男「まだ夏がおわったばかりだろ」
狐娘「でもでも、今から楽しみなんです!」
男「秋は楽しみじゃないのか?」
狐娘「秋!?秋も大好きです!山が赤くなるんですよ!」
男「狐娘はいつでも楽しみがあっていいなぁ」
狐娘「えへへ~。あーられーやこんこん」
元スレ
狐娘「ゆーきやこんこん」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1314861832/
男「狐娘、ご飯できたよ」
狐娘「待ってました!今日のオカズはなんですか!?」
男「今日はアジの開きだよ」
狐娘「アジ!大好きです!ご飯と一緒に食べるのです!」
男「ふふ、そんなに喜んでもらえると作った甲斐があるってものだよ。じゃあ食べようか」
狐娘「はい!ご飯もいっぱい食べるんです!」
男「はい、食べる前にちゃんとやろうね」
狐娘「わかっているのです!」
「いただきます」
狐娘「男さん男さん!!」
男「ちょっと待って、後で遊んであげるから」カタカタ
狐娘「む~、男さんかたかたばっかりやっててつまらないのです!」
男「コレが仕事だからしょうがないよ。コレやめちゃったら明日のご飯のオカズがなくなっちゃうよ」
狐娘「……それは嫌です」
男「だからちょっと待ってね。あとでちゃんと遊ぶから」カタカタ
狐娘「……はい」シュン
男「……」カタカタ
狐娘「……」ジー
男「……」カタカタ
狐娘「……」ジー
男「……しょうがないなぁ、ほら、おいで」ポンポン
狐娘「!」パァァ
男「膝の上でおとなしくしてるんだよ。ちょっかいはダメだからね」
狐娘「はい!わかってるのです!えへへ~」ギュウ
男「今日は休みだから何処か行こうか?」
狐娘「はい!お出かけ嬉しいのです!」
男「うん、じゃあ尻尾と耳隠さないとね」
狐娘「わかってるのです!えへへ、おでかけおでかけ~」
男「あまりはしゃいじゃダメだよ」
狐娘「はい!」ワタワタ
狐娘「はい!尻尾もズボンの中に隠したのです!」
男「はい、お疲れ様。あとは帽子かぶればいいね」
狐娘「何処に行くんですか?」ワクワク
男「今日はちょっと遠い所の商店街に行くよ」
狐娘「わかったのです!美味しいもの食べさせてくださいね!」
男「うん、じゃあ行こうか」
狐娘「はい!」
男「着いたねー」
狐娘「ですね!人がいっぱいなのです!」
男「じゃあ美味しいもの食べあるきしようか!」
狐娘「はい!」
狐娘「このお団子とっても甘くておいしいのです!」
男「あんこの串団子だからね」
狐娘「男さんが食べてるのは何ですか?」
男「みたらし団子。ちょっと甘辛い味がしてこっちもおいしいよ」
狐娘「そうなんですか!」ジー
男「……」モグモグ
狐娘「……」ジー
男「しょうがないなぁ、じゃあそのアンコと一個ずつ交換しよっか」
狐娘「はい!」パァァ
男「狐娘、他になにか食べたいのある?」
狐娘「私はいい子だから男さんにねだったりはしないのです」
男「ふーん」ニヤニヤ
狐娘「ほ、本当なんですからね!」
いなり寿司屋「出来たてでアツアツだよー」
男「……」ニヤニヤ
狐娘「あぅぅ……」
男「あれ美味しそうだよなー」ニヤニヤ
狐娘「そ、そうですよね!私もそう思うのです!」
男「うんうん、あの羊羹本当に美味しそう」
狐娘「よ、ようか……あぅぅ……」ソワソワ
男「じゃああの羊羹売ってるトコに行こうか」ニヤニヤ
狐娘「だ、だめです!ダメなのです!」
男「んー、どうしてかな?」ニヤニヤ
狐娘「うぅぅ……お、男さんはずるいのです……」
男「ふふ、ごめんごめん。ちょっとイジワルが過ぎちゃったね」ナデナデ
