1 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 10:59:49.55 g9YrxzdA0 1/27

よろしくお願いします

2 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:01:28.02 g9YrxzdA0 2/27

……朝がきた

……そろそろ目を覚まさなきゃいけない時間だ

……と思ったけど思い出した。今日は休日じゃん。

……再び俺は微睡んでいった。

「ねえお兄ちゃん」

我が妹である桃子の声が聞こえたような気がしたけど無視をした。眠いから。

3 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:02:35.08 g9YrxzdA0 3/27

桃子「さて広辞苑はどこにしまったっけ」

「おはようございます。さわやかな朝ですね、マドモアゼル」

桃子「なにその変わりよう。まさかホントにぶつと思ってたの? 桃子がそんなことするわけないでしょ」

「しそう……」

桃子「え、なにか言った?」

「歯槽膿漏っていいました」

桃子「ちゃんと歯磨きした方がいいよ」

「だな」

4 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:03:23.56 g9YrxzdA0 4/27

おっと自己紹介が遅れたな。俺はP。765楽園に通う普通の高校生だ。

桃子「一人でなにぶつくさ言ってるの?」

「語り手のお決まりってやつさ」

桃子「まだ寝ぼけてるの?」

「日曜日に起こす誰かさんのおかげでな」

桃子「それは……ごめん」

「? どうした。やけに素直だな」

桃子「いや……その……お兄ちゃんに頼みごとがあって」

5 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:04:20.35 g9YrxzdA0 5/27

「例の粉が必要になったのか」

桃子「そうなの。アレがないと桃子、震えが止まらなくって……ってそんなわけないでしょ」

「じゃあなんだ」

桃子「しいて言うなら人生相談、みたいな」

「俺妹でも読んだのか?」

桃子「なにそれ」

一巻の刊行は2008年らしい。桃子が11歳だから生まれてないじゃん。何故か歳を感じた。

桃子「と、とにかく人生相談したいの」

「わかったよ。どうぞ」

休日の早朝ってわざわざ俺の部屋に来るってことはこのみ姉さんに聞かれたくないってことだろうと見当をつけた。まぁ言わなかったけど。ちなみにこのみ姉さんってのは俺たちの一番上の姉だ。

6 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:05:07.68 g9YrxzdA0 6/27

桃子「桃子ね。お兄ちゃんに……その、彼氏になってほしいの」

桃子は恥ずかしいのか口早に言った。

人生初めての告白が寝起きに妹にされるってパターンはたぶん世界初だ。

それにしても桃子が俺をねえ……。

桃子「なに、ニヤニヤしてるの? 怖いんだけど」

「彼氏に向かってひどい言い草だな」

いつのまにかすっかり彼氏気取りの俺。

7 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:06:01.63 g9YrxzdA0 7/27

桃子「なにか勘違いしてない?」

「俺の知らないあいだに彼氏って言葉に他の意味でも追加されたのか?」

桃子「広辞苑で確認してみる?」

「広辞苑はもういいよ!」

桃子「実はね……カクカクシカジカ」

「つまり、クラスで恋愛の話になって、つい見栄を張って彼氏がいるってウソついたら、彼氏に会わせろって言ってきた子がいたんだな」

桃子「えっと、まぁそうなんだけど……」

「はぁ見栄っ張りここに極まれりってやつだな」

桃子「……ごめんなさい」

謝る桃子。素直だか素直じゃないんだか。

「まぁいいよ。桃子には世話になってるし、付き合ってやるよ。それに俺以外の代役を探されても気が気じゃないしな」

桃子「……ありがと」

8 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:06:40.37 g9YrxzdA0 8/27

「で、具体的に何やればいいの」

桃子「来週の週末にデ、デートして。それでその子にも付き添ってもらうの」

「その子も小学生?」

桃子「うん」

小学生の引率か何か?。

「まぁいいや。じゃあ準備しておくよ」

桃子「ありがと、お兄ちゃん」

「おやすいこった」

9 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:07:40.63 g9YrxzdA0 9/27

そんなこんなでデート当日になった。

桃子「いい? 桃子たちが一緒に待ち合わせ場所にいったらおかしいから、お兄ちゃんは遅れてくるんだよ。わかった?」

「小学生の問題でありそう」

桃子「そうそう。何分後に追いつくでしょう……ってそうじゃなくて」

「答えはおそらく信号にどのくらい引っ掛かるかに掛かっている」

桃子「掛かってないよ! じゃあ頼むね」

そうやって桃子は先に出発した。俺は少し遅れて出発する。

10 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:08:56.31 g9YrxzdA0 10/27

