1 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:20:12.74 VFBQoC/I0 1/73

こんにちは、平沢唯です!

桜高3年、軽音部所属。
放課後ティータイムというバンドを組んで、楽しくお茶してます!
愉快な仲間たちと、ギターのギー太。わたしの宝物です。
無事大学受験も、晴れて合格!春から女子大生であります!
同じ大学へ進むりっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃん。
そして可愛い我が後輩、あずにゃんの5人で楽しい毎日です。

こんなに楽しくて大好きな部活。
本当はもう引退したんだけど…
受験勉強の時間が必要なくなったので、今もお茶の合間に練習しています。

でも、今日はお休みしなければなりません。

だって今日は、年に1度のスペシャルな日なのです!



2 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:23:07.48 VFBQoC/I0 2/73

「りっちゃーーーーん!」

「そんな慌ててどした~?」

「わたし!今日!部活!お休む!」

「お休むのか。ていうか今朝も聞いたぞ?」

「ああ!大事な時間を無駄にしてしまった!」

「無駄とは何だ…って何か用事でもあんのか?」

「今は!話してる!暇などない!じゃ!」




3 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:25:13.19 VFBQoC/I0 3/73

「あ~行っちゃったよ…」

「おい律?置いてくぞ!」

「今日は唯ちゃん来れないの?」

「何か用事みたいだ。朝も聞いたのにまた聞かされた」

「朝から部活に来れないって決まってたのに…」

「…ギー太背負ってたね?」

「唯にはただのギターじゃないからな」

「彼氏…のつもりかな?」

「唯ちゃんらしいよね~」




5 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:27:25.66 VFBQoC/I0 4/73

「あれ…今日は唯先輩、また追試ですか?」

「おい、一応あれでも先輩だぞ?」

「今日は用事があるんだって」

「唯ちゃん、急いで帰っちゃったの」

「しかし用事ってなんだろうな?」

「あんなに急いでたし、何か大事な用なんだろうな」

(唯ちゃんの分のケーキ、誰か食べてくれるかしら)



「あっ…」




8 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:29:09.71 VFBQoC/I0 5/73

「何か言ったか?」

「梓、どうした?」

「…憂だ」

「憂ちゃんがどうかしたの?」

「憂です。今日、憂の誕生日なんです」



「あ~~~!」



「謎はすべて解けた!」

「だから急いでたんだな」

「憂ちゃんをお祝いするのね!」

「…先輩らしいですね」




10 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:32:49.05 VFBQoC/I0 6/73

今日は可愛い可愛い妹、平沢憂のお誕生日なのです!
もう小さい頃からの付き合いで、多分10年以上!
…今日憂は17歳になるので、確実に17年の付き合いでした。

憂はいつも留守がちな両親に代わって、わたしの身の回りの世話をしてくれます。
周りからは「憂ちゃんがお姉ちゃんみたいだね」って言われます。

それを一切否定は出来ません。
しかし、わたしは憂の姉なのです!
今日くらいは、ちゃんとした「憂のお姉ちゃん」に挑戦したいのです!


14 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:36:17.11 VFBQoC/I0 7/73

「お昼、和に色々と聞いてたよな」

「ああ、そういえば」

「料理の話だったよね~?」

「唯先輩の手料理…」

「ちょっと…」

「…心配ね?」

「ああ…作れるのかな」


16 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:38:27.50 VFBQoC/I0 8/73

「ねえねえ和ちゃん」

「どうしたの?」

「スペシャルな料理の作り方を教えていただきたい!」

「スペシャル?」

「いえーす!」

「何をもってスペシャルと言うの?」

「おいしくて手が込んだもの!そして洋風!」

「…ボルシチかしら?」


17 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:40:04.66 VFBQoC/I0 9/73

「ぼるひち…?」

「ボルシチ。『ひ』じゃなくて『し』よ」

「おいしい?」

「食べたことないわ」

「ダメだよそんなの!」


19 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:41:40.11 VFBQoC/I0 10/73

「もしかして唯が作るの?」

「そだよ~」

「カレーにしなさい」

「全然スペシャルじゃない…」

「でも唯が作るんでしょ?」

「潜水艦部隊が曜日感覚なくさないために毎週決まって食べる料理だよ…」

「あなたには、本来カレーだってハードルが高いくらいなのよ」

「ひ~ど~い~」


20 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:43:56.71 VFBQoC/I0 11/73

