梓「しました」
純「ふーん」
梓「しましたよ」
純「そっか! やるじゃん!」
梓「純も入るよね?」
純「えっ、なんで!?」
梓「え? 入らないの!? むしろそれが何で!? 唯先輩ファンクラブだよ!?」
元スレ
梓「唯先輩ファンクラブ発足!」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1299941783/
純「だからなんで私が憂のお姉ちゃんファンクラブに入らないといけないのさ」
梓「裏切り者ぉ!」
純「え? 裏切りもなにも私はそもそも澪先輩に憧れてるし……澪先輩かっこいいよねー」
梓「唯先輩に抱きつかれたくせに! バカ純バカ純!」
純「な、なんなの……なんでそんな必死なの」
梓「だ、だって……」
憂「澪先輩のファンクラブに人数で負けたくないらしいよ」
純「あー……ってそれは無理でしょ」
梓「ひどい!」
憂「ひどい! あやまって!」
純「ご、ごめん…………」
憂「純ちゃんも入ろうよ。楽しいよ!」
純「でも……」
純(あぁー……あんまり興味ないとか言ったら怒るんだろうなぁ)
純「てかさ、ファンクラブって何するの? どうせけいおん部がいつもやってるようなお茶会でしょ?」
梓「主な活動内容は~、はい会員NO.1詠唱して!」
憂「はい会長!」
憂「我々の活動目標は、写真をとったり録音したり、スキンシップをとりながらお姉ちゃんという存在に少しでも近づくことです!」
梓「そうだねそうだね。素晴らしいね」
純「す、すとーかー集団じゃん……ひぃっ!」
梓「違うよ! 愛でてるの!」
憂「うんうん! 実に生産的なファンクラブだよ!」
梓「えへへ、憂はわかってるね~、さすがゴールド会員!」
憂「えへへ~……」
憂(ま、ほぼ無理やり入らされたんだけどね……)
―――――回想――――――
梓「憂入るよね? ファンクラブ」
憂「え? ファ、ファンクラブって…………」
梓「はいるよね? はいるでしょ!? 唯先輩のこと大好きだもんね!」
憂(うっ、なんか嬉しそう……今更そういうのにはあんまり興味ないのに……)
憂「だ、大好きだけど……」
梓「でしょ!? ほらこれ、会員証だよ! かわいいでしょ!」
憂「うん……可愛いね」
憂(この手作り感……一生懸命つくったんだろうなぁ……)
梓「憂が入ってくれたら心強いよ~」ニコニコ
憂(こ、断れない! これ断ったら絶対傷つくよ!)
梓「えへへ~」
憂「は、入ります……はいらせてください」
――――――――――――
純「で、いま会員何人いるの?」
憂(そ、それは聞いちゃだめ~!)
梓「えっ!? ええっと……その……20人くらいかな!!」
憂(水増しした! 10倍に膨れ上がってるよ!)
純「わぉ、結構いるんだ。やるじゃん。じゃあそれで頑張れば?」
梓「うぅ……」ジワ
憂(あぁ……梓ちゃんが泣きそう……!)
純「なにさその顔。だから私あんまり興味が」
憂「じゅ、純ちゃん! お昼ごはん! 今日のお昼ごはんおごってあげるから!」
純「え!? マジ!? いいの!?」
憂「う、うん! だから……お願い! お願い~!」
純「そっかーそういうことなら~、し、しかたないな~あはは。焼きそばパンでいいよ!」
憂「うん……お昼に購買いこうね……」
憂(あぁ、私のお小遣い……)
梓「よっし! 会員ゲット! 憂ナイスだよ!」
憂「ありがとうございます会長……」
憂(なんて嬉しそうな……良かった……)
梓「純には早速会員証をあげよう。はい」
純「ん、ども……えぇ~こんな微妙なデザイン……あれ? 会員NO.2って……んあ?」
梓「あっ!」
憂「ぬ、抜け番なの! ついこの間会員NO.2が諸事情でやめちゃって!」
梓「そ、そうそう!」
憂「もうっ、梓ちゃんが見栄はるから……」ボソボソ
梓「ご、ごめん……」ボソッ
憂「なんですぐバレル嘘つくの」ボソッ
梓「だってぇ……」
純「あー、まぁどうでもいいんだけどさ。コレ特典とかあんの?」
梓「もちろんあるよ!」
憂「えっ、あるんだ……それ知らなかったなぁ」
梓「まず会員特典その①」
梓「会長であるわたしを通して憧れの唯先輩とおしゃべりできちゃいます」