狐娘「むぅ、本当にイジワルなのです」
男「でもね、狐娘」
狐娘「はい?」
男「今日くらい、このくらいのワガママはいくらでも言っていいんだぞ?」
狐娘「……本当ですか?」
男「あぁ、かわいい狐娘の為だからね」
狐娘「じゃ、じゃあ……あのおいなりさん食べたいのです……」
男「ん。じゃあ一緒に食べようね」ニコ
狐娘「はい!」
狐娘「んぐ、はふ、はふいへふ!」ハフハフ
男「そんなにあせらないでも誰も取ったりしないよ」
狐娘「はふ、んぐんぐ。はぅ、やっぱりおいなりさんはとっても美味しいです」
男「そうだね。家じゃあんまり作らないからねえ」
狐娘「ところで男さん、おいなりさんいっぱい買ってましたけどそんなに沢山食べるんですか?」
男「いや、これは神様にあげるぶんだよ」
狐娘「神様ですか?男さんは神様と知り合いなのですか?」
男「ふふ、そういうことにしとこうかな」
狐娘「おお!すごいのです!私も神様に会いたいのです!!」
男「じゃあ、神様の居るところに行こうか」
狐娘「はい!」
狐娘「……ここが……」
男「うん、神様が居るお社」
狐娘「小さいのですね。狭くないのでしょうか」
男「大丈夫、神様は居心地がいいからここに居るんだから」
狐娘「そうなんですか!でも、さっき通り過ぎた時にあった神社はもっともっと大きかったですよ?あっちじゃなくていいんですか?」
男「ああいうところは僕達の分も他の人がちゃんとお供えしてくれるからいいの」
狐娘「なるほど!」
男「じゃあ、お祈りしよっか」パンパン
狐娘「はい!」パンパン
帰り道
男「……」チラ
狐娘「……すぅ」zzz
男「よく寝てるな……あんなにはしゃいだからなぁ」
男「……」
ブゥゥゥゥン
狐娘「おとこ……しゃん……」
男「狐娘?」
狐娘「んふふ、えへへ……」zzz
男「寝言か……」
男「狐娘、家についたよ」ユサユサ
狐娘「ん~、おとこしゃん?」
男「ほら、起きて」
狐娘「んぅ~わかったのです……」ギュウ
男「もう、わかってないじゃん」
狐娘「だっこがいいのです」
男「しょうがないなぁ」
狐娘「んふふ、男さんの抱っこは気持ちいいのです」
男「いつまでたっても甘えん坊なんだから」
狐娘「今日はワガママ言ってもいいって男さんが言ったんですよ?」
男「こりゃ1本とられたかな」
狐娘「えへへ」ギュウ
狐娘「……」zzz
男「お腹出して寝ちゃって。……楽しんでくれたかな」パサ
狐娘「……」zzz
男「……」
男「……俺も寝るか」
パチ
狐娘「むぅ~」
男「こら、そんなしがみつかれたら会社行けないよ」
狐娘「……行かなくてもいいのです。一緒に遊ぶのです」
男「そうしたいのはヤマヤマだけどさ、ほら会社行かないと御飯食べれなくなっちゃう」
狐娘「……むぅ~」
男「帰ったら遊ぶから。ね?」
狐娘「……行ってらっしゃいです」
男「ん、行ってきます」
狐娘「……」
狐娘「……一人ぽっちは寂しいのです……」
社長「男君、この資料まとめといて」
男「はい、わかりました」
友「よ、男」
男「友」
友「どよ?今夜一杯行かね?」
男「悪い、ちょっと用事あるんだよ」
友「なんだよまたか?」
男「ごめんって。友だって嫁さん待たせちゃダメなんじゃい?」
友「はっはっは、たまにはいいんだよ。それよりお前、彼女くらい作れば?」
男「ふふ、生憎女性との縁が無いんでね」
友「っかー、ダメだぜそれじゃ。自分から作りに行かなきゃよ。だからまだドーテーなんだよ」
男「大きなお世話だよ」
女「男さん、お茶入れときました」
男「ん、ありがとう」
