1 : 名無しさ... - 2014/03/08 01:03:46 VwdZO7MWl 1/29

ロボ「えーあいとは?」

4 : 名無しさ... - 2014/03/08 01:08:40 VwdZO7MWl 2/29

ロボ「こんにちは」

「おう」

ロボ「今日は一段と冷え込みますね」

「そうだな」

ロボ「もう三月で春も近いというのに雪が降るんですよ」

「こう言うのを名残雪って言うのかもな」

ロボ「情緒ですね」

8 : 名無しさ... - 2014/03/08 01:12:51 h3F089HZs 3/29

「情緒か」

ロボ「風情とも言うかもしれませんね」

「正直なところ俺にも分からないんだが」

ロボ「日本人独特の感性じゃないですか。趣とかそういうのですよ」

「お前は変わったやつだな」

ロボ「男さんがひねくれているのでは?」

11 : 名無しさ... - 2014/03/08 01:21:32 0QOvOhFJ0 4/29

ロボ「私、意外と温かいんですよ」

「は?」

ロボ「この身体、あまり熱効率が良い設計になってないので」

「悪かったな。その辺は専門外なんだよ」

ロボ「お陰でほら」テヲギュッ

「……」

ロボ「……人肌ですよ」

「真顔で言われても」

13 : 名無しさ... - 2014/03/08 01:30:37 Y43Rrvts9 5/29

ロボ「やっぱり男さんひねくれてません?」

「……そうかもな」

ロボ「今のは何となくお互い向き合って場合によっては雰囲気に流されちゃったりするところのはずでした」

「そういうもんか?」

ロボ「あとですね」

ロボ「この顔の表情パターン二、三個しか用意しなかったのは男さんです」

「だからボディに関しては専門外で……」

ロボ「じゃあ真顔に関してとやかく言うのはなしです」

「わかったよ」

15 : 名無しさ... - 2014/03/08 01:41:07 DsKT1T916 6/29

ロボ「表情が少ないって結構苦労するんです」

「その辺はまた勉強しとく」

ロボ「でもこの顔、本当に見た目だけは良いですね」ジブンノカオヲプニブニ

ロボ「自分で言うのもなんですけど、超絶可憐じゃないですか?」

「あ、あんまり弄ると繊維が傷つくかもだからやめとけって……」

ロボ「そんなに脆い素材じゃないですよねこの人工皮膚」

「いや、まぁそうだけどな」

16 : 名無しさ... - 2014/03/08 01:45:09 DsKT1T916 7/29

ロボ「……男さん、こう言うのが好みなんですか?」

「……あー」

ロボ「生返事しないでくださいよ」

「いや、なんつーか」

「ううん…」

「まぁその、なんだ。」

「…………そうだよ。」

ロボ「……」

ロボ「…………」

ロボ「……………………」




「いや、真顔で静止されても」

18 : 名無しさ... - 2014/03/08 01:54:21 h3F089HZs 8/29

ロボ「男さん。空見てください」

「あぁ?…………なんだよ曇ってるだけだぞ」

ロボ「眼球もひねくれてるんですか、雪ですよ」

「近視で乱視なんだよ悪かったな、それにロボのお前と比べられても困るわ」

「おお、確かに少し降ってるな」

ロボ「向こうの方はまだ晴れてます、降り始めたばかりですかね」

「そうかもな」

ロボ「……きれい」

「……」

19 : 名無しさ... - 2014/03/08 02:03:48 TMbojKHgA 9/29

ロボ「お茶をいれました」

「さんきゅー」

ロボ「調べものですか、また」

「あー、そうだな」

ロボ「煎茶を片手に専門書を漁ると言うのも不思議な光景ですね」

「なにか変なところあるか?」

ロボ「いやー、数学者とかならコーヒー片手に素数と対話してそうじゃないですか」

「偏見だろ……それに俺数学者じゃないしなぁ」

ロボ「古びたラボのマッドサイエンティストなら度のキツいアルコールとか」

「映画の見すぎだ」

ロボ「あとドクペとか」

「アニメも程ほどにな」

20 : 名無しさ... - 2014/03/08 02:12:44 TMbojKHgA 10/29

「コーヒーも良いけど、煎茶がベストなんだよ」

ロボ「その心は?」

「実はコーヒーより煎茶の方がカフェイン含有量は多い」

ロボ「聞いたことはありますね」

「あとみずみずしい香りな」

ロボ「新茶はちょっと青臭い気もしますけどね」

「コーヒーは常飲すると口臭の原因になる」

ロボ「それは煎茶も似たようなものじゃないですか?」

「あー、それはそうかも?」

「……ずずず」

ロボ「……ずずず」

ロボ「はあ……おいし」

「……」

21 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 02:25:58 Rd3rR4bdR 11/29

