1 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:24:10.24 pFdVpSMu0 1/206

百合SSです、ムギちゃんメインじゃないです、ひっそりまったり書いていきます

~金曜日朝・学校・2年昇降口~

カチャ

「…」

「あれ?どうしたの?澪ちゃん」

「い、いや…何でもないよ…」

「今日は少なかったから、ちょっとガッカリしたのよね?」ウフフ

「ム、ムギ!」

「あ、そっか!何時もお手紙一杯入ってるもんねっ」

「まあ部屋には専用の収納ケースがある位だからな~」

「おお~、それは凄いね!」

「律!そんな事ばらすなよ!は、恥ずかしいだろ…」

「良いじゃんかよ、それだけ人気があるって事なんだから」

「澪ちゃんは1年生の時からずっと大人気だものね」



元スレ
紬「お手紙とお弁当」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1290511450/

2 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:25:17.88 pFdVpSMu0 2/206

「でも…そんなに沢山のお手紙を貰っても、お返事は書けないでしょ?」

「それだけで1日が終わっちゃいそうな量だもんね…」

「そうなんだ…全部読んではいるんだけどな」

「でも澪は偉いんだぞ?最低でも1回は返事を書いてるからな」

「律!」

「お、それはちょっと興味があるお話ですな~」

「私も興味あるわ~」

「…」

「だって…手紙って読んで貰う為に書くものだろ?」

「ちゃんと読んでるって事は、相手に伝えてあげたいじゃないか」

「だから返事は毎回書けないかもしれないけど、必ず全部読ませて貰うから」

「それでも良ければまた書いて欲しいって返事を出してるんだ」

「へ~、澪ちゃん優しいね~」

「優しいわね♪」

「か、語り過ぎた…///」


3 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:26:26.36 pFdVpSMu0 3/206

「そういう唯と紬にもファンは結構居るんじゃないのか?」

「澪ほどじゃないが、たまに手紙も入ってたりするし…」

「お、今日も1枚ずつ入ってるじゃんかよ」

「あ~、これはね澪ちゃん…のとは違うかもしれないな~」アハハ

「何だ?いたずらか?」

「違うよ!いたずらなんかじゃないから!」プンプン

「いや、その…悪かった」

(まあ唯がこんなに怒るって事は憂ちゃんだろうな…)

「私も…そういうのとはちょっと違うの」

「そうなのか?ムギは美人だから、憧れてる後輩とか結構居そうな感じだけどな~」

「褒めて貰えるのは嬉しいんだけど…そういう事は1度も無いわね」

(何だ?ムギの場合はさっぱり分からんな)

(手紙を貰った時は大抵部活に遅れて来るんだが…)

(もしかして、何か悪い事に巻き込まれてるんじゃないのか?)


4 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:27:16.42 pFdVpSMu0 4/206

「それに…私より、りっちゃんの方が美人さんだと思うわよ?」

「…え!?」

「お、おい!そんな真顔で冗談言うなよ!///」

「冗談なんて言ってないのに…りっちゃんは照れ屋さんね」ウフフ

「照れてますなぁ~」ムフフ

「照れてない!」

(チャイムの音)

「あ、予鈴鳴っちゃったね、そろそろ行こ!」

「あ、ああ…そうだな!」

「あれ?澪ちゃんは?」

「…///」

「まだ固まってたのかよ…」

「皆さんお揃いなんですね、おはようございます」

「もう予鈴も鳴ってるんですから、急がないと遅刻しますよ?」


5 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:28:14.80 pFdVpSMu0 5/206

「あずにゃん、おはよ~」

「おはよう、梓ちゃん」

「おはよ~、梓、丁度良かったよ」

「澪を教室まで連れて行ってくれないか?」

「え?澪先輩をですか?」

「…」

「見事に固まってますね…また何かしたんですか?」

「そうなんだよ、りっちゃんがね~」

「違うだろ!唯とムギがだな…」

「どっちでも良いですから…早く行って下さい」

「2組は2階なんですから、急いだ方が良いですよ?」

「澪先輩は私が連れて行きますから」


6 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:29:09.16 pFdVpSMu0 6/206

「そうか、じゃあ頼むな!」

「澪ちゃんの事、お願いね」

「はい」

「あずにゃん、ありがとね~」

「分かりましたから、さっさと行って下さい」

「急ぐぞ!」

「ほいほ~い」



「朝から本当に騒がしいですね…」

「さて」

「澪先輩!しっかりして下さい!何時までボ~っとしてるんですか!」

「…」

「…はっ!」

「澪先輩、早く行かないと遅刻しますよ?」


7 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:30:12.42 pFdVpSMu0 7/206

「あ、梓か…おはよう」

「おはようございます、挨拶は良いですから行きますよ」ギュッ

「え?あ、ああ…」

(何時も振り回されてばかりの澪先輩…)

(最初は迷惑してるんだと思ってた)

(どうして此処に…軽音部に居るんだろうって)

(でも…違うんだよね、澪先輩はこう見えても凄く楽しんでる)

(軽音部は何時もみんな仲良し…)

(私も澪先輩とは…)

「なあ、梓」

「何ですか?澪先輩」

「1人で歩けるからさ…その…何も手を繋ぐ事は無いんじゃないかと…」

「…」

「あ!ごめんなさい、つい…」

「いや、別に良いんだけど…」


8 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:31:20.24 pFdVpSMu0 8/206

~放課後・部室~

「さて諸君、本日集まって頂いたのは他でも無い」

「現在行方不明になっている紬隊員についてだが…たった今所在が判明した」

「教室から密かに抜け出し、体育館裏へ向かって徒歩にて移動中」

「その直前には今朝回収された機密文章を熟読していた…」

「間違い無いな?唯隊員」

「間違いありません!りっちゃん隊長!」

「標的と思われる相手は既に現場へ到着していると思われる…」

「時間との勝負になるな、すぐに現場を押さえに行くぞ!」

「了解っ!」

「…」

「はぁ…」

「梓、どうした?ノリが悪いぞ?」

「いや、別に先輩方がどういう遊びをしてても良いんですけど」

「部活の時間位は真面目にやって下さいよ…」


9 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:32:28.24 pFdVpSMu0 9/206

「何だ、梓は興味が無いのか?」

「いや、興味があるとか無いとかそういう問題では無くてですね」

「そもそも何の話なのかさっぱり分からないんですけど…」

「ムギちゃんがね、今朝貰ったラブレターの話だよ?」

「え!?」

「まあ正確にはそれっぽいものの話だな」

「それっぽいものって何ですか…」

「澪が良くファンレターを貰ってるよな?」

「ムギもたまに貰ってるんだが、それとはちょっと違うって言ってたんだ」

「でも放課後に体育館裏に呼び出されるって事は、むしろそれ以上って事だろ?」

「なるほど…それはちょっと興味があるかもです」

「そうだろ?梓も一緒に見に行こうぜ」

「で、でも!そんなの良くないですよ!」

「そういうのは、その…誰にも邪魔されたくないんじゃ…ないかと…///」


10 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:33:48.86 pFdVpSMu0 10/206

「…なあ、梓」

「実はな、それ以外にもう1つの可能性があるんだ」

「…何ですか?」

「体育館裏へ呼び出すと言えば…そう、いじめだな」

「え?いじめですか?」

「ムギは外見が目立つからな」

「青い瞳はカラコン、髪の毛は脱色してる様にも見えるだろ?」

「そういう所に目を付ける先輩が居ないとも限らない」

「確かに…そうですね」

「軽音部の仲間の一大事かもしれないんだぞ?」

「それを見過ごす事が梓には出来るのか?」

「仲間の…ムギ先輩の一大事…」

「そ、そんなの見過ごせる訳が無いじゃないですか!」

「早く行きましょう!ムギ先輩が!」

「よしっ、では隠密に接近する為の作戦を…」


11 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:34:59.45 pFdVpSMu0 11/206

「何を言ってるんですか!もう、先に行ってますからね!」

ガチャッ…タッタッタッタッタッ…

「…説明する前に行っちゃったな」

「りっちゃん、やり過ぎだよ」

「それに、私はやっぱりラブレターだと思うけどな~」

「名前は見えなかったんだけど、学年はちらっと見えたんだよね」

「1年2組って書いてあったもん」

「まあでも、後輩だからって分からんだろ?」

「何か悪い事に巻き込まれてるかもしれない」

「それを確かめておくのも悪い事じゃ無いって思うぞ」

「お、実はそれが目的だったとか?」ムフフ

「そ、そんな訳無いだろ!あたしは純粋に興味があるから行くんだ!」

「ほら、早く行くぞ!」

「りっちゃん、待ってよ~」

(素直に心配だから見に行きたいって言えば良いのに…)


12 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:36:06.36 pFdVpSMu0 12/206

~体育館裏~

「お、柱の陰に梓発見」

「…」

「どうだ?相手はもう来てるのか?」

「…」

「どしたの?あずにゃん」

「驚かないで下さいよ?」

「ムギ先輩と一緒に居るのって…憂なんですけど…」

「何!ほんとか?」

「憂が!?」

「し~っ、声が大きいです」

「私はちょっとしゃがみますから、お2人は上から覗いて下さい」

「うん、分かった…」


13 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:36:55.48 pFdVpSMu0 13/206

「ほ、ほんとだ…」

「ムギちゃんと…憂が居る」

「どれどれ…あ、ほんとだな」

「でも、どうして憂が…ムギ先輩と…」

「それはもちろん…なあ?」

「憂がムギ先輩の話をしてた事はありますけど…」

「でも、そんなそぶりは全く無かったですよ?」

「まあ相手が相手だからな、秘密にしたいと思うんだろうけど…」

「向かい合ったままで何も喋らないんじゃ良く分からんな」

「さっきからずっとあのままですよ」

「ガチガチに緊張してるっぽいですね」

「…」

(憂…)


14 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:38:05.20 pFdVpSMu0 14/206

「そろそろ落ち着いたかしら?」

「は、はい…」

「緊張しちゃって…何も喋れなくなっちゃって…」

「ゆっくりで良いのよ?」

「いえ、もう大丈夫です」

「あの、突然こんな所に呼び出してしまって…ご、ごめんなさい!」

「ううん、構わないわよ」

「私とお話したい事って…何かしら?」

「あの…紬さん…す…好き…」

(!!!)


15 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:40:10.53 pFdVpSMu0 15/206

「好きな人が居るんですけど…私、どうして良いのか分からなくて…」

(…)

(…え?)

「言いたいんですけど…でも、どういう風に言ったら良いのか…」

「好きな人って…その人は女の子?」

「は、はい!そうなんです!」

「そう…でも、どうしてそれを私に?」

「琴吹先輩はそういう事に詳しいって友達の間では噂になってますし…」

「それに私も何度かお会いして」

「紬さんになら話しても、大丈夫じゃないかなって思ったんです」

(憂ちゃん…ゴールは目の前にあるのに)

(どうして遠回りをするのかしら)

(私に話しても、近道にはならないのに…)


16 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:41:13.88 pFdVpSMu0 16/206

(でも…そうね、分かるかもしれない)

(例え目の前にあったとしても、遠くにあったとしても…)

(最初の1歩を踏み出さない限り、ゴールには辿り着けない)

(それは同じ事よね)

(そのきっかけが欲しいのは、憂ちゃんでも同じ事)

(だったら、私は何時もの様に…ゆっくりと後押ししてあげたい)

(憂ちゃんは、私にその資格があるって思ってくれるのかしら?)

(あるって思ってくれると…嬉しいわ)

「あの…やっぱりこういうお話はご迷惑でしたか?」

「ううん、そんな事はないわよ?」

「黙ったままでいて、ごめんなさい」


17 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:42:15.77 pFdVpSMu0 17/206

「憂ちゃん、嘘は言わないから良く聞いてね」

「は、はい!」

「良く誤解されるんだけど…」

「私はね、特に女の子の方が好きって訳じゃないの」

「え?そ、そうなんですか!?」

「憂ちゃんにも、やっぱりそう見えるの?」

「はい…ずっと誤解してました…」

「…」

「じゃあ私の事も、凄く変な子だって…」

「思ってないわよ」

「え?」

「女の子同士の恋愛が良いなって思ってる事は本当」

「憂ちゃんの事も変だなんて思ってないわ」

「よ、良かったです…それだけでもほっとしました」

「ごめんなさい、ちょっと不安にさせちゃったわね」


18 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:43:17.14 pFdVpSMu0 18/206

「私はね、こういう事では嘘を付きたくないの」

「女の子同士の恋愛は応援してあげたいってずっと思ってるから…」

「何も言わずに相談に乗ってあげる事だって出来るわ」

「でもね、私自身は女の子を好きになった事はないから」

「その気持ちを…憂ちゃんの気持ちを…」

「同じ立場から理解してあげる事は出来ないかもしれない」

「それは絶対に言っておきたかったの」

「そんな私でも良ければお話を聞いてあげたい、精一杯応援してあげたい」

「それが今の…私の気持ちよ?」

「紬さん…」

「あの…私、紬さんに相談して良かったです!」

「あら?まだ何も聞いてないのに、そんな事を言って良いのかしら?」ウフフ


20 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:45:17.27 pFdVpSMu0 19/206

「ごめんなさい…私、誤解してました」

「紬さんなら無条件で賛成してくれるんじゃないかなって…」

「そんなに真剣に聞いて貰えるだなんて…思ってませんでした」

「だから…凄く嬉しいです!」

「嬉しいのは私も同じよ?」

「私も憂ちゃんの想い、後押ししたいって思ってるから」

「でも…」チラッ

(憂ちゃんなら…気付いてくれるわよね)

(時計?あ、部活に行く時間を気にしてるんだね…)

(でもそれを言っちゃうと、紬さんは私に気を使わせたって思っちゃう…)

「紬さんごめんなさい、私…ちょっと寒くなってきちゃいました」

「今日は紬さんにお話を聞いて貰えるって分かっただけでも十分ですから」

「続きはまた今度、時間のある時にお願いします」


21 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:46:28.37 pFdVpSMu0 20/206

(憂ちゃん、何て優しい子…唯ちゃんが本当に羨ましいわ)

(明日って言っても、憂ちゃんは部活の事を気にしちゃうだろうから…)

「そうね、此処はお話をするにはちょっと寒過ぎるわよね」

「明日の放課後も部活だから…明後日の日曜日」

「お昼から何処か別の場所でどうかしら?」

「はい!お願いします!」



(何時もの憂ちゃんならもっと違う事にも気が付いたと思うんだけど…)

(やっぱり、冷静じゃ無かったみたいね)

(私が無理矢理止めた理由は分からなかったみたい)

(今言ってしまっても直接言ったのと同じ事、それは分かってる)

(でもちゃんと相手の顔を見て言って欲しい、私はそう思ったの)

(憂ちゃんの告白を聞く相手も、多分そう思ってるから…)


22 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:47:28.23 pFdVpSMu0 21/206

「これはちょっと、聞いちゃいけない話だったな…」

「そうですね、ムギ先輩にも憂にも何だか悪い気がします…」

「そうだね…」

「ムギが帰って来る前に、部室に戻ろう」

~部室~

ガチャッ

「あれ?澪はまだ来てないんだな」

「そう言えば、昨日一昨日も来るのが遅かったですよね」

「何やってるんだろうな?後で聞いてみるか」

「…」

「どうした唯?さっきの話がそんなにショックだったか?」

「うん…」

「憂の好きな人って、誰なんだろうって考えてて…」


23 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:48:20.78 pFdVpSMu0 22/206

「そうか、相手の事は考えて無かったな…」

(ん?待てよ?)

「確かにそうですね…」

(あれ?)

(憂ちゃんが好きになりそうな相手…1人しか思い付かないぞ?)

(憂が好きになりそうな相手…1人しか考えられないんじゃ?)

