1 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 19:30:00.52 bb9zyXmeQ 1/47

「…………」

「何だ、緊張してんのか?」

「うん……きょ、今日、初めて殺人事件の弁護をするから」

「殺人か。そりゃあ確かにプレッシャーかかるかもな」



「あ、相手の検事はお姉ちゃんだし、ぶぶ、ぶざまなところは見せられない……」



「相変わらずアガリ症だな……水でも買ってきてやろうか」

「う、うん。じゃ、じゃ、じゃ、じゃーよろしく」

「ベートーベンの有名な曲みたいなテンポになってるじゃねーか」





元スレ
SS「アガリ症の弁護士(妹)とクールな検事(姉)」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1240137000/

2 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 19:33:44.50 bb9zyXmeQ 2/47

「………ん?おお、君か」

「あ、どうも。女のお姉さん」

「名前で呼んでくれと言ったはずだが」

「じゃあ、姉さん。今日は遅いんですね」



「遅くはない。女が早過ぎるだけでな。……っと、女はどうしてる?」



「控室で震えてますよ」

「やっぱりか……まあいい。どんな状態であれ、叩きのめしてやるまでさ」

(妹相手にも容赦無いからなあ……)






4 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 19:37:41.98 bb9zyXmeQ 3/47

「ほら、水」

「あ、ありがとう…………ふぅ」

「ちょっとは落ち着いたか?」

「うん……と、とにかく頑張るよ」

「今回の被告人はどんな感じだ?」



「うーんとね…多分、殺してないと思うよ。そんな印象受けなかったから」



「……ま、何にせよ……」

「私がお姉ちゃんに勝って、無罪にしてみせる…………多分」

「最後の最後で自信を無くすなよ」




6 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 19:42:26.17 bb9zyXmeQ 4/47

―法廷―



「い、異議あり!それは先程の証言と矛盾しており、信憑性が――」



「異議あり!被告人にはその場に居なくとも殺人を犯す方法が――」



「異議あり!裁判長、おねえ――いや、検事殿の発言は想像に過ぎません!!」



(今日は女も姉さんも、気合い充分だな……)





8 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 19:45:40.62 bb9zyXmeQ 5/47

「勝った!!勝ったよー!!」

「見てた見てた。……よかったな」

「うん!……あ、私、警察署に行ってこなくちゃ」

「あー……俺は先に帰ってていいか?」

「いいよ、お疲れ様!」

「じゃあ、お先に」

(バタン)

「…………あれ?」

「……………」




9 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 19:49:04.48 bb9zyXmeQ 6/47

「どうしたんですか?」

「別に。……強いていうのなら、君を待っていた」

「え?」



「最近……誰かに付き纏われているような気がしてな」



「ストーカー……ですか?」

「どうだかな。私は法廷以外の場所でも色々と怨みを買ってるから」

「あー、確かに。そんな感じがしますね」

「そこで納得するんじゃない。……という訳で、よければ送ってやってくれ」




11 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 19:53:11.36 bb9zyXmeQ 7/47

「いいですよ。じゃあ――」

「どこに行くんだ?」

「え?姉さんの家に」



「……ああ、すまない。勘違いをさせてしまったかな。」



「えーっと……?」

「妹のことを送ってやってくれ。私は自分の身くらいは護れる」

「で、でも、つけられてるんですよね?」

「その矛先が女に向けられたらどうする。……という訳で、任せたぞ」

「あっ、ちょ……」




12 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 19:57:13.87 bb9zyXmeQ 8/47

「あれ?男君何してるの?」

「お姉さんが、女を送ってやってくれってさ」

「……もう、いつまで子供扱いするんだろ」

「気持ちはわからんでもないけどな」

「そ、それどういう意味?」



「自分の胸に聞いてみな。……二つの意味で」



「こら。失礼だよ男君」

「スーツなら幼児体型を隠せるからいいよな」

「もう!!いざという時、男君の弁護してあげないからね!」

「そんなことになってたまるか……」




13 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:00:53.63 bb9zyXmeQ 9/47

(…………朝か)

(今日はオフだったな……昨日は…)

(ああ、そうだ。被告人が無罪になって、弁護士は……)



「……いい天気だ。たまには、出掛けてみるかな」



(昨日の疲れがとれないな……ん?)