友「お、女じゃん」
女「もう、またサボりですか友さん」
友「さ、サボリじゃないって!あ、そろそろ行かなきゃな~」ピュー
男「落ち着かないやつだなぁ」クスクス
女「いいじゃないですか、賑やかで」ニコ
男「それもそうだね」
女「男さん、今夜も用事あるんですか?」
男「ちょっとね~」
女「ここ最近ずっとですよね。何かあったんですか?」
男「まぁ個人的なことだから大丈夫だよ」
女「何かあったらいつでも相談してくださいね」
男「うん、ありがとう」
狐娘「む~」ピコピコ
ティーンティーン
狐娘「ん~~」ピコピコ
ピ,テッテ、ッテッテッテー マンマミーア
狐娘「きぃぃぃ~またやられたのです!!」ドタ
狐娘「うーん」カチッ
狐娘「ぴこぴこも面白いのですが、男さんと遊ぶほうがずっとずっと楽しいのです」
狐娘「早く帰ってこないかな~」
狐娘「……そうだ!」
狐娘「今日は男さんのためにお風呂洗いましょう!」
狐娘「毎日見てたのでもう覚えたのです!ふふん」
狐娘「えーっと、このすぽんじに、えーっと」
狐娘「洗剤……コレのハズです」
狐娘「んふふ~ごしごし~」ゴシゴシ
狐娘「泡がぶくぶくなって面白いのです!」
狐娘「仕上げはしゃわーで……」ジャー
狐娘「ぴっかぴかになりました!」
狐娘「男さんも喜んでくれるはずなのです!」
狐娘「……早く帰ってこないかな」ソワソワ
男「ただいま」
狐娘「男さん!お帰りなさいです!」ダキ
男「はい、ただいま」ギュ
狐娘「今日は私がお風呂きれいにしといたのです!」
男「本当!?大丈夫だった?」
狐娘「大丈夫です!男さんの見て覚えましたから!」
男「本当だ、綺麗になってる」
狐娘「でしょ!?」
男「ありがとう、本当に嬉しいよ」ナデナデ
狐娘「えへへ、お安いご用なのです」
狐娘「……男さん?」
男「ん~」ギュウ
狐娘「えへへ、今日は男さんが甘えん坊さんですね」
男「ん~、狐娘の抱き心地がよすぎて」モフモフ
狐娘「きゃわ!くすぐったいです!」
男「ふふ、それそれ」モフモフ
狐娘「もう、そんなに尻尾触っちゃいやです」
男「じゃあ耳でいいや」
狐娘「はわわわわ、それもだめです~」
男「狐娘はあったかいなぁ」
狐娘「もー、まだ暑いんですから汗かいちゃいます」
男「またお風呂はいればいいじゃん」
狐娘「……むうぅ」ギュウ
狐娘「……」グゥー
男「お腹すいた?」
狐娘「……はぃ」カァァァ
男「じゃあ、御飯つくろっか」パッ
狐娘「あ……」
男「今日は鯖の味噌煮だぞー」
狐娘「さ、サバですか!?大好きです!白いご飯もお願いしますね!」
男「うん、わかってるよ」
狐娘「あ、あと男さん」
男「?」
狐娘「あ、あとで、その……」
男「どうかしたの?」
狐娘「も、もう一度だっこしてください……」
男「ふふ、やっぱ甘えん坊は狐娘かな?」
狐娘「な、今日は男さんから抱きついてきました!」
男「わかったわかった。いっぱいモフモフするからね」
狐娘「……えへへ」
狐娘「……」zzz
男「抱きついたまま寝ちゃって」
狐娘「……」zzz
男「……おやすみなさい」
男「…………神様」
パチッ
男「お疲れ様でした」
友「お、男もう帰るの?」
男「うん、ちょっと」
友「また用事か?」
男「そういうこと」
友「お前さ」
男「うん?」
友「隠れて彼女とか居るんじゃねえの?」
男「い、いないよ!!」
友「ふーん」ニヤニヤ
男「本当に居ないから、まったく」
友「わりいわりい。んじゃ、また明日な」
男「ん、じゃあね」
女(……)
女「私も終わりましたので、お先に失礼します」
上司「はい、お疲れ様ー」
