生徒会室
会長「これはどう受け取ればいいのでしょうか、副会長?」
副会長「……」
会長「書記さん?」
書記「……」
会長「……何か意見を」
副会長「あの」
会長「はい」
副会長「どうしてその意見を取り上げたのですか?」
会長「今日の意見箱にはこれ一通しかなかったからです」
書記「今日の議題……会長をもっと、エロく、する方法に、ついて……っと」
会長「では、生徒会役員会議を始めます」
元スレ
生徒会長「生徒の意見に生徒会長をもっとエロくしろとありました」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1317961160/
副会長(始まってしまった……)
会長「さて、まずは現在の私はエロいのか、エロくないのかというところから討論したほうがいいですね」
副会長「……」
会長「副会長、男性目線では私はどう映っていますか?」
副会長「どう、とは?」
会長「歩き方がセクシーとか。胸があるなーとか」
副会長「……」
書記「会長の胸はおせじにも大きくありません」
会長「異議あり!その発言には正当性がありません!」
書記「では、身体測定の結果を教えてください」
会長「……」
書記「……何センチでした?」
会長「……ちっ」
副会長(胸のこと気にしてたのか……)
会長「しかし、胸があるからエロいとは限らないでしょう?」
書記「少なくとも無い人よりはありますよ」
会長「ほお?」
書記「……」
会長「実例を挙げてくれませんか?」
書記「副会長」
副会長「あ、はい」
書記「……私の胸……どうです?」
副会長「ちょ……!?」
書記「―――ほら、このように少し谷間を見せつけるだけで男性を紅潮させることができます」
会長「……わ、私だって!!」
副会長「会長?」
会長「……どう、ですか……?」
副会長「……」
会長「……」
書記「赤面、してくれないでしょう?」
会長「副会長が巨乳好きという可能性も否定できません」
書記「貧乳好きは割合的にもごく少数です」
会長「そんなバカな!?」
書記「それに貧乳はエロくない。―――可愛いだけです」
会長「可愛い……なるほど」
副会長「……」
会長「副会長、今の私は可愛いのでしょうか?」
副会長「あ、えっと……はい」
会長「そうですか。それはどうも」
副会長(なんか嬉しそうだな……)
会長「しかし、困りましたね。私は可愛いので、エロくなる必要はない気がしてきました」
副会長(やっぱり嬉しいんだ……)
書記「ですが、それでは生徒からの意見を無視することになりますよ?」
会長「うーん……」
書記「あ、会長。そういえばこの前、雑誌に「エロ可愛い」という単語を見たことがあります」
会長「おお」
書記「それを目指してみてはどうですか?」
会長「エロ可愛い……うん、響きも卑猥には聞こえないですし。それでいきましょう」
書記「どのような恰好をすればエロ可愛いんでしょうね?」
会長「副会長、何か知ってますか?」
副会長「……スカートの丈を短くする、とか?」
会長「……な、なるほど……」
会長「どれぐらいでしょうか?」
書記「うーん……とりあえず、限界ってところまで上げてみましょう」
会長「ふむ……」
書記「どうですか?」
会長「ここが限界ですね」
書記「パンツ見える直前ですか?」
会長「ええ」
副会長「……あの」
会長「はい」
副会長「外に出てていいですか?」
会長「何故?」
副会長「男がいるとやりにくいでしょうし……」
会長「構いません。いてください」
書記「そうです。いてください」
副会長「……」
書記「では、くるっとまわってみてください」
会長「こう?―――えい」
副会長「うわぁあああ!!?!!?」
会長「どうしました?」
副会長「い、いや……み、みえ……パンツ……見えました……」
会長「エロ可愛かったですか?」
副会長「む、むしろ……エロいだけ、です」
会長「なんと……」
書記「エロいだけ……それはダメですね」
会長「はい。生徒会長とあろうものがエロいだけの生徒会長になるのはご法度です。長くしましょう」
書記「ですね。二センチほど下にしましょう」
副会長(帰りたい)
会長「これで……えい」
副会長「……」
書記「どうですか?生徒会長、エロ可愛かったですか?」
副会長「……あ、そうですね……見えそうで見えない感じが、エロ可愛かったと思います」