「おい。……君は何をしている?」

「何をって……見ての通り、お買い物ですよ」

「ふふ、男が一人でお買い物か。周りからするとただの寂しい奴だな」

「そういう姉さんは?」

「私は……お買い物だ」

「……………」




15 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:04:53.88 bb9zyXmeQ 10/47

「昨日の裁判、残念でしたね」

「ん?……昨日の裁判……ああ、アレか」

「女が勝ったじゃないですか」



「女はどうだか知らんが、私は裁判に勝敗などは求めていないよ」



「……はあ」

「弁護士と検事。それは……ある意味、協力して真実を導き出す仕事だからな」

「わかるような気がします」

「昨日の裁判でわかったことは、犯人は他に居る――ただ、これだけだ」

「カッコイイですね」

「だろう?だから私は、検事になったんだ」




17 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:07:45.90 bb9zyXmeQ 11/47

「……そんな理由なんですか」

「ああ、後悔はしていない。……いや、たまにするかな」

「たまに?」

「たまに……弁護士になっておけばよかったと思うことはあるよ」

「弁護士ですか」

「……検事という仕事はね、笑ってもらえないんだ」




18 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:10:53.11 bb9zyXmeQ 12/47

「弁護士は無罪を勝ち取れば、被告人やその家族は笑顔を見せてくれる」

「…………」

「でも、検事は有罪にしても被害者は笑ってくれないんだよ。……ただ、泣くだけだ」

「じゃあ……何で検事になったんですか?」

「ん?……怖かったからだよ。弁護士ってのは、世間様から叩かれやすいからな」

「……………」




20 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:12:59.15 bb9zyXmeQ 13/47

「……っと、女からメールが……」

「となると、私は邪魔者だな。これで失礼するよ」

「何度も言いますけど、ただの弁護士と助手の関係です」

「はいはい。そういうことにしておこう……それじゃ」

「はい、また。…………本当、クールな人だな」

(それでいて、鈍いから困り者だ)




21 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:17:46.97 bb9zyXmeQ 14/47

「さけがたりんぞぉー!さけが、さけがーー!!」

「女、飲み過ぎだって」

「およ?男君が三人……ぶんひんのじゅとぅ?」

「じゅとぅって何だよ、術だろ」

「私はぁ、お姉ちゃんにぃ、勝ったよ」

「何回も聞いた」

「スタイルは……ちょっと、勝ち目が無いけどにぇー……」

「脱ぐな脱ぐな」

「ぐー……」

「寝るな寝るな」




23 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:20:46.60 bb9zyXmeQ 15/47

(ザー……キュッ)

(やれやれ……さすがに、そろそろ髪を切るべきかな。洗髪が大変だ)

「まあ、後ろで結べばもう少し……」



(ピンポーン)



「……客?こんな時間に?」

(まさか、例のストーカーじゃないだろうな)




24 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:22:12.32 bb9zyXmeQ 16/47

(ガチャッ)

「……はい」

「あー……どうも、男です」

「男君?……どうした、こんな時間に」

「女が潰れちゃって……家まで持ちそうもないんです」

「ちょっと待ってろ。今、私は下着姿だからな」

「それは報告しなくていいです」

「着替えたらドアを開ける。……少しだけ、待て」




25 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:27:02.62 bb9zyXmeQ 17/47

「……随分衣服が乱れてるな」

「女が悪酔いしまして……」

「それになんだこの……魚介類の臭い…」

「さきいかを貪り食ってましたから」

「…………本当だろうな」

「本当ですよ。こんな怖い検事さんが居るのに、裁判沙汰になんかしたくないです」

「まあ、それもそうか。……上がれ」




26 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:30:19.60 bb9zyXmeQ 18/47

