シャミ子「どうしたんですかみかんさん」
みかん「実家から毛糸が大量におくられてきたの、見てこれ」
シャミ子「ダンボール一個分全部毛糸じゃないですか!?」
桃「……」
みかん「女の子らしい趣味を覚えなさいって」
シャミ子「はぁ……、編み物をしろってことですかね」
みかん「いまどき編み物って……」
元スレ
みかん「シャミ子!ちょっと助けてくれない?」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1581760263/
みかん「これ、あげる」
シャミ子「……いただけるならいただきますけど、これ全部はちょっと」
みかん「全部はあげないわ、一応家族からのおくりものだし私も編み物やってみるわ」
みかん「正直やりたくないけど」
シャミ子「じゃあ一緒に編みましょうか」
みかん「桃ももらって」
桃「え、いらない」
みかん「ダメよ、これはノルマだから」
桃「ノルマって……」
桃「イヤだよ、編み物なんてしたくない」
桃「私、帰るね」
みかん「これ持って帰って」紙袋に毛玉いれて渡す
桃「いらないって」
みかん「いらないなら捨ててくれていいから」
桃「じゃあ自分で捨てなよ」
みかん「家族からのおくりものを捨てるなんてできないわ」
桃「私が捨てるのはいいのかな?」
みかん「それならOKよ!」
桃「(判定基準がよくわからない……)」
みかん「お願いよ桃、持って帰って!」
桃「……わかったよ、でも捨てるからね」
みかん「ありがとう!」
桃「じゃあね」
みかん「またね」
シャミ子「私も持って帰って」
みかん「あなたは私と一緒に編むのよ」
シャミ子「え、なんでですか!?」
みかん「だってあなた編み物の本持ってないし買うこともできないじゃない」
シャミ子「(私が持って帰った毛糸を捨てる可能性は考慮してくれないんですね……)」
みかん「一緒に編みましょう」
シャミ子「わかりました」
桃「(シャミ子とみかんは一緒に編むんだ……)」もやぁ
みかん「じゃあ編みましょうか」
シャミ子「はい、で、何を編むんですか?」
みかん「マフラーにしましょう」
シャミ子「みかんさんはマフラーを編むんですね」
みかん「あなたもマフラーを編むのよ」
シャミ子「へ?私もマフラーを編むことが決定しているんですか?」
みかん「だって編み物の本は一冊しかないじゃない」
シャミ子「……?」
みかん「違うものを編んだら違うページを見なきゃいけないでしょ」
みかん「それだと編み方を調べるときにページをいちいちめくりなおしたりしなきゃいけないから面倒じゃない」
シャミ子「なるほど、合理的ですね」
みかん「じゃ、編みましょうか」
シャミ子「はい」
みかん「……」あみあみ
シャミ子「……」あみあみ
みかん「じ、地味だわ……」
シャミ子「……」
みかん「SNSやってた方が楽しい……」
シャミ子「……」
みかん「シャミ子?どうしたの?」
シャミ子「みかんさん!ちょっと編み物の本のページをめくってもいいですか!?」
みかん「え?いいけど……どうしたの?」
シャミ子「これ、楽しいです!」
みかん「え、ええ……」
シャミ子「これをこうしてこう編めば……模様が……」
みかん「(シャミ子はなんかハマってるけど、私は普通に編も……)」
みかん「(単純作業だから繰り返すだけでいいし本を見る必要もないわ……)」
シャミ子「ここをこうしてこうして……」
一時間後
シャミ子「……」あみあみ
みかん「えっ、ちょっとシャミ子それどうなってるの!?」
シャミ子「え?何がですか?」
みかん「私のと全然違うじゃない!」
シャミ子「模様をつけてみました!アラン模様っていうらしいです!」
みかん「え、編み物ってそんなこともできるの!?」
みかん「……」
シャミ子「……」あみあみ
みかん「わ、私も編みなおすわ!」
シャミ子「へ?みかんさんのマフラーもシンプルでいいじゃないですか」
