ベジータ「貴様がこの学園都市で最強の人間らしいな」
一方通行「あァ?」
ベジータ「フン、学園都市の第一位とやらも大したことはないらしいな」
一方通行「あー、オマエはよォするにアレかァ?ぶっ殺されてェンだな?」
一方通行「オッケェ、退屈しのぎにはちょうどいいしなァ」
ベジータ「安心しろ、退屈しのぎをするのは俺のほうだ」
元スレ
ベジータ「貴様がこの学園都市で最強の人間らしいな」
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一方通行「舐めてンじゃねェぞ三下ァ!」
一方通行は足元を蹴ると同時、生じたベクトルを操作したスピードで接近した
だが
ベジータ「鈍い……」
音速を超える超戦闘を何度も繰り返してきたベジータにとってそれは大した速さではない。
ベジータ「ガッカリさせやがる…所詮第一位とやらもこの程度か!」
カウンターで右の拳を繰り出す、本来ならばここで相手を打ち倒せているはずだった。
ベジータ「!?」
瞬間、ベジータの右腕に経験したことのない衝撃が襲いかかる。
まるで自らの打撃を跳ね返されたかのような衝撃が。
ベジータ「なっ…なんだこれは……!」
直感的に一方通行から距離を置く、敵の能力が分からない現状で近付くのは得策ではない。
一方通行「オマエ……俺の能力を何も知らずに戦いを挑ンでンのか?」
ベジータ「当然だ、コソコソと敵の弱点を調べ回るほど俺は軟弱ではない」
一方通行「はっ、そォかよ…ただ一位の能力くらいは知っとくべきだったなァ!」
一方通行が地を踏みつける、それだけの動作でコンクリートが破壊されその断片が襲いかかる。
ベジータ(石ころや瓦礫なんぞがいくらぶつかってこようと問題ではないが…)
ベジータは思考を巡らせていた、敵の力の正体は何なのだろうかと。
大した気は持っていない、ヤードラット星人のような超能力系だろう。
リフレクター系のバリアーと念動力の複合?
ベジータ「くそったれ……手間を取らせやがる!」
思考していたのは一方通行も同じだった。
おかしい、先に自分が反射した右拳のエネルギー数値が異常だ。
高レベルの身体強化系能力者が全力で殴ったときを思わせる。
そのエネルギー数値も気になったが一方通行が何より気になったのは
一方通行(何でこれだけの力を反射されて…腕がへし折れてねェンだ?)
考えられる要因は一つ、さっきのはまるで全力の攻撃ではなかったということだ。
力に余裕を持った一撃ならばそれを反射されようと攻撃側が壊れることはない。
つまり……
あの男にとって様子見程度の攻撃は高レベルの身体強化能力者の全力に匹敵する。
一方通行(何だ何ですか何なンですかァ…あのクッソ野郎は……!)
ベジータ(奴の能力が分からないなら……まずは)
ベジータ「気功波がヤツに通じるか…」
一瞬の溜めの後に一撃が放たれる、それは真っ直ぐに一方通行への向かっていった。
一方通行「!」
爆炎、そして粉塵が舞い上がる。あの中で常人が生きていられるとはとても思えない。
---『常人』ならば。
ベジータ「……!」
一方通行「ク…ハ……なンだァ今のは……?」
舞い上がる粉塵の中には無傷の第一位の 姿があった。
一方通行(……あの能力はなンだ?あの位置からどうやって攻撃しやがった?)
一方通行(そもそも……俺が今、かろうじて反射した物体は何だ?)
学園都市最高の頭脳を持つ彼ですら困惑する。
未知の物体、いや…エネルギーを反射したというべきだろうか。
この瞬間、敵がただ殴るしか脳がない単純な敵ではないことが証明される。
一方通行(相手のカードがわかンねェのはお互い様ってことだな)
一方通行「クク…いいねェ!最っ高じゃねェの!!」
飛び出してきた一方通行との肉弾戦が繰り広げられる。
だが、明らかに押しているのは一方通行だった。
むしろベジータはまったく攻撃を仕掛けず、敵の攻撃の回避に徹底していた。
ベジータ「くっ……」
動きは決して速くはない、だがそれが逆にベジータを慎重にさせる。
速さで勝てないことが分かっていながら仕掛けてくる…つまり
ベジータ(奴は自分の能力に絶対の自信を持っている…!)
