男「今なんて?」
幼馴染「まばゆいステージ」
男「あ、うん」
幼馴染「華やかな踊り。美しい歌声」
男「うん」
幼馴染「信者共の熱狂。飛び交うおひねり」
男「うん?」
幼馴染「アイドルになろうと思う」
男「うーん……」
元スレ
幼馴染「アイドルになろうと思う」男「は?」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1606134215/
幼馴染「どう思う?」
男「不純」
幼馴染「おひねり欲しい……」
男「寝ぼけてないで授業聞きなよ」
幼馴染「どうしたらなれる?」
男「さては僕の話も聞いてないだろ」
幼馴染「それでどうしたら」
男「知らないよ。アイドルの養成所かなんかでも行けば?」
幼馴染「それでアイドルになれる?」
男「多分ね」
幼馴染「よし」
先生「どうした急に立って」
幼馴染「アイドル養成所とやらに転校します」
男「は?」
幼馴染「男が行けと言ったので」
男「僕?」
先生「男が言うなら仕方ないな」
男「え? 先生も敵ですか?」
次の日
幼馴染「おはよう」
男「あれ? アイドル養成所は?」
幼馴染「入った」
男「行かないの?」
幼馴染「行く」
男「そっか。行ってらっしゃい」
幼馴染「? 男も行く」
男「なんで。行かないよ」
幼馴染「何としてでも連れていく」
男「いや行かないよ引っ張るなよ」
幼馴染「アイドル養成所をやめた。男がついてこないから」
男「シャツがむちゃくちゃ傷んだんだけど」
幼馴染「かわいそうなわたし。それとあなたのシャツ」
男「被害者面……」
幼馴染「して次の手は?」
男「諦めてよ」
幼馴染「そこをなんとか」
先生「オーディションでも受けたらどうだ?」
幼馴染「それだ」
男「先生、今授業中なんですけど」
幼馴染「落ちた」
男「へえ」
幼馴染「惜しかった」
男「いや分からんでしょ。こっちからは」
幼馴染「分かる。審査員のわたしを見る目がいやらしかった」
男「おいこら」
幼馴染「もう少し、あともう少し性欲をあおってやってれば」
男「危機感を持て」
幼馴染「くうぅ……」
道
幼馴染「どうしてもアイドルになりたい。どうすればいい?」
男「だから知らないって。グーグル先生にでも聞きなよ」
幼馴染「もう聞いた。馬鹿につける薬の検索結果が出た」
男「うわ先生すごく優秀」
幼馴染「真面目に答えて」
男「君がまず真面目にやれ」
幼馴染「断固として断る」
幼馴染「どうすればどうすれば……」
男「ウザ」
幼馴染「うううもうダメだあああ」
男「ついに壊れたか」
「ちょっといいかい?」
幼馴染「へぇうぅー……」
「やっぱりそうだ。キミすごくかわいいね」
幼馴染「ぼぎりむ……」
「ぼぎ……?」
男「そいつ今バグってるんで一切意味理解できてませんよ」
幼馴染「さっきのは一体」
男「……」
幼馴染「よく分からないけどめちゃくちゃ誉めそやされてた気がする」
男「うーん」
幼馴染「なんだったの」
男「スカウトかな」
幼馴染「スカート」
男「スカウト。うん、もらった名刺は本物っぽいな」
幼馴染「?」
男「おめでとう。君はこれで晴れてアイドルというわけだ」
幼馴染「え。いいの?」
男「素で聞かないで。すごく不安になるから」
男「こうして僕の幼馴染の夢は叶った」
男「……本当によかったのかな」
男「的な不安をぬぐいきれないままに」
TV『アイドル界に突如現れた超新星!』
ラジオ『不思議系マイペース乙女!』
ネットニュース『今この変ドルが熱い!』
男「こう来たか」
『初コンサート動員数百万人越え!』
『発狂の会場!』
『飛び交うおひねり!』
男「飛んだの? おひねりが? マジで?」
先生「スマホしまえ。授業中だぞ」
男「うーん……」
「あの新アイドルたまんねー」
「わかるー! かわいいよね!」
「俺もおひねらーになろうかな!」
男「街に出てもあいつの評判ばかり」
男「……おひねらー?」
『人気絶頂!』
『全日本国民がおひねりを投げた!』
『彼女こそ救世の癒し手!』
『世界よ、彼女に頭を垂れよ!』
男「頭を垂れよて」
母「幼馴染ちゃんすごいわねー」
男「もはや人気絶頂ってレベルじゃない」
母「どこまで上りつめるのかしら」
男「神にでもなるんじゃないかな」
母「やあねえ」
男「はあ……なんだかなあ」
幼馴染「おはよう」
男「……なんでいるの」
幼馴染「それは辞めてきたからです」
男「そんな簡単に辞められるの?」
幼馴染「辞めれた。異常なほどに引き留められたけれど」
男「そりゃそうだよ。何で辞めたの」
幼馴染「隣に男がいないから」
男「え」
幼馴染「はじめはついてきてくれなくてもいつかは来てくれると思った」
幼馴染「でもいつまでたっても来てくれなかった」
幼馴染「ステージで歌っていてもいつも客席にあなたを探してた」
男「……」
幼馴染「たまにおひねりに目が行ったけど」
男「……あ、そう」
幼馴染「でももうおひねりにも飽きた。今はあなたと一緒にいたい」
男「っ……」
幼馴染「とはいえおひねりに心残りがないわけでもない」
男「おい」
幼馴染「そんな時名案が浮かんだ」
男「一応、聞こうか」
幼馴染「わたしは神になる」
男「……」
幼馴染「めでたいお正月」
男「……」
幼馴染「華やかな舞い。澄んだ祝詞」
男「……」
幼馴染「信者共の熱狂。飛び交うお賽銭」
男「……」
幼馴染「神になろうと思う」
男「却下」
幼馴染「……」
男「……」
幼馴染「教祖は?」
男「駄目」
終