デート集合場所

「ごめん、お待たせ」

桃子「おそいよ」

お前が遅らせたんだろーが。

???「はじめまして、桃子ちゃんの彼氏ですよね」

「ああ」

「わたし、中谷育っていいます。彼氏さんには失礼だと思ったんだけど、桃子ちゃんがどんなお付き合いをしているか心配で……」

いい子そう。てかいい子だ。誰かさんと違って素直そうだし。しかも将来、美人に育ちそう。って痛っ!

桃子「ちょっとお兄ちゃん! 今、育をヘンな目でみたでしょ!」

「うるさいですね……」

11 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:09:56.00 g9YrxzdA0 11/27

「え、桃子ちゃん、今お兄ちゃんって呼んだ?」

速報。桃子さん、出逢って数秒で墓穴を掘る。

桃子「聞き間違いじゃないかなあ?」

「ううん、ぜったい言ったもん」

桃子がなんとかしてと視線を投げてくる。

「いやいや。俺たち実の兄妹ってわけじゃなくって。そういうプレイなんだよ。妹プレイ」

桃子も乗っかってくる。

桃子「そう。この人はお兄ちゃんって呼ぶとすごく喜んでくれて」

「ごっこ遊びみたいな感じかな?」

「そうそう」

「ということは、彼氏さんは高校生なのに小学生と付き合ってて、しかもお兄ちゃんって呼ばせてるってこと?」

「うん」

「桃子ちゃん、別れた方がいいと思うよ」

奇遇だな育ちゃん。俺も端から聞いたらそう思う。。

こうして俺たちは最悪のスタートを切ったのだった。

12 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:10:41.04 g9YrxzdA0 12/27

道中

「えっと彼氏さん、桃子ちゃんのことなんですけど」

「育ちゃん。俺のことはPでいいよ。あと敬語もいい」

「わかった。わたしのことも育でいいよ」

「おけまる水産」

「おけまる?」

桃子「この人のことはほっといていいよ」

若い子に合わせたつもりだったんだが。

13 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:11:27.68 g9YrxzdA0 13/27

「2人はどこで出会ったの?」

「で、出会い? しいて言うなら病室かな?」

だって妹だからな。

「え、病院? ってことは2人とも病気してたってこと?」

なんか話がさっそくこじれてる。

桃子「ううん、軽い貧血みたいな検査入院って感じの軽いやつだから心配しないで」

「よかったあ」

「たしかそうだったな」(白々しい)

「でもロマンチックだなあ」

「そうか?」

「よくアニメでもあるよ。病室で出会って2人は恋に落ちて……でも最後はどっちか片方は死んじゃうの」

「ころすなっ!」

まぁ病院で出会ったらそういうオチになるのは分かる気がする。

14 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:12:50.43 g9YrxzdA0 14/27

桃子「こ、こういう話は恥ずかしいからあとにしない?」

「えー、もっと聞きたいのになあ」

桃子、ナイスフォロー。

桃子「じゃあお兄ちゃん、なにか話題振って」

「話題の振り方が雑」

「まぁいいや。サンタクロースをいつまで信じていたか、なんてことはたわいもない世間話にもならないくらいの……」

「あっそれハルヒの冒頭だよね?」

「おっやっぱ分かる?」

「だって9年ぶりに新刊が出るらしくて、すっごく楽しみなんだ!」

9年前……育さんいくつだ?