「…」ジー

「ほえ?」

「…」

「あの…私の顔に何か?」

「なあ、唯」

「唯は憂ちゃんの話を聞いてどう思った?」

「うん、そうだね…」


24 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:49:18.15 pFdVpSMu0 23/206

「憂にそんな風に思ってる相手が居るなんてショックだったけど…」

「でも、やっぱり応援してあげないといけないって思ったよ!」

「あの、それ本気で言ってますか?」

「もちろんだよ!」フンス

「そうか…まあ唯がそう思ってるなら良いんじゃないのか?」

「精一杯応援してあげた方が良いと思うぞ」

「うん、頑張るよ!」

「あの、教えてあげなくて良いんですか?」ゴニョゴニョ

「大丈夫だろ?結果は見えてるんだから悪い様にはならない」ゴニョゴニョ

「どしたの?」

「いや、何でも無いぞ?うん、何でも無い」アハハ

「?」

ガチャッ

「ごめんなさ~い、遅くなっちゃった」


25 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:50:37.82 pFdVpSMu0 24/206

「で、どうしてムギのケーキが4つなんだ?」

「え~と、何だか私にも分からないんだけど…」

「是非」

「何も言わずに」

「貰って下さい」

「さっきからこんな感じなの…」

「貰って下さいって言っても、そもそも最初からムギの物だろ?」

「うっ…た、確かに」

「それに4つも食べたら…私、また太っちゃうわよ…」

「そうですよね~、やっぱり1人1個ずつの方が良いですよね~」

「唯先輩!」

「じょ、冗談だよ~」

「そうね…じゃあ、私が4つ頂くわ」

「ムギちゃん…信じてたのに…」


26 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:53:50.55 pFdVpSMu0 25/206

「でも、これは私の物だから…私の好きにしても良いって事でしょ?」

「だったら、みんなに食べて欲しいって言っても良いわよね?澪ちゃん」

「そう言うと思ったよ…」

「その方が美味しく食べれるに決まってるもの」

「だよな?よし、そうと決まれば早速頂こうかな」

「…」パクパクパク…

「既に食べてますけど…」

「唯ちゃんはとっても美味しそうに食べるから見ていて楽しいわ♪」

「まあ、この方が平和で良いか…」

「ごちそうさま!ムギちゃん、今日のケーキも凄く美味しかったよ!」

「お口に合ったみたいで良かったわ」ウフフ

「は、速いな…」

「だって今日は澪ちゃんが来るの遅かったから待ち遠しくて…」

「最初から食べる気満々かよ!」

「てへっ」


28 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:55:28.61 pFdVpSMu0 26/206

「しかし今日だけじゃないぞ、昨日一昨日も遅れて来なかったか?」

「すまん、今日言おうと思ってたんだ」

「実は和に生徒会の手伝いを頼まれてるんだけど…まだ2~3日はかかると思う」

「なんだよ~、澪は軽音部と生徒会のどっちが大切なんだ?」

「それはもちろん軽音部だ」

「ただな、誰とは言わないが…」

「生徒会に多大な迷惑をかけてる奴が軽音部に居てだな…」

「私はそれを非常に申し訳なく思っていて断る事が出来ないんだ」

「だ、誰の事だろうな~」アハハ

「和ちゃん何時も忙しそうにしてるからね…私からもお願いしたいなっ」

「だったら唯も手伝えば…いや、唯に生徒会の手伝いなんて無理だよな~」

「無理だよね~」

「良いんですか…それで」


29 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:56:54.51 pFdVpSMu0 27/206

「じゃあ、あずにゃんが代わりにお手伝いする?」

「そうだな…梓、手伝ってくれるか?」

「え?私がですか?」

「いや、無理には頼まないけど…」

「資料室で1人だけになるから、ちょっと退屈なんだよな」

(…1人だけ)

「あの、私やります!面白そうなのでやらせて下さい!」

「資料をまとめるだけの単純作業だから、そんなに面白くは無いと思うぞ?」

「大丈夫です!やってやるです!」

「そうか?うん…助かるよ、ありがとうな」

「いえ、そんな…」


30 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:57:54.82 pFdVpSMu0 28/206

「単純作業って事は誰でも出来るんだろ?だったらあたしも手伝うよ」

(え?)

「私も何か出来る事が無いか聞いてみよっかな」

(そ、そんな…)

「…」

「私も手伝おうと思うんだけど…」

(ムギ先輩まで…)

「和ちゃんはまだ学校に居るのかしら?」

「この時間ならまだ生徒会室に残ってると思うけど…」

「じゃあ明日みんなで行っても良いのかどうか」

「先に聞いてみた方が良いと思うんだけど?」

「そうだな…よし、じゃあ早速」

「生徒会室に行ってみよ~」

(練習時間まで削られるなんて…最悪だよ…)


31 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 20:59:14.69 pFdVpSMu0 29/206

~部室→生徒会室~

「あれ?ムギちゃん何処に行くの?」

「あの、私はちょっと…お手洗いに」

「待ってようか?」

「そうね…悪いんだけど此処で待ってて貰えるかしら?」

「うん、良いよ~」







「えっと、確かアドレスは登録してあったはず…」

「…」

「送信っと」

「お願い、気付いて!」


32 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:00:44.65 pFdVpSMu0 30/206

~生徒会室~

「で、軽音部がお揃いでどうしたの?」

「実はな、一昨日から和の手伝いをしてるって話をしてたんだけど」

「みんなも協力したいって言い出してな」

「そう、それは凄く助かるんだけど…」

「あ、別に裏なんて無いからな?」

「そうだよ!私達は純粋に和ちゃんの役に立ちたいんだよ!」

「いや、別にそういう所を疑ってる訳じゃないんだけど…」

「私がお願いしてる仕事はね、本来は部外者には出来ない事なの」

「そうなのか?資料のまとめをしてるだけだと思うけど…」

「そうなんだけど…でも、一応規則だから」

「でもそれだと、私も手伝っちゃ駄目って事にならないか?」

「実はね、澪は特例で生徒会の臨時役員って事にしてあるの」


33 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:01:42.95 pFdVpSMu0 31/206

「それなら、あたし達もその臨時役員ってのにして貰えないのか?」

「出来るけど…でもそうなるとかなり先まで待って貰う事になると思うわ」

「専用の申請用紙があって、それは月末の定期総会でしか発行出来ないの」

「澪に手伝って貰ってる仕事はそれまでに終わっちゃう量だから…」

「そうなんだ…」

「ごめんなさいね、折角来て貰ったのに…」

「…」

「あと1人しか手伝って貰う事は出来ないの」

「…え?」


34 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:02:40.17 pFdVpSMu0 32/206

「臨時役員の申請用紙なんだけど、実はまだ提出してないのよね」

「1枚で2人まで申請出来るから、あと1人だけなら追加出来るわ」

「そうか…」

「あ、じゃあ私が…」

「いやいや、あたしがだな…」

「梓、手伝ってくれるか?」

「え?」

「どうした?最初に手伝うって言ってくれたのは梓じゃないか」

「あの、私で良いんですか?」

「ああ、私は梓に手伝って欲しいな」

「…」

「はい!私、頑張ります!」

(良かったわ!)


35 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:03:35.97 pFdVpSMu0 33/206

(ん?ちょっと待てよ?)

(部長として何度か総会には出てるけど、臨時役員なんて聞いた事無いな…)

(生徒手帳になら載ってるかな?)

「生徒手帳は…っと、あったあった」

「りっちゃん、駄目よ」

「え?何がだ?」

「それ、今は見ないでおいて欲しいの」

「りっちゃんなら、分かってくれると思うんだけど…」

「…」

「…ああ、なるほどな」

「どしたの?」

「いや、何でも無いよ」

「じゃあ、明日からお願いね」

「はい!」


36 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:04:37.38 pFdVpSMu0 34/206

~平沢家・リビング~

「~♪」

「憂、今日はご機嫌だね?」

「うん、今日は学校で凄く良い事があったんだ~」

「そうなんだ…」

「ねえ、どんな事か教えて?」

「え?」

「な、内緒だよ?」

「そっか…」

「うん、じゃあ頑張ってね!」

「え?うん、何だか分からないけど頑張るよ!」

(ムギちゃんには相談出来るのに、私には相談出来ないんだ…)

(私にあんな話をされても、どうして良いのか分からなくなっちゃうけど…)

(でも、何だか寂しいな…)


38 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:05:34.95 pFdVpSMu0 35/206

「どうしたの?お姉ちゃん」

「な、何でも無いよ?」

(そうだよ!私は憂の事を応援してあげなきゃって言ったじゃない!)

「そうだ、私明後日はお出かけする事になったから」

「うん、知ってるよ」

「え?」

「な、何でも無いよ?」アセアセ

「憂は…その、1人で出かけるのかな~って」

「ほんとはお姉ちゃんとお出かけしたいんだけど…」

「その日はちょっと人と会う約束をしてるの、ごめんね?」

「ううん、私は多分家に居ると思うから…気にしないで行って来て」

「…」

「…」

「あの…やっぱりお姉ちゃんも一緒に行く?」

「へ?」


39 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:07:02.15 pFdVpSMu0 36/206

「でも…誰かと会う約束をしてるんでしょ?」

「お願いして、先に延ばして貰うよ!」

(私がちょっと寂しそうにしたから…憂、優しいよ…)

(ちょっと嬉しい…けど、駄目だよね?)

(憂には憂の事を第一に考えて欲しい)

(私の方がお姉ちゃんなんだからねっ!)

「あ、そうだ!急に思い出しちゃった!」

「え?何?」

「明後日はね、あずにゃんと朝から出かける約束をしてたんだ~」

「だからごめんね、憂とは一緒に行けないや」

「そうなんだ…うん、分かったよ」

「じゃあ、お昼は作らなくても良いよね?」

「う、うん…」

(しまった!午後からって言っておけば憂のご飯が食べられたのに…)


41 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:08:52.56 pFdVpSMu0 37/206

~土曜日朝・学校・2年昇降口~

カチャ

「あ…」

「おお~、今日は一杯入ってるねっ!」

「良かったわね、澪ちゃんは今日も大人気よ」

「よせよ…///」

「あ、ムギちゃんの所にも1枚入ってるよ?」

「あら?ほんとね」

「でも…これって茶封筒っていうのかな?」

「普通はこんなの使わないだろ…」


42 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:09:51.82 pFdVpSMu0 38/206

「う~ん、でもりっちゃんのキャラならありかも?」

「ああ、そうだな…」

「…」

「え?何がだ?」

「律、どうした?何か今朝からボ~っとしてないか?」

「いや、そ、そんな事はないぞ?」

(チャイムの音)

「あ、予鈴鳴っちゃったね、そろそろ行こ!」

「そ、そうだな!」

「じゃあ澪ちゃん、また放課後に」

「ああ、遅れるけど部活には必ず行くからな」



「どうしたんだ、律の奴…」


43 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:10:41.12 pFdVpSMu0 39/206

~放課後・生徒会室~

コンコン…ガチャッ

「失礼しま~す」

「早いな、確か今週は掃除当番じゃなかったのか?」

「えっと、友達と1日だけ代わって貰いました」

「そこまでしなくても良いのに…」

「え…」

「でも…そうだな、嬉しいよ」

「あ…はい!」


44 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:11:27.92 pFdVpSMu0 40/206

「お昼はどうした?」

「あの…まだ食べてません」

「そうか…じゃあ、資料室で作業しながら食べるか?」

「…そこって他に誰も居ない部屋なんですか?」

「そうだけど、私と2人じゃ寂しいか?」

「部室にはみんな居ると思うから、そこで食べても良いんだけど…」

「いえ、私は資料室で食べるのが良いと思います」

「そうだな、時間も勿体無いからそうしよう」

「そうしましょう!」


45 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:12:25.71 pFdVpSMu0 41/206

~資料室~

「…」ジー

「どうした?梓」

「澪先輩のお弁当ってたまに見るんですけど、何時も可愛いですね」

「自分で作ってるんですか?」

「いや、これは殆どママが作ってるんだ」

「…」

「お母さん!」

「あの、私まだ何も言ってませんけど?」クスクス

「…」

ヒョイ…パクッ

「あっ!」

「…」モグモグモグ

「うん、この卵焼きは美味しいな」

「え?あの…今何て言いました?」


47 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:13:37.95 pFdVpSMu0 42/206

「いや、この卵焼きは美味しいな…って」

「あの、もう1度」

「ど、どうした?怒ったのか?」

「ごめんな、ほんの冗談で…」

「もう1度」

「すまん、謝るから」

「もう1度言ってくれたら…許します」

「もう1度言えば良いのか?」

「えっと、この卵焼きは美味しいな…」

「…」

「ふふっ、ふふふっ」

「良いですよ、許しちゃいます」

「?」

「いえ、許すも何も全然怒ってませんから」

「そうか?まあそれなら良いんだけど」


50 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:16:28.33 pFdVpSMu0 43/206

「澪先輩はお料理ってしないんですか?」

「いや、殆ど毎日してるぞ?」

「今日も昨日作った残り物が少しだけ入れてあるな」

「え?どれですか?」

「今残ってるのだと…この鶏肉の炒め物だけかな?」

「1つ下さい!」

「さっきのお詫びに良いよって言ってあげたいんだけど…」

「ごめんな、今フォークに刺さってるので最後だ」

「他に欲しいおかずがあったらどれでも食べて良いぞ?」

「いえ、私はこれが食べたいです」

「これが良いのか?」

「…」コクコク

「う~ん、じゃあ箸で取って貰うのも行儀が悪いから…」

「…」ジー

「…」


51 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:17:26.06 pFdVpSMu0 44/206

「もしかして、私がこのままフォークを手渡したら怒るのか?」

「…」

「怒りませんけど…その、ガッカリします…」

「分かったよ、じゃあ1回だけだぞ?」

「…」コクコク

「ほら、あ~んってしてみろ」

「あ~ん」パクッ…モグモグ

「どうだ?」

「あの、美味しいです…」

「そうか、梓にそう言われるとちょっと嬉しいな」

「ちょっと…だけなんですか?」

「…」

「いや、凄く嬉しいぞ」

「…」

「良かったです」


52 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:18:18.17 pFdVpSMu0 45/206

~部室~

ガチャッ

「待たせたな!皆の衆!」

「…」

「あれ?何で誰も…居ないの?」

「りっちゃんとムギちゃんは先に出て行ったのに…」

「…」グゥー

「澪ちゃんとあずにゃんはやっぱり来ないのかな…」

「…」グゥー

「お、お腹減った…」

「でも1人で食べてもつまんないし…」

「りっちゃんとムギちゃんが来るまでは待ってなきゃね、うん」


53 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:19:13.06 pFdVpSMu0 46/206

~体育館裏~

「りっちゃん」

「よぉ、ムギ」

「どうしたの?こんな所に何か用事?」

「あ、ああ…」

「あのな、昨日の事なんだけど」

「ムギには謝らなきゃいけない事があるんだ」

(まずはその事なのね)

(りっちゃんは名前の通り律儀なんだから…)

「もしかして、あそこの柱の陰から覗いてた事かしら?」

「え!気付いてたのか!?」

「ええ」

「そうか…いや、本当に悪かったな」

「それを謝っておこうって思ってたんだけど」

「ちょっとみんなの居る場所では出来ない話だからな…」


55 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:20:04.22 pFdVpSMu0 47/206

「ねえ、どうして謝るの?」

「へ?」

「りっちゃんは理由も無しにそんな事はしないって思うわ」

「こんな所に呼び出される私の事、心配して来てくれたのよね?」

「え?ち、違うよ…あたしは別に…」

「…」ジー

「ま、まあ…半分位はそうかもしれないな…」

(半分じゃないと思うんだけどな…)

「たまに居なくなる事があるから、前から少し気にはなってたんだけど」

「昨日急に心配になって…な」

「ごめんなさい、あまり他の人には言えない事だから」

「まあ、悪い事じゃなくて本当に良かったよ」


56 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:21:32.55 pFdVpSMu0 48/206

「それにしても遅いわね…」

「お手紙には放課後すぐにって書いてあったのに」

「…」

「ムギ、あのな…」

「何かしら?りっちゃん」

「あの…その…え~と、何だ…」

「そ、そろそろ部活に行くからな?」

「…」

(りっちゃんがそれで良いならって思うけど)

(でも…少しだけいじわる、しても良いかしら?)

(りっちゃんがそんなに可愛い顔を見せるから…いけないのよ?)

「そうだわ!」

「ど、どうした?」

「あのね、りっちゃんも此処に居て?」

「…へ?」


57 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:22:42.98 pFdVpSMu0 49/206

「私はね、昨日と一緒でお手紙で此処に呼び出されちゃったの」

「多分だけど、今日も昨日みたいなお話があると思うわ」

「りっちゃんもね、それを一緒に聞いてあげて欲しいの」

「…」

「いやいやいや!そんなのあたしが聞いちゃマズイだろ!?」

「ううん、そんな事無い」

「こういうお話はね、誰かに聞いて貰えるだけでも嬉しいものなのよ?」

(確かに…その通りだよ…)

「りっちゃんは、女の子が女の子を好きになったりするのは変だと思う?」

「それは…思わないけど…」

「でも、別に他の奴だって良いんじゃないのか?」

「あたしの知ってる奴なら、大抵同じ事を言うと思うけどな…」

「うん、そうだと思う」

「でもね、私はやっぱり…りっちゃんにお願いしたいの」

「…どうしてだ?」


58 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:24:12.28 pFdVpSMu0 50/206

「りっちゃんは優しいし、頼りになるし、誰かの為に一生懸命になれる人」

「私がね、もしそういうお話をするとしたら…」

「絶対にりっちゃんにすると思う」

(そうね、これは私の本当の気持ちだと思うわ…)

「だからお願い、一緒に聞いてあげて?」

「いや、そんなに持ち上げられても困るんだけど…」

「私のお願い、聞いて欲しいんだけどな…」ジー

「…」

「ま、まあ、ムギがそう言うなら…」

「良かった!」

(でも、このままだと部室には唯ちゃん1人になっちゃうわね…)

(お昼も食べないで待ってると思うから…あ、そうだわ!)

