妹「いいじゃん別に」
兄「自分の部屋があるだろ」
妹「だってお兄ちゃんの部屋の匂い好きなんだもん」
兄「…」
妹「いや部屋というよりお兄ちゃんの匂いが好きなの」
兄「…」
妹「というかお兄ちゃんが好き」
兄「…」
誰か続き書いて
元スレ
兄「何でいつも俺の部屋にいるの?」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1254923985/
兄「なんでいつも、俺の部屋に居るの?」
妹「……チッ」 がちゃ、ばたむ
兄「……はぁ、片付けるの俺なのか……なんでわざわざ、お菓子まで持ってくるんだ……しかも、ベッド汚すし」
がちゃ、ばたむ
妹「……」
兄「おい、掃除したばっかなんだが?」
妹「……チッ」
兄「チーカマ取って来ただけかよ。つか、ベッドの上で食うな。漫画ならもってっていいから、自分の部屋で……あーもう」
妹「うぜぇ……黙れよスネカジリ」
兄「お前ほどじゃねぇよ。いいからでてけ」
妹「……あ、オ○ニーすんの?」
兄「いや、そういうわけじゃなくてね」
妹「気にしないから、ほっといて。口くせーから、しゃべんな」
兄「……」
続きってこんな感じでいいのか
兄「……おい」
妹「……」
兄「晩飯なんにする?」
妹「……肉」
兄「アバウトすぎるだろ」
妹「チッ」
兄「仕方ないな……なんか作るか」
妹「……」
兄「あんまり汚すなよ」
妹「……」 がちゃ、ばたむ
兄「……なんで着いてくるわけ?」
妹「喉乾いたんだよ。しゃべんな」
兄「……」
ほすほす
兄「……野菜煮込むけど、苦手なのあったっけ?」
妹「……チッ」
兄「なんでいちいち、舌打ちもらすわけ? 何か答えるくらいできるだろ?」
妹「……にんじん、嫌い」
兄「美味しく煮込むから、ちゃんと食えよ」
妹「……うぜぇ」
兄「どうでもいいけどさ。なんでキッチンで麦茶飲んでるのさ?」
妹「……」
兄「無視するな」
妹「しゃべんな。キメェんだよ、クズが」
兄「何もしないなら、手伝ってくれないかな……鍋見てるだけでもいいかr」
妹「チッ」
兄「……」
ほすほす
兄「皿運んでくれ。それくらいできるだろ」
妹「……」 がっちゃがっちゃ
兄「もう少しこう、丁寧にだな……」
妹「チッ」
兄「んもー」
・ ・ ・
兄「いただきまーす」
妹「……」
兄「いただきまーす」
妹「……チッ、いただきます」
兄「うん、これは……ちょっと濃くしすぎたかな」
妹「……」
兄「どうよ?」
妹「……」 はふはふ
ほすほす
兄「ごちそうさまー」
妹「……さま」
兄「こんな時だけ、さっさと逃げるな。手伝……おのれ……まあいいか。作ったの俺だし」
・ ・ ・
兄「また、人の部屋に入り浸ってるし」
妹「……」
兄「食ったすぐ後に横になるなよ。消化に悪い。それと腹這いもよくないぞ」
妹「チッ」
兄「……じゃ、先に風呂入ってくる。部屋汚すなよ」
妹「ッ?」
兄「どうした?」
妹「なんでもねぇよ、カス」
兄「あそう、じゃいい子にしててくれ」
妹「……」
ほすほす
兄「うーい、上がったぞー……やっぱり居るのね」
妹「……」
兄「あれ、おーい、風呂空いたって……」
妹「すぅ、すぅ……」
兄「これは……悪戯フラグ」
妹「……」
兄「なんて、実の妹相手に、アホらしい……おい、寝るなら自分の部屋でだなぁ」
妹「すぅ、すぅ……」
兄「起きないと、乳吸うぞー」
妹「……」
兄「駄目か。ええと、タオルケット、確かここにしまったよな……お、あったあった」 ばさっ
妹「すぅ、すぅ……」
兄「……リビングで寝るか……はぁ」
ほすほす
妹「……チッ、あっちぃ」
妹「……何もしねぇし……暗いし……いくじなし」
・ ・ ・
兄「テレビ、おもしろくねぇ……BSでアニメとかやってないかなぁ……」 がちゃ、ばたむ
妹「……」
兄「お、起きたのか。テレビうるさかった?」
妹「チッ」
兄「舌打ちじゃわからんってば」
妹「面白い?」
兄「いや、あんまり。ちゃんと着替えて、あと風呂もちゃんと入れよ」
妹「……寝んの?」
兄「ああ、ベッド空いたしな」