「まぁいいや。小学生と何を話たらいいか分かんないし、このままアニメ談義としゃれこもうぜ」

「うん!」

桃子(なんか桃子、蚊帳の外だなあ)

15 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:13:46.21 g9YrxzdA0 15/27

映画館

「ついたぞ」

「わぁ映画みるんだね、楽しみ」

桃子「お兄ちゃんにしては悪くない選択なんじゃない?」

「そりゃどうも」

女子小学生連れて、ウロウロしても変だし映画が時間潰せていいしな。桃子もすっかり設定忘れてお兄ちゃん呼ばわりしてる。

「とりあえずアニメ映画でいいか?」

桃子「アニメは桃子はいいかな」

ジブリ大好きなくせに、見栄張りやがって。

「わたしはもう何周もみたよ」

育さん……

「じゃあこれは?」

俺が選んだ映画は「十万字」主人公たちがゲームの世界に入って、クリアを目指すコメディ映画だ。陰キャが筋肉ムキムキにキャラクターになったりするのでギャップが面白いのだ。

桃子「まぁ悪くないかな」

「たのしみだね」

16 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:14:20.22 g9YrxzdA0 16/27

上映中

「なんとなく選んだ映画だけど面白いな」

笑いどころもあってみんなで笑ってたけど、唐突にキスシーンが流れ始める。

「わわっ」

桃子「///」

「気まずい……親子で金曜ロードショーみてて、こういうシーン流れてお茶の間が凍るってまさにこういうのを言うんだろうな」

でも映画はヒロイン役が機転を利かせ、ゲームをクリアするのだった。

17 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:15:34.33 g9YrxzdA0 17/27

上映後

「面白かったな」

「ラストのシーンすっごくドキドキした!」

桃子「まぁ悪くなかったと思うよ」

「でも桃子ちゃん、手に汗握ってたような」

桃子「もう育、そんなの言わないで」

ワハハ

18 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:16:16.43 g9YrxzdA0 18/27

「育坊はゲームの中に入れたらどんな役がやりたい」

桃子「育坊ってなに」

「わたしは魔法少女をやって困ってる人を助けるの!」

「いい子だなぁ……桃子は?」

桃子「桃子はゲームの世界に入るというよりかは、何か役を演じて、人を感動させたいな」

映画の余韻に浸って素直なこと言ってる。

「じゃあ女優でも目指すのか?」

桃子「女優かあ」

桃子はそれっきり、なんか1人でぶつぶつ言ってるので、あえて追及しなかった。

「じゃあファミレスで休憩がてら何か食うか」

19 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:17:01.57 g9YrxzdA0 19/27

ファミレス

ファミレス内では育坊の緊張も解けたのか。俺たちの関係を追及してきた。

「2人はお互いどんなところが好きなの?」

桃子「え……好きなとこ、ないかも」

「ないはおかしいだろ」

桃子「えー」

「ふふっ2人は仲良しさんなんだね」

どこをどうみたらそう見えるのかは知らんが、そう思ってくれてるならまぁ良いだろう。

20 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:17:33.30 g9YrxzdA0 20/27

「Pさんは?」

「桃子のいいところか……」

ここは何故か重大な選択のように思えた。

「まぁ芯が通ってるっていうか、最後までやりぬくような頑張り屋さんってとこだな。たまに無茶するから体壊さないか心配になるけど」

「へえー桃子ちゃん愛されてるね♪」

桃子「……もうっ」

うう……桃子。

21 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:18:34.83 g9YrxzdA0 21/27

帰り道

「桃子ちゃん、Pさん今日はありがとう。すっごく楽しかったよ」

「育坊もせっかくの休日なのに付き合わせて悪かったな」

「ううん、でも桃子ちゃんの彼氏さんが良い人みたいでわたしも安心したよ」

桃子「そっか」

「白馬に乗ってやってくると聞いてたから、どんな人が来るのかドキドキしたけど、その辺は普通に徒歩で来たし」

桃子さんの理想が高すぎる。そんな奴を紹介されたらたしかに俺も会ってみたいわ。

「Pさんはさっき、せっかくの休日なのにって言ってたけど後で桃子ちゃんに何か埋め合わせしてもらうの?」

「え、どういうこと?」

22 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:19:23.45 g9YrxzdA0 22/27

「だってPさん、桃子ちゃんの本当のお兄ちゃんでしょ?」

桃子「!!!」

「やっぱりね」

「なんで分かったんだ?」

「だって似てるもん。顔はあんまり似てないけど、不器用だけど優しいところとか」

「さあどうだろうな?」

「そうやって照れ隠しするところ!」

この子にはやっぱり敵わないなぁ。

「わたしをだまそうとしたのは全然かまわないけど、桃子ちゃんはPさんに何か埋め合わせするんだよ。例えば、今日誘った理由を話してあげるとか」

桃子「う、うん、わかった」

素直に肯定する桃子。ひょっとして桃子も育坊には敵わないんじゃないか?