女友「おっつー」
友「なんだ、女ちゃんも?」
女「友さんは休憩時間が長いから仕事が終わらないのですよ」
友「う、痛いところを……」
女「それじゃあ、お疲れ様でした」
男「んー、コレにしようかな」
男「コレも美味しそうだなぁ」
女「男さん」
男「わ、女さん!?」
女「そんなに驚かないでくださいよ」
男「いきなり話しかけられたらそりゃビックリするよ」
女「男さんって、いつも帰るときに何か買ってるんですか?」
男「うん、一応自炊してるからね」
女「でも、一人分にしては多いですよね?」
男「ふふ、そりゃまとめ買いしてるからね」
女「まとめ買いして、食材を腐らせないなんてすごいですね」
男「まぁ料理は趣味みたいなものだし」
女「男さんは家あっちの方なんですね」
男「うん、女さんも?」
女「ええ、アパートがあるので」
男「へぇ、意外と近いのかも」
女「ふふ、そしたら今度お邪魔しようかなぁ」
男「こら、女の子が男の家にホイホイ入るんじゃないよ」
女「大丈夫です。男さんですもの」
男「なんだそれ」
女「ふふ」
男「じゃあ、僕はこっちだから」
女「はい、お疲れ様です」
女「……」
女「……脈なしかなぁ」
男「ただいま」
狐娘「お帰りなさい!」ダダダ
男「よしよし、いい子にしてた?」ナデナデ
狐娘「はい!今日もお風呂掃除しといたのです!」ギュウ
男「えらいえらい。ありがとう」
狐娘「えへへ」
狐娘「はふーっ」
男「気持いいですかーお客さん」ワシャワシャ
狐娘「気持いいですー」
男「狐娘の髪の毛はきれいだね」ワシワシ
狐娘「えへへ、照れくさいのです」
男「背中も洗おうね」ゴシゴシ
狐娘「はぅー」
男(……)
狐娘「男さん?」
男「ん?あぁシャワーで流そうか」シャワワワ
狐娘「終わったら交代しますね!」
狐娘「はぐ、んぐんぐ、むしゃむしゃ」
男「そんなにがっつかなくても大丈夫だよ」
狐娘「んぐ……おいしいからしょうがないのです!」
男「ふふ、たんとお食べ」
狐娘「はい!」ガツガツ
ジャー
男「最近お手伝いしてくれるようになったね」カチャカチャ
狐娘「えへへ、私も男さんの役に立ちたいのです」フキフキ
男「ふふ、本当に助かるよ」
狐娘「えへへ……あ!」ガチャン
男「あちゃー、狐娘、ケガは無い?」
狐娘「あ、あ、あ、わ……私……」
男「狐娘?大丈夫?」
狐娘「お、男さんの……割っちゃ……」
男「大丈夫、こんなのまた買えばいいから……狐娘?」
狐娘「だめぇ!!」ビカッ
男「!!?」
男「……っ、今のは……あれ、お皿が……」
狐娘「……よかった……です……」クラッ
男「狐娘!?狐娘!?」ガシ
狐娘「……zzz」
男「……寝てる……」
男(割れたはずの皿が……)
男「……狐娘」
男「……」
狐娘「……zzz」
男「……」
狐娘「……zzz」
男「……」
狐娘「……zzz」
男「……」
男「……おやすみなさい」
パチ
1年前
男「参ったなぁ、こんな所で迷うとは……」
男「携帯も繋がんないし」
男「参った参った」
男「なんでこの山登ろうとしたんだろうか、自分でも不思議だよ」
男「うーむ」
男「ええい、こうなったら頂上まで行ってやるからな」ズカズカ
男「ん……?」
男「おどろいた……こんな所に神様の社が」
男「……うーむ、ここで会ったのも何かの縁だ。お供えしようかな」
男「何かあったかなー」ゴソゴソ
男「おお、おいなりさんが……」
???「……」キラキラキラキラ
男「……いつの間にか目の前に綺麗なお姉さんが。何この状況」
???「……そ、そのおいなりさんを余にくれんかの?」キラキラ