妹「……チッ」
ほすほす
兄「ふー……なんか、疲れた……」
兄「明日もバイトかー……ん、なんか甘い匂いするな……あいつがお菓子食ってたからかね?」
兄「……寝てるときは……可愛かったのに……すぅ」
・ ・ ・
かちゃ、ぱたむ
妹「……」
兄「すぅ、すぅ……」
妹「……チッ、寝てやんの……」
兄「すぅ、すぅ……」
妹「にぃ、ずれて」
兄「ん、んん……」
妹「……チッ、せめぇ」
ほすほす
兄「暑い……せまい……誰だ?」
妹「……すぅ、すぅ」
兄「……なにこれ」
妹「すぅ、すぅ……」
兄「うーむ、俺と血が繋がってるとは思えないな。お、ほっぺたやらかいなー」
妹「ん、やぁ……」
兄「なんだと?」
妹「やだ……にぃ……」
兄「……起きるか。アホらしい」
妹「ん、んん……」
兄「起きそうにないな、こっちは……顔洗ってこよう」
妹「すぅ、すぅ……」
兄「朝飯作って……バイトかぁ……」 かちゃ、ぱたむ
ほすほす
妹「……ん、あれ……あー……ッ!?」 身だしなみを確認中
妹「……チッ、クソが……」 下着確認
妹「すぅ……はぁ……起きようかな」
・ ・ ・
兄「洗剤やべぇ……コインランドリー行くかな……つか、下着何着あるんだよ」
妹「……チッ」
兄「お、おはよう。洗濯物は、ちゃんと狙えよ」
妹「っ……死ね!」
兄「ん、ああ、悪かったよ。朝から元気だなぁ……じゃ、朝飯は用意してあるから、ちゃんと食っとくように。食器は洗ってくれると助かるけど、水につけとくだけでも別に」
妹「チッ」
兄「はいはい、さっさと出てくよ。行って来ます」
妹「……らっしゃい」
兄「やべ、単車のカギ忘れた」
妹「っ、早く行け!」
ほすほす
妹「……遊び? 行かない、と」 ぽちぽち
妹「暇だけど……今日はやめとく……調子悪い」 ぽちぽち
妹「はぁ……だる……やる事ない……」
ぴちゃん、ぴちゃん
妹「……洗い物、するか。褒めてくれるかな」
・ ・ ・
妹「……疲れた。やめときゃよかった……クソ」
妹「にぃンとこ行くか……」 がちゃ、ばたむ
妹「すぅ……はぁ……探し物、探し物……チッ、ねぇの」
妹「引き出しの一番下……裏は、あった……」
妹「眼鏡? これも、眼鏡……キメェ、フェチかよ……」
妹「こんなの、いいの?」
ほすほす
兄「ただいまー」
妹「……」
兄「昼飯は何食った?」
妹「……」
兄「ああ、カップ麺か何か……あれ、キッチン片付いてるな。インスタントの残骸も見当たらない……」
妹「っ……!」
兄「昼飯食ってないのか? ちゃんと三食食わないとだめだぞ」
妹「……チッ」
兄「なんだよもー、こっちは心配して言ってるのに……じゃあ、晩飯多めに作っとくか。あ、いつも通りでいいな」
妹「……そこじゃねぇよ、カス」
兄「? 俺、この後、出かけなきゃなんないから、晩飯一人になっちゃうけど……まぁ、平気だよな」
妹「……あ?」
ほすほす
兄「だから、バイトの付き合いでさ……世話になってる人から誘われちゃって、断れないんだ。準備だけしてくから……」
妹「……なんで?」
兄「明日、日曜だからって……まぁ酒に付き合わなきゃならんから、さすがに連れてけないだろ?」
妹「……いかねぇし」
兄「だよな。まぁ、夕飯は奮発して、チンジャオロースー作っておくから。お腹減ったら、食っといてくれ。食器は……」
妹「チッ!」 がちゃ、ばたむ
兄「……一人は、やっぱ寂しいかな……ごめんな」
まずぅ~しさにぃ~まけたぁ~♪
兄「もしもし、あ、今家です……すぐ出ますから……。いや、女の子はいらないっす。いや、二人きりもマズイでしょ? わかりました。えーと……」
ぷつっ
兄「はぁ……んじゃ、晩飯の準備するかな……」
ほすほす
妹「……」 ぐぅぅ
兄「お、機嫌はなおった?」
妹「チッ……さっさと行けよ」
兄「ラップかけとかなくていいかな?」
妹「すぐ食べる」
兄「そうか。じゃ、着替えていってくるよ」
妹「……誰と?」
兄「だから、バイト先の先輩だよ」
妹「……一人?」
兄「さぁ、二人きりはまずいと思うんだけど、よくわからねぇや」
