関連
幼馴染「ずっと前は好きだったよ」 男「えっ」【前編】


343 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/19 21:06:44.01 0GjaN4Ia0 218/439

7月
放課後 帰り道
「同窓会?」

幼馴染「うん。今度の土曜日にやるんだって。夏休みに入ると、みんな忙しいだろうから、その前にやりたいみたい」

「5月くらいにやったんだろ? 同窓会って1年に一回くらいじゃないのか」

幼馴染「この間集まった時に盛り上がったからね。近いうちにやろうってことになったんじゃない」

「ふーん……」

幼馴染「今回は一緒に行こうね!」

「いや、行かないけど」

幼馴染「言うと思った……」

344 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/19 21:25:28.09 0GjaN4Ia0 219/439

「誘われたならともかく、俺には連絡さえきてないから」

幼馴染「大丈夫。幹事に言っておいたから。男も連れていくから、って」

「……前から聞きたかったんだけど、幹事って誰がやってんの?」

幼馴染「生徒会長覚えてる? あの人だよ」

「あー……やっぱり、あいつか」

345 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/19 22:16:40.29 0GjaN4Ia0 220/439

「……あいつと連絡とってたんだな」

幼馴染「同窓会関連では、ね。それ以外でもメールくることはあるけど、忙しいからあんまり返信してないよ」

「そっか……」

幼馴染「……」ニヤニヤ

「……何だよ」

幼馴染「安心してくれたみたいで良かったなー、と思ってさ」ニコッ

346 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/19 22:22:59.60 0GjaN4Ia0 221/439

「まあ、俺のことはいいから、同窓会楽しんでこいよ」

幼馴染「男が行かないなら、私も出ないよ」

幼馴染「……なんて言うと思った?」

「えっ」

幼馴染「期待してるようだから、ちゃんと言っておくけど私は出るよ。友だちと会える機会だもん。そして、男も必ず連れていく」

「だから、俺はいいって」

幼馴染「ダメ。一緒に来て、クラスのみんなにちゃんと報告しようよ」

「何をだよ」

幼馴染「私たちが付き合ってること」

「……誰も信じないんじゃない?」

幼馴染「その場合はキスでもするよ」

347 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/19 22:33:49.26 0GjaN4Ia0 222/439

幼馴染「ねえ、いいでしょ。行こうよー」

「でも、俺が行ったら場を盛り下げるだけだし……」

幼馴染「私は楽しいけどね」

「どうしていいかもわかんないし……」

幼馴染「私の傍にいればいいよ」

「それに、会いたくない奴だって……」

幼馴染「私に会えればそれでいいでしょ」

「……」

幼馴染「まだ続ける?」

「……行かせていただきます」

348 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/19 22:59:35.93 0GjaN4Ia0 223/439

翌日
昼休み 北高 3年生教室
(同窓会か……あいつも来るんだよな。幹事だもんなあ……)

???『君はあの子に相応しくない』

(……相応しくない、か……)

「なーに、暗い顔してんのよ」ペチ

「……」

「え、何で泣きそうなの? 気持ち悪いんだけど」

350 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/19 23:16:45.51 0GjaN4Ia0 224/439

「君が同窓会に参加するなんて想像できない……」

「仕方ねえだろ。幼が付き合ってることをみんなに報告したいから一緒に来てって言うんだから」

「なにそれ、大丈夫なの?」

「……まあ、暗黒の中学時代に養ったスキルを駆使すれば、多少の恥ずかしさぐらいどうにでもなるさ」」

「いや、君のことはどうでもいいんだけど」

「少しくらい心配しろよ」

「それは幼の仕事でしょ」

351 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/19 23:25:30.99 0GjaN4Ia0 225/439

「私が心配なのは、君みたいな冴えない男子を彼氏として紹介することで、彼女が悪く言われないかってことなのよ」

「なんで、幼が悪く言われるんだよ」

「いいかい? 女の子ってのはね、格付けしたがる生き物なの」

「ああ、バラエティ番組でやってたな」

「あんなもんじゃないよ。普通の女子はもっと陰湿」

「陰湿……」

「あ、陰湿って言葉がわからない? ええっと、陰湿の意味はね……」

「それくらいわかるわ!」

352 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/19 23:32:42.51 0GjaN4Ia0 226/439

「ごめんごめん。私もこの手の話は苦手でね」

「お前に苦手な物があったとは驚きだね」

「私だって女の子なの。で、さっきの話の続きだけど」

「女子っていうのは、周囲の人間を格付けしていくわけよ。容姿、偏差値、部活の成績……色んな事で格付けするの」

「それで言ったら、幼って上位になるんじゃないの?」

「まあ、そうだね。スタイルはいいし、顔も可愛い。勉強だって西高に入るくらいだから悪くはない」

「だろ?」

「ドヤ顔しているところ悪いけど、君のせいで彼女が上位から最下層に一気に転落することになるかもしれないんだよ」

「えっ?」

「言ったでしょ。格付け内容は多岐にわたるって。彼氏の出来っていうのも、重要な審査ポイントなのよ」

「……俺の出来なんて、幼の評価には関係ないだろ」

「そういうわけにはいかないのよ。女の子にとってわね」

353 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/19 23:40:52.38 0GjaN4Ia0 227/439

「まあ、幼のことだから、周りにどう言われようが気にしないだろうけどね。なんなら、相手が音を上げるまで君の良さを語りまくりそう」

「……」

「……どうしたの男くん?」

「あいつの言うことは正しかったんだな……」

「えっ?」

???『君はあの子に相応しくない。君が傍にいるだけで、あの子の評判が悪くなってしまうよ』

「……その通りだよな」

「お、おーい」

「……」ズーン

(あれ? 私、余計なこと言っちゃった?)

354 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/19 23:43:28.79 0GjaN4Ia0 228/439

後輩「お姉ちゃん、男先輩と一緒だったのですか。探したんですよ、もう」

「い、妹……」

「……」

後輩「……男先輩、どうしたのですか? 顔真っ青ですよ?

「……放っておいてくれ」トボトボ

後輩「……どうしたのですか?」

「さ、さあ……」

後輩「まさか、お姉ちゃん……」

「わ、私は何もしてないってば! 妹に誓って、男くんを言葉責めしてない!」

後輩「私に誓ったところでたいした効力はないと思いますよ……」

359 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/31 00:49:08.11 HvqKAVEK0 229/439

放課後 西高 正門前
(……どうしよう。このままじゃ、幼が悪く言われてしまう)

(やっぱり、同窓会に行かないほうが……いや、ダメだ。俺が行かないとしても、幼は参加するんだ)

(そうなった場合、あいつが何をするか……)

生意気娘「他校の正門前で陰気な空気漂わせてんじゃねえよ」

「キョンさん……」

生意気娘「お前といいマネージャーといい、あだ名にさん付けするのが流行ってんの? それともただ馬鹿なの?」

「……キョン吉?」

生意気娘「OK。わたしを馬鹿にしたいってことだな」

360 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/31 00:53:17.27 HvqKAVEK0 230/439

生意気娘「あんたさあ、部長を迎えに来たんだろ? なんで、そんなに暗い顔してんの?」

「性格、かな……」

生意気娘「まあ、見るからに根暗だもんな。本当、お前と部長って正反対だよな」

「ですよね……」

生意気娘「それそれ、そうやってぼそぼそ話すとこな」

「どうしたらいいのかな……?」

生意気娘「そうだな。性格はそうそう直らねえだろうけど、話し方とか工夫すれば? それだけで印象は随分変わるから」

「それだけで……?」

生意気娘「ああ。他には服装とか髪型を変えたりとかな。そうすりゃ、見た目上は爽やかな感じになるだろうよ」

「爽やかな感じに……?」

生意気娘「そうだよ。お前だってちゃんと努力すれば、彼氏っぽくなるんじゃねえの」

「それだ!」ガバッ

生意気娘「!?」

361 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/31 00:54:52.02 HvqKAVEK0 231/439

「ね、ねえ! 俺はどうすれば幼に相応しい彼氏になれるかな!?」

生意気娘「ば、馬鹿! 離せよ!」

「あ、ごめん……」

生意気娘「やめてくれよ……こんなところ部長に見られたら、何本ダッシュさせられるか……」

「いや、さすがに私怨で罰走させたりしないでしょ……」

362 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/31 00:59:24.83 HvqKAVEK0 232/439

生意気娘「どうすれば部長に相応しい彼氏になれるか、ねえ……」

「うん! 是非、アドバイスしてほしいんだ!」

生意気娘「あー、その悪いんだけど……わたしはそういう話、向いてないんだよ」

「でも、さっきは教えてくれたじゃないか」

生意気娘「あれは一般論を言っただけだ。具体的にどうすればいいってのはわからない」

「じ、じゃあ、他に誰かそういうことに詳しい人はいないかな?」

生意気娘「そう言われてもな……」

???「珍しい組み合わせだねー」

生意気娘「そうだ。身近に恋愛脳がいたんだった」

副部長「へ?」

363 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/31 01:03:06.58 HvqKAVEK0 233/439

副部長「うーん……それは難しい話ですね」

「どうにもならないくらい釣り合ってない……?」

副部長「そんなことないですよ。まあ、男さんと部長は、その……意外性のあるカップルではありますが……」

生意気娘「お前、言葉を選べたのか……」

副部長「あんたとは違ってね。それで、あたしが難しいと思うのは、男さんどうこうってよりも、部長の気持ちなんです」

「幼の気持ち?」

副部長「そうですよ。周りがどう思おうと、部長が男さんに満足しているのなら、無理にイメチェンする必要はないわけです」

364 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/31 01:06:06.65 HvqKAVEK0 234/439

生意気娘「まあ、今のままでも特に不満はなさそうだしな」

副部長「でしょ? 下手にイメチェンしたほうが、部長はショック受けそうじゃない?」

生意気娘「そうか? それはそれで賞賛しそうだけど」

副部長「確かに……」

「え、えーと……」

生意気娘「まあ、特に変わる必要はないんじゃねえの」

副部長「そうそう。そのままでいいと思いますよ」

「でも、俺がこのままだと幼が悪く言われるんだよ!」

副部長「部長が?」

生意気娘「誰に何を言われるんだよ?」

「……中学の同級生に、あんな彼氏と付き合うなんて、みたいな……」

生意気娘「……むしろ、そんなこと言った人間に同情するね」

副部長「まったくダメージを受けないどころか、目を輝かせて男さんの話をするんだろうなあ……」

「……?」

365 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/12/31 01:16:35.85 HvqKAVEK0 235/439

「助けてくれないのかい……?」

生意気娘「助ける必要ないし」

副部長「むしろ、手を出したほうが怖いですし」

生意気娘「確かに。こうやって、話していること自体、見つかったらどうなるか……」

副部長「そういえば、キョン、男さんと二人で話してたよね」

生意気娘「お、おい! 部長には言うなよ!」

副部長「言うわけないじゃない。連帯責任でバスケ部全員が罰走させられそうだし」

生意気娘「ははは。月まで走れ! とか言いそう」

???「月? 甘い甘い」

副部長&生意気娘「あ」

幼馴染「木星まで走りなさい」

368 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/04 23:30:27.30 ztzexV/Y0 236/439

幼馴染「二人がそんなに走りこみをしたかったなんて知らなかったよ」

副部長「ち、違うんです!」

幼馴染「何が違うの?」

副部長「確かにあたしは男さんとお話をしていましたけど……」

幼馴染「さて、木星までの距離を検索しようかな」

副部長「ちょっと、待ってくださいって! あたしは被害者なんです! 巻き込まれただけなんです! 罰するならこの二人だけにしてください」

幼馴染「……どういうこと?」

副部長「あたしが正門に来たら、男さんとキョンが二人で仲睦まじく話をしていたんです!」

幼馴染「……」

生意気娘「お、おい! わたしはただ、こいつの相談にのってただけだ!」

「そうなんだ! 彼女は俺の話を聞いてくれていただけで……」

幼馴染「……うん。わかった」

幼馴染「そんなに仲いいなら、二人で海王星まで走ってきなよ」

&生意気娘「!!?」

369 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/04 23:35:13.93 ztzexV/Y0 237/439

幼馴染「なんてね。冗談だよ」

「冗談にしては顔がマジだったけどな……」

生意気娘「あんなに低い声、初めて聞きましたよ……」

幼馴染「それで、キョンに何を相談したの?」

「……言えない」

幼馴染「そう。無理には男から聞かないよ」

「ありがとう……」

幼馴染「キョン、何を相談されたの?」

生意気娘「どうすれば部長に相応しい彼氏になれるかって相談されました!!」

「聞いてんじゃねえかよ!」

370 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/04 23:44:02.46 ztzexV/Y0 238/439

幼馴染「『男から』は聞かないって言ったもん」

「屁理屈言いやがって……」

幼馴染「それで、何なのよ、それ。私に相応しい? 馬鹿なこと言わないで」

生意気娘「ぶ、部長……でも、こいつも真剣に悩んでるみたいで……」

幼馴染「キョン吉は黙ってなさい。Tシャツに閉じ込めるわよ」

生意気娘「!?」

幼馴染「私には男しかいないの。相応しいとかじゃなく、男じゃなきゃダメなの」

「……っ」

幼馴染「だから……」

幼馴染「少しくらい自信持ちなさいよ——!!!」バシッ

「!!!?」

371 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/04 23:51:43.18 ztzexV/Y0 239/439

「ごべんなざい……」

副部長「ほら、言ったじゃないですか。無理にイメチェンなんてする必要ないって」

幼馴染「なに? イメチェン? そんなことしようとしてたの?」

「……キョンさんが髪型とか話し方を工夫すれば爽やかな感じになって、幼の彼氏っぽくなるんじゃないかって言うから」

生意気娘「ば、馬鹿! それは黙ってろよ!」

幼馴染「爽やかな、男……?」

副部長「あんたさあ……部長の男さんへの溺愛っぷりを間近で見といて、それはないんじゃない」

生意気娘「しょうがねえだろ! つい言っちまったんだから!」

副部長「多方面に悪態つかないと生きていけないわけ? あんたのトラブルメーカーぶりには辟易するわ……」

「いや、彼女は事実を言っただけで……」

副部長「だから、部長は男さんに不満なんかなくて、むしろ大満足なんです。ね、部長?」

幼馴染「……」

副部長「部長?」



『おはよう、幼。今日も可愛いね』ニコッ



幼馴染「え、えっ……そんな爽やかな笑顔で私を見つめないでよ……可愛いだなんて、そんな……」カァァァ

&生意気娘&副部長「えっ」

372 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/04 23:56:02.99 ztzexV/Y0 240/439

生意気娘「なんで、この人トリップしてんの……?」

「さ、さあ……」

幼馴染「……はっ!」

副部長「あ、正気に戻った」

幼馴染「わ、私はいまの男が大好きだし、全然変わる必要なんてないと思ってるよ! うん! ぜんぜんこれっぽちも思ってない!」

「お、おう……」

幼馴染「で、でもね、一応、その……男のいろんな可能性を探っておきたいんだ…… あ、違うよ! いまの男に不満があるわけじゃないからね!」

「うん……?」

幼馴染「だから、その……男のイメチェン案を出してくれないかな?」

「……はあ?」

生意気娘(……つまり)

副部長(妄想のネタをよこせと……)

373 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/04 23:59:03.11 ztzexV/Y0 241/439

幼馴染「なんかない、かな……?」

生意気娘「いや、わたしたちに聞かれても……」

副部長「ねえ……」

幼馴染「なんでもいいの! こんな男が見てみたいとか、こんな感じならカッコいいだとか! 願望全開の妄想でいいから!」

生意気娘「それなら、部長一人で妄想に耽ってればいいじゃないですか……」

無口っ子「……オラオラ系」

幼馴染「!」

「うわっ!」

副部長「ムッティ、いたの!?」

無口っ子「……部長と一緒に来てたよ」

374 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/05 00:06:09.01 v6IGkcgm0 242/439

無口っ子「……男さんがオラオラ系とかいいと思う」

生意気娘「おいおい、こんないかにもオタクっぽい根暗男子がオラオラ系とかあり得ねえだろ……」

副部長「まあ、典型的な草食系だよね」

「自分で言うのもなんだけど、俺ってドMなんだよね……」

無口っ子「……どう、部長?」

幼馴染「……」



『おい、早く脱げよ。……もう我慢できねえんだよ』



幼馴染「あ、慌てなくても、私は逃げないってばあ……」

&副部長&生意気娘「 」

375 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/05 00:30:01.60 v6IGkcgm0 243/439