「……案外、散らかってますね」

「まあな。ここ最近忙しかったから……漁るなよ。乙女の秘密が沢山だ」

「乙女の秘密?」

「……下着とか、避妊具とかな」

「ぶっ!!」

「冗談だ。下着は棚だし……この部屋に上がった男性は君が初めてだ」

(それはそれでどうなんだろ……)




29 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:32:43.51 bb9zyXmeQ 19/47

「……相当飲んでるな」

「ええ、そりゃもう」

「仕方無い、コイツはここに泊めておくとしよう」

「すいません、わざわざ」

「……しかし、君もアレだな」

「ん?」

「自宅に連れ込んで襲う、くらいの心意気は無いのか?」

「………えーっと…」




30 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:35:34.34 bb9zyXmeQ 20/47

「襲うって……だから、女と俺は」

「大体な。何度女の部屋に入れてもらった?少しくらい好機はあっただろう」

「いや、部屋に入れてもらったからって」

「部屋に若い男女だぞ?女性にもその気があるということだろう」



「……ってことは、今の姉さんもその気があるってことですか?」




31 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:38:47.51 bb9zyXmeQ 21/47

「……何?」

「向こうの部屋で女は寝てるし、二人ですよね。いいんですか?」

「ばっ……いや、その、それはだな」

「いいんですよね?」

「っ………こっ、これは、誘導尋問だ!」

「誘惑尋問です」

「よ、よりタチが悪い!!」




33 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:44:26.86 bb9zyXmeQ 22/47

「じゃあ、帰ります」

「帰れ帰れ、さっさとな」

「それじゃ」

「ああ。………ふぅー……」

(緊張した……)

「あ、そうそう」

「わあっ!!な、何だいきなり!!」

「明日の仕事に遅れないよう、言っといて下さい」

「わ、わかった」

「それでは」



「…………はあー…」




34 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:47:40.21 bb9zyXmeQ 23/47

「……スー……スー……」

「……すまないな、女」

「少しだけ……揺らぎそうになったよ」

「……実を言うとまだ……諦めきれていないんだ」

「…………いずれ、忘れるから」

「おやすみ……」




35 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 20:53:50.47 bb9zyXmeQ 24/47

「……あれ……お姉ちゃん……?」

「やっと起きたのか、もう十時過ぎだぞ」

「うー……頭痛い……」

「二日酔いだろう。……仕事に差し支えないようにな」

「うん、気をつける……」

「ほら、大根の味噌汁だ。二日酔いにはいいぞ」

「…………ありがとう……あれ、男君は?」

「帰った。泥酔した女を背負って来てくれたらしくてな」

「そっかぁ……男君、優しいね…」

「………そうだな」




36 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 21:01:26.59 bb9zyXmeQ 25/47

「……お姉ちゃん……」

「何だ?」

「私、いい加減男君に告白しようと思うんだ」

「……っ、あ、ああ。いいんじゃないか。お似合いの二人だ」

「うん、ありがとう……勇気が出た」

「……そうか」

「あ、そろそろ行かなきゃ!お姉ちゃん、ありがとう」

「ああ、気をつけてな」



(………勇気、か……)




39 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 21:21:39.41 bb9zyXmeQ 26/47

「もしもし、男君?」

「……え?何言ってるの?」

「ちょ、ちょっと待って。落ち着いて……」

「そんな……そんなのって……」

「それで、犯人は?」

「…………わかった、今から行くよ」




41 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 21:26:27.42 bb9zyXmeQ 27/47

(バン!)