「じゃあまたね! 今日はたのしかったよ」

そうやって育を見送るんだった。

23 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:21:02.61 g9YrxzdA0 23/27

育を見送り、桃子と二人きりになる。

河川敷を夕日をバックに歩く。

影が長くのびて、影だけをみれば身長差はそう変わらないように関した。

桃子「今日誘った理由はね……」

「話してくれるのか」

桃子「育に免じてね」

「そっか」

少し2人のあいだに間が空く。

24 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:21:50.74 g9YrxzdA0 24/27

桃子「恋愛をやってみたかったの」

「恋愛?」

桃子「どっかの誰かさんが海美さんをはじめ、とっかえひっかえしてるからね」

「そんなのしてないぞ」

桃子「どうだか。まぁいいよ。だから思ったの。恋ってどんなものかしらって」

フィガロ?

「そう。で、どうだった」

桃子「いつもと変わらない気もしたけど、すごく楽しかったよ。世の中の人が恋愛に夢中になる理由も分かった気がする」

「へえ」

桃子「ねえお兄ちゃん。もし桃子が本当にお兄ちゃんに彼氏になってほしいって言ったらどうする?」

風が桃子の髪を揺らす。俺はなにも答えることができなかった。

桃子「なんてね。桃子はお兄ちゃんなんかと付き合いたいなんて思わないよ。ちょっとからかっただけ」

俺はどんな顔をしていたのだろう。でも答えを出さずに済んで、心のどこかで安心した。

25 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:22:31.31 g9YrxzdA0 25/27

自宅

このみ「おかえりー。2人で出かけるなんて珍しいわね」

桃子「ただいま」

「ただいま姉さん。ちょっといろいろあってね」

このみ「まぁあんまり深くは追求しないわ。だってそれがオトナのお姉さんだもの」

「さいですか」

そんなとき家のチャイムがなった。

このみ「こんなときに誰かしら。ちょっとご飯の支度していて手を離せないから、Pが出てくれないかしら」

「合点」

26 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:23:47.52 g9YrxzdA0 26/27

玄関のドアを開けたら、見知らぬ美少女がいた。しかも何故かキャリーバッグまで転がして。

「えっと失礼ですが、どなたですか」

???「今日からお世話になります。わたし、セリ……じゃなくて箱崎星梨花っていいます!」

「ご丁寧にどうも。で、ウチに何の用で」

星梨花「えっとご連絡がいってないのでしょうか。今日からメイド兼、妹として住み込ませてもらうんです」

「えっと、どういうこと?」

星梨花「代々箱崎家は一般世間を知るために、庶民の家でメイドや妹として住み込むものだと決まってるんです。そしてたまたま、このお家に白羽の矢が立ったんです」

「……?」

27 : ◆X0TyCi.5oo - 2020/09/04 11:25:54.70 g9YrxzdA0 27/27

星梨花「まだ疑ってるんですね。これが正式な書類です」

なんだか難しい文言と娘をよろしく頼むと直筆のサインがあった。なんか本物っぽい。

星梨花「それでは、失礼しまーす」

「おいおい、勝手すぎるよ」

星梨花「よろしくお願いします。お兄ちゃん♡」

「上がりたまえ」

星梨花「えへへ、ありがとうございます」

って勢いで星梨花を家に上がらせてしまった。

このみ姉さんに、今日なぜかデートをした桃子と知り合ったクラスメイトの育ちゃん、それに急に住み込み宣言をした謎の美少女星梨花。

俺の生活どうなっちゃうの!?

ロリーな子たちに焦点を当てた765楽園sideLここに開幕!

おわり

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