ベジータ「逃がすか!」ドズッ!
キュイ「ぐはっ!」
ベジータ「死ねっ!」ピッ!
キュイ「ぐえっ!?」ボンッ!
ベジータ「へっ、きたねえ花火だ!」
ベジータ「……」
ベジータ(なんだ今の花火は……!)
ベジータ「爆発も、肉片の飛び散り方もイマイチだった……! 俺ともあろう者が……!」
ベジータ「くそったれ、もう一回やりたい……!」
元スレ
ベジータ「へっ、きれいな花火だ!」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1605610806/
ベジータ「そうだ、キュイの肉片を集めて……」
……
ベジータ「……」
ベジータ「ダメだ、ほとんど黒焦げでどうしようもない……」パラパラ…
ベジータ「となると、キュイを生き返らせるしかないか……」
ベジータ「やはりドラゴンボールを集めるしかないようだな!」
ベジータ(ナメック星人がいた! よし……)
ベジータ「おい、貴様らドラゴンボールをよこしやがれ!」
ツーノ長老「なぜじゃ……理由を聞かせてくれんか」
ベジータ「グズグズいわずに渡せ! 殺されたくなかったらな……」
ベジータ(いや……ここはいっそ正直に話した方が得策かもしれん)
ベジータ(ダメだったら殺してしまえばいい!)
ベジータ「実は……」
ツーノ長老「ふむ、キュイとやらを生き返らせ、もう一度花火にしたい……か」
ベジータ「そうだ」
ツーノ長老「よかろう」
ベジータ「本当か!」
ツーノ長老「おぬしからは邪悪なものを感じるが、その願い自体は純粋なようじゃからな」
ベジータ「助かるぜ……!」
ツーノ長老「頑張ってキュイとやらを生き返らせ、いい花火を咲かせてくれ!」
ベジータ「もちろんだ!」
ベジータ(これでボールを一つ確保できた……次は……)ギュンッ!
ベジータ「む、あれは!」
クリリン「ベ、ベジータ!」
悟飯「しまった……!」
デンデ「あわわわわ……」
ベジータ「ほう、貴様らもナメック星に来てたとはな。地球の科学力でよく来れたものだ」
クリリン「や、やる気か!?」
ベジータ「貴様らには散々な目にあわされたからな……」
ベジータ(しかし、こいつらに協力してもらった方がドラゴンボールを集めやすくなるかもしれんな)
ベジータ「今俺は、ナメック星のドラゴンボールを集めている。貴様らも協力しろ」
クリリン「なんだって……!?」
悟飯「ドラゴンボールをなにに使うつもりだ!」
デンデ「フリーザみたいに永遠の命……?」
ベジータ「さっきまではそうだったが、予定が変わっちまってな」
ベジータ「俺の願いは……」
クリリン「キュイって奴を生き返らせるのか……」
悟飯「いいじゃないですか、ボクも花火見たいです!」
デンデ「ボクも!」
クリリン「分かった……協力するよ、ベジータ」
ベジータ「命拾いしたな。さっそくだが、なにか情報はあるか?」
クリリン「今ドラゴンボールは、フリーザのところに五つ。お前が持ってるのが一つ」
クリリン「残る一つは……最長老って人のところにあるらしい」
ベジータ「よし、とりあえず最長老の一つを頂きに行くぞ!」
ネイル「なんだ、お前たちは……」
ベジータ「ドラゴンボールをいただきに来た」
ネイル「帰れ、中には入れさせんぞ」
ベジータ「死にたいらしいな……」
デンデ「待って下さい、ネイルさん! この人の願いを聞いてあげて下さい!」
ネイル「デンデ……」
ネイル「いいだろう。最長老様に会わせてやる」
最長老「なるほど、キュイという者を……」
ベジータ「ああ、俺はあの花火じゃ納得できてないんだ!」
クリリン「お願いします!」
悟飯「ボールを譲って下さい!」
最長老「いいでしょう、このボールはあなたたちに差し上げましょう」
ベジータ「本当か!」
最長老「ただし、私の寿命は残り数日……それまでにドラゴンボールを揃えなければ……」
クリリン「ドラゴンボールは石になってしまう!」
ベジータ「くそったれ、急がなきゃならんな……!」
クリリン「どうする、ベジータ?」
悟飯「フリーザと戦うんですか?」
ネイル「私も協力はするが、おそらく全員でかかっても――」
ベジータ「ザーボンとドドリアは倒せてもフリーザはとても倒せんだろうな」
クリリン「じゃあ、どうするんだよ!」
ベジータ「……」
ベジータ「……」
ベジータ「頼んでみよう」
ベジータ「フリーザ!」スタッ
ドドリア「ベジータ!?」
ザーボン「なぜ、ここへ!?」
フリーザ「ほっほっほ、まさかあなたから出向いて下さるとは……どうしたのです?」
ベジータ「フリーザ、ここに残り二つのドラゴンボールがある!」
フリーザ「ほう、わざわざ届けに来て下さったのですか? あなたもなかなか世渡りがお上手ですね」
ベジータ「いや……俺はお前のドラゴンボールを譲ってもらいたいんだ」
フリーザ「なにをいうかと思えば……死にたいのか?」
ベジータ「その前に、俺が叶えようとしてる願いを説明させてくれ」
ドドリア「キュイの野郎を生き返らせて……」
ザーボン「花火を!?」
フリーザ「……」
ベジータ「どうだ、フリーザ?」
フリーザ「……」
ベジータ「……」ゴクッ
フリーザ「いいでしょう。あなたにドラゴンボールを譲りましょう」
フリーザ「私も花火は大好きですからねえ……キュイさんをステキな花火にして下さいよ」
ベジータ「ありがとよ、フリーザ!」
クリリン「じゃあさっそく、神龍を呼び出してくれ!」
デンデ「分かりました!」
デンデ「タッカラプト、ポッポルンガ、プピリットパロ!」
バシュゥゥゥゥゥゥッ!!!
