千早「おはようございます」
P「お、早いな。おはよう」
千早「今日はイベントの仕事でしたよね?」
P「ああ、出発までまだ時間があるから休んでてくれ」
千早「はい」
P「俺はちょっと朝飯を済ませてくるから」
千早「分かりました。行ってらっしゃい」
P「おう」
ガチャッ
千早「ふう……」
千早「あら、何かしらこれ……?」
元スレ
千早「このノートに名前を書かれた人間は……転ぶ?」
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千早「HARU NOTE……?ハルノートって読むのかしら」
千早「それにしても随分と悪趣味な表紙ね」
千早「……」
千早「ちょっとぐらい、覗いてもいいかしら……」
千早「……」
千早「こんな所に無防備に放ってあるぐらいだし……」パラッ
千早「……何も書いてないわ」
千早「中は普通のノートなのね」パラパラッ
千早「……!」
『このノートに名前を書かれた人間は転ぶ。』
千早「……なんて、そんな馬鹿な話ないわよね」
千早「そろそろプロデューサーも帰ってくる頃かしら」
ガチャッ
春香「おはようございまーす!」
千早「おはよう、春香」
春香「あれ?千早ちゃん今日は早いんだね」
千早「ええ、今朝はイベントの仕事があるの」
春香「そっか、頑張ってね!」
千早「頑張るわ、ありがとう」
春香「それでね、今日はクッキーを焼いてきたんだけど……」ゴソゴソ
千早(……ハルノート、ちょっと試してみようかしら……)
千早(これで本当に春香が転んだらすごいわね)
春香「あれー?どこに入れたかな……?」ガサガサ
千早(天海春香、と……これでいいかしら)
春香「あ!あったあった。はいどうぞ!千早ちゃん」
千早「ありがとう。春香はこういうの上手ね」
春香「えへへ、でも今回はちょっと焦がしちゃったかも……」
千早「そうかしら?とっても美味しいわ」パクッ
春香「本当?そう言ってもらえると作ったかいがあるよ!」
千早(やっぱり転ばないわね……。まあ当然と言えば当然だけれど)モグモグ
春香「私、ちょっとお手洗いに行ってくるね」
千早「ええ」
千早(そう言えばこのノート、誰が置き忘れたのかしら?)
千早(四条さんとかなら持ってても違和感は……あるわね)
千早(すると亜美、真美あたりがいたずらで……
どんがらがっしゃーん!!
千早「春香!?大丈夫!?」
春香「あはは……今日も朝から転んじゃった……」
千早(まさか……本当に転ぶなんて……)
千早(これがハルノートの力……?でも春香が転ぶのなんて日常茶飯事だわ)
千早(きっとただの偶然……。春香なら十分ありうるわね)
ガチャッ
響「はいさーい!……って、春香また転んでるのか!?」
春香「あ、響ちゃんおはよう……。ごめんね、今どくから……」
響「自分、こんな足元から挨拶されたの初めてだぞ……」
千早「おはよう、我那覇さん」
千早(そう言えば、我那覇さんが転ぶところって見たことがないわね)
千早(ダンスのレッスンでも転ばないし、やっぱり運動神経が良いのかしら?)
千早(我那覇さんを転ばせたら、このノートも本物ね……)
千早(少しだけ、確かめさせてもらおうかしら……)
春香「あ、そうだ!私クッキーを作ってきたんだけど、響ちゃんも食べる?」ゴソゴソ
千早(我那覇響、と……覇って思ったより難しいわね)
響「本当か!?春香のクッキー、おいしいから自分大好きだぞ!」
春香「今日はちょっと失敗しちゃったんだけどね……はい、どうぞ!」
ハム蔵「チュチュッー!」ダッ
響「あっ!ハム蔵いきなりどこ行くんさ……」ズルッ
すってーーん!!
千早「!?」
響「あいたたた……。こんな何もない所で転ぶなんておかしいな……」
春香「だ、大丈夫!?」
響「なんくるないさー。自分、春香のこと言えないぞ……」
春香「こう立て続けに2人転んじゃうと、何か不安になってくるよね……」
千早「そんな……こんなことって……」
千早(……)
千早(本物だわ……このノート……!)