「メールか?誰に出してるんだ?」

「うふふっ、内緒♪」


59 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:25:07.66 pFdVpSMu0 51/206

~部室~

「…」

「…zzz」

ユサユサッ…ユサユサッ

「…う、う~ん?」

「お姉ちゃん、起きて?」

「こんな所で寝てたら風邪引いちゃうよ?」

「大丈夫だよ…憂が毛布をかけてくれるよ…」ムニャムニャ

「もう、此処は家じゃないんだよ?」

「…zzz」

「…」

「ふふっ、しょうがないな…」

「でも、こんな所にかけてあげる物なんて無いだろうし…」

「隣の部屋って確か物置だったよね…何か無いかな?」


60 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:25:54.00 pFdVpSMu0 52/206

~資料室~

「…」ジー

「どうした?梓」

「手が止まって…ないな」

「澪先輩のお手伝いなのにサボったりは出来ませんから」

「いや、ちゃんとやってくれるなら良いんだけど…その…」

「ずっとこっちを見られてると、ちょっとやりにくいぞ?」

「分かりました、じゃあ分からない様に見てますね」

「いや、そういう事じゃなくてだな…」

「私の事なんて見てても面白くないだろ?」

「そんな事無いですよ?」

「…」

「まあ、別に良いんだけどな…」


61 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:26:43.09 pFdVpSMu0 53/206

~体育館裏~

「誰も来ないわね…」

「ああ、そうだな…」

「ごめんなさい、りっちゃん…こんなに長い時間付き合せちゃって…」

「お昼ご飯もまだ食べてなかったんでしょ?」

「え?いや、そんな事無いぞ?食べたよ食べた」

「あたしは早食いだからな…」アハハ

「…」

「それよりムギは…」

「ダイエット、今日はお昼抜きなの」

「…」

「まあそういう事にしておくよ」

「ええ、そういう事にしておきましょ」


62 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:27:38.28 pFdVpSMu0 54/206

~資料室~

「よしっ、このページは終わりだな」

「あの、この作業が終わったら次は何をするんですか?」

「次か?ちょっと待ってくれよ」

「1…2………19…」

「和に貰った資料は20枚だから…」

「今梓にやって貰ってる1枚で丁度終わりだな」

「え?もう終わりなんですか?」

「梓が頑張ってくれたから、予定してたよりずっと早く終わったよ」

「ありがとうな、梓」ナデナデ

「いえ、そんな…」エヘヘ

「じゃあ悪いんだけど、梓がそれをまとめてる間に」

「ちょっとやっておきたい事があるんだ」

「終わったら声をかけてくれ」

「はい」


63 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:28:38.21 pFdVpSMu0 55/206

~体育館裏~

「澪と梓はもう部室に来てるかな…」

「澪が先に来てたら…また怒られそうだ」アハハ

「遅れて来る事が多いぞって言ってる自分が次の日に遅刻だからな」

「…」

「あ、ち、違うぞ?ムギのせいじゃないぞ?あたしが勝手に…」

「ううん、私が悪いの」

「でも、りっちゃんがそんな風に考えるなんて思ってないから安心して?」

「あ、ああ…」

「…」

「あっ!今日部室に来てるのは唯1人だけなんじゃないのか!?」

「大丈夫よ、憂ちゃんを呼んであるから」

「憂ちゃん?そうか、さっきのメールで…」

「全然気が付かなかったよ…ムギ、ありがとうな」

「どういたしまして」


64 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:29:28.65 pFdVpSMu0 56/206

~部室~

「…」

「お姉ちゃん、寒い?」

「…zzz」

「って、返事がある訳ないよね…」

「…」

「憂…寒いよ…」

「え?お姉ちゃん起きてるの?」

「…」

「…zzz」

「寝言かな…でも、ほんとにちょっと寒そうだね…」

「カーテンがあったからかけてあげたけど、もっと何か…」

「憂…」

「…」

「隣、良いかな?」


65 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:30:58.28 pFdVpSMu0 57/206

~資料室~

「…」カキカキカキカキカキ

「…」ジー

「あの、それは何を書いてるんですか?」

「これか?自分で言うのは恥ずかしいんだけど」

「ふぁ、ファンレターのだな…返事を書いてるんだ///」

「え?澪先輩は返事を書いてたんですか?」

「何時もあんなに沢山貰ってるのに…」

「ああ、流石に全部は無理だけど1回は必ず書いてるぞ」

「昨日それを律にからかわれてだな…」

「…」

(私も…書いてみたいんだけどな…)

「梓、どうした?」

「いえ、あの…凄いなって」

「まあ1年の学園祭直後に比べたら数も減ったから…大した事じゃないよ」


66 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:32:01.71 pFdVpSMu0 58/206

「前からずっと聞いてみたいって思ってたんですけど」

「何だ?」

「ファンレターって、どういう事が書いてあるんですか?」

「例えばその…澪先輩の事が…す…好きです…とか…」

「それは無いよ」

「え!?そうなんですか?」

「ああ、最初の頃は衣装が可愛かったとか歌と演奏が良かったとか…」

「いや、思い出したくない事を思い出してしまった///」

「それはもう忘れましょうよ」

(あの映像は絶対に忘れられないけど///)

「最近はどんな事が書いてあるんですか?」

「最近か…最近だと次のライブを期待してくれてるのが多いかな」

「友達になって欲しいとかそういうのもあるけど」

「梓が思ってる様な内容のは1度も無かったぞ」


68 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:32:55.55 pFdVpSMu0 59/206

(そうだったんだ…私、ちょっと勘違いしてた)

(1年生の間でも澪先輩の人気って凄いから…)

(あんまり仲良くすると、嫉妬されるんじゃないかって)

「それにな、梓の事も書いてあったりするぞ?」

「え?私ですか?」

「ああ、みんなの事も結構書いてあるんだ」

「軽音部はみんな仲が良くて羨ましいとか…」

「そういう内容だと、私も嬉しくなるな」

「そうですね、私もそう思われてるのは嬉しいです」

「律とは良く喧嘩してたりするんだけど…」

「そういうのも見透かされてるんだろうな」フフフ

「…」


70 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:34:22.20 pFdVpSMu0 60/206

「そうそう、たまにだけど唯の事が一杯書いてある事があるんだよ」

「澪先輩へのファンレターなのにですか?」

「一応私の事も褒めてくれてたりするんだけど、殆ど唯の事だな」

「私がそれを読んでも仕方が無いから別の封筒に入れて」

「唯の所に入れ直してるんだけど、唯は気付いてるかどうか…」

「誰の仕業なのかは簡単に想像出来るんですけど…」

「どうして直接入れないんでしょうかね?」

「流石に直接は入れにくいんだろうな…幾ら仲が良いって言っても」

「私の所なら…自分で言うのも変だけどみんなやってるからな」

「でも形だけとは言え、唯先輩は澪先輩から貰ってるって事ですよね?」

「そうなるな」

(憂…何て余計な事を…)


71 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:35:48.51 pFdVpSMu0 61/206

「あの、私の事も書いてあるって言ってましたよね?」

「どんな事が書いてあるんでしょう?」

「梓はな、もっと仲良くしてあげて欲しいって」

「…え?」

「1年生、特に梓と同じクラスの子だと殆どそれが書いてあるな」

(嘘…私、応援されてたんだ…)

「ちなみに、唯の事を一杯書いてるさっきの子も同じだな」

(ごめん憂、さっきのは訂正するよ…)

「何でだろうな?私達、そんなに仲が悪く見えるのか?」

「私は梓の事…」

「」ドキッ

「嫌いじゃないのにな」

「…」

「どうした?」

「い、いえ…」


73 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:37:20.53 pFdVpSMu0 62/206

「梓は私の事、どう思ってるんだ?」

「え?あの…その…嫌いじゃないですよ?」

「そうか…良かったよ」

「良くないです…」

「ん?何か言ったか?」

「い、いえ!何にも!」

「それより、梓がやってくれてた分は終わったのか?」

「あ、もう終わって此処に…痛っ!」

「紙で切っちゃったか…痛いんだよな、それ」

「あの…」

「絆創膏ならあるぞ?」

「いえ、そうでは無くてですね…」

「血が出てるんですけど、見てて大丈夫なんですか?」


74 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:38:22.80 pFdVpSMu0 63/206

「…」

「…」

「梓!指を貸せ!」

「は、はい!」

パクッ

「え!?」

「…」チューチュー

「あ…」







「…止まったみたいだな」


75 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:39:07.87 pFdVpSMu0 64/206

「後は絆創膏を巻いてと…よしっ」

「…」

「どうした?手当て終わったぞ?」

「えっと、その…」

「か、可愛い絆創膏ですね?」

「そうか?じゃあもう1枚渡しておくから」

「お風呂に入ったら貼り替えておけよ?」

「…はい」

「あ、あの…ありがとうございました!」

「良いって、こんな事位で大げさだな」

(大げさなんかじゃ…ないもん…)


76 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:40:01.32 pFdVpSMu0 65/206

「じゃあ後はこれを和に渡して終わりだ」

「終わらなかったら明日も続きをやろうと思ってたんだけど、良かったよ」

「え?明日は日曜日ですけど…」

「月曜日からはちゃんと部活に出たいかならな」

「学園祭も終わって新歓ライブがまだまだ先だって言っても」

「サボってばかりはいられないだろ?」

(そうだよ…今気が付いたよ…)

(もう少しゆっくりやれば良かったんだ…)

「私は部屋を片付けてから部室に行くから」

「梓はまとめた資料を和の所へ持って行ってくれないか?」

「分かりました…」


83 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:57:39.25 pFdVpSMu0 66/206

~生徒会室~

コンコン…ガチャッ

「失礼します…」

「あら、もう終わったのかしら?」

「はい、澪先輩がこれを渡して来る様にって…」

「ありがとう、凄く助かったわ」

「ざっとだけど、確認させて貰うわね」

(確認する必要なんて無いよ…)

(澪先輩がいい加減にやる訳無いし…私は一生懸命やったもん…)

「…あら?」

(え?)

「枚数が足りないわよ?」

「そ、そんなはず無いです!」

「澪先輩はちゃんと数えながらやってました!」


85 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 21:59:40.93 pFdVpSMu0 67/206

「でも、足りないものは足りない」

「手伝って貰ってるのにこんな事を言うのも何だけど…」

「澪にはもう少し注意してやって欲しかったわね」

「そんな…そんな言い方酷いですよ!」

「私はともかく澪先輩の事を悪く言うなんて…」

「…」

「そうね、冷静に考えてみれば本当に酷い話よね」

「え?」

「ごめんないさい、別に演技なんてしなくても良かったのに…」

「昨日は上手く出来たと思うんだけど、こういうのって慣れてなくて」

「あの…話が良く分からないんですけど?」

「簡単な事よ、私が今言った事を信じなさい」

「でも、私達はちゃんとやったのに…」

「やってない、だから足りない分はやり直しよ?」

「やり直し…」


86 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 22:01:00.19 pFdVpSMu0 68/206

「えっ!やり直しですか!?」

「どうしてそんなに嬉しそうな顔をするの?」

「私は凄く理不尽な事を言ってるのに」フフフ

「それは…分かってて言ってますよね?」

「さぁ、私には何の事かさっぱり」

「やっぱり…和先輩は酷い人です」

「そうね、もし澪に何か聞かれたらそう言っておきなさい」

「自分のミスを人のせいにする酷い奴だって」

「分かりました、そう言っておきます」

「本当にそう言っても良いのよ?」

「それも…分かってます」


87 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 22:01:52.82 pFdVpSMu0 69/206

「足りない事になっている資料は印刷して後で届けるわ」

「澪の事だから多分引き受けてくれるとは思うんだけど」

「その後どうなるかまでは、私には分からない」

「だから…頑張ってね」

「もちろん、資料のまとめを頑張っての意味だからね?」

「…」

「今、足りない事になってるって言いませんでした?」

「言ってないわよ」

「昨日は上手く出来たって言ってましたよね?」

「言ってないわね」

「…」

「あの…私、頑張ります!本当にありがとうございました!」

(お礼を言うなら私じゃないんだけど…言わないでって事になってるから…)

「どうしてお礼を言われるのか分からないんだけど…ふふっ、どういたしまして」


88 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 22:03:04.79 pFdVpSMu0 70/206

~部室前~

「あれ?澪先輩どうしたんですか?」

「な、中のソファーに何か黒いのが居るんだ…」

「黒いの?」

ガチャッ

「梓!こ、怖くないのか?」

「大丈夫ですよ」

テクテクテクテク…

「何だろ?これ…カーテンかな?」

「ご、ゴキブリとかじゃないよな?」

「こんなに巨大なゴキブリなんて居ませんって」

「唯先輩と憂がカーテンに包まってるだけですよ」

「な、何だ…人だったのか…」

「どうして憂が此処に居るんでしょう?」

「…どうしてだろうな?」


89 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 22:04:01.04 pFdVpSMu0 71/206

「でも…不思議と納得出来ちゃいますよね」

「唯が居れば隣には憂ちゃんが居る…逆もそうだな」

「隣に居る人が自然と思い浮かぶなんて羨ましいな…」

「どっちに妬いてるんだ?」

「どっちにも妬いてません!」

「梓、あんまり大声出すと起きちゃうだろ?」

「あ、そ、そうですね…」

「このまま寝かせておいてあげよう」

「でもこの状態じゃ、部活は出来ないですよね…」

「まあ律とムギもまだ来てないみたいだからな」

「私達はこっちに座って待っていようか?」

「はい」



「何時もより椅子が近くないか?」

「気のせいですよ」


90 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 22:05:11.85 pFdVpSMu0 72/206

~体育館裏~

(腹が減ったのはもう良いとしても…)

「なあムギ、寒くないか?」

「え?そうね…」

「少し寒いけど…私は体温が高いから大丈夫」

「それよりもりっちゃんの方が寒そうよ?」

「いや、あたしは別に良いんだ…」

「…」

「じゃあ…」ピトッ

「…」

「くっついても同じだろ」

「じゃあ…」ムギュ

「いや、それでもあんまり変わらないぞ?」


91 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 22:06:02.68 pFdVpSMu0 73/206

「でも、良く映画でやってるわよ?」

「雪山で遭難した時とかに、こうやって温め合うの」

「それはあれだろ…その、は、裸になってとか…///」

「私達もやってみる?」

「何!?」

「うふふっ、冗談よ」

「…そういう冗談は止めような?」

「でも、少しは暖かくなったでしょ?」

「…」

「まあ…そうだな」


92 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 22:07:05.37 pFdVpSMu0 74/206

「…」

「…」

「なあ、ムギ」

「何?りっちゃん」

「その…何だ、もうそろそろ離れないか?」

「え?どうして?」

「この状況をだな、万が一他の奴が見たらどう思う?」

「仲が良くて羨ましい?」

「…」

「え?違うの?私達仲が悪いの?」ショボーン

「いや、そういう意味じゃ無くてだな…」

「こんな人目に付かない所で、何をしてるんだって思わないか?」

「そうね、梓ちゃんが見たら妬いちゃうかしら…」


93 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 22:09:43.73 pFdVpSMu0 75/206

「…は?梓?」

「ごめんなさい、唯ちゃんよね」

「…澪じゃないからな?」

「それ、本当?」

「…」

「…」

「…本当だよ」

「あら?どうしてそんなに考えるのかしら?」

「でも、りっちゃんがそう言うのなら、そういう事にしておきましょ」ウフフ

「…」

(違うよムギ…あたしは全く別の事を考えてたんだ)

(澪が見たら少しは妬くと思う…それは間違い無いんだよ)

(でも、逆の立場だったら…此処に居るのがムギと澪だったらどうなんだ?)

(あたしも多分嫉妬すると思うんだけど…)

(でも、その場合はどっちに妬いてるんだろうってな…)


94 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 22:11:10.07 pFdVpSMu0 76/206

~部室~

「静かだな…」

「そうですね…」

「梓は今、何を考えてた?」

「え?それは…」

(明日の事、どういう風に言えば良いのかなって…)

「私は…たまにはこういう時間も良いかもしれないって思ってた」

「此処に居ると何時もは律や唯が騒がしいからな」

「もちろんそういうのも嫌いじゃないんだぞ?」

「ただ、何て言ったら良いんだろう」

「今は凄く心が落ち着いてる感じがして…心地良いんだ」

(私は…落ち着ける訳無いよ…)

(澪先輩がこんなに近くに居るんだから…)

「梓が隣に居るからかな」

「え!?」


95 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 22:12:49.08 pFdVpSMu0 77/206

「あの、それはどういう意味で…」

「意味?意味なんて無いさ、私がそう思ったからそう言ってみただけだよ」

(それって…澪先輩は私の事なんて何とも思って無いって事?)

(そんな…ちょっとガッカリだよ…)

(でも…私は頑張る、和先輩の為にも!)

「澪先輩、言い忘れてた事があるんですけど…」

「何だ?」

「さっき整理して提出した資料、何枚か足りなかったみたいなんです」

「足りない?そんなはず無いと思うんだけどな…」

「それで、足りない分は後で和先輩が届けてくれるそうなんですけど…」

「…」

(最初に受け取った枚数が少なかったのか?)

