狐「まだまだ修業が足りませんわ」
狐「変化しても耳が隠せませんもの」
狐「はぁ……、男さん私はどうしたらいいのでしょうか?」
男「ど、どうでもいいから裸はやめろ……」
元スレ
狐「人間の女に変化します」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1254741010/
男「気づいてないかもしれないが……」
狐「?」
男「尻尾も出てるぞ」ぎゅっ
狐「ひゅぅ!」
男「な、なんだいきなり……」
狐「尻尾は痛いです……」
狐「そんな、尻尾も出ていたなんて……」
男「落ち込むんだな」
狐「そりゅ落ち込みます」
狐「もうこんなんじゃ生きていけません」すっ
男「こら、包丁持ち出すな!」
男「こんなところで死なれたら面倒だろうが」
男「コスプレさせて殺した変態ってことになるだろうが」
狐「……」
男「いや、死んだら寂しいし」
狐「うぅ……ぐすっ」
男「泣くなよ、冗談だって」
狐「男さんはそんな薄情な人だったんですね」
男「言い過ぎたって」
狐「わかりました」
男「何が」
狐「男さんが私を絶対に必要だって言ってくれるよう頑張ります」
男「あぁ、そう」
狐「でもどうすればいいんですか?」
男「本人に聞くなよ」
男「とりあえず服をきたらどうだ」
狐「わかりました」
狐「……」
狐「着るものがありません……」
男「ちっ……仕方ない」
男「俺のシャツ貸してやるから」
狐「ありがとうございます」
男「ち、近づくな……」
狐「ひ、ひどい」
男「シャツ着てからにしろ」
狐「なんでそんなにただの布にこだわるんです?」
男「いいからきろよ、全く」
狐「うーん、わかりません」
男「向こう向いてるからはやくしろよ」
狐「別に向かなくても」
男「俺が気にするんだ」
狐「?」
狐「よいしょ……っと」
狐「あれ……胸がつっかえます」
狐「う、うーん」ごそごそ
男「ふん……」
狐「うーん……男さん助けてください」
男「できるか!」
狐「……」しゅん
狐「なんとか着れました」
男「一人で着れるじゃないか」
狐「ちょっとぴちびちで息苦しいです」
狐「男さんは着ていて苦しくないですか?」
男「お前はその……あるから」
狐「?」
男「もう聞くな!」
狐「す、すいません」
狐「服を着ましたよ」
男「それで?」
狐「うれしいですよね?」
男「普通だろ」
狐「それじゃ意味がないですよ」
男「そんなこと言われてもな……」
狐「何をしてもらったらうれしいです?」
男「知らん」
狐「冷たいです」
男「はぁ……」
狐「始め頃は優しかったのに」
男「普通の狐だったからな」
狐「恩返ししなければ……」
男「そういうのいいからね」
狐「もしかして後悔とかしてます?」
男「ん?」
狐「迷惑ですか?」
狐「いなくなったほうがいいですか?」
狐「私は男さんに恩返しも出来ませんし、幸せにすることも出来ないみたいです」
狐「こんなんじゃ意味がありません」
男「……」
男「そんなことはない」
男「……と思う」
狐「なんですか、それ」
男「狐が来てから日常は多少楽しくなったと思う」
男「人間以外とはなす機会なんて滅多にないしな」
狐「そう……ですか」
男「まぁ、気にするな」
男「恥ずかしいこと言ってしまった」
狐「覚えておきます」
男「おい、忘れろ」
狐「慰められちゃいましたね」
狐「やっぱり男さん優しいです」
男「調子に乗るな」
狐「調子に乗らせてくださいよ」
男「全く……」
狐「優しいと思いましたが意地悪ですね」
男「尻尾引っ張るぞ」
狐「な、なんて外道な……」
男「あ、雨降り出した」
狐「あらあら」
男「外は晴れてるのにな」
男「狐の嫁入りか」
狐「そんな、いきなりは……」
男「……」
狐「ちょっとふざけただけじゃないですか」
男「……」
狐「目が怖いです」
男「もうすててこようかな」
狐「そんなご無体な」
男「ふざけたことをいうからだ」にぎっ
狐「ひゅわ!」
狐「し、尻尾は反則です」
男「狐に有効だな」
狐「イジメだめ、絶対」
男「妙なことは知ってるんだな……」
狐「勉強してますから」
男「くだらん」
狐「なんてこと言うんですか」
男「変化の練習でもすればいいのに」
狐「うーん、でもなかなか成功しません」
男「だいたい変化とかどんなふうにするんだよ」
狐「そうですね、イメージに自分を溶かして流し込む感じです」
男「……」
男「わかるができん」
狐「男さんは人間です」
男「なんかばかにしてないか」
狐「してませんよ」
狐「耳と尻尾も消せたらいいんですが」
男「そんなの消したら狐だってわからなくなるじゃないか」