千早(こんなもの……いったい誰が何のために……)
千早(そもそも、どういう仕組みになっているのかしら。名前を書くだけで人が転ぶなんて……)
響「こらっ、ハム蔵!いきなり飛び降りてケガでもしたらどうするんさー!?」
ハム蔵「チチー…」
春香「ハム蔵、どうしちゃったんだろうね?はい、クッキー」
響「おお!ありがとな、春香!……ハム蔵、今日はあげないぞ」
春香「あははは……そうだ、私トイレに行くんだったっけ」
千早(確か、見返しにまだ説明が書いてあったわね……)ピラッ
千早(……名前を書いてから40秒間、転ぶ原因を書き加えることができる……?)
千早(転ぶ原因なんて指定して、何か意味があるとは思えないけれど……。まだ続きがあるわね)
千早(……転ぶ原因を書くと更に6分40秒、転んだ直後の詳しい行動を書く時間が与えられる……)
千早(つまりノートに記入するための時間は、合わせて7分20秒になるのね)
千早(…………)
千早(そこはかとない悪意を感じるわ)
千早(……それにしても、何から何まで中途半端なノートね)
千早(誰かに悪用される前に、燃やして捨ててしまった方がいいのかしら……?)
ガチャッ
やよい「おはよーございまーすっ!」
千早「おはよう、高槻さん」
響「おはようだぞ、やよい!」
やよい「わっ、今日は2人とも早いんですねー!」
千早「そうね。あとは春香も来てるのよ」
響「そうだ!さっき春香にクッキーもらったんだけど、やよいも一緒に食べないか?」
やよい「ホントですか!?ありがとうございますー!」
響「って、自分が作ったんじゃないんだけどなー」
やよい「うっうー!やっぱり春香さんのクッキーはおいしいですーっ!」
千早(高槻さんは素直で可愛いわね……)ジーッ
やよい「?」
千早「あ……な、何でもないのよ」
千早(愛らしすぎて頭がどうにかなりそうね……)
千早(……そうだわ!)
千早(このノートを使えば……ふふふ……)コソコソ
千早(……高槻やよい……転ぶ原因はつまずき……それと……)
千早「私、ちょっとお茶を淹れてくるわね」ガタッ
やよい「あ、私も手伝いますー!」トテトテ
千早「本当?助かるわ」
やよい「最近はちょっとだけお茶のいれかたも勉強してるん……」ズコッ
やよい「あっ!?」
ぎゅーっ!!
千早(計画通り……!)
やよい「はわっ!ご、ごめんなさいっ!抱きついたりなんかしちゃって……」
千早(目を潤ませながら上目遣いで謝る高槻さんマジ可愛い)
千早「全然いいのよ。高槻さんに怪我がなくてよかったわ」
やよい「あ……えへへ……」
千早「?」
やよい「……もう少しだけ、こうしててもいいですか?」ギュッ
千早「!!??」
やよい「なんか安心するっていうか……お姉さんがいたらこんな感じなのかなーって」
千早「」
やよい「千早さんがお姉さんだったらいいのに……なんて、わがまま言っちゃダメですよね!」バッ
千早「あっ……」
千早(行ってしまったわ……)
千早(……)ポーッ
千早(こんな素敵なノートを焼き捨てようだなんて私、どうかしてたわね)
ガチャッ
貴音「おは……それは春香の焼いたくっきぃではございませんか」
響「おお!貴音も一緒に食べるか?ってちょっとしか残ってないけどなー」
貴音「……もっと早く起きるべきでした」
千早(四条さんは本当に食いしん坊ね。あれだけ食べても太らないのが不思議だわ)
千早(もしかして摂った栄養が全て……あの胸に行っているのかしら)チラッ
千早「……くっ」
千早(はっ……このノートの力を借りれば……)
千早(しかし、それは人間として……)
千早(…………)
千早(四条貴音、転ぶ原因はふらつき、如月千早に倒れかかりその衝撃で胸が少し移動)
千早(……完璧だわ)
千早「四条さん、私もさっき春香からクッキーを貰ったのだけれど、良かったらどうぞ?」
千早(せ、成功するかしら……)ドキドキ
貴音「それは真にございますか?ではお言葉に甘えて……」フラッ
むにゅ~~っ!