「いい?唯、よく聞きなさい」

「何でございましょう…」

「カレーは比較的簡単に作れる。
  そしてアレンジが多数、失敗したとしても立て直しやすい。」

「ほうほう」

「スペシャルな料理ではなく、カレーをスペシャルに仕立てればいいと思うわ」

「なんと…!」

「レシピを書いてあげるわ。
  隠し味になるものもいくつか書いておくから、自分で選びなさい」


21 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:46:06.19 VFBQoC/I0 12/73

「せんせい!」

「そして・・・」

「何でしょう!」

「素敵な誕生日にしてあげなさい」

「憂の誕生日、覚えててくれたの!?」

「当たり前じゃない、じゃあわたし生徒会行くわね」


23 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:48:17.55 VFBQoC/I0 13/73

~和のカレーレシピ 12皿分~

・用意するもの
カレールー 1箱
肉(お好み) 500g
玉ねぎ 3~4個
じゃがいも 4個
にんじん 1本
固形コンソメ 3つ
バター 大さじ3
水 1400cc(野菜ジュース2缶と水1Lにすると深みが出る)

・隠し味
トマト缶(1缶)、インスタントコーヒー(大さじ1)、チョコレート(板チョコ半分)、蜂蜜(大さじ1)
セロリ(スライス1本) 、砂糖(大さじ1)、醤油(大さじ1)、りんご(すりおろし1/2個)...などお好みで。


(蜂蜜に醤油…和ちゃんは難しい字もどんとこいだね…!)


25 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:49:43.18 VFBQoC/I0 14/73

・作り方
1.材料を切る(玉ねぎ1個は一口サイズ、他はスライス。その他具材は一口サイズ)
2.スライスした玉ねぎをバター大さじ1杯であめ色になるまで炒める
3.炒めたスライス玉ねぎを取り出し、他具材をバターで炒める
4.具材が炒めたら鍋に水をはり、固形コンソメを入れ中火で30分ほど煮込む
5.火を止めルーを入れる
6.ルーがとけたら、弱火で30分ほど煮込む
7.盛り付ければ完成

(あめ色ってお手本にするあめによって違うと思うんだ~…)


26 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:51:22.08 VFBQoC/I0 15/73

わたしはスーパーに走りました。
今日はギー太と買出しデートです。
学校でギー太を弾かない日が増えました。
でも、わたしたちはいつも一緒です。
…今日は部室にも顔出さないのに、ちょっと重いです。
しかし、これも幸せの重みなのです。


そんなことを思いながらスーパーにつきました。


27 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:53:36.28 VFBQoC/I0 16/73

(ん~『用意するもの』は全部見つけられたけど…)

(隠し味は何がいいのかなぁ)

(チョコは何かと食べるし、買ってもいいよね)

(全部入れれば、それこそスペシャルだよね)

(サラダの材料も買って)

(カゴ重くなってきちゃった…)


28 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:55:38.84 VFBQoC/I0 17/73

店員「3980円になります」

「すみません、チョコ1つだけにします」

店員「…3245円になります」

「玉ねぎ1個やめます」

店員「3195円になります」

「3000円しかないんです」


29 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:57:16.98 VFBQoC/I0 18/73

店員「どれですか、次何やめるんですか」

「どれがカレーに必要ないと思いますか?」

店員「…アイスじゃないですかね」

「うぅ…やめます」

店員「…2895円です」


32 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 00:59:14.07 VFBQoC/I0 19/73

105円残してお買い物出来ました!
この105円でチョコが1つ買えました。
…2つにすればよかった。

家のドアを開けると、薄暗かったです。
いつもは憂が先に帰って、電気がついてるから少し不思議な感じがします。

さあ、早速準備です!
…と思ったら重大なミスに気がつきました。


33 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:01:54.91 VFBQoC/I0 20/73

「唯ちゃんからメールだ~♪」

「わたしには来ないぞ!」

「わたしにも来ない…」

「同じく来てません」

From 唯ちゃん
「ムギちゃん、わたしのケーキは余っておりませんでしょうか…?」


34 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:04:28.51 VFBQoC/I0 21/73

