戸愚呂弟(最近町を歩いてると……)
通行人A「あ、B級が歩いてるぜ」
通行人B「ホントだ、B級だ」
通行人C「今日もオレンジジュース飲むのかな、あのB級妖怪」
クスクス… ハハハ…
戸愚呂弟(通行人からよく笑われるねェ……)
元スレ
戸愚呂弟「オレをA級妖怪に認定してくれないかねェ?」コエンマ「そう言われても……」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1595070043/
戸愚呂弟(インターネット上でも……)
『B級妖怪「俺もこっちで強くなりすぎた」』
『あんだけイキってB級ってwww』
『人間やめて50年鍛えてB級止まりの妖怪がいるらしい』
戸愚呂弟「ぐぐぐ……」
戸愚呂弟「くそぉっ!!!」
戸愚呂兄「どうした、弟よ」
戸愚呂弟「兄者……みんながオレのことをB級B級とバカにして……」
戸愚呂弟「特にインターネット上での扱いはひどいもんでねェ」
戸愚呂兄「フン、ネット上で他人を叩く奴なんざクズだ。気にすることはねえ」
戸愚呂弟(かくいうあんたは絶対ネットで荒らしとかするタイプだと思うがねェ……)
戸愚呂兄「さて、オレも掲示板でも覗くとするか」
戸愚呂兄「……」カタカタ
『皆さん、おはようございます』
『新しい住民の方ですね。よろしくお願いします』
『このスレにいると本当に癒やされますよ!』
戸愚呂弟「なんでこんな物腰丁寧なんだ!?」
戸愚呂兄「ネット上だと、ついこうなっちまうんだ。相手が見えねェからだろうな」
戸愚呂弟「普通、逆だと思うが……」
戸愚呂弟「とにかく、オレはこのままバカにされたくない」
戸愚呂弟「せめてA級妖怪になって、B級呼ばわりを卒業せねば……」
戸愚呂弟「妖怪のランク分けをしているのはいったいどこの誰だ?」
戸愚呂兄「オレもよく知らねェが、多分霊界じゃねえか?」
戸愚呂弟「よし……じゃあコエンマのところに行ってみるか」
戸愚呂弟「コエンマ」
コエンマ「おお、戸愚呂か。珍しいな、なんの用だ?」
戸愚呂弟「オレを……A級妖怪に認定してくれないか」
コエンマ「へ?」
戸愚呂弟「道を歩いていてもB級、ネット上でもB級とバカにされ、もう耐えられないのだ!」
戸愚呂弟「100%中の100%のオレなら、ギリギリA級に達してるような気がするし!」
コエンマ「うーむ、そう言われても……」
戸愚呂弟「頼む……!」
コエンマ「……」
コエンマ「分かった……チャンスをやろう」
コエンマ「本来、妖怪の階級は、“誰かに頼まれて上げ下げする”というものではないのだが……」
コエンマ「一週間後、お前にA級昇格試験を受けさせてやる」
コエンマ「それに合格できたら、A級妖怪に認定しよう!」
戸愚呂弟「感謝する……!」
試験の日――
コエンマ「では、A級妖怪昇格試験を行う」
コエンマ「この四つの試験を受けてもらい、総合的な評価で判断する」
・体力試験
・妖力試験
・筆記試験
・面接試験
戸愚呂弟「結構ボリュームあるねェ……」ゴクッ
コエンマ「まずは体力試験だ」
コエンマ「このバーベルを持ち上げてもらう」
戸愚呂弟「分かった」
コエンマ「いっとくがとてつもなく重いぞ。さっきワシがやってみたら腰痛めた」
戸愚呂弟「ぬうんっ!!!」グンッ
コエンマ「おおっ、軽々と!」
コエンマ(ふ~む、腕力だけならA級妖怪の域に達しているのかもしれんな)
コエンマ「続いては妖力試験だ」
コエンマ「この計測器で測るから、妖力を絞り出してもらいたい」
戸愚呂弟「はあああああ……!」
戸愚呂弟「ぬおおおおお……!」
戸愚呂弟「ぐぬぬぬぬぬ……!」
ゴゴゴゴゴ…
コエンマ(やはり妖力はそこまでではないな……B級上位がせいぜいだ)