無口っ子「……塾講師」

幼馴染「よ、夜の個人レッスンだなんて……いくらでも居残りたくなっちゃうよ……」



無口っ子「……ドS」

幼馴染「男に触られたら、どこだって気持ちよくなっちゃうの……」



無口っ子「……甘えん坊」

幼馴染「ふふふ。ここをどうして欲しい?」



生意気娘「そろそろ止めないと、部長枯れるんじゃねえか……」

副部長「……アレを見てもまだ、イメチェンしたいですか?」

「……」

376 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/05 00:37:33.16 v6IGkcgm0 244/439

帰り道
幼馴染「……」

「あのさあ……」

幼馴染「やめて。何も言わないで」

「恍惚とした表情で妄想の世界に入り込んでるお前を見せられたんだから、一言くらい言わせてくれよ」

幼馴染「いいじゃない。妄想の中でくらい愉しんだって」

「それは人前でやることじゃねえだろ!」

幼馴染「そ、それは、遠回しに私をベッドへ誘ってるの……?」

「まだ妄想の世界から抜け出せてないのかな?」

377 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/05 01:01:00.15 v6IGkcgm0 245/439

「さっきまでの悩んでたことが馬鹿馬鹿しくなったよ……」

幼馴染「もともと、馬鹿げた悩みだったけどね。どうして、私の気持ちを置き去りにして、周囲の視線を気にしちゃうかな」

「……俺のせいで、お前が悪く言われるなんて嫌なんだよ」

幼馴染「私はそんなのどうでもいいけど」

「俺はよくねえんだよ!」

幼馴染「どうして?」

「ど、どうしてって、それはお前……考えればわかるだろ?」

幼馴染「ちゃんと言ってくれないとわかんなーい」

「……好きだからだよ」

幼馴染「えへへ。私も大好きだよ!」ギュウ

「この抱きつき魔め……」ナデナデ

378 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/05 01:02:22.98 v6IGkcgm0 246/439

「……って、違う! 俺はそういう話をしてるんじゃない!」

幼馴染「えー? これがまさに答えじゃん」

「どこがだよ!?」

幼馴染「私は男が大好き。男のいろんな姿を妄想してキュンキュンしたり、道端で抱きついちゃうくらい、男に惚れてる」

幼馴染「そんな女の子が男のことで周囲に何かを言われてショックを受けると思う? むしろ、言った連中が泣いて許しを請うまで、男の良さを語ってやるわ
よ」

「お前はそれでいいかもしれないが、俺は……」

幼馴染「……いい加減、気付いてくれないかな。そうやって、私のせいで男が悩んでるほうがショックなんだけど」

「……っ」

幼馴染「ありがとう。心配してくれて。でも、本当に私は大丈夫だから。男が傍にいてくれれば、それで幸せなの」

379 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/05 01:04:19.39 v6IGkcgm0 247/439

「……ごめんな。ウジウジ悩んだりして」

幼馴染「いいよ。実は、男が私のことで悩んでるのは悲しい反面、嬉しくもあるんだ。私のことを大切に想ってくれてるんだな、って」

「……俺には幼しかいないからな」

幼馴染「え、ええっ!?」

「なに驚いてんだよ」

幼馴染「だって、男がそんなストレートに言うなんて……これは私の妄想の中、なの……?」

「現実だよ」ギュウ

幼馴染「そ、そ、そんなに強く抱きしめられたら、私……」

「大好きだよ、幼。ずっと俺の傍にいてくれ」ギュウウウウウ

幼馴染「気絶、しちゃう……」クラッ

380 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/05 01:04:52.85 v6IGkcgm0 248/439




数分後
幼馴染「……」

「……」

幼馴染「……」チラッ

「……」チラッ

&幼馴染「!」プイッ

(勢いあまって抱き締めた挙句、恥ずかしいこと言っちまったあああああ!)カァァァァァ

幼馴染(あんな強く抱きしめられるなんて! し、しかも、ずっと傍にいてほしいとかあああああ!)カァァァァァ

通行人(なんだこいつら。爆発しろ)

386 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/23 22:43:32.65 ZnmmeNec0 249/439

翌日 
昼休み 西高 バスケ部部室
幼馴染「……」

副部長「……部長」

幼馴染「……あれ? 今日は一人なの?」

副部長「他のみんなは教室に戻りました」

幼馴染「どうして?」

副部長「誰もいない部室で一人にやにやしている部長を見て、恐ろしくなったんじゃないですかね」

幼馴染「そんなに私、にやついてる?」ニヤニヤニヤニヤニヤ

副部長「これ以上ないくらい緩みきってますよ」

387 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/23 22:44:31.18 ZnmmeNec0 250/439

副部長「ええ!? あの後、男さんに抱き締められたんですか!?」

幼馴染「そうなの! すっごい強い力でぎゅーってされて、ずっと俺の傍にいてくれ、って言われたの!」

副部長「きゃーーー! それ反則でしょ! そんなことされたら、女の子はイチコロですって!」

幼馴染「だよね! 私、クラクラしちゃった!」

副部長「うんうん! そうなりますよね! それで、その後は?」

幼馴染「私がクラクラしちゃってまともに動けなくなっちゃってさ、公園のベンチで少し休んで……」

副部長「ち、ちょっとストップ!」

幼馴染「なによ?」

副部長「部長の言う『クラクラして』っていうのは、心情じゃなくて、身体の話なんですか……?」

幼馴染「そうだよ?」

副部長「なんというか、部長らしいですね……」

388 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/23 22:56:01.94 ZnmmeNec0 251/439

副部長「まあでも、男さんがうまくフォローしてくれたんでしょ?」

幼馴染「うん。近くの公園のベンチで休ませてくれたよ」

副部長「おお! それでそれで?」

幼馴染「家に帰ったけど?」

副部長「少しでも期待したあたしが馬鹿でした」

389 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/23 22:59:51.78 ZnmmeNec0 252/439

副部長「どうせキス止まりだろうな、って予想してましたけど、まさかのそれを遥かに上回るヘタレっぷり。その流れで帰宅を許されるのは中学生までですからね」

幼馴染「いいの! 私は抱き締めてもらえただけで嬉しかったんだから」

副部長「部長ってコスパいいですね……」

幼馴染「そりゃ、それ以上のことだって望んでるよ? でも、今はこれで充分なんだ」

副部長「……そんなこと言ってたら、いつまで経っても処女のままですよ」

幼馴染「大丈夫。いざとなったら私が押し倒すから」

副部長「抱き締められただけで身体に異常をきたす人にそんなことできないと思いますよ」

390 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/23 23:16:17.82 ZnmmeNec0 253/439

副部長「男さんも積極的になってきてるのはいい傾向かもしれませんね」

幼馴染「……積極的だったらいいんだけどね」

副部長「違うんですか?」

幼馴染「たぶんだけど、男は安心したかったんだと思う。私を抱き締めてどうこうっていうのは何もなくて、ただ不安を払拭したかったんだよ」

副部長「ああ、そういえば男さん、悩んでましたもんね。部長が悪口を言われるって」

幼馴染「そんなこと気にしないのにね」

副部長「男さんは優しい人ですから。気になっちゃうんですよ」

幼馴染「うん。男は本当に優しいよ。……そこまで関わりのない副部長でもわかるくらい優しい人」

幼馴染「……なのに、どうして、あいつはわかってくれないんだろう」

391 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/23 23:18:38.07 ZnmmeNec0 254/439

放課後 北高 3年生教室
男友「んじゃ、帰るわ」

「あらあら、さっきまで机に抱きついていたのに、HRが終わったらすぐお別れなの?もっと、ゆっくりじっくりなんなら永遠に机と愛し合っていればいいのに」

男友「悪いな。どっかの負け犬とは違って、俺には世界一可愛い彼女がいるんでな。お前は黙って玉入れでもやってろ」

「そうね。部活が終われば、愛しの妹との入浴タイムが待ってるもの。全力で頑張るよ」

男友「な、なんでだよ! 一緒に入らなくなったんじゃないのかよ!」

「ふふふ。男くんが元気になったからもう解禁なの。あー、楽しみだわ。あの子の白くて柔らかい肌を堪能できるなんて」

男友「男おおおおおお!」

「うるせえよ。俺は関係ないだろ」

392 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/23 23:28:05.52 ZnmmeNec0 255/439

「知ってる? あの子って背中がとっても敏感なの。背中をさすると身体を捩らせながら、『だ、ダメです……』って切なそうに私を見るの」

男友「てめえ!」グイッ

「だから、なんで俺なんだよ。女に文句言えよ」

「そうよ。悔しかったら、自分だってすればいいじゃない」

男友「……結婚するまでは、なにもしないって決めてるんだよ」

「美談のように聞こえるけど、ただ単にお前がヘタレってだけだよな」

「まったく。そんなんだから、いつまで経っても童貞なのよ」

男友「どどどどどどどどど童貞ちゃうし!」

後輩「……へえ。どこの誰と卒業したのですか?」

男友「!!?」

393 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/23 23:32:00.62 ZnmmeNec0 256/439

男友「い、いたの!?」

後輩「ええ。先輩が男先輩の胸倉を掴んだところから」

男友「く、くっそ、女の発言を聞いてないのかよ……」

「ねえ、妹。この童貞むっつりスケベがね、私たちが一緒にお風呂に入ってることに嫉妬してるの」

後輩「……先輩、前にも言いましたが、私たちは姉妹です。一緒にお風呂くらい入りますよ」

男友「高校生にもなって一緒に入らないよね!? それは小学生、いっても中学生までだよね!?」

後輩「仕方ないでしょう。私たちにはすれ違っていた期間があるのですから」

男友「百歩譲って一緒に入るのがいいとしても、女だぞ!? こいつは後輩の身体を触って悦んでるんだぞ!?」

後輩「面倒な人だなあ……だったら、先輩も触ればいいでしょう?」

男友「触ってもいいの!?」

後輩「以前からそう宣言していますけどね。先輩のしたいように私の身体を弄んでもらって構いませんよ」

男友「で、できないよ! なあ!?」

「俺に聞かれても困るんだけど」

394 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/23 23:50:56.04 ZnmmeNec0 257/439

「ここまで言っているのに、何もしてもらえないなんて、妹が不憫だわ……」

後輩「本当ですよ。私は離陸準備万端なのに、先輩は搭乗しようとしてくれません。おかげで私はいつまでも飛び立つことができないのです」

男友「ぐぬぬ……」

「お前さあ……いい加減、覚悟決めろよ」

男友「うるせえ! お前だって、ヘタレ童貞の癖に! 彼女に何もできないくせに!」

「お前ほどじゃねえけど」

男友「嘘つくな! お前が何をしたっていうんだよ!」

「抱きしめた」

男友「!?」

「それも結構、強めに」

男友「!!?」

395 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/24 00:15:48.56 sFOQwJYz0 258/439

「……えっ、君が?」

「まあ、たまにはな」

後輩「どんな状況でそうなったのですか? 後学のために是非教えてほしいです!」」

「……感情的になったっていうか」

「なんか、こう……ぐわーっと幼を抱き締めたい衝動に駆られてさ」

後輩「幼先輩が羨ましいです……」

男友「う……」

「う?」

男友「裏切り者おおおおおお!」ダッ

「あっ、逃げた」

396 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/24 00:20:52.37 sFOQwJYz0 259/439

後輩「はあ……。すみません。先輩を捕まえてきます」

「大変だね、君も」

後輩「いいのです。こういうダメな部分も含めて好きなのですから」

「友は幸せ者だな」

後輩「男先輩だって、幼先輩から愛されているでしょう」

「……うん。俺も充分幸せ者だね」

後輩「ふふふ。お二人が順調で私も嬉しいです!」

「……土曜日に試練が待ち受けているけどね」

後輩「えっ?」

「いや、なんでもないよ」

397 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/24 00:28:53.11 sFOQwJYz0 260/439

後輩「それでは、私は失礼しますね」

「行ってらっしゃい」

「じゃあ、また後でね」

後輩「あ、お姉ちゃん」

「なーに? お別れのキスでもする?」

後輩「男先輩に失礼なことをまた言ったら、お風呂はなしですからね」

「もうしない! 絶対しないよ! 妹に誓って絶対しない!」

後輩「だから、私に誓っても大した効力は……」

「ああ、よかった。それなら安心だ」

後輩「ある、みたいですね……」

398 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/24 00:32:38.84 sFOQwJYz0 261/439

「俺もそろそろ行くわ」

「えー? ちょっとくらい構ってよー」

「は? お前には部活あるだろ。西高に勝って全国行くんだから、ちゃんと練習しろよな」

「部活までちょっと時間あるしいいじゃん。土曜日の試練について聞かせてよ」

「……聞こえてたのか」

「面白そうな話を私が聞き逃すわけないでしょ」

399 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/24 00:35:58.98 sFOQwJYz0 262/439

「試練っていうのは同窓会のことだよね。昨日、私が話したことは解決してるんでしょ。一体、何が試練なの?」

「……同窓会の幹事が厄介なんだよ。そいつは中学の頃、幼に惚れてて、猛烈アプローチをしてたんだ。まあ、幼は相手の好意にさえ気づいていなかったみたいだけど」

「ふーん。でも、それは中学時代の話でしょ? 今も好意を抱いているのかわからないじゃない」

「いや、間違いなく、想いは継続してる。前回の同窓会は5月。こんな短期間に同窓会をやるか?」

「……なるほど。幼に会うために同窓会を開催してるわけね」

400 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/24 00:37:49.69 sFOQwJYz0 263/439

「あいつは一方的に俺をライバル視しててよ、いろいろあったんだ」

「その君が、幼を口説くために設けた場に来る。これはひと悶着ありますねえ……」

「しかも、幼自ら俺を連れていくって連絡したからな」

「相手からすれば屈辱的だね。ちなみに、その人は君たちが付き合ってることを知ってるの?」

「いや、知らないはずだ。同窓会でサプライズ発表するって幼が意気込んでたし」

「おお! これは修羅場確定だ!」

「……お前、なんで喜んでんの?」

401 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/24 00:38:49.11 sFOQwJYz0 264/439

「でも、発表するならいいじゃん。それで向こうも諦めるでしょ」

「降伏どころか、宣戦布告するような人間なんだよなあ……」

「宣戦布告されたら応戦するのは当然のこと。ぺんぺん草も生えないくらい爆撃してあげな」

「どうやって?」

「イチャイチャすればいいんだよ。相手が入り込む余地がないと悟らせるくらいにね」

「ば、馬鹿! 人前でイチャつけるか!」

「球技大会の時、私の目の前で抱き合ってた人がよく言うよ」

402 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/01/24 00:39:31.85 sFOQwJYz0 265/439

「お前が思ってる以上にあいつは厄介なんだよ!」

「大丈夫だって。下手な策略巡らせる人間なんて大抵自爆するから。大爆死したこの私が言うんだから間違いない」

「えっ? お前、何かやったの?」

「まーまーそれはいいじゃない。とにかくさ、自信もって戦いなよ」

「君以上に幼に相応しい人間はいないんだから」

「……っ」

「や、やっばい! 柄にもなく励ましちゃった! これはもう料金発生するレベル! うん。3000円くらいは貰わないと割に合わない!」

「お、おい……」

「支払いは後でいいからねー!」タッタッタ

「……サンキューな」

410 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 01:17:19.05 6E7IkrCf0 266/439

北高 正門前
(まさか、女があんなこと言うなんてな……)

『君以上に幼に相応しい人間はいないんだから』

(……本当にそうならいいんだけどな)

???「男くん、やっと来たか」

「おまえは……!」

???「忘れちゃったかな? 南中で一緒だったんだけど。……まあ、君とはあまり接点なかったから覚えてなくてもしょうがないけど」

「……いや、覚えてるよ。ただ、ちょっと面食らっただけだよ。まさか……」

「俺に会いに来るとは思わなかったからよ、元生徒会長さん」

会長「久しぶりだね、男くん」

411 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 01:18:07.54 6E7IkrCf0 267/439

カフェ
会長「あー、涼しい。何か飲むかい? 奢るよ」

「いやいい。とっとと用件を済ませよう。同窓会の話だろ?」

会長「へえ、よくわかったね?」

「お前が俺に会いに来る理由なんてそれしかねえだろ」

会長「それほど察しがいいのなら、同窓会に誘われても断ってほしかったなあ」

「しょうがねえだろ。幼にしつこく誘われたんだから」

会長「だからこそ、だよ。幼くんが君を誘ったことを他の参加者が知ったら、幼くんが何を言われるかくらい想像つくだろう?」

「……っ」

会長「前にも忠告したじゃないか」

会長「君が傍にいるだけで、あの子の評判が悪くなってしまう、って」

412 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 01:22:04.61 6E7IkrCf0 268/439