「女!!これは……これは一体!?」

「おねえちゃ……男君が……」



「殺人容疑……くそ、悪い冗談だ」



「私、私……どうすれば……」

「……決まっている。男君の弁護だ」

「……うん……あ、検事はお姉ちゃんだって…」

「…………何……?」

「よかった……不幸中の幸いだよ…」

「…………」




43 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 21:33:02.63 bb9zyXmeQ 28/47

(バサッ)

「……どこに行くの?」

「――彼が犯人だと言う証拠を見つけにだ」

「………え……」

「私は、検事なんだよ。女」

「でも、でも……」

「私たちの仕事は、庇うことでも責めることでもない。見つけることだ」

「見つける……何を……?」



「――たった一つの、真実だ」




45 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 21:38:37.42 bb9zyXmeQ 29/47

「ああ、ここの周辺をもう一度洗ってくれ」



(これで……)

(これで完璧に諦められる……)

(私は彼を全力で有罪にしようとする……間違いなく嫌われるな)

(ああ……最後に、後悔があるとしたら)



(やはり私は、弁護士になればよかった……これだけだろうか…)




47 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 21:44:37.51 bb9zyXmeQ 30/47

「……女……」

「く、暗いよ男君!大丈夫、私がちゃんと弁護するから!」

「……検事は?」

「……お姉ちゃん、だけど。私が何とか説得して……」



「ああ、じゃあ結構厳しいかもな」



「……まあ、正直…お姉ちゃんは凄い人だから」

「まあいいさ。俺はあの人のそういうところを好きになったから」

「……え?」




48 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 21:49:42.87 bb9zyXmeQ 31/47

「好きなんだ、ずっと……まあ、気付いてないだろうし、脈も無いけど」

「………あ…」

「多分、全力で俺を潰しに来るだろうから……」

「…………」



「弁護は頼んだぞ、女。頼りにしてる」



「…………うん!頑張るよ」

(気持ちいいくらい脈無しなのは、私の方だよ……あーあ…)




49 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 21:54:25.85 bb9zyXmeQ 32/47

―法廷―



(苦しい状況だけど……諦めない……!)

「いい、異議ありっ……」



「待て、異議ありだ。苦し紛れの反論もここまで来ると痛々しい」

「……っ……」

「もう一度説明しようか。彼は犯行時刻に――」



(待って……今……)

(何か引っ掛かって……)

(そっか……!!)



「――異議あり!!!」

(やっと気付いたか………女……)




51 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 22:02:38.63 bb9zyXmeQ 33/47

(しかし、この資料……これで)

(真相とは違うものの、トドメをさす事が出来る……完璧に…)

(検事が目指すのは勝利か……それとも……真実か……?)



裁判長「検事、何か反論は?」



(私は……検事だ……)





「反論、反論は…………ありません」




53 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 22:07:35.34 bb9zyXmeQ 34/47

裁判長「被告人は――無罪」



(やった……!!)

「…………」



(私は……私は正しかったのか……?)



(彼が犯人では無い。しかし、その真実を明らかにする為に力を抜いた)



(私は……検事なのか…)

(検事として……正しいことをしたのか……?)




55 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 22:15:34.06 bb9zyXmeQ 35/47

「八百長疑惑……か」

「お姉ちゃん……」



「はは。――これは疑惑ではなく、真実だ」



「え?」

「……すまない、女。私は、もう法廷に踏みいる勇気が無い」

「………何言ってるの?」



「私は――検事を辞める」




57 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 22:22:40.69 bb9zyXmeQ 36/47

「あー、やっと自由になれた」

(バタン)

「どうした?女」

「お姉ちゃんが……」

「姉さんが……?何だ、何かあったのか?」



「検事……辞めるって……」



「!?な、何でだよ!」

「もう……勇気が無いって……」



(八百長疑惑…………。俺のせいで…?)




58 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 22:27:45.32 bb9zyXmeQ 37/47

「……姉さんは?」

「さっき……出ていっちゃった……」

「場所……場所は!?」

「携帯のGPSがある……けど…」

「貸してくれ」

「……どうするの?」

「決まってる!検事を辞めるなんて発言を撤回させるんだ!」

「……きっと、お姉ちゃんだって沢山悩んだんだよ!それで……勇気が無い、って…」



「……勇気が無いなら、俺がいくらでも分けてやる!!」

「俺は……俺は姉さんに、検事を辞めてほしくない!!!」



「………!」




60 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 22:33:46.71 bb9zyXmeQ 38/47