妹「……女?」
兄「女っつーか、男らしい人だな。かっこいいとか言われてるよ」
妹「……女?」
兄「何で二回訊くんだ?」
ほすほす
妹「……女と会うのに、そのカッコ?」
兄「ん、駄目なの?」
妹「チッ……しらね」
兄「うーん、駄目なのかなぁ」
妹「ソースくせぇし」
兄「そりゃ、飯作った後だからだろ。いいんだよ。オイスターソース臭くても。王将だし」
妹「……貧乏くせ」
兄「あの人もアルバイトだからなぁ……先輩に誘われてバイト始めたんだよ」
妹「チッ、きいてねぇよクズが」
兄「あれ、なんで怒るんだ」
妹「……早く行けよ」
兄「お、こんな時間か。はぁ、じゃ行ってくる。大人しく留守番してるんだぞ」
妹「……チッ」
ほすほす
妹「……お腹減った……」 ぐぅぅ
妹「……食うか……」
妹「……美味くない……クソ」
妹「誰だよ、先輩って……」
・ ・ ・
じゃー、きゅっきゅっ、からん
妹「……ふぅ、残りは冷蔵庫いれとこ」
妹「暇だ……にぃンとこ行こ」
がちゃ、ばたむ
妹「……ソース臭い。ファブれよ、カス」
妹「にぃの匂い……どこ……」
妹「……ん、にぃ……ばか」
ほすほす
がっ、がちゃがちゃ……ばたむ
兄「……先輩、人の肩で寝ないでください」
先輩「ん、あー……やー、酔っちゃって、ごめんねー」
兄「もうちょい静かにお願いしますよ。妹が寝てるかもしれないんで」
先輩「おほ、実家ですか? お父様、ふしだらな娘ですが、どーか」
兄「取り敢えず実家じゃないんで、アパートの玄関で三つ指つくのはやめてください」
先輩「んえ? なんで、君んちいんだっけ? お持ち帰り? やだぁ、見かけによらず、狼少年なんだからぁ」
兄「細々と突っ込みたいですが、水を用意しますから、黙っててください」
先輩「突っ込みたいだなんて、イヤン、情熱的」
兄「……頼む、寝ててくれ、妹……」
妹「……チッ、なんだよ、それ」
兄「……取り敢えず、申し訳ない」
妹「死ね、クソが」
兄「お怒りはご尤もだが……手心とかほしいなぁ」
ほすほす
先輩「ん~、なんだ、可愛い生き物が発見されたし」
兄「日本語をしゃべってください。それは妹です」
妹「……チッ」
兄「ちょっと相手しててくれ。水と、あと……風呂までは要らないか。すこし落ち着いたら、家まで送っていこう……ぶつぶつ」
先輩「うはぁ、ほっぺたがぷにぷにして、きもちぃぞ~」
妹「っ、離れろ、気持ちわりぃ! くせっ、なにこれ、ちょっと、にぃ!」
兄「ああもうっ、鼻フックはマニアックすぎるからやめたげて! とにかく、引き剥がすから、ええと……」
先輩「ん~、これ抱き枕にしていい?」
妹「殺す、こいつっ……」
兄「暴力は駄目だってば、抑えて抑えて……くぬっ、何この怪力……」
先輩「んふ、むにゃむにゃ……」
妹「……」
兄「……寝た?」
妹「チッ……」
ほすほす
兄「はぁ……酷い目にあった……一人で食うわ飲むわで、忙しい人だよ、まったく」
妹「……うっぜぇ」
兄「酒癖はよくないな、たしかに。でもまぁ、いい人だから」
妹「……酒癖悪いと、男の部屋転がり込んでも、いいんだ?」
兄「いやまぁ、一度、ここに連れてこないと……ほら、終電終わってるから、単車で送ってかなきゃいけないだろ」
妹「そうじゃねぇよ、馬鹿」
兄「……そんな風には、見られてないよ。それに、俺のほうも、妹が居る隣で、そんな不謹慎な事はできない」
妹「……チッ」
兄「まぁ、無防備ではあるかもね。普段が、男らしいだけに」
妹「……アホ臭、寝る」
兄「ああ、ごめんな」
妹「……」
ほすほす
妹「……にぃ? 寝てんの?」
兄「ん、んん……」
妹「チッ、飲酒運転するつもりかよ。アホか」
がさがさ
妹「? ……酒乱か?」
じゃあー……ぱたむ
先輩「うう~、すっきりした……ん? 妹ちゃんかな、噂の?」
妹「……下痢ピーか」
先輩「いや、リバースかな」
妹「きったねー」
先輩「ごめんよ、人ん家でさ……あー、出したらお腹減った……なんかない?」
妹「……チッ」
先輩「お、舌打ちは、よくないよ若者」
妹「うっせぇ、ババア」
ほすほす