みかん「シャミ子!本貸して!」
シャミ子「あー、みかんさん!私が編めなくなってしまいます!」
みかん「シャミ子はアラン模様なのね!じゃあ私は縄編みにするわ!」
シャミ子「縄編みってどんなのですか?」
みかん「これ」本を見せる
シャミ子「あー素敵ですね!」
次の日
みかん「シャミ子!帰ってからどれくらい編めた?」
シャミ子「そこまで進んでないですね!コツコツやってますよ!」
みかん「毛玉が欲しくなったら言ってね!いくらでもあげるから!」
シャミ子「あっ、じゃあ欲しいです!ベージュ色の毛玉ください!」
みかん「じゃあ今日一緒に帰りましょ!私の部屋によってくれれば毛玉あげるから!」
シャミ子「はい!」
桃「……」もやぁ
本屋
桃「編み物の本ってありますか?」
店員「こちらにございます!」
桃「じゃあこれください!」
店員「ありがとうございます!」
桃「……」
桃「(私がプロデューサー中のシャミ子と意思疎通するためには共通の趣味を持った方がいいからね)」
桃「(これは仕方がないんだよ)」
桃「(編む棒も買わないと)」
桃「(あれどこに売ってるんだろう)」
桃「(シャミ子はたぶんヨシュアさんの武器であるナントカの杖であの棒を作ってるはず)」
桃「何を編もうか……」
桃「シャミ子たちは何を編んでいるのかな?」
桃「……なんでもいいか」
桃「手袋なんかが手ごろかな」
桃「……」あみあみ
メタ子「時はきた!」ぱちんっ
桃「メタ子!毛玉で遊ばないで!」
メタ子「時はきた!」
桃「手袋なんて買ったほうがいいよ」あみあみ
桃「市販品の方が丈夫だと思うし」あみあみ
桃「素材だって毛糸よりあたたかい良い素材が使われているし」あみあみ
桃「毛糸で作る理由が全く分からないよ」あみあみ
桃「それにこんな地味な作業時間の無駄だし」あみあみ
桃「何がたの……楽し……」あみあみ
桃「……」あみあみ
桃「(た、楽しい!)」
桃さんはリリスさんの依代作りにハマっていたからこういう作業が楽しくて仕方ないぞ!
桃「楽しい!楽しいよこれ!」
桃「……あまり深く考えてなかったけど」
桃「もしかしてもっとこったものが作れるんじゃないかな」
桃「本をもっと読んでみよう」ぱらぱら
桃「……こんなにいろいろな編み方があるんだ」
桃「奥が深い!」
桃「この手袋はいったん放置してもっと難易度が高い編み物に挑戦してみよう」
桃「……」あみあみ
次の日
シャミ子「おはようございます桃!」
桃「おはようシャミ子」どよ~ん
シャミ子「ど、どうしたんですか桃、目の下にクマがありますよ」
桃「昨日、夜遅くまで起きてて」
シャミ子「ダメですよ桃、睡眠は大切ですよ」
みかん「おはよう桃!シャミ子!」
シャミ子「おはようございますみかんさん!」
桃「おはようみかん」
みかん「ねーシャミ子!編み物はどれくらい作れた?」
シャミ子「変わらずです!コツコツやってます!」
桃「(今なら話に加われる)シャミ――」
みかん「桃、前あげた毛玉はもう捨てちゃった?」
みかん「捨てちゃったわよね!あなたって絶対編み物なんてしないもん!」
桃「あ、うん……」
みかん「私も最初は興味なかったんだけど、シャミ子とやってたらハマっちゃった!」
桃「そうなんだ……」
シャミ子「楽しいですよ桃!奥が深いんです!」
桃「そ、そうなんだ……」
桃「私は……興味ないかな……」
シャミ子「無理しなくていいんですよ!」
みかん「そうよ、桃は桃のしたいことをすればいいのよ!」
桃「うん……」
みかん「ねーシャミ子!昨日編む順番ちょっと間違えちゃったの」キャッキャッ
シャミ子「編み物あるあるです!大変ですよね」キャッキャッ
桃「……」
桃「ついウソをついちゃった……」あみあみ
桃「私もシャミ子と編み物の話をしたいのに……」あみあみ
桃「同じ話題で盛り上がりたいのに……」あみあみ