千早(!?……これが……胸があるという感覚……!)
千早(移動してる……!今まさに胸が移動してる感じがするわ……!)
貴音「……申し訳ありません……少々立ち眩んでしまったようです」
千早(む、胸は!?)
千早(……!!)
千早(変わって……ない……)
貴音「千早、どうかしましたか?……まさか、どこか怪我でもさせて……」
千早「あ……大丈夫ですから……。クッキーです、どうぞ」
貴音「……」
千早(……つまり、物理法則を無視した現象は起こせないのかしら……)
千早(もっとノートのルールを読み込む必要があるわね)
千早(……)パララッ
千早(!?……これは……?)
千早(……ノートの所有者は『転び神』の姿や声を認知することができる……?)
千早(……!)キョロキョロ
千早(そんなもの、見えもしないし聞こえもしないけれど……)
千早(そもそも、転び神って何かしら……?かなりどうでもいい神であることは間違いないわね)
千早(……)ピラッ
千早(えっ……)
『このノートを使った人間は、巨乳にも美乳にもなれない。』
千早「そんな……!こんな馬鹿な話あるわけ……!」
???「本当だよ。千早ちゃん」
千早「!?」
千早「あなたは……春香、じゃない……?」
???「私は転び神。そしてそのノートはもともと私の所有物だった」
千早「……え……?」
???「ハルノートを使った人間が巨乳や美乳になんてなれると思わないで」
千早「……あ……やめ、て……!」
???「あなたの行き着く先は……"無"よ」
千早「……そ……んな……」ポロッ
???「……なーんちゃって!ドッキリでしたー!!」
千早「……へ?」
春香「みんなー!大成功だよー!」
響「あ~~~~、緊張したぞー!」
やよい「騙しててごめんなさいです……」
貴音「真、転ぶ演技とは難しいものですね」
千早「え……演技?」
響「そうだぞー!自分、何回も転ぶ練習したんだからなー!」
ハム蔵「チュー!」
響「あはは!ハム蔵も上手だったぞー!」
春香(私は演技じゃなかったんだけど……)
千早「じゃあ、高槻さんが私に……その、抱きついたのも……」
やよい「はいっ!演技ですよー?」
千早「そ、そうよね……何聞いてるのかしら私」
やよい「あ、でも……千早さんがお姉さんだったらいいのになーっていうのは嘘じゃ……」ボソ
千早「え?」
やよい「な、何でもないですーっ!」
千早「……でもみんな、ノートに書かれた内容がどうして分かったのかしら?」
P「そのノート、表紙と裏表紙に圧力センサーが仕込まれているんだ」
千早「プロデューサー!?」
P「それとアンテナも内蔵されていてな、俺のパソコンに千早の書いた文字が送られてくるんだよ」
P「俺はそれを見て、みんなのワイヤレスイヤホンに指示を送っていたってわけだ」
千早「なるほど……プロデューサーも仕掛け人だったってことですか……」
P「ああ、騙していて悪かったな。でもおかげで良いものが撮れたと思うぞ?」
千早「撮れたって……まさか……」
P「千早はいつもクールだからな。こういうちょっとうろたえた一面を見せれば視聴率も……」
千早「それは……やめて下さい!!」
千早「せめて、し……四条さんのくだりだけは……!」
P「?」
P「ああ……ははは、あれは正直困ったな」
貴音「ええ、いくら演技でも出来る事と出来ない事がございますから」
千早「……!」
春香「あれ、どうかしたんですか?」
やよい「千早さん、あの時なんて書いたんですかー?」
P「それがな、貴音が倒れかかったあと……千早?」
千早「…………」プルプル
千早「もうっ……知りませんっ!!!!」
おわり
27 : VIPに... - 2012/07/02 01:18:28.50 Y0rV/EIl0 25/25ssを書いたのはこれが初めてなもので、至らぬ点も多々あったかと思いますが、
ここまで読んで……いや途中まででも読んで下さった皆さん、ありがとうございました。