(検事という仕事)

(私の最初で最後の想い人)

(……全て失った)



「……涙か……何年ぶりだろう」

「……これから、どうするか…」



(いっそこの体も、心も、全て捨てるのも……いいかもしれんな…)




61 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 22:40:57.76 bb9zyXmeQ 39/47

「…………んっ!?」

「む、むぐっ、む……っ……」

(ハンカチ……薬!?しまっ……から…だ、が……)



「へ、へへ……姉ちゃん……つーかまえた……」



「……………」




62 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 22:47:08.10 bb9zyXmeQ 40/47

「………っ……ここは……」

「どうも……姉ちゃん……」

「何だお前は……ここは……っ!?」



(ギシッ!)



(動けない……縄か……)

「ふひひひひ」

「……お前………私を付けまわしていたストーカーか!?」




63 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 22:53:53.37 bb9zyXmeQ 41/47

「僕ねえ………犯人なんだ」

「…………何…?」

「八百長疑惑になった、あの事件……」

「な……何だと!?」



「姉ちゃん、検事失格だってねぇ…………慰めてあげるよ…」



「や、やめっ……!さ、触るな……ゃ…!」

「ふひ、ふひひひひ」

「ぁ……っぅ、あ……っ…!」




65 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 23:00:53.10 bb9zyXmeQ 42/47

「へへ……可愛い検事さんだなあ…」

「……はあっ…はあっ……あっ、あっあ…ん……!」

(嫌だ……嫌だ……っ!!)

(ギシギシギシッ)

「逃げたところでさぁ、誰か君を必要とするのかなぁ……?」



「………っ……!」



「だったらいいじゃない……全部忘れられるくらい…可愛がってあげるから……」

(全部……忘れられる……?)




66 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 23:05:53.34 bb9zyXmeQ 43/47

(辛いことも……悲しいことも……)

「はあっ……は……っ」

(もう、永久に告げることの出来ない想いも……)

「っ、ふぁ……っ、あぁっ……」

(この快楽に……身を投じれば……忘れられる……?)



(男君……君のことも忘れてしまうのだとするならば……)



「……私はっ、そんなの、嫌だっ……!!」




67 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 23:14:19.43 bb9zyXmeQ 44/47

「誰か……助け……っ……!!」

「誰も来ないよぉ~」

「男君……男君っ……!!」

「来る訳――」



「それが来てるんだな、これが」



「…………へ?」

「せーのぉ!!!」



(バキッ!)



「ぶへぇっ!!」

「……次は、俺にあらぬ罪を被せた分な」

「へ……?」



「ほぁちゃあ!!」



「ぐはぁぁあ!!!!」




68 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 23:21:40.08 bb9zyXmeQ 45/47

「……何で………」

「……大丈夫ですか?とりあえず、これ着て下さい」

「それより!何で……私は、私は君を……有罪にしようと……!!!」

「ちゃんと無罪になりましたよ」

「……で、でも!!」



「……少しくらい事実を曲げたって、貴女が見つけたのは真実です」



「…………」

「犯人も見つかりました。」

「あ……」

「……まだ、検事辞める気ですか?」




70 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 23:29:06.86 bb9zyXmeQ 46/47

―約一年後―



「あわわわわ……」

「相変わらず緊張してるのか?」

「ゆ、優秀な相方が居なくなったからね」



「何言ってんだ。男友と結婚しただろうに」



「うーん……まあね!能力は愛で挽回!みたいな感じ」

「はいはい……それじゃあ、俺は行くぞ」

「うん、またねー」




71 : 以下、名... - 2009/04/19(日) 23:35:40.52 bb9zyXmeQ 47/47

裁判長「弁護側」



「もも、勿論、準備完了してまする」

男友「馬鹿、落ち着け」

「おお、落ち着いてます!!」



裁判長「よろしい。……それでは、検事側は?」




「――無論、準備完了だ」




「…………」



「さあ始めよう。そして見つけようじゃないか」



「――たった一つの、真実(ハッピーエンド)を」










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