ロボ「…………」

ロボ「……」

ロボ「」



「どうしたよお前じっとして」

ロボ「…………」

「なんだよ」

ロボ「……練習です」

「練習?なんの」

ロボ「それは…………」

ロボ「……」ジーー

「……?」

ロボ「(やっぱり出来てないみたいだ)」

ロボ「はぁ」

「なんだよその溜め息」

ロボ「……何でもないですよ、別に」

22 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 09:23:06 79BIk0O57 12/29

ロボ「おはようございます」

「お早く起きてから言え」

ロボ「その日最初の挨拶がおはようなんですよ」

「屁理屈を言うな」

ロボ「そういう男さんも今起きたんでしょう」

「そうなんだけどな」

ロボ「ほら、顔を洗ってください。ご飯の時間です」

24 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 09:37:55 YiYalhcFP 13/29

ロボ「男さん」

「なんだ?」

ロボ「手が」キュルキュル

「あー……」

ロボ「今朝型からこんな具合で」キュイュイ

「グリス差しとかないとな」

「ちょっとこっちきてみ」クイッ

ロボ「……」

「……」カチャカチャ

ロボ「…………」

ロボ「…………」

25 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 09:44:03 Seir62B0q 14/29

ロボ「……」

ロボ「…………」

「ほれ」キュッキュッ

ロボ「音しなくなりました」

「うむ。よかったよかった」

ロボ「こうしていると私思うんです」

「ん?」

ロボ「私、ロボットだったんだなって」

ロボ「普段は忘れちゃってるんです、自分がロボットだって言うことを」

「……」

26 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 09:57:54 k3asCS0Mn 15/29

ロボ「男さん」

「なんだ?まだどこか異常が……」

ロボ「……」ピト

「…………」

ロボ「……」

「なんだ」

ロボ「……」

ロボ「……少し、不安になりました」

「そうかよ」

ロボ「はい」

27 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 10:09:15 0QOvOhFJ0 16/29

ロボ「えーあい」

「?」

ロボ「私は、ロボットです」

「まあな」

ロボ「男さんが作り出した自立学習型の高度なAIシステムが持つルーチンは所謂人間の『思考』と同等の能力を持っています」

ロボ「人間独特の曖昧さとか不安定性まで再現する人工知能の究極系です、これ、凄いことです。」

ロボ「もちろん私にも搭載されています」

「どうしたんだよ急に」

ロボ「私は……」

ロボ「私はAIです。この頭の中には脳みその代わりに基盤が入っています」

「……」

28 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 10:22:21 YUp15ft15 17/29

ロボ「古くさい例えですけど、究極的には0と1で全てが決められるような存在です」

ロボ「私が見ている世界は、眼球型のメインカメラが得た情報をCPUが解析した世界です」

ロボ「私が感じる味も同じようなことです。音も匂いも五感全て」

「…………」

ロボ「記憶だって、メモリに焼き付いた情報をAIが処理して拾ってきているものです」

ロボ「たまに曖昧な記憶も有りますけど、それだってAIがきちんと働いた結果曖昧にされているに過ぎないです」

ロボ「私の好みも、嫌いなものも、全部がAIの自立学習の賜物で……」

「…………」

ロボ「男さん。私は、私はどこに居るんでしょうか」

29 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 10:33:56 81eWBfrZd 18/29

ロボ「五感の受容も記憶の取り出しも考えること自体も全てAIがやっていて……」

ロボ「私は、操られているだけのような、まるで私がどこにも居ないような……」

ロボ「……」

ロボ「…………」

「あんまり、悲しそうな顔をするな」スッ

ロボ「……え?」

「お前の顔だよ」ピト

「今にも泣きそうな顔だ」

30 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 10:49:07 rxzqLRBNT 19/29

「AIに操られているって言うのはすこし違うな」

ロボ「…………」

「お前はちゃんと独立した思考を持ってるだろ」

ロボ「でも、それはAIが選択した結果で……」

「でも、今までお前と全く同じ思考パターンの個体と出会ったことがあるか?」

ロボ「……」

「お前に搭載されているAIはまだ新しい技術だけど、導入された個体は今のところひとつとして同じ思考パターンを持っていないんだ」

「それはつまり、人間の言葉で言うなら個性みたいなもんだ」

ロボ「……個性」

「若干陳腐な言葉だけどな」

31 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 11:08:12 rxzqLRBNT 20/29