副会長(俺、何言ってんだろう)
会長「聞きましたか?」
書記「下半身はエロ可愛くなったみたいですね」
会長「すばらしい」
書記「えーっと……少し短め、の、スカート、が好みっと」
副会長「……え?」
会長「次はどこにしましょうか?」
書記「副会長、どこを変えればいいと思いますか?」
副会長「あ、えっと……髪型ですかね?いつもストレートじゃないですか、会長って」
会長「む……これが楽なんですが……仕方ないですね。髪型も変えてみましょう」
副会長「折角、長いんですから色々と試したらいいんじゃないですかね?」
書記「例えば?」
会長「具体例を」
副会長「えと……ポニーテールとか?」
書記「ポニーテール!?」
会長「なるほど……書記さん!手伝ってください!!」
書記「はい!」
会長「これ、ゴムです」
書記「よいしょ、よいしょ……」
会長「いたたた!!」
書記「あ、すいません」
副会長(なんか楽しそうだな……)
会長「―――できましたー♪」
書記「びゅーてぃほー」
副会長「……」
会長「どうですか?似合いますか?副会長?」
副会長「あ、はい。素敵ですよ?」
会長「エロ可愛いですか?」
副会長「あ、いや……エロくはないですね……」
会長「……そ、そうですか……はぁ」
副会長(なんかすごい落ち込んだぞ)
書記「元気だしてください」
会長「ポニーテールではダメです」
書記「ポニーテールでは、反応し、ないっと」
副会長「……それ、書かなきゃいけませんか?」
書記「ええ。好みはメモしておかないと」
副会長「好み?」
副会長「好みって一体……?」
会長「それより、他の髪型を!!」
書記「なにか!」
副会長「え……あ、ツインテール、とか?」
会長「ツインテール!?」
書記「会長、鏡です!」
会長「ありがとうございます……これを、こうして……あーして……」
書記「会長、不器用ですね」
会長「あーん!書記さん、やってー!」
書記「はい、わかりました!」
副会長「……なんで必死になってるんだ……?」
書記「―――できたー」
会長「どうですか?」
副会長「……」
会長「どうですか?」
副会長「……すいません、似合ってないです」
会長「……」
書記「会長、お気を確かに」
会長「……はぁ……可愛いって……言ってくれたのに……」
副会長(なんだ……?二人から睨まれてるぞ……)
書記「副会長?」
副会長「はい?」
書記「結局、どんな髪型なら会長はエロ可愛くなるんですか?」
副会長「……普段が一番かもしれませんね」
会長「おお!やはり、普段の私が一番でしたか!!」
書記「やりましたね!会長!!」
会長「ふんふーん♪」
書記「やっぱり、会長は普段の髪型が一番いいんですよ!」
会長「はい。飾らない私がいいのですね!」
書記「副会長は、普段の会長の、髪型に、夢中っと」
副会長「え?あの、その記述は……」
会長「次は服ですか?」
書記「我が校はブレザータイプですから、個性を出すのは難しいですね」
会長「では、ワイシャツ一枚になってみましょう」
書記「おお」
副会長「会長?」
会長「ふう……よし。そして、ボタンをいくつか外してみましょう」
書記「いいですね」
副会長「会長?どうしたんですか?なにしてるんですか?」
会長「できましたー♪」
書記「副会長、どうです?」
副会長「え?」
書記「今の会長、制服を思い切り着崩してるじゃないですか。エロ可愛くないですか?」
副会長(なんか面倒になってきたな……適当に答えよう)
副会長「ええ。もうすっごくエロ可愛いです」
会長「……!?!」
書記「会長!!」
会長「書記さん!!」
書記「これでいいんじゃないですか?」
会長「はい!理想の服装なのかもしれませんね!!」
副会長「……何がですか?」
会長「……さあ、副会長!」
副会長「なんですか?そんなに両腕を広げて……」
書記「ささ、遠慮せずに」
副会長「……?」
会長「あれ?」
書記「おかしいですね」
会長「やはり、胸ですか?」
書記「可能性はあります」
会長「胸はどうしようもないんですが……」
書記「あはは」
会長「笑い事じゃないです」
副会長「あの……」
書記「副会長!!」
副会長「は、はい……」
書記「会長がエロ可愛くなったのに、どうして何もしてあげないんですか?」
副会長「は?」
書記「雑誌にはエロ可愛くなった女の子は例外なく、男の子が飛び付くと書いてありましたよ?」