コエンマ「続いて、筆記試験を行う!」
コエンマ「時間は60分……始めっ!」
問1
たかし君は60%の力を発揮すると、ビルを3分で破壊できます。
では、80%の力を発揮した時、ビルを何分何秒で壊せるでしょうか。
戸愚呂弟「なかなか難しいねェ……」
コンコン
コエンマ「どうぞ」
戸愚呂弟「失礼します」
コエンマ「では、席におかけ下さい」
戸愚呂弟「……」スッ
コエンマ「それでは面接試験を始めます。まず初めに、A級妖怪に昇格したい動機をお答え下さい」
戸愚呂弟「はい、私は弟子を殺された罪の意識から妖怪へと転生し……」
…………
……
コエンマ「以上で面接試験は終了です。お疲れ様でした」
戸愚呂弟「ありがとうございました」
コエンマ「合否の結果につきましては、後日郵送で連絡を差し上げます」
戸愚呂弟「分かりました。よろしくお願いします」
コエンマ「では退室なさって下さい」
戸愚呂弟「本日はありがとうございました。失礼いたします」
バタン…
戸愚呂弟「ただいま」
戸愚呂兄「試験はどうだった?」
戸愚呂弟「やるだけのことはやった……後は結果を待つだけだ」
戸愚呂兄「合格できるといいな」
戸愚呂弟「ありがとう……兄者」
陣「郵便だべー!」ビュオオオオオッ
戸愚呂弟「……」ドキドキ
戸愚呂兄「ど、どうだった?」
『戸愚呂(弟)殿 コエンマの名において、貴殿をA級妖怪に認定いたします』
戸愚呂弟「やったーっ!!!」
戸愚呂兄「よかったな!」
左京「おめでとう、戸愚呂」
鴉「フッ……ずいぶん遠い存在になってしまったような気がする」
武威「……」ニコッ
戸愚呂兄「ヒャハハハ、さすがオレの弟だァ! これで兄であるオレの名声も高まるってもんだ!」
戸愚呂弟「みんな、世話ばかりかけちまったな……」
左京「では、オレンジジュースで乾杯だ!」
カンパーイッ!
戸愚呂弟(これで……オレをバカにしていた連中もオレを見直すことだろう)グビッ
ところが――
戸愚呂弟「……」スタスタ
通行人A「あ……A級妖怪の戸愚呂だ」
通行人B「A級になったらしいけど、ちょっと残念だな」
通行人C「そっか、A級になっちゃったのか……」
ハァ… フゥ…
戸愚呂弟「……え?」
戸愚呂弟「……」カタカタ
『【悲報】戸愚呂弟さん、A級妖怪になってしまう…』
『戸愚呂弟がA級になってガッカリしてる奴の数→(1001)』
『A級妖怪戸愚呂アンチスレpart662』
戸愚呂弟(インターネットでも……何故だ!?)
戸愚呂弟(見直されるどころか、かえってガッカリされてる……!)
コエンマ「ふーむ、それはだな……」
コエンマ「人々はお前がB級であることをバカにしてるように見えたが……」
コエンマ「心の中では“お前ほど恐ろしく強い妖怪でもB級”であるという事実に驚き」
コエンマ「そのギャップに魅力を感じてもおったのだ」
コエンマ「だから、お前がA級になってしまうと……そういう意外性がなくなってしまうのだ」
戸愚呂弟「魅力がなくなってしまうわけか」
コエンマ「だが気にすることはあるまい! お前は正式に試験をクリアしたのだから!」
戸愚呂弟「……」
戸愚呂弟「いや……」
テレビ『先日、戸愚呂弟さんがA級認定されたと報道されましたが……』
テレビ『霊界のコエンマ氏から、やはりB級のままだったと発表されました』
「なーんだ、そうだったのか」
「よかったー!」
「戸愚呂はB級でないとな!」
「ホッとしたよ!」
「戸愚呂最高! 戸愚呂バンザーイ!」
コエンマ「……本当によかったのか?」
戸愚呂弟「ああ……これでいいんだ。これでもサービス精神はある方なんでねェ」
戸愚呂弟「オレがB級妖怪の方が皆が楽しめるんなら、そうした方がいい」
戸愚呂弟「オレは永久に……B級だ!」
おわり