先輩「ば、……そういう君は、初潮くらいは迎えたのかなァ?」
妹「あ? 蜘蛛の巣張ってる奴に言われたくねーし」
先輩「……可愛い顔して、言うじゃないの……まあいいけどさ。カレは?」
妹「……寝てる。誰かさんに飲まされたお陰で」
先輩「付き合いのいい奴だよ。あたしのお気に入り」
妹「……チッ」
先輩「で、なんか無い? 吐いちゃうと、酔いが回っちゃってさー、そんで養分も足りなくなるワケよ。子猫ちゃんには饐えた話題かなぁ?」
妹「……水でも飲んでろ」
先輩「んぁ、つれないなぁ、兄くんとは大違いだねぇ……お、冷蔵庫はっけーん」
妹「おいコラ」
先輩「ん、ちーんじゃーおろーすー!」
妹「それは、あたしんだ!」 どかっ
先輩「あたっ」
ほすほす
兄「……ん、やべ、寝てた……」
先輩「いったぁ……ちょいと、おイタが過ぎんじゃないの?」
妹「っせぇ、人ン家にズカズカあがり込んで、好き勝手に冷蔵庫漁ってんじゃねぇよ、この阿婆擦れ」
先輩「おっとぉ? これは、少しばかり、目上の人間に対する口の利き方を、矯正して差し上げる必要がありそうですなぁ?」
妹「グダグダ言う間に冷蔵庫閉めろや。温度上がって、電気代かかんだろうが、クズが」
兄「……寝てようかな。いや、駄目だな……おい、二人とも。ちょっと落ち着こうか」
先輩「お、騒ぎの原因」
妹「チッ……」
兄「いつの間に原因になったんですか。取り敢えず、冷蔵庫閉めてください。温度が上がって電気代かかっちゃうんで」
先輩「おっと、はいはい……さぁて、これから、あたしと兄くんとのコンビネーション説教タイムが」
兄「始まりません。先輩、それだけ呂律が回れば、もう平気ですね」
先輩「……う、酔った振りしたほうがいいかな?」
妹「……うぜぇ」
兄「送りますよ。さ、上着ちゃんと着て」
ほすほす
妹「……おい」
先輩「んん?」
妹「にぃ、兄貴に手を出したら……本気で殴るからな」
先輩「その呼び方、可愛いね。あたしも『にぃ』って呼んでいい?」
妹「っ、てめぇ」
先輩「血が繋がってるって、お得ね。いつも傍にいても、何も言われないし……」
妹「……」
先輩「でも、それ以上は、無理だけど?」
妹「ッ……」
兄「先輩、何してんすか?」
先輩「はいはーい、今行く、今行く~……『にぃ』って可愛い呼び方ね。でも、あたしには必要ないわ。年下だし、血が繋がってるわけでもないもの」
妹「……どっか、行け。お前なんか、どっか行け!」
先輩「バイバイ、またね、妹ちゃん」
妹「……チッ!」
ほすほす
兄「先輩、妹と何か話してたんですか?」
先輩「……妹ちゃん、高校生だっけ?」
兄「まぁ……事情があって、家族が離れ離れなんで、通う場所が近いから、二人で暮らしてるんですよ。二人で部屋借りたほうが、効率的ですし」
先輩「ふーん、ちょっと口悪いけど、可愛い妹さんね」
兄「友達とかとは、普通みたいですけど……先輩にまであんな風に喋るなんて思ってなかったですよ」
先輩「女の子なんて、ああいう感じじゃない? けっこう、口悪くなったりするんだよ、日常だと」
兄「そうなんですかねぇ。てっきり、あんまり好かれてないのかと……ほら、俺ちょっとオタクっぽいって言うか、あんまり今っぽくないから」
先輩「清潔にしてりゃ、少なくとも嫌われはしないでしょ。その点で言えば、君は合格」
兄「そうですか……でも、清潔かぁ……あいつはそんなの、あんまり考えてないかも……だって、たまに俺のベッドで寝てたりしますし」
先輩「……へぇ」
兄「たまに、ですけどね。ほかにも……」
先輩「? なに?」
兄「いや、なんでもないです」
先輩「……ふぅん」
ほすほす
先輩「ふぅ、やっと着いた……けっこうゆっくり運転だったね」
兄「自分も、酔っ払いなんで、人を乗せてるからには、安全に運転しないと。それに、この時間は、裏道通れば、ほとんど車通り無いし」
先輩「あらあら、帰りも酔っ払い運転しちゃうの? 危ないんじゃない?」
兄「はは、行き以上に危なくなる事は無いと思いますよ」
先輩「どうせなら、もっと危ないトコに来てくれればいいのに」