副会長「知りません」
会長「はぁ……もういいです……私の魅力が欠落しているだけですから……はぁぁ……」
書記「そ、そんな!?会長!!元気を出してください!!」
会長「折角、第三ボタンまで外したというのに……はぁぁ……」
副会長(なんだ……この世の終わりみたいな顔に……)
書記「会長!椅子の上で体育座りしないでください!!」
会長「……」
書記「もう!副会長の所為ですねちゃいましたよ!?」
副会長「お、俺の所為なんですか……?」
書記「会長……帰りにアイス買ってあげますから、ね?」
会長「……いりません」
書記「あぅ……じゃ、じゃあ、ポテチも付けます!」
会長「……ダイエット中です」
書記「……副会長もなにかいってください!!!」
副会長「え?なにを……?」
書記「いいから!会長を褒めてください!!」
会長「……どーせ、私はAカップですよー……」
副会長「あの、会長……?」
会長「……あぃ?」
副会長「その……俺はエロ可愛い会長よりも、普段の凛々しい会長のほうが好きですよ?」
会長「え?そうなんですか?」
副会長「はい。ですからエロ可愛くなる必要なんてありません」
会長「……そ、そうですか……そうなんですね……あはは……よかったぁ……」
書記「副会長、それならそうと言ってくださいよ!もう!!」
副会長「いや、議題がエロくなることだったので……口を挟めなかったというか」
会長「そうですね!こんな着崩している生徒会長などいません!!」
書記「会長!すぐに整えましょう!!」
会長「はい!!―――んしょ」
副会長「あ……」
会長「はい?」
副会長「あ、いえ……」
会長「では、今日の生徒会役員会議を終了します。お疲れさまでした」
書記「はい」
副会長「はぁ……疲れた」
会長「副会長!!」
副会長「あ、はい?」
会長「一緒に通学路のチェックします。行きましょう!!」
副会長「はぁ?」
会長「最近、通学路が大変らしいです」
副会長「どういう風に?」
書記「それを確かめにお二人が行くんじゃないですか」
副会長「はあ……まあいいですけど」
会長「では、いきましょう」
書記「ぐっどらっく」
会長「さんくす」
副会長「なんか楽しそうですね」
通学路
副会長「別に変わったところはありませんね」
会長「そうですね」
副会長「……会長?」
会長「な、なんですか!?」
副会長「いや、チェックのはずなのにずっと俯いているから……」
会長「足元を注意してました」
副会長「……」
会長「あ!わ、私はこっちですから!!」
副会長「あ、はい。では、また」
会長「あ、明日も役員会議はありますからね!!」
副会長「はい。ちゃんと行きます」
会長「で、では!」
副会長「……なんか変だな」
会長(くそー……何もできませんでしたー!!明日こそは……必ず!!)
翌日 学校内 廊下
書記「……(キョロキョロ」
書記「よし!」
書記「―――ふんふーん♪」
副会長「……ん?」
友「あれ?あの人、書記の人じゃん?」
副会長「……みたいだな。今、意見箱に何かいれたな」
友「あの人なら別に意見箱に入れなくてもいいんじゃないの?」
副会長「……そうだよな……なにかあったのかな?」
友「それよりも早く行こうぜ!遅刻する!」
副会長「ああ、そうだな」
放課後 生徒会室
会長「生徒の意見に生徒会長をもっとお淑やかにしろとありました」
副会長「……」
書記「ほお」
会長「では、生徒会役員会議を始めます」
副会長「……あの」
会長「はい!なんでしょう!?」
副会長「どうしてその意見を取り上げるんですか?」
会長「今日の意見箱にはこれしか入っていなかったからです」
副会長「……本当ですか?」
会長「嘘をつく理由がありません」
書記「会長をお淑やか、にする、方法……っと」
会長「意見のある人は挙手でお願いします」
副会長「……」
書記「はいはいはい!」
会長「どうぞ」
書記「茶道室に移動しましょう」
副会長「唐突ですね」
会長「茶道室?」
書記「ええ。やはり大和撫子には和室が似合うと思うんです」
会長「ふむふむ」
書記「ですから、移動しましょう。鍵も既に手配しております」
会長「流石ですね」
副会長「……待ってください。どうして、示し合わせたように鍵を用意してるんですか?」
書記「え?あ、いや……それは、ほら、あれ、ですよ、なんというか……え、え、え……えー」
会長「エスパー?」