「唯ちゃん、肝心なケーキ忘れてたみたい…」

「あいつ大丈夫か?」

「ケーキのない誕生日…」

「物悲しいです」

「ケーキ…届けてあげようか?」

「唯のことだ、料理の材料で予算オーバーなんだろう」

「絶対そうだと思う…」

「…すごく心配になってきました」


35 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:07:35.26 VFBQoC/I0 22/73

「もしもし、紬です。斎藤、バースデーケーキを用意してくれる?」

「大丈夫だって!」

「それ、わたしもお金出すよ」

「そうだな、軽音部から憂ちゃんへのプレゼントだ!」

「4人で割ればお小遣いの範囲ですよね」

「そう?じゃあ…1人2000円くらいね♪」


(レベルが違った…)


36 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:09:17.14 VFBQoC/I0 23/73

「あ!いつでもいいよ??別にわたしが出」

「ムギ!いつもわりぃな!」

「律!ちゃんと1人2000円ずつだ!」

「軽音部からの『プレゼント』ですから!」

「はは…そうだよな…」


37 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:11:18.93 VFBQoC/I0 24/73

平沢唯、大ピンチです。
ケーキを忘れてしまいました。ムギちゃんに最後の願いを託しました…。

するとムギちゃんからはすぐ返事がありました!

From ムギちゃん
「7時頃、みんなで届けるね♪」

ムギちゃんは天使です!
今日わたしに食べてもらえなかったケーキが、憂のお口に入ります。
きっとケーキも喜ぶことでしょう。

ささ!ここに来てやっとカレーの準備です。


39 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:13:27.91 VFBQoC/I0 25/73

17歳になった平沢憂です。
学校で、梓ちゃんと純ちゃんがお祝いしてくれました。
いつもより重いカバンが嬉しいです。

でも…いつもなら、誕生日の朝はお姉ちゃんが「ういーおめでとー」と抱きついてきます。
だけど…今日は違いました。


40 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:15:13.24 VFBQoC/I0 26/73

「ういー、そこに座りなさい」

「なーに?お姉ちゃん」

「今日はいっぱい寄り道して、遅めに帰りなさい」

「…夕飯の用意できないよ?」

「いいのです」


41 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:17:14.49 VFBQoC/I0 27/73

「お姉ちゃん、食べてくるの?」

「そんなところであります」

「じゃあわたしも…」

「めっ!いけません!」

「?」

「とにかく今日は寄り道して、お腹すかせて帰るのです!」

「…はーい」


43 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:19:25.65 VFBQoC/I0 28/73

お姉ちゃんはわたしの誕生日を祝おうとしているようです。
バレてるのに、あくまでサプライズのようです。

嬉しいけど…心配です。

でもお姉ちゃんの手料理…楽しみだなあ。


44 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:21:29.45 VFBQoC/I0 29/73

最近、お姉ちゃんとの会話が減りました。
それは…お姉ちゃんの一人暮らしが決まった頃からでした。
高校を卒業する。大学に入る。また一つ大人に近づくわけです。
きっとお姉ちゃんは、わたしが居なくても生活できる準備を始めたのです。

わたしが生まれてから、ずっとわたしたち二人は一緒でした。
それが当たり前でした。
特に大きな喧嘩もなく、お姉ちゃんがわたしに甘え、それに応える。
そんな毎日を送ってきました。


45 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:23:11.03 VFBQoC/I0 30/73

それが、あの日から少しずつ距離を取るようになりました。
急に離れるんじゃなく、ゆっくりと別れに備えてるんでしょうか…。

とりあえず今日は、商店街をわけもなくブラブラして帰ります。

どんな服屋さんやアクセサリー屋さんを見ても、
「お姉ちゃんに似合いそうだな~」なんて考えてしまいます。


46 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:25:59.09 VFBQoC/I0 31/73

和ちゃんのレシピを見ながらお料理です。

♪おにく~ お~やさい ひみつの~かくしあじ~
 そだち~ ざ~かりの よくばり~こいごころ~

歌いながら楽しく作っていますが、玉ねぎには泣かされました。
今まで普通に食べていたものですが、こんなに大変なんだなあって思いました。

…玉ねぎが嫌いになりそうです。

憂は毎日笑ってご飯を作ってくれますが、本当は苦労してるのかな?
当たり前に思っていたので、気付きませんでした。
そんなことを考えると、また涙が出そうになりました。