憂「……」
純「ふーん」
梓「その②!」
梓「唯先輩グッズをプレゼントしちゃいます」
憂「……なにを勝手に」
純「プレゼント?」
梓「ただし! このプレゼントをゲットするには!」
梓「ファンクラブポイントを集めてもらいます!!」
純「うわぁめんどくさ」
憂「ポイント?」
梓「会員証の裏をみて!」
純「あっ、スタンプカードみたいになってるんだ」
梓「30ポイントあつめたらグッズと引換だよ」
憂「あぁこれスタンプカードのつもりだったんだ……ちっちゃいカレンダーかとおもった……」
梓「ポイントの集め方は2つ!」
梓「まず1つ目は唯先輩の写真をもってくること」
梓「それを私が鑑定して得点をつけるよ!」
梓「素晴らしい唯先輩なら一気に3ポイントあげちゃう!」
純「写真をとればいいんだ? 憂は超有利じゃん」
憂「う、うん……そうだね……」
梓「2つ目の方法は、私と唯先輩のふたりきりの時間をつくり出すのにさりげなく協力すること!」
純「あんたの私腹を肥やすためのファンクラブなのはわかった」
憂「梓ちゃん……そんなにお姉ちゃんのこと……」
梓「と、とにかく! ポイントを集めて! 交換!」
純「べつにグッズいらないんだけどな~」
梓「むぐ……」
純「写真とかとるのめんどくさいし……もう一個のほうはもっとめんどくさいし」
梓「な……そ、そんなことないよ……むぐ、憂は!? 憂はグッズほしいよね!?」
憂「私もそんなに……」
梓「うそぉ!? 手作りグッズだよ!」
憂「ならなおさら……あ、ごめ……」
梓「ちょっとまってよ! それじゃあ意味ないじゃん! 私なんのために夜更かししたの!」
純「しらないって……」
憂「……夜更かしして会員証がこの出来……」
梓「うぅ……ううう!!」
憂(あ、泣いちゃう……)
純「ちょ、まった! 泣かないの! まるで私らがいじめてるみたいじゃん!」
梓「ううああああ!! にゃああ!!」
憂「わ、わかった! 写真とってくるよ!」
純「ちょっと憂、あんたここで梓甘やかしたらどんどんつけあがるよ」ボソボソ
憂「で、でも……」
梓「うにゃあぁぁぁっぁ……唯先輩……唯先輩……」
梓「うぇぇぇん……せっかく、せっかくつくったのに……唯先輩……」
純「……」
憂「純ちゃん……私たち、大人にならなきゃ」
純「うん……少しくらいなら付き合ってあげよっか……」
梓「え!? ほんと!?」
純「なにケロっとしてんの」
憂「と、とりあえず明日家にある写真もってきてあげるよ」
梓「わー! ほんと!? ありがと!」
純「でさ、グッズってどんなの? みせてよ」
梓「それはポイントあつめてからのお楽しみ!」
翌日
梓「唯先輩可愛いよぉおお。憂ありがとー」
純「……もうかれこれ1時間もながめてるけど……」
憂「……それ一昨年くらいのかな」
梓「にゃああもうこの写真とか最高! えへへっへへ」
憂「うん。私もそれ結構好き」
梓「にひ、ニヤケ顔がおさまらないよ」
純「…………そうなんだ、じゃあ私ジャズ研いくね」
梓「ストップ!」
純「あーもう何よ! あんたのニヤケ面みてたら無性に腹立つんですけど!」
梓「この写真」スッ
純「ええい! その写真がどうした!」
梓「写真……コレ見て、これ……うふ、うへへ、えへへへへへっ」
純「……まぁ、可愛い寝顔だと思うよ……たぶん。涎の跡とか……」
梓「でしょ!? でしょおお!? 可愛いなあああ唯先輩っ」
純「梓のツボがわからない……」
梓「ふにゃあ! この半目のとかすごいね! 劇的瞬間を捉えられた唯先輩だね! ふふふ」
憂(こんなボツ写真で喜んでもらえるとは思わなかった……)
梓「ねぇ純! 他にもみる!? みるでしょ!?」
純(き、きもぉ……なにこのテンション、普段と全然違うじゃん)
純「別に特別見たいわけじゃないけど……」
梓「え? ……え? それ本気? 唯先輩写真を見たくないって本気?」
純「だ、だってそもそもそんなに興味ないし……」
梓「うそ、ファンクラブ会員としてありえないよ。純って変わってるね。もう部活行っていいよ」
梓「あーもっと写真ほしいよおお! 家中の棚を唯先輩アルバムで埋め尽くしたいいい!!」