兄「……先輩、まだ酔ってますね。部屋までは、送らなくて平気ですか?」
先輩「平気じゃないって言ったら?」
兄「訊いてきた時点で、頭がちゃんと働いてる、と判断します」
先輩「……つまんないなぁ。もっと積極的になっても、損はしないよ」
兄「……酒の勢いに任せてってのは、どうも……じゃ、俺は帰ります」
先輩「妹ちゃんが、待ってるから?」
兄「? 妹は関係ないと思いますが、まぁ……帰らないと、ちょっとは心配されると思うんで。おやすみなさい、先輩」
先輩「おやすみ……お馬鹿ねぇ。こっちもいっぱいいっぱいだっての」
ほすほす
がっ、がちゃがちゃ……ばたむ
兄「……ふぅ、忙しい一日だった」
兄「……妹、寝てるかな……迷惑かけたし、一言謝っとくべきだったなぁ」
兄「風呂入って、洗い物して……それから、寝よう」
妹「おい」
兄「んぁ? まだ起きてたのか?」
妹「……」
兄「なに?」
妹「酒と化粧臭い」
兄「あ、ああ、ごめん。風呂入ってくる……いや、寝ろよ」
妹「……」 こぽこぽ
兄「いや、コーヒーはいいから、ってお前のかよ」
妹「風呂入ってこい。くせぇんだよ」
兄「……はい」
ほすほす
兄「あー、いい湯だった。シャワーだけど」
妹「……チッ」
兄「なんだ、いきなり舌打ちか」
妹「……上を着ろ。変態」
兄「ん、そうか。勝手に添い寝してくる奴に、変態呼ばわりか」
妹「チッ」
兄「その癖、やめたほうがいいぞ。将来、絶対後悔するからさ」
妹「……あたしの勝手だし」
兄「親父にはそうそう会えないんだから、あれこれ言う奴がいないと駄目だろ」
妹「……あの女は?」
兄「ちょっとは会話をしようぜ」
妹「……」
兄「ちゃんと送ってきたよ。部屋に誘われたような気もしたけど……そんな時間でもなかったから断ってきた」
妹「……ふん」
ほすほす
兄「で、どうかな?」
妹「は? ……っ!?」 がたたっ
兄「あれ、驚かせたか? もう酒臭くないかと……いやまぁ、明日出かける用事とか無いんだけどさ」
妹「……いきなり近づくな」
兄「ごめん、そんな驚くとは思わなくて」
妹「チッ……」 すんすん
兄「……やっぱりあの女のニオイがする、とか怖いこといわないでくれよ」
妹「……」 すんすん
兄「あの、流石にちょっと恥ずかしくなってきたんですが」
妹「……あ、うん」
兄「あれ……お前、もう寝たほうがいいんじゃない? 顔色悪いぞ」
妹「うるさい……ばか」
兄「ええと、調子狂うんだけど」
妹「……」
ほすほす
兄「まあいいや……今日は疲れた。今日っていっても、もう日曜になっちゃってるけど」
妹「……ん、あたしも」
兄「というわけで、俺は寝るよ。おやすみ」
妹「……おやすみ」
兄「……」
妹「……」 がちゃ、ぱたむ
兄「普通に、俺の部屋に来るのね」
妹「チッ……」
兄「何コイツ、みたいな顔で睨むなよ。まるで俺の部屋じゃないみたいじゃないか」
妹「さっさと寝ろよ」
兄「何プレイだ、これは」
妹「……」 くいっ
兄「顎でベッド行きを促すな。何様だ、お前は」
妹「……チッ」
ほすほす
兄「……はぁ、やっぱり、自分の寝床が落ち着くなぁ」
妹「詰めろ」
兄「なんで我が物顔なんだよ、いちいち」 ずりずり
妹「向こう向け」
兄「……はぁ」 もそもそ……ぎっ
妹「よ、と……布団」
兄「あいよ。おとこくせぇ寝床へようこそ」
妹「……おやすみ」
兄「はいはい、おやすみ……何処で突っ込めばいいんだ」
妹「……」
兄「聞く耳無しかよ……まあいいや、ホント疲れた……ふぁあ……」
妹「……おやすみ、にぃ」
兄「すぅ、すぅ……」
ほすほす
妹「……にぃ」
兄「すぅ、すぅ……」
妹「大学、卒業したら……にぃ、どうすんの?」
兄「すぅ、すぅ……」
妹「あたしたち……また、離れ離れかな?」
兄「ん、んん……」
妹「……」
兄「すぅ、すぅ……」
妹「にぃ、独り立ちしたら……もう……」
兄「すぅ、すぅ……」
妹「にぃ……いやだ、行かないで……」
兄「すぅ、すぅ……すぅ……」
妹「……」
兄「……」
ほすほす