書記「そう!それです!!」
会長「エスパーなら仕方ないですね」
副会長(楽しそうだし、まいっか)
茶道室
書記「どうぞ」
会長「お邪魔します」
副会長「へえ……意外にいい部屋だ……」
書記「では、ごゆっくり」
副会長「……え?書記さんは?」
書記「私は……掃除があるので」
副会長「どこの?」
書記「スケベ」
副会長「……!?」
会長「まあまあ、掃除なら仕方ないですよ」
副会長「会長……」
書記「ぐっどらっく」
会長「さんくす」
副会長「……」
会長「……」
副会長「……」
会長「……ぅ……ぁ」
副会長「……え?」
会長「……」
副会長「あの……お淑やかにするって無口になるってことじゃないですよ?」
会長「え!?そうなんですか!?」
副会長「はい」
会長「はぁぁ……10分無駄にした……」
副会長「あの……何をします?」
会長「お淑やかとは具体的にどうすればいいのでしょうか?」
副会長「そうですね……お淑やか……うーん……」
会長「あ!―――不束者ですが、よろしくお願いします」
副会長「あの……俺と結婚する気ですか?」
会長「……な!?!」
会長「ばーか!!ばーか!!自惚れないでください!!!」
副会長「……」
会長「あ……すいません」
副会長「……いえ」
会長「……」
副会長「……」
会長(話題……話題……)
副会長「……?」
会長「す、すきな食べ物はなんですか!?」
副会長「カレーですね……それが?」
会長「……嫌いな、たべ、ものは?」
副会長「……特に」
会長「……好きでも、嫌いでも、ない……食べ物は?」
副会長「……ありすぎてわかりません」
会長「……もういいです。すいません」
副会長「会長?」
会長「そ、そろそろ、戻りましょうか?」
副会長「え、ええ」
会長(今日もなにもできなかった……でも、カレーが好きなんですね……よっしゃ!)
副会長(小さくガッツポーズしてる……)
会長「あ、明日も会議はありますからね!!」
副会長「あの、別に毎日集まってまですることですか?」
会長「無論です!!」
副会長「なら、いいんですけど……」
会長「あ、えと、嫌、ですか?」
副会長「いいえ。嫌なら来ませんよ」
会長「……それって、スキってことですか?」
副会長「……え?まあ、そうです、かね?」
会長「………………わ、私も好き……です……」
副会長「へえ、会議が好きなんですか。流石ですね」
会長「ちげーよ!!馬鹿!!!」
副会長「あ!?会長!?!」
会長「さ、さよーなら!!!」
副会長「―――いっちゃった」
書記「……どうでした?茶道室の一時は?」
副会長「おわ!?」
書記「会長と何を話したんですか?」
副会長「え?好きな食べ物の話とかですが」
書記「え……それだけ?」
副会長「はい」
書記「シット」
副会長「は?」
書記「まあ、また明日ですね。それではさようなら」
副会長「あ、はい……また……」
翌日 学校内 廊下
会長「……(キョロキョロ」
会長「いまです!」
会長「……ふんふふーん♪」
友「あれ?今の会長じゃないか?」
副会長「何か入れたな」
友「会長が会長の意見箱になにいれたんだろうな?」
副会長「知るかよ」
友「あ、やっべー、早く体育館に行こうぜ!」
副会長「あ、ああ……なにやってんだ、あの人たちは……」
昼休み 教室
友「いやー!腹減ったなー!!」
副会長「そうだな……早く飯に―――あれ??」
友「どうした?」
副会長「ない」
友「え?弁当、忘れたのか?」
副会長「そんなバカな……確かに入れたはずなんだけど……」
会長「失礼します」
「きゃー、会長よー」
「美人で素敵よねー」
副会長「会長!?」
会長「お昼にすいません。ちょっといいでしょうか?」
副会長「あ、はい」
会長「生徒会室に来てください」
副会長「わ、わかりました」
生徒会室
会長「……ふう。ごめんなさい、手伝ってもらって」
副会長「いえ……」
副会長(十枚のプリントを職員室に運ぶだけって……別に俺必要ないよな)
副会長「……(グゥ~」
会長「あ……」
副会長「す、すいません。昼ごはんがまだで……」
会長「そうですか。それは申し訳ありません。―――そうだ、ちょうど今日私、お弁当を作り過ぎたんですよ」
副会長「え?そうなんですか?」
会長「はい。食べますか?」
副会長「助かります!!なんか知らないんですけど弁当を忘れたみたいで!」