男「あ、え、あんた誰……」
???「な、なんじゃと!?余を知らぬのにここまで来たと申すか!?」
男「あ、いやここで道に迷っただけで……」
???「まったく、最近の若者は神の有難みをもっと知るべきじゃ!」
男「か、神?」
???「そうじゃ。余はこの山の守り神じゃ」
男「……」
神「なんじゃその目は!!そなた、信じておらぬな!?」
男「……居るんだなぁ今時……って思っただけですけど?」
神「やっぱり信じておらぬではないか!」
男「いやいきなり自分は神ですとか言われても……」
神「うぐぐぐぐ……ふん、ならば余の力を見せてやろう。それで信じるしかなくなるな?」
男(変な人に絡まれたなぁ)
男「変な人に絡まれたなぁ」
神「思ったことをそのまま口にするでない!!」
男「じゃあさっさと見せてくださいよ」
神「ふん、腰を抜かすではないぞ」
男「……」
神「……」
男「……」
神「……」
男「……え?」
神「……」ニヤ
男「……雪……!?」
神「ほっほっほ、これぞ神の力というものじゃ、驚いたか!」
男「え?え!?本当に雪か……!?なんで!?まだ始まったばっかの秋だぞ!?」
神「ふふん、これで信じたか……」
男「す、すごい……」
神「で、そろそろそのおいなりさんをくれんかの」
男「え」
男「なるほど……」
神「昔はよくここも人が通っての、余にお供え物もおいてったものじゃった」モグモグ
男「……最近じゃあここまで来る人いませんよね……」
神「まぁ時代の流れというものじゃな」ムシャムシャ
男「……よく食べますね」
神「なんせ何年振のご馳走じゃ!」ガツガツ
男「……」
神「……ふぅ」ゲプ
男「さて、僕はそろそろ帰ります。暗くなるし」
神「まぁ待て。ここまで来たそなたに頼みがあるのじゃ」
男「頼み……?」
神「そうじゃ。何、悪い話ではないぞ」
神「この子を、あずかってはくれぬか?」
男「これは……」
狐「……zzz」
男「狐……?」
神「さよう。ただの狐ではないぞ、次の神になりうる力を持っておる」
男「……そんな狐を、なんで……」
神「神になるには、人の心と触れ合わねばならん。お主のような澄んだ心を持った奴とな」
男「そんな……」
神「何、神の力を開花させるまでじゃ。1年くらいじゃろうて」
男「で、でも僕のアパートペット禁止だし……いきなり言われても……」
神「ペットでは無い」
男「そういう意味じゃ……」
神「動物の姿がダメなら、こうするまでじゃ」ビッ
男「!?」
狐娘「……zzz」
男「人の姿に……」
神「ううむ、耳と尻尾は残ってしまったか。年には勝てぬのぅ」
男「年には勝てないって……」
神「余はもう長くないのじゃ」
男「!?」
神「神は人の信仰する心があって力を維持できるのじゃ」
男「それじゃあ……」
神「……余は、この土地を次世代に託すことにしたのじゃ。きっかけを待っていたのじゃが……」
男「……」
神「……引き受けてはくれぬか……?」
神「神の力に目覚めたらここに戻してくれればよい」
男「……分かりました」
神「礼を言わせてもらうぞ」
神「さて、起きるのじゃ」
狐娘「うーーん、おいしいのです……」
神「こりゃ!起きぬか!」
狐娘「は、はい!!起きるのです!!」
男「……」
狐娘「……」
男「……おはよう」ニコ
狐娘「は、はい!おはようです!」
男「あの、神さ……あれ?」
狐娘「どうかしたのですか?」
男(……いなくなってる……)
狐娘「ここの山は雪が綺麗ですね!」
男「そんなにはしゃいで転ばないでね」
狐娘「えへへー」
