患者「五秒って……どういう意味です?」
医者「ナース君、君は下がってなさい」
ナース「はい」スッ
医者「なぜなら私が殺すからだァ! ――シェアアッ!!!」シュッ
患者「メス!?」
医者「かわしてんじゃねェ!」シュバッ
患者「おわっと!」ババッ
元スレ
医者「あなたの余命は……残り五秒です」患者「えっ!?」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1602234944/
医者「ちいっ!」シュババババッ
グササササッ
医者「殺った!」
患者「あっぶねえ……胸にパスポートを入れてたから助かった」
医者「なっ!」
患者「どうやら……五秒経ったな。あんたの診断は外れだ」ニヤッ
医者「……」ギリッ
医者「だったらァ、延長戦だァァァ!!!」
患者「そうなるのかよ!」
医者「シイッ! シャッ! セヤッ!」シュババッ
患者「くっ……!」
医者「そこだァ!」グワッ
患者「おっと」クルクルクルッ スタッ
医者「ちょこまかしやがってェ……」
医者「だったらァ……」ジリ…
患者「……」ジリッ
医者「これだァ!」
バサバサバサァッ
患者「ちっ!」
患者(カルテで……目くらまし!? セコイ手を!)
患者(どこだ……どこにいる!?)
医者「……」ススッ
患者「後ろかッ!」ブオンッ
医者「シャッ!」
ザシュッ!
患者「ぐうっ……!」
医者「やったぞ……ヒャ~ッハッハッハ! お前は終わりだァ!」
患者「なんだと……!?」
医者「なぜなら、このメスには猛毒を塗ってあるからな」
医者「お前は即死よォ!」
患者「毒……!? なんて毒だ!」
医者「冥土の土産に教えてやろう。これ一度いってみたかったんだ」
医者「カドミウムだ」
患者「……」
患者「カドミウムで即死なんかするかよ」
医者「なにっ!?」
患者「カドミウム……元素記号Cd、原子番号48、原子量112。亜鉛に似た青白い光沢を持つ金属」
患者「たしかにカドミウムは恐ろしい毒素だ……あの悪名高きイタイイタイ病の原因とされる」
患者「だが、それは多量のカドミウムが体内に蓄積されたらの話」
患者「まして、たかがメスに塗ってある程度の量で、即死するなどありえない」
医者「うぐっ……!」
患者「こんなことも知らないなんて……お前、本当に医者なのか?」
医者「!?」
医者「なにをいう! 私は医者だ! 医者に決まっておろうがァ!」
患者「それともう一つ」
医者「な、なんだ!」
患者「メスの握り方には、バイオリン弓把持法・テーブルナイフ把持法・ペン軸把持法の三つがあるが」
患者「お前はどれとも違う。医者の握り方じゃない」
患者「正体を現せ、ニセ医者!」
医者「ああ……そうさ。俺は医者じゃない。ニセ医者さ!」
患者「やはりな……」
患者「ここまできたら全て話せ! お前は何者なんだ!」
医者「自分の胸に手を当ててみろ……!」
患者「……?」
医者「10年前のことだ……」
患者「10年前……あっ!」
『た、助けてくれ……!』
『うるせえ!』ザシュッ!
『お金は差し上げますから……』
『俺らは命も欲しいんだよ!』ザクッ!
患者「……」
医者「思い出したようだな」
医者「あの日、私たち二人はある家に強盗に入った……」
医者「家にいた夫妻を殺し、私たちは大金を手に入れた!」
医者「その後、金は山分けし、別れるはずだった」
医者「ところがだ!」
医者「お前は金を独り占めし、逃げやがった!」
患者「……」
医者「これは重大な裏切りだ! 許せるものか、絶対に!」
患者「話を聞いてくれ」
医者「話ィ? 今更何をいうつもりだ!」
患者「あの日、あの家には俺たちが殺し損ねた生き残りがいたんだ」
医者「そうなのか!」
患者「おかげで事件は早々と明るみになり、奪った金は全て、番号やらを警察に控えられちまった」
医者「……」
患者「このままじゃ、金を使ったらすぐバレちまう……」
患者「だから俺は海外に飛んだ」
医者「あ……! そういやパスポートを持っていやがったな」
医者「だが、なんのために?」
患者「マネーロンダリングのためだ」
医者「マネーロンダリング……資金洗浄か!」
患者「その通り。国内でやるのは厳しいが、海外はまだまだチェックが甘いからな」
医者「で、どうなったんだ?」
患者「苦労はしたが、マネーロンダリングは成功した。大金は全て綺麗になった」
患者「で、お前にもようやく金を渡せるようになったわけだ」
医者「え……? 私の分も……?」
患者「当たり前だろ。俺たちは仲間なんだから……」
医者「お前ってやつは……!」
患者「ほら……口座番号とカードだ。ここにお前の取り分が入ってる」
患者「キャッシュで下ろして……好きに使え」
医者「……!」
医者「私はお前の苦労も知らず、金を持ち逃げされたと勘違いして、挙げ句殺そうとまでして……」
医者「こんな私に金を渡して本当にいいのか?」
患者「もちろんだとも。二人でやった強盗じゃないか……!」
医者「ありがとう……!」
医者「すまなかった……」
患者「いいんだよ」
患者「あの強盗殺人はもう迷宮入りになった……金も洗浄した……」
患者「これからは二人で、この大金で幸せに生きていこうじゃないか」
医者「うん……!」
ギュッ…
トトトンッ
医者「いてっ」
患者「あたっ」
医者「ナース君、いきなり何をするんだ! せっかくの感動シーンを邪魔しちゃダメじゃないか!」
ナース「……」
患者「一言ぐらい謝ったらどうだ!」
ナース「じゃあ、一言自己紹介を」
ナース「私はあなたがたに両親を殺された生き残りです」
医者「え……!?」
患者「な……!?」
ナース「あれから私は独自にある拳法を習得し、看護師をする傍ら、両親を殺した仇をずっと捜していました」
ナース「そして今日……やっと見つけることができました。それも二人同時に」
医者「そうか……さっきの攻撃は仇討ちのつもりか!」
患者「あんな攻撃じゃ、俺たち二人は到底倒せないがな」
医者「生き残りがいたならちょうどいい! ここで切り刻んでやる!」
患者「ああ……久々の共同作業といこう。二人でこの女を始末しよう」
ナース「残念ながら、もう終わっています」
医者「え?」
ナース「私が学んだ拳法は“敵のツボを突いて、その肉体を内部から破壊する”というものでして」
ナース「すでにあなたたちには致命傷を与えました」
ナース「あなたがたの余命は……残り五秒です」
医者「ちょっ……!」
ナース「5」
医者「お、おいっ! 待てっ! 助けてくれぇ!」
ナース「4」
患者「君にも金をあげるから! ね?」
ナース「3」
医者「攻撃を解除してくれえ! 頼む!」
ナース「2」
患者「まだ死にたくない! せっかくマネーロンダリングしたのに――」
ナース「1」
ドパァァァァァン! ドパァァァァァン!
完