会長「それはうっかりですね。―――どうぞ。お口に合えばいいんですけど」
副会長「それでは―――え?」
会長「……(ドキドキ」
副会長「……会長、これ、カレーですか?」
会長「はい。好きだって言ってましたから」
副会長「……え?」
会長「あ、いえ!昨日、カレーを作り過ぎたので……お弁当にしました!」
副会長「あはは……弁当にカレーって中々、挑戦的というか……」
会長「どうぞ、遠慮せずに食べてください!」
副会長「……わ、わかりました……いただきます……」
会長「……(ドキドキ」
副会長「……お、おいしいです」
会長「えー!?そんなー!きゃー!!!」
副会長(冷めてて、あれだけど)
会長「あ、あの……えっと……カレー……また、作ってきても、いいです、か?」
副会長「……い、いえ、できれば、やめてください」
会長「…………………はあぁぁ……美味しくないんだぁ……はぁぁ……」
副会長「あ、いえ……そうじゃなくて……学校にカレーは、あの……」
書記「―――失礼しまーす。会長、副会長のお弁当、量が多くて食べ切れ……あ」
副会長「……あ」
書記「なんでもないです。失礼しました」
副会長「待ってください」
書記「うわ!カレーくせえ」
副会長「おい。なんで書記さんが俺の弁当箱を持ってるんですか?」
書記「拾いました」
副会長「……どこで?」
書記「それは、ほら……えっと……あそこですよ……あのー……え、え、え」
会長「エスパー!」
書記「そうそれです!」
副会長「会長、書記さん!!一体、なにをしてるんですか!?」
会長「……さーてと、空気の入れ替えをしましょう」
書記「ごちそうさまでしたー……あ、洗って返しましょうか?」
副会長「もういいです……」
会長「……今日はいい天気ですなー」
放課後 生徒会室
会長「副会長……来てくれるでしょうか?」
書記「怒ってましたからね」
会長「一応、謝ったんですけど……はぁ……」
書記「……すいません、私が足を引っ張ってますね」
会長「そ、そんなことはありません!!書記さんはよくやってくれています!!」
書記「しかし!会長と副会長の仲は一向に進展しないじゃないですか!?」
会長「うぐ……」
書記「これは……私の責任です」
会長「そ、そんなことはありません!それに今日の議題はすごいんですよ!?」
書記「おお。どんなことを書いていれたんですか?」
会長「ク、クリスマスの予定……とか」
書記「気が早い感じもありますけど!いいですね!!」
会長「えへへ、そうですか?これ、議題にしてもいいか微妙だったんでまよったんですけどぉ……」
副会長(今日はどんな下らない議題に……)
副会長「―――すいません、少し遅刻……」
会長「ジングルベー……」
書記「すずがなるー……」
副会長「会長、その頭の三角帽子はなんですか?」
会長「あ、ははは!!いや!今日は、髪が乱れていたので!帽子でこう、誤魔化そうかなっと……」
書記「さて、生徒会役員会議を始めましょう」
会長「ですね」
副会長「帽子、外してください」
会長「おっと……はい!では、今日の議題です!」
書記「はい」
会長「生徒の意見に生徒会長のクリスマスの予定はどうなのかとありました」
副会長「……」
会長「というわけで、クリスマスの予定を決めたいと思います!!」
書記「はい」
会長「意見のある人は挙手でお願いします」
書記「はい!」
会長「はい、書記さん!」
書記「去年のクリスマスはどうだったんですか?」
会長「毎年、家族で過ごしてますね」
書記「では、今年も?」
会長「そうしたいのは、山々なんですけど……実は……」
書記「なんと。ご両親がお仕事?ということはおひとり?」
会長「そうなんです……困りました……副会長、そう思いません?」
副会長「……あの」
会長「え!?なんですか!?」
書記「クリスマス、暇なんですか!?」
副会長「……いや、これ生徒会と全く関係ないじゃないですか。もう、帰ってもいいですか?」
会長「あ、あります!!生徒会長としてこう、生徒の見本になるクリスマスを送らないといけません!!」
書記「よっ。生徒の鑑!」
副会長「……さようなら」
会長「あーん!待ってください!!」
書記「帰っちゃいやです」
副会長「じゃあ、もっと生徒会役員会議らしいことをしましょう」
会長「えー?」
書記「例えば?」
副会長「……行事のこととか……近く文化祭もありますし」