…玉ねぎのせいにしておきます。


48 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:28:26.35 VFBQoC/I0 32/73

「はー、今日はそろそろ帰ろうか」

「唯もいないし、切り上げてもいいよな」

「そうですね」

「もうすぐケーキも届くと思うし、片付けちゃおうか」

「しっかし高級ケーキ、楽しみだな!」

「律、お前が食べるんじゃないんだぞ?」

「えー?一口ぐらいいいだろー?」

「でも、今日は姉妹水入らずじゃないかなー?」

「確かに…」

「まあさ、一緒に祝えそうならわたしたちも参加させてもらおう」


「…最近の憂、元気ないんです」


51 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:33:47.33 VFBQoC/I0 33/73

-部室-

「何だか空元気って言うか、いつも通りなんですけど…」

「けど?」

「寂しそうな顔する時があって…」

「どうしたのかなー?」

「…唯の一人暮らしが原因とか?」

「離れ離れになるんだよな、平沢姉妹」

「だから…」

「…今日もいい思い出になるといいね♪」

「…はい!」


52 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:35:42.25 VFBQoC/I0 34/73

-平沢宅-

でっきたー!
いつもうちのカレーは甘口ですが、中辛にしました。
憂も1つ大人になったわけだし、今日は中辛 大人味なのです!
少し味見をしてみます。

(あれ…甘くておいしい)

チョコ、蜂蜜、砂糖、りんご。…甘くなるはずです。
でも、とってもおいしいです!

時刻は6時前。そろそろ憂が帰ってくるかなー?
サラダの用意をしながら、憂にメールを送りました。


54 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:37:25.17 VFBQoC/I0 35/73

-商店街-

とっても可愛いストラップを見つけたので、二つ買いました。
お店を出てすぐ袋から出し、携帯につけました。
もう一つは、お姉ちゃんへのプレゼントです。

(お姉ちゃん、付けてくれるかな~?)

なんてストラップに見とれていると、お姉ちゃんからメールです!
テレパシーでしょうか?

From お姉ちゃん
「ういー。そろそろ帰っておいで~。待ってるよ~!」


55 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:39:12.80 VFBQoC/I0 36/73

-平沢宅-

From 憂
「うん、もうすぐ帰るね!」

憂が帰ってくる!
そう思うと急に焦ってしまいます。
でも大丈夫、カレーもサラダも完璧です。
ムギちゃんのケーキが届くのは、憂が帰った後でしょうか?

憂は喜んでくれるかな。
ここまで一人でしたことは初めてだし、憂が作るものには敵わないです。
でも、わたしの気持ち届くといいなあ。


57 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:41:23.06 VFBQoC/I0 37/73

-桜高前-

「ありがとう~♪」

「お嬢様、このまま乗っていかれますか?」

「いいえ、近いので歩いていくわ♪」

「では、お気をつけて」


「すっげー車…」

「リムジンってやつだな…」

「はじめて見ました…」

「さあ、行きましょう♪」


58 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:43:22.02 VFBQoC/I0 38/73

-平沢宅-

そろそろ7時、ムギちゃんたちが来る頃です。
憂ももうすぐだって言うし、いい感じかな?
すると玄関から憂の声が聞こえました!

「ただいま~!」

玄関に走りました。
とびきりの笑顔で抱きつきました。
本当は今朝も、抱きついておめでとうと言いたかったです。


59 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:45:14.73 VFBQoC/I0 39/73

-玄関-

「うーいー!おかえりー!」

「ただいま。どうしたの?」

「待ってたよー!」

「えへへ。…カレーの匂いがする」

「わたしが作りました!一緒に食べよう!」


60 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:47:27.27 VFBQoC/I0 40/73

「何でドア開けっ放しで抱き合ってんだ?」

「お、お邪魔しました…」

(素晴しい)

(妬ましい)


62 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:49:09.63 VFBQoC/I0 41/73

「わー!みんないらっしゃい!」

「み、皆さんおそろいで」

「あ、ムギ。ケーキ」

「?おーい、帰ってこーい」

「あ、これ、例のものです!」

「やった~、ってすごく大きいよこれ!」

「ムギ先輩のスペシャルケーキですからね」

「うふふ♪」


63 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:51:21.48 VFBQoC/I0 42/73

「あ、皆さんどうぞ、上がってください」

「今日はわたしが作ったカレーが、何と12皿分あるからね!!」

律澪紬梓
(ちょっと恐い…!)