憂「ま、またもってくるから……今日はそれで我慢して……」
純「じゃ、じゃあ会長……お大事に……」
梓「ああぁあ! 唯先輩唯先輩!」
憂「それで梓ちゃん。ポイントとやらは……」
梓「あ! 忘れてた!」
憂「……」
梓「じゃあ今日もってきてくれた写真をポイントに換算しまーす」
憂「お願いします」
梓「その前にもう一度鑑賞。んー、これは良い、これもいい。おぉやっぱこれもいい!」
梓「被写体がいいとカメラマンの腕どうであれやっぱブレないな~、さすが唯先輩!」
梓「いや、でもこの写真は……うふふ、うふふっへへへ」
梓「唯先輩……唯先輩……はぁ……にゃふ」
憂「早くして……この後夕飯のお買い物するから……」
梓「待ってね。あ、会員証だして」
憂「うん」
梓「じゃあスタンプ押しときまーす」
|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|
梓「はい5つでーす! おめでとー!」
憂「えっ!? なにこの変なスタンプ」
梓「猫だよ?」
憂「猫……あぁ、そっか」
梓「私は唯先輩のあずにゃんだからね」
憂「そ、そうだね……」
梓「じゃあ私そろそろけいおん部いこっと」
憂「悠長にこんなことしててよかったの?」
梓「いいの。今日は三年生のほうが遅い日だから」
憂「じゃあね。がんばってね会長」
梓「うん! 憂もがんばって写真とりまくってね!」
憂「わかったよ。家ではなるべく自然なお姉ちゃんを撮してみる」
梓「じゃあ私はラブラブツーショットでも撮っちゃおうかな、なんてね! えへへ」
部室
梓「皆さんもっと練習しましょうよ!」
律「へいへーい」
紬「でも今日はけっこういい感じじゃなかった?」
澪「うん。いまの演奏で90点くらいかな。梓もいい感じだった」
梓「だめですよ! ライブも近いんですし、しっかりしてください」
唯「えへぇ~あずにゃんは努力家だねぇ~」
梓「そうやってだらだらしてるから本番で急に飛んだりするんです!」
梓(こい……抱きついてこい……!! いつもどおり!!)
唯「もー怒っちゃってー、もーあずにゃんはー」
梓「唯先輩はいくらなんでもやる気なさすぎです!」
梓(こうやって個人的に煽っておくと……むふふ)
唯「えー、でもうまくいったじゃーん」
梓「きょ、今日はうまくいっても明日はわかりません」
梓(あと少しかな……)
唯「だって今日はもう疲れたよー」
梓「お茶のんで数回合わせただけじゃないですか! なんでそれだけで疲れるんですか」
唯「むぅ…………あ! そうだ!」
梓「はい?」
唯「体力補給~」ギュウウ
梓「んにゃ~」
梓(きたぁ! やった! ん~いい匂いふわふわあったか唯先輩!)
梓「んふぅー……」
唯「ぎゅー」
梓「あぁ……くるひっ、にゃっ!? おかしくなっちゃいます……」
唯「あずにゃ~ん」
梓「うへ、うへへへ……にへ」
梓(もー! 離してください! さっさと練習しますよ!!)
唯「なんか息荒いね?」
梓「にゃふー……あったかーい」
梓(ほら、暑いんで! 時間ももうあんまりないですよ!)
唯「あったかいよねー」
梓「にゃー……いい気持ち」
唯「だよねー」
梓(……あれ?)
唯「あずにゃんもあったかあったか大好きだねー」
梓「唯先輩の抱っこ大好きですー」
梓(なっ! 口がいうこと聞かない!?)
唯「おぉ。今日は素直だねぇー。えへへー、あずにゃんぎゅーっ」
梓「んぅー唯先輩もっとぉー」
梓(うわああ! 恥ずかしいいいい!)
唯「甘えんぼあずにゃんも可愛い~」
澪「お、おい! いつまでやってるんだ」
律「梓もあれだけ言っときながらなんで抵抗してないんだよ!!」
紬「梓ちゃん猫さんみたいね」
梓「えへへへー」
梓(これじゃ私がおねだりしてるみたいだよ……)
唯「あずにゃんすりすりー」
梓「にゃあぁん」
梓(うぅ、そっか……私、唯先輩に夢中になると本当の自分が隠せないんだ……)
唯「さぁて! 補給完了~♪」
梓「えっ、もう!?」
唯「ん?」
梓「ま、まだ……もうちょっと」
梓(おかしい! こんなの私じゃないいいい!)