会長「幼くんが君を連れて来ると言ったとき驚いたよ。君たちにまだ付き合いがあったことにね」

会長「あの時、忠告をして、男くんは受け入れたじゃないか。幼くんと距離を置いて、関わらないようにしていたよね」

「中学時代は暗黒すぎて、記憶から抹消しちまったよ」

会長「何を言ってるんだ。覚えているからこそ、今年の5月まで幼くんと疎遠になっていたんだろ?」

「……よく知ってるな」

会長「前回の同窓会で聞いたからね。君たちに何があったのかは知らないが、どうしてそのまま離れていることができなかったんだ」

会長「そうすれば、幼は今頃、僕の彼女になっていただろうに」

413 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 01:26:12.32 6E7IkrCf0 269/439

「……ねえよ。幼がお前と付き合うなんて、百パーセントあり得ない」

会長「どうして断言できるんだい? 前回の同窓会での僕たちを君は知らないだろ」

「なにかあったのかよ……?」

会長「この写真を見てくれ」スッ

「……っ」

会長「どうだい? これ以上ないくらい親密な2ショットだろう?」

「なんで、幼はお前に肩を……」

会長「抱かれているのか、って? 決まってるだろ。彼女もまんざらじゃないからだよ」

414 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 01:27:28.69 6E7IkrCf0 270/439

会長「まあ、この後、彼女は僕の腕を……」

「……」ガタッ

会長「どこに行くんだい?」

「黙れ。お前には関係ない」

会長「おやいや、嫉妬かい? 男なら黙って彼女を祝福してあげたらどうだい」

「無理な相談だな。俺はそこまで器が大きくない」

会長「身の程を知りなよ。君は幼くんに釣り合わない。格が違うんだよ、格が」

「……そんなことは知ってるよ。今の俺があいつに相応しいなんておこがましいにも程がある」

「ただ、それでも俺は幼から離れねえ。いや、離さない。あいつは俺の女だ。誰にも渡すつもりはない」

会長「なっ……!?」

「絶対、誰にも渡さねえ」

415 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 01:30:21.96 6E7IkrCf0 271/439

西高 正門前
幼馴染「……」キョロキョロ

マネージャー「部長?」

副部長「あ、本当だ。先に帰ってたんじゃ?」

幼馴染「それが……男がまだ来てないの」

副部長「珍しいですね。いつもなら待ってるのに」

幼馴染「何かあったのかな……」

マネージャー「連絡してみたんですか?」

幼馴染「……連絡がつかないの」

副部長「まあ、どこかで寄り道してるんじゃないですか」

幼馴染「なら、いいんだけど……」

副部長「大丈夫ですよ。男さんは事故に巻き込まれたって、しぶとく生き残りますよ」

幼馴染「男が事故に巻き込まれた!? 大丈夫なの!? どこの病院にいるの!?」

マネージャー「お、落ち着いてください、部長! たとえ話ですって!」

416 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 01:31:48.94 6E7IkrCf0 272/439

幼馴染「もう! 誤解させるようなこと言わないでよね!」

副部長「勘違いするほうがどうかと思いますけど」

幼馴染「しょうがないじゃない! 私は男のことになるとおかしくなるの!」

副部長「開き直っちゃったよ……」

マネージャー「前から気になってたんですけど、部長の彼氏さんってどんな人なんですか? 先輩たちからいろいろ聞くんですけど、実際のところどうなのかなって」

幼馴染「えっと、男はね……」

副部長「草食系ヘタレ童貞だよ」

幼馴染「ちょっと! 何よそれ!」

マネージャー「そうですよ。いくらなんでも、それは言いすぎですって」

幼馴染「いや、事実なんだけどさ」

マネージャー「えっ」

417 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 01:32:49.86 6E7IkrCf0 273/439

副部長「事実ならいいじゃないですか」

幼馴染「よくない! 他にもいいとこたくさんあるもん! 例えば……」

副部長「じゃ、お疲れ様でーす」

幼馴染「聞きなさいよ!」

副部長「嫌ですよ。朝日が昇るまで語りそうだし」

マネージャー「さすがにそれはないでしょう……」

幼馴染「朝刊の配達が始まる頃には終わるわよ!」

マネージャー「それ、日付変わってるじゃないですか……」

418 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 01:34:06.91 6E7IkrCf0 274/439

マネージャー「さすがにそこまでは付き合えないですよ。門限あるし……」

幼馴染「やだな。冗談だよ、冗談。そんなに長いわけないじゃん」

副部長「そうそう。1時間くらいで終わるって」

マネージャー「それでも充分長いんですけど!?」

幼馴染「女子トークが長引くのは常識だよ。知らないの?」

マネージャー「僕帰ります!」

幼馴染「なに言ってんのよ。聞いたのはそっちでしょ。最後まで聞きなさい!」グイッ

マネージャー「い、嫌です! 家に帰してください!」

???「……おい」

「!!!?」

「なにやってんだよ」

419 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 01:34:43.11 6E7IkrCf0 275/439

幼馴染「お、男かあ……びっくりしたあ……」

マネージャー(この人が部長の彼氏さんなんだ。でも、なんか……)

「俺に見られちゃいけないことでもしようとしてたのかよ」

副部長(……どうしたんだろ、男さん)

幼馴染「そうじゃなくて、突然声をかけてきたからびっくりしたの」

マネージャー(聞いてた人とは違うような……)

副部長(いつもと雰囲気が違う……)

420 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 01:35:29.33 6E7IkrCf0 276/439

「そいつ誰?」

幼馴染「この子はうちのマネージャーだよ。最近、入部したの」

マネージャー「よ、よろしくお願いします!」

「女子部なのに男子がマネージャーやるのか」

副部長「いろいろありまして……」

「ふーん。まあ、どうでもいいけど」

幼馴染「どうしたの? さっきから様子が……」

「行くぞ」グイッ

幼馴染「ど、どこ行くの?」

「いいから、来いよ」

幼馴染「わかったから引っ張らないでよ!」

マネージャー「……本当にあの人が男さんなんですか?」

副部長「それはあたしも聞きたい……」

422 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 22:28:54.30 6E7IkrCf0 277/439

神社
「ここなら誰も来ねえか」パッ

幼馴染「もうどうしたのよ! ここに連れてきてなにするつもり!?」

「なんでもいいだろ」ギュウ

幼馴染「ち、ちょっと、え、ええ!?」

「うるせえ」チュウ

幼馴染「!!!?」

423 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 22:32:24.93 6E7IkrCf0 278/439

幼馴染「ま、待ってよ!」

「待てねえ」チュウ

幼馴染「んんっ……!」

幼馴染「落ち着いてってば!」

「落ち着かせてくれよ」チュウ

幼馴染「ん……」

幼馴染「わ、わかったから、少し休ませて……」

「まだまだこれからだろ」チュウ

幼馴染「……」

424 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 22:35:04.89 6E7IkrCf0 279/439

十分後
「ふぅ……」

幼馴染「……」

「あー、その……大丈夫か?」

幼馴染「……抱き締められただけでヘロヘロになる人間が、これだけキスされて平気だと思う?」

「ご、ごめん……」

幼馴染「もういいから、しっかり抱きとめてて。……力が入らないの」

425 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 22:45:29.64 6E7IkrCf0 280/439

「す、座るか?」

幼馴染「いい。こうして、私を抱き締めてるほうが安心するでしょ?」

「……お前はなんでもわかるんだな」

幼馴染「唇が震えてたから。どんなに強がっても、私は誤魔化ないよ」

「幼ちゃん……」ギュウ

幼馴染「大丈夫。大丈夫だよ。私は男の傍にいるよ」ナデナデ

「うん……」ギュウウウウウ

426 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 22:51:44.41 6E7IkrCf0 281/439

「……今日、ある写真を見たんだ」

幼馴染「写真?」

「幼ちゃんが会長に肩を抱かれてる写真」

幼馴染「な、何それ!?」

「前回の同窓会の時のものらしいんだけど」

幼馴染「……あ! あの時か! えっ、写真に撮られてたの!? あれは違うんだよ! あいつが勝手に私の肩に手をかけてきて……でも、すぐに手を払ったんだよ! 本当だよ!」

「わかってる。幼ちゃんが会長のことをあまり好きじゃないことも、付き合う前の話だからとやかくいう権利がないことだってわかってる……そんなことわか
ってるんだ。だけど、どうしても」

「怖いんだ……」ギュウウウウ

幼馴染「男……」

427 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 22:53:46.00 6E7IkrCf0 282/439

「あの写真を見たとき、恐ろしくなったんだ。いつか、こうなってしまうんじゃないかって」

幼馴染「ならないよ。私は離れないもん」

「……そうだね。今は俺の傍にいてくれる。でも、いつか……俺に愛想をつかして、会長に靡いてしまうかもしれない。他の誰かのもとに行ってしまうかもしれない」

「それは仕方のないことだってことはわかってる。むしろ、俺みたいな男より、もっといい人と付き合うべきだってことも」

「だけど、嫌なんだ。幼ちゃんを失いたくない。誰にも渡したくない。ずっとずっと俺の傍にいてほしい」

「……独善的だよね。幼ちゃんには、自分よりも他に相応しい人間がいるってことに気付いているのに、自分のために幼ちゃんを縛りつけてる……本当に最低だよね」

幼馴染「どうして?」

「ど、どうしてって……」

幼馴染「だって、私はそれを望んでるんだよ? 男のことが大好きで、男の傍にずっといたいって願ってるんだよ?」

「幼ちゃん……」

幼馴染「私を離さないで」ギュウ

428 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/05 22:54:33.23 6E7IkrCf0 283/439

「今回のことでわかったと思うけど、俺は相当独占欲強いよ」

幼馴染「それはお互い様だよ」

「これからもウジウジ悩むかもしれないよ」

幼馴染「一緒に悩んであげる」

「……不安になったときはこうやって幼ちゃんに甘えてもいい?」ギュウウ

幼馴染「大歓迎だよ、甘えん坊さん」ナデナデ

「幼ちゃん……」

幼馴染「なーに? 男くん」

「……大好きだよ」

幼馴染「うん。私も大好き」チュウ

435 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/20 01:37:11.88 2mnBoQmX0 284/439

土曜日 男宅 リビング
「親父、ちょっといい?」

「なんだ? 小遣いならやらんぞ」

「ちっげーよ。駅前まで車で送ってほしいんだよ」

「あー、悪いんだけど、いま忙しくてな」

「スマホゲームやってるだけじゃねえか……」

「休日に何をしようが私の勝手だ。駅前くらい歩いて行け」

「そんなこと言わずに送ってあげてくださいよ」

「この愚息を甘やかすことなんてないさ」

「幼ちゃんも一緒だそうよ」

「よしわかった。幼ちゃんは俺が送っていく。お前は走っていけ」

「クソ親父……!」

436 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/20 01:46:17.81 2mnBoQmX0 285/439

「なんで、俺は乗せてくれねえんだよ!」

「車の定員は2人なんでな」

「軽トラかよ!」

「荷台に載せてあげればいいじゃない」

「マジで軽トラなの!?」

437 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/20 01:52:51.45 2mnBoQmX0 286/439

「うちの車はミニバンだろうが!」

「あー、そういえばそうだったかしら」

「最近物忘れが激しくてなあ……」

「物忘れってレベルじゃねえだろ……」

「それにしても、幼ちゃんに会うのは久しぶりだな」

「小学生ぐらいまではよく家に遊びに来てくれていたのにねえ……」

「あの頃はうちに嫁に来てくれるんじゃないかってひそかに期待してたんだけどなあ……」

「今となっては叶わぬ夢よね……」

「……そういや、言ってなかったっけ。俺、幼と付き合ってるんだ」

「な、なんだって!?」

438 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/20 01:56:11.64 2mnBoQmX0 287/439

「たたたたた大変よ、お父さん!」

「母さん、落ち着くんだ! きっと男の妄想だよ!」

「妄想じゃねえよ。ほれ」スッ

「これは……!?」

「幼と撮ったプリクラだよ」

「お母さん、今日は焼肉にしよう! もちろん、幼ちゃんも一緒に!」

「同窓会に行くって言ってんだろ!」

「お姉ちゃん、男がやったわ! 幼ちゃんを口説き落としたのよーーー!」

「やめろ! 姉ちゃんに報告すんな!」

439 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/20 02:01:34.18 2mnBoQmX0 288/439

「ったく、落ち着いてくれよ……」

「落ち着いていられますか! ああ……あの可愛い幼ちゃんがうちに嫁いでくれるなんて夢みたいだわ……」

「現時点では夢だろ。付き合ってるだけなんだから」

「……待てよ。確か、幼ちゃんは一人娘だったよな?」

「そうだけど?」

「母さん、そうなると、男を婿養子で欲しがるかもしれないぞ」

「それもそうだわ……男、幼からあちらのご両親の希望を聞いてない?」

「付き合って2週間程度でそんな話するかよ」

440 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/20 02:04:05.54 2mnBoQmX0 289/439

「俺たちは付き合ったばっかりなの。結婚なんて遠い話で……」

「お前に悠長に構えている余裕があると思ってるのか!」

「そうよ! さっさとプロポーズしてきなさいよ!」

「もうお前には任せておけん! 私たちで話を進める!」

「今日、幼ちゃんはうちに来るのよね? だったら、ここで婚約してしまいましょう!」

「お、おい! 余計なことするなよ!」

ピンポーン

「!!」

441 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/20 02:06:51.44 2mnBoQmX0 290/439

玄関前
幼馴染(男の家に来るの久しぶりだな。小学生の頃とかよく泊まりにきてたのに)

幼馴染(……男のお父さんとお母さん、最近会ってないけど元気かな)

「幼! 逃げろ!」ガチャ

幼馴染「へっ……?」

「どけ!」ゲシッ

「うわっ!」ドサッ

幼馴染「お、男!?」

「幼ちゃん!」ギュウウ

幼馴染「おばさん……?」

「大丈夫。君のことは必ず私たちが幸せにするからね!」

幼馴染「は、はあ……?」

「やめろ、馬鹿夫婦!」

442 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/20 02:08:13.61 2mnBoQmX0 291/439

「ごめんなさい。幼ちゃんがうちの愚息を選んでくれたって聞いて嬉しくなっちゃって」

幼馴染「あっ! す、すみません! ご挨拶が遅くなってしまって……」

「大丈夫だよ。そんなことよりも将来の話をしよう」

幼馴染「将来ですか……?」

「とりあえず結婚式の日取りを決めましょう」

幼馴染「結婚式!?」

「いい加減にしろ! 幼が困ってるだろ!」

幼馴染「わ、私としては、大学卒業して就職してから1年経ったくらいの時期がいいかなーって……」

「満更でもねえのかよ!」

443 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/20 02:10:44.11 2mnBoQmX0 292/439

「お、幼ちゃん、男と結婚することを考えてくれていたのか?」

幼馴染「も、もちろんです! 付き合ったとき、いえ付き合う前からそうなったらいいなって思ってました!」

「わたしたちだって、幼ちゃんが嫁に来てくれればいいなってずっと願っていたのよ!」

「私たちは両想いだったってことだな!」

幼馴染「で、でも、本当に私でいいんですか? 家事はまったくできませんし……おじさんとおばさんにご迷惑をかけてしまうかも……」

「おいおい。何を言ってるんだ。私たちはもう家族なんだぞ? 迷惑なんていくらかけたっていいんだ」

「そうよ! 貴女はわたしの娘よ!」ギュウウ

幼馴染「お義父さん、お義母さん……」ウルッ

「幼の両親に聞かれたら絶縁されんぞ……」

444 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/20 02:12:54.44 2mnBoQmX0 293/439

移動中
幼馴染「おじさんとおばさんに交際を認めてもらえてよかったね!」

「……交際だけならよかったんだけどな。なんで、結婚まで話が飛躍するんだ」

幼馴染「あはは……まあ、ちょっと行き過ぎだったかもね」

「喜々して話に加わったくせによく言うよ」

幼馴染「だ、だって……嬉しかったんだもん。こんなに簡単に認めてもらえるなんて思ってなかったし」

「そりゃ、交際して僅か2週間で結婚を勧められるとは思わないだろうよ」

445 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/20 02:14:04.08 2mnBoQmX0 294/439

