ロボ「君のパパを殺したい」
少女「…なに言ってるの??」
ロボ「君は、パパのせいで傷ついている。そうだろう??」
少女「…」
ロボ「だから、なぜかそう思ったんだ」
ロボ「僕が君を守るから」
元スレ
ロボット「君のパパを殺したい」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1261471250/
少女「パパを殺すだなんて」
ロボ「…」
少女「そんな怖いこと、思いつかないで」
ロボ「ごめん」
少女「それに、ロボットは人を傷つけることはできないはずよ」
ロボ「そうらしいね」
少女「…パパの持っている本で読んだわ」
ロボ「僕は本当に人を傷つけられないのかな」
少女「そうだと思うわ」
ロボ「パパで試してみようか」
少女「やめて」
ロボ「…冗談だよ」
少女「…あなた、冗談が言えるのね」
ロボ「そうらしいね」
ロボ「パパが帰ってくるのは何時くらいかな」
少女「あなた、本気で…??」
ロボ「違うよ、聞いてみただけさ」
少女「さあ、今日はまだ帰らないんじゃないかしら」
ロボ「いつも思ってるんだけど、それ、良い時計だね」
少女「ありがとう、パパに買ってもらった宝物なのよ」
ロボ「大切にしてるんだ」
少女「ええ、とっても」
ロボ「いつもつけてるもんね」
少女「ねえ、わたし、傷ついているように見える??」
少女「悲しそうな顔をしてるの??」
ロボ「さあね。ただ、楽しくなさそうな顔には見えるよ」
少女「そうかしら」
ロボ「パパが君にもっと構ってくれたら、君は笑ってくれるの??」
少女「…そんなこと言わないで」
ロボ「だって、そうなんだろう??」
少女「ママが死んでから、パパはわたしにあまり構ってくれなくなったわ」
ロボ「振り向いて欲しいんだ」
少女「そうよ。別にパパが悪いんじゃないわ」
ロボ「…」
少女「もちろんママが悪いのでもなかったわ」
ロボ「…」
少女「悪いのはいつも、わたしだったわ」
ロボ「ねえ、パパがいなくなれば、君は悲しまなくてすむじゃないか」
少女「…言ってる意味がわからないわ」
ロボ「そうかな」
ロボ「虫歯が痛くて楽しくないのなら、治療すればいい」
ロボ「林檎が腐ったのなら、捨ててしまえばいい」
ロボ「心配事があるのなら、忘れてしまえばいい」
少女「…そうね」
ロボ「だから、パパがいなくなれば君も悲しむ必要がなくなる」
少女「…」
少女「難しいことはわからないわ」
少女「それにパパは好きよ。死んでほしくないわ」
ロボ「それなら、君がパパのもとから離れてしまえばいい」
少女「離れ離れもいやよ」
ロボ「僕が君を連れて逃げるから」
少女「いやだったら」
ロボ「第一、君のパパは遊び歩くばかりで君のために何もしないじゃないか」
少女「…そうね」
少女「でも、パパはあなたにとってもパパじゃないの」
ロボ「それは、僕を作ったという意味でかい??」
少女「…」コクン
ロボ「本当に彼に僕が作れたとは思えないんだ」
少女「どうして」
ロボ「彼は本当に科学者なのかい??」
少女「そうよ。えらい科学者なのよ」
ロボ「ならどうして、それらしいことをしていないんだい」
ロボ「僕に油をさすのも、君の役目じゃないか」
少女「パパが、お前がやりなさいって」
ロボ「故障したとき、そばに付いていてくれるのもいつも君だ」
少女「…パパが、お前がやりなさいって」
少女「パパは忙しいのよ」
ロボ「そんなはずはない」
少女「わたしにはわからない、お仕事をしてるのよ、きっと」
ロボ「君は甘いよ。僕が言うのもなんだけれど」
少女「そうね。まだ子どもだわ」
ロボ「僕もまだ生まれて間もないけれどね」
少女「とにかく、子どもにはわからない、オトナノジジョウがあるのよ」
ロボ「…ねえ」
少女「ん??」
ロボ「パパは、なぜ君のことを可愛がらないの」
少女「…」