唯「えーあずにゃん寒がりー」ギュウウ
梓「ふにゃん……あったかー……」
梓(あったかーじゃなくて!)
唯「なーんか最近あずにゃん変わったよねー」
律「だんだん唯に毒されてきたか」
澪「梓ぁ……練習するんじゃなかったのか……?」
梓(ふぅー、なんだかなー)
唯「えへぇ~♪ うりうりー」
梓「にゃあん♪ 唯先輩ったらぁ、やめてくださぁい♪」
梓(ま、いっか……幸せだし!)
また翌日
梓「あのね……私のおきにいりの唯先輩の写真がね……」
梓「……でね……が………………かわいくてね……」
梓「たまらないね……くう…………さらに……もう……」
梓「すごすぎ…………で……そうおもうでしょ……」
梓「どうして………… すき…………はー!」
梓「…………だきしめて……ねるときも……まくらのした」
梓「……でしょ…………すばらしい……!」
梓……うつくし………………あれ! もうこんな時間だ!」
梓「ちょっとしゃべりすぎたね」
梓「私の写真の自慢をおとなしくきいてくれたお礼に ……これは気持ちだよ!」
憂「あ、ありがとう……」
純「よくわからない人形を手に入れたんだけど」
梓「私の手編み唯先輩人形だよ!」
純「なんかコレ呪われそうな顔してるね」
憂「こらぁっ! 純ちゃん!」
純「ご、ごめっ! 無神経でした!」
梓「……天使の笑顔」
憂「そ、そうだよね! かわいいよね! 梓ちゃん編み物も上手なんだね」
純「たしかにうまくけど、そもそものセンスが……」
憂「こらぁっ!」
梓「いいもん! これからどんどんうまくなるから!」
梓「だから会員のみんなは今後のグッズを楽しみにしててね!」
純「えぇ……もっと役に立つものがほしいなぁ……」
憂「純ちゃんは現物主義だね」
梓「これもすごく役に立つよ!」
純「何に使うのさ」
梓「…………にゃふ」
憂「……」
純「でもポイント得点はもっとすごいものなんでしょ?」
梓「うん! それはもう!」
憂「た、たのしみだなー!」
純「お金?」
梓「お金には変えられない素敵なものだよ……」ウットリ
憂「そんなすごいものをよく手放す気になれるね」
梓「うふふ、だから二人ともせっせとポイント集めにいそしんでね」
純「あ、そういや来るときちょこっと唯先輩の写真とってきたよ」
梓「えっ! 見せて!」
純「ん、携帯だけど。ほら」
梓「お、おぉお……なんて眠たそうな顔!! これは……すごい良い! 画質がおしいけど良い!」
憂「わ、私も持ってきた! 梓ちゃんが気に入りそうなの!」
純「あ、何対抗意識燃やしてんのさ」
憂「えへへ、なんだか面白くなってきて」
梓「みせてみせて! みせてみな!」
梓「うわぁ! どれもこれも……うわぁああ一軍メモリアルアルバムにふさわしいのばっか!!」
純「……」
憂「い、いちぐん……なに?」
梓「なにこれ! んんっ! ふにゃあ!」
憂「ちょ、ちょっと、何興奮してるの……」
純「憂、あんた一体どんな写真もってきたの?」
憂「ふ、ふつうにだらだらしてるとこをおさめた物だけど……」
純「いつもの光景だけでこのはしゃぎよう……」
梓「このシャツの馬鹿げた文字が唯先輩の可愛さに磨きをかけてるよね。さすが最高のセンスの持ち主」
梓「私も今度買ってみよう」
梓「あ、会員の指定服をこれにしようかな……あ、いいかもそれ……うふふ」
純「絶対そんなの着ないから」
憂「私もあのシャツはちょっと……」
梓「うーん、でも私が真にもとめる写真はないなぁ……」
憂「え、求める写真? どんなの?」
梓「え? 聞きたい? あーでもどうしよっかなー」
純「言いたそうだから聴いてあげていいよ」
梓「これ言っちゃうとポイント集めが楽になるしなー」
憂「教えて教えて!」
憂(早くポイント集めきって解放されたい……)
梓「そう、私が真に求める唯先輩写真。それは!」
梓「とってもカッコイイ唯先輩なんだよ!」
純「また難しいものを……」
憂「難易度Sだね」
梓「うん……滅多に見せない唯先輩の真面目でクールな一面。それを私は切り取りたい」
梓「そして写真立てに入れてにゃふふ、ずっと朝も昼も夜も眺めにゃふふふっ」
梓「えへへっ、かっこいい唯先輩は私のこときっと『梓』ってよぶんだよえへへへ」
梓「それでしなやかな指で私の顎をクイっとあげて、えへっ、えへへ」
梓「そのまま……そのまま……あぁぁん、だめですよぉ唯先ぱぁい!」
憂「……帰ろっか純ちゃん」
純「梓、もしそのカッコイイ唯先輩の写真とやらを撮ってきたら」
梓「うんうん! スタンプ好きなだけ押してあげる!」
憂「!」
憂(かっこいいお姉ちゃんを撮れば解放!)