幼馴染「それもそうなんだけどね。私としては、交際さえ受け入れてもらえるか不安だったわけですよ」

「なに言ってんだよ。うちの親は昔から幼のこと可愛がってただろ」

幼馴染「それとこれとは話は別なの!」

「そういうもんかね……」

幼馴染「じゃあ、逆に男はどうなのさ。うちの親に認めてもらえる自信ある?」

「……やめてくれ。それを考えると胃が痛くなるから」

幼馴染「まあ、一発くらいは殴られるだろうしね」

「!?」

446 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/02/20 02:14:42.75 2mnBoQmX0 295/439

幼馴染「なんてね。冗談だよ」

「シャレにならないからやめてくれ」

幼馴染「むしろ、二人とも喜んでたよ」

「おじさんたちに報告したのか?」

幼馴染「うん。付き合ったその日にね。お父さんが、絶対、幸せにしてもらわないとな! って言ってた」

「……それ、別の意味で怖いんだけど」

450 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/08 21:41:42.30 Nq9c7yUp0 296/439

駅前
幼馴染「あれー? みんな、どこにいるんだろう?」キョロキョロ

「まだ集合時間すぎてねえよな?」

幼馴染「うん。むしろ余裕あるくらいだけど……どうしたんだろ?」

「……嫌な予感がする」

幼馴染「大丈夫だって。私がついてるから」

「いや、そういうことじゃなくて……」

???「やあ、幼くん」

幼馴染「おー、久しぶりー」

「やっぱりお前かあ……」

会長「なんだ、男くんも一緒だったんだね」

451 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/08 21:51:06.75 Nq9c7yUp0 297/439

幼馴染「まだ、みんな来てないみたいだよ」

会長「いや。全員到着して先にお店に入ってる」

幼馴染「でも、集合時間は……」

会長「君たちには他の人たちとは違う時間を伝えたのさ」

「そんなことだろうと思ったよ……」

会長「相変わらず察しがいいねえ」

幼馴染「どうして、そんなことしたの?」

会長「決まっているじゃないか。君たちと話がしたいからだよ」

幼馴染「そっか。じゃあ、お店に入ろ?」

会長「えっ? ぼ、僕の話聞いてた?」

幼馴染「聞いてたよ。お店の中で話すればいいじゃん」

「だな。行くか」

会長「……」

452 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/08 22:02:43.78 Nq9c7yUp0 298/439

店内
幼馴染「やっほー!」

モブ子「やっと来た! 幼、遅すぎだよー!」

幼馴染「ごめんごめん。なんか、間違った集合時間教えられてさ」

モブ子「なにそれ。おい、幹事! ちゃんと仕事しろよ!」

会長「も、申し訳ない……」

幼馴染「そうそう。今日ね、男と一緒に来たんだー」

モブ子「えっ? 男くん……?」

「ど、ども……」

会長(予定は狂ったが、まあいい。まずは男に精神的ダメージを与えてやる……!)

会長「なんだい、その挨拶は。ちゃんと……」

モブ子「やっばい! 男くんとか超レアなんだけど! みんなー! 男くん来たよ!」

「おお! マジだ!」

「今日はヘッドホンで洋楽聞いてないのかー?」

会長(あ、あれ? 思ってた反応と違う……)

453 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/08 22:09:24.76 Nq9c7yUp0 299/439

モブ子「アタシのこと覚えてる? 隣の席になったこともあるんだけど」

「お、覚えてます!」

モブ子「なんで敬語!? ウケるんだけど!」

幼馴染「もー。あんまり弄らないであげてよ。スーパーコミュ障なんだからさ」

モブ子「うーわ。相変わらず、男くんの保護者やってんのー?」

「ったく、いつまで男を甘やかすつもりだよ」

「男もシャキッとしろよな」

会長(よ、よし! ついに流れが来たぞ!)

会長「そうだよ。もう高校生なんだし、そろそろ……」

幼馴染「やだなー。ちゃんと保護者からランクアップしたよ」

モブ子「じゃあ、まさか……」

幼馴染「そうなんです。実は私たち……」

幼馴染「付き合ってるんです!」

会長「!!?」

454 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/08 22:12:52.90 Nq9c7yUp0 300/439

会長「う、嘘だ!」

幼馴染「本当だよ? 3週間前から付き合ってるんだ」

会長「どうして男くんなんだ! どう見ても釣り合って……」

モブ子「おめでとー! やっと付き合えたんだね!」

会長「えっ」

「おお。ついに男が覚悟を決めたのか」

「俺よかシャキッとしてたわ。マジごめん」

会長「……」

455 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/08 22:19:52.01 Nq9c7yUp0 301/439

会長「ぼ、僕は認めないぞ! この根暗が幼くんの彼氏だなんて許せない!」

幼馴染「どうして?」

会長「どうしてもだ! 僕は絶対認めない!」

幼馴染「……いいよ。じゃあ、認めさせてあげる」グイッ

「お、お前、まさか……!」

幼馴染「そのまさかです!」チュ

「!!」

モブ子「おー! いいぞ、いいぞー!」

「うらやま」

「男、爆発しろ」

会長「 」

456 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/08 22:27:23.53 Nq9c7yUp0 302/439

「お、お前なあ……!」

幼馴染「ちゃんと事前に予告しておいたでしょ。納得しなければキスでもする、って」

「本気でするとは思わねえだろ!」

幼馴染「いいじゃん。これで認めてもらえただろうし。ねっ、会長?」

会長「あ、ああ……」

幼馴染「男は私の彼氏なんだからね。もう悪口言わないでよ!」

会長「……はい。もう二度と言いません」

461 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/20 23:23:13.70 H4qI8FF10 303/439

モブ子「えー、それでは皆さん、幼と男くんの交際を祝して……」

「かんぱーい!」

幼馴染「いえーい!」

「ど、ども……」

モブ子「いやー! 本当におめでとう! 男くん、幼を泣かせたら承知しないからね!」

「は、はい! 絶対泣かせません!」

モブ子「いやいや、だからなんで敬語なのよ」

幼馴染「いいじゃん。そういうところも可愛いんだから」

モブ子「はいはい。ごちそうさまー」

「あいつらラブラブだなー」

「つけ入る隙ないって感じだな」

「まあ、昔から幼は男一筋だったし、最初から隙なんかなかったけどな」

会長「……」フラッ

「おい。どこ行くんだよ?」

会長「ちょっと夜風に当たってくる……」

「……」

462 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/20 23:26:01.30 H4qI8FF10 304/439

会長(幼くんの気持ちにどうして気付かなったんだろう)

会長(……いや、そうじゃない。僕は気付いていたんだ。なのに……)

「おい」

会長「……なんだ、君か」

「幼じゃなくて悪かったな」

会長「いや、むしろ感謝してるよ。彼女が来たら全力で逃げだしているところだからね」

463 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/20 23:32:26.75 H4qI8FF10 305/439

会長「で、用件はなんだい? 負け犬を嘲笑いにきたのかい?」

「ああ、そういうのも有りか」

会長「はっ?」

「いや、特になにをしようってわけじゃねえんだ。馬鹿にしたいわけでも感謝したいわけでもない」

「ただ、お前を一人にさせたくなったんだよ」

会長「……僕は一人になりたいんだがね」

「一人になりたいって人間ほど、誰かに話を聞いてもらいたいんだよ」

464 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/20 23:37:36.42 H4qI8FF10 306/439

会長「僕は気付いていたんだ。幼くんが君に惚れていることに。だからこそ、僕は君を幼くんから遠ざけようとしたんだ……」

「ああ、効果は抜群だったぜ。お前に言われてから、俺は幼を避けるようになったし」

会長「……そうなれば、幼くんが振り向いてくれると勘違いしてしまったんだ。……そんなことあるわけないのに」

???「わかる! わかるなあ、その気持ち!」

会長「えっ?」

「な、なんでお前がここに……」

「えへへ。来ちゃった」

465 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/20 23:42:19.18 H4qI8FF10 307/439

会長「知り合いかい……?」

「こいつは北高の生徒だよ。3年間同じクラスでな」

「君は会長さんだよね? 男くんから話は聞いてるよ」

会長「それはきっといい話ではないだろうね……」

「まあ、普通の人ならそうかもしれないね。でも、大丈夫。私は君に共感できたよ」

会長「えっ……?」

「私も叶わない恋をしてたからさ」

466 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/21 00:17:09.74 r+RhLGVa0 308/439

「お前、好きな人いたの!?」

「うん。ずっーと前から好きな人がいたよ。その人が傍にいてくれればそれだけで幸せになれるくらい好きだった」

「でも、その人は私以外の人に恋をしてしまった。その二人を引き裂こうといろいろ策を巡らせたりしたんだけど……会長くんと一緒で失敗に終わっちゃった」

「……その人って北高生?」

「うん。男くんも知ってる人だよ」

「ま、まさか……友、か……?」

「あはは。いくら冗談でも怒るよー」

会長「……」

467 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/21 00:19:04.14 r+RhLGVa0 309/439

「会長くんは私が面倒みるから、男くんはお店に戻りなよ」

「お前が?」

「うん。同じ境遇の者同士いろいろ話してみたいの」

「どうする?」

会長「僕は構わないよ。みんなにはうまく伝えておいてくれ」

「わかった。適当に誤魔化しておくよ」

会長「ああ、頼むよ」

「気をつけろ。そいつは可愛い顔してるが、かなり性格悪いぞ」

会長「えっ」

「言葉責めしてあげるね!」

会長「僕はSだよ……」

「これは調教しなくてはなりませんなあ……」

468 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/21 00:26:12.10 r+RhLGVa0 310/439

「ここで話すのもなんだし、どっかお店入る?」

会長「……その前に聞きたいことがあるんだけど」

「いいよー。胸の大きさ以外なら答えてあげる」

会長「そんなの聞かなくても見ればわか……」

「骨の髄まで調教してあげようか?」

会長「ぼ、僕が聞きたいのは、君の好きな人だよ!」

「なーんだ。どうしても調教されたいのかと思った」

会長「だから、僕はSなんだって……そんなことより、君の好きな人って……男くんかい?」

「たぶん君は相当のドMなんじゃないかな」

469 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/21 00:30:26.43 r+RhLGVa0 311/439

会長「ち、違うのかい……?」

「残念なことに私は男くんの男性としての良さがわからないからねー。わかるのは幼だけ」

会長「……だからこそ、彼女は彼に惹かれたんだもんね」

「たぶん、最初から男くんの良さを知っていたわけではなくて、接しているうちに感じとっていったんだと思う。でも、私はいつまで経ってもわからない。この差はなんだと思う?」

会長「興味があるかないか……とか?」

「正解! 私は男くんにまったく興味がないのでーす」

470 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/21 00:42:48.18 r+RhLGVa0 312/439

「そういうことで言うと、君は幼に興味もたれてなかったってことなんだけどね」

会長「ず、ずいぶんはっきり言うね……」

「それが真実だからね」

会長「……そうだね。真実から逃げ回っていた僕は、ここで甘いことを言われてしまうより、真実を突きつけられたほうが僕を救ってくれるかもしれない」

「しょうがないよ。真実に立ち向かったら自分の想いを否定されてしまうんだから。逃げてしまった君の気持ちは私にはわかる」

「痛いほどわかるよ」

471 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/21 00:54:25.40 r+RhLGVa0 313/439

「君のしたことは間違ってたと思う。世間は誰も認めないし、許されることじゃない」

「でも、私は否定できない。誰かが君の行動を間違っていると糾弾しても、私は君の味方側に立つ」

会長「……ありがとう」

「いーえ。まあ、私の場合は君と同じ罪を犯したからを言えることなんだけどね」

会長「君も……?」

「うん。むしろ、君よりも重罪だよ」

会長「ど、どんなことをしたんだい?」

「簡単に女性の秘密を聞き出せると思ったら大間違いだよ」ギロッ

会長「ええ……」

472 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/21 00:57:56.28 r+RhLGVa0 314/439

「まったく。そんなんだから男くんに好きな人を奪われるんだよ」

会長「君は慰めたいのか、傷を抉りたいのかどっちなんだい!」

「どっちでもないけど?」

会長「ないの!?」

「うん。その二つの選択肢には当てはまらないね」

会長「じゃあ、何のために……?」

「んー。お店に入ってからって思ったけど、ここでいいか」

「私も君のこと好きになるから、君も私のこと好きになってくれないかな?」

会長「……はっ?」

473 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/21 01:31:43.46 r+RhLGVa0 315/439




数時間後 駅前
幼馴染「お待たせ!」

「ずいぶん長かったな。みんなは先にカラオケに行ってるって」

幼馴染「えへへ」

「……なんだよ?」

幼馴染「お店に着くまでは二人っきりだなーって思ってさ」

「よく言うよ。狙ってたくせに」

474 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/21 02:24:08.53 r+RhLGVa0 316/439

移動中
幼馴染「そういえば、会長ってなんでいなくなっちゃったんだろうね?」

「お前が言うか……」

幼馴染「あー、やっぱり私かあ……。だって、あいつ昔から男の悪口言ってたんだよ? 私がどんなに男の良さを教えても理解してくれなくてさ」

「そりゃ、理解できないだろうな……」

幼馴染「今日こそは男を認めさせようと思ったらアレなんだもん。ついカッとしちゃってさ」

「まあ、俺は嬉しいけど……あいつの気持ちを考えると手放しでは喜べないんだよなあ」

幼馴染「どうして? 男の悪口言ってたんだよ?」

「……逆に聞くけど、あいつの想いに気付いてたか?」

幼馴染「なにそれ?」

「マジで会長が可哀想だわ……」

475 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/21 02:36:57.23 r+RhLGVa0 317/439

「まー、でも俺の気持ちにさえ気付いてなかったもんな。ただ単に幼は鈍感ってことか」

幼馴染「もー、なんなの?」

「……ってことは、だ」

幼馴染「?」

「もっとストレートに愛情表現しないと伝わらないよな」ギュウ

幼馴染「に、にゃにお!?」

「幼」

幼馴染「ひゃい!?」

「……」チュ

幼馴染「!?」

「好きだよ」

幼馴染「もう、だめ……」クラッ

476 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/21 02:38:40.13 r+RhLGVa0 318/439

カラオケ店
幼馴染「ごめん、遅くなった」

モブ子「ったく。何分かかって……な、なんでお姫様抱っこされてんの!?」

「あ、あはは……」

幼馴染「しょうがないじゃない。骨抜きにされたんだから……」

477 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/03/21 02:39:42.35 r+RhLGVa0 319/439

幼馴染「ばか! ばかばかばかばか!」

「わ、悪かったって……」

モブ子「夫婦喧嘩はもういいから。何か歌いなよ」

幼馴染「では、男が得意の曲を披露します」

「勝手に決めんなよ!」

モブ子「おっ。いいねー。アタシも男くんの歌、聞いてみたい」

幼馴染「はい、決定―」

「ええ……」

モブ子「得意な曲ってやっぱり洋楽?」

幼馴染「そうそう。男が好きなバンドの曲で、題名は……」

「Don't Go Away」

481 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/21 23:11:13.53 i9k13Pv+0 320/439

7月中旬 昼休み 西高 職員室
西高顧問「本当にいいのか? こんな好条件はなかなかないぞ?」

幼馴染「いいんです。もう決めましたから」

西高顧問「お前の決めた道は茨の道じゃ。それでもその道を進むか?」

幼馴染「私にはその道しかないんです」

西高顧問「そうか……。お前が決めたのなら、わしはこれ以上言わん」

幼馴染「……ありがとうございます」

482 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/21 23:13:21.92 i9k13Pv+0 321/439

西高顧問「まあ、これで目標が明確になったわけじゃ。今まで以上に厳しくいくで」

幼馴染「はい! お願いします!」

西高顧問「うむ。では、明後日は休みにする」

幼馴染「はい! 全力で頑張り……えっ、休み?」

西高顧問「明後日はオフにする。しっかり休むんじゃぞ」

幼馴染「い、今、厳しくするって……」

西高顧問「お前の場合、ボールを一切触らずに休息することのほうが辛いじゃろ?」

483 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/21 23:16:50.10 i9k13Pv+0 322/439