兄「……疲れて眠たかった筈なんだけどな……まあ、聞かないほうがよかったんだろうなぁ……」
兄「夢、コレは夢ってことで……お前も、それでいいよな?」
妹「すぅ、すぅ……」
・ ・ ・
妹「……おい」
兄「ん、んん……?」
妹「朝だ。起きろ、クソ虫」
兄「……朝っぱらから、マンモスつめてぇ」
妹「マンモス? 何世代だてめぇ」
兄「青いうさぎを知らないのか……いや、今はあんまりいい話題じゃなかったな……ふぁ、眠い」
妹「……寝てろ」
兄「いやまぁ、別に二日酔いとかじゃないんだけど……なんか、寝不足で」
妹「飯、作ってくる」
兄「……なんだと?」
ほすほす
妹「……チッ、寝てろつったんだけど?」
兄「い、いや、新手の目覚ましかと思って……」
妹「ンだよ、うぜぇ」
兄「なんか、いつにも増して、不機嫌な感じだな。ホントに寝てたほうがいいの?」
妹「……好きにすれば」
兄「ああ……ええと、目玉焼きならフタをちゃんと……あと、火が強い」
妹「チッ……」
兄「味噌汁はダシが、そこの戸棚に……あと、味噌入れてから煮詰めるのもNGだぞ」
妹「……おい」
兄「はい?」
妹「……指切った」
兄「……取り敢えず水道でちゃんと洗ってな。絆創膏は……と」
ほすほす
兄「ふぅ、こんなモンかな……あれ、なんで俺、寝間着で朝食作ってんだ?」
妹「……チッ」
兄「まぁ、休日だしいいか」
妹「……こっちでいい」
兄「そっちはちっこいだろ。お前が作ったんだから、俺が食うよ」
妹「言ってる事がおかしい」
兄「妹の手料理。兄としちゃ、割と夢だったんだな、これ」
妹「……チッ」
兄「じゃ、いただきまーす」
妹「……ます」
兄「……ん、どうした?」
妹「別に」
兄「そんなに、すぐに巧くはならないよ。俺も最初のうちはひどかったろ。お前がやらないから、こうなったんだよ。たまにはこれでもいいけど」
妹「……チッ」
ほすほす
ふたりはぁ~かぁれすすきぃ~♪
兄「ん、メールか。食事中だってのに……」
妹「……」
兄「……」 こと
妹「なに?」
兄「いや、一緒にご飯食ってるとこかって、先輩が。今、頭痛で目が醒めたってさ」
妹「……チッ」
兄「酔ってたんだよ、許してやってくれ」
妹「……許さね」
兄「お前に、ごめんねって」
妹「嘘くせぇ」
兄「……なんでそんな嫌いなんだ」
妹「別に……」
兄「はぁ、女同士はわかんないなぁ……」
ほすほす
ふたりはぁ~ピッ
兄「うは、またお誘い来てるよ……」
妹「断れ」
兄「でも、先輩の誘いだし」
妹「……断れ」
兄「……そうだな。あの人も二日酔いだろうし、無理させちゃ悪いし」
妹「……」
兄「ええと、妹が心配するのでやめときましょう、と」 ぽちぽち
妹「ふっ……」
兄「あれ、なんで笑うんだよ?」
妹「……別に。食器片す」
兄「お、今日はやけに頑張るな。食後のお茶でも淹れるか」
妹「……ん」
ほすほす
兄「今日、天気いいなぁ……」
妹「……」
兄「お前、友達と遊びに行ったりしないわけ?」
妹「……携帯の電池切れてた」
兄「充電しとけよ」
妹「……今日は、予定無し」
兄「天気いいのに、若い娘が、勿体無い」
妹「……チッ」
兄「どっか、出かけるか?」
妹「……はぁ?」
兄「ゲーセン行こうぜ。KOFやろうぜ」
妹「……うぜぇ」
兄「KOFは冗談だけど、どっかでかけよう。どうせ暇だし」
妹「うぜぇ……着替えてくる」
ほすほす
兄「……歩いていけるトコがいいよな。単車で2ケツするの、嫌だし」
妹「あの女、乗せてたじゃん」
兄「非常時だったからなぁ……一人で乗るもんなのさ」
妹「ケチくせぇ」
兄「でっかいの買えるくらいになったらな。大学生に無茶言っちゃイカンよ」
妹「……」
兄「先のことなんて、わかんないけどな」
妹「……何処行くの?」
兄「まだ決めてない……」
妹「……」
兄「……いや、今日の行き先な」
妹「……チッ」
ほすほす
兄「もうすっかり秋って感じだけど、日が照ってるとまだまだポカポカしてるな」
妹「……」
兄「そんで、くっ付いて歩くと、けっこう暑い」
妹「……」
兄「今更だけど、なんで腕組むのさ?」