純「へぇ……じゃあちょっと張り付いて……って唯先輩がかっこいい顔するわけないじゃん。あほくさー」
梓「……するもん」
憂「……するもん」
純「なにその顔」
梓「純はわかってないね」
憂「ほんとだよ。お姉ちゃんだってたまにはビシっと……キリっとクールに……あれ?」
梓「どったの?」
憂(これほんとに難しいかも……)
梓「とにかく、自然にかっこいい唯先輩だからね! 頼み込んで表情作ってもらうなんてなしだからね!」
梓「あと唯先輩と話す際は私をとおして」
憂「どっちみちお姉ちゃん演技なんて出来ないよ」
純「私はもう諦めた。地道にポイントあつめる」
梓「むぐ……ま、まぁそれもありかもね」
純(てかめんどくさいし……毎朝パシャっととらせてもらえばそれで終わるし……)
憂「私はスーパーショット頑張ってみるよ。もちろん普通の写真ももってくるけど」
梓「期待してるよ。じゃあ二人とも今日の分ポイントつけるね」
純「あ、そっか。もう一気に10ポイントくらいよこしなって」
憂「どきどき」
梓「ふむぅ~、純のはたしかに良い写真なんだけど。なにより画質がねー、手ぶれもダメダメ」
純「き、厳しいんだ。もっと絶賛するかと……」
憂「意外とね……マニアってそういうものらしいよ」
梓「うーん、まぁ~、おまけにおまけして1ポイントかなー、てかもっと撮ろうよ」
純「つ、次は頑張ります」
憂「どんまい純ちゃん!」
梓「で、次は憂ね」
純「憂はいいよねー撮り放題だし」
憂「これが環境の差ってやつだよ」
梓「ふにゃー可愛い~、にゃふ~ん」
憂「どうでしょうか会長」
純「これさっきも見たじゃん!」
梓「はにゃー……いいなー、これいいなー」
梓「あぁ、こっちも可愛い。ちゅっちゅ~」
純「しゃ、写真にキスしてる……」
梓「キス鑑定もしらないの?」
憂「……」
梓「キスしたときの幸福度で価値がきまるんだよ!」
梓「よってこの写真は単体で3ポイントはかたいね」
梓「さすが私の一軍候補だよ。」イソイソ
憂「こら、返しなさい。それ私にとっても結構大事な写真なんだけど」
梓「か、かえすっていうか! これはファンクラブ全体の財産だよ!」
梓「だから会長の私が責任をもって……」ゴソゴソ
純「がめついなー」
憂「……」
梓「と、とりあえずポイント換算!」
梓「……10個スタンプ押しときまーす!」
|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|
|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=| | | | | |
| | | | | | | | | | |GOAL
憂「またこのスタンプ……」
純「すごっ! もう半分きてるじゃん!」
梓「憂は熱心なファンだからね」
憂「ま、まぁそういうことにしていて……」
梓「えへへ、明日が楽しみだなぁ」
憂(これ、よく考えなくても梓ちゃんしか得してない……)
夜
憂「うーん、どうしよ」
憂「カッコイイお姉ちゃんなんて……」
唯「ういういー、どうしたの?」
憂「あ、うん。ちょっとね」
唯「あ、そうだ。きいて憂ー。最近あずにゃんがねー」
憂「梓ちゃん?」
唯「素直になったんだよー私になついてるんだよーあのツンツンなあずにゃんがだよーすごいよー!」
憂(懐いてるっていうかもう……狂信者だよお姉ちゃん)
唯「ごろごろーってしてあげたら喜ぶの!」
憂「そうなんだ」
憂(お姉ちゃん梓ちゃんのこと好きなのかな……好きだよね?)