狐「それが目的なんですけど」
男「あぁ……そうか」
男「俺としては楽しいんだが」
狐「あ、ちょっと……耳に触らないでください」
男「……」ふにふに
狐「こそばゆいですって……」
男「もふもふな毛が気持ち良くてな」
狐「ほどほどにしてくださいよ」
男「善処する」
狐「毛が乱れるじゃないですか」
狐「自慢の毛並みです」
男「うん、枕にしたい」
狐「!」
男「製品化はしないよ」
狐「男さん専用なら別に……」
男「昼寝にいいかもな」
狐「男さんが喜ぶのなら」
男「喜ぶ喜ぶ」
狐「じゃあ、ね、寝ますか?」
狐「男さんが喜ぶことしたいです」
男「いいのか?」
狐「いいです」
男「じゃ、遠慮なく……」
狐「はい……」ふさっ
男「おお、思った通りふかふか」
男「さすが狐だな」
狐「褒めても何も出ませんよ、もうっ」
男「あぁ……気持ちいい」
狐「あ、頭動かさないで」
男「……」ぐりぐりふかふか
狐「あぁ、ちょっと……」
男「やるなと言われるとしたくなる」
狐「やめてくれないと怒ります」
男「悪い悪い」
狐「いい感じですか?」
男「極楽」
狐「やっとお役に立てましたよ」
男「あぁ……眠くなってくる」
狐「寝ちゃだめですよ」
男「なんで?」
狐「話し相手がいなくなります」
男「よっと」
狐「もういいんですか?」
男「ありがとな」
狐「いえいえ」
狐「私の身体で良ければいつでもつかってください」
男「その言い方は語弊があるな……」
狐「?」
男「いや、なんでもない」
狐「お腹すきました」
男「……」
狐「お腹すきました」
男「だから」
狐「なにかないですか」
男「お前は俺に恩返しするんだよなぁ?」
狐「く、空腹は我慢できません……」
男「全く、仕方ないな」
男「ケーキあるから」
狐「それはおいしいんですか?」
男「狐の味覚はしらんがうまいと思うぞ」
男「モンブランだ」
狐「モンブラン?」
男「栗の味だ」
狐「栗ですか」
男「なんだ、栗すきなのか?」
狐「はい!」
狐「あ、甘くておいしいです」
男「そうか」
狐「幸せです」
男「そうか」
狐「男さんは幸せですか?」
男「なんだいきなり」
狐「恩返しの話です」
狐「男さんが幸せなら私はなんでもいいです」
男「だめだろ」
狐「え、えっ?」
狐「なにか間違ってましたか?」
男「重大な間違いだ」
男「お前も楽しまないと俺もつまらない」
男「幸せにお前も含まれる」
狐「そうですか……」
男「うん、枕係も必要だしな」
狐「目的はそれですか!」
男「いやいや、お前も必要だ」
狐「!」
狐「うっ……ぐすっ」
男「いきなり泣いてどうした?」
狐「いえ……やっと言ってくれました」
男「?」
狐「やっと男さんに必要とされました」
男「枕として?」
狐「……」
男「すまん」
狐「最初の目標が達成されました」
男「泣くほどのことか?」
狐「これは大きな進歩です」
男「なにか恥ずかしくなってきた」
狐「感無量です」
男「尻尾をばさばさするなほこりがたつ」
狐「す、すいません」
男「悪い尻尾だ」ぎゅっ
狐「ひゃん!」
狐「やめてっ!」
男「おりゃおりゃ」ぐりぐり
狐「くーんっ……」
狐「あっ」どろん
男「!」
男「変化が」
狐「コーン!」
男「あっ!」
男「逃げてしまった」
男「……」
男「まぁしばらくしたら戻るだろ」
男「うん」
男「……」
男「暇だ」
男「かえって来ないな」
男「まさか……」
男「まだ恩返し終わってないだろ……」
男「戻ってこいよ……」
男「またケーキ用意しないとな……」
男「……」
男「くそっ……」
男「いやいや、俺のせいか」
男「……」
男「帰って来ないか」
男「狐……」
狐「はい」
男「!」
狐「男さんはもう私がいないとだめみたいですね」
男「いや、それは……」
狐「隠さなくていいのです」
男「いやっ、別に」
狐「照れてる男さんもかわいいです」
男「くぅ……」
狐「成功かもしれません」
男「なにがだ?」
狐「変化ですよ」
男「尻尾と耳はまだついてるぞ」
狐「そうですけど……」
狐「男さんの心が変化しましたよ」
男「なんだそりゃ」
狐「男さんは私を必要としてくれるようににりました」
男「狐にたぶらかされたか」
狐「素直じゃないとこは変わりませんね」
狐「それに……」
男「ん?」
狐「男さんが必要としてくれますから……」
狐「その限りは恩返しも続ける意味があるということです」
狐「だから一緒にいます」
男「それはいい」
男「枕がないと安眠できないからな」
狐「もう!」
男「お前無しでは生きていけないな」
狐「……」
男「……」
狐「はい!」
終