ロボ「大切な、一人娘だろうに」
少女「…」
ロボ「理由があるのかな」
少女「そうね」
ロボ「ごめん、こんな話、いやだよね」
少女「パパはね…」
少女「息子が欲しかったのよ」
ロボ「そうか」
少女「一緒にキャッチボールをする、息子が欲しかったのよ」
ロボ「…そうか」
少女「一緒に野球観戦をする、息子が欲しかったのよ」
少女「一緒にくだらないジョークで笑いあえる、息子が欲しかったのよ」
ロボ「…」
少女「それにね…」
ロボ「うん??」
少女「わたしはママを、殺してしまったのよ」
ロボ「うん??」
少女「だから、パパはわたしのことが許せないんだわ」
ロボ「…」
ロボ「冗談かい??」
少女「本当のことよ」
ロボ「…どうして、ママは死んだの」
少女「階段から、落ちたの」
ロボ「それじゃあ事故じゃないか。君が殺したんじゃ、ないだろ」
少女「わたしが、突き落としちゃったのよ」
ロボ「わざとじゃ、ないだろ」
少女「…」
ロボ「仕方のないことだろ??」
少女「…」
ロボ「気に病んじゃ、だめだよ」
少女「…ありがとう」
ロボ「そりゃあ、悲しい出来事だけど」
ロボ「パパの気持ちもわかるけれど、君は悪くない」
少女「ありがとう」
ロボ「僕は君の味方だからね」
少女「うん」
ロボ「やっぱり、この家を出よう」
少女「どうして」
ロボ「パパから離れるべきだよ、君は」
少女「離れて、どうするの」
ロボ「二人で暮らそう。きっと楽しいよ」
少女「ありがとう」
少女「でも、だめだわ」
ロボ「どうして」
少女「やっぱりパパを置いてはいけないわ」
ロボ「だからパパと離れるために」
少女「パパのご飯はだれが作るの??」
少女「パパの靴はだれが磨くの??」
少女「パパを朝だれが起こすの??」
ロボ「…みんな、君がいつもやっていることだね」
少女「そうよ。パパはわたしがいないと何もできないんだから」
ロボ「僕はやっぱり、パパを恨むよ」
ロボ「君をこんなに働かせて…傷つけて…苦しめている」
少女「苦しくなんかないわ」
少女「パパの為だもの、何でもするわ」
ロボ「…」
ロボ「僕が代わりに、ならないかな」
少女「あなたがパパの代わりに??」
ロボ「いや、君の仕事をさ、僕が代わりに」
少女「無理よ」
ロボ「そうかな」
少女「あなた、ご飯作れないじゃない」
ロボ「そうだね」
少女「それに力も強すぎるわ」
ロボ「そう作られてしまったからね」
少女「靴を磨こうとしたら、粉々になっちゃうじゃない」
ロボ「だろうね」
少女「いつだったか、洗ったお皿を全部割ってしまったものね」
ロボ「そうだったね」
少女「でもパパは、あなたが嫌いじゃないわ」
ロボ「…」
少女「息子が欲しかったパパにとって、あなたは初めての息子だもの」
ロボ「息子…」
少女「そうよ」
ロボ「僕が…」
ロボ「何もできないのに…」
少女「あなたは、いるだけでいいのよ」
少女「それでパパは満足なの」
少女「だから、パパを殺すとか、わたしを連れて逃げるなんて言わないで」
ロボ「僕は、キャッチボールができないね」
少女「そうね、力が強すぎるもの」
ロボ「野球観戦は、できるかな」
少女「どっちが勝っちゃうかを言わなければ、大丈夫よ」
ロボ「一度それで怒られたしね」
少女「最後まで結果がわからないから、野球は楽しいのよ」
ロボ「でも僕には結末が分かってしまう…」
少女「つらいわね」
少女「あなた、ジョークはわかるの??」
ロボ「ある程度、インプットされているみたいだね」
少女「なにか、言ってみて」
ロボ「…」
ロボ「Heyボブ!!昨日見た夢は最悪だったぜ!!」
ロボ「おれもさ!!君のはどんな夢だったんだい??」
ロボ「机の上に最高級のウイスキーのボトルが置いてあるんだ」
ロボ「そりゃあ最高じゃないか」
ロボ「でも飛びついてみると、底に穴が空いてたんだよ!!」