会長「書記さん」
書記「はっ。―――夏休み中に全ての段取りは終了しています。ここにそのときの記録を記したノートもあります」
会長「よし」
副会長「……」
会長「他に何かありますか?」
副会長「……あ、ほら、美術コンクールも―――」
会長「書記さん」
書記「はっ!それは先週のお昼休みに全ての段取りが終了しています。そのときの記録を記したノートもあります」
副会長「あの……」
会長「はい?」
副会長「俺、何のためにいるんですか?」
会長「え?」
書記「副会長は会長の補佐ですが」
副会長「でも、文化祭のことや美術コンクールのこと俺、何も知りませんよ!?」
会長「それは、ほら……あの、副会長の負担を減らそうと思って……」
書記「よっ。会長、素晴らしい」
副会長「……それって、俺がいらないってことですよね?」
会長「あ……えと……」
副会長「……もういいです。帰ります」
会長「あ……待って……!」
書記「あー……帰っちゃいましたね」
会長「はぁ……なんで怒ってたんでしょうか?」
書記「皆目見当もつきません」
玄関
副会長「……はぁ」
副会長(なんで俺、副会長やってるんだっけ……)
副会長(……確か)
会長「―――副会長!!」
副会長「会長……」
会長「はぁ……はぁ……」
副会長「どうしたんですか?」
会長「はぁ……はぁ……ひぃ……はぁ……」
副会長「大丈夫、ですか?」
会長「ちょ……ま……ひぃ……」
書記「会長、お水です」
会長「す、すい、ません……ゴクゴク……ぷはぁ」
副会長「さようなら」
会長「待ってください!!―――明日も、来てくれますよね?」
副会長「……」
会長「あの……来てくれないと……その……」
副会長「俺がいなくても、会長と書記さんがいればいいじゃないですか」
会長「え……」
副会長「二人で文化祭っていう大きな行事のことも済ませられるんなら、俺は別にいなくてもいいですよね?」
会長「あ、それは……」
書記「副会長、拗ねてます?」
副会長「拗ねてません」
会長「えっと……その……なんていったらいいのか……と、とにかく!貴方が来てくれないと困るんです!!」
副会長「どうしてですか?」
会長「……それは……その……」
副会長「なんですか?」
書記「会長、勇気をもって」
会長「う、うん……」
副会長「……?」
会長「好きだからです!!―――会議がぁ!!!」
副会長「……」
書記「うわぁ……ダメだ、この人」
会長「うぅぅ……」
副会長「……今日は会議、終わりですか?」
会長「え、あ、はい……」
書記「そうですね。また次回で。では、私は失礼します」
会長「はい……ありがとうございました」
副会長「会長、途中まで一緒に帰りませんか?」
会長「えええ!?!?いいんですか!?」
副会長「ええ……いいですけど……」
会長「あ……トイレに行ってきます!!!」
副会長「それ……大声でいうことじゃあ……」
会長「途中で催したら集中できませんので!!ちょっと待っててください!!」
副会長「あ、はい……」
通学路
会長「……」
副会長「会長?」
会長「な!?はい!!聞いてますよ!!」
副会長「何も言ってません」
会長「うぅぅ……」
副会長「あの……これから生徒会で集まる時は冬休みだろうが昼休みだろうが、朝一だろうが絶対に呼んでください」
会長「え……でも、貴方が大変なんじゃあ……」
副会長「大変って……それが仕事です。俺の存在意義を潰さないでください」
会長「はぁ……すいません。よかれと思ってしたんですけど……」
副会長「それに……俺は……」
会長「はい?」
副会長「会長ともっと一緒に居たいですし」
会長「へー」
会長「―――へぇぇええええええええ!!?!!?」
副会長「会長、うるさいです」
会長「あぐ!?」
副会長「……自分で口を押さえなくても……あはは」
会長「むーむうううぐぐ?」
副会長「何言ってるかわかりません」
会長「ぷはぁ―――あの、それってどういうことですか?!」
副会長「俺が生徒会に入った理由が会長だからです」
会長「わ、私……?」
副会長「はい」
会長「なにかしましたっけ?」
副会長「去年、会長が書記だったとき毎朝校門のところで朝の挨拶してたじゃないですか」
会長「ああ、してましたね。朝のあいさつ運動」
副会長「俺、そのとき遅刻したときがありました。覚えてます?」
会長「えー?すいません……覚えてません……」