唯「なにか考え事ー?」
憂「……ねぇ、お姉ちゃんは梓ちゃんのこと好き?」
唯「え? うん! 大好きだよー!」
憂「そっかぁ」
唯「え? 憂もあずにゃんのこと大好きだよね?」
憂「う、うん……」
唯「喧嘩でもしたの?」
憂「違うよ、ただ……」
憂(お姉ちゃんの言う好きと梓ちゃんの好きは違うかもしれない……)
憂(あれ、そういえば梓ちゃんの口から好きって言葉はきいてないなぁ)
唯「ういー?」
憂「ううん、なんでもないよ」
憂(ファンクラブのことは一応梓ちゃんにきいてから伝えよう)
唯「変な憂ー。あ、お腹すいた」
憂「うん! 待っててね!」
憂(はぁ……今晩も写真選びしなきゃ……)
数日後
梓「……むむっ!」
純「会長の目付きが変わった!」
憂「こ、これはどうですか!」
梓「すごい! 笑顔のパワーが溢れてる!」
梓「これ一枚でみんなの心にお天道様がのぼるね」
純「たしかにこの笑顔はえぐいね。瞬殺だよ」
梓「でしょ!」
純「憂のお姉ちゃんは誰に対しても笑顔なんだよ!」
純「そういうことができるのってほんとに心の底からぽかぽかな人だけだよね!」
憂(だんだん毒されてきてる……)
梓「じゃあそういう純の今日の成果は?」
純「じゃじゃん! 今日はデジカメもってきましたー! これでパチリといただいたよ」
梓「楽しみ! はやく見せて!」
純「まずこのおはようの先輩」
梓「むふっ! 今日も輝いてるなぁ唯先輩」
憂「朝御飯に好物たべるとこんな感じなんだよ」
純「そして休み時間に寝ている先輩!」
梓「ふにゃああ! 私の好きな寝顔だ! どうやってとったの!?」
純「他の先輩に頼んでみました!」
梓「さすがの行動力!」
憂「純ちゃんポイント稼ぎ必死だね」
純「そりゃあグッズとやらが気になるからね。気になって授業が身に入らない!」
憂「グッズは私が先にもらうから!」
純「負けないし!」
梓「純がその日その日の唯先輩を撮って、憂が唯先輩の過去の写真を持ってくる」
梓「私の布陣に死角なしだね。うんうん」
純「さぁ梓会長。ポイントを!」
憂「私も私も!」
梓「おっけーおっけー待ちなさい」
純「どきどき」
憂「どきどき」
梓「さて、会員No,2 あとちょっとだよ頑張れ」
純「!」
|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|
|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|
|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=| | | | | | | |GOAL
憂「むぐ……純ちゃんここ最近追い上げてきたね」
純「ふふん。どんなもんよ」
梓「すごく頑張ってる。いいよ純。もっと頑張れ」
純「あと7ポイントか! 明日明後日で集まりそうだ」
憂「明日が勝負……いや、私は今日で終わらせて見せるよ!」
梓「憂の番ね」
憂「会長! この写真、実はとても撮るのが困難で希少でだから」
純「あっ、ずっるー」
梓「まぁまぁ。言わなくても私は全てわかってるから。ふむふむ、にゃふふ、にゃふ」
憂「お願い……高得点……!」
梓「~♪」ポンポン ポンポン
純「すごい押してる……」
憂「きた!」
梓「はい。おつかれ」
|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|
|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|
|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=|=゜w゜=| | |GOAL
憂「うぁー! あとちょっと~!」
純「あぁ惜っしー……って私にしたらラッキーか。あはは」
憂「これで明日……!!」
純「やばっ、私明日だけで7ポイントも稼げるかな」
憂「家にはとっておきのあの一枚があるから……うふふ」
梓「ねぇねぇ、競わなくてもグッズはたくさんあるよ?」
純「ちがうんだって! ほらサプライズ性ってのがあるでしょ」
梓「?」
