドン
男「あ」
女「あ」
怖いお兄さん「ゴルァァアアアアアアアア」
男「・・・忘れてた」
★おしまい★
156 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/08/29(土) 04:12:15.89 kIjQaYPe0 115/115さるさん食らいつつも何とか終わりました。
人いなさすぎはもう慣れっこですがさすがに心折れそうになりました。
見てくださった方は遅くまで本当にありがとうございました。
よければどうぞ。
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