少女「あ、こんなところにダンボールが」
少女「誰かが捨てちゃったのかな……ってあれ?ダンボールに何か書いてある」
少女「何々、誰かもらってください、だって」
猫「みゃー……」
少女「猫さんか、可哀想だけどお母さんがダメって言うだろうし……」
猫「みゃおーん」
少女「ごめんね、ウチでは飼えないよ、じゃあね」
元スレ
少女「死期が見える猫を拾った」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353502563/
少女「はあ……結局家に帰ってきちゃったけど、猫さん大丈夫かな」
少女「誰か拾ってくれるといいけど……」
母親「少女~ご飯よ~」
少女「はーい」
母親「今日はカレーね」
少女「うん、えっとねお母さん一つ聞いてもいいかな?」
母親「なあに?」
少女「うんとね、ウチで猫さん飼いたいんだけど……」
母親「ウチはダメよ、大体ペット一匹を育てるのにいくらかかると思ってんの」
少女「だよね……」
母親「あら急に雨が、お母さん洗濯物入れてくるからね」
少女「雨……?どれくらい降ってるのかな」
少女「うわ、沢山降ってるよ、猫さん大丈夫かな」
母親「ふー、いきなり降ってくるもんだからびっくりしたわ」
少女「ごめんお母さん!帰ってきてからご飯食べるね!」ダッ
母親「あ、ちょっと待ちなさいどこ行くの!」
母親「ってもういないし、全く少女は優しく育ったわね」
少女「猫さーん、大丈夫?」
猫「みー……」
少女「こんなに濡れちゃって……」
少女「……仕方ないよね、お母さんに内緒で自分の部屋で飼おう」
少女「ほら、猫さん私の家に行こう」
猫「みゃー!」
母親「少女、どこ行ってたの?」
少女「え、えーと学校のうさぎさんが濡れてないか見てきたの」
母親「そう、ほら少女ご飯全部食べちゃいなさい」
少女「はーい、その前に濡れちゃったから着替えてくるね」
少女「(ふぅ、服の中に隠してたけどバレなくてよかった)」
少女「うんしょっと、猫さんちょっとここで待っててね」
猫「みゃー?」
少女「ご飯食べてくるから、猫さんの分もできたら持ってくるね」
猫「みゃー!」
母親「着替えは終わった?片付けたいから早く食べなさい」
少女「うん」
少女「お母さん食べたよ」
母親「はい、牛乳置いておくから、部屋で飲みなさい」
少女「こんなに!?」
母親「牛乳は体にいいのよ」
少女「わかった……」
少女「猫さん、お母さんが牛乳飲みなさいって」
少女「けど私は牛乳嫌いだから全部飲んでもいいよ」
猫「みゃおーん!」
少女「おーよしよし、今日は一緒のベッドで寝ようか」
猫「みゃー」
少女「くまさんとぱんださんのぬいぐるみと、一緒に寝ようね~」
少女「……そんなの……入らないよぉ……」
猫「少女ちゃん!……起きて少女ちゃん!」
少女「……うーん、え?今誰かの声が」
猫「僕だよ少女ちゃん」
少女「猫さんが!喋った!?」
猫「昨日は助けてくれてありがとう」
少女「うん、どういたしまして、って何で喋ってるの?」
猫「僕は特別な猫なんだ、少女ちゃんとだけ話せるようになったんだよ」
少女「そうなんだ、凄いねー」
少女「あ、学校行かなきゃ、じゃ猫さんこの部屋から出ちゃダメだよ」
猫「わかったよ、あ、待って少女ちゃん!」
少女「どうしたの?」
猫「今日……いつもと違う道で学校に行ったほうがいいよ」
少女「そんな時間ないよ!遅刻しちゃう!」
猫「いいから!理由は話せないんだけど、いつもの道で行っちゃダメなんだよ!僕を信じて!」
少女「うーん、わかった猫さんの言うこと信じるよ、じゃ行ってくるね」ダダダッ
猫「いってらっしゃい!」
猫「危ないところだった……あの子今日が死期だったんだ……」
猫「あのままいつもの道で学校に行くと、飲酒運転の車にはねられて死んじゃうところだったよ」
猫「少女ちゃんは僕がいる限り死なせたくないからね……」
猫「あんないい子を死なせてたまるもんか」
少女「ただいまー」
母親「おかえりなさい少女、今日通学路で事故があったんだってね、少女は大丈夫だった?」
少女「うん、大丈夫だよ、今日はいつもと違う道で――」
少女「(あれ?猫さんが言ってたのって、このためだったのかな)」
母親「どうしたの?」
少女「ううんなんでもない、今日も牛乳飲むね」
母親「牛乳パックごともって行きなさい」
少女「う、うんありがとう」
少女「猫さん!今日いつもの通学路で事故があったみたい」
猫「へえそうなんだ」
少女「猫さんが助けてくれたの?」
猫「そんな事は無いよ、たまにはいつもの道の方がいいかもって思ってね」
猫「でもまあ、結果的にはよかったみたいだね」
少女「うん!あ、ほら猫さんのために牛乳持ってきたよ」
猫「ありがとう、ではいただきます」
少女「猫さん、今日は学校がお休みだから一緒に出かけようよ」
猫「いいよ、でもお母さんに見つからないように外にでないと」
少女「大丈夫、今日はお母さんお友達と遊びに行ってるから」
猫「そっか、じゃあ僕らも遊びに行こうか」
少女「とりあえず外に出てから行き先を決めよっか」
少女「ほら、猫さんは私が抱っこしてあげるね」