「あら、みんなおそろいなのね」


65 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:53:22.91 VFBQoC/I0 43/73

「わあ、和ちゃん!」

「いらっしゃい!」

「こんばんは、唯、ちゃんと出来た?」

「インド人もびっくりだよ!」

「そう、よかったわ」

「和ちゃんもどうぞ!」

「ありがとう、お邪魔するわね」


67 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:54:33.25 VFBQoC/I0 44/73

「…和、今日憂ちゃんの誕生日らしいんだ」

「ええ、もちろん知ってるわ」

「さすが平沢姉妹の心の友」

「素敵ね~」

「今年のプレゼントは結構悩んだわね」

「何にしたんですか?」

「ふふふ、内緒よ」


69 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:57:51.00 VFBQoC/I0 45/73

「さあ皆さん、座ってください」

「憂もだよ~、座ってて」

「でもお姉ちゃん…」

「大丈夫!今日のわたしはひと味違うからね!ふふ~」

「唯ちゃん、張り切ってるね♪」

「そりゃあ可愛い憂ちゃんのためだからな」

「唯なりに一生懸命なのよ」

「えへへ…」

「今日は何だか頼もしい気がします」


「あーーーー!」


70 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 01:59:06.68 VFBQoC/I0 46/73

「言ったそばから…」

「お姉ちゃん!?」

「前言撤回です」

「まあ、そうすんなりとは行かないよな…」

「…どうしたのかしら」

「唯ちゃ~ん、大丈夫?」


「お米炊くの忘れてた…」


73 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:02:30.89 VFBQoC/I0 47/73

「うい~、ごめんね…」

「ううん、いいんだよ、ありがとう♪」

「わが妹よ~…」

「ね、一緒に準備しよ?」

結局、ルーだけのカレーとサラダになってしまいました…。
憂のお姉ちゃん失格です…。


74 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:04:06.88 VFBQoC/I0 48/73

「で、でも見た目は思ったより全然マシだ!」

「リッチャンヒドイヨ」

「おいバカ律」

「と、とってもおいしそうです!」

「こんなカレー初めてだわ~♪」

「わたしもお姉ちゃんのカレー初めて!」

「おいしいよ!何せ和ちゃんレシピだからね」

「ふふ、お役に立ててよかった」

「じゃあ皆さんご一緒に!」


「いただきます!」


75 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:06:24.15 VFBQoC/I0 49/73

「どう?うい、おいしい?」

「すっっっごく、おいしいよ!」

「本当だ…」

「うん、おいしい…」

「とっても甘口なんですね」

「家庭の味って感じね!」

(あのレシピでこんなに甘くなるの…?)


77 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:07:57.25 VFBQoC/I0 50/73

お米もなかったからか、12皿分のカレーはすぐお鍋から消えました。
そしてムギちゃんのケーキは、とってもおいしくて大きくて綺麗でした。
食べるのがもったいないくらい。
みんなして、携帯で写真を撮るほどでした!

聞いた話だと、軽音部からのプレゼントだそうです。
みんな、わたしの妹のためにありがとう。


78 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:09:23.74 VFBQoC/I0 51/73

「唯、寝ちゃったな」

「じゃあわたしは後片付けを手伝って帰るから」

「そんな、悪いよ」

「わたしたちも手伝うわ」

「いいのよ、わたしの家はすぐ近くだし、早く帰らなきゃ家の人心配するわよ?」

「そうか…悪いな」

「それにわたし、まだ憂にプレゼント渡してないからね」

「何だかすみません」

「いえいえ、気をつけて帰ってね」


79 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:11:55.35 VFBQoC/I0 52/73

お姉ちゃんのカレーはとってもおいしかったです!
一口食べて、甘くておいしいのに…何だか涙が出そうでした。

軽音部の皆さんからのプレゼントは、とってもすごいケーキでした。
こんなにおいしいケーキを毎日食べられるお姉ちゃんがうらやましいです。

今年の誕生日は、人生で一番嬉しいものになりました。

お姉ちゃんは疲れたのか、ケーキを食べた後こたつで寝てしまいました。
和ちゃんがお片付けを手伝ってくれました。


81 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:13:18.26 VFBQoC/I0 53/73

