男「動物はYouTubeで再生数稼げるっていうから犬飼ってみたけど……」
犬「ワン……」
男「最初の動画は再生数200、次のは100、その次は120……」
男「全然稼げねえじゃねえか!」ギロッ
犬「クゥ~ン……」
男「……ちっ。エサ代と手間ばかりかかって、なんの役にも立ちゃしねえ!」
男「お前……もう捨てるわ」
犬「ワン! ワン!」
元スレ
男「YouTubeで再生数稼げるっていうから犬飼ったけど稼げねえから捨てるわw」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1583492404/
≪どなたか拾って下さい≫
犬「ワン! ワン! ワン!」
男「じゃあな」スタスタ
犬「ワオォォォォォン!」
この時、男にとって一つ誤算があった。
この犬はとても賢かったのだ。
並みの人間以上の知能を持っていたのだ。
犬「ワン……」スタスタ
頭脳明晰なこの犬。
当然、段ボール箱などとっとと脱出し、飼い主の匂いをたどる。
犬「……」クンクン
飼い主を捜し求める大冒険!
……など始まるはずもなく犬はあっけなく、家にたどり着いた。
犬「ワン!」スチャッ
あとは飼い主と数十分ぶりの感動の再会を果たすだけ……。
そんなわけがない。
犬に忠誠心などとうになく、あるのは復讐心だけであった。
自分勝手な理由で自分を飼い、捨てた飼い主を許せるはずがなかった。
犬「グルルルル……!」
このまま飼い主だったあの男を襲い、喉笛を噛みちぎるのはたやすい。
だが――
そんな復讐では飼い主に与えられる苦しみは一瞬である。
しかも、人間社会で人間を始末すればたちまち処分されてしまう。
暴力ではダメだ、と犬は判断する。
犬「ワオオオオオオオン!!!」
もっと他の復讐方法を考えなくては……。
犬は誓いの遠吠えをあげると、飼い主の家から立ち去った。
街中をさまよう犬。
彼の胸中にあるものは、飼い主にどう復讐するか、のみであった。
犬「クン?」
ここで犬は道路に落ちている小さな機械を見つける。
スマートフォンである。
どこぞの誰かが落としてしまったのだろう。ロックもされていない。
ただの犬にとって、スマホなど遊び道具にもならない。
ボールやぬいぐるみにも劣る存在である。
だが、この犬にとっては――
犬「……」ポチポチ
貴重な情報源となった。
人間以上の巧みさで、ネットサーフィンを楽しむ犬。
犬「ハッ、ハッ、ハッ」フリフリ
美メス犬の画像を検索して、興奮したりもした。
しかし、ふと我に返る。
俺は復讐しなければならないのだ。欲情してる場合じゃない。
やがて、犬はあるニュース記事を発見する。
内容は――
『痴漢冤罪の恐怖! ~この人痴漢です、の一言で人生が狂った男性~』
犬「ワン……!」
これだ……!
犬はほくそ笑んだ。
ある日の夕方――
会社帰りの男。
出先からの直帰だったので、早い時間帯に帰ることができたのだ。
男「……ん?」
目の前にいたのは――
かつて自分が捨てた犬であった。
犬「ワン……」
男「お、お前は……!」
男は身構える。
当然である。自分のしたことを考えれば、名犬ラッシーのような感動の再会になるわけがない。
犬「グルルルル……!」
男「よ、よせっ! 俺が悪かった!」
犬「ガウウウッ!」バッ
男「うわっ!」
男は飛びのき、犬をかわした。
だが、犬の狙いはこれであった。はなから噛みつくつもりなどなかった。
男が飛びのいた先には――
女「きゃあああああっ! チカーン!」
男「えっ、違……!」
女「いやぁぁぁぁぁっ!」タタタッ
男「くそっ、ひどい目にあった……」
結局、女性は逃げてしまった。
しかも――
男「あれ? 犬もいなくなってる……」
いくらかの不安を抱えたまま、男は家に帰り、ビールを飲む。
ふとパソコンでYouTubeを開く。
男「ん?」
ある動画が急速に再生数を伸ばしていた。
男「な、なんだこりゃ……!?」
≪目撃! 痴漢をするヘンタイ男!≫
動画はタイトル通り、男が女性に飛び付き痴漢呼ばわりされる一部始終を映し出した。
そう、犬は先ほどの光景をスマホで撮影していたのだ。
しかも、100人中100人が男を痴漢だと判断してしまうよう、巧みに編集までして……。
顔はもちろん、住所や実名も、犬の編集でバッチリ出てしまっている。
男「あ、あああ……あああ……!」
この後の男の運命はもはや容易に想像できるだろう。
男は痴漢のレッテルを貼られ、
ネット上ではオモチャにされ、
会社はクビになり、
どこに行っても白い目で見られるようになった。
男は犬を捨てた報いで、社会から捨てられてしまったのだ……。
犬「ワン!」
END
……
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……
男「うーん……我ながらよく出来てるな、この自作ドラマ」
男「知り合いの女の子にも出演してもらったかいがあった」
男「再生回数ものすごく伸びてるし、こりゃかなりの収入になるぞ!」
犬「ワン!」
男「お前もよくやってくれたなぁ」ナデナデ
犬「ワン! ワン!」
男「しっかし……このドラマの脚本を書いたのがお前だってことは……」
男「まして、YouTubeに投稿してひと儲けしようぜって提案してきたのはお前だってことは……」
男「視聴者の誰も想像もしてないだろうな」
犬「ワァ~ン!」フリフリ
END