(それしか考えられないけど、和はそんなミスしないと思うからな…)

(だとすると、考えられるのは…)


101 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:01:00.16 pFdVpSMu0 78/206

「そうか…足りないって言われたんじゃ仕方が無いな、やり直そう」

「続きは明日の朝からまた学校でやるよ」

「あの、それでですね…」

「梓、明日の午後は暇か?」

「午後ですか?あの、明日は朝から暇なんですけど…」

「もし良かったら…」

「梓、私は午後から暇かって聞いたんだぞ?」

「…」

「午後からは…暇です」


102 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:02:59.58 pFdVpSMu0 79/206

~体育館裏~

「もう、暗くなって来たわね…」

「…」

「なあムギ、一旦部室に帰らないか?」

「これだけ待っても来ないんだから…無駄だよ」

「それに、人を呼び出しておいてこんなに待たせるなんて」

「きっとそいつはロクな奴じゃない」

「でも、もう少し待ってみたいわ…」

「…」

「じゃあ、あたしが此処で待ってるよ」

「ムギは部室に行って、今日の部活はもう終わりって言っておいてくれないか?」

「この時間からじゃ練習も出来ないだろうしな…」

「…」

「分かったわ、じゃあ行って来るわね」

「ああ、頼む…」


104 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:04:31.47 pFdVpSMu0 80/206

「…」

「ごめんな、ムギ」

「こんなに長い時間付き合わせたのは…ムギのせいなんかじゃないんだよ」

「…」

「寒い…」

「こんなに寒い場所でじっとしてるのは」

「馬鹿なあたしだけで十分なはずなのに…」

「…」

「帰って来たら…全部謝らないとな…」


105 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:06:31.46 pFdVpSMu0 81/206

~部室~

「良かった」

「え?」

「明日は一日中天気も良いみたいだから、お昼から何処か遊びに行こう」

「あの、いきなり凄く嬉しい事を言われてしまいましたが…」

「澪先輩は朝から今日の続きをするんですよね?私はどうすれば…」

「決まってるじゃないか」

「もちろん、私の手伝いをしてくれるんだろ?」

「…」

「は、はい!私、頑張ります!」

「でも、急にどうして…いえ、もちろん凄く嬉しいんですよ?」

「それは…梓とはもっと仲良くなって欲しいって言われてるからな」

「…」

「そういう言い方はちょっと嫌です…」


106 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:09:34.98 pFdVpSMu0 82/206

「なあ梓、私にとっての1番は誰だと思う?」

「それは…律先輩?」

「そうだな、律で間違い無いよ」

「…」

「今まではな」

「…え?」

「それなのに今此処に律は居ない、隣に居るのは梓だ」

「どうしてだと思う?」

「それは私が強引に…」

「そうじゃないだろ?私が一緒にやろうって誘ったのが最初じゃないか」

「梓と…梓ともっと仲良くなりたいって思ってる、それは私もなんだぞ?」

「そこまで言わせるなよ…」

「は、はい…嬉しいです…」

ガチャッ

「ごめんなさい、物凄く遅くなっちゃったわね」


107 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:12:17.79 pFdVpSMu0 83/206

「…」

「もう少し遅れて来た方が良かったかしら?」ウフフ

「そんな事は無いぞ?なあ、梓」

「そ、そうですよ!何を言ってるんですか、ムギ先輩は」

「そう…でも、ごめんなさいって言わせてね」

「あ、ああ…」

「それで、唯ちゃんと憂ちゃんは…どうして此処で寝てるのかしら?」

「私達が来た時にはもうこんな感じで…」

「そう、でもこんな格好なのに良い雰囲気ね…」

「ああ、何て言うか…」

「お互いの事をどう思ってるのか、見てるだけで分かっちゃいますよね」

「私、明日はどんなお話を聞かされるのかしら…楽しみだわ♪」

「ん?何か言ったか?」

「ううん、何にも」ウフフ


109 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:14:41.29 pFdVpSMu0 84/206

「しかし、律は遅いな…普段だったらもうとっくに帰ってる時間じゃないのか?」

「いけない!私、その事で来たんだったわ!」

「あのね、りっちゃんは私の用事…」

「そう、どうしても外せない用事があって、それを手伝って貰ってるの」

「用事って、どんな事でしょう?私達でも手伝える事だったら…」

「ごめんなさい、それはりっちゃんにしか出来ない事だから…」

「だから部活に遅れてしまったのも全部私のせい、後で怒らないでね?澪ちゃん」

「まあ、ムギがそう言うなら…理由も詳しくは聞かないよ」

「ありがとう」

「それでね、終わるにはまだもう少しかかりそうだから…」

「みんなには先に帰って欲しいの」

「分かった、でも唯と憂ちゃんはどうする?」

「ちょっと部室でやっておきたい事もあるから、その間に私が起こしておくわ」


110 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:16:37.56 pFdVpSMu0 85/206

「そうか…じゃあ悪いな、先に帰るよ」

「梓、帰ろうか?」

「でも和先輩がまだ…」

「帰りに生徒会室に寄って行けば良いよ」

「分かりました、ムギ先輩お疲れ様です」

「ええ、お疲れ様」



「ムギ先輩の用事って何だったんでしょう?」

「律先輩しか手伝えない事って、あまり思い付かないんですけど」

「それは…私には何となく分かるな」

「え?ほんとですか?」

「ああ、いずれ梓にも分かると思うよ…」


111 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:18:29.05 pFdVpSMu0 86/206

「さて、まずはお湯を沸かして…魔法瓶はあったかしら?」

ユサユサッ…ユサユサッ

「唯ちゃん、そろそろ起きて?」

ユサユサッ…ユサユサッ

「唯ちゃん、起きて?」

「駄目みたいね…どうしましょうか?憂ちゃん」

「…」

「どうして、起きてるって分かったんですか?」

「だって…2人からは見えなかったみたいだけど」

「私が入ってきた時には顔が真っ赤だったわよ」

「聞いちゃいけない事、聞いちゃったのかしら?」

「ええ、それはもう…///」

「そう、良かったわ」


112 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:20:28.57 pFdVpSMu0 87/206

「あの、やっぱり紬さんが?」

「ううん、私は何もしてない、きっかけを作ってあげただけよ」

「憂ちゃんも早くそうなれると良いわね」ウフフ

「はい…///」

「でも、唯ちゃんはどうしましょうか?」

「あの、私はお姉ちゃんが起きるまで此処に残ってますから」

「紬さんは先に…」

「ごめんなさい、2人きりにさせてあげたいんだけど…」

「いえ、そ、そういう事じゃなくてですね…」

「時間も遅いから…そうだわ!ちょっと此処で待っててね」

「え?は、はい」



「あ、もしもし、紬です」

「急な事で申し訳無いんですけど、学校まで迎えに来て貰えませんか?」

「いえ、私では無くてお友達の…」


119 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:51:07.28 pFdVpSMu0 88/206

~帰り道~

「あの、明日は何時位から始めます?」

「そうだな…9時位で良いんじゃないのか?」

「分かりました、じゃあその時間までには来てますね」

「ああ、この量なら2時間もかからないからな」

「遊びに行く時間も十分にあるだろ」

「私、明日が凄く楽しみです!」

「私もだよ、これも和のおかげって事になるのかな?」フフフ

「あの…澪先輩は和先輩の事、怒ってたりします?」

「私が?どうしてだ?」

「だって…和先輩が嘘を付いてるって事、もう分かってますよね?」

「ああ、もちろん分かってるよ」

「最初は受け取った資料の枚数が足りなかったのかなって考えたけど」

「和はそんなミスをしないからな、すぐに嘘だって分かったよ」


122 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:54:41.65 pFdVpSMu0 89/206

「一昨日の臨時役員というのも…」

「嘘なんだろ?分かってるよ」

「え?澪先輩は気付いてたんですか?」

「最初は分からなかったけどな」

「2日もこういう事が続いたら、流石におかしいって思うだろ」

「でも折角気を使ってくれたんだ、どっちも信じておくよ」

「良かったです…私、それだけがちょっと心配だったんです」

「和先輩の事、悪く思ったんじゃないかなって…」

「大丈夫だよ、唯や憂ちゃんには敵わないけど和の事は良く分かってる」

「特に今日の嘘なんて和らしいと思うけどな」

「他に手伝って欲しい事が出来たからとか」

「自分が悪く思われない言い方なんて他に幾らでもあったと思うのに…」

「人の事は言えないけど、和もこういう事に関しては不器用だな」

「…」


123 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:55:44.35 pFdVpSMu0 90/206

「どうした?梓」

「幾ら澪先輩でも…今日の和先輩の事、悪く言うのは許せません」

「…」

「そうだな、和は私達の為に一生懸命考えてくれたんだと思う」

「そんな風に言っちゃいけないよな」

「和には後で謝って…いや、お礼を言っておくよ」

「はい、それが良いと思います」

「あの…それで明日の事なんですけど…」

「何だ?」

「お昼ご飯は私が…その…」

「…」

「ああ、楽しみにしてるよ」

「はい!楽しみにしてて下さい!」


125 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:57:28.26 pFdVpSMu0 91/206

~体育館裏~

「お待たせ、りっちゃん」

「みんなにはもう帰って貰ったから大丈夫よ」

「…」

「あの後、誰か来たかしら?」

「…」

「どうかしたの?」

「…」

「ムギ、来る訳が無いんだよ」

「ムギが受け取った手紙、あれを書いたのはな…」

「りっちゃんよね」

「!」


127 : 以下、名... - 2010/11/23(火) 23:58:31.72 pFdVpSMu0 92/206

「何で分かったんだ!?」

「それは…」

「何時から気が付いてたんだ?」

「最初から…」

「最初からって…」

「いや、そんな事よりもまず先に謝らないとな」

「すまん、ずっと言い出せなかった」

「何て言って謝って良いのか分からないよ…」

「りっちゃん…」

コポコポコポ…

「はい、どうぞ?」

「此処だとすぐに冷めちゃうかもしれないけど…」

「ムギ…」

「いや…あったかいよ…」


128 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:00:14.43 3Ps854mt0 93/206

「後は…お腹も空いてるでしょ」

「サンドイッチがあるんだけど、良かったらどうぞ」

「ちょっとパサパサになってるかもしれないけど…」

「…貰うよ」

「じゃあ私も頂くわね」

「何だよこのお洒落なカゴは…どう見ても家から持ってきた弁当じゃないか」

「ダイエットしてるから、昼は抜きなんじゃないのかよ…」

「これはお茶の時間に食べようと思って持って来たの」

「それ、ダイエットになるのか?」

「さあ、どうかしら?」

「…」

「パンはちょっとカサカサになってるけど…でも、美味いな」

「沢山作っちゃったから何個でも食べて良いわよ」

「これムギが作ったのか?」

「ええ、そうよ」


129 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:02:42.31 3Ps854mt0 94/206

「そうか…折角作ったものを駄目にしちゃって悪かったな…」

「ううん、美味しいって言って貰えたから満足よ」

「ああ、本当に美味いよ…それに、無駄にしなくて良かったって思う」

「でも、あたしの弁当は…流石にもう食べられない状態になってるだろうな…」

「あら?りっちゃんはお昼ご飯を食べたって言ってたはずだけど?」

「…」

「ああ、そうだったな」

「じゃあ何も問題は無いわね、良かったわ」

「最近分かって来たんだが…ムギも結構人をからかうんだな」

「いいとこのお嬢様がそんなんで良いのかよ?」

「困ったものよね、部長さんの影響かしら?」

「こんな所で立ったままお食事だなんて、昔の私には想像も付かなかったもの」

「こんなにお行儀の悪い事をどんどん身に付けていったら…」

「お嫁に行けなくなっちゃうってやつか?」

「ええ、だから責任を取って…りっちゃんが貰ってくれる?」


132 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:06:12.82 3Ps854mt0 95/206

「…もちろん冗談だよな?」

「ううん、本気よ?」

「そういう言い方を覚えたのも、あたしの影響なのか?」

「もちろん他のみんなの影響もあるけど…でも」

「りっちゃんには一番感謝してるわ、ええ」

「感謝って…それは良い事なのかよ」

「もちろんよ!」

「まあどっちなのかは分からないけどな…でも、1つだけ言える事がある」

「何かしら?」

「みんなも多分そう思ってる」

「昔の…初めて会った頃のムギよりも、今のムギの方がずっと楽しそうだ」

「そんなムギが…あたしは好きだよ」


133 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:07:49.82 3Ps854mt0 96/206

「まあ、愛の告白ね!」

「違うだろ!」

「違うの?」ショボーン

「いや、違うっていうのは言い過ぎなのか…」

「まあ、やっぱりそうなのね!」

「…」

「ムギ、さっきからあたしの反応で遊んでないか?」

「さあ、何の事かしら?」クスクス

「まあ、それでムギが楽しんでくれるなら良いけどよ」


135 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:09:58.29 3Ps854mt0 97/206

~車の中~

「本当にありがとうございます」

「お姉ちゃんを車に運ぶのも手伝って頂いて…」

運転手「いえいえ、たまにはこの様な事も刺激があって面白いものです」

運転手「何しろ、学校の中へ部外者が入るのは不法侵入ですからな」

「あ!そ、そうでした…ごめんなさい、そういう事にも気が付かなくて…」

運転手「良いのですよ、紬お嬢様たってのお願いですから」

運転手「こんな事は滅多にありませんので、むしろ喜ばしい事です」

「え?そうなんですか?」

運転手「お嬢様は幼少の頃から非常に手のかからないお子様でしたから」

運転手「私共も少しは仕事をさせて頂きませんと立場が無いというものです」

(へえ~、確かに紬さんってそういう感じがするな…)

運転手「もっとも、最近は少しわがままが増えた様に旦那様も仰っておりましたが…」

運転手「決まってそれはご学友、お友達の方に関する事とか」

(う…今日は正にそんな感じだよ…)


136 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:11:22.84 3Ps854mt0 98/206

運転手「軽音部でしたか?そちらに所属されてる方々の事」

運転手「お嬢様は常日頃から良くお話になっておりますな」

「あの、お姉ちゃん…じゃなかった」

「平沢唯の事は何か言ってましたか?」

運転手「唯様の事ですか…とても楽しい方だと」

運転手「用意したお菓子を一番沢山食べてくれるので嬉しいと仰っております」

「あ、あははは…」

運転手「後は…憂様とはとても仲の良いご姉妹だと伺っております」

「え?私の事も話しているんですか?」

運転手「ええ、非常に良く出来たお方だとお話になっていますよ」

「いえ、そんな…」

運転手「憂様の様な妹が是非欲しい…」

運転手「もしご本人様に承諾頂けるのでしたら養子縁組をとも…」


137 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:12:38.08 3Ps854mt0 99/206

「え?紬さんがお姉ちゃんになるって事?」

「…」

「そ、そんなの嫌です!絶対に嫌です!」

「私のお姉ちゃんはお姉ちゃんだけなんですから!」ギュッ

運転手「…」

「あ、ち、違うんです!」

「お姉ちゃんの事が大好きだからそういう風に言っちゃっただけで」

「紬さんの事が嫌いとかそういう事ではなくてですね」アセアセ

運転手「いえ、とんだご無礼を申し上げました」

運転手「お嬢様は常日頃からその様な事を仰っておりますので」

運転手「既にお話になっているものと…」

「え?私、初めて聞きましたけど」

運転手「左様でしたか、これは軽率でございました」

運転手「この事はどうかお嬢様には…」

「大丈夫ですよ運転手さん、紬さんには言いませんから」


138 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:13:31.05 3Ps854mt0 100/206

「私、分かります」

「紬さんはそういう事で嘘は絶対に言わない人です」

「だから本当にそう思ってるんですね…それは凄く嬉しいです」

「でも、それを言ったら私が困る事も知ってるから…紬さんは言わなかった」

「その紬さんの気持ちが少しでも報われる様に…」

「運転手さんはそれを全部知って欲しかったんですよね」

「分かってますから…紬さんには言いませんよ」

運転手「お気遣い…感謝致します」

運転手「今のお話を伺って、お嬢様のお気持ちも良く分かりました」

運転手「申し遅れましたが…私、琴吹家に仕えております執事の斉藤と申します」

「斉藤さんですね、今日はどうもありがとうございました」

「ところで、家には何時になったら着くんでしょうか?」

「同じ所を何度も通ってる気がするんですけど…」

斉藤「それは…気のせいでございましょう」


139 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:14:46.88 3Ps854mt0 101/206

~体育館裏~

「もう真っ暗ね…」

「私達もそろそろ帰りましょ?」

「ああ…そうだな」

「でもその前に…」

「りっちゃん、今日の事は全部忘れましょ?」

「ううん、全部忘れちゃ駄目よね」

「りっちゃんとこんなに長い時間お話が出来て凄く楽しかった」

「それだけで良いじゃない」

「ムギ…」

「いや、言わせてくれ」


141 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:16:37.46 3Ps854mt0 102/206