少女「どこに行く?」
猫「少女ちゃんの好きなとこでいいよ」
少女「そんなのダメだよ、猫さんと二人で楽しみたいんだから」
猫「そっか、じゃあ公園でも行こうか」
少女「そうだね、猫さんがいたところの近くにある公園に行こうか」
少女「猫さんついたよ、何して遊ぶ?」
猫「さっきは僕が決めたから、次は少女ちゃんが決めてよ!」
少女「う~ん、ちょっとまってねバッグからおもちゃ出すから」
少女「これこれ、ほら猫さんとってきて」ポーイ
猫「ガウガウッ……って僕犬じゃないからボール投げても拾わないよ!」
少女「そっか……そうだよね、私バカだ……」
猫「は、はは、なーんてね、ほーら取ってきたよ」
少女「ありがとう!けど無理しなくてもいいよ、次の遊び考えるから」
少女「これはどう?スコップ!これで泥んこ遊びするの」
猫「いいね、僕は人間みたいに手を使えないから、少女ちゃんがしてるのを見るよ」
少女「えー、じゃあやめよっか」
猫「見てるだけで楽しいから!ね?泥んこ遊びしようよ」
少女「そう?じゃあしようか!」
猫「そうしようそうしよう」
少女「猫さん、抜け出してみて」
猫「うーん、うーん、無理だよ僕には」
猫「(僕の身体を埋める遊びって、どんな遊びなんだ、人間の中では普通なのかな)」
少女「あはは、猫さんおもしろい!」
猫「(少女ちゃんが喜んでるからいっか)」
猫「(ん!!この公園に通り魔が来る!そして少女ちゃんが殺される!)」
猫「少女ちゃん、帰ろうか」
少女「なんで?まだ5時になってないよ?」
猫「えーと、僕風邪ひいたみたいだから」
少女「そうなの?じゃあ仕方ないね」ウンショ
猫「ごめんね、また遊びに行こう」
少女「うん!」
少女「猫さん大丈夫?家についたけど」
猫「ああ、大丈夫だよ、身体中泥だらけだけどね」
少女「お風呂はいる?風邪ひいてるみたいだから、ぱぱっと入っちゃう?」
猫「お風呂かぁ……」
少女「あ、ダメだよ猫さん、好き嫌いは」
猫「わかったよ少女ちゃん」
少女「じゃ用意してくるね」タタタッ
猫「(よかったーあのまま公園にいたら少女ちゃんが……)」
少女「用意できたよ、さ、はいろっか」
猫「うん」
少女「猫さんは先に入ってて」ヌギヌギ
猫「やっぱりお風呂嫌だな……」
少女「だーめ、もう、抱っこしてあげるから、ほら入ろ?」
猫「う、うん」
少女「は~いいお湯だったね~」
猫「僕はもう二度と入りたくないよ」
少女「そろそろお母さん帰ってきそうだから上行こっか」
猫「そうだね」
少女「今日も一日楽しかったー」
猫「そろそろ寝ないと明日起きられないよ」
少女「でも明日もお休みだよ?お母さんもお父さんとお出かけするみたいだし」
猫「でも規則正しい生活をしないと」
少女「猫さんってお母さんみたーい」
猫「お母さんも僕も少女ちゃんが好きって事なんだよ」
少女「そっかなあ、ほら猫さんこっちおいで」
猫「うん」
少女「今日はどのぬいぐるみとおねんねする?」
猫「猿とかえるがいいな!」
少女「うんわかった、ほらみんなで寝ようね~」
猫「おやすみ~」
猫「ハッ今何時だろう」
猫「少女ちゃんは起きてるみたいだし」
猫「もう12時かー少女ちゃんに偉そうなこと言っておいて、結局僕の方がいっぱい寝てるよ」
猫「それにしても少女ちゃんはどこいったんだろう」
猫「え……少女ちゃんの死期が5分後……」
猫「今少女ちゃんはリビングでテレビを見てる、このままだとこの家に入ってきた強盗に殺されてしまう」
猫「伝えなきゃ!!」
猫「くっ僕じゃ部屋の扉を開けられないっ……!」
猫「窓……も閉まってる!」
猫「どうしよう、もう3分しかない!」
猫「……仕方ないか…………」
猫「神様お願いです、僕の命の代わりに少女ちゃんを助けてあげてください!」
神様「ほう、私は構わないが」
猫「ありがとうございます!!」
神様「しかし、そうした場合お前に関する記憶を、彼女から消させてもらう」
猫「くっ、それ……でも……いい、それでもいいから少女ちゃんを!!」
神様「わかった、お前の命を生贄に、運命を変えてみせよう」
母親「少女!!」
少女「どうしたの?そんなに慌てて」
父親「お隣さんの家に強盗が入ったみたいだ、お出かけ先でニュースになっていたから急いで帰ってきたんだが」
母親「大丈夫?怪我はない?」
少女「うん大丈夫だよ」
父親「そうか、少女、ちょっと上に上がってなさい」
少女「わかった~」
母親「牛乳もっていくかい?」
少女「何言ってるの、私牛乳嫌いだよ」
母親「え、ああそうかい」
少女「んじゃ上にいるね」タタタッ
母親「少女は上に行ったわ」
父親「そうかニュースを付けるぞ」
テレビ「本日強盗殺人が――」
少女「ごうとうって、怖い人だよね」
少女「よかったこの家に来なくて」
少女「それでも他のおうちに入るのも嫌だな……」
少女「ぐすん……何か涙が出てきた……」
少女「今日はもう寝ようかな」
少女「今日のぬいぐるみはっと」
少女「あれ?猫さんのぬいぐるみなんて私持ってたっけ……」
少女「ま、いっか、今日は猫さんと一緒に寝よっと」
少女「おやすみ猫さん」
完