女上司「あまり仕事ができないようだと……左遷しちゃうぞ!」
部下「パワハラはやめて下さいよ~」
女上司「冗談よ、冗談」
女上司「ところで……見て、この時刻表」
女上司「終電……無くなっちゃったね」
部下「……」
部下「いえ……どうやらまだ無くなってないみたいですよ」
女上司「え?」
元スレ
女上司「終電……無くなっちゃったね」部下「いえ……どうやらまだ無くなってないみたいですよ」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1599210163/
女上司「だって、今は0時15分……終電は0時10分までじゃない!」
部下「この“10分”の部分……よぉく見て下さい」
女上司「?」
女上司「あっ!」
女上司「これは“10”じゃない……! “19”の“9”の下の部分を消して、“10”にしてあるんだわ!」
部下「ね?」
女上司「まったく悪質なイタズラをする奴もいたものねー」
ガタンゴトン…
部下「ほら、19分になったら終電が来ました」
女上司「あー、よかった」
女上司「でもちょっと残念……」
部下「なにがです?」
女上司「ううん、なんでもない。明日も遅刻しないようにね!」
部下「おはようございます」
女上司「おはよ」
女上司「さ、今日は田中カンパニーに行くわよ!」
部下「田中カンパニー……まだウチと取引実績はありませんよね」
女上司「ええ、ここと取引できるようになれば、ウチの課にとって大きなプラスになるわ」
部下「万全の態勢で臨まないといけませんね」
部下「どこですか、田中カンパニーは……?」
女上司「この辺りのはずなんだけど……」
部下「このビルじゃないですか?」
女上司「違うわ、これは≪田口カンパニー≫だもの」
部下「あ、ホントだ」
女上司「どこにあるのかしら……」
部下「いや、待って下さい。これは――」
取引先「いやぁ、ひどいイタズラをする者がいたものだ」
取引先「我が社の看板を“中”から真ん中の線を消して“田口”にしてしまうとは」
女上司「ホントですね」
部下「“口”の字が妙に小さいな、と思ったから気づけました」
女上司「打ち合わせはなんとかなったけど、危ないところだったわね」
部下「ええ、遅刻してたら、取引どころじゃありませんからね」
先輩「ちくしょう、ふざけんな!」
部下「先輩どうしました?」
先輩「これ見ろ!」
部下「カップヌードルがどうかしました?」
先輩「違う! 商品名をよく見ろ!」
部下「これは……一文字消されて……」
部下「カップヌード……!」
先輩「な!? ひでえだろ!?」
先輩「カップヌードだと思って買ったのによぉ~、ガッカリだ!」
部下「……」
先輩「なんだよ、その目」
部下「いえ」
先輩「まあ、中身はカップヌードルだから美味いけどな」ズルズル
≪○×町 この先1km≫
老人「1kmか……これぐらいなら頑張れそうじゃな」
老人「よいしょ、よいしょ」
ヨタヨタ… ヨロヨロ…
老人「はぁ、はぁ、はぁ……」
老人「もう2kmは歩いたと思うが……」
老人「すみません、ここは○×町ですかのう?」
通行人「○×町なら、ここからまだ8kmは歩きますよ」
老人「えー!?」
老人(さっきの看板……もしかして“10km”の“0”が消されて“1km”になっておったのか!?)
運転手「……ん?」
運転手「ここは10km/h道路か……こんなとこあるんだな」
運転手「仕方ない、速度落とすか」キキッ…
ノロノロ… ノロノロ…
運転手(みんな徐行してるようなもんだから、全然進まないよ……)
ノロノロ… ノロノロ…
運転手「――ん?」
運転手(よく見たら――“60”の“6”の右部分を消すことで、“1”に見えるようにしてるんだ!)
運転手(つまり――)
運転手「ここは、本当は60km/h道路!」
運転手「どうやら、みんな気づき始めたようだ! ったくひでえイタズラしやがる!」
ブロロロロロ…
部下「とうとう交通標識にまでイタズラし始めたようですよ」
女上司「下手したら、大事故に繋がるわ……エスカレートしてるわね」
部下「僕たちも二度も騙されかけた恨みがありますし……こうなったら僕たちの手で犯人を捕まえませんか!?」
女上司「うん、面白いかも」
女上司「私たちが犯人を捕まえれば、会社の名も上がるし……やってみましょう!」
部下「はいっ!」
部下「犯人の活動範囲がこのあたりであることは分かってます」
女上司「そうね」
部下「これはこの周辺の地図ですが……次はどこが狙われるでしょう?」
女上司「うーん……」
女上司「!」ハッ
女上司「このあたりに“こういうお店”は一軒しかないわよね?」
部下「ええ、ここだけだと思いますが」
女上司「ここよ! ここしかない! ここで張り込みましょう!」
コソコソ…
犯人「ククク……」
犯人「今までさまざまな看板や標識の一部を消して、イタズラしてきた俺だが……」
犯人「いよいよクライマックスを迎える時がきた」
犯人「最後のターゲットは……ここだ!」
犯人「この看板の一文字を消したら、また別の土地へ移動してやる……!」
女上司「やっぱり現れたわね!」
部下「お前が犯人か!」
犯人「……な!? なんだお前らは……!?」
女上司「ある会社に勤める上司と――」
部下「その部下だ!」
犯人「くっ……!」
女上司「あなたを捕まえるわ!」
部下「警察に突き出してやる!」
犯人「ふっ、ふざけるな!」
犯人「俺はもっともっと日本中でイタズラしてやるんだ!」
犯人「こんなところで捕まってたまるか!」
犯人「こうなったらお前らを消してやる!」スチャッ
女上司「きゃっ!」
部下「ナイフ!?」
犯人「うおおおおおおおおお!!!」ブンブンブンッ
女上司「きゃあああっ!」
部下「そうだ!」
部下「ここには……大量の“これ”がある! それっ!」バッ
バラバラバラ…
犯人「わっ!?」
犯人「わわっ! 滑る滑る滑る! こけるぅぅぅぅぅ!」ジャラジャラ
女上司(チャンス!)
女上司「あなたはこんなイタズラを始めた時から、人生をこけていたのよ!」ドカッ!
犯人「うわーっ!!!」ドサッ
犯人「……」ピクピク
女上司「刑務所に入って、しっかり自分の罪を消してきなさい!」
部下「前科にはなりますけどね」
女上司「やったわね!」
部下「はいっ!」
部下「ところで……」
部下「どうして犯人が次に狙うのは“パチンコ屋”だって分かったんです?」
部下「おかげで玉で犯人をこけさせることができましたけど……」
女上司「え? そりゃだって、一文字消せば……」
部下「え、一文字消すとどうなるんです? どの文字を消すんです? 教えて下さい」
女上司「セクハラはやめなさーい!」
おわり