接近戦で攻撃を受けても絶対にダメージを受けない自信を。
攻撃を仕掛ければ絶対にダメージを与えられる自信を。
この接近戦は一方通行にとってもある種の賭だった。
敵がさらなる隠し玉を持っていたらその瞬間に勝負は決してしまっただろう。
だが、幸いなことにベジータは未だに一方通行の能力を理解できていないらしかった。
これはチャンスだった。
一方通行「どォした!威勢が良かったのは最初だけか、あァ!?」
執拗な挑発---それはベジータにあることをさせるため。
ベジータ「チッ…くそったれが!!」
両手に溜められる気、今回は先ほどよりも溜めが長い。
---一方通行の計算通りの展開となる。
一方通行「そいつをなァ…待ってたンだよ!」
一方通行の急激な速度上昇、それは音さえも置き去りにする速さだった。
両手に気を溜めてたこともあり反応が遅れ……気を溜めた手を掴まれる。
ベジータ「くっ!」
一方通行「…………」
一方通行が掴まえていた時間は数秒にも満たなかった、だが……
学園都市第一位の彼が気を認識、解析するにはそれで十分だった。
一方通行「ク…クク……オマエの負けだ」
この瞬間---彼は気の概念すら理解した。
ベジータ「ハアアアアアアアアッ!!」
連打、そう呼ぶに相応しいほどのおびただしい気功波が一方通行に浴びせられる。
爆発に次ぐ爆発が起こる……その直後
ベジータ「!」
己の放ったエネルギー波が全て跳ね返ってきた。
ベジータ「これは……!」
一方通行「オマエの負けだって言ってンだろォが……」
相変わらず無傷の一方通行は続けた。
一方通行「俺はオマエの技を理解して認識してンだ、いくら撃とうが俺には届かねェ」
ベジータ「……!」
一方通行「さァーて…楽しかったパーティーもそろそろお開きだ」
ベジータ「フ…フフ……ハーッハッハッハッ!!」
響き渡る笑い声、それは一方通行にとってはまるで予想外だった。
一方通行「……あァ?」
ひとしきり笑い終えたあと、ベジータは
ベジータ「『理解した』だと?……笑わせるな」
それは追い込まれた者の表情ではなかった……
ベジータ「予測や数字で計れるものじゃない、俺たちサイヤ人はな」
ベジータの表情、それは
ベジータ「この俺に限界を定めた時点で既に貴様の負けは決まった」
誇り高きサイヤ人の王子のそれだった。
ベジータ「楽しみだぜ…貴様のくそったれた面が恐怖に歪むのがな」
次の瞬間、黄金のオーラが彼を包み込んだ。
一方通行「なンだ……オマエ……!」
気を解析したからこそ理解できるベジータの真の力。
あの黄金のオーラが決してハッタリでないことが容易に理解できる。
自分に喧嘩を売ってきたのはどうやら……
学園都市など一人で吹き飛ばせるような男だったらしい。
一方通行「ハッ……とンでもねェな、こンのクッソ野郎ォは」
ベジータ「ほう、ようやく俺と貴様の戦闘力差を認識したか」
一方通行「あァ、よォやくな………ただ」
戦闘力自体では確かに覆らない差はある、それは認めよう。
一方通行「オマエじゃ俺の能力は死んでも超えられねェよ」
そして
一方通行「そンでテメェをぶっ殺したら…俺は間違いなく学園都市最強になるわけだな」
ベジータ「おめでたいヤツだ……」
一方通行「!」
一方通行唯一の誤算、それは
ベジータ「敵の能力を理解出来たのが貴様だけだと思ったのか?」
一方通行が演算の天才であったように……ベジータは戦闘の天才だったこと。
ベジータ「先の肉弾戦で俺がただ避わすことだけしかしなかったと思ったか?」
ベジータ「先の連続気功波を俺が何も考えずに放っていたとでも思ったか?」
あれらは---全てはこの時のため。
能力を把握して全力で叩き潰せるこの時のためだった。
ベジータ「俺は貴様の能力を見誤っていたようだ、貴様の力はバリアーでも念力でもない」
ここまでの戦闘を元にして行き着いたベジータの結論、それは
ベジータ「自身が触れたもののパワーを自在に操る…そんなところだろう」
一方通行「……!」
正確には間違っている、だがその推測はある種の核心をついていた。
パワーとはすなわち力量、一方通行が操るのはそのベクトルなのだから。
ベジータ「まったくふざけた能力を持っていやがる、受け流しもリフレクトも思うがままとはな」
一方通行「…………」
本来は能力が相手に知られたところで恐れることなどない。
反射や操作を破れるような者などは一部の例外を除いて存在しないからだ。
それは分かっている、頭では理解していた。なのに
目の前の男は規格外の力で自身の能力を越えてくる気がしてならない。
ベジータ「貴様に忠告してやる、人様の力を跳ね返す程度で最強を気取るな」
一方通行「ハッ…なら、攻略してみろってンだこのクソ野郎!」
ベジータ「手っ取り早いのは……貴様が跳ね返せんレベルの一撃で吹っ飛ばすことだ」
ベジータの体に気が充実し膨れ上がっていく、あの技は
ベジータ「見るがいい!コイツが超ベジータ様の……」