幼馴染「お言葉ですが、先生! 夏休み明けすぐにウインターカップの予選ですよ!? 休んでる暇はありません!」

西高顧問「去年も一昨年もこの時期に相当負荷をかけたが、結果は県予選敗退じゃ」

幼馴染「そ、それはそうですが……」

西高顧問「特に今年のチームはお調子者集団や。適度に休みを与えてやらんとモチベーションを保てんじゃろ」

幼馴染「でも……」

西高顧問「お前、彼氏できたんやろ? デートでもしてリフレッシュしてきたらええ」

幼馴染「!!?」

484 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/21 23:32:47.98 i9k13Pv+0 323/439

幼馴染「な、なんで知ってるんですか!?」

西高顧問「彼氏のことならアホ五人組から聞いたで」

幼馴染「あいつら……!」

西高顧問「そう怒るな。あいつらのおかげで球技大会を観に行けたんやろ?」

幼馴染「……なんで知ってるんですか?」

西高顧問「アホ五人組を尋問したからのう」

幼馴染「……」

西高顧問「あの時のことを職員会議にかけられたくなかったら、おとなしく休むんやな」

485 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/21 23:37:13.33 i9k13Pv+0 324/439

放課後 帰り道
「休みもらえたんだ。よかったじゃん」

幼馴染「よくない!! 私はウインターカップで必ず全国に行かないといけないの! 休んでる暇なんてない!」

「追いこみすぎて怪我したら元も子もないぞ」

幼馴染「しないもん! ちゃんと鍛えてれば怪我なんかしない!」

「中学最後の大会を怪我で棒に振った人間が何を言ってるのかな?」

486 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/21 23:54:43.53 i9k13Pv+0 325/439

「ったく……わかりました。明後日は一緒にいますよ」

幼馴染「えへへ。ありがと!」

「どこか行きたいところとか、やりたいことあるか?」

幼馴染「そうだなあ……小学生の頃みたいに、二人で楽しく過ごせればそれでいいかな」

「あの頃、放課後はいつも一緒にいたよな」

幼馴染「うん。校庭でバスケしたり、男の家でゲームしたりしたよね」

「家でゲーム……」

幼馴染「どうしたの?」

「な、なんでもない! よし。久しぶりにゲームでもやるか!」

幼馴染「いいよー。でも、どこでするの?」

「……俺の家しかねえだろ」

幼馴染「えっ!?」

487 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/21 23:56:41.49 i9k13Pv+0 326/439

幼馴染「お、男の家でやるの?」

「ダメか?」

幼馴染「そうじゃなくて、その……」

「……うちの親のことなら気にしなくていいぞ。明後日はいないから」

幼馴染「い、いないの!?」

488 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/21 23:57:22.12 i9k13Pv+0 327/439

「じいちゃんが入院したらしくてさ。お見舞いに行くんだと」

幼馴染「……あのさ、確認なんだけど、その日は私と男の二人しかいないってことだよね?」

「……まあ、そうなるな」

幼馴染(両親がいないときに家に誘ってきた……これはつまり……)

幼馴染(えっち……するってことだよね……?)

490 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/25 23:51:08.31 /KO2Y6jp0 328/439

翌日 昼休み 女子バスケ部部室
生意気娘「いや、その結論はおかしい」

元気っ子「アタシもそう思うなー。飛躍しすぎだよね」

真面目っ子「男さんの自宅に誘われて取り乱すのはわかりますが、冷静に考えてくださいよ。相手は男さんですよ?」

無口っ子「……部長がベッドの上で裸になっても、男さんはそっと服を着せそう」

幼馴染「ち、ちゃんと確認したわよ! そしたら、男は……」

491 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/25 23:55:36.74 /KO2Y6jp0 329/439




幼馴染『男は、その……したいの?』

『そりゃまあ……俺だって、やりたいよ』



生意気娘「……」

幼馴染「ヤリたいって! 私とヤリたいって言ったのよ!!」

生意気娘「……それ」

元気っ子「ゲームのことだと勘違いされてるんじゃ……」

無口っ子「……」コクリ

492 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:01:12.36 bc3HdTLz0 330/439

生意気娘「部長って、あいつのことになると本当にポンコツになるよな……」

元気っ子「それだけ男さんのことが好きってことなんだよ」

真面目っ子「恋は盲目とはよく言ったものですね」

幼馴染「じゃあ、男の部屋でそれも二人だけでナニするっていうのよ!」

無口っ子「……いや、だから、ゲーム……」

幼馴染「ほら、えっちなげーむするんでしょ!? どっちが先にイクのか勝負するんでしょ!?」

無口っ子「……」

真面目っ子「……ここまでくると、部長が欲求不満なだけなのでは?」

493 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:06:54.00 bc3HdTLz0 331/439

生意気娘「だいたい、付き合ってまだ一ヶ月くらいだろ。いくらなんでも早すぎないか」

真面目っ子「どのくらいが平均的な期間なのかは知りませんが、初体験同士で一ヶ月というは早急すぎますね」

幼馴染「で、でも、付き合った当日に処女卒業した人が……」

無口っ子「……あり得ない」

真面目っ子「そんな人に身体を捧げた女性も女性ですよ」

元気っ子「当日はさすがにね」

生意気娘「そんな女が存在するなんて世も末だな」

???「やほー!」

「あっ」

副部長「おお!? なんだ、なんだ? 視姦プレイ? いやん、濡れちゃうー!」

494 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:10:07.72 bc3HdTLz0 332/439

真面目っ子「そうでした……この人がいたのでした……」

元気っ子「ま、まあ、副部長は特殊だから……」

副部長「なによ?」

幼馴染「ね、ねえ! 明日、男の家に遊びに来ないかって誘われたの! しかも、両親はいないから気にしなくていいって言うの! これってもうそういうことだよね!?」

無口っ子「……だから、ゲーム……」

副部長「なに言ってるんですか、部長!」

生意気娘「さすがのお前でもおかしいと思うよな! ガツンと言ってやれ!」

副部長「H以外になにするんですか!!」

生意気娘「やっぱりお前はおかしいな! 黙ってろ!」

495 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:15:40.64 bc3HdTLz0 333/439

副部長「両親がいないから気にしなくてもいい、というのは、喘ぎ声を気にしなくていいってことですよ」

幼馴染「そういうことだったの……!」

生意気娘「絶対違うだろ……」

副部長「まあ、男さんのことですし、挿入まではいかないかもしれませんが。最低でもその手前まではするでしょうね」

真面目っ子「キス……ですか?」

副部長「小学生かよ! まあ、男さんが部長を揉んで舐めて愉しんで、最終的には部長がペロペロしてフィニッシュってとこじゃないかな」

「!!?」

496 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:20:03.76 bc3HdTLz0 334/439

真面目っ子「ぶ、部長がどこを舐めるというのですか!?」

副部長「聞かなくてもわかるでしょ」

生意気娘「あんなとこ舐めるとか想像もしたくねえ!!」

元気っ子「触ることさえ無理!!」

無口っ子「……」カァァァァ

副部長「ウブだなー。今はロリでもフェラトゥする時代だよ?」

真面目っ子「そんな時代は認められないであるからしてー!」

副部長「あんなの一回咥えればどうってことなくなるから」

生意気娘「その一回が無理なんだよ!!」

幼馴染「わ、わたしは……男のなら平気、だよ……?」

真面目っ子「ぶ、部長!? いいのですか、あんな汚らわしいものを口に含むなんて……」

幼馴染「そりゃ、嫌悪感はあるけど……でも、男のものなら……耐えられる」

生意気娘「あ、愛だ……」

副部長「フェラぐらいで大袈裟だなあ……」

497 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:25:42.80 bc3HdTLz0 335/439

副部長「覚悟は決まったみたいだし、準備しないとですね」

幼馴染「準備って……ゴムとか?」

副部長「それは男さんが用意するべきでしょ。部長がゴムを持参したら、ただのヤリたい女になりますし」

幼馴染「確かに……」

副部長「あたしが言ってるのは、身体のケアですよ。ムダ毛処理とか」

幼馴染「し、してるわよ!」

副部長「そうかもしれませんけど、もう一度入念にしておいたほうがいいですよ。恥ずかしい思いするのは部長ですよ?」

幼馴染「……わかった」

498 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:27:07.39 bc3HdTLz0 336/439

副部長「あとは下着も買わなくちゃですね」

幼馴染「……私だって、スポブラ以外の下着くらい持ってるんだけど」

副部長「それは知ってますけど、部長のコレクションじゃ男さんを欲情させられませんよ」

幼馴染「欲情!?」

副部長「いつもの下着を着けて行ったら、私が男さんだったらがっかりしますね。『うっわ、色気のない下着』って」

499 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:27:43.00 bc3HdTLz0 337/439

幼馴染「そ、それは、副部長の感想でしょ! 男はそんなこと思わないもん!」

副部長「じゃあ聞きますけど、男さんが真っ白なブリーフを穿いていたらどう思いますか?」

幼馴染「……きっついかも」

副部長「でしょう。それを見てしまえば、どんなに発情していても、完全に完璧に絶壁に笑わない猫になりますよね?」

幼馴染「……そうかな?」

副部長「なのに……それでも、咥えさせたあいつはなんなの!? 『舐めてよ』って甘えられたところでお前の情けないパンツ見たら性欲なんか吹っ飛ぶんだよ!!」

無口っ子「……ふ、副部長?」

副部長「無理って言えば、強引に口の中に突っ込んできた挙句、『嫌がった罰ね』とか言って、顔にぶっかけやがって! あたしの顔はティッシュじゃねえんだよ!!!」

元気っ子「お、落ち着いて……」

副部長「精子まみれのあたしの顔を見て『AVみたい』って、お前がAVの真似したからこうなったんだろうが!」

真面目っ子「そ、それは実話ではないですよね? 妄想ですよね……?」

副部長「……」ズーン

「「「「「えっ」」」」」

500 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:28:15.34 bc3HdTLz0 338/439

副部長「と、とにかくです! 新しく下着を準備してくださいね!」

幼馴染「あ、ええと……」

幼馴染(副部長の話が強烈すぎて何の話をしてたのか覚えてない……)

副部長「わかりました!?」

幼馴染「は、はい……」

副部長「今日の放課後にでも男さんに選んでもらってください」

幼馴染「な、なんで!!?」

501 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:53:50.28 bc3HdTLz0 339/439

副部長「男さんの家に行くのは明日なんでしょう? 今日くらいしか買いにいく機会ないですよね」

幼馴染「そ、そうじゃなくて! なんで男が選ぶのよ!」

副部長「わかってないなー。彼氏が選んだ下着を身につけるというのは、つまり彼氏色に染まるということです」

幼馴染「!」

副部長「もしかしたら派手なヒョウ柄の下着を選ぶかもしれませんし、地味な白い下着をチョイスするかもしれません。いや、もしかしたら、ノーパンノーブラで毎日過ごせ、と恥辱プレイを始めるかもしれない」

副部長「どうですか? ワクワクしてきませんか?」

生意気娘「柄を決められるならまだしも、下着を着けるなとかあり得ないだろ。そんなこと言われた時点で別れるって」

幼馴染「私は……男がしてほしいなら……恥ずかしいけど頑張る……よ?」

生意気娘「ダメだ、こいつ……」

502 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:54:29.38 bc3HdTLz0 340/439

翌日 西高 女子バスケ部 部室
元気っ子「やっほー!」

生意気娘「おー」

副部長「あれ? キョン一人なの?」

生意気娘「見てのとおりだよ。ちっ、せっかく部活休みだってのに、なんでお前らと顔合わせないといけねえんだよ」

真面目っ子「部活が休みにも関わらず、わざわざ部室に来たキョン吉さんが何を言っているのですか」

無口っ子「……乳だけに栄養がいって、脳みそスカスカの乳牛はこれだから困る」

生意気娘「ああ!?」

幼馴染「……うるさい」ベシッ

生意気娘「なんで、わたしだけ!?」

503 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:56:25.07 bc3HdTLz0 341/439

生意気娘「わたしは悪口言われた側ですよ!? なのに、わたしを叩くんですか!!」

幼馴染「あーもう、うるさい。寝てないんだから、キャンキャン騒がないで」

真面目っ子「寝てないって……何かあったんですか?」

幼馴染「……今日、男の家に行くでしょ。何をするのか想像してたら眠れなくなったのよ」

真面目っ子「……絶対、ゲームするだけだと思う」

副部長「そういえば、下着は選んでもらいました?」

元気っ子「いやいや、いくらお願いされても断るでしょ……」

幼馴染「うん。選んでもらったよ」ビラッ

「ええ!!?」

504 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:56:51.89 bc3HdTLz0 342/439

副部長「へー、ピンクですか。なんか、男さんっぽいです」

幼馴染「ブルーかピンクで相当悩んでたけどね。『青は結構透けちゃうよ』っていう私の言葉が決め手になってピンクに決めたみたい」

生意気娘「あ、あいつは馬鹿か!」

真面目っ子「女性の下着を吟味してる男子高校生とか、ただの変態じゃないですか!」

副部長「男子はみな変態だし、女子だって変態。もはや人類すべて変態と言える。この世界は変態によって出来ている」

生意気娘「そんな世界は壊してしまえ」

505 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/04/26 00:57:19.80 bc3HdTLz0 343/439

幼馴染「ムダ毛処理もしたし、準備万端だよ……!」

副部長「完璧ですね!」

生意気娘「……おい」グイッ

副部長「なによ?」

生意気娘「そんなに煽って、結局ゲームするだけで終わったらどうすんだよ。部長、相当落ち込むぞ?」

副部長「まだ、そんなこと言ってんの? 絶対に男さんはヤル気だよ。間違いない」

真面目っ子「でも、あの男さんですよ……?」

副部長「わかってないなー。どうして、あたしが確信してるか、っていうとだね」

副部長「男さんだからこそ、なんだよ」

509 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 00:08:48.31 rZ3bSJ/q0 344/439

放課後
幼馴染(……男の家のインターホンを見つめて、もう三十分)

幼馴染(いつまでもこうしてるわけにはいかないよね……)

幼馴染(大丈夫、大丈夫。ここに来る前に家に帰ってシャワーを浴びて身体も清めてきたし、完璧に準備できてる。寝ずにいろんなプレイを想像したから、どんな要求にも対応できる)

幼馴染(よ、よし! 押そう! 男と新しい世界に旅立つんだ!)

幼馴染(……)ソー

幼馴染(はっ! シャワー浴びたときに下着替えてるじゃん!! なにやってんの、私!?)

