男「……彼女がさ」
友「いつも否定から入るの? 大変そうだな」
友「いちいちこっちのいうことを否定してくるんだろ?」
男「いや、飛影から入るんだ……」
友「飛影? 飛影って幽白の?」
男「そう、幽白の」
友「どういうことだよ」
男「これから彼女と会うから……お前も来てみれば分かる」
元スレ
友「否定から入る彼女って大変そうだな」男「いや、飛影から入るんだ……」
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女「……」
男「お、いたいた」
友「こんにちは」
男「今日は俺の友達も連れて来たんだ」
女「邪王炎殺黒龍波ァ!!!」
友「あー、飛影から入ってるわ」
男「な?」
友「初めまして」
女「こちらこそ初めまして」ニコッ
友「普通に挨拶した!」
男「否定から入る人も、年がら年中否定してるわけじゃないからな」
友「ところで、額にペンで目玉が描いてありますけど……」
女「ああ、これ……邪眼です」ウフッ
友「邪眼!?」
女「邪眼の力を舐めるなよ……!」
友「あと、腕に包帯を巻いてますけど、ケガでもされたんですか?」
女「ほどいて欲しいですか?」
友「いや、別に……」
女「ほどいて欲しいですか?」
友「は、はい」
女「じゃあ、お言葉に甘えて」シュルルッ
女「もう後戻りはできんぞ。巻き方を忘れちまったからな」
友「……」
友「こりゃ本物だわ」
男「な?」
男「せっかくだし、三人で町で遊ぼうか」
友「ああ、そうしよう」
女「そうね!」
スタスタ…
女「……」スッスッ…
友(俺たちの後ろに回り込んだ……?)
女「残像だ」
友「言うと思った!」
友「この子、予想以上に飛影だな……」
男「だろ?」
女「あっ、あそこにゲームセンターがある! 入ってみない?」
男「いいよ」
友「だけど、飛影ってゲームできなかったような……ゲームマスター戦も出番なかったし」
女「邪王炎殺黒龍波ァ!!!」
友「余計なことを申し上げました!」
女「あ、UFOキャッチャーがある。やってみよっと!」
男「頑張れー」
女「いっけーっ!」ウイーン…
友「お、うまいうまい」
ガシッ ウイーン… ボトッ
男「あー、惜しい」
女「相討ちか、悪くない」
友「いや、負けてますがな」
男「メシでもどうだ? ここらへんはおいしい店多いし」
女「さんせー!」
友「じゃあ、あのレストランに入ろうぜ」
男「……結構、暖房きいてるな。上着脱ごっと」
友「ああ、暑いぐらいだ」
女「“あつい”といったから何だというんだ!? 俺が“あつい”といえば貴様が俺を殺せるとでもいうのか!?」
友「魂奪われちゃうよ」
店員「パスタをお持ちしました」
男「おっ、うまそう」
友「いただきまーす」
男「うん、うまいうまい」モグモグ
友「やっぱ自分で作るのとは違うな」モグモグ
女「勘違いしてる奴が多いがパスタは単なるイタリア料理じゃない。術師の妖力を爆発的に高める栄養剤(エサ)なのよ」モグモグ
男「口元汚れてるから、ほらハンカチ」
……
女「今日は楽しかったわ。またねー!」
タタタッ…
男「……というわけなんだよ。毎度毎度これじゃ、こっちもたまらないよ。人目もあるし」
友「かなりの重症だな」
友「だけど、こんなのすぐ飽きるって! いずれ黒歴史になってやらなくなるさ!」
男「だといいんだけど」
男(友人はああいったけど――)
男「ちっす」
女「邪王炎殺黒龍波ァ!!!」
女「この前借りたハンカチ、返すね」
男「ありがとう……お、ちゃんと洗ってくれたんだな」
女「俺が何もしないでハンカチを返すと思ったのか!? ボケがァ!!!」
男(明らかに悪化してる)
男「たまにはスポーツでもしようか」
男「ボール投げるから、そのバットで打ってくれよ」
女「オッケー!」
男「そぉーら」ヒュッ
女「邪王炎殺剣!!!」ブンッ
男「ストラーイク」
男「いい汗かいたなー」
女「ポカリスエット買ってきたよ!」
男「サンキュー」
女「さぁ楽しくなってきたな! 今度は追いかけっこをしようか!」
女「ポカリを欲しければ俺から取ってみろ! 百年かかってもムリだろうがな!」ダッ
……
男「百秒だったな」
……
男(いきなり呼び出して……なんだろう)
女「ジャーン!」
男「あ」
女「今日は誕生日でしょ? だからケーキやプレゼント用意して待ってたの!」
男「覚えててくれたのか。ありがとう!」
女「プレゼントは……これ!」
女「痴皇風植木鉢!」
男「!?」
女「刺すと、うめき声を上げる仕組みになってるの!」グサッ!
痴皇『うぎゃあああああ!!!』
男(たしかに図工は得意だったけど、どうやって作ったんだか……)
女「ハッピーバースデイ」
……
女「今日は酔っちゃった……」
男「だったら……泊まってけよ」
女「ありがとう……」
女「私……脱いでもすごいんだよ」
男「えっ……!」ドキッ
女「……」ヌギヌギ
男「うひょ……」
男「!?」
女「邪眼の力を舐めるなよ……!」
男「全身に目玉……!(飛影の黒歴史じゃん!)」
女「油性ペンで描いてみたの」
男(刺青じゃなくてよかった……!)
……
男「……ダメだ」
男「飽きるどころか、どんどん飛影になっていくわ」
友「マジかよ……」
友「治りそうもないなら、いっそ別れることも検討した方が――」
男「だけどさ、俺ふと思ったんだ」
友「?」
男「恥ずかしいとか考えず好きなことをやってるあいつが、羨ましくもあるんだよな」
友「は?」
男「だから俺……決めたんだ!」
女「邪王炎殺黒龍波ァ!!!」
男「……」ヒュルッ
女「ん、それは縄跳びのヒモ……」
男「そう、薔薇棘鞭刃(ローズウィップ)!」
男「これからは俺も好きなことをするよ。今日から俺は……蔵馬から入る!」
女「やっと私に追いついてくれたのね……ボケがァ!!!」
女「邪王炎殺煉獄焦!」
男「風華円舞陣!」
女「邪眼の力を舐めるなよ……!」
男「お前には“死”にすら値しない……」
友「……」
友(なにやってんだ、あの二人は……。アホが二人に増えちゃったじゃないか)
友(だけど……楽しそうだ!)ウズウズ
友「おーい、二人とも! 俺も混ぜてもらえないかねェ!」
男「いいよ! なんだったら三人で飲みに行くか!」
友「酒はダメなんでオレンジジュースください」
おわり