妹「チッ」
兄「舌打ちのタイミングじゃないよね」
妹「末端冷え性なんだよ」
兄「お前、布団の中で、手ェすごく熱かったぞ」
妹「……」
兄「だんまりかよ。せめてこっち向けよ」
妹「……うっせぇ」
兄「はぁ、何処行くかなぁ……座れるとこじゃないと、ちょっとこのまま歩くのは疲れそうだ」
ほすほす
兄「無難に、駅前のショッピングモールにでも行くか。けっこう近いし……」
妹「服を買おう」
兄「小遣いの範囲で、買える服があるのか?」
妹「……財布ならもう一つある」
兄「はは、こいつは傑作だ。いつも以上にベタベタしてるのは、そういうわけか」
妹「……ふっ」
兄「……ほどほどにしてくれよ。そんなに稼いでるわけじゃないんだから……っと」
まぁずぅしさにぃ~♪
兄「……もしもし、先輩ですか? ……そりゃ、暇でしょうけど……いや、今は妹と買い物に──」
妹「切れ」
兄「え、あ、いや……ちょっと音の調子が──」
妹「デート中だ、切れ」
兄「……すいません。ちょっと立て込んでまして……また、お電話します。では」
妹「……チッ」
ほすほす
兄「先輩も大概、おちょくるのが好きだな……」
妹「デリカシー」
兄「え、何の話?」
妹「……チッ、女と出かけてる最中に、別の女の話をする。アホか」
兄「いや、先輩はただの……それにお前、妹だし」
妹「今は……デート中」 ぎゅむ
兄「……妹とデートってのもなぁ……いたいいたい、あんまり腕を引っ張るな」
妹「……」
兄「何処に行く気だよ」
妹「何処か入る。疲れた」
兄「疲れたって足取りか! ったく……」
妹「……グズグズすんな」
兄「はいはい、んもー」
ほすほす
兄「……あんみつなんて、好きだったっけ?」
妹「……パパが好きだった」
兄「だっけ。俺はあんまり覚えてないな。別居したりくっ付いたりで、忙しかったし……とにかくお前が寂しくないかって、心配だったし」
妹「……チッ」
兄「親父ンとこにいたなら、もう少し礼儀正しい女の子になってたと思うんだけどなぁ」
妹「……パパとあんみつ食べた事くらいしか、覚えてない。他は、無茶苦茶」
兄「そういや、二人暮らし始めた頃、お互い何も知らなかったよな。親の事も含めて、ばらばらでさぁ」
妹「……にぃ、兄貴の事は覚えてた」
兄「ホントに子供頃は、いっつもいっしょだったしな。その頃は、もっと頻繁に『にぃ』って呼んだっけ」
妹「……」
兄「なつかしいよな。実を言うと、もううろ覚えだけど……大事な事だってことは、覚えてるよ」
妹「……家族だから?」
兄「ああ。一番のんびり、家族を実感してたかも」
妹「……そう」
ほすほす
兄「ふぅ……割といい店だったな」
妹「……」
兄「もう、腕はいいのか?」
妹「……腹ごなしだよ」
兄「昼飯まで奢らせる気かよ……まぁ、安いトコならいいけど」
妹「……行くか」
兄「そんな、戦場に赴くみたいに、服屋を目指さなくても、いいと思うぞ。まずは、古着とか、リーズナブルなものをだな」
妹「……来いよ兄貴、怖いのか?」
兄「おめぇなんか、こわかねぇ……しかし、出費は恐ろしいんだ。解れ」
妹「ふっ……ふふ」
兄「別に笑えることじゃないだろ」
妹「……た、楽しいだけ……ふふ……」
兄「まあ、いいけどな。金が減らない分には」
ほすほす
兄「おーい、あんまり遠くに行くなよ」
妹「……遅い」
兄「そんなに急いで見て回らんでも、服は逃げないだろうに……」
妹「これ」
兄「? それが?」
妹「どう?」
兄「どう、とは?」
妹「……チッ」
兄「舌打ち顔には、似合わないな。もっとほら、こう……笑ってみるとか」 うにゅ
妹「……」
兄「いや、抵抗するとか振り払うとか、しようよ。やり損じゃん」
妹「……うん」
兄「個人的には、もうちょっと落ち着いた色のほうが好きだけど……俺、ちょっと地味なの好きだからなぁ……すまん、わかんねぇや」
妹「……わかった」
ほすほす
妹「これは、どう?」
兄「いや、どうって……俺の好みに合わせても意味無いと思うんだけどな。可愛いけどさ」
妹「わかった。これでいい」
兄「話半分しか聞いてないだろ」