「どうしてあの手紙があたしからだって分かった?」

「字も分からない様に書いたはずなのに、最初から分かってたなんて…」

「それにどうして…どうして、ムギは怒らないんだ?」

「あたしはムギを此処に呼び出しておいて…」

「ムギが来ているのを知ってて、それでも帰ろうとしたんだぞ?」

「折角ムギが引き止めてくれたのに、でもあたしには話し出す勇気が無くて…」

「ムギはあたしの事を色々と褒めてくれたけど…でも、違うだろ?」

「今日のあたしは最低じゃんかよ…」

「こんな最低の奴に、優しくするなよ?怒ってくれよ?」

「どうして、どうして怒らないだよ…どうして怒らないんだよ!」

「りっちゃん…」

「そうね、確かに今日のりっちゃんには良くなかった事もあると思う」

「…そうだろうよ、いや、もっと悪く言ってくれても良いんだぞ?」

「でもね、それは私も一緒なの…ううん、私の方がもっと悪いわ、最低よ」

「…は?」


142 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:18:07.58 3Ps854mt0 103/206

「どうして分かったのかって聞いたわよね」

「そんなの、凄く簡単な事よ」

「だって、私はずっとみんなの事を見てるから…」

「りっちゃんの事も、何時も見ているわ」

「え?手紙を入れる所、見られてたのか?」

「ううん、そういう意味じゃないの」

「私はね、何時もみんなの事を見てるから…」

「考えてる事が何となく分かるの」

「昨日の事を見て、りっちゃんは思ったわ」

「自分も澪ちゃんの事を相談してみたいって」


143 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:20:49.46 3Ps854mt0 104/206

「でも、時間が経って…途中で気が付いたのね」

「それは単に雰囲気に当てられただけ」

「りっちゃんにとっての1番は澪ちゃんだけど…」

「特別な意味で好きって言えるのかどうかは自信が無いの」

「だから途中でどう言って良いのか分からなくなっちゃった」

「りっちゃんは意外と恥ずかしがり屋さんだものね」

「…」

「何でそこまで、分かるんだ?」

「最初に言ったわよ」

「私は何時もみんなの事を、りっちゃんの事を見ているって」


144 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:23:23.87 3Ps854mt0 105/206

「でもね…そこまで分かっていて何も言わなかった」

「最初に言ってあげればこんな事にはならなかったのに…」

「ずるいでしょ?私って」

「それを気付かれたくなかったから、今日の事は忘れましょうなんて…」

「…」

「ぷっ、ぷぷぷぷっ…」

「りっちゃん!どうして笑うの!」

「だってよ、それを言わなきゃあたし1人が悪者になるのに」

「わざわざ言っちゃうなんてな…やっぱり、ムギは優しいと思うよ」

「違うの!そういう風に言えば」

「りっちゃんは優しいから、私の事を悪く思わないんじゃないかって…」

「なあ、ムギ…そういうのは止めにしようよ」

「あたしも悪かった、ムギも悪かった、それで良いじゃないか」


145 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:24:50.14 3Ps854mt0 106/206

「そうね、りっちゃんがそう言ってくれるなら…」

「でも1つだけ聞きたいな、どうして最初に言ってくれなかったんだ?」

「…」

「最初はね、ちょっといじわるをしたかっただけなの」

「少しだけ待ってみて、実は私には分かってるのよって」

「でもね、急にそれが怖くなった」

「怖くなった?」

「そう、私がそう言ったら多分りっちゃんは照れながら…」

「すまん、勘違いでこんな事をしちまった」

「…って言ってたかな」

「私は笑って、別に良いのよって言っておしまい」

「でもね、そうならないかもって思ったの」


149 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:29:28.82 3Ps854mt0 107/206

「雰囲気に流され続けて、自分でも思っていない事…」

「全くの0じゃないけど、そんなに強くは思っていない事」

「それを言い出しちゃうかもしれない」

「言ってしまったら歯車が回りだしちゃうかもしれない」

「それを考えたらね、何だか凄く悔しいって思えたの」

「そうなって欲しくないって思えたの、怖いって思えたの」

「だから私にも何も言えなくなっちゃった…」

「ムギはそういうのを応援したいんじゃ無かったのか?」

「そうね、そうだったわね」

「どうしてなのか…私にも分からなかった」

「その内にね、最初に思ってた事なんてどうでも良くなったの」

「りっちゃんと2人で居ると凄く楽しいなって、それだけになっちゃった」

「そうか…ムギはみんなの事は分かるのに自分の事が分からないんだな…」

「…どういう事?」

「…あたしにそれを言わせるのか?」


150 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:30:33.89 3Ps854mt0 108/206

「…」

「私、りっちゃんの事が…好きなの?」

「いや、あたしに聞かれてもな…」

「…」グスッ

「な、何で泣くんだよ?」

「だって私、好きな人に酷い事をしちゃったの?って思ったら…」

「ムギ…」

「今日は凄く楽しかった、それで良いってあたしも思ってるからさ」

「だから、そんな顔をするな」

「ムギも楽しかったって言ってただろ?だったら、笑えよ」

「…無理よ」

「私、りっちゃんに嫌われちゃったもの…」

「…」


151 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:31:27.58 3Ps854mt0 109/206

ポカッ

「い、痛い…」

「ムギ、人の話はちゃんと聞けよ?」

「あたしも楽しかったって言ってるんだぞ」

「え?じゃあ私…嫌われてないの?」

「当たり前だろ?」

「あたしには難しい話は良く分からない」

「ムギの言ってる事は…正直全部理解出来たわけじゃない」

「でもな、ムギがそんなに一生懸命考えて色々やってたなんて…」

「その相手があたしだったなんて、凄く嬉しいじゃないか」

「ムギにはあたしの考えてる事が何となく分かるんだろ?」

「だったらムギの事をどう思ってるのか、分かりそうなものじゃないか」


152 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:32:38.64 3Ps854mt0 110/206

「…」

「嫌い?」

「違うだろ」

「大嫌い?」

「何でそっちに行くんだよ!」

「何とも思ってない?」

「もう少し自分に自信を持てよ」

「じゃあ…ちょっとだけ好き?」

「ちょっとじゃ無いな」

「…」

「大好き!」

「…」

「…」ワクワク

「それは…無いと思うぞ?」

「…」ガーン


153 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:34:31.97 3Ps854mt0 111/206

「まあ、そうガッカリするなよ」

「いきなりそんな風には思わないだろ?」

「でも、りっちゃんが自信を持てなんて言うから…」

「ムギの事は普通に好きだよ」

「澪ちゃんよりも?」

「澪と比べたら…すまん、澪だと思う」

「やっぱり…私、泣いちゃうかも…」

「澪とは付き合いが長いから、それは仕方が無いって」

「でもな、ムギの事は前よりもずっと好きになったぞ」

「…ほんとに?」

「ああ、それにな」

「ムギの事、もっと好きになりたいって思った」

「まだ1年以上、ムギとは一緒に居るんだから…」

「私、もっと好きになって貰える様に頑張る!」

「ああ、そうだな…あたしが言うのも変だが、頑張れ」


156 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:37:00.45 3Ps854mt0 112/206

~平沢家・リビング~

「…」モグモグモグ…

「うん、凄く美味しい!」

「お腹が減ってるからそう思うだけだよ…」

「そんな事無いよ?憂の料理は世界一なんだから!」

「…」

「あれ?何か変な事言ったかな?」

「何時もだったら嬉しいんだけど…今日はちょっと複雑かな」

「え?どうして?」

「だって、不味いって分かってるのに褒められても」

「そんな事無いよ、本当に美味しいんだから!」

「お姉ちゃん…お願いだから、もう食べるのは止めて?」

「勿体無いって思うんだったら私が全部食べるから…」

「お姉ちゃんは温かい物を食べようよ?」

「良いの!私はお弁当が大好きだから食べたいの!」


157 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:39:18.44 3Ps854mt0 113/206

「そんなにお弁当が良いの?何時でも作ってあげるのに…」

「ほんとに?」

「う、うん…」

「じゃあ、明日も作ってくれると嬉しいな~」

「明日?あ、そう言えば梓ちゃんとお出かけするんだよね」

「お弁当が必要って事は、結構遠くまで行くんだ」

「え?う…うん」

(そんな事言ったっけ?でも憂が言うんだから…間違い無いよね)

「分かったよ、じゃあ2人分用意するから」

「そ、そうだね~」

(適当に言ったっぽいのに信じてるよ…ごめんね、憂)

(でも憂のお弁当が2人分も食べれるんだ…それは嬉しいかも!)

「明日は何時に起きるの?」

「え~と、7時かな?」

「え?7時?」


158 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:40:40.13 3Ps854mt0 114/206

(何?変な時間だった?私が休みの日にそんなに早く起きるなんて変?)

「困ったな…」

「その時間はお隣のお婆ちゃんと朝市に行ってるんだよね…」

「月に1回だけだから、楽しみにしてると思うんだけど」

「明日は1人で行って貰おうかな…」

「だ、大丈夫だよ!私、自分で起きるから!」

「でも、心配だな…」

「一緒に出掛けるなら、梓ちゃんに家に来て貰って…」

「…」

「いやいやいやいやいや、そんなのあずにゃんに悪いよ」

「う~ん、でも…」

「…」

(憂、心配してくれるのは嬉しいんだけど…)

(話が段々ややこしくなっていく…)


159 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:42:37.66 3Ps854mt0 115/206

(あずにゃんにも後で聞かれると困っちゃうし…)

(ど、どうしよう…やっぱり話だけはしておいた方が良いのかな?)

「じゃあ、私が今からあずにゃんに頼んでみるよ!」

「え?うん、その方が良いと思う」



「お弁当、私の分も全部食べてくれたんだね…」

「お姉ちゃんには美味しい物だけ食べさせてあげたいのに…」

「…」

「でも…嬉しいよ、お姉ちゃん」


160 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:44:03.98 3Ps854mt0 116/206

~唯の部屋~

「あ、もしもし、あずにゃん?」

「えっとね、ちょっとお願いしたい事があるんだ~」

「明日の事なんだけど…」

「え?明日は出掛けるの?何時位かな…7時位?」

「あ、そうなんだ~丁度良かったよ」

「じゃあね、途中で私の家に寄って欲しいんだけど…」

「時間が?大丈夫だよ、来てくれるだけで良いんだ」

「詳しい事は明日話すから…え?来てくれる?」

「ありがと~、うん、お願い!」

「あずにゃ~ん、愛してるよ~」プチッ

「…」

「だ、大丈夫だよね?」


162 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:47:59.53 3Ps854mt0 117/206

~リビング~

「どうだった?」

「あずにゃん、来てくれるって」

「良かった」

「…」

「ねえ、憂」

「憂も明日出かけるんだよね?」

「え?うん、そうだよ?」

「誰かと会うって言ってたけど、誰と会うのかも秘密?」

「…紬さんだよ」

「ムギちゃん?」

「そう、紬さんと約束があるの」

「そっか…」

「ムギちゃんと、何をするのかな?」


164 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:50:21.41 3Ps854mt0 118/206

「え?あの…ちょっとお話をするだけだよ?」

「そうなんだ…」

「うん…」

「そのお話って、私じゃ駄目なのかな?」

「え?」

「私じゃ…憂のお話は聞いてあげられないのかな?」

「そ、そんな事は無いよ!」

「そんな事は無いけど…」

「やっぱり、ムギちゃんの方が良いんだね」

「うん、分かったよ」

「違うよ!そういう事じゃないの!」

「どうして…どうしてそういう言い方をするの?」

「だって…だって、憂が本当の事を言ってくれないから!」

「私、知ってるんだよ?憂がムギちゃんと何を話すのか」

「え!?」


165 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:51:30.48 3Ps854mt0 119/206

(どうしてお姉ちゃんがそれを知ってるの!?)

「明日ムギちゃんに何を言うの?ね?教えて?教えてよ?」

「憂の好きな人って誰なの?お願いだから…教えてよ…」

(言いたい…教えたい…けど)

(良いの?今言って良いの?こんな雰囲気で…言っても良いの?)

(分からないよ…今までずっと黙って来た事だから…)

(どうして…どうして明日が今日じゃ無かったの?)

(明日だったら…言えたと思うのに…)

「ごめんねお姉ちゃん、やっぱり言えないよ…」

「明日!明日の夜には必ず言うから!」

「…」

「そっか…私はムギちゃんの次、2番目なんだね…」

「だから違うって言ってるでしょ!」

「どうしてそんなに私を困らせるの?」

「私の気持ちも知らないで…」


166 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:52:22.83 3Ps854mt0 120/206

「そんなの…そんなの分かる訳無いよ!憂は何も言ってくれないんだもん…」

「だから…言えないって言ってるでしょ…」

「もう良いよ…」

「…え?」

「もう良いよ!憂の事なんかもう知らない!」

「勝手にすれば良いんだよ!」プイッ

「待って!待ってよお姉ちゃん!」



「こんなのって…こんなのって無いよ…」

「お姉ちゃん…どうして分かってくれないの…」


169 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:54:23.21 3Ps854mt0 121/206

~田井中家・リビング~

「姉ちゃん、何食べてんだ?」

「!」

「何でも良いだろ?あっち行けよ」

「それ弁当か?何でそんなの夜中に食ってるんだよ」

「うるさいな、そういう事をしたいお年頃なんだよ!」

「さっさと寝ろ!」

「お~、怖え~」

「じゃあ俺寝るわ、おやすみな」

「ああ、おやすみ」

「…」

「しかし自分で作っておいて言うのも何だが…不味いなこれ」

「ムギのサンドイッチは美味かったんだけどな…」


170 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:55:28.14 3Ps854mt0 122/206

「ムギか…」

「あたしはムギの事、どう思ってるんだろうな」

「普通に好きだって言ったけど…ほんとにそうなのか?」

「明日は憂ちゃんと何処かで会うみたいだけど」

「ただ会って話をするだけだと思うけど…」

「何か…それが凄く気になる」

「澪が明日何をするのかは全然気にならないんだけどな…」

「…」

「あ~もう止めだ止めだ、難しい事を考えるなんてあたしらしくない」

「あたしはあたしのやりたい事をやる、それだけだろ?」



「姉ちゃん、独り言多過ぎるぞ…」


172 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:58:28.39 3Ps854mt0 123/206

~日曜日朝・平沢家・玄関~

ピンポーン

「…」

「唯先輩が起きてないのは予想通りだけど…」

「憂は居ないのかな?」

ガチャガチャ

「鍵は…開いてる」

「唯先輩がお願いって言ってたから、良いんだよね?」

ガチャッ

「お邪魔しま~す」

「…」

「誰も出てこない…」

「とりあえず、唯先輩の部屋は3階だよね」


173 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 00:59:30.84 3Ps854mt0 124/206

~リビング~

「あ、唯先輩、起きてたんですね?」

「おはようございます、居るなら出て来て下さいよ~」

「…」

「あの…唯先輩?」

「え!?な、何で泣いてるんですか?」

「あずにゃん…おはよう…」グスッ

「悪いね…こんなに朝早く来て貰って…」

「いえ、それは別に良いんですけど…」

「あの、何かありました?」

「うん、昨日ちょっとね…憂と喧嘩しちゃって…」

「…は?」

「そんな朝から誰も信じない様な冗談を…」

「…」グスッ

「言ってる訳じゃないみたいですね…」


174 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:02:06.48 3Ps854mt0 125/206

「でも、信じられないです」

「確かに普段の唯先輩はどうしようも無い位に駄目な人ですけど」

「そういう所も含めて憂は唯先輩の事を好きなんだって思ってました」

「あずにゃん、さり気無く酷い事言うね…」

「でも…そうだね、私はどうしようも無い駄目人間だよ…」

「え~と、一応フォローしておきますけど」

「唯先輩はやる時にはやる人だって憂が良く言ってまして」

「私もそれには同意しているんですが…」

「あと、私も唯先輩の事は嫌いじゃないと言いますか…むしろ、好き?」

「いや、変な意味で受け取らないで下さいね、先輩としてって事ですからね?」

「あずにゃん…ありがと…」

「いえ…」


175 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:03:06.02 3Ps854mt0 126/206

「それより、憂は今居ないんですか?」

「うん…今はちょっと出かけてるよ」

「お昼までには1回帰って来ると思うけどね…」

「じゃあ、それまで私も待ちますよ」

「時間…誰かと待ち合わせしてるんでしょ?」

「私の事は良いから…行ってきなよ」

「私も…ちょっと何処かへ出かけてくる」

「このまま家に居ると…憂が帰って来ちゃうから…」

「憂とは…申し訳無くて顔を合わせられないよ」

「…分かりました」

「唯先輩、とりあえず私と一緒に学校へ行きましょう?」

「歩きながらでも良いですから、何があったのか話して下さい」

「学校に行くの?じゃあ制服を…」

「今日は日曜日ですよ?そのままで良いですから」

「うん…」


176 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:05:16.81 3Ps854mt0 127/206

「それで、このテーブルの上に載ってるのは…」

「あずにゃん、これは持って行っても良いのかな?」

「…当然ですよ」

「もし持って行かないなんて言ったら」

「私、唯先輩とは一生口を利きませんからね?」

「…」グスッ

「何でまた泣くんですか…」

「だって…それだけ憂の事、大切に思ってくれてるんだよね?」

「それが嬉しくって…」

「…」

「…ほんとに憂と喧嘩したんですか?」

「え?うん…そうだけど…」

(原因は一体何?この2人が喧嘩なんてあり得ないよ…)