男「普通の少女だな……」ボソ
狐娘「ゆーきやこんこん」
狐娘「……zzz」
男「力、ちゃんと目覚めれたね」ナデナデ
狐娘「……zzz」
男「約束、守り、ましたよ。神様」
狐娘「……zzz」
男「……う、ぐすっ、ひっく」ポロポロ
狐娘「男さん、今日は何処に行くんですか?」ワクワク
男「うん、今日は、大事な所に行くんだ」
狐娘「大事な……?」
男「……狐娘にとって、とっても大事な所」
狐娘「……?」
男「……」
狐娘「……」
狐娘「ここは……」
男「うん、前にも来たね」
狐娘「……」ギュウ
男「狐娘?」
狐娘「……かえり、たいです」
男「だめ、まだ着いたばっかでしょ」
狐娘「だ、ダメです!まだあのぴこぴこも終わってませんし」
男「ぴこぴこよりも、大事だよ」
狐娘「だ、だって、そうです、今日は天気予報でも雨って言ってました!早く帰りましょう!」
男「……狐娘」ポン
狐娘「い、嫌です。なんか前と違うんです、ここ」
狐娘「ここに居ると、男さんが何処かに行ってしまいそうで」ポロポロ
狐娘「ぐす……わたし、ずっと、ずっと男さんといたいです」ポロポロ
男「……狐娘」
男「……これはね。狐娘」
狐娘「はい……?」
男「神様との、約束なんだ」
狐娘「……」
男「狐娘がしっかりと、いい子になったらここに連れてくるって」
狐娘「い、いやです!そんな事なら私はいい子になんてなりません!ずっと男さんの側にいます!」
男「……狐娘……」ダキ
狐娘「男さん……?」
男「行くよ、狐娘」
狐娘「や、嫌です!降ろして!男さん、男さん!」ポカポカ
男「……」
男「着いたよ、狐娘」
狐娘「……ひっく、ひっく」ポロポロ
ピカッ
男「……お久しぶりです。神様」
神「ご苦労であった、男」
狐娘「神様……?」
神「立派に育ったな、狐娘」
狐娘「……」ギュ
男「……狐娘、ほら」
狐娘「嫌です!!」
神「すっかり懐いたようじゃな」
男「ええ……」
狐娘「私は、男さんから離れません!」
神「……」
男「はは、最後の最後まで泣きわめいてたな」
男「ずっと僕の名前呼んで」
男「力に目覚めても、やっぱ子供じゃないか」
男「……」
男「……くっ」
男「う、ひっく、ばかだな、ぐす、泣くような年じゃない、のに」
男「狐娘……」
男「……」ボロボロ
あれから、2年がたった
あの時のことから立ち直るのに、時間はいくらあっても足りないように感じた
あれから、あの山には行ってない
行ったらきっと、僕の中で何か壊れてしまうように感じるからだ
今でも時々頭に浮かぶ事がある
あの時、狐娘をあの社に連れて行かなかったらと
そうしたら、今も自分の膝の上でくつろいだり、遊んでとねだったりしていたのだろうか
でも、考えた所で狐娘は帰ってこない
「行ってきます」
誰もいない部屋に、虚しく僕の声だけが響いた
おわり
男「……」カタカタ
友「男」
男「……」
友「男!」
男「!!っなに、呼んだ?友」
友「ったく、ずっとその調子だな、何かあったのか?」
女「私たちでよければ、相談に乗りますよ?」
男「……なんにも、ないよ」
友「ウソばればれ」
女「明らかにおかしいですよ」
男「そんな事、ないよ」
友「……そうだな、じゃあ今夜飲みに行こうぜ」
男「そ、そんな」
友「いいだろ?たまには飲みに行こうぜ?別にお前に何があったかは聞かねえからさ」
女「そうですね!今まで散々断ってきたんですし、行きましょうよ!」
男「……うん」
居酒屋
友「でよー、そこで嫁なんて言ったと思う?ビール飲む金があるなら遊び連れてけだってよ!こっちは飲みたいってのに」グビグビ