「人間は自分のことを客観的視点で観察することが出来たりする」

「人間の悪いクセでもある」

「だから人間は自分自身を操る見えない力を運命だと信じたり、神様とか作ったりもしたんだがな」

ロボ「……」

「お前は自分とAIとを切り離して考えすぎだ」

「AIが搭載されていようと、お前はお前だ」

ロボ「でも、それではやはりAIに操られているのと相違ありません」

「いんや」

「AIが選択した文字通り無限のパターンの中の、たったひとつの答えがお前だからだ」



ロボ「……」

ロボ「…………」

ロボ「………………」

「いや、真顔で黙られても」

32 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 11:14:48 rxzqLRBNT 21/29

ロボ「…………」

ロボ「…………」

「どうした」

ロボ「いや、結局あんまり説得になってないなと」

「ぐぬ」

ロボ「でも」

ロボ「すこしだけ、どきっとしました」

「そ、そうか」

ロボ「一生懸命良いこと言おうとしてくれてるんだなって」

ロボ「男さんひねてますけど、可愛いところもあるのかもなって」

「お前な……」

34 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 11:17:08 rxzqLRBNT 22/29

ロボ「……」

ロボ「…………」ジー


「なんだよ」

ロボ「……れし……です」

「ん?」

ロボ「嬉しかったんです」

「……」

ロボ「……」

ロボ「でも、うまく、顔が、ですね」

ロボ「こういうときは、笑うものだと、思うのですが……」

ロボ「練習もしたんですけど」

「無茶するな」

「割と変な顔になってる」

35 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 11:18:37 rxzqLRBNT 23/29

「こっちきな」

ロボ「?」

「いいから」

ロボ「わ、わかりました」

36 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 11:21:16 rxzqLRBNT 24/29

「どっせい」バコーン

ロボ「んがっ」ガッシャン

「…………」

「……」ガチャガチャ

「……」ガチャガチャ

37 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 11:26:56 rxzqLRBNT 25/29

ロボ「……」





ロボ「……」パチリ

ロボ「んが?」

「お」

ロボ「んん……おはようございます?」

「もう夜なんだけどな」

「ほらよ、お茶だ」

ロボ「え、あ、ありがとうございます」

39 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 11:34:59 rxzqLRBNT 26/29

「それはプレゼント」

ロボ「せ、煎茶がですか?……ずずず」

ロボ「おいし」

「ちげーよ……ずずず」

「うむ。美味しい」

ロボ「?」

「そこの鏡、見てみろ」

ロボ「え?は、はい」クルッ

ロボ「あ……」

「な?」

ロボ「わ、…………笑ってます」

ロボ「う、うふふ」カオグニグニ

「表情パターンが少ないのが不便だって言ってただろ」

40 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 11:39:15 rxzqLRBNT 27/29

「色々調べてようやく実装出来たんだ。まあ、その」

「生みの親の俺が、昨日上手いこと言ってやれなかった侘びっつの?なんつーか……」

ロボ「う、……うふ」カオグニグニ

「あんまり、悩まなくていいんじゃねーのっていうか」

ロボ「う……う……」

「悩んでること自体が、人間と同じっていうかだな?」

ロボ「……うぅ」

「だからその、もっと気楽にだな…」

ロボ「……」ポロポロ

「って、おい?大丈……」

ロボ「う、うわあぁぁぁあぁんっ」

「な、泣いてる!?」

41 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 11:47:39 rxzqLRBNT 28/29

ロボ「うぁああああぁぁん」ギュウ

「うお、おぉっ、おいなんだ!?」

「大丈夫か?」

ロボ「ううぅぅぅぅ……」ポロポロ

「よ、よーしよし」ヨシヨシ

「大丈夫か、大丈夫だからな」

「スマンな。なんか、そんな嫌だとは思わなかった。」

ロボ「ちがうんですっ、嫌じゃないんです!」

ロボ「このひねくれ野郎!」ポロポロ

「なっ……」

ロボ「嬉しいんですよ、うれしいのに、笑ってるのに」

ロボ「なぜか涙がでるんです!」

「……」

ロボ「……おかしいんですよぉ」ポロポロ

「…………」

「……」

「よしよし………」

ロボ「……」ギュウ

42 : ◆BuLILfd4lUN/ - 2014/03/08 11:59:35 rxzqLRBNT 29/29

エピローグ




ロボ「煎茶を入れました」

「いつもご苦労」

ロボ「いえいえ、今日は何の調べ物をしてるんです?」

「秘密だ」

ロボ「……」ジワッ

「なっ、こんなことで泣くなよちょっとちょっと!」

ロボ「うっ……うぅ……」

「お前は本当にすぐ泣くなー、ちゃんと言うから機嫌直してくれ」

ロボ「誰のせいだと思ってるんですか」グス

「すいませんでした」

ロボ「ゆるします」

「えっとだな、前、手間接から異音がしてただろ……?」


・・・・・・

・・・



ゆっくりと、会話がフェードアウトしていって
おしまいおしまい

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