177 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:06:25.13 3Ps854mt0 128/206

~通学路~

「で、原因は何ですか?」

「私が悪いの…」

「それは言わなくても分かってます」

「あずにゃん、やっぱり酷い…」

「当然ですよ、憂が悪いなんて事はあり得ません」

「唯先輩の方が悪いに決まってます」

「…えへへ」

「何で今度は笑ってるんですか!」

「だって…憂が悪くないって言って貰えると嬉しいもん」

「…」

「頭痛くなって来た…」

「え?どしたの、あずにゃん」


178 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:07:38.73 3Ps854mt0 129/206

「あの…もう一度確認しますけど」

「本当の本当に憂と喧嘩したんですか?」

「うん、したよ?」

(一瞬からかわれてるんじゃないかって思ったけど…)

(でも唯先輩は裏の無い人だし、嘘泣きなんてしないよね)

「じゃあ、改めて聞きますけど」

「唯先輩がどう悪かったんですか?」

「え~と、あずにゃんは覚えてるかな?」

「今日のお昼から、憂が何をするのか…」

「今日ですか、確かムギ先輩と…」

「…」

「もしかしてその関係ですか?」

「そうなんだよ…」


180 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:08:45.63 3Ps854mt0 130/206

「私、本当に情けないんだ」

「憂の事、応援してあげたいって最初は思ってたのに…」

「でも、何だか悔しくって…」

「憂がね、誰かの事を好きになるのは…」

「本当は嫌なんだけど…凄く嫌なんだけど…」

「仕方が無いって思うんだ」

「ううん、そんな言い方をしちゃいけないよね」

「喜んであげなきゃいけないって思うんだ」

「でもね、それを最初に…私に言って欲しかったなって」

「私には何も出来ないって分かってるんだけど…」

「どうして良いのか分からなくなるって思うんだけど…」

「でも…やっぱり私には最初に言って欲しかった」

「…」


182 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:09:52.40 3Ps854mt0 131/206

「憂が好きになったのは女の子だって言ってたから…」

「ムギちゃんの方がそういうお話を上手く聞いてあげられるって」

「それはね、私のお馬鹿な頭でも理解出来るんだ」

「でも…それでもこの気持ちは抑えられないんだよ」

「憂の事、好きで好きで仕方が無いから…」

「…」

「あれ?あずにゃん聞いてる?」

「ええ、聞いてますよ…」

「で、結局唯先輩はどうしたんですか?」

「興奮してて良く覚えてないんだけど…」

「どうして私には言えないの?って」

「そういう事を未練がましく言っちゃったんだよ」

「それでも憂は教えてくれなかったから…」

「憂の事なんてもう知らないって」


183 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:11:11.04 3Ps854mt0 132/206

「私、本当に駄目なお姉ちゃんだよね」

「憂には憂の事を第一に考えて欲しいって思ってたはずなのに…」

「結局私の事しか頭に無かったよ…」

「でもね?仕方が無いんだよ?」

「それ位憂の事が好きなの!もう、どうしようもないんだよ…」

「はぁ…まあ大体は分かりました」

「とりあえずですね…私の頭、2回ほど思いっきり叩いて下さい」

「…へ?何で?逆じゃないの?」

「何て情けない先輩なんだ~って」

「色々と言いたい事はありますが、今回は私と律先輩が悪いんです」

「なので、律先輩の1回分は私が代理で引き受けます」

「りっちゃんも?全然意味が分からないよ…」

「まあ、今更説明しても意味が無いので理由は言いませんけど…」

「とにかく、私と律先輩が悪いんです」


184 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:12:38.35 3Ps854mt0 133/206

「あと、ムギ先輩が後で何か言ってくるかもしれませんけど」

「ムギ先輩は全然悪くないですからね?」

「え?うん…ムギちゃんが何も悪くないのは分かってるけど…」

「まあとにかく、そういう風に納得して下さい」

「でも、いきなり叩けって言われても…」

「そんなの、あずにゃんが可哀想で出来ないよ」

「何か理由を考えて断らなきゃ…あ!そうだ!」

「あのね、そういうのは私の手も痛くなるから嫌だよ?うん」

(心の声が思いっきり出てるのが唯先輩らしい…)

「分かりました、じゃあ律先輩と2人でアイスをおごります」

「それで良いですよね?」

「え?うん、おごってくれるのは嬉しいんだけど…」

「はい、じゃあそれで決まりです」

「う~ん、何だか分からないけど…あずにゃんの気がそれで済むなら」


186 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:13:48.60 3Ps854mt0 134/206

~学校~

(幾らなんでも、ちょっと早過ぎたかな…)

(まだ約束の時間まで1時間以上あるよ…)

「あずにゃん、お腹減ってない?」

「え?そうですね…」

「休みの日は朝抜きなので減ってると言えば減ってますけど…」

「じゃあ憂が作ってくれたお弁当、一緒に食べない?」

「朝と昼、2食分入ってるみたいなんだ」

「良いんですか?私が食べても」

「うん、半分は元々あずにゃんの分だからね」

「どうして私の分なんですか?」

「う~ん、話せば長くなるんだけど…」

「今日はね、あずにゃんとお出かけって言っちゃったんだ」

「だからね、半分はあずにゃんが食べても良いんだよ」


190 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:29:07.52 3Ps854mt0 135/206

「何だか分かりませんけど…」

「もし憂に聞かれたら、そういう予定だったって答えておけば良いんですね?」

「え?うん、そうだよ!」

「それもお願いしようと思っててすっかり忘れてたよ」エヘヘ

「はぁ…まあすぐにそんな事はどうでも良くなると思うんですが…」

「そうですね、では朝の分だけは頂く事にします」

「お昼は?」

「お昼は用意してあるんです」

「お、もしかしてあずにゃんお手製?」

「そうですけど?」

「それは何方とお食べになるんでしょう?」

「だ、誰でも良いじゃありませんか!」

「むふふ~、あずにゃんも隅に置けませんな~」

「全く…もう少し落ち込んでて欲しかったですよ」


191 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:30:46.88 3Ps854mt0 136/206

「…」

「あずにゃん、本当にありがとね」

「あずにゃんとお話してたら、少しだけど元気が出て来たよ」

「今だったら…うん、憂にはちゃんと謝れると思う」

「そうですか…まあ、唯先輩は凄く見当外れな悩みを抱えているんですけど」

「そう言って貰えれば私も嬉しいですよ」

「見当外れ?」

「きっと後で分かりますよ」


192 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:32:24.59 3Ps854mt0 137/206

~部室~

「部室、何も考えないで歩いてたら来ちゃいましたね」

「うん、此処で食べよっか?」

「そうですね…私、お茶淹れて来ます」

「じゃあ、私は鞄からお弁当を出して…と」

「…」

ペリッ

「『お姉ちゃんへ、朝とお昼の分が入ってるよ』」

「昨日はあんなに酷い事を言ったのに…」

「憂は早起きしてちゃんとお弁当を作ってくれたんだよね」

「もう本当に…どうして憂はこんなに良い子なんだろう…」

「拗ねて泣いてただけの私とは、大違いだよ…」

「あれ?中にも何か紙が…」

「…」

「嘘!?」


193 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:33:55.54 3Ps854mt0 138/206

「お待たせしました、お茶淹れましたよ」

「あずにゃん…」グスッ

「ど、どうしたんですか!何でまた泣いてるんですか!?」

「だって…だって憂がね…」

「これを見てよ…」グスッ

「手紙?」

「…」

「…」

「…」

「さて、食べましょうか」

「え?どうしたの?」

「あずにゃん酷いよ~、どうして何にも言ってくれないの?」

「…」

「お幸せに」


195 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:37:27.40 3Ps854mt0 139/206

~資料室~

「ふぅ…とりあえず作業は終わりだな」

「私の方も終わりました」

「それで?その手紙には何て書いてあったんだ?」

「まあ大体の内容は分かるけどな…」

「…」

「お姉ちゃんへ」

「昨日は本当にごめんなさい」

「私の好きな人、言いたかったんだけど…」

「今までずっと言えなかった事だったから…迷っちゃった」

「今本当に言っても良いのかなって」

「もっとちゃんとした時に言った方が良いんじゃないかなって」

「でも、今日1日だけでもお姉ちゃんに誤解されるのは辛いから…」

「私の好きな人…書いちゃうね」


197 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:38:38.99 3Ps854mt0 140/206

「私の好きな人はお姉ちゃん、お姉ちゃんだけだよ?」

「お姉ちゃんは私の事なんて何とも思ってないかもしれない」

「昨日の事で嫌いになっちゃったかもしれないけど…」

「私はお姉ちゃんの事、ずっと好きだから…」

「お姉ちゃんが帰って来たら…言葉に出して言わせて欲しいの」

「お姉ちゃん、大好きって」

「でも、今日は梓ちゃんとのお出かけ、ちゃんと楽しんで来てね」

「私に気を利かせて途中で帰って来たりしたら駄目だからね?」

「お弁当、一生懸命作ったから2つ共食べてくれると嬉しいな 憂」


198 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:39:32.47 3Ps854mt0 141/206

「良く覚えてるな?」

「唯先輩を後でからかう為にですよ」

「2人の事が羨ましいって思ったからだろ?」

「ち、違いますよ…」

「まあ、そういう事にしておくか」

「もぅ…違うって言ってるのに…」

「で、唯は結局どうしたんだ?家に帰ったのか?」

「ええ、食べ終わったら猛ダッシュで帰って行きましたよ」

「ちゃんと食べてから帰るって所が唯らしいな…」


199 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:45:17.58 3Ps854mt0 142/206

~平沢家・家の前~

「…」

「あたしは何をしてるんだろうな…」

「これじゃストーカーじゃんかよ」

「しかも相手が何処に居るか分からないからって…」

「…」

「幾らなんでも、これは格好悪いな」

「やっぱり止めよう」

「何を止めるの?」

「いや、憂ちゃんの後を付けてみようかと思ったんだけど…」

「ふ~ん、何で?」

「ムギが何処に居るのか分からんからな…」

「携帯で直接聞けば良いのに」

「いや、ちょっと聞きにくいんだよ…」


200 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:46:18.36 3Ps854mt0 143/206

「憂の後を付けて行けばムギちゃんが居る?」

「ああ、そう考えたんだけどな…」

「なるほど!それで私の家を見張ってたんだね~」

「…」

「どしたの?りっちゃん」

「いや…何でも無い」

「憂ちゃんは何時頃出かけるのか分かるか?」

「う~ん、正確な時間は分からないね…」

「でも、この時間だとまだ家には帰って来てないよ」

「何だ、憂ちゃんは出かけてるのか?」

「うん、お隣のお婆ちゃんとね」

「そうか…」


202 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 01:54:35.22 3Ps854mt0 144/206

「なあ唯、頼みがあるんだが…」

「何?」

「外で見張ってるのも寒いんだよな」

「家の中に入れてくれないか?」

「うん、良いよ」

「私も憂が帰って来ない内に、部屋に戻っておかなきゃって思ってたんだ」

「ああ、ありがとうな…」

「…」

「で、どうしてあたしは唯と会話してるんだ?」

「え?最初に話しかけてきたのはりっちゃんだよ?」

「…」

「まあ良い、今はそんな事を言ってる場合じゃないからな」


203 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:03:29.26 3Ps854mt0 145/206

~唯の部屋~

「…」

「…」

「いきなり押しかけておいて申し訳無いんだが…」

「お茶位は出ないのか?」

「駄目だよ、台所を使ったら憂にバレちゃうよ」

「ペットボトルのお茶でも良いんだけどな」

「そんなの家にあると思う?」

「憂ちゃんが居れば必要無いか…」

「憂はお茶でもコーヒーでも何でも美味しく淹れてくれるからね~」

「ほんとに羨ましいよな…憂ちゃんくれ!」

「えへへ~、あげないよ?」

「ほんと、唯には勿体無いよ」

「そうだね…私には勿体無いよね…」


204 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:06:12.31 3Ps854mt0 146/206

「…」

「おいおい、冗談だぞ?そんな顔するなよ…」

「うん…分かってるよ」

「でもね、本当にそう」

「憂は私には勿体無い位の妹だよ」

「だから私は少しでも良いから…」

「憂に相応しいお姉ちゃんになりたいって思うんだ」

「…」

「唯がそんな事を言うなんて…何かあったのか?」

「えへへ、あったよ~」

「実はね…」

「実は?」

「あ、でもその前に…」


206 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:07:30.12 3Ps854mt0 147/206

ポカッ

「いてっ!何すんだよ!」

「え?あずにゃんがりっちゃんも叩いておいてくれって言ってたよ?」

「梓が?」

「あれ、後でアイスをおごって貰うんだっけ?」

「意味が分からんぞ、説明しろよ」

「うん、良いよ…」

「えっとね…」


208 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:09:14.08 3Ps854mt0 148/206

~学校・資料室~

「しかし改めて考えてみると、この3日間」

「私の知らない所でとんでもない事が起きてたんだな…」

「澪先輩が生徒会の手伝いをしてなくてあの場に居てくれたら」

「こんな事にならなかったかもしれませんね」

「梓はその方が良かったのか?」

「唯先輩にも憂にも悪いですけど…」

「もちろん、それは嫌ですよ」

「どうしてだ?」

「だって、もし何か違う事が起きてたら…」

「私は今、此処で澪先輩と一緒に居なかったかもしれない」

「そんなの絶対に嫌です」

「そうか、梓はそういう風に考えるのか…」


209 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:10:32.10 3Ps854mt0 149/206

「澪先輩は違うんですか?」

「だったら、私と一緒には居たく無いって事ですよね…」

「違うだろ?何でそうなるんだよ」

「だって…」

「私はな…例え最後に笑っていられたとしても」

「誰かが途中で悲しんだりするのは嫌だ」

「私が生徒会の手伝いをしてなかったら…」

「まず、ムギの事を覗きに行くのを止めてただろうな」

「そうなると、唯と憂ちゃんの行き違いも無かったかもしれない」

「そういう可能性があるなら、それでも良かったと思う」

「その可能性だと、私は今此処に居ないって事になりますよね…」

「そうなるな」


210 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:11:45.93 3Ps854mt0 150/206

「でも、梓と律が唯に何も言わなかったのはどうしてだ?」

「それは…結果が分かってるから、敢えて言うまでも無いかなって」

「そうだろうな、私も多分何も言わなかったと思う」

「それは、私達もそうなんじゃないのか?」

「え?それはつまり…」

「もう1つの可能性があったとしても…」

「いや、他に幾つもの可能性があったとしても…」

「それが必然の事だったら、結局最後は同じになると思う」

「今此処に梓が居なくても…何時かきっと、隣に座ってる」

「私はそう思うけどな」


211 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:13:10.88 3Ps854mt0 151/206

~平沢家・唯の部屋~

「それでか…唯が此処に隠れてるのは」

「私は一応、あずにゃんとお出かけしてる事になってるからね」

「もう良いんじゃないのか?そんな嘘、今更関係ないだろ?」

「う~ん、そうかな…」

「でも、憂がすぐに帰って来ちゃ駄目だよって書いてたし…」

「まあ、唯の好きにすれば良いさ」

「でもそうか…澪は今、学校に居るって事なんだろうな」

「え?やっぱり澪ちゃんなのかな?」

「間違い無いだろ、他には考えられない」


212 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:14:52.04 3Ps854mt0 152/206

「澪ちゃんが何処に居るのかは分かるんだね」

「まあな」

「りっちゃんはそれで良いの?」

「ああ、よくよく考えてみれば…」

「あたしも…そうなる様に手助けした様なもんだからな」

「邪魔をしようと思えば幾らでも出来たけど、そんな気は全く起きなかった」

「こうなる事は分かってた、決まってたんじゃないかって思うよ」



213 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:16:14.70 3Ps854mt0 153/206

~学校・資料室~

「私と梓がこうなる事は最初から決まっていた…」

「そう…運命の赤い糸で結ばれていた、そういう事だな」

「あの、非常に嬉しいんですけど…言ってて恥ずかしくないですか?///」

「もちろん恥ずかしい台詞だって事は分かってるぞ?」

「でもな、好きな人の為なら恥ずかしいと思える様な事を言ってみたい」

「恥ずかしいと思える様な事をしてみたい」

「そういう事って無いか?」

「…あるかもしれませんね」

「あの、実は昨日怪我をした指なんですけど」

「まだ絆創膏を貼り替えてないので…」

「もしかして、また舐めて欲しいとか言わないよな?」

「…」

「言っちゃいます…」

「でもこれはとても恥ずかしい事なので…目を瞑ってて貰えませんか?」


214 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:17:24.90 3Ps854mt0 154/206

~平沢家・唯の部屋~

「お?何か下で物音がしなかったか?」

「憂が帰って来たのかな?」

~玄関~

「ただいま~」

「…」

「そっか…お姉ちゃんは出かけたんだよね」

「梓ちゃんは、ちゃんと迎えに来てくれたのか…な?」

「…」

「…」

「…何でだろ?」


224 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:41:57.68 3Ps854mt0 155/206