副会長「そのとき会長は俺に向かって「遅刻するのは気が緩んでいる証拠です!私に会えると思って明日からは早く来なさい!」って言ったんですよ?」
会長「おお……なんかそんなことを遅刻者全員に言った記憶が」
副会長「妙にあの瞬間、納得しました」
会長「なにがですか?」
副会長「確かに会長みたいな美人に会えるなら、早起きも悪くないなって」
会長「……」
副会長「でも、遅刻しないようになったら会長は俺のことを生徒の一人としてしか見てくれなくなって……それが何か悔しかったんですよね」
会長「……ぁの……」
副会長「だから、生徒会に入って会長の目を俺に向けさせて―――」
会長「あにょ!!」
副会長「え?―――わあぁあ!!?会長!!鼻血でてますよ!!!」
会長「ティッフくらはい!!」
副会長「はいはい……どうぞ」
会長「あ゛ー……だずがりまずだー」
副会長「どうしたんですか?」
会長「ぎにじないでぐだざい」
副会長「……だから、これからはきちんと生徒会に呼んでください。お願いします」
会長「わがりまずだ。がにゃらずおよびじまず」
副会長「は、はい……よろしくお願いします」
会長「あにょ……」
副会長「はい?」
会長「わだず……ずぎでじゅがら……あにゃだのこと……」
副会長「はあ?」
会長「……ざよなら……」
副会長「……あ、はい。また明日……」
会長(伝わってない……はぁ……もういや……です)
副会長「……会長、大丈夫かな?」
副会長(明日……か)
翌日 学校内 廊下
書記「……(キョロキョロ」
書記「よし」
副会長「……ふーん。今日の議題はなんですか?」
書記「わぁああ!!?!?」
副会長「お正月の予定……ふーん」
書記「ちょ!返して!!台本通りにしなきゃ、会長が困るんです!!」
副会長「……台本?」
書記「はっ……お口にチャック」
副会長「もう遅いですよ」
書記「えーん……かえしてー、見なかったことにしてくださーい」
副会長「じゃあ、今日は俺の台本通りにしてもらえますか?」
書記「え?」
放課後 生徒会室
会長「―――すいません、遅くなりました!」
副会長「掃除ですか?」
会長「ええ。途中、ガラス割っちゃって」
副会長「大丈夫ですか?」
会長「石頭なんで」
副会長「え?」
書記「……」
会長「さて……今日の意見箱は何が入ってるんでしょうか……えーと」
書記「……(ガタガタ」
会長「―――会長の好きな人は誰ですか?……とうわけで、私の好きな人について……おお?」
副会長「ふふ……」
会長「あ、あの……書記さん、書記さん、これなんか違いますよ?」
書記「……す、すき、な、人……を言ってください」
会長「……ええええ!?!?」
副会長「会長?今日の議題は会長の好きな人ですよ?」
会長「はぇええ!?そんな!!ちょっと!?えええ!?!」
書記「すいません……」
会長「……」
副会長「まずは会長に好きな人がいるのかどうか訊いてみないだめですね」
会長「それは……えっと……」
副会長「いますか?」
会長「い、いい……いません!!」
副会長「へえ……じゃあ、好みのタイプは?」
会長「好みのタイプ、ですか?」
副会長「ええ」
会長「それは……えっと……優しくて……背が高くて……細かいことに気を配れる人……かなぁ」
書記「……」
副会長「具体的には?」
会長「それは副会長みたいな―――おっと!!てやんでい!!なんでもありません!!」
副会長「あはは……」
会長「むぅぅ……」
書記「―――あ、すいません。ちょっと席を外します」
会長「え?」
書記「ぐっどらっく」
副会長「さんくす」
会長「あれ?」
副会長「会長?」
会長「は、はい!?」
副会長「……あの……お弁当なんですけど……」
会長「は、はい……」
副会長「俺、ウインナーとか玉子焼とか普通のお弁当が食べたいんですよね」
会長「はぁ……」
副会長「……明日……作ってきてくれませんか?」
会長「お!え!?あ!?はい!!もっちろんですとも!!えっと……丹精込めてつ、つくってきますよ!!」
副会長「……よかった」
会長「カレーじゃなくても、いいんですか?」
副会長「構いません」
会長「カレー風味?」
副会長「いや、カレーはいいですから。本当に」
会長「は、はい!分かりました!!」
副会長「楽しみにしてます」
会長(おぉぉ……どーしよ……魚市場とか行った方がいいかな?)