幼馴染(いま着けてるのは……ダメだ。こんな子供っぽい下着で男を満足させられるわけない。こうなったら、家に帰って下着を……)

「悪い。待たせたな」

幼馴染「!!?」

510 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 00:18:02.66 rZ3bSJ/q0 345/439

幼馴染「どこ行ってたの!?」

「あれ? 買い物に行ってくるってラインしたけど、見てないの?」

幼馴染「インターホン見るのに精一杯で携帯見る余裕なんかなかったよ……」

「インターホン? まあ、いいや。こんなところで話しててもしょうがねえし、家入ろうぜ」

幼馴染「あ、いや、その……」

「どうした?」

幼馴染「……なんでもない、です」

511 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 00:19:26.35 rZ3bSJ/q0 346/439

男の部屋
幼馴染(なんて馬鹿なんだろう……男にせっかく選んでもらったのに、その下着を着けてこないなんて……)

幼馴染(脱がしてみたら、子供っぽくて色気のかけらもない下着が出てきたら、男はどう思うかな。こういうも好きだよって喜んでくれるかな。俺が選んだのはどうしたんだよって苦笑いするかな)

幼馴染(……そんなわけないよね。がっかりするだろうし、選んだのと違うって怒るかもしれない)

「飲み物持ってきたぞ」

幼馴染「……男、ごめん」

「幼?」

幼馴染「……今日はエッチなことできない」

「は、はあ!?」

幼馴染「男が勇気を出して誘ってくれたのに……本当にごめんね」

512 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 00:21:34.66 rZ3bSJ/q0 347/439

「お、俺はそんなつもりねえよ!」

幼馴染「……」

「ただ、ゲームを一緒にしようと思ってただけで、その……そういうことは何も……」

幼馴染「嘘だ」

「本当だって! 俺がそんなことできると思うか!?」

幼馴染「できないと思うよ。でも、だからこそ、この状況がおかしいの」

幼馴染「男が家に誰もいない時を狙って私を誘うなんて絶対にありえないから」

513 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 00:23:36.52 rZ3bSJ/q0 348/439

幼馴染「男は別れるリスクに躊躇して告白さえできないくらい敏感で臆病なんだよ? その男が私を家に誘った。それも家に誰もいない時に」

幼馴染「男がどういう気持ちでどれほどの覚悟をもって、私を誘ったのかくらいわかるよ」

「……本当、お前はなんでもわかるんだな」

幼馴染「前にも言ったでしょ。私には隠し事できないってば」

「あはは……いやあ、昨日、下着を選ばされた時は、俺の意図に気づいた上で幼もそのつもりなのかな、って思ってたんだけど、いきなり断られたから、つい誤魔化しちゃったよ」

幼馴染「……あっ、それは……」

「あわよくばそういう流れになればいいかなって思ってただけだから。幼が嫌ならしないよ」

幼馴染「い、嫌ってわけじゃないよ! た、ただ……下着が……その……」

「下着?」

幼馴染「……すっごい子どもっぽいやつなの……」

「はっ?」

514 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 00:36:48.16 rZ3bSJ/q0 349/439

幼馴染「男が選んだ下着でくるつもりで、学校にも着けてたんだけど……ここに来る前に家でシャワー浴びたときに……替えちゃったんだ……」

「……」

幼馴染「ごめんね……せっかく選んでもらったのに……」

「……」

幼馴染「こんな子どもっぽい下着見せられないよ……」

「お前って、ここぞって時にポンコツになるよなあ」グイッ

幼馴染「お、とこ……?」

「俺はむしろ見たいくらいなんだけど」

515 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 00:43:23.43 rZ3bSJ/q0 350/439

幼馴染「だ、だめだよ!」

「まあ、一回見せてみなよ」

幼馴染「……こんなの見せたら、醒められちゃう」

「大丈夫だって。どんな下着でも興奮する自信あるから」

幼馴染「うそだ……」

「本当か嘘かは見せてくれればわかるよ」

幼馴染「で、でも……」

「俺のこと信じて、ね?」

幼馴染「……見せたらあとでキスしてくれる?」

「うん。たくさんしてあげる」

幼馴染「……少しだけだからね」

516 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 00:47:04.15 rZ3bSJ/q0 351/439

幼馴染「ほんとうに少しだけ、少しだけだよ?」

「わかってるよ」

幼馴染「……」ビラッ

「……っ」

幼馴染「はいもうダメ!」バッ

「本当に少しだけなんだな……」

幼馴染「……だって……こんな下着見せたくないもん」

「残念だな。ほんの一瞬見れただけだけど、俺はかなり興奮したのに」

幼馴染「興奮した……?」

「好きな女の下着を見て、興奮しない男子高校生なんか存在しねえよ」

517 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 01:10:05.49 rZ3bSJ/q0 352/439

幼馴染「あ、青と白の縞々だよ……?」

「確かに昨日はふりふりの可愛い下着を選んだ。でも、そういう下着だって好きだ。いや、なんならスポブラだっていい」

幼馴染「……なにそれ、なんでもいいってこと?」

「そうだよ。幼が着けてるなら、どんなのだってエロく見えるし、欲情するんだ」

幼馴染「変態……」

「そんなこと言われると余計興奮しちゃうんだよなあ」

518 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 01:56:37.14 rZ3bSJ/q0 353/439

「もう一回、見せてほしいなあ」

幼馴染「……だめ」

「そっか。残念だけど、幼が嫌なら我慢する」

幼馴染「……」ベシ

「な、なんだよ?」

幼馴染「それほど見たくないってこと?」

「いや、そういうわけじゃ……」

幼馴染「……だったら、脱がせばいいでしょ。変態なんだから」

「え、でも……いいのか?」

幼馴染「いいの……私も脱がされて興奮する変態だから」

519 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 01:57:09.38 rZ3bSJ/q0 354/439

「じゃあ……脱がすぞ」

幼馴染「うん……」

「……」スルッ

幼馴染「うー……やっぱり恥ずかしい」

「……」ジー

幼馴染「……そんなに見つめないでよ」

「ごめん……つい、な」

幼馴染「興奮する……?」

「うん。人生史上最大興奮してる」ギュウ

幼馴染「……本当だ。男、すごいドキドキしてるね」

520 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 01:57:49.13 rZ3bSJ/q0 355/439

幼馴染「男に抱きしめられると落ち着くなー」スリスリ

「それは良かった」ナデナデ

幼馴染「でも、男はむしろ、興奮してるみたいだけど」ニマニマ

「そりゃそうだろ!!」

幼馴染「えへへ。ねえ、ご褒美のちゅーは?」

「……」チュ

幼馴染「ん……」

「……」チュウ

幼馴染「んっ……」

「……」チュウウウ

幼馴染「んんっ……!」

「ふぅ……」

幼馴染「も、もう! 何回するつもりなの!」

「たくさんするって言っただろ」チュウ

521 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 01:59:03.72 rZ3bSJ/q0 356/439




「ふぅ……」

幼馴染「……満足した?」

「おう。大満足だ」

幼馴染「……これじゃ、ご褒美じゃなくて、男がただしたかっただけじゃん」

「それもそうだな……何か、他にしてほしいことあるか?」

幼馴染「じゃあ、後ろからぎゅーして」

「こうか?」ギュウ

幼馴染「これ、やばい……癖になりそう……」

522 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 01:59:33.39 rZ3bSJ/q0 357/439

「そんなにいいんだ?」

幼馴染「なんだろう……安心するっていうのかな。すごい落ち着く……」

「そか。なら、よかった」ナデナデ

幼馴染(……なんか……眠くなって……きたかも)

幼馴染(そういえば、昨日から……寝てないんだった……)

「幼が満足するまでこうしててやるよ」ポンポン

幼馴染(あ、もうだめだ……)クラッ

「幼?」

幼馴染「Zzz……」

「えっ」

523 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 02:01:13.48 rZ3bSJ/q0 358/439

「ね、寝ちゃったのか……?」

幼馴染「……」

「ったく……そんなに幸せそうな顔されたら文句言えねえよ」ナデナデ

幼馴染「……」プルン

「……っ」

幼馴染「……」プルン

(だ、ダメだダメだダメだ! いくらなんでも寝ているところを触るなんて!)

幼馴染「……」プルン

(堪えようとすればいするほど胸に目線がいってしまう……くっそ! めっちゃ触りてえ!)

524 : ◆TMTTBwd/ok - 2019/05/26 02:01:43.74 rZ3bSJ/q0 359/439

(我慢我慢我慢我慢我慢我慢がま……)

幼馴染「……」プルン

(ちょっと……ちょっと触るだけなら……いいか)スッ

???「貴方、いるなら返事くらい……」バンッ

「……えっ」

???「……」

「ね、姉ちゃん……?」

「もしもし、警察ですか?」

「姉ちゃん!!?」

533 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/07/12 12:06:51.16 U9AT5Fbt0 360/439

【数十分後】
幼馴染「んん……」

「おはよう、幼ちゃん」

幼馴染「あ、おはようございます……あれ、姉先輩?」

「とりあえず服を着なさい」

幼馴染「……あっ!!?」カァァァ

「幼ちゃん、成長したわね」

幼馴染「どこ見て言ってるんですか!!?」

534 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/07/12 12:08:03.37 U9AT5Fbt0 361/439

幼馴染「もうやだぁ……」

「裸見られたくらいでそんなに落ち込むことないでしょう。昔は一緒にお風呂入った仲じゃない」

幼馴染「それはそうなんですけど……状況が状況ですし」

「貴女たちは交際しているのだから、セッ○スしてもおかしくないでしょう」

幼馴染「はっきり言いますね!?」

「まあ、最中に寝てしまうのはどうかと思うけど」

幼馴染「男に抱き締められたら安心しちゃって、つい……」

「私が叔母になる日は遠いわね」

535 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/07/12 12:09:29.13 U9AT5Fbt0 362/439

幼馴染「そういえば、男はどこに……?」

「夕飯の買い出しに行かせたの。半裸で寝ている幼ちゃんと同じ部屋にいさせるわけにはいかないでしょう」

幼馴染「あはは……」

「あいつが帰ってくる前に聞きたいことがあるのだけれど」

幼馴染「なんですか?」

「うちの大学の練習会をなぜ断ったの?」

幼馴染「……」

536 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/07/12 12:14:57.09 U9AT5Fbt0 363/439

「監督に言われたのよ。貴女を説得してこいって」

幼馴染「どうしてそこまで……」

「この間の総体予選を視察して、貴女のプレーに一目惚れしたそうよ」

幼馴染「そんな……北高に負けたのに……」

「私も決勝戦をビデオで見たけれど、コート上で一番輝いていたのは貴女。一緒に見た人たちも驚いていたわ。こんな選手がいたのかって」

幼馴染「……買いかぶりすぎですよ。西高は2年生主体のチームです。私は脇役でしかありません」

「全国ベスト4の大学が全国大会出場経験のないチームの脇役を練習会に誘うと思う?」

幼馴染「……」

「貴女が自分の実力を自覚しない限り、あのチームが全国に行くことはないわよ」

537 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/07/12 12:21:47.95 U9AT5Fbt0 364/439

「もう一度、考えてくれる?」

幼馴染「……もう決めたことですから」

「そう……」

幼馴染「すみません……」

「いいのよ。貴女が一度決めたらそう簡単に変えないことは知っていたし。それに、おかげで三日間の休みをもらえたから」

幼馴染「三日間も休みなんですか?」

「そうよ。明後日まではこっちにいるわ」

幼馴染「やったー! 久しぶりにバスケしましょうよ!」

「……それもいいのだけれど、私としては身体のコミュニケーションがとりたいわね」

幼馴染「なんですか、それ?」

「こういうことよ」モミッ

幼馴染「!!?」

538 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/07/12 12:24:06.82 U9AT5Fbt0 365/439

幼馴染「あ、姉先輩!!?」

「さっき、幼ちゃんの成熟した果実を見て、ムラムラしてしまったのよ。今日は寝かせないわ」ガシッ

幼馴染「何言ってるんですか!」

「いいじゃない。私たちはいずれ家族になるのだから。身体のお付き合いをしましょう」モミモミ

幼馴染「よくない! 絶対よくない!」

「さ、服を脱ぎましょうね。大丈夫。優しくしてあげるから」ペラッ

幼馴染「ふにゃーーーーー!」

「……なにやってんの?」

539 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/07/12 12:26:15.45 U9AT5Fbt0 366/439

幼馴染「も、もう! 冗談でもやめてくださいよ!」

「だって、恥ずかしがる幼ちゃんが可愛いんだもの」

「姉ちゃんさあ……幼は女の子なんだから、そういう弄りはやめてくれよ」

「あら? 貴方に私を説教する権利あるのかしら」

「はあ?」

「幼ちゃんの寝込みを襲おうとしたのは誰?」

幼馴染「ええ!?」

「幼ちゃんが寝ている時にね、この愚弟は胸を揉もうとしたのよ。私が止めなければ、幼ちゃんの身体を好き勝手弄りまわしていたでしょうね」

幼馴染「そんな……」

「聞いてくれ、あれは気の迷いで……」

幼馴染「どうして止めたんですか!?」

「……なんで私が怒られるの?」

「さ、さあ……?」

541 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 01:40:47.33 w2/3+Cmr0 367/439

翌日 昼休み 西高 バスケ部部室
副部長「いやー、実に部長と男さんらしい」

幼馴染「……うるさいわね」

生意気娘「むしろ……」

真面目っ子「男さんがそこまでする覚悟だったとは……」

元気っ子「そっちの方が驚きだよね」

無口っ子「……ゲームするだけだと思ってた」

542 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 01:42:20.75 w2/3+Cmr0 368/439

元気っ子「男さんにお姉さんがいたのは初耳ですね。バスケやってる人なんですか?」

幼馴染「うん。今は〇〇大でバスケやってるよ」

生意気娘「名門じゃないですか!?」

幼馴染「凄い人だからねー。北高が初めて全国出た時の部長だもん」

真面目っ子「私、見たことありますよ! あの人が男さんのお姉さんだったとは……」

無口っ子「……だから男さんも運動神経いいのか」

副部長「んー。誰?」

生意気娘「さすがだな、お前……」

543 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 01:46:06.26 w2/3+Cmr0 369/439

真面目っ子「中三の時に総体予選の決勝を観戦したじゃないですか。覚えていないのですか?」

副部長「えー? 部長のことしか覚えてないなー」

幼馴染「あの試合出てないよ……」

生意気娘「こいつ、部長がベンチだからって興味なくして、ずっとスマホをいじってたからな……」

元気っ子「私は覚えてるよ。その人だけで30点くらいとってたよね」

副部長「あれ? 女先輩は出てなかったの?」

真面目っ子「出場してましたよ。でも、あの試合ではアシスト役でした」

副部長「女王様気質の女先輩が……その人、よほどの実力者なんですね」

幼馴染「そりゃ、うちの高校の全国大会連続出場記録を止めた人だから」

副部長「どんな人なんだろう……」

544 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 01:48:09.27 w2/3+Cmr0 370/439

放課後 北高 3年生教室
「男くん、プリントお願いしてもいいかな?」ニコニコ

「……ずいぶん機嫌がいいな」

「わかる? この後、妹とデートなの!」

「なるほどね。だから、こいつが廃人になってるのか」

男友「 」

545 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 01:52:44.53 w2/3+Cmr0 371/439

「あら、まだそんなところにいたの進路未確定者さん。早く相談しに行かないと浪人することになるわよ」

「ああ……そういや、進路調査票提出してないのお前だけだったな」

男友「うるせえ……」

「でもね、安心して。君がフリーターになったとしても、私が妹を幸せにするから。だから、男くんは何にも心配せずに人生を彷徨っていて構わないのよ」

男友「黙れ、負け犬が!」

「私、推薦で大学決まってるのよねー」

男友「くっ……」

「部活で進路決まるとかいいよな」

「でしょ? いやー、バスケやっててよかった」

(……そういや、幼は大学どうすんだろ)

546 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 01:56:38.17 w2/3+Cmr0 372/439

「つーかお前、部活で推薦もらったのにサボっていいのかよ」

男友「そうだそうだ! 推薦取り消しになってしまえ!」

「顧問から今日の活動は一任されているのよねー。なので、私の判断で休みにしたのです! はい、問題ない!」

「え? そうなの?」

「そうなのです! 私と妹はデートしてくるので、友くんはじっくり進路相談してきていいからねー!」

男友「いやだああああああ!」

「そうだったのか。姉ちゃんに連絡しておかないと」

「えっ」

547 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 01:57:44.64 w2/3+Cmr0 373/439

「な、なんで、姉先輩に連絡するのよ!」

「今日、部活に顔を出すって言ってたから」

「帰ってきたの!?」

「昨日から三日間休みなんだと」

「あのハゲ顧問め……姉先輩が来るのを知ってたから、私に任せたんだな……」

548 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 02:01:35.00 w2/3+Cmr0 374/439

「こっち向かってるだろうし、早く連絡しないと」

「待ちなさい!」

「なんだよ」

「姉先輩には『顧問が原因で休みになった』と伝えなさい」

「お前の判断で休みになったんだろ」

「顧問が病気になったから、私に任されたのよ」

「いや、さっきまで普通に授業してたけど……」

「いいからそう連絡しなさい! 私がどうなってもいいの!?」

男友「構わないぞ」

「あんたには聞いてない!」

549 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 02:12:07.17 w2/3+Cmr0 375/439

後輩「お姉ちゃんいますか?」

「妹……」

後輩「よかった。ここにいたのですね。こちらの方が……」

「……」ギュ

後輩「お姉ちゃん……?」

「私が絶対守るから。バスケやるためだけに産まれてきたような頭の中バスケばっかりのスパルタ女なんかに負けない!」

後輩「え、えっと……」

「さあ、逃げましょう! 誰にも手の届かない私たちだけの楽園に!」

「そこって体育館のことよね?」

「!!!!!!?」

550 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 02:14:04.84 w2/3+Cmr0 376/439

「あれ? 姉ちゃん、もう来てたのか」

「ええ。練習開始前に身体を動かしておこうと思って。なのに、部室に行ったら誰もいないのよ。この子に聞いたら、バスケ部は休みだって言うのよ。総体前なのにおかしいでしょう?」

「ああ、それは……」

「顧問が病気になったので休みになったんです!!」

「お前なあ……」

「もう立てないくらいの重病みたいで、仕方なく休みになったんですよ!」

「……そう」

「そうなんですよ! あー、残念だなあ! 姉先輩とバスケしたかったなあ!」

「さあ、練習しましょう」

「えっ」

551 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 02:21:40.64 w2/3+Cmr0 377/439