「お客さんなのにごめんね、ありがとう和ちゃん」

「気にしないで。そんなことよりおめでとう、憂」

「えへへ…ありがとう」

「ささやかだけど、これわたしからのプレゼントよ」

「わあ!ありがとう、あけてもいい?」

「喜んでもらえるかしら?」

「可愛いマグカップ…が二つ?」

「憂が一番喜ぶものを考えたら、唯とのつながりを感じられるものだって思ったのよ。お揃いで使ってもらえると嬉しいわ」

「…大切にするね」


82 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:15:16.45 VFBQoC/I0 54/73

気付いたらこたつで寝てしまっていました…。
起きたらみんな帰った後でした。

可愛い妹の誕生日に、何やってるんでしょう。
わたしの挑戦は完璧に失敗です。

…憂に、一人でも大丈夫だよって見せたかったんだけどなあ。


83 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:17:22.46 VFBQoC/I0 55/73

「お姉ちゃ~ん、起きた?」

「みんな帰っちゃったんだね~…誕生日に片づけまでさせて、ごめんね」

「ううん、いいんだよ。和ちゃんも手伝ってくれたし…それに」

「それに?」

「とっても嬉しかったよ!」

「なら…よかった!」

「えへへ…そうだ、お風呂沸いてるから入ってきたら?」

「じゃあお言葉に甘えて…」


84 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:19:48.23 VFBQoC/I0 56/73

お風呂に入るお姉ちゃん。
浴室のドアの向こうで、何だか歌ってるようです。
わたしは着替えやタオルを用意して、その上に今日買ったストラップを置いておきました。

お姉ちゃんに、わたしの「ありがとう」が伝わりますように。


85 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:21:33.89 VFBQoC/I0 57/73

お風呂から上がると、いつも通り着替えとタオルが用意されていました。
いつもと違うのは、その上にストラップが置いてあったことです。
憂からのプレゼントかな?…今日は憂の誕生日なのに、変だね。

もらってばかりで、何もあげられてないよ。

わたしから、憂にあげれるものって何だろう。
わたしにしか、あげられないもの。


…そうだ。


86 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:23:42.93 VFBQoC/I0 58/73

「うい~、起きてる?開けるよ~」

「お姉ちゃん、どうぞ~」

「子どもは早く寝なきゃだめだよ~」

「ふふ、お姉ちゃんだって」

「わたしはいいんだよ、もうすぐ大学生だからね~」

「お姉ちゃんは大人なんだね」

「そうだよ、だから今日は『憂のお姉ちゃん』だってとこ、見せたかったんだけどね~…」

「ちゃんと伝わったよ?」

「わたしが一人暮らししても、心配しない?」

「それは…ちょっと寂しいけど」


87 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:26:01.95 VFBQoC/I0 59/73

「だいじょうぶ!わたしたちはいつまでも、姉妹です!」

「そうだね…うん、心配しないよ」


「あ!忘れるとこだった、ちょっと待ってて!」


「今からギター弾くの?」

「うん、ちょっとくらいなら音出しても平気だよ!」


89 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:27:38.15 VFBQoC/I0 60/73

お姉ちゃんは、学祭で歌っていた曲を歌ってくれました。
夜だから小さな声で、でもはっきりと。

風邪を引いたわたしの看病をしてくれた日、机に伏せて寝ていたお姉ちゃん。
その机にはおかゆと、この曲の歌詞が置いてありました。

あの時に出来た歌詞なんだと思います。


91 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:29:16.73 VFBQoC/I0 61/73

『キミがそばにいることを当たり前に思ってた』

憂が生まれてからずっと、わたしたちは一緒でした。
何の不思議もありません。だって家族だから。
でも、もうすぐ少しだけ離れなくちゃいけません。

当たり前って思っていたことが、こんなに大切なものだったなんて。


93 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:31:12.21 VFBQoC/I0 62/73

『こんな日々がずっとずっと続くんだと思ってたよ』

わたしが甘えて、憂がそれに応えてくれる。
心のどこかで、ずっと続くものだと思っていました。

感謝の気持ちを表すことなんて、したことがなかったです。


94 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:33:08.94 VFBQoC/I0 63/73