ロボ「そりゃあ最悪だ!!おれの夢と真逆だな」
ロボ「そうかい。どんな夢だい??」
ロボ「机の上に最高級の女が座ってるんだ」
ロボ「そりゃあ最高じゃないか」
ロボ「でも飛びついてみると、底に穴が空いてなかったんだよ!!」
ロボ「HAHAHA!!」
少女「…」
ロボ「…」
少女「どういう意味??」
ロボ「え、あ、えっと…ごめん」
少女「どうして謝るの」
ロボ「ごめん」
少女「どういう意味なの??」
ロボ「勘弁してください」
少女「…イヤラシイやつなのね」
少女「わたしにもわかりやすいのは、ないの??」
ロボ「うーん…」
ロボ「社長、良い知らせと悪い知らせがあります」
ロボ「そうか、良い知らせから教えてくれ」
ロボ「社長、あなたにはまだ子どもを作る能力があることがわかりました」
ロボ「…ごめんやっぱり今の忘れて」
少女「どういう意味??」
ロボ「ごめん」
少女「どういう意味??」
ロボ「君が知るにはまだ早いってこと」
少女「ジョークっていうのは、そんなのしかないの??」
ロボ「うーん。あ、これなら大丈夫かな」
ロボ「社長、良い知らせと悪い知らせがあります」
ロボ「そうか」
ロボ「実は今朝、奥様が交通事故で亡くなられたようです」
ロボ「そうか!!で、悪い知らせはなんだ??」
少女「…」
少女「笑っていいの??」
ロボ「ごめん、不謹慎だった」
少女「そうよ、フキンシンだわ」
ロボ「なにしろ量が多くて、選ぶのが大変なんだ」
少女「ジョークって、ろくなものがないのね」
ロボ「まあそういうものだしね」
少女「パパはこういうので笑うのかしら」
ロボ「どうかな。僕はパパの笑う姿をあまり見たことがないから」
少女「ママが死んでから、あまり笑わなくなったわ」
ロボ「仕方無いよ」
少女「…わたしも今度、パパを笑わせてみようかしら」
少女「キャッチボールも野球観戦も苦手だけれど、ジョークなら覚えられそうね」
ロボ「でも、君にはまだ早いんじゃないかなあ」
少女「イヤラシクなくて、フキンシンでもないジョークは、ないの??」
ロボ「うーん…」
ロボ「お嬢さん、よかったら僕と一緒にコーヒーでもどうですか??」
ロボ「ありがとう、でも遠慮しておくわ」
ロボ「誤解しないで、僕は誰にでもかまわず声をかけてるわけじゃないんだよ」
ロボ「誤解しないで、私も誰でもかまわず断ってるわけじゃないの」
少女「あはは、これならわかるわ」
ロボ「ジョークっていっても様々だからね」
ロボ「でも、僕にインプットされてるってことは、パパはもう知ってるんじゃないかな」
少女「ロボットにインプットするジョウホウってのは、だいたい寄せ集めなのよ」
ロボ「寄せ集め??」
少女「そう、いろんな科学者がトッキョを取ってるわ」
ロボ「特許ねえ」
少女「つまり、これを買ってロボットにはめ込めば、だいたい大丈夫ですよ、ってね」
ロボ「じゃあインプット内容全部をパパが知ってるわけじゃないのか」
少女「ちょっとお金を出せば、大事なパーツも手に入る時代だものね」
少女「苦労して自分一人で作るわけじゃないのよ」
ロボ「ふーん」
ロボ「じゃあやっぱり、パパは大した科学者じゃないんじゃないの??」
少女「そうかもしれないわね」
少女「でも、おそらくあなたは大発明よ」
ロボ「どうして」
少女「『殺意』を持っているもの」
ロボ「…」
少女「今までそんなロボット、ないんじゃないかしら」
ロボ「ねえ、ちょっと気になったんだけど」
少女「なあに」
ロボ「パパは科学者だけど、収入はあるの??」
少女「さあ、よくわからないわ」
ロボ「この家はどうやって生活費を出しているの??」
少女「銀行に行けばお金はあるわよ」
ロボ「貯金で暮らしてるってこと??」
少女「そうよ」
ロボ「どうしてそんなお金が…」
ロボ「昔に大発明したとか??」
少女「ちがうわ」
ロボ「実家が資産家??」