純「後からもらうほうはつまんないじゃん! 景品全部一緒なんでしょ?」
梓「あぁなるほどね。たしかに一緒」
憂「また手作り?」
梓「かもね」
純「このあいだの手作りストラップはよかったよねー。私ほら、携帯につけてるよ」
憂「私は下敷きがきにいってるかな。ちゃんと実用的だし」
梓「ふふ、ようやく私のグッズの素晴らしさがわかったんだ」
純「あの最初は怖かった人形もいまじゃお気に入りだし」
憂「わかるわかるー、なんか癖になるんだよねっ」
唯「へぇー、そんなのもらえるんだー」ヒョコッ
梓「うにゃ!?」
純「うわっ!」
憂「お姉ちゃん!」
唯「ん? どうしておどろいてるの?」
梓「こ、これはですね……あわわ」
唯「あずにゃんの手作りストラップ? みせてー!」
梓「あっ……その」
純「はい、どうぞ。結構可愛いですよねー」
唯「わー、なんだろこれ、犬? えへへ、可愛いなー」
梓「あぅ……犬じゃないです……」
唯「あずにゃん私もほしいー! ちょうだい?」
梓「へっ!?」
純「あっ、だめですよ! これは会員特典ですから!」
憂「ちょ、ちょっと純ちゃん……」
唯「会員~?」
梓「あぅあうあうあう」
憂「こ、これはねっ! そのっ!?」
純「あ、言っちゃだめだった……」
唯「かいいん~?」
梓「あのっ、ふにゃあどうしよ」
憂「えっと、えっと! あっ、あずにゃんファンクラブなの!」
唯「ほえっ!?」
梓「え"ぇ!?」
憂「梓ちゃんことあずにゃんを愛でる会っていうかなんていうか」
唯「そ、そんな……」
梓「いや、違……」
唯「そんなすばらしいファンクラブがあったなんて!」
唯「もーはやくおしえてよねーぷんぷん」
純「……」
憂「ま、まずは試験的に身近な私たちからって……」
梓「……」
唯「え~、じゃあ私会長~」
梓「にゃっ!?」
唯「あずにゃんを好きな気持ちは誰にも負けないよ~? ねーあずにゃん」ギュー
梓「ふみゃあああっ! な、なんでこんなことに」
憂「あ、それとっ! い、いまならあこがれの梓ちゃんからプレゼントがもらえます!」
唯「えっ、ほんとに!? わーい! 私もほしいー」
梓「えっ!? 用意してないっ!」
純「……あ! あるじゃん! アレが! とっておき!」
憂「うんうん。ほら、もうアレあげちゃいなって。ちょっと悔しいけど」
梓「アレ!? あ、アレ!? 30ぽいんと!? で、でもでもっ!」
唯「ほしいよー。あずにゃんのプレゼントほしいよー」
梓「うにゃあっ……」
唯「ねーちょうだーい。絶対大事にするからー。一生大事にするよー」
梓「うぇ!? だ、大事に……うぅ」
憂「なに照れてるの?」
純「もしかして微妙な出来だったり……」
唯「ねー、はやくー」
梓「わ、わかりました! ですがその前にお尋ねしたいことがあります」
唯「はい! なんでしょうかあずにゃん様!」
梓「ゆ、唯先輩はほんとのほんとに私のことが好きなんですか!」
純「ズバっといったね」
憂「……が、がんばれ梓ちゃん!」
唯「うん! 好きだよー!」
梓「な、ならコレをどうぞ!」ゴソゴソ
純「つ、ついに景品の全貌があきらかに!」
憂「どきどき」
梓「うけとってください!」スッ
唯「おぉ! これは!!」
唯「……なにこの紙」
梓「あ、あけていいですよ……///」
唯「なになにー、結婚式……招待状? えー、なにこれ」
純「……」
憂「……」
梓「……にゃふっ」
唯「ええええ!!? あずにゃん結婚しちゃうのー!?」
梓「…………あっ! ちっ、違っ、そうじゃなくてっ」
唯「そんなぁ……あずにゃんが結婚するなんて、しくしく」
唯「でも悲しいけど泣いちゃだめだよね。おめでとう……おめでとうあずにゃん」
梓「にゃあああ違いますうううう」
純「……あーあ」
憂「ややこしいことになりそうだけど私たちのせいじゃないよね」
純「うん……帰ろっか」
憂「てか普通につまんない物だったね。なんのために頑張ったんだろう」
唯「うえーん、あずにゃんが結婚しちゃうー……」
梓「あの、結婚はその、唯先輩が思ってるのとは違うくて」
唯「じゃあこの紙はなんなのー……うえーん」
唯「ファンクラブに入ったとたんこんな知らせ……ひどいよー」
梓「け、結婚はしますけど」
唯「うわーんやっぱり結婚するんじゃんー!!!」