『ゴメン今は気づいたよ 当たり前じゃないことに』

大学に入ると同時に、わたしは一人暮らしを始めます。
今までは憂がしてくれていたことを、これからは自分でしなければなりません。
意識して初めて、憂の大変さがわかりました。

そんなことに、今更気付いた自分が少し恥ずかしいです。


95 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:36:01.14 VFBQoC/I0 64/73

『まずはキミに伝えなくちゃ 「ありがとう」を』

どうすれば伝わるか、考えてみました。
ただ「ありがとう」と言うだけじゃ、何度言っても足りません。

だから今日は、憂を精一杯お祝いして、
わたしは一人でも大丈夫だよって、心配掛けないように頑張ろうと思ったんです。


96 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:37:57.38 VFBQoC/I0 65/73

『キミの胸に届くかな?今は自信ないけれど』

でも、やっぱり全部はうまく出来ませんでした。
ケーキだって、お米だって、用意していませんでした。

手伝いや後片付けまでさせてしまって…本当、憂にしてもらってばかりです。


97 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:40:27.48 VFBQoC/I0 66/73

『笑わないでどうか聴いて 思いを歌に込めたから』

そんなわたしを、憂は笑うかもしれません。
…いや、今日も笑って許してくれました。

憂の笑顔が大好きだよ。
でもね、この曲に憂への思いを込めて歌うから、
今度はどうか、笑わないで聴いて欲しいなあ。


98 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:42:10.74 VFBQoC/I0 67/73

『ありったけの「ありがとう」 歌に乗せて届けたい』

憂、ありがとう。
毎日わたしのお世話をしてくれて。
笑顔で居てくれて。
そばに居てくれて。

わたしの妹に生まれてきてくれて…ありがとう。


99 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:44:42.01 VFBQoC/I0 68/73

『この気持ちはずっとずっと忘れないよ』

もうすぐ離れてしまうけど、ずっとわたしたちは一緒だよ。
いつまででも、わたしはずっと憂のお姉ちゃんで、憂はずっとわたしの妹だよ。

ずっとずっと、「ありがとう」を忘れないよ。


100 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:46:26.87 VFBQoC/I0 69/73

「お姉ちゃん…ありがとう」

憂は涙を目にいっぱい溜めて、言ってくれました。
本当はわたしが伝えなきゃいけない言葉なのに。

瞬きをすると、憂の涙はキラキラとほっぺを伝いました。

「笑わないで」って言ったから、憂は泣いちゃったのかな。


102 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:48:07.97 VFBQoC/I0 70/73

「この曲はね、U&Iって曲なんだ」

「わたしと、お姉ちゃん?」

「そだよ~。それにね、『わい・おー・ゆー』の『YOU』じゃないんだよ」

「どういうこと?」

「『わい・おー』はなしで、『ゆー』だけ」

「『ゆー』と、『あい』?」

「そう、『うい』の『ゆー』と『あい』だよ。わたしたちの曲を、ういの名前にしてみました! もし一人暮らしで寂しくなったら歌うんだ~」

「わたしも寂しくなったら、電話するから歌ってくれる?」

「ふふふ~、当たり前だよ」


103 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:50:41.81 VFBQoC/I0 71/73

憂の誕生日から1ヶ月も経たないうちに、わたしは新生活を始めました。

憂には引越しの手伝いを頼みませんでした。
憂も、手伝おうとはしませんでした。

大変な毎日です。
憂なら楽々こなせるのかな、と思います。
そのたびに、また憂への「ありがとう」がたくさん浮かんできます。


104 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:52:18.84 VFBQoC/I0 72/73

この部屋にあるものは、必要最低限の生活用品。
みんなとの写真をたくさん貼ったコルクボード、ギー太とミニアンプ。
和ちゃんからもらった、お揃いのマグカップ。

まだ肌寒い部屋を、このマグカップが暖めくれます。
マグカップに触れるたび、憂の温かさを思い出して胸がキュンとなります。

憂が電話を掛けてくれる日は、必ずU&Iを歌います。
憂がくれたお揃いのストラップを揺らしながら、わたしは思いを歌います。


『思いよ 届け』


105 : 以下、名... - 2010/11/01(月) 02:54:44.91 VFBQoC/I0 73/73

終わり!
たくさんの支援ありがとうございました。
以前ムギちゃんと澪で書いたSSの唯編になります。

U&Iの下りは細かく分けすぎてだれてしまいすみません。



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