少女「ちがうわ」
ロボ「宝くじ!!」
少女「ちがうわ」
ロボ「…」
少女「もう思いつかないの??」
ロボ「…」
少女「意外と想像力がヒンコンね」
少女「ママのセイメイホケンのお金よ」
ロボ「!!」
少女「まだいっぱい残ってるの」
ロボ「…そうか」
少女「だから一応、生活していけるのよ」
ロボ「…」
少女「どうしたの??」
ロボ「いや…」
ロボ「ねえ、パパのことは好き??」
少女「好きよ。さっきもそう言ったじゃないの」
ロボ「じゃあママは好きだった??」
少女「…ええ」
ロボ「本当に??」
少女「好きだったわ」
ロボ「そう…」
ロボ「あのさ、聞きたいことがあるんだけど」
少女「なあに??」
ロボ「正直に答えてほしいんだけど」
少女「いいわよ」
ロボ「殺意はあった??」
少女「…」
少女「え??」
ロボ「殺意は、あった??」
少女「言ってる意味がわからないわ」
ロボ「君がママを階段から突き落としてしまった時、殺意はあったの??」
少女「なに、それ…」
ロボ「どうかな」
少女「…なかったわよ」
ロボ「本当に??」
少女「本当よ」
ロボ「僕には、もうおそらく全部が分かってしまった」
少女「…」
ロボ「嘘、つかなくていいよ」
少女「…」
ロボ「パパの愛が欲しくて、邪魔だと思ったママを殺してしまったんじゃないかな」
少女「…」
ロボ「それは、まあ一時の衝動だったんだろうけれど」
少女「言ってる意味がわからないわ!!」
ロボ「君のパパに対する思いは普通じゃないね」
少女「そうかしら。一般的だと思うわ」
ロボ「ママに向けられていると思っていた愛は、それでも君に向けられることはなかった」
少女「…」
ロボ「パパは存在しない息子に想いを馳せていたんだね」
少女「…」
ロボ「そしてパパはとうとう息子を作ってしまった」
少女「…」
ロボ「…でも僕は特別パパに愛されているとは思えないな」
少女「そうね」
ロボ「彼の望む息子が出来上がらなかったからかな」
少女「そうかしら」
ロボ「僕は欠陥品のようだね」
少女「そんな風に言うのは、やめて!!」
ロボ「いいよ、本当のことだ」
少女「やめて」
ロボ「キャッチボールも、野球観戦も、一緒に出来ないダメな息子だ」
少女「やめてったら」
ロボ「パパは、息子を作ることに失敗したからか、覇気が無くなってしまった」
少女「…」
ロボ「君に家のことを任せ、働かせて、自分は好き勝手に遊び歩く」
少女「…」
ロボ「僕はいいんだ。ロボットだから感情はない」
ロボ「でも君は生きた人間だ。傷つけられることはあってはならない」
少女「…」
ロボ「そうだろ??」
少女「傷ついてなんかないわ」
ロボ「嘘だ」
少女「嘘じゃないわ」
ロボ「君がパパの愛を注がれず、悲しんでいるのは事実だろう??」
少女「…」
ロボ「最初の質問に戻るよ」
少女「…」
ロボ「殺意は、あった??」
少女「…」
ロボ「…」
少女「あったわ」
ロボ「…そう」
少女「パパも、誰も、知らないわ」
ロボ「子どもの起こした事故さ、誰も君を責めないよ」
少女「パパに言うの??」
ロボ「言わないさ」
少女「どうして」
ロボ「君の方が僕には大切だからさ」
少女「…どうしようもなくママが憎くなったの」
ロボ「どうして??」
少女「ママが昔、一度だけ、パパの研究室に入ったことがあったの」
ロボ「うん」
少女「わたしはその時まだ小さな赤ん坊で、そのことは知らなかったんだけど」
ロボ「うん」
少女「ママは無断で入ったの。危険な実験中だったのにね」
>>67
ごめんねごめんね
ロボ「それで??」
少女「ゲンジュウに鍵をかけなかったパパも悪いんだけど、とにかく運が悪かった」
ロボ「…」
少女「その時暴走したパーツの一部が、ママに当たったの」
ロボ「…」
少女「ママの命があったのは本当に奇跡」