フリーザ「おおっ、空が暗く……!」
ドドリア「すげえ……!」
ザーボン「美しい……」
ベジータ「これでやっと、俺の願いが叶う……!」
ポルンガ『どんな願いでも可能な限り三つだけ叶えてやろう』
クリリン「三つも!?」
悟飯「すごいや!」
フリーザ(ということは、私の不老不死を叶えることも可能……!)ニヤッ
デンデ「それでは……」
デンデ『キュイという人を生き返らせて下さい!』
ポルンガ『たやすい願いだ……』
ベジータ(キュイの肉片を拾い集めておいてよかったぜ……)
キュイ「!?」パッ
キュイ「あれ……? 俺はベジータに殺されたはず……」
ベジータ「よう、キュイ」
キュイ「ベジータ!?」
ベジータ「死ね!」ドズッ!
キュイ「ぐへっ!」
クリリン「キュイって奴が上空に飛んでいく!」
悟飯「ベジータさん、今こそ花火に!」
ベジータ「喰らえッ!」ピッ!
キュイ「ぐわぁっ!」ボンッ!
ベジータ「へっ、きたねえ花火だ!」
クリリン「今のは……」
悟飯「うーん……」
ドドリア「肉片の飛び散り方にかなりムラがあったぜ」
ザーボン「それに飛び散りすぎて、花火独特の余韻も感じられなかった。美しくない」
ベジータ「く、くそったれ……!」
ベジータ(まさか、失敗してしまうとは……!)
フリーザ「……」
フリーザ「ベジータさん」
ベジータ「なんだ?」
フリーザ「まだ願いは叶えられます。もう一度やるのです」
ベジータ「! いいのか……?」
フリーザ「ええ、ここまできたら、私も見たいではありませんか。きれいな花火を」
ベジータ「感謝するぜ……!」
デンデ「ではもう一度、キュイという人を生き返らせます!」
キュイ「あれ? また生き返ったのか?」
ベジータ「はぁっ!」ドズッ!
キュイ「ぐはっ!」
ドドリア「キュイが吹っ飛んだ!」
ザーボン「いい角度だ!」
ベジータ(今度こそ決める!)
ベジータ「死ね!」ピッ!
キュイ「ぐはぁ!」ボンッ!
ベジータ「へっ、きたねえ花火だ!」
デンデ「今度は慎重すぎましたね」
ネイル「ああ、キュイとやらの飛び散り方が甘かった。あれではただ破裂しただけに過ぎん」
ベジータ「ち、ちくしょう……!」
ベジータ「二度ものチャンスを与えられておきながら、俺は……!」
フリーザ「ベジータさん」
ベジータ「……!?」
フリーザ「ラストチャンス一回にかけるのです!」
デンデ『キュイという人を生き返らせて下さい!』
ポルンガ『たやすい願いだ……では、さらばだ』バシュゥゥゥ…
キュイ「!」パッ
ベジータ「キュイ……」
キュイ「ああ、さすがにもう事情が分かってきたぜ、ベジータ」
キュイ「思い切りやってくれ!」
ベジータ「すまん!」ドズッ!
クリリン(これが正真正銘ラストチャンス! 決められるかベジータ!?)
キュイ「……」ギュゥゥゥゥン…
キュイ(いつでもいいぜ、ベジータ)
ベジータ(ああ、任せてくれ)
キュイ(たとえ、きたなくなっても、俺は恨みはしねえ!)
ベジータ(ありがとよ、キュイ……)
キュイ(もっと別の形で出会えてたら、俺たち友達になれたのかな……)
ベジータ(かもな……)
キュイ(おっと、湿っぽいのは好きじゃねえ。そろそろやってくれ……!)
ベジータ(ああ……受け止めてくれ、キュイ!)
ベジータ「はあっ!」ピッ!
キュイ(あばよ……ベジータ……)
ボンッ!
クリリン「すげえ、全てが完璧だった……!」
悟飯「こんな花火見たのボク初めてです!」
デンデ「感動しました……!」
ネイル「見事だ……!」
ドドリア「ぐへへへ、これならキュイもあの世で喜んでることだろうぜ」
ザーボン「私も死ぬ時は、あのように美しく散りたいものだ……」
フリーザ「まさか、こんな美しい花火を見られるとは! おーっほっほっほっほ!」
ベジータ「……」
ベジータ「へっ、きれいな花火だ!」
完