「あ、あの? 私の話聞いてました?」

「聞いていたわよ。先生が病気なのでしょう。お気の毒にね。さあ、練習しましょう」

「姉先輩? 顧問が大変な状況なのに部活をやるのはどうかと……」

「夏休みになったらすぐ総体よ。さあ、練習しましょう」

「……」

「先生が練習を見れないなら、私がトレーニングを仕切るしかないわね。さあ、練習しましょう」

「……みんな、休みだと思って下校してるんじゃないんですかね」

「呼び戻せばいいじゃない」

「そうですね……」

「さあ、練習しましょう」

552 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 02:28:47.15 w2/3+Cmr0 378/439

「妹、ごめんね……そういうことだから、今日のデートはなしってことで……」

後輩「わ、わかりました……」

「姉先輩、行きましょう」

「ちょっと待って、この子はバスケ部じゃないの?」

「せんぱーい。今日はあんまり厳しくしないでくださいよー」

「何なのその甘え声は。気持ち悪い」

「……」

「この子、貴女の妹でしょう。ミニバスで有名だったらしいじゃない。なぜ、バスケ部に入れないの?」

「……確かにミニバス時代は凄いプレーヤーでした。でも、中学ではやっていませんし、今から入部しても難しいと思いますよ」

「でも、この間の球技大会でも大活躍だったそうじゃない。顧問から聞いたわ」

「あのハゲ、余計なことを……」

553 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 02:29:46.18 w2/3+Cmr0 379/439

「ねえ、これから時間があるのなら、練習に参加してみない?」

後輩「私がですか……?」

「ええ。顧問から聞いた話が正しければ、問題なく練習についてこれると思うわ。どうかしら」

「姉先輩!」

「……なに?」

「妹はもうバスケはやめているんです。だから、そういう強要は困るんです」

「強要だなんて人聞きが悪い。これは勧誘よ。それに貴女にも悪い話ではないと思うけど」

「……どういうことですか?」

「もし、入部してくれたら、これから毎日、放課後は一緒にいられるのよ」

「入部させます」

後輩「お姉ちゃん!!?」

554 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 02:43:55.03 w2/3+Cmr0 380/439

「とりあえず一回だけ! 一回だけ参加しよ!」

後輩「その手に持っている用紙はなんですか!?」

「大丈夫。婚姻届だから」

後輩「いや、入部届でしょう!!? というか、婚姻届でもダメですから!」

「これでガードが弱いのも無事解消ね」

後輩「もう入部前提!!? 先輩助けてくださいよ!」

「……」

後輩「い、いない……」

「さあ、秘密の楽園にレッツゴー!」

「うふふ。楽しみだわ」

555 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 02:44:47.92 w2/3+Cmr0 381/439

男友「……行ったか?」

「なんだお前。隠れてたのか」

男友「俺がいたら、気を遣うだろうからな」

「どういうことだ?」

男友「後輩はバスケやりたいんだよ。でも、俺がいるから我慢してくれてたんだ。それくらい一緒にいればわかるよ」

「でも、いいのか。あの子がバスケ部に入ったら、一緒にいられる時間が減るぞ」

男友「いいんだよ。後輩にはやりたいことをやってほしいから」

「……そうか」

556 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 02:45:33.39 w2/3+Cmr0 382/439

移動中
(やりたいことをやってほしい、か)

(まあ、そうだよな。俺だって幼にはそうであってほしい)

(俺が重荷になるなんてことは絶対に嫌だ)

(……進路のこと話さないと、だなぁ……)

ブー、ブー

(ん? ……姉ちゃんからのメールか)

『帰りにコンビニに寄って、あの子の様子を見てくるように』

(……姉ちゃんも相変わらずだなあ)

558 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 14:33:39.98 w2/3+Cmr0 383/439

帰り道
幼馴染「姉先輩が北高の練習に参加したの!?」

「ああ、女は嫌がっていたけどな」

幼馴染「あはは……姉先輩はストイックだからね。女とっては厳しい人に映るかもね」

「ストイックというかアレはスパルタだろ……」

幼馴染「えー、そうかなあ。私はあれくらい普通だと思うけど。私も姉先輩とバスケしたいなあ。ねえ、西高の練習に参加してくれないか聞いてみてよ」

「やめとけ、お前と姉ちゃんのコンビとか周りにとっては悪夢でしかない」

559 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 14:37:45.34 w2/3+Cmr0 384/439

幼馴染「むー、久しぶりに姉先輩とバスケやりたかったのに」

「朝練ならいいんじゃねえか」

幼馴染「でも、朝早いよ?」

「むしろ、喜んで起きるんじゃないか」

幼馴染「なんで?」

「それはだな……あ、ちょっとコンビニ寄っていいか」

幼馴染「ちょっと待ってよ!」

「プリン買ってやるから」

幼馴染「私は子どもか!」

560 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 14:43:35.18 w2/3+Cmr0 385/439

コンビニ
店員「550円になります~」

「はーい」

店員「あれれー? 男くんの彼女さんですかー?」

幼馴染「え……まあ、はい……」

店員「うふふ。こんな素敵な女性とお付き合いするなんて、男くんもやるときはやるんですね~」

幼馴染(かわいい人だけど、なんか独特の雰囲気がある人だな……)

「店員さんはどうなんですか? 彼氏さんとかできましたか?」

幼馴染「……!」

店員「私ですかぁ~? んー、あんまりいい話はないですかねぇ~」

「そうですか」

幼馴染「……」

561 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 14:48:57.17 w2/3+Cmr0 386/439

帰り道
「なんでむくれてんだよ……」

幼馴染「……じゃあ、聞くけど。あの店員さんとはどういう関係なの?」

「は? ただの店員と客の関係だけど……」

幼馴染「嘘! それだけなら、あんな風に親しげに会話したりしないもん! なにが『店員さんは彼氏とかできました』だ! とかってなんだ、とかって!」

「常連みたいなもんでさ。通っているうちに仲良くなったんだよ」

幼馴染「スーパーコミュ障の男にそんなことできるわけない!」

「お前さあ……」

幼馴染「否定できるの?」

「ノーコメントで」

562 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 14:52:20.62 w2/3+Cmr0 387/439

「わかった。正直に話すよ。あの人は姉ちゃんと同級生でさ、よく家に遊びに来ていたんだよ」

幼馴染「なーんだ。そういうことか。別に隠すことなかったのに」

「それだけなら、な……」

幼馴染「へ?」

「実は……」

563 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 14:54:31.32 w2/3+Cmr0 388/439

翌日 朝 コンビニ前
店員『いらっしゃいませ~』

「……相変わらず元気そうね」

幼馴染「いいんですか、姉先輩?」

「お、幼ちゃん!?」

幼馴染「あの人に声をかけなくていいんですか?」

「……愚弟から聞いたのね」

幼馴染「姉先輩があの店員さんの様子を逐一報告するように男に命令したって話は聞きました。でも、男は鈍感だから先輩の気持ちには気付いていませんでしたけどね」

「さすが愚弟……」

564 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 14:57:01.07 w2/3+Cmr0 389/439

「……あの子とは高校の入学式で初めて会ったの。その時は随分、変わった子だなって思った」

幼馴染「確かに……独特な雰囲気がありますよね」

「でしょう? ゆったりとした話し方なんてイライラしてしょうがなかったのに。一緒に同じ時間を過ごしているうちに、いつのまにか……」

幼馴染「好きになっていたんですね」

「……誰かといて安心できるなんて知らなかった。誰かを想うことがこんなにも切なくて寂しくて、でも幸せなことなんだって私は彼女に教えてもらったのよ」

幼馴染「なら、どうして、話しかけないんですか。連絡さえとっていないんでしょう」

「決まってるじゃない。バスケに集中するためよ」

幼馴染「……」

565 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 15:03:49.40 w2/3+Cmr0 390/439

「高校時代、あの子がいてくれたから私は頑張れた。1,2年生のころ、全国はおろか県の決勝にさえ残れなくて心が折れそうになった時、彼女が傍にいてくれたから私は踏みとどまれた」

「でも、それじゃダメなの。上を目指すのなら私は自立しなきゃいけない。どんなことにも揺るがない選手にならないといけない」

「もし、あの子が傍にいたら、きっと甘えてしまう。彼女の傍にずっと留まっていることを私は願ってしまう。だから、離れたの」

「大学を卒業したら彼女を迎えに行くわ。でも、それまでは」

「私は一人で戦うの」

566 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/07 15:05:43.44 w2/3+Cmr0 391/439

幼馴染「姉先輩は強いですね……」

「そんなことないわよ。私は弱いから強くあろうとしているだけ」

幼馴染「……でも、私にはそんな選択できません」

「それは、ちゃんと自分の弱さを受け入れているってことよ。それができるのは、本当に強い人なんだと私は思うわ」

幼馴染「そうでしょうか……」

「でも、これだけは言っておく。貴女が選んだ道はもっとも難しいことよ。昨日、北高の練習にしてよくわかった。あのチームは強い。私たちの代よりも」

幼馴染「……わかっています」

「頑張りなさい」

568 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/08 20:28:02.75 zswJChdW0 392/439

二週間後 朝 公園
「おつかれさん」

幼馴染「えへへ、ありがと!」

「それにしてもお前、昨日まで合宿だったのによくやるよな」

幼馴染「夏休みが明けたら、すぐウィンターカップの予選だからね。休んでる暇なんてないよ」

「やりすぎて怪我しないようにな」

幼馴染「ヤリすぎてって……私たちまだしてないでしょ?」

「……本気で心配してるんだけど」

幼馴染「すみませんでした……」

569 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/08 20:35:36.74 zswJChdW0 393/439

「そういえば、合宿でちゃんと寝れたか」

幼馴染「なんでそんなこと聞くの?」

「お前、ミニバスでの初めての合宿の時、ホームシックになって布団の中で朝までずっと泣いてたんだろ」

幼馴染「なんで知ってるの!?」

「姉ちゃんから聞いたんだよ」

幼馴染「あの人は……!」

「ノリノリで合宿に行ってたから意外だったな」

幼馴染「違うんだよ……布団の中に入ったら、男の顔が浮かんできて寂くなっちゃったんだよ……」

「俺の名前呟いてたらしいな。おとこぉ……って」

幼馴染「やめて!」

570 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/08 20:52:50.73 zswJChdW0 394/439

幼馴染「あの合宿の時、男だって泣いてたじゃない!」

「……覚えてないなあ」

幼馴染「なら、思い出させてあげよう。合宿先に向かうバスに乗りこむ私を君は泣きながら見送ったのだよ」

「か、勘違いじゃねえか」

幼馴染「『おうちゃぁん……』」

「ごめんなさい」

571 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/08 21:05:26.43 zswJChdW0 395/439

幼馴染「……実はあの時に男が好きなんだって気付いたんだよね。私が男を守ってる気になっていたけど、男が傍にいてくれたから私は頑張れたんだって」

「幼もだったのか……」

幼馴染「え? 男もなの?」

「ああ……バスに乗りこむお前の背中を見て、俺は幼が好きなんだって自覚したんだ」

幼馴染「なんだ……じゃあ、小学生のころには既に両想いだったんだ。なのに、最近まで付き合っていなかったなんて私たちって本当に馬鹿だよね」

「まったくだ……」

572 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/08 21:08:04.04 zswJChdW0 396/439

幼馴染「そろそろ、帰ろうか」

「もうこんな時間か。朝飯食わないと」

幼馴染「じゃあ、ご飯食べた後、10時にこの公園でいい?」

「まあ、そんなところだな」

幼馴染「むふふ」

「な、なんだよ」

幼馴染「久しぶりのデートだからさ! 楽しみだなって!」

「期待に応えられるように頑張りますよ」

573 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/08 21:46:08.80 zswJChdW0 397/439

男自宅
「じゃあ、行ってくるわ」

「貴様、受験生だという自覚はあるのか。世の高校三年生は勉学に励んでいるんだぞ」

「まあまあ、お父さんいいじゃないですか」

「ダメだ。もし浪人なんてことになってみろ。こいつは遊び呆けるに違いない」

「今日は幼ちゃんとデートらしいわよ」

「そうか。なら、お前は勉強してろ。私と母さんで幼ちゃんをもてなすから」

「なに言ってんだ、親父……」

「それもいいわね。男はお留守番してなさい」

「この馬鹿夫婦が……」

574 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/08 21:48:10.31 zswJChdW0 398/439

「うふふ。冗談よ」

「冗談に聞こえねえんだよ……」

「でも、勉強してほしいのは本当。模試の結果を見る限り、大丈夫だと思うけれど、親としては心配なのよ」

「……わかってるよ」

「そういえば、幼ちゃんは大学の推薦を蹴ったのだろう」

「えっ!!?」

「……」

575 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/08 21:50:28.56 zswJChdW0 399/439

「なんだ、知らなかったのか。幼ちゃんのお父さんから聞いたんだが、バスケの強豪の大学からの推薦を断ったらしいぞ」

「な、なんで……」

「さあな。その大学は愛知にあるらしいから、それよりも都心の大学に行きたいとかじゃないのか」

「まさか……!」

「お前たち、付き合っているのに進路の話をしていなかったのか?」

「行ってくる!」ダッ

「……」

「……お父さん、どうして話したんですか」

「これからのことを考えるなら、ちゃんと向き合わせないといけない。いつまでも逃げ回ることはできないんだよ」

「……そうかもしれませんね……」

576 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/08 22:33:53.93 zswJChdW0 400/439

公園
「幼!」

幼馴染「男が走ってくるなんて珍しいね。どうしたの、まだ集合時間前だよ?」 

「お前、大学の推薦断ったのか?」

幼馴染「な、なんで、その話を知ってるの!? まさか、姉先輩が……」

「違う。親父から聞いたんだ。親父は幼のお父さんから教えてもらったらしい」

幼馴染「え、お父さんが……」

「なんで断ったりなんかしたんだよ!」

幼馴染「……なんとなく察しているくせに」

「俺のせいか……」

577 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/08 22:35:40.08 zswJChdW0 401/439

幼馴染「それは違うよ! 私が男の傍にいたいだけなの!」

「自分の将来を決めるんだぞ! そんなくだらない理由で断るなよ!!」

幼馴染「くだらない?」

「そうだよ! 俺がいるかどうかなんて関係ないだろ!」

幼馴染「……あるもん。私は男がいなかったらバスケなんてできない。男と再会するまでの私に逆戻りしちゃうもん」

「あの時とは違うだろ。今は連絡だってとれるし、会いにだって行くよ!」

幼馴染「それじゃあ、足りないの!」

578 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/08 22:36:33.03 zswJChdW0 402/439

「お前、わがままばっかり言うなよ。社会人になれば、会う頻度は今より確実に減るんだぞ」

幼馴染「だから、せめて大学生の間だけは一緒にいたいって思うことの何が悪いの!」

「いい加減にしろ! 俺はお前の重荷になりたくないんだよ」

幼馴染「だから、そうじゃないって言っているでしょう! 私には男が必要なの! 傍で支えて欲しいの!」

「……俺にはわからねえよ」

幼馴染「もう知らない!」ダッ

「お、おい!」

581 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 00:12:09.32 h8rnv4zg0 403/439

バス停
「で、今日はどこに行くの?」

会長「どこだと思う?」

「私の予想だと、水族館なんだけどどうかな?」

会長「……」

「で、お昼は水族館近くのイタリアン! その後はちょっと移動して公園を散策ってところかなあ」

会長「……君はエスパーなのかな?」

「そんなんじゃないよ。ただ、君のスマホの閲覧履歴を調べただけ」

会長「いつの間に!!?」

「女の子って怖いよねー」

幼馴染「はぁ……はぁ……」

&会長「!!?」

582 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 00:13:14.13 h8rnv4zg0 404/439

「びっくりしたぁ……こんなところで何してるのよ」

会長「すごい汗だけど大丈夫かい……?」

幼馴染「……」

「……幼?」

「幼!」

幼馴染「……っ!」

「……」

「冷静になって話をし……」

「オラッ!」ドスッ

「な、なんで……」ドサッ

「よしっ。幼、バス乗るよ!」グイッ

幼馴染「え、ちょっと……」

「会長、男のことは任せたよ!!」

会長「えっ……」

「お、幼……待ってくれ……」

会長「なんだ、これ……」

583 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 00:26:35.14 h8rnv4zg0 405/439

バス車内
「とりあえず汗拭きなよ」

幼馴染「……どうして助けてくれたの」

「男くんが来た時、君が怯えていたからね」

幼馴染「そんなこと!」

「あるよ。今にも泣きそうな顔をしていた」

幼馴染「……私、そんな顔してたんだ」

「このまま君たちを放置したら別れる気がしたから、つい干渉しちゃったのよ」

584 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 00:28:48.38 h8rnv4zg0 406/439