桃「なんでこうなっちゃうんだろう……」あみあみ
桃「……」あみあみ
桃「でも楽しいし一人で楽しもう……」あみあみ
桃「はっ!」
桃「これ作ってどうするの……」
桃「手作りの手袋なんてつけて学校に登校したら」
桃の脳内予想
桃「手作り手袋あったかいなぁ」
みかん「あ、あなたそれ、手作りの手袋よね」
シャミ子「興味ないって言ってたのに本当は興味津々だったんですね」
シャミ子「ひそかに手袋を編んでいたんですね」
みかん「なんでウソついたの?」
シャミ子「意味がわかりません……」
桃の脳内予想終わり
桃「自分用の編み物を作っちゃダメだ」
桃「……編み物はもうやめよう」
桃「そうだよ」
桃「もともとシャミ子と共通の話題を作るためにはじめたことなんだし」
桃「それがうまくいかなかった時点でもう作る意味なんてないんだよ」
桃「やめやめ」
桃「……」
桃「でも楽しいし……」
桃「自分で使わなくても編むだけならいいかな……」
桃「……編もう、暇つぶしだよこれは」
数日後
みかん「じゃーん!見てシャミ子!マフラーできたわよ!」キャッキャッ
シャミ子「奇遇ですね!私もできましたよ!見てください!」キャッキャッ
桃「……」
みかん「ねぇシャミ子!提案があるんだけど!」
シャミ子「なんですか?」
みかん「自分で作ったマフラーを使うことを想像しても面白みがないのよね」
シャミ子「それなんかわかります、ちょっとむなしい感じがしますよね」
みかん「それでね!作ったマフラーを交換しない!?」
シャミ子「それ!いいですね!ぜひ交換しましょう!」
みかん「じゃあこれあげる!」キャッキャッ
シャミ子「私のマフラーもどうぞ!」キャッキャッ
桃「……」
桃の家
桃「……私は趣味で編んでるだけだから」
桃「別に交換とか興味ないし……」
こんこん
桃「……誰かな?シャミ子かなみかんかな?」
桃「はーい」ガチャッ
シャミ子「……///」
桃「シャミ子、どうしたの?」
シャミ子「こ、これを貴様にくれてやる!」
桃「……マフラー?」
シャミ子「あまった毛糸で作ったのだ!」
桃「……なんで?」
シャミ子「配下の健康管理も闇の女帝の仕事だからな!このマフラーを使って暖かくしてください!」
桃「……ありがとう」
シャミ子「じゃあ!それだけです!」
桃「待って!」
シャミ子「なんですか?」
桃「……これ///」
シャミ子「セーター……?」
桃「あげる///」
シャミ子「……これ、手編みですか?」
桃「……バレたか///」
シャミ子「桃、編み物には興味ないって」
桃「……実は作ってた///」
シャミ子「そうだったんですか」
シャミ子「それならそうと言ってくれれば一緒に編むこともできたし編み物の話題でお喋りだってできたのに」
桃「……別にいわなくてもいいでしょ///」
シャミ子「しかもこれ私にぴったりのサイズじゃないですか」
シャミ子「もしかして私のために作ってくれたんですか?」
桃「そこは引っかからなくていい///」
シャミ子「桃とも手作りのアイテムの交換ができましたね!」
シャミ子「私、嬉しいです!」
桃「そ、そう///」
シャミ子「大切に使いますね!」
桃「うん///」
次の日
みかん「おはよーシャミ子!私の作ったマフラー使ってくれてるのね!」
シャミ子「はい!あったかいです!」
みかん「私もシャミ子が作ってくれたマフラー使ってるわ!」
シャミ子「嬉しいです!」
みかん「あら?そのセーターは?いつものシャミ子とは感じが違うわね」
桃「……(シャミ子に似合ってなかったかな)」
シャミ子「桃が作ってくれたセーターです!」
シャミ子「お気に入りです!」
桃「……///」
みかん「えー!桃も編み物してたの!?」
桃「……うん///」
みかん「それならそうと教えてよ!一緒に編みましょうよ!」
シャミ子「そうですよ!一緒に楽しみましょう!」
桃「……」
桃「……うん!」
おわり