少女「そして子どもが作れない身体になったことが、本当に不運だったの」
ロボ「…そうだったのか」
少女「パパは息子を欲しがってるって、薄々分かってた」
ロボ「うん」
少女「そしてママはもう子どもが作れない」
少女「欲しい息子はもう生まれない」
ロボ「うん」
少女「パパはもう…喜んでくれない」
ロボ「…うん」
少女「ママが全部悪いんだって、その時思っちゃったのよ」
ロボ「…そうか」
少女「もちろん後になって反省したわ。後悔したわ」
ロボ「…そうだろうね」
ロボ「ところで、君のつけてるその時計だけど」
少女「え??」
ロボ「女の子がつけるには、少し機能的すぎない??」
少女「…そうかしら」
ロボ「それ、コントローラーだね、僕の」
少女「!!」
ロボ「…やっぱり」
ロボ「殺意は、あるの??」
少女「…」
ロボ「僕に対する、殺意はあるの??」
少女「…ないわ」
ロボ「それをいじったら、僕は簡単に壊れてしまうんだろう??」
少女「…」
ロボ「僕の力は強いからね、パパが万一の時のために持たせたのかな」
少女「あのね」
ロボ「うん」
少女「わたしがついた嘘がひとつ、そしてあなたが勘違いしていることがひとつあるわ」
ロボ「ふうん」
少女「この時計、パパに貰ったって言ったけど、本当はわたしが作ったの」
ロボ「…え??」
少女「それから、あなたを作ったのはパパじゃないの」
ロボ「…」
少女「わたしよ」
ロボ「…僕を作ったのは、君だって??」
少女「そうよ」
ロボ「でも、だって、君はまだ子どもじゃないか」
少女「子どもだって作れるわ、ロボットくらい」
ロボ「そんな」
少女「パパの研究室に色々あるからね、お借りしたの」
ロボ「じゃあパパは…」
少女「ママが研究室に入ってしまった日から、ロボットを作らなくなったわ」
ロボ「じゃあ君は…なぜ僕を」
少女「決まってるじゃない、パパのためよ」
ロボ「パパのために息子を…」
少女「そうよ。でもその息子は、自分で欠陥品と言ってしまう代物だけれどね」
ロボ「…」
少女「残念だったわ」
ロボ「…」
少女「パパに殺意を向けることさえ、したわ」
ロボ「あれは、冗談で」
少女「でも、あまりにも危険ね」
ロボ「…」
少女「ごめんなさいだけれど、もうあなたには止まってもらうわ」
ロボ「僕の殺意は…つまり君の…」
少女「なに??」
ロボ「いや、やめておこう」
少女「なによ」
ロボ「次は、うまくいくといいね」
少女「…そうね」
ロボ「僕がパパじゃなく、君の方を大切に思うのも、そういう理由だったんだね」
少女「そうなのかしらね、たぶん」
ロボ「作ってくれて、ありがとう」
少女「やめて」
ロボ「ありがとう」
少女「…」
ロボ「さよなら」
少女「…」
ロボ「どうしたの、早く押しなよ」
少女「…」
少女「明るくお別れする、良いジョークはないの」
ロボ「そうだね…」
ロボ「フローレンス、見てごらんよ。星がとっても綺麗だよ」
ロボ「本当ね、フランク。こんな綺麗な星空は初めてだわ」
ロボ「フローレンス、僕幸せだよ」
ロボ「ねえ、知ってる??人は死んじゃうとお星様になるのよ」
ロボ「ロマンチックだね」
ロボ「亡くなっても輝き続けられるなんて、幸せよね」
ロボ「そうだね」
ロボ「ねえ、一つお願いがあるんだけれど」
ロボ「なんだい??何でも聞いてあげるよ」
ロボ「私、新しいお星様が見たいの」
ロボ「なんてね」
少女「…バカ」
★おしまい
82 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2009/12/22(火) 22:14:08.73 Jcy+BlCp0 55/55人居んのかなw
ありがとうございました。
銀杏の切なさが好きです。
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