幼馴染「実は……」

「おっと。君たちの間に何があったのかなんて聞かないよ。聞いたところで解決できるわけじゃないし。そもそも興味もないしね」

幼馴染「……冷たいわね」

「優しい私なんて気味が悪いでしょ」

幼馴染「……それもそうね」

585 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 00:29:39.19 h8rnv4zg0 407/439

幼馴染「そういえば、どうして会長と一緒にいたの?」

「デートする予定だったから」

幼馴染「で、デート?」

「うん。私たち、付き合ってるから」

幼馴染「え、ええ!!?」

「付き合って一ヶ月くらいになるのかなー」

幼馴染「意外な組み合わせね……」

「君たちのほうがよっぽど意外な組み合わせだと思うけどね」

586 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 00:31:37.28 h8rnv4zg0 408/439

幼馴染「会長のどこが好きなの?」

「それを今探してる感じかな」

幼馴染「な、なにそれ? 好きでもないのに付き合ってるの?」

「違うよ。彼が大切な存在になれるのか見極めているの」

「君たちを見ていて思ったのよ。恋や愛は人を変えるんだな、って」

「それで私も探すことにしたの。私を変えてくれる存在をね」

幼馴染「女……」

「だから、君たちが簡単に別れたりしたら困るの。私が憧れて、欲しいと願った関係なんだから大切にしてよ」

幼馴染「……うん」

587 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 00:39:09.32 h8rnv4zg0 409/439




バス停
「……なんかごめんな」

会長「まったくだ。練りに練ったデートプランが水の泡だ」

「デートってお前……女と付き合ってるのか?」

会長「あの同窓会の夜からね」

「マジかよ!? あの時初対面だろ? よく付き合ったな……」

会長「おかげでデートのたびに彼女の色んな一面を知れて楽しいよ。君たちみたいにお互いを理解し合ってから交際するのが正解じゃないんだよ」

「……理解できてたわけじゃないんだよな」

会長「そうか。頑張れ」

「最後まで聞けよ!」

会長「幼くんは君を選んだんだ。君が幼くんを幸せにしないと」

「……わかってるよ」

588 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 00:45:08.67 h8rnv4zg0 410/439

駅前
生意気娘「ったく……なんで、休日までお前たちと一緒にいないといけねえんだ」

真面目っ子「よく言いますよ。胸についた無駄な脂肪を激しく揺らしながら踊っていたくせに」

生意気娘「ああ!? てめえも一緒になって踊ってただろうが!!」

無口っ子「……うるさい。でかいのは乳だけにしてろ」

無口っ子「……乳牛」

生意気娘「上等だ……! 今日こそ決着をつけてやる!!」

マネージャー「こんな街中でやめましょうよ!」

元気っ子「いやー、いつ見てもキョン吉とカミナリのヘビロテは傑作だよねー」

マネージャー「この状況、わかってますか!!?」

589 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 00:48:21.02 h8rnv4zg0 411/439

マネージャー「副部長、止めてくださいよ!」

副部長「む、むむむむ! 感じる! 感じるぞー!」

マネージャー「ダメだこいつ……やっぱり部長がいないと……」

幼馴染「……」

マネージャー「ひぃぃぃ!」

副部長「ぶっちょー! 私の部長レーダーに狂いなしだね!」

幼馴染「あ、みんな……」

副部長「部長……?」

590 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 00:50:07.54 h8rnv4zg0 412/439

マネージャー「部長助けてください! キョンさんたちが喧嘩してるんです!」

幼馴染「……」

マネージャー「部長!」

幼馴染「え……あ、うん。わかった」

副部長「……」

幼馴染「あんたら、何やってんのよ」

生意気娘「ぶ、部長!?」

真面目っ子「どうして、ここに部長が!?」

元気っ子「あれれー?」

無口っ子「……男さんとのデートは?」

幼馴染「……っ」

副部長「!」

591 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 00:58:52.84 h8rnv4zg0 413/439

真面目っ子「……あれ? あそこにいるのは男さんでは?」

「……」トボトボ

元気っ子「本当だ。おーい、男さーん!」

幼馴染「だ、だめ!」

生意気娘「え?」

無口っ子「……?」

「お、幼……!」

副部長「おりゃー!」ドゴン

「な、なんで俺ばっかり……」バタッ

真面目っ子「副部長、何してるんですか!!?」

副部長「部長、行きましょう! みんな、男さんのことは頼んだよ!」

幼馴染「え、ちょっと……」

「幼……」

生意気娘「な、なんなんだよ……」

592 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:00:50.84 h8rnv4zg0 414/439

路地裏
副部長「ここまでくれば大丈夫でしょう」

幼馴染「どうしてあんなことを……」

副部長「悲しそうな顔をしている部長を見たら、つい……」

幼馴染「……そう。また、そんな顔を……」

副部長「何があったんですか?」

幼馴染「実は……」

593 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:05:41.55 h8rnv4zg0 415/439




副部長「なるほど。進路の話で喧嘩になったわけですね」

幼馴染「……どうして男は私の気持ちをわかってくれないんだろ」

副部長「他人ですもん。わかるわけありませんよ」

幼馴染「でも、私たちは……」

副部長「恋人ですよ? しかし、他人は他人です。相手の気持ちがわからないのは当然ですよ」

幼馴染「そうかもしれないけど……」

副部長「友人だろうが兄弟だろうが恋人だろうが夫婦だろうが、相手に気持ちを理解してもらう方法は一つしかありません。ちゃんと話をしないといけないんですよ」

副部長「それを拒否した部長に男さんを悪く言う権利はありません」

594 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:09:30.45 h8rnv4zg0 416/439

幼馴染「そんな話をしたら、男はきっと止めるから……」

副部長「なら、男さんの反応は予想できてたんでしょ。なのにどうして、逃げ出す必要があるんです。あんな悲しそうな表情したんですか」

幼馴染「だって……」

副部長「……いい加減にしろよ!!」

幼馴染「ふ、副部長……」

副部長「部長は男さんの彼女なんだろ! なんで、話もせずに逃げ回ってるんだよ!!」

副部長「傍にいて欲しいなら、男さんが納得するまで徹底的に話し合えよ!!!」

無口っ子「……副部長、それくらいにしておきなよ」

幼馴染「ムッティ……いつからいたの……?」

無口っ子「……最初からいたよ」

595 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:14:08.56 h8rnv4zg0 417/439

駅前
元気っ子「大丈夫ですか?」

「う、ううん……なんとかね」

真面目っ子「副部長はなんでこんなことを……」

「……俺が悪いんだ。俺が幼の気持ちを……」

生意気娘「まあ、そうだろうな」

元気っ子「最後まで話は聞いてあげようよ」

生意気娘「部長が悪いわけないだろ。こいつに責任があるに決まってる」

生意気娘「いいか。私はお前を部長の彼氏だなんて認めてない。でもな」

生意気娘「部長がお前のことが本当に好きで、お前といるのが幸せなんだってことはわかる」

真面目っ子「そうですね。それは間違いないです」

元気っ子「男さんと付き合ってからの部長、幸せそうだもんね」

生意気娘「だからまあ……部長のこと頼むよ」

「……頑張るよ」

596 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:18:04.74 h8rnv4zg0 418/439

繁華街
後輩「さあ、行きましょう!」

男友「……なあ、もうやめにしないか」

後輩「何を怖気づいているのです! 新たな一歩を踏み出しましょう!」

男友「いや、しかし……」

後輩「仕方ありませんね。先輩は天井の染みを数えているだけでいいですよ。私に身を任せてください」

男友「そんな初体験は嫌だ!」

後輩「大丈夫ですよ! 痛いのは私だけ!」グイッ

男友「誰か助けてくれーー!」

幼馴染「えっ」

後輩「お、幼先輩!?」

597 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:19:56.99 h8rnv4zg0 419/439

後輩「どうしてこんなところに?」

男友「それも一人でなにやってるんだ?」

幼馴染「……なにやってるんだろうね」

「あ、幼……」

幼馴染「……っ」

後輩「幼先輩?」

男友「なにやってんだ、お前?」

「なにって……」

後輩「男先輩」ニコッ

「え?」

後輩「今です! 先輩! 幼先輩を連れて逃げてください!」

男友「は?」

後輩「早く!」

男友「お、おう……じゃあ、行こうか」

幼馴染「あ、はい……」

「ま、待ってくれ!」

幼馴染「ダメです!」ベチン

「やっぱりこうなるのか……」バタン

598 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:33:26.70 h8rnv4zg0 420/439

幼馴染「……デートの邪魔してごめんなさい」

男友「まあ、いいけど……」

幼馴染「私、もうダメだぁ……」

男友「男と何かあったのか?」

幼馴染「……進路のことで言い合いになっちゃって」

男友「なんだ、そんなことか」

幼馴染「そんなこと!?」

男友「それくらいなら話をすれば解決するだろ」

幼馴染「だよね……」

599 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:34:23.90 h8rnv4zg0 421/439

男友「なら、早いとこ男のところに戻ろうぜ」

幼馴染「……今は無理」

男友「君さあ……」

幼馴染「うまく話せる自信ないもん」

男友「よく言う。寂しそうな顔してるくせに」

幼馴染「え!?」

男友「男に会いたいって顔に書いてあるよ」

600 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:35:49.25 h8rnv4zg0 422/439

男友「会いたいなら会えばいいだろ」

幼馴染「……でも、また喧嘩したら……」

男友「すればいいだろ。恋人なんだから、喧嘩くらいするだろ」

幼馴染「君は……後輩ちゃんと喧嘩するの?」

男友「そりゃあな」

幼馴染「その時はどうするの……?」

男友「徹底的に話し合うな。まあ、最終的には後輩に丸め込まれるんだけど」

幼馴染「……すごいね。私は怖いよ。このまま別れてしまいそうで」

男友「逃げ続けたら、いずれそうなるだろ」

幼馴染「……っ」

男友「それが嫌なら、ちゃんと話してこいよ」

601 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:38:42.08 h8rnv4zg0 423/439

繁華街
後輩「ごめんなさい。突然、叩いたりして……」

「いいよ。今日は痛い目を見る日らしい」

後輩「幼先輩と喧嘩したのですね?」

「……うん」

後輩「やっぱり……何かあったのかは聞きません。ただ、幼先輩にあんな表情させないでください。幼先輩には幸せであってほしいのです」

「幼はどんな顔してた……?」

後輩「寂しそうな顔をしていました」

「そうか……」

602 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:39:31.78 h8rnv4zg0 424/439

「一つ、聞いていいかな?」

後輩「なんでしょう」

「……君はどうして、バスケ部に入部したの? 友と一緒にいられる時間が減るのに」

後輩「決まっているじゃありませんか。先輩が傍にいてくれるからですよ」

「……」

後輩「先輩が卒業してからでは、バスケ部に入ることはできません。入部直後の苦しい時間を支えてくれる人がいないのですから」

後輩「先輩が傍にいてくれる。それだけで私は強くなれる気がするのです」

後輩「幼先輩も一緒なのだと思いますよ」

603 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:47:01.77 h8rnv4zg0 425/439

夜 公園
幼馴染(……)

ガサッ

幼馴染「男!?」

「にゃーん」

幼馴染(……逃げ出したくせに、ここで男を待っているなんて、私って本当に馬鹿)

幼馴染(私から会いに行かないといけないのに。私の想いを伝えないといけないのに……)

幼馴染(男に拒絶されるのが怖くて動けないの……)

幼馴染「おとこぉ……」

「……幼」

幼馴染「どうしてここに……?」

「10時に集合って約束したからな」

604 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:48:00.79 h8rnv4zg0 426/439

「お前の気持ちを考えないで、頭ごなしに否定してごめんな」

幼馴染「ううん……私が何にも相談しなかったのがいけないんだよ……」

「……推薦断って、どうするつもりなんだ?」

幼馴染「都内の大学からも話があって、ウィンターカップで全国に出たら、推薦でとってくれるの。そのチャンスにかけることにする」

「それがもしダメだったら?」

幼馴染「その時は一般入試で行くよ。強豪大学は難しいかもしれないけど、バスケができる大学は他にもあるから」

「……そうか」

幼馴染「私には男が必要なの。傍にいて欲しいの」

幼馴染「離れるなんて……嫌なの……」ポロポロ

605 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:51:51.97 h8rnv4zg0 427/439

「……今日さ、幼を追いかけてるときに色んな人に会っただろ。みんなに言われたよ。幼を幸せにしてくれ、って」

「それで、ようやく気がついたんだよ。幼が俺を求めてくれるのなら、傍にいるべきなんだって」

「俺で……本当にいいのか?」

幼馴染「男じゃなきゃ嫌なの」

「傍にいていいの?」

幼馴染「ずっとずっと、私の隣にいて」

「幼ちゃん……」ギュウウ

幼馴染「大好きだよ、男くん……」

606 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:53:45.96 h8rnv4zg0 428/439

翌日 西高 体育館
副部長「部長……昨日は怒鳴ってしまってすみませんでした」

幼馴染「ううん。むしろ、助かったよ。ありがとう」

副部長「ぶっちょー……」

幼馴染「ウィンターカップでは絶対に全国に行くんだから! よーし、今日もガンガンやるよー!」

副部長「げっ……」

幼馴染「さあ、ウォーミングアップでステップワーク30本いくよ!」

副部長「やりすぎ! ウォーミングアップから飛ばしすぎ!!」

607 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:55:27.14 h8rnv4zg0 429/439

喫茶店
会長「……そうか。万事解決か」

「心配かけて悪かったな」

会長「いや、別に心配してないけどね」

「お前なぁ……」

会長「だって、君たちがそんなに簡単に別れるなんて思ってないからね」

「……お前たちも幸せになれるといいな」

会長「ああ、そうなれるように全力を尽くすよ」

608 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 01:56:18.27 h8rnv4zg0 430/439

北高 体育館
後輩「そうですか……あの二人はちゃんと仲直りできたんですね」

「あいつら、死ぬまであんなことやってそう」

後輩「あはは……でも、それはそれで幸せそうでいいのではないですか」

「まぁ……ね」

後輩「そういえば、男さんから聞いたのですが、彼氏がいるそうですね」

「いるのかなあ?」

後輩「はぐらかしてもダメです! ちゃんと紹介してくださいよ!」

「さあ! 練習始めるよ!」

後輩「もう……お姉ちゃんてば……」

609 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 02:03:09.05 h8rnv4zg0 431/439

西高 校門前
「悪い! 遅くなった!」

幼馴染「本当だよー。すっごい待ったんだから」

「そこはお前さあ……」

幼馴染「寂しかったんだよ?」

「……ごめん」

幼馴染「言葉より行動がほしいなあ」

「はいはい……」ギュー

幼馴染「えへへ!」

610 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 02:03:42.26 h8rnv4zg0 432/439

「なんか、大学に行ってもこんなことやってそう」

幼馴染「大学? 違うよ。社会人になっても、結婚しても、お爺ちゃんお婆ちゃんになっても、ずっと二人仲良くやっていくの」

「それ……最高だな」

幼馴染「ずっとずっと一緒にいようね!」








END

611 : ◆TMTTBwd/ok - 2020/09/09 02:04:28.65 h8rnv4zg0 433/439

これで終わりです。
長い間ありがとうございました!!!




71 : 以下、名... - 2018/03/20 21:03:13.67 W/pZlUzL0 435/439

おつ
過去作も知りたい

72 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/03/20 21:26:40.30 DiQugAwX0 436/439

>>71
こちらになります。

男「ずっと前から好きでした!」 後輩「……誰?」
http://ayamevip.com/archives/51619796.html

一応、時系列は同じ時期です。よろしくお願いします。

74 : 以下、名... - 2018/03/21 00:51:44.56 RGcR6Smv0 437/439

>>72
一気に読んだわ
途中でまったく出なくなった男友が主人公なのか

73 : 以下、名... - 2018/03/20 23:43:45.56 AxcwZngpO 438/439

>>24のやりとりが前作と同じだけど登場人物は関係あるの?

75 : ◆TMTTBwd/ok - 2018/03/21 11:23:32.69 8rh8t3df0 439/439

>>73
前作から名前の表記が変わっただけで、登場人物は同じです。
また、時系列も同時期です。前作で描き切れなかった部分の話です。

>>74
あんなに長いSSを読んでくださってありがとうございます!
前作における男友が、今作の主人公です!

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