梓「だーかーらー! 唯先輩がおもってるのとは違いますってばあああああ」
唯「じゃあなんだっていうの!? てか誰と結婚するの!」
梓「そ、それはっ! その……あの」
唯「ほら、どうせ式までのお楽しみとかいうんでしょ!」
梓「……うぅ、誤解なんです。これはちょっとした手違いで……」
唯「でもあずにゃんが選んだ人なんだもん……きっと素敵な人だよね」
梓「はい、素敵な人なんです……」
唯「会ってみたいな……私のあずにゃんをよろしくって言わないと」
梓「あ、会ってみますか……?」
唯「うん……怖いけどあってみるよ……」
唯「……あ、だめ。でもなんだろう、涙がとまらない……」
梓「……唯先輩」
唯「おかしいな……あずにゃんが幸せになるのに……なんでこんなに悲しいんだろう」
唯「お祝いしなきゃ……もっとおめでとうっていわなきゃだめなのに」
梓「……唯先輩。ちょっと目つぶっててください」
梓「いま……つれてきますんで」
唯「う、うん……近くにいるんだね」
梓「……あ、つぶりました?」ゴソゴソ
唯「うん……」
梓「じゃあ、開けていいですよ」
唯「む、むり……怖いの……こわいもん!」
唯「あずにゃんが結婚しちゃう! 私そんなの……そんなの!」
梓「大丈夫……とっても素敵な人ですから」
唯「……ぅん」パチ
唯「あっ……あれ? だれもいない」
唯「ん? アルバム?」
梓「えへへ……さすがにつれてくるのは無理なので」
唯「あ、その人の写真……みせてくれるんだ」
梓「はい……」
唯「こ、怖いなぁ……」
梓「とっても表情豊かで、可愛い人ですよ」
唯「……うぅ」
唯「……あずにゃん。結婚おめでとっ!」ペラッ
唯「…………あっ」
唯「こ、これっ……」
梓「……私の、一軍メモリアルアルバムです!」
唯「……あうっ、あぅ……」
梓「可愛くて優しくてあったかくてふわふわで。とっても素敵な人でしょ?」
唯「……ま、まって」
唯「私、頭、わ、わけわかんなくて……」
梓「……唯先輩は言いましたよね?」
唯「えっ?」
梓「私のこと大好きだって」
唯「い、言ったけど……あぅ、それは……」
梓「ふふ、前言撤回しますか?」
唯「し、しないよ! あずにゃん大好きだもん! ほんとのほんと!」
梓「私も大好きですよ」
唯「で、でもでも結婚は……まだ……その……」
梓「一生大事にする、とも言いましたよね?」
唯「え? ……あっ」
梓「撤回しますか?」
唯「うぅ……あずにゃんいじわるだよぉ」
梓「いじわるなんかじゃありません! 私は誰よりも唯先輩のことを大事におもってるんです」
梓「だって、私は唯先輩ファンクラブの会長ですから!」
唯「じゃ、じゃあ私もそう! あずにゃんファンクラブの会長だもん!」
梓「唯先輩ファンクラブのほうが歴史が長いのできっと私のほうが好きな気持ちは負けてませんね」
唯「そんなことないもん!」
梓「じゃあこのアルバムに勝る証拠をだしてください!」
唯「しょ、証拠……」
梓「ほら、無理でしょ? えへへ、私の勝ちですね」
唯「証拠、えっと、えっと」
唯「えいっ!」
ギュウ
梓「にゃっ」
唯「あずにゃん……」
唯「あずにゃん……好き……」
唯「これがほんとの好きって気持ちなんだね……」
梓「にゃ、なに真面目な顔して……」
唯「あずにゃんが結婚するって言ったとき、すごく怖かったよ」
唯「でもそのときようやく気づいたんだ」
唯「私の好きはずっと恋だったんだね」
梓「……唯先輩」
唯「いまは、ただただ嬉しいよ……信じられないくらい心があったかいの」
梓「……あったか」
唯「いいんだよね? この気持ちは間違ってないよね?」
梓「はい……嬉しいです……私のあこがれの唯先輩にこんなにおもってもらえるなんて」
唯「ふふ……あずにゃん抱っこするのきもちい」
梓「あの……これからもずっと抱っこしてくれますか?」
唯「うん……もちろん!」
梓「えへへ。あっ、ところで唯先輩」
唯「ふえ?」
梓「ちょっと写真とらせてください」
唯「どうして?」
梓「難易度Sがそこにあるので」
唯「?」
梓「はい一緒に撮りますね~。チーズ♪」
パシャリ
――私、唯先輩という存在にまた少し近づけたかな。えへへ、唯先輩ファンクラブ最高!
お し ま い