一方通行「!」
一方通行は一瞬で理解する、あれだけのエネルギーを直接操作するなど不可能だ。
ベジータ「ビッグバン・アタックだ!!」
閃光、爆発---
ベジータ「……まったく、甘過ぎる自分が頭に来るぜ」
通常よりも明らかに少ない破壊の痕跡。
学園都市をなるべく破壊しないよう範囲を絞って放たれた一撃だった。
ベジータ「……しぶといヤツだ」
ベジータは分かっていた、一方通行の気がまだ変わらずに存在していることを。
一方通行「チッ……ずいぶんと愉快に素敵に決めてくれやがったなァ」
範囲を絞った一撃、一方通行の命を救った要因だった。
気が直接当たっていれば既に決着は着いたかもしれない。
あれだけの気を操作するのはさすがに不可能だろう。
だが、気によって生じた熱や爆風は違う。それは当然操作できる。
一方通行は気弾の直撃を避け、爆発を反射することで難を逃れていた。
一方通行(さァてどうするか…あそこまでぶっ飛んだ野郎は初めてだからなァ)
一方通行は冷静だった、いや…冷静を保とうとしていた。
焦りや不安など負の感情は高度な演算作業の邪魔になる。
ここで能力が使えなくなるという事態だけは避けなければならない。
一方通行「つっても……どォしろってンだ?」
パワー、速さ、戦闘技術、経験、すべてにおいて相手が上回っている。
唯一の差異であるベクトル操作でさえ、力押しで封殺されかねない。
一方通行「ハ……ここまで来たらもォ腹くくるしかねェな」
一方通行、最後の攻撃に撃って出る。
ベジータ「来たか……」
爆炎の中から現れた一方通行を視認する。
あれだけの力を見せられてなお戦う意志は消えていない…つまり
ベジータ(何かの小細工をするつもりか……)
通常なら警戒する、相手が何かをする前に叩き潰すだろう。
場合によっては逃げに徹するかもしれない。
だが
ベジータ「何をして来ようが…俺は真っ向から叩き潰す」
それがサイヤ人の王子たる誇り高きベジータの選択だった。
ベジータ「!」
先の攻撃で生じた爆炎が、風が---一方通行の頭上に集められていく。
一方通行「まだだ……もっと……もっと圧縮しろ……!」
ベジータは生涯のライバルが使った技を思い出す。
ベジータ「元気玉……いや、違う!」
奴の能力……触れたもののパワーを自在に操る能力。
ベジータ(俺の攻撃で生じたエネルギーをコントロールしているのか……!)
ただ跳ね返すわけではない、そのエネルギーを何倍にも圧縮し……
何倍にもエネルギーを増大させて打ち返す。
ベジータ(加減したとはいえ…破壊された痕跡があまりに小さいとは思っていたが…)
そう、それはそういうことだったのだ。
一方通行「よォ、クソ野郎…確かにテメェは化け物に並ぶ力を持ってる」
一方通行「けどなァ…俺にも退けねェ理由があンだよ」
一方通行「学園都市最強は……俺じゃなきゃならねェ!」
ベジータ「…………」
ベジータ「貴様の戦う理由など知ったことじゃない、だが俺も負けられん理由がある」
ベジータ「奴に追いつくためにはこんなところで立ち止まっている時間はない」
一方通行「そォかい…なら…ここで終わりにしようじゃねェか」
ベジータ「ハアアアアァァァァ!」
合わせた両手に気が溜まりバチバチと音がなる。
今の状態で既に超サイヤ人2…敵の決死の攻撃を己の全力で受け返す。
一方通行の事情など知りもしないベジータには…それが彼なりの最大の礼儀だった。
一瞬の静寂---
一方通行「オアアアアアァァァ!!」
ベジータ「ファイナル・フラッシュ!!」
---ハッ、やっぱりなァ
---分かってンだよ、俺だって馬鹿じゃねェンだ
---分かってンだよ、勝てねェことなンざ
---ただ
---俺が最強の法螺を吹き続けるには逃げるわけにはいかねェンだよ
---
ベジータ「はあっ…はあっ…!」
押し切った…間違いなく手応えもあった、なのに
一方通行「…………」
一方通行は死んでいなかった。
単純な反射でも全力のベジータの一撃を演算しきれるはずもなく、ダメージは甚大だった。
意識も既に失われ、誰がみても戦闘不能の状態。
それでも彼は生きていた。
ベジータ「…………フン」
かつての自分、強さを追い求め戦いに明け暮れていた自分。
傷つき倒れる一方通行の姿はどことなく自分と重なった。
ベジータ「まったく……最後まで頭に来る野郎だ」
それだけ言うとベジータはその場を後にする。
地球に来てからの心境変化か…あるいはライバルの流儀の真似たのか
結局---彼はトドメを指さなかった。
237 : 以下、名... - 2011/08/17(水) 12:42:58.03 4IWVtyd5O 26/26うん、まあ後日談とかあったけど終わりでいいかな?
ドラゴンボールキャラと禁書キャラが戦ったらこんな感じになってほしい。
ベジータも一方通行も弱体化してたかもだけど勘弁してくれ。
あ、ちなみにこの一方通行はチョーカーなしのを想定してた。