母「あんたの小学校の同級生だったケンちゃん、休みのたびに孫を連れてくるんだってさ」
息子「ふーん」
母「あたしもそろそろ孫の顔を見たいねえ……誰かいい人いないのかい?」
息子「いないよ、そんなの」
母「はぁ……見たいねえ……。初孫は可愛いっていうしねえ……」
息子(ったく近頃、親父を亡くしたのもあって、実家に寄るたびいつもこれだ)
息子(いい年して告白したことすらない俺が彼女、まして子供なんて作れるわけないだろう)
息子(……そうだ!)
元スレ
母「あたしもそろそろ孫の顔を見たいねえ……」息子「連れてきたよ」孫悟空「オッス、オラ悟空!」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1581073326/
数日後――
息子「母さん、孫を連れてきたよ」
母「本当かい?」
悟空「オッス、オラ悟空!」
母「こ、これは……悟空!?」
息子「読みは違うけど……これだってれっきとした“孫”だろ?」
母「たしかにそうだけど……」
息子(悟空と知り合いでよかったぜ!)
悟空「オラ、どうすりゃいいんだ?」
息子「せっかくだし、今日一日母さんとデートでもしてくれないか?」
悟空「分かった!」
悟空「んじゃ、デートすっか!」
母「はい! よろしくお願いします! あたし、あなたの大ファンなんです!」
悟空「サンキュー!」
息子(母さんは悟空大好きだからな。これで満足してくれるだろ)
悟空「んじゃ、オラの背中に乗ってくれ。舞空術で飛び回ってやらぁ」
母「はいっ!」
息子「お、おい……母さんは年なんだから、あまり無理は……」
悟空「大丈夫だ、ドラゴンボールがある!」
息子「全然大丈夫じゃねえ!」
悟空「じゃ、行ってくる!」バシュッ
息子(やっぱり不安になってきた……)
ギュゥゥゥゥゥゥンッ!
悟空「どうだ?」
母「とても気持ちいいです!」
悟空「どこか行きてえとこはあるか?」
母「じゃあ、自由の女神を見たいです!」
悟空「自由の女神っていうと、ニューヨークだったな。ひとっ飛びだ!」
母「ヤッホー!」
ギュゥゥゥゥゥゥゥンッ!
自由の女神――
悟空「どうだ?」
母「ステキ……!」
悟空「へへへ、喜んでもらえてオラも嬉しいぞ!」
悟空「よーし、今日は大サービスだ! オラがもっともっと色んなとこ連れてってやる!」
母「ありがとう、悟空!」
悟空「はあああああああ……!」シュインシュイン…
悟空「せやっ!」
バゴォォォォンッ!!!
母「こんな大きな岩を……さすが悟空だわ!」
悟空「だけど、飛んだり壊したりしたら、ハラ減っちまったなー」
母「だったらあたしがご馳走するわよ」
バクバクムシャムシャ…
悟空「うめぇ~!」
母「悟空の食べっぷりを見てると、こっちまで元気になるわ」
悟空「でもよ、ホントにおめえのおごりでいいのか?」
母「年金や、夫の遺産で、お金だけはたっぷりあるからね。いくらでも食べてちょうだい」
悟空「サンキュー!」
悟空「か、め、は、め……」ゴゴゴ…
悟空「波ァーッ!!!」
ズオッ!!!
母「キャーッ、すごい!」
母「生かめはめ波を見られるなんて感激だわ!」
悟空「満腹になったからな。こんなもんでよければいくらでも見せてやっぞ!」
悟空「オッス、帰ったぞ」
母「悟空とのデート、楽しかったわ~」
息子「よかったね、母さん」
息子「散々楽しんだなら、これでもう……」
母「ええ、孫の顔が見たいだなんていわないわ! 今までごめんなさいね」
息子(よかった……)
……
息子「あれ? 母さんからメールだ……珍しいな。どうしたんだろ?」
『今日も悟空とデートするの! 行ってきまーす!』
息子「え……?」
少しして実家へ行くと――
悟空「じゃあなー」
母「またねー!」
息子「え……?」
息子「ちょっと待て、なんで悟空がいるんだよ!」
悟空「なんでって、オラがいちゃ悪いのか?」
息子「悪くはないけど……」
息子「お前には奥さんがいるじゃないか!」
悟空「へ? なんでチチが出てくるんだ?」
息子「いや、だって……」
母「もうあたしのことは放っておいておくれ」
母「あたしは悟空にぞっこんなんだから! 悟空と楽しく老後を過ごすよ!」
息子「母さん……!?」
母「また今度、力こぶ触らせてね」ナデナデ
悟空「なんなら腹筋も触らせてやっぞ!」
母「まぁ、嬉しい!」ナデナデ
息子「あああ……」
息子(このままじゃ……このままじゃ……母さんは悟空の毒牙に……!)
ある日――
悟空「お?」
息子「悟空! また母さんのところに来てたのか……!」
悟空「ああ、そうだ」
息子「なんなんだよ……お前なにが目的なんだよ! なに企んでんだよ!」
悟空「別に目的なんてもんはねえけど……」
悟空「おめえの母ちゃん……」
息子「?」
悟空「なかなか具合がよかったぞ」
息子「は……?」
悟空「おめえの妹か弟ができる日もちけえかもな」ニッ
息子「……」ブチッ
息子「てめえええええええええええええええええええええっ!!!」
息子「うわあああああああああああああああああああああああああっ!!!」
息子「母さんに手を出すんじゃねええええええええ!!!」
ベチッ! ボカッ! ペチッ! ボコッ! バチッ!
悟空「……」
息子「はぁ、はぁ、はぁ……!」
悟空「やればできるじゃねえか。オラ、見直したぞ!」
息子「……え」
悟空「おめえ、今オラに勝てると思って殴ったか?」
息子「まさか……絶対負ける……殺される覚悟で殴ったよ」
悟空「だろ?」
悟空「そんだけの覚悟や根性がありゃ、女の子に声かけたりだってできるんじゃねえか?」
悟空「母ちゃんに孫の顔、見せてやれるんじゃねえか?」
息子「あ……」
悟空「勘違いすんなよ。オラ、別に独身を悪くいうつもりはねえ」
悟空「だけど、一回ぐらい恋愛っちゅうのを経験してみてもいいんじゃねえか?」
悟空「ま、オラも恋愛なんてせずにいきなり結婚しちまったけどな!」ハハ…
息子「……」
息子「……そうかもな」
息子「悟空に殴りかかれるんなら、そこらの女の子なんか怖くないよな」
悟空「だろ?」
息子「俺……やるよ。恋人作る努力をしてみるよ!」
悟空「頑張れよ!」
息子「もしかして……これ母さんの考えた作戦だったりする?」
悟空「い!? い、いや……そんなことは……」
息子(ったく、母さんのが一枚上手だったな……)
やがて――
息子「今日は、君に伝えたいことがあるんだ」
女「なに?」
息子「これ……婚約指輪、受け取って下さい」
女「!」
息子「結婚して下さい!」
女「……はい!」
息子「母さん、孫を連れてきたよ!」
女「抱いてあげて下さい」
孫「ばぶ、ばぶ……」
母「ああっ、とても可愛いねえ。あんたと嫁さんそっくりだよ」
息子(こうして孫の顔を見せることができたのは悟空のおかげだ……)
息子(ありがとう……孫悟空!)
おわり