女「と、友さん、飲み過ぎですよ」
男「友はいつもこんな感じだよ」
友「ビールは労働者の唯一の癒しってのにさー」グビグビ
女「大丈夫なんですかね……」
男「大丈夫、潰れたら置いてくから」グビ
友「んひゃ、おれたくひーでかえるかあ、おさきい」
男「車の中で吐くなよ」
女「お気をつけて」
ブロロロロロ……
男「……」
女「……」
男「……帰ろっか」
女「そうですね」
女「……すっかり寒くなってきましたね」
男「そうだね」
女「……男さんは冬は好きですか?」
男「……どうかな、好きな思い出もあるし、嫌いな思い出もある」
女「そうですか……そうですよね」
男「……」
女「男さんは、2年くらい前のこの時期に酷く沈んでましたもんね」
男「……」
女「あ、嫌なコト思い出させちゃったようならごめんなさい!」
男「いや、いいんだ」
女「……」
男「今日沈んでたのも、その事だから」
女「男さん……」
男「我ながら女々しいよ。まだ引っ張ってて、押しつぶされそうなんだから」
女「……」
男「……」
女「何が、あったかはまだ教えてくれないんですね」
男「ごめんね……」
女「いえ、言えない思い出は誰にだってありますから」
男「……」
女「……」
男「あ……」
女「……雪……ですね」
男「もう冬が来るってことなのかな……」
女「秋も終わりですね」
男「……」
女「……」
女「それじゃあ、私はここで」
男「うん、気をつけてね」
女「ええ」
『この山は雪が綺麗ですね!』
『えへへ、今から楽しみなんです!』
『秋!?秋も好きですよ!』
『ゆーきやこんこん』
男「あーられーやこんこん」
男「降っても降っても」
男「まーだふーりやーまぬ」
男「……出会った時も、こんな雪を降らされたな」
男「神様、僕は少しあなたが嫌いです」
男「……」
ガチャ
男「ただいま」
「お帰りなさい!男さん!!」
男「あ、あ、……え?」
言葉がでない
目の前には、狐の耳と尻尾を生やした、あの娘がいた
もう見た目は少女ではなくなった彼女は、とても綺麗になっていて
僕を見てにこりと、あの時と変わらない屈託の無い笑顔を零す
狐娘「お帰りなさい、お風呂掃除やっておきましたよ!」
男「そ、そん、な、なんで」
ありがとうという言葉も出ずに、僕はそんな事を言った
それでも、彼女は笑顔を絶やさずに少し頬を赤らめて言う
狐娘「えへへ、神様は、ある程度の力をつけると自分の居心地のいい所に身を落ち着かせるんです。その場所が、大体社だったりするわけです」
男「い、居場所?」
狐娘「私の居心地のいいところは、男さんの側しか、ありませんから」
男「狐娘!」ギュウ
狐娘「きゃ、お、男さん……!?」
男「ばか……どんだけ、ひくっ人を困らせればお前は……」ボロボロ
狐娘「……男さん」
男「ずっと、ずっと会いたかったんだぞ、会いに来るなら……ぐすっ、連絡の一つくらいな」ボロボロ
狐娘「……私も会いたかったです」ギュ
男「う、くぅ……狐娘……うわあぁぁぁぁ」ボロボロ
狐娘「えへへ、そんなに泣かないでください」
男「もう、絶対に、絶対に何処にも行かせなかいからな、僕の側にいさせるからな!」
狐娘「はい、というより、男さんの側にしか私は存在できませんから」
狐娘「えへへ、あんなに男さんが泣く所、始めて見ちゃいました」
男「う、うるさいねえ」
狐娘「でも、私も男さんに泣かされたんだから、おあいこですね!」
男「そうだな」
狐娘「……男さん」
男「うん?」
狐娘「大好きです」ギュウ
男「ん、僕もだよ」ギュウ
狐娘「ゆーきやこんこん」 おわり