~リビング~

「お弁当は…良かった、持って行ってくれたんだ」

「でも、どうして?」

「…そうだ、梓ちゃんに」



「あ、もしもし、梓ちゃん?」

「…」

「あれ?ちょっと今機嫌が悪かったりする?ごめんね?」

「でもお願い、1つだけ聞きたい事があるんだ」

「梓ちゃん、今何処に居るの?」








225 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:44:32.10 3Ps854mt0 156/206

~学校・資料室~

「…」

「誰から…って、まあ話の内容で分かったけど、憂ちゃんか?」

「ええ、そうです」

「唯先輩と出かけてるって嘘付いてたの、あっさりバレちゃいましたね」

「どうしてだろうな…梓が此処に居るって言っただけだろ?」

「…」

「そんな事はどうでも良いんですよ…」

「折角良い雰囲気だったのに…台無しじゃないですか」

「機嫌直せ?」

「そんなの、急には無理ですよ…」

「そうか…私はさっきの続き、したいんだけどな」

「梓は私だけに恥ずかしい事を言わせておいて、何もしてくれないんだ…酷いな」

「もぅ…分かりましたよ!」


228 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 02:59:54.11 3Ps854mt0 157/206

「じゃあ…続きをお願いします」

「ああ、目を瞑ってれば良いんだろ?」

「はい、そのまま動かないで下さいね…」

チュッ

「何だ?今のは」

「指ですよ?」

「絆創膏、剥がして無い様に見えるんだが?」

「今さっと貼り替えたんですよ」

「顔が真っ赤になってるのはどうしてだ?」

「寒いからですよ、きっと」


229 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:01:42.74 3Ps854mt0 158/206

~平沢家・唯の部屋~

「しかし寒いな…エアコン入れて良いか?」

「駄目だよ、部屋に居るのが憂にバレちゃうよ」

「じゃあ、どうすれば良いんだよ」

「この部屋で暖かくなれる方法…」

「お、そうだ!ベッドに入ってて良いか?」

「うん、良いけど…」

「で、でも…駄目だよりっちゃん、私には憂という人が…///」

「いや、そういうお約束は良いから」

「とにかく良いんだよな?じゃあ失礼して…」

「でも、それは良いアイデアかもしれないね」

「何だよ、唯も一緒に入るのか?」

「だって、私も寒いんだもん」

「…襲うなよ?」

「りっちゃんこそ」


231 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:04:54.21 3Ps854mt0 159/206

~学校・資料室~

「そうか、寒いのか…」

「だったら、私が暖めてやるよ」ギュッ

「どうだ?」

「…」

「あったかいです…」

「これから何処に出かける?」

「私、動物園に行きたいです!」

「ああ、良いな…そうしようか」

「はい!」

「お弁当もちゃんと作ってきたので、後で食べて下さいね?」

「梓の手作りか…楽しみだな」

「でも…」

「あの、もう少しだけ…このままが良いと思います」

「そうだな…私もそう思う」


232 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:06:32.12 3Ps854mt0 160/206

~平沢家・唯の部屋~

ピンポーン

「誰か来たぞ?」

「え?誰かな…」

~玄関~

ガチャッ

「紬さん、わざわざ来て貰ってありがとうございます」

「ううん、良いのよ」

「最初は何処か外でって思ったんだけど…」

「憂ちゃんが一番落ち着ける場所が良いのかなって思ったから」

「えっと…じゃあ私の部屋で良いですか?」

「ええ、お邪魔するわね」

「ところで…紬さんには誰なのか分かりますか?」

「…」

「ええ、分かるわよ」


234 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:08:34.43 3Ps854mt0 161/206

~唯の部屋~

「…ムギじゃないか?」

「ムギちゃんの声だね」

「出かけると思ったら、家で会う約束になってたのかよ」

「そうみたいだね…でも、どうしよう」

「部屋から出られなくなっちゃったよ」

「いや、むしろあたしにとっては好都合だ」

「そう言えば、りっちゃんはどうしてムギちゃんに会いに来たんだっけ?」

「…」

「秘密だ」

「え~!そんなのずるいよ?私も全部話したのに!」

「ば、馬鹿!大声出したらバレるだろ!」


236 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:10:36.99 3Ps854mt0 162/206

~憂の部屋~

「…」

「…」

「そうそう、サンドイッチを作ってきたの」

「良かったら食べてね?」

(あ、自分で食べるお昼の事忘れてた…)

「ありがとうございます、頂きますね」

「ええ、どうぞ」



「どうかしら?憂ちゃんには敵わないけど、結構自信あるのよ?」

「そんな…これ、凄く美味しいですよ」

「ありがとう、憂ちゃんにそう言って貰えると…2番目に嬉しいわ」

「2番目…ですか?」

「ごめんなさいね、2番目なの」


239 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:13:39.00 3Ps854mt0 163/206

「あの…まずは私のお話、聞いて貰えますか?」

「ええ、良いわよ」

「でも、良かったら私のお話も聞いて頂戴?」

「紬さんのですか?」

「私もね、誰かに相談したいって思える様な事が出来ちゃったの」

「でも、私で良いんですか?」

「実はね…私が1番相談したい人、1番信頼している人は他に居るの」

「でも、その人の事を好きになっちゃったから…困ったわね」ウフフ

「ごめんなさい、憂ちゃんの事を悪く言うわけじゃないのよ?」

「それって…私と全く同じですね」

「私も1番相談したい人を好きになっちゃったから…」

「私達、似た者同士なのかしら?」

「そうみたいですね」クスクス

「でも紬さんのお話には興味があります、先に聞かせて下さい」

「そう?じゃあお言葉に甘えて…」


240 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:15:06.63 3Ps854mt0 164/206

~唯の部屋~

「耳を当てても…」

「何か話してるって事は分かるが、内容は全く分からんな」

「本当にこの壁の向こう側が憂ちゃんの部屋なのか?」

「うん、間にクローゼットが挟まってるけどね」

「それでか…」

「廊下に出てみる?」

「それはちょっと危険過ぎるな」

「じゃあ天井裏から…」

「そんな手があるのか!」

「無いけどね」テヘッ

「だからそういうお約束はもう良いって言ってるだろ…」


241 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:16:52.55 3Ps854mt0 165/206

「窓からってのも無理そうだからな…」

「唯、冗談抜きで何か良い方法は無いか?」

「…」

「唯?おい、どうした?」

「…zzz」

「…」

「徹底的にお約束な奴だな…」

「あたしはどうすりゃ良いんだよ…」


242 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:17:59.79 3Ps854mt0 166/206

~憂の部屋~

「そう、昨日はあの後で…大変な事になってたのね」

「そういう可能性を考えられなかったのは、全部私の責任」

「本当にごめんなさい、憂ちゃん」

「私の事はどうでも良いから」

「まずは唯ちゃんの誤解を解くにはどうしたら良いのか考えましょ?」

「…」クスクス

「え?どうして笑うの?」

「ごめんなさい、ちょっと失礼でしたよね」

「だって紬さんも凄く大変だったのに…」

「まず最初に私の心配をしてくれるなんて」

「紬さん…本当に優しいです」

「相談して良かったって、改めて思っちゃいます」


243 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:19:17.24 3Ps854mt0 167/206

「私の事はもう大丈夫なんです」

「さっき少しだけですけど、梓ちゃんから聞いちゃったんです」

「お姉ちゃんはもう誤解はしてないって」

「仲直りしたいって思ってる、そう言ってくれたんです」

「そう…良かった…本当に良かったわ…」

「でも結局、私には何も出来なかったって事よね…」

「そんな事無いです、全部紬さんのおかげですよ」

「紬さんが居なかったら、私は誰にも相談出来なかった」

「何も始まらなかったんですから、紬さんには感謝してます」

「今は私の事よりも、紬さんの事を考えましょうよ」

「ありがとう、憂ちゃん…」

「でも、私の事は昨日始まった事だから…まだ何も分からないと思うんだけど…」

「そんな事は無いですよ、結果はもう分かってるんじゃないかなって思います」

「え?どうして?」

「だって…」


247 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:29:27.43 3Ps854mt0 168/206

~唯の部屋~

「…ん?」

「全く話し声が聞こえなくなったな…」

「…」

「はぁ…あたしは何をやってるんだろうな…」

「ムギの事が気になって…いや、気になってる所じゃないんだろうな」

「気持ちよりも先に体が動いちゃったのは、あたしらしいんだろうけど…」

「駄目だな、こんな所でウジウジしてちゃ駄目だ」

「いっそ今からでも憂ちゃんの部屋にお邪魔して…全部話そう!」

ガチャッ

「!」

パタッ…パタッ…パタッ…

(こっちに来る!)


249 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:31:37.00 3Ps854mt0 169/206

(…)

(何でまたベッドの中に入ってるんだよ!)

(さっきの決心は何処に行ったんだ?)

(いやでも、全部話すって言っても何をどう話せば良いのか…)

ガチャッ

(やばい、入ってきたよ!)

(ど、どうする?)

(出て行った方が良いのか?)

(…zzz)

(…)

(唯を見てると…こんな時でも何故か安心出来るのが不思議だな…)

ガバッ

「あっ!」

「りっちゃん…」

「よ、ようムギ、奇遇だな?」


252 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:40:14.47 3Ps854mt0 170/206

「何を…しているの?」

「唯ちゃんと2人で…ベッドの中に居るなんて…」

「へ?あ、ち、違うんだよ!」

「唯は普通に寝てるだけで、あたしはちょっと寒いからお邪魔を…」

「…」

「どうしたの?紬さん」

「憂ちゃん…これを見て?」

「え!嘘…お姉ちゃんと律さんって…そういう関係だったんですね…」

「…」

「違うぞ」


253 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:41:55.01 3Ps854mt0 171/206

「違う!憂ちゃんそれは絶対に違うぞ!」

「唯が好きなのは憂ちゃんだけだ!」

「いや、それも違うな」

「唯はみんなの事が好きだけど」

「1番好きなのは、誰よりも好きなのは憂ちゃんだ!」

「あたしなんて比較にもならないよ」

「唯の1番は憂ちゃんだ、出会った時からそうだったし、今もそう」

「あたしが言う事じゃ無いって分かってるけど…」

「これから先だってずっとそうだと思う」

「それだけは…唯の想いだけは信じてやってくれ」

「な?頼む、お願いだ、あたしの事はどういう風に思っても良いから」

「唯の事だけは信じてやってくれ…」

「頼…」ムギュ

「りっちゃん…ごめんなさい、もう良いの」


255 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:42:52.69 3Ps854mt0 172/206

「良くないんだよ!」

「折角仲直り出来るって唯が喜んでたのに…」

「あたしのせいでこんな事になっちゃって…」

「違うの、私達が全部悪いのよ?」

「は?何でだ?あたしのせいだろ?」

「律さん、ごめんなさい」

「ちょっと悪ふざけが過ぎたみたいです」

「…どういう事だ?」


257 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:44:40.92 3Ps854mt0 173/206

~リビング~

「…」

「あの…」

「怒ってます?」

「いや、全然」

「元はと言えば、あたしが此処にいる事自体が間違いだからな…」

「あたしに怒る資格なんて無いよ」

「じゃあ…ごめんなさいって言う代わりに」

「ありがとうございます」

「は?」

「お姉ちゃんを庇ってくれた事、凄く嬉しかったです」

「りっちゃん、凄く格好良かった!」

「いや、まあ…照れるじゃないか///」

「でも、どうして律さんがお姉ちゃんの部屋に?」

「そうね、どうしてかしら?」


258 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:46:00.24 3Ps854mt0 174/206

「…」

「いや、唯が強引にだな…」

「…」ジー

「…すまん、ムギの事が気になったからだよ」

「私の事が?それって、どうして?」

「…どうしてだろうな?」

「駄目ですよ律さん、さっきの格好良さは何処に行ったんですか?」

「いや、さっきのは考えてる暇も無かった事だからな…」


259 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:47:36.08 3Ps854mt0 175/206

「じゃあ、凄く嫌な聞き方をしちゃうけど…」

「1回だけだから許してね?」

「あ、ああ…」

「私と澪ちゃん、どっちの方が好き?」

「それは…」

「今は、ムギだな」

「1日で何が変わるって訳じゃないはずなのに…」

「昨日からムギの事しか考えられなくなったよ…」

「すまん、今はそんな風にしか言えない」

「ううん、それだけ言って貰えたら私は十分よ」

「私…私、凄く嬉しい!」

「そ、そうか?照れるな…」


260 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:48:51.19 3Ps854mt0 176/206

~唯の部屋~

ユサユサッ…ユサユサッ…

「お姉ちゃん、そろそろ起きて?」

「あんまり寝すぎると、明日起きれなくなちゃうよ?」

「大丈夫だよ~憂がちゃんと起こしてくれるよ~」ムニャムニャ

「うん、もちろん起こしてあげるんだけど…」

「…」

「え?憂!?」

ガバッ

「…」

「おはよう、お姉ちゃん」

「…」

「…おはようございます」

「あ、あのね?ついさっき帰って来てね?」

「いや~、あずにゃんとのお出かけ楽しかったな~」


261 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 03:50:11.57 3Ps854mt0 177/206

「うん、梓ちゃんから全部聞いてる」

(良かった、あずにゃんありがと~)

「後は律さんからもね、お姉ちゃんの事よろしくって言われてるの」

「…あの、それは何時の事でしょう?」

「もちろん今日、律さんはついさっき紬さんと一緒に帰ったから」

(全部バレていらっしゃる!)

「昨日は…ううん、今までごめんなさい」

「私が自分の気持ちを素直に言えなかったら、色んな人に迷惑をかけちゃった」

「お姉ちゃんに…紬さんに…律さんに…梓ちゃん…」

「ひょっとしたら澪さんにも…」

「…」

「あの…やっぱり、お姉ちゃんはまだ怒ってる?」

「…うん」

「怒ってる」


263 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 04:00:21.13 3Ps854mt0 178/206

「そうなんだ…ごめんね、お姉ちゃん」

「でも、信じて欲しいの」

「手紙、読んでくれたのかな?私はお姉ちゃんの事…」

「違うよ、憂」

「私はね、自分に対して凄く怒ってる」

「何て情けないお姉ちゃんなんだろうって」

「今もそう、憂に全部言わせちゃってる」

「昨日だってそうだよ、私が少しだけ我慢していれば」

「憂の事を第一にって考えていれば…あんな事にはならなかったのに」

「お姉ちゃん…でも、私も…」

「憂は悪くないよ?私が全部悪いんだ」

「でもね、そういう風に言うと憂は悲しむと思うから…言わないよ」

「…あれ?言わないって言ってるのに、全部言っちゃったね?」テヘヘ

「格好悪い言い方になっちゃったけど…私らしいって事で許してね」

「憂は悪くない、私も悪くない」


264 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 04:02:06.81 3Ps854mt0 179/206

「だからごめんねって言う代わりに…ありがとうって言わせてね」

「憂、ありがとう」

「あんなに酷い事を言っちゃったのに…今朝もお弁当、作ってくれたよね」

「憂はどんな時でも私の事を考えていてくれてるんだって」

「それが凄く嬉しかった…本当にありがとう」

「憂は何でも出来る私の自慢の妹、大切な…大切な妹だよ」

「今はまだ駄目だけど…私はね」

「何時かきっと憂に相応しいお姉ちゃんになりたいって思ってる」

「憂が喜んでくれる事は何でもしてあげたいって思う」

「憂が喜んでくれたら…私も凄く嬉しいから…」


265 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 04:04:59.60 3Ps854mt0 180/206

「だから…憂が1番喜んでくれると思う事、言っちゃうね」

「私は憂の事が好き、大好きだよ」

「憂の気持ちは、もう分かってるんだけど…」

「でも、言葉ではまだ聞かせて貰ってないから」

「聞かせて?」

「好き…お姉ちゃんの事、大好きだよ!」

「でも…」

「憂、何を言いたいのか分かってるから」

「ちょっとだけ、お姉ちゃんらしい所を見せてあげる」

「え?」

「憂、少しだけ目を閉じて」

「…う、うん!」


266 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 04:05:55.93 3Ps854mt0 181/206

チュッ

「…えへへ」

「…えへへ」

「私はね、憂の事は妹としても大好きだけど」

「平沢憂としても大好きなんだよ?」

「うん…私もお姉ちゃんの事はお姉ちゃんとして大好きだけど」

「平沢唯としても大好きだよ?」

「少しはお姉ちゃんらしい事、出来たかな?」

「うん…」

「でもね、今だけじゃないよ?」

「お姉ちゃんはね…何時でも私の自慢のお姉ちゃんだから」

「そ、そんな…照れるな~」



「忘れ物を取りに来たんだが…何時になったら部屋に入れるんだ?」


268 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 04:07:41.95 3Ps854mt0 182/206

~学校・資料室~

「ごめんな梓、動物園行けなくなっちゃって…」

「どうして澪先輩が謝るんですか?」

「私がもうそろそろ行きましょうって言わなかったから…」

「いや、私がもうそろそろ行こうって言わなかったからだろ…」

「…」

「今からでも行くか?少しは見て回れると思うぞ?」

「いえ、今日はもう止めておきましょう」

「また次の機会に、今度は朝から一緒に行きましょう」

「ああ、そうだな」

「あの…」

「分かってるよ、2人だけで」

「はい!」


269 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 04:10:02.01 3Ps854mt0 183/206