副会長「あとですね」
会長「はい!?」
副会長「弁当はここで食べましょう」
会長「生徒会室ですか?」
副会長「ええ。ダメですか?」
会長「いえ!わかりました!明日のお昼は生徒会室を開放します!」
副会長「はい。お願いします」
翌日 昼休み
会長(あぁぁ……緊張する……)
副会長「――会長、失礼します」
会長「ど、どうぞ!」
副会長「すいません。あ、隣いいですか?」
会長「どんぞ」
副会長「……会長?大丈夫ですか?」
会長「絶好調です」
副会長「そうですか……じゃあ、あの」
会長「は、はい……ど、どうぞ……残飯ですけど」
副会長「残飯なんですか!?」
会長「あ、違います!!えと、つまらないものですが」
副会長「……頂きます……はむはむ……」
会長「……ど、どうですか?」
副会長「……美味しい!流石、会長ですね!!」
会長(よっしゃ!!!イエス!!!好感触!!!!出来る娘だぞ、私!!)
会長「そ、それは、どうもです……」
副会長「会長は食べないんですか?」
会長「……な、なんだか、食欲なくて……」
副会長「あ、ダイエットしてるとか言ってましたよね?―――少しは食べてください、はい、あーん」
会長「あーん……うん、美味しい―――ぶっふうぅー!!!」
副会長「うわ!!きたな!!!」
会長「ごっほ!!ごほ!!な、なにするんですか!!」
副会長「どうしたんですか?」
会長「い、いきなり変なことするからです!!」
副会長「もう……会長、口元汚れてますよ?じっとしててください」
会長「ん……あ、ありがとうございます……」
副会長「会長って本当に面白いですね……あはは」
会長「いじわる……」
副会長「あ……会長、言い忘れてました」
会長「何がですか?」
副会長「好きです。付き合ってください」
会長「……え?」
副会長「え?」
会長「もう一回、言ってください」
副会長「はい。……好きです。俺と付き合ってください」
会長「……あの……私の聞き間違いかもしれないんですけど……好きなんですか?私のこと?」
副会長「はい」
会長「付き合うんですか?私達?」
副会長「会長さえよければ」
会長「……」
副会長「……ダメ、ですか?」
会長「……い、いい……ですよ……し、しかたないですね……こ、恋人にしてさしあげましょう……」
副会長「よかったぁ……さて、ご飯の続き、続き♪」
会長(あっれー!?恋人になるってこんなもんなんですかー!?あっさりしてるー!!)
副会長「会長?」
会長「あ!?はい!?」
副会長「もう、どうしたんですか?」
会長「な、なんでも……ありません!!」
副会長「……そうですか?」
会長「ええ」
副会長「はい、あーん」
会長「あーん……美味しい―――」
副会長「噴き出すの禁止!!」
会長「むぐう!?」
副会長「……あはは」
会長「むぐぐーん!!」
副会長「……はいはい。俺も大好きです」
会長「……はい」
放課後 生徒会室
書記「……」
副会長「会長?」
会長「なんですか?」
副会長「いや。近いです。肩とかくっついてますし」
会長「もう……いいじゃないですか……えへへ」
書記「おほん」
会長「わぁ!?いつの間に!?」
書記「最初からいました」
会長「……それで、今日の議題はなんでしょうか?」
書記「……今日は何も入ってませんでしたので、会議はなしです。はい、解散」
副会長「いいんですか?」
書記「初日ぐらい、お二人でゆっくりしてきてください」
会長「初日……?」
副会長「では、お言葉に甘えて。帰りましょう、会長?」
通学路
会長(……話題……話題……早くしないと分かれ道に……!!)
副会長「会長……」
会長「はい?」
副会長「俺、まだちゃんと聞いてません。会長の気持ち」
会長「……え?」
副会長「会長は俺のこと好きなんですか?」
会長「え……い、ぇ……それは、べつにいわなくてもぉ……」
副会長「言ってください」
会長「……どうしても?」
副会長「はい」
会長「……………す………き…………」
副会長「……会長……ん……」
会長「……ん」
会長「―――ってわぁああああ!!!!唇うばれた!!!」
副会長「ダメだったんですか?」
会長「あ、お父さんがファーストキスの相手だった!!セーフ!!」
副会長「……」
会長「あ、こ、ここで私は―――」
副会長「待ってください!」
会長「え?な、なんですか?」
副会長「今日は、少しだけ遠回りして帰りましょう……少しだけ」
会長「……す、少し、だけですよ……?」
副会長「はい。少しだけです」
会長「少しだけなら、いいです。すこしだけです……えへへ」
副会長「じゃ、今日はこっちへ」
会長「―――これからは私の補佐として近くにいてくださいね?」
おしまい。