妹「……うぜぇ、いいつってんだろーがよ」
兄「その野郎口調、なんとかしなさいよ。台無しじゃんよ」
妹「……そんな簡単に人間がかわるもんじゃねぇし」
兄「努力の形跡がまったく無いのも、どうかと思うけど……まあいいや、とにかくそれくらいでいいんだな。なんとか……たかっ」
妹「……兄の甲斐性」
兄「うるせぇ。ったく、そして私は潰される」
妹「ふっ……」
兄「だぁ、もう、商品片手に腕を組むな。邪魔になんだろうよ」
妹「……」
兄「はぁ……」
ほすほす
兄「散財だな……まぁ、いいけどさ。人の役にたつ金なら、プライスレス」
妹「……しばらくは着ないけど」
兄「使えよ。せっかく買ったんだから」
妹「ちょっと地味だし」
兄「言わんこっちゃない……そう思うんだったら、俺を基準にするなって話だよ」
妹「これは、次のとき着ればいい」
兄「次って……そういう相手いるのか? 俺みたいなやる気無い感じのは駄目だぞ」
妹「……チッ」
兄「なんだよ」
妹「……つぎも、にぃでいい」
兄「はい?」
妹「次は、これを着る。嬉しい?」
兄「……嬉しい、のかなぁ。よく解らんけど」
妹「チッ」
ほすほす
妹「……にぃ、その時、ちゃんと可愛いって言えよ」
兄「自分の妹がほんとに可愛くないと思ってる兄貴は、多分いないと思うぞ」
妹「ちげぇよ、馬鹿だな」
兄「……ちゃんと着てる姿は見てないし、そのときになって見ないとわかんないな」
妹「そん時は、嘘でも言え」
兄「だから、自分の妹をだな」
妹「妹じゃなくても」
兄「妹じゃなかったら、何なんだよ」
妹「あたしだよ。妹じゃなかったら、あたししか残らない。それでも多分、あたしは」
兄「待った。そこまでにしよう。話が変な方向にいってるぞ」
妹「……」
兄「飯にしよう。腹でも膨れれば、落ち着くだろうさ」
妹「……わかった」
ほすほす
兄「ごちそうさまー」
妹「……さま」
兄「……ジョイフルって九州にしかないもんだと思ってたけど、最近は」
妹「にぃ」
兄「……ん?」
妹「次は、ちゃんとあるのかな」
兄「次……さぁな」
妹「あたしが言い出して、にぃが断ったら……もうしない」
兄「……」
妹「この服、着られるかな……その前に、居なくなったりしないかな……」
兄「ずっと先だろ、いずれまた、離れなきゃならない。子供のままじゃいられないし、兄弟がずっと一緒ってのも妙な話だ」
妹「イヤだって言っても?」
兄「昔から、我侭すぎるぞ」
妹「……」
ほすほす
兄「それになぁ、ずっと一緒って嫌だろ。俺は一人でもいいけど、お前はどっか嫁に行くかもしれないだろ。そんなとき、こんなのが一緒に居たら、邪魔にしかならねぇ」
妹「嫁に行かないって言ったら?」
兄「それが、コロッと何処の馬とも知れない坊ちゃんあたりに、ぶつかっちまったりするんだな。それで、人知れずホロッときちゃうわけだ」
妹「にぃ……そうなってほしいわけ?」
兄「そうだな。ずっと一人で居るより、支えてくれる奴が一人は居たほうがいい筈だろ」
妹「なんで?」
兄「ぶきっちょだからな、一人じゃ可愛そうだ」
妹「……にぃのとこがいい」
兄「馬鹿野郎。いつまでも面倒見切れるかよ」
妹「一人で出来るようになるから」
兄「……お前」
妹「まだ、あたしガキだから、何にも出来ないけど、にぃにちゃんと認めてもらえるようになるから……傍に、居させてよ」
兄「おまえな、ホントそういうの……惚れた相手に言ってやれよ」
妹「……言ってるもん」
ほすほす
がちゃ、ばたむ
兄「……明日も、講義か……今日みたいなのは、ホント勘弁だよ……」
妹「詰めろ」
兄「何、普通に居るんだよ」
妹「詰・め・ろ」
兄「わかったよ、んもー」 ずりずり
妹「よ、と……」 ぎっぎ
兄「……なんだよ、家に帰ってから、一言も口きかねぇくせに……」
妹「……もう言わね。口で言っても知らん」
兄「なんだそれは」
妹「諦めるまで、傍にいる。ずっと……」
兄「……ずっと、俺のベッド、狭いままか」
妹「諦めろ」
兄「……まあ、いいけどな。諦めるまで……チッ、しょうがないな」
おしまい