「でも、何時も2人ってわけにはいかないからな?」

「分かってます、軽音部はみんな仲良しって」

「ずっとそう思って貰いたいですからね」

「ああ、私も仲良しのままでいたいと思ってる…梓もそうだよな?」

「もちろんです」

「じゃあ、今日はもう少し此処でゆっくりしていようか…」

「そうですね…」

「そうと決まったら…そろそろ出してくれないか?」

「え?何をですか?」

「お弁当、作ってきてくれたんだろ?」

「ちょっと遅くなったけど、今から食べよう」

「あ、はい!今出しますね…」

ゴソゴソ…ゴソゴソ…

「…え?」


270 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 04:19:37.61 3Ps854mt0 184/206

「どうした?まさか無いっていうオチじゃないよな…」

「その鞄、結構重そうだぞ?」

「いえ、私の作って来たお弁当はあるんですが」

「憂が作って来た分を忘れてました…」

「憂ちゃん?」

「唯先輩慌てて帰っちゃったから、置き忘れて行ったんですよ」

「お昼前には学校を出るから、ちょっと寄り道して届ければ良いかなって」

「思ってて、すっかり忘れてました…」

「まあ良いじゃないか、今からでも届けてあげれば」

「このままにしておいたら折角作った憂ちゃんが可哀想だ」

「そうですね、行きましょう」

「ああ」


271 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 04:21:16.03 3Ps854mt0 185/206

~平沢家・家の前~

「待たせたな、ムギ」

「あら?マフラーは唯ちゃんのお部屋に無かったの?」

「いや、あるとは思うんだが…」

「お部屋に入れない様な事になってたのね」

「まあ、そんな感じだ」

「じゃあ…」



「これは…ちょっと恥ずかしくないか?」

「どうして?唯ちゃんと憂ちゃんもやってるみたいよ」

「あったかあったかなんですって」ウフフ

「首周りより顔の方が熱くなって来るな」

「ええ、私も顔の方が熱いかも」


272 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 04:22:26.03 3Ps854mt0 186/206

~学校→平沢家~

「梓の手は小さくて可愛いな…」

「澪先輩の手は…」

「あの、そういう風に言われてしまうと返しようがないんですけど…」

「いや、良いんだよ」

「手が大きくて可愛くないって言ってくれ…」

「もう、そんな事で拗ねないで下さいよ」

「拗ねてなんか…」

ピタッ

「澪先輩、どうしたんですか?急に立ち止まって…」

「律だ…」

「え?律先輩?」

「…」

「ムギ先輩と一緒ですね」

「ああ…」


273 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 04:23:17.11 3Ps854mt0 187/206

「でも、恋人同士ならこれ位は普通の事じゃないのかしら?」

「はぁ?誰と誰が恋人同士なんだよ?」

「…」

「…」

「すまん、そこまで言える自信は本当に無いんだ」

「じゃあ何時かそう言って貰える様に、待ってるわね」

「ムギは…不安になったりしないのか?」

「不安?何の事?」

「あたしはまだ、澪の事が好きなのかもしれないんだぞ?」

「昨日今日で気持ちが変わってしまったなんて、信じられるのか?」

「信じるわ」

「いや、そんな即答出来る事じゃないだろ…」

「それとも、やっぱりあたしの考えてる事が分かるって言うのか?」


285 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:00:38.36 WB/CK3JN0 188/206

「ううん、私に向けられた気持ちは分からない事もあるわ」

「りっちゃんには嫌われちゃったって思った位だもの」

「でも、今此処にりっちゃんが居てくれるのは…」

「私の事を第一に考えてくれたからでしょ?」

「今の1番は私だって事、それだけで十分信じられるわよ」

「言葉に出して貰ったのは私の自己満足の為」

「ごめんなさいね、恥ずかしい思いをさせちゃって」

「その気持ちが変わらない様に…」

「雰囲気に流されただけって事にならない様に…」

「昨日りっちゃんは頑張れって言ってくれたから…」

「私はもっともっとりっちゃんに好きになって貰える様に頑張るだけよ?」


286 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:02:20.75 WB/CK3JN0 189/206

「何て言うかその…ムギは健気だな」

「そうかしら?りっちゃんがそう受け取ってくれる様に」

「全部計算して言ってるだけかもしれないわよ?」ウフフ

「本当にそう思ってるなら言わないだろ?そんな事」

「ムギの気持ちは良く分かったよ」

「そこまで言われてるのに何も言ってあげられないなんて…格好悪いよな」

「あたしの気持ち、本当はもう分かってるんだよ」

「昨日ムギが頑張るって言った時、頑張れって言ったけど…」

「そうなんだよな、もうその時には決まってたんだと思う」

「好きになりたいなんて、そんな恥ずかしい事…」

「何とも思ってない相手には言えない、それがあたしの本音だったんだ」

「なあムギ…ムギの事、もっと好きになりたいんだ」

「嬉しいわ…りっちゃんにはもっと…好きになって欲しい…」

「だからその、ちょっと頼みがあるんだが…」

「どうすれば良いのかしら?」


287 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:03:58.60 WB/CK3JN0 190/206

「…」

「声、かけないんですか?」

「いや、止めておくよ」

「そうですよね、今声をかけちゃうと」

「澪先輩もちょっと気まずいですよね…」

「いや、そういう事じゃないんだ」

「律とは付き合いが長いから、私には分かる」

「声をかけてもかけなくても結果は同じだよ」

「律が見ているのは、ムギだけになりそうな感じだ」

「私の事も、もう分かってると思う」


288 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:05:12.42 WB/CK3JN0 191/206

「え?じゃあ、やっぱり無視するのは良くないんじゃ…」

「どうしてだ?」

「梓は2人の時間を邪魔したいのか?」

「え?」

「邪魔されたいのか?」

「…されたくないです」

「私もだよ」


289 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:09:07.61 WB/CK3JN0 192/206

「…」

「どうしたの?りっちゃん」

「身長の無い自分が、憎いぞ…」

「…」

「あ、ちょっとつまづいちゃった」ムギュ

「何で立ってるだけなのにつまづくんだよ?」

「どうしてかしら…」

「りっちゃんの魅力に参っちゃったから?」

「…」

「あの…本当よ?」

「まあ…」

「からかって言ってるだけじゃないって事位…あたしにも分かってるよ」


290 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:09:56.27 WB/CK3JN0 193/206

「あっ!」

「…」

「凄いですね…こんな人通りのある所で…」

「ああ…」

「澪先輩…やっぱり澪先輩は…」

「違うぞ?」

「今考えてたのはな、私達もどうかなって」

「え!?む、無理ですよ…こんな所でなんて…」

「それに、澪先輩の方が恥ずかしいんじゃないですか?」

「言っただろ、好きな人の為なら恥ずかしいと思える様な事をしたいって」

「でも、これは流石に…恥ずかし過ぎますよ」

「恥ずかしいって思うのは、普通じゃないって意識するからだろ?」

「だったら、それが普通になれる様にすれば良いだけじゃないのか?」


291 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:10:43.69 WB/CK3JN0 194/206

「澪先輩、ちょっと変わりましたね」

「…どう変わった?」

「そんなに恥ずかしい事が言えるなんて、今までの澪先輩では考えられません」

「でも…良かったです」

「これでライブの時とかにも緊張しなくなるんじゃないですか?」

「別に恥ずかしいのが平気になった訳じゃないぞ?」

「梓の為ならって思ったら…そういう事が言えるんだよ」

「なあ、梓…私も昨日から自分の事がおかしいって分かってるんだ」

「え?どういう事ですか?」

「梓は私の事、どう思ってる?」

「あの…す、好きですけど…///」

「私も梓の事は好きだよ」

「まだそういう事、何も言って無かったよな」

「そう言えば、そうでしたね…」

「ごめんな、私の方から言わなかったから梓も言えなかったと思う」


292 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:11:51.26 WB/CK3JN0 195/206

「梓は今、ドキドキしてたりするか?」

「はい、凄くドキドキしてますよ…」

「私は…別に何時もと変わらない」

「でも、梓の事を何とも思ってない訳じゃないぞ?」

「昨日部室で唯と憂ちゃんを見て…」

「お互い隣に居るのが自然だなって思ったよな」

「それと同じじゃないかなって」

「私の隣に梓が居るのは自然だって、何時の間にかそう思ってたんだよ」

「好きだって気が付く暇も無い位に…好きだって言う暇も無い位に…」

「梓の事が好きになってたんだよ、好きでいる事が自然になってたんだよ」

「だから…私は梓が隣に居てもドキドキしたりはしない」

「梓がいけないんだぞ?私にそんな風に思わせるなんて…」

「あの…大変嬉しいのですが…」

「聞いている私の方が、滅茶苦茶恥ずかしいんですけど///」


293 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:13:16.08 WB/CK3JN0 196/206

「梓の為だって思えば、どんなに恥ずかしい事でも言える」

「どんなに恥ずかしい事だって出来ると思うぞ?」

「ライブだって梓が隣に、一緒に居てくれれば大丈夫だ」

「梓は私と一緒に演奏出来る事、喜んでくれるよな?」

「はい、もちろんですよ!」

「梓が喜んでくれるなら…何でも出来るよ」

「ライブだけじゃない、他のどんな事でも梓が一緒だったら…」

「だからな、梓…ずっと傍に居て欲しい」

「はい!私、ずっと傍に居たいです!」

「こんな事を言っても、私は全然恥ずかしくないからな」ハハハ

グゥー

「…」プッ

「笑うなよ///」

「どんな事でも恥ずかしくないんじゃ無かったんですか?」クスクス

「いや、こういうのはちょっと違うだろ…」


294 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:14:05.77 WB/CK3JN0 197/206

「でも…私もお腹減っちゃいました」

「ああ、早くそれを届けて、何処か別の場所で梓の弁当を食べよう」

「あの…私の家はどうですか?今日は、誰も居ないんです」

「誰も居ない…そのまま泊まれって事か?」

「違います!そういう意味じゃないですって!」

「ふふっ、冗談だよ」

「…」

「冗談じゃ無い方が良かったか?」

「澪先輩、いじわるです」

「梓が可愛いから、いじめたくなるんだよ」

「もう、どうしてそんなに恥ずかしい事が何度も言えるんですか…」

「梓の事が好きだからに決まってるだろ?これも言っちゃ駄目なのか?」

「それは…何度でも言って下さい///」

「梓…大好きだよ」

「澪先輩…大好きです」


296 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:47:39.74 3Ps854mt0 198/206

~平沢家・リビング~

「無事に戻って来て良かったよ~」

「あずにゃん、届けてくれてありがと~」スリスリ

「お姉ちゃん、それお弁当じゃなくて梓ちゃんにやってあげなよ」

「…あずにゃんにやっても良いの?」ムフフ

「…」

「やっぱり駄目」

「じゃあ、憂だったら?」

「え?そんなの、良いに決まってるじゃない…」

「う~い~、今日もお弁当ありがとう~」スリスリ

「…」

「酷いよお姉ちゃん、お弁当じゃなくて私にやってよ…」

「冗談だよ~」

「憂、今日もお弁当ありがとうね」スリスリ

「うん…」


297 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:49:10.08 3Ps854mt0 199/206

「でも2日連続で晩御飯がお弁当、それもお昼の残りって…」

「ごめんね、私が変に嘘を付いて誤魔化すからこんな事に…」

「ううん、違うの」

「そういうのもちょっと面白いかなって」

「今日は本当に色々な事があって…うん、面白かったね」

「でも私は途中で寝ちゃってたから」

「りっちゃんの事はどうなったのか分からないんだけど…」

「後で、紬さんと律さんに聞いてみて」

「紬さんは笑いながら、律さんはちょっと照れながら教えてくれると思うよ」

「うん、明日聞いてみるねっ」


298 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:50:18.09 3Ps854mt0 200/206

「でも、どうして憂は私とりっちゃんが家に居るって分かったの?」

「私に分かったのは、お姉ちゃんともう1人誰か居るって事だけだよ」

「律さんが居るって教えてくれたのは紬さん」

「ムギちゃんが?何?ムギちゃんって超能力者なの?」

「違うよ、お姉ちゃん」

「だって2人共…」

「玄関に靴、脱ぎっぱなしだったよ?」

「…」

「そんな簡単なオチだったんですか…」トホホ

「まあまあ、結果的には気が付いて良かったんだと思うよ」

「お茶も淹れたから、そろそろ晩御飯食べよ?」


299 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:51:24.78 3Ps854mt0 201/206

「…」モグモグモグ…

「うん、今日も凄く美味しいよ!」

「そうだね、今日のお弁当は美味しいね…」

「違うよ憂、今日もだよ!」

「私、食べてないから分からないんだけど…」

「あ…ごめんね、私が全部食べちゃったんだよね」エヘヘ

「うん…凄く嬉しかった」

「憂は不味いって言ってけど違うからね?本当に美味しかったからね?」

「分かってる、お姉ちゃんは嘘なんて言ってない…」

「でもね、お姉ちゃんがそう言ってくれるのは嬉しいんだけど」

「お姉ちゃんにはね、私が美味しいって思うものを食べさせてあげたいの」

「今日は何処まで出かけて何時食べるのか分からなかったから」

「時間が経っても大丈夫な様にちょっとだけ工夫してあるんだよ?」

「へえ~、そうなんだ…私には全然分からないな…」

「憂が作ってくれたって思うだけで、全部美味しくなっちゃうから!」


300 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:52:49.80 3Ps854mt0 202/206

「もう、お姉ちゃんたら…そういう事を言われちゃうとね」

「本当はお料理をする気が無くなっちゃうんだよ?」

「え!そうなの!?」

「ど、どうしよう…憂のご飯が食べれなくちゃうのは困るよ~」

「じゃあね、昨日のお弁当は抜きにして」

「私が今までに作ったお料理で、1番不味かったものって何?」

「え~とね…な、無いって言っちゃ駄目?」

「うん、駄目」

「こ、困ったよ…」

「う~ん…」

「あ、確か4月だったかな?」

「星とハート形のクッキーを焼いて貰った事があるよね?」

「見た目は凄く可愛いなって思ったんだけど…」

「味はちょっとだけ…ほんのちょっとだけだよ?」

「憂が何時も焼いてくれるクッキーより美味しくなかったかなって」


301 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:54:07.03 3Ps854mt0 203/206

「ご、ごめんね?折角憂が作ってくれたのにね?」

「でも、今はそれ位しか思い付かないよ…」

「…」

「もう、どうしてお姉ちゃんは私が喜ぶ事しか言ってくれないの…」

「え?何が?」

「ううん、何でも無いよ」

(あれは新歓ライブでお姉ちゃんの演奏を見て感動した…)

(クラスのお友達から貰ったものなんだよね)

(恥ずかしくて直接渡せないって言ってたから)

(私が焼いたって事にして包装し直して渡したっけ…)

(私も1つ食べたけど…凄く美味しかった)

(私の焼いたクッキーなんて比べ物にならない位に…)

(何処か有名なお店のだって言ってたから、仕方無いって思ったんだけど…)

「クッキー…また焼いてあげたいな…」

「ほんとに?やった~!」


302 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:55:13.21 3Ps854mt0 204/206

「後ね、今まではたまにしか作ってあげられなかったけど」

「明日からは毎日、お弁当作ってあげたくなっちゃった」

「駄目かな?」

「…」ギュー

「…」プッ

「何?その面白い顔」

「い、痛ひ…」

「もう、ほっぺが真っ赤だよ?」

「だって、夢なんじゃないかって…」

「夢じゃないよ」

「こんなに嬉しい事が一杯あったのに…夢だったら悲しいよ」

「そうかな?」

「憂…私はね、夢でも良いって思ってるよ」

「え?どうして?」


303 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:57:31.04 3Ps854mt0 205/206

「だって、夢の中でも憂と一緒に居られるなんて嬉しいもん」

「それに夢から覚めたって、私と憂は何時も一緒だよ?」

「そんなの…当たり前じゃない」

「お姉ちゃん…」

「憂、私達…何時までも一緒だからね?」

「うん!」


おしまい


304 : 以下、名... - 2010/11/24(水) 08:58:57.48 3Ps854mt0 206/206

こんなに長いSSを最後まで読んで頂いてありがとうございます
深夜~早朝にも関わらず支援・保守して頂いた方、本当にありがとうございました
規制解除を待っている間にうっかり寝てしまいました…

携帯での猿避け対策も教えて頂いたのですが
携帯からも上手く投稿出来ずに規制されまくりの状態でした
途中からは途切れ途切れの投稿になってしまって本当に申し訳無かったです

憂の作った弁当を忘れて帰ってしまうのはちょっと駄目でしたね
眠気が勝ってしまって上手く修正出来ませんでした
他にもだらだらと長くなり過ぎた所が多かったと思います

今度はもう少し短くまとめるか、投稿の仕方を考